JP3055307B2 - オルガノクロロシランの加水分解方法 - Google Patents
オルガノクロロシランの加水分解方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シリコーンゴム、シリ
コーンオイル、シリコーンワニス等のシリコーン樹脂用
原料として使用されるポリオルガノシロキサンを得るた
めに採用されるオルガノクロロシランの加水分解方法に
関する。
コーンオイル、シリコーンワニス等のシリコーン樹脂用
原料として使用されるポリオルガノシロキサンを得るた
めに採用されるオルガノクロロシランの加水分解方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】シリコーンゴム、シリコーンオイル、シ
リコーンワニス等のシリコーンとして総称されるものの
基本原料化学構造は、ポリジメチルシロキサンである。
工業的にこのポリジメチルシロキサンを得る方法とし
て、ジメチルジクロロシランを連続加水分解する方法が
採用されている。この反応は、ジメチルジクロロシラン
と水とを接触させて3量体から8量体の環状ポリジメチ
ルシロキサンや直鎖状で分子鎖末端がシラノールである
ポリジメチルシロキサンを得るものである。
リコーンワニス等のシリコーンとして総称されるものの
基本原料化学構造は、ポリジメチルシロキサンである。
工業的にこのポリジメチルシロキサンを得る方法とし
て、ジメチルジクロロシランを連続加水分解する方法が
採用されている。この反応は、ジメチルジクロロシラン
と水とを接触させて3量体から8量体の環状ポリジメチ
ルシロキサンや直鎖状で分子鎖末端がシラノールである
ポリジメチルシロキサンを得るものである。
【0003】かかる加水分解方法には、大過剰の水を使
用する方法と当量の水を使用する方法とがあり、それぞ
れ一長一短はあるものの、工業的には当量の水を使用す
る方法の方が有利である。即ち、大過剰の水を用いる方
法は副生する希塩酸を回収するのが困難であるのに対
し、当量の水を用いる方法は、塩酸がガス状として得ら
れ、容易に回収ができるためである。
用する方法と当量の水を使用する方法とがあり、それぞ
れ一長一短はあるものの、工業的には当量の水を使用す
る方法の方が有利である。即ち、大過剰の水を用いる方
法は副生する希塩酸を回収するのが困難であるのに対
し、当量の水を用いる方法は、塩酸がガス状として得ら
れ、容易に回収ができるためである。
【0004】しかし、当量の水を用いる方法は、得られ
る加水分解生成物中の溶存塩化水素量が高くなり、製品
にする際の中和にコストを要するという問題がある。
る加水分解生成物中の溶存塩化水素量が高くなり、製品
にする際の中和にコストを要するという問題がある。
【0005】このため、加水分解を2段階で行う方法が
提案され(特開平2−8223号公報)、この方法は第
1段を実質的に化学量論上当量の水を用いて加水分解
し、塩酸を回収した後、第2段で化学量論上過剰量の塩
化水素水溶液を用いて比較的低温で加水分解を完結させ
るものである。この方法によれば熱効率良く加水分解と
塩化水素の回収を行い、所望の粘度のポリオルガノシロ
キサンを得ることができるとされている。
提案され(特開平2−8223号公報)、この方法は第
1段を実質的に化学量論上当量の水を用いて加水分解
し、塩酸を回収した後、第2段で化学量論上過剰量の塩
化水素水溶液を用いて比較的低温で加水分解を完結させ
るものである。この方法によれば熱効率良く加水分解と
塩化水素の回収を行い、所望の粘度のポリオルガノシロ
キサンを得ることができるとされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記2
段階加水分解方法は、第1段の加水分解工程において、
反応溶液は常に塩化水素で飽和された状態にあるため、
加水分解生成物には環状ポリオルガノシロキサン及び末
端がシラノールである直鎖状ポリオルガノシロキサンの
他に、末端がクロル原子である直鎖状ポリオルガノシロ
キサンの副生を回避することができない。この末端がク
ロル原子である直鎖状ポリオルガノシロキサンは、末端
がシラノールである直鎖状ポリオルガノシロキサンと更
に縮合反応を起こし、あるいは環状ポリオルガノシロキ
サンとの開環重合が進行し、時として取扱いが困難な高
粘度品となる。このため、反応後の液・液相分離器でポ
リオルガノシロキサンと水溶液との分離を困難にすると
いう問題がある。
段階加水分解方法は、第1段の加水分解工程において、
反応溶液は常に塩化水素で飽和された状態にあるため、
加水分解生成物には環状ポリオルガノシロキサン及び末
端がシラノールである直鎖状ポリオルガノシロキサンの
他に、末端がクロル原子である直鎖状ポリオルガノシロ
キサンの副生を回避することができない。この末端がク
ロル原子である直鎖状ポリオルガノシロキサンは、末端
がシラノールである直鎖状ポリオルガノシロキサンと更
に縮合反応を起こし、あるいは環状ポリオルガノシロキ
サンとの開環重合が進行し、時として取扱いが困難な高
粘度品となる。このため、反応後の液・液相分離器でポ
リオルガノシロキサンと水溶液との分離を困難にすると
いう問題がある。
【0007】本発明は、上記事情を改善するためになさ
れたもので、ポリオルガノシロキサンを工業上有利に製
造することができるオルガノクロロシランの加水分解方
法を提供することを目的とする。
れたもので、ポリオルガノシロキサンを工業上有利に製
造することができるオルガノクロロシランの加水分解方
法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者は、上
記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、オルガノ
クロロシランの加水分解を、まずアルコールの存在下、
飽和塩化水素水溶液中で行い、続いてこのオルガノクロ
ロシランの加水分解物を希塩化水素水溶液中で第2段加
水分解することが有効であることを知見した。
記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、オルガノ
クロロシランの加水分解を、まずアルコールの存在下、
飽和塩化水素水溶液中で行い、続いてこのオルガノクロ
ロシランの加水分解物を希塩化水素水溶液中で第2段加
水分解することが有効であることを知見した。
【0009】即ち、第1段でのオルガノクロロシランの
加水分解をアルコールの存在下で行うことにより、分子
鎖末端がクロル原子である直鎖状ポリオルガノシロキサ
ンの生成を抑えることができると同時にオルガノクロロ
シラン加水分解物中の環状ポリオルガノシロキサンの生
成量を増加させることができるため、得られるオルガノ
クロロシラン加水分解生成物粘度を低くすることがで
き、かつ第二段の加水分解を希塩化水素水溶液中で行う
ことによりそれぞれの加水分解(第一段、第二段)後の
工程での水相との分離が容易になり、ポリオルガノシロ
キサンを工業上有利に製造することができることを見い
出し、本発明をなすに至ったものである。
加水分解をアルコールの存在下で行うことにより、分子
鎖末端がクロル原子である直鎖状ポリオルガノシロキサ
ンの生成を抑えることができると同時にオルガノクロロ
シラン加水分解物中の環状ポリオルガノシロキサンの生
成量を増加させることができるため、得られるオルガノ
クロロシラン加水分解生成物粘度を低くすることがで
き、かつ第二段の加水分解を希塩化水素水溶液中で行う
ことによりそれぞれの加水分解(第一段、第二段)後の
工程での水相との分離が容易になり、ポリオルガノシロ
キサンを工業上有利に製造することができることを見い
出し、本発明をなすに至ったものである。
【0010】従って、本発明は、オルガノクロロシラン
を加水分解し、ポリオルガノシロキサンを製造する方法
において、第1段加水分解をアルコールの存在下、飽和
塩化水素溶液中で行い、第2段加水分解を希塩化水素溶
液中で行うことを特徴とするオルガノクロロシランの加
水分解方法を提供する。
を加水分解し、ポリオルガノシロキサンを製造する方法
において、第1段加水分解をアルコールの存在下、飽和
塩化水素溶液中で行い、第2段加水分解を希塩化水素溶
液中で行うことを特徴とするオルガノクロロシランの加
水分解方法を提供する。
【0011】ここで、使用する出発原料のオルガノクロ
ロシランとしては、下記式(1)で示されるものが使用
できる。
ロシランとしては、下記式(1)で示されるものが使用
できる。
【0012】 RnSiX4-n …(1)
【0013】この式中、Rは水素原子又は炭素数1〜6
の炭化水素基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基
等のアルキル基、フェニル基等のアリール基などであ
る。nは1〜3の整数であり、nが2以上のとき、Rは
互いに同一でも異なっていても良い。また、Xはクロル
原子又はアルコキシ基であるが、Xの少なくとも一つは
クロル原子である。従って、使用できるクロロシランは
クロロシランとアルコキシシランとの混合物であっても
良い。これらの中では、特にジメチルジクロロシランが
好ましい。
の炭化水素基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基
等のアルキル基、フェニル基等のアリール基などであ
る。nは1〜3の整数であり、nが2以上のとき、Rは
互いに同一でも異なっていても良い。また、Xはクロル
原子又はアルコキシ基であるが、Xの少なくとも一つは
クロル原子である。従って、使用できるクロロシランは
クロロシランとアルコキシシランとの混合物であっても
良い。これらの中では、特にジメチルジクロロシランが
好ましい。
【0014】更に、上記式(1)で示されるオルガノク
ロロシラン中に下記式(2)で示されるポリオルガノシ
ロキサンが混合されたものであっても良い。
ロロシラン中に下記式(2)で示されるポリオルガノシ
ロキサンが混合されたものであっても良い。
【0015】 RaXbSiO(4-a-b)/2 …(2) (但し、式中R、Xは上記と同様の意味を示し、a、b
は正数で、0<a+b<4である。)
は正数で、0<a+b<4である。)
【0016】本発明のオルガノクロロシランの加水分解
の第1段反応は、上述したようにアルコールの存在下、
飽和塩化水素溶液中で行うものである。
の第1段反応は、上述したようにアルコールの存在下、
飽和塩化水素溶液中で行うものである。
【0017】この場合、加水分解反応温度は、一般には
10〜65℃である。この第1段反応温度の高低は、飽
和塩化水素濃度に影響を及ぼし、温度が低くなると飽和
塩化水素濃度は高くなる。10〜65℃の温度範囲での
飽和塩化水素濃度は温度により一義的に決まり、44〜
34重量%である。従って、反応温度が高くなると末端
がクロル原子である直鎖状ポリオルガノシロキサンの量
は減少するが、反応温度が高い分、環状ポリオルガノシ
ロキサンの開環重合が起こるため、また分子端がシラノ
ールの直鎖状ポリオルガノシロキサン同士の縮合が高温
でより進行するため、粘度は高くなる。反応温度が低い
とこの逆になる。
10〜65℃である。この第1段反応温度の高低は、飽
和塩化水素濃度に影響を及ぼし、温度が低くなると飽和
塩化水素濃度は高くなる。10〜65℃の温度範囲での
飽和塩化水素濃度は温度により一義的に決まり、44〜
34重量%である。従って、反応温度が高くなると末端
がクロル原子である直鎖状ポリオルガノシロキサンの量
は減少するが、反応温度が高い分、環状ポリオルガノシ
ロキサンの開環重合が起こるため、また分子端がシラノ
ールの直鎖状ポリオルガノシロキサン同士の縮合が高温
でより進行するため、粘度は高くなる。反応温度が低い
とこの逆になる。
【0018】なお、65℃より反応温度が高いと、反応
系から排出される無水塩化水素ガスに同伴される未反応
原料が多くなり、収量が低下する場合がある。一方、反
応温度が10℃未満の場合、オルガノクロロシラン加水
分解物の粘度は低いが、加水分解反応工程後の粘度と中
和反応工程後との粘度差が大きくなり過ぎてしまい、中
和工程後の相分離が困難となる場合がある。このため、
本発明における第1段加水分解反応温度は、特に30〜
60℃が好ましい。
系から排出される無水塩化水素ガスに同伴される未反応
原料が多くなり、収量が低下する場合がある。一方、反
応温度が10℃未満の場合、オルガノクロロシラン加水
分解物の粘度は低いが、加水分解反応工程後の粘度と中
和反応工程後との粘度差が大きくなり過ぎてしまい、中
和工程後の相分離が困難となる場合がある。このため、
本発明における第1段加水分解反応温度は、特に30〜
60℃が好ましい。
【0019】また、第1段加水分解反応において、反応
器中における飽和塩化水素溶液相に対する生成されるオ
ルガノクロロシラン加水分解生成物の割合(反応系中の
加水分解物の濃度、つまり加水分解に使用される水との
相対比)は生産性に大きな影響を及ぼす。すなわち、オ
ルガノクロロシラン加水分解物の濃度が高くなると生産
性は向上する。また、第1段加水分解反応の反応器中に
占めるオルガノクロロシラン加水分解物の濃度が加水分
解生成物粘度に与える影響を調べると、オルガノクロロ
シラン加水分解物濃度が大きいほど生成物の粘度は高く
なる傾向を示す。他方、オルガノクロロシラン加水分解
物濃度が高すぎると十分な量の水とオルガノクロロシラ
ンが接触する確率が低下し、塩化水素ガスと共に反応器
から蒸発する未反応オルガノクロロシランや低分子量オ
ルガノクロロシラン加水分解物が多くなり、生成物量が
低下する。一方、飽和塩化水素水溶液の量は必要に応じ
て増加させることはできるが、オルガノクロロシラン加
水分解物濃度が低くなればなる程生産性は低下する。従
って、オルガノクロロシラン加水分解物濃度は15〜7
0重量%、特に20〜40重量%の範囲が好ましい。
器中における飽和塩化水素溶液相に対する生成されるオ
ルガノクロロシラン加水分解生成物の割合(反応系中の
加水分解物の濃度、つまり加水分解に使用される水との
相対比)は生産性に大きな影響を及ぼす。すなわち、オ
ルガノクロロシラン加水分解物の濃度が高くなると生産
性は向上する。また、第1段加水分解反応の反応器中に
占めるオルガノクロロシラン加水分解物の濃度が加水分
解生成物粘度に与える影響を調べると、オルガノクロロ
シラン加水分解物濃度が大きいほど生成物の粘度は高く
なる傾向を示す。他方、オルガノクロロシラン加水分解
物濃度が高すぎると十分な量の水とオルガノクロロシラ
ンが接触する確率が低下し、塩化水素ガスと共に反応器
から蒸発する未反応オルガノクロロシランや低分子量オ
ルガノクロロシラン加水分解物が多くなり、生成物量が
低下する。一方、飽和塩化水素水溶液の量は必要に応じ
て増加させることはできるが、オルガノクロロシラン加
水分解物濃度が低くなればなる程生産性は低下する。従
って、オルガノクロロシラン加水分解物濃度は15〜7
0重量%、特に20〜40重量%の範囲が好ましい。
【0020】本発明においては、第1段加水分解反応を
アルコールの存在下で行うものであるが、この場合、ア
ルコールとして具体的には脂肪族系1価アルコールが好
ましく、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、
プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアル
コール、へキシルアルコール等が挙げられる。これらの
中でも特にメタノールが好ましい。
アルコールの存在下で行うものであるが、この場合、ア
ルコールとして具体的には脂肪族系1価アルコールが好
ましく、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、
プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアル
コール、へキシルアルコール等が挙げられる。これらの
中でも特にメタノールが好ましい。
【0021】また、添加するアルコールの量は特に制限
されないが、加水分解に供されるオルガノクロロシラン
のモル量に左右される。アルコール量が多ければ多い程
末端がアルコキシ基で終わる直鎖状ポリオルガノシロキ
サン量が多くなり、粘度は低くなる。この場合、直鎖状
末端アルコキシポリオルガノシロキサン量が多いと、加
水分解生成物をそのまま次工程の原料等に使用せずに環
状ポリオルガノシロキサンを得るためアルカリクラッキ
ング反応を行う場合には悪影響を及ぼすことがあるが、
末端にアルコキシ基を有していても良いような製品には
アルコールの添加量は多くても良い。一方、アルコール
を多量に添加すれば当然コストは高くなるので、製品価
格の面で使用量の制限を受ける場合がある。従って、ア
ルコールの量は一般的にオルガノクロロシランに対し、
5〜70重量%、経済的には10〜35重量%とするこ
とが好ましい。
されないが、加水分解に供されるオルガノクロロシラン
のモル量に左右される。アルコール量が多ければ多い程
末端がアルコキシ基で終わる直鎖状ポリオルガノシロキ
サン量が多くなり、粘度は低くなる。この場合、直鎖状
末端アルコキシポリオルガノシロキサン量が多いと、加
水分解生成物をそのまま次工程の原料等に使用せずに環
状ポリオルガノシロキサンを得るためアルカリクラッキ
ング反応を行う場合には悪影響を及ぼすことがあるが、
末端にアルコキシ基を有していても良いような製品には
アルコールの添加量は多くても良い。一方、アルコール
を多量に添加すれば当然コストは高くなるので、製品価
格の面で使用量の制限を受ける場合がある。従って、ア
ルコールの量は一般的にオルガノクロロシランに対し、
5〜70重量%、経済的には10〜35重量%とするこ
とが好ましい。
【0022】また、本発明においては、アルコールに加
え、他の溶媒を使用することは任意であり、例えばトル
エン、ベンゼン、アセトン、エーテル、四塩化炭素、ト
リクロロエチレン等の不活性溶媒を使用することができ
る。通常ジメチルジクロロシランの連続加水分解反応で
得られるポリジメチルオルガノシロキサンのように、シ
リコーン工業の主原料となるポリオルガノシロキサンの
製造にアルコール以外の溶媒を使用すると反応後にこれ
らの溶媒を除去しなけなければならないため、経済的で
ないが、トリメチルクロロシランのようなT単位を含む
シランを加水分解する時には、アルコール以外の溶媒の
使用は有効である。これらのアルコール以外の溶媒の使
用量は一般にはオルガノクロロシラン加水分解物に対し
て50重量%以下である。
え、他の溶媒を使用することは任意であり、例えばトル
エン、ベンゼン、アセトン、エーテル、四塩化炭素、ト
リクロロエチレン等の不活性溶媒を使用することができ
る。通常ジメチルジクロロシランの連続加水分解反応で
得られるポリジメチルオルガノシロキサンのように、シ
リコーン工業の主原料となるポリオルガノシロキサンの
製造にアルコール以外の溶媒を使用すると反応後にこれ
らの溶媒を除去しなけなければならないため、経済的で
ないが、トリメチルクロロシランのようなT単位を含む
シランを加水分解する時には、アルコール以外の溶媒の
使用は有効である。これらのアルコール以外の溶媒の使
用量は一般にはオルガノクロロシラン加水分解物に対し
て50重量%以下である。
【0023】なお、第1段加水分解反応の反応器中のオ
ルガノクロロシラン加水分解生成物の滞留時間は、操業
上4〜60分程度とすることが好ましい。
ルガノクロロシラン加水分解生成物の滞留時間は、操業
上4〜60分程度とすることが好ましい。
【0024】本発明のオルガノクロロシランの加水分解
方法は上記第1段加水分解後、更に希塩化水素溶液を用
いて第2段加水分解反応を行う。その目的は第1段の加
水分解反応を補完して100%加水分解を完了すると共
に、塩素の回収効率を向上するためである。
方法は上記第1段加水分解後、更に希塩化水素溶液を用
いて第2段加水分解反応を行う。その目的は第1段の加
水分解反応を補完して100%加水分解を完了すると共
に、塩素の回収効率を向上するためである。
【0025】第2段加水分解反応で使用する希塩化水素
溶液の濃度は、高すぎると環状ポリシロキサンが開環重
合を起こして粘度が上昇するので、20重量%以下とす
ることが好ましく、特に工業的に容易で安価に入手でき
る5〜20重量%の希塩化水素溶液を使用するのが経済
的である。とりわけ、希塩化水素溶液としてメタノール
と塩化水素との反応でメチルクロライドを合成した残溶
液を使用することが最も経済的である。即ち、メチルク
ロライド合成時に副生される残溶液(希塩化水素水溶
液)中の塩素の回収は、これまで工業的(経済的)に不
可能だったため、捨てられてきたが、これを有効利用で
きることは、当業界にとっては極めて有利である。な
お、この希塩化水素溶液にも第1段加水分解反応と同様
にアルコールを添加することができる。
溶液の濃度は、高すぎると環状ポリシロキサンが開環重
合を起こして粘度が上昇するので、20重量%以下とす
ることが好ましく、特に工業的に容易で安価に入手でき
る5〜20重量%の希塩化水素溶液を使用するのが経済
的である。とりわけ、希塩化水素溶液としてメタノール
と塩化水素との反応でメチルクロライドを合成した残溶
液を使用することが最も経済的である。即ち、メチルク
ロライド合成時に副生される残溶液(希塩化水素水溶
液)中の塩素の回収は、これまで工業的(経済的)に不
可能だったため、捨てられてきたが、これを有効利用で
きることは、当業界にとっては極めて有利である。な
お、この希塩化水素溶液にも第1段加水分解反応と同様
にアルコールを添加することができる。
【0026】第2段加水分解反応の反応温度は特に制限
されないが、塩化水素濃度、反応温度が共に高いと環状
ポリオルガノシロキサンの開環重合が進行するので、両
者とも低い方が好ましく、塩化水素濃度が20重量%以
下、反応温度は40℃以下とすることが好ましい。ま
た、オルガノクロロシラン加水分解物(第1段加水分解
物)濃度は高い程生産性に優れ、一般的に40〜80重
量%、特に50〜70重量%の範囲が好ましい。なお、
滞留時間は長くなると開環重合反応が進行するので、で
きるかぎり短い方が良く、粘度増加による影響を避ける
ため、通常60分以内とすることが好ましい。
されないが、塩化水素濃度、反応温度が共に高いと環状
ポリオルガノシロキサンの開環重合が進行するので、両
者とも低い方が好ましく、塩化水素濃度が20重量%以
下、反応温度は40℃以下とすることが好ましい。ま
た、オルガノクロロシラン加水分解物(第1段加水分解
物)濃度は高い程生産性に優れ、一般的に40〜80重
量%、特に50〜70重量%の範囲が好ましい。なお、
滞留時間は長くなると開環重合反応が進行するので、で
きるかぎり短い方が良く、粘度増加による影響を避ける
ため、通常60分以内とすることが好ましい。
【0027】第2段加水分解反応を経たオルガノクロロ
シラン加水分解生成物は、次いで中和、水洗して製品と
することができる。ここで、中和反応で問題となるの
は、中和前のオルガノクロロシラン加水分解生成物に含
まれる末端がクロル原子の直鎖状ポリオルガノシロキサ
ンの存在である。この末端がクロル原子の直鎖状ポリオ
ルガノシロキサンが多いと中和反応により高分子量の直
鎖状ポリオルガノシロキサンが生成し、高粘度品とな
り、極めて水相との分離が悪くなる。本発明の2段階加
水分解反応によれば、中和反応の前に末端がクロル原子
の直鎖状ポリオルガノシロキサンの量が極めて少なく、
可及的に中和できるため、このような問題は解決される
と共に、中和に要するアルカリの量を減少させることが
できる。なお、中和に使用するアルカリ濃度は任意であ
り、経済的な濃度であれば良く、通常5重量%以内の炭
酸ソーダ溶液が好ましく用いられる。
シラン加水分解生成物は、次いで中和、水洗して製品と
することができる。ここで、中和反応で問題となるの
は、中和前のオルガノクロロシラン加水分解生成物に含
まれる末端がクロル原子の直鎖状ポリオルガノシロキサ
ンの存在である。この末端がクロル原子の直鎖状ポリオ
ルガノシロキサンが多いと中和反応により高分子量の直
鎖状ポリオルガノシロキサンが生成し、高粘度品とな
り、極めて水相との分離が悪くなる。本発明の2段階加
水分解反応によれば、中和反応の前に末端がクロル原子
の直鎖状ポリオルガノシロキサンの量が極めて少なく、
可及的に中和できるため、このような問題は解決される
と共に、中和に要するアルカリの量を減少させることが
できる。なお、中和に使用するアルカリ濃度は任意であ
り、経済的な濃度であれば良く、通常5重量%以内の炭
酸ソーダ溶液が好ましく用いられる。
【0028】中和反応器中のオルガノクロロシラン加水
分解物濃度は任意であり、生産性は操業の容易さで選択
できる。また、中和の温度も制限されないが、中和をよ
り完全に行うため高い温度程好ましい。
分解物濃度は任意であり、生産性は操業の容易さで選択
できる。また、中和の温度も制限されないが、中和をよ
り完全に行うため高い温度程好ましい。
【0029】本発明のオルガノクロロシランの加水分解
方法は、もちろん回分式(バッチ操作方式)でも連続的
製造方法でも可能であるが、工業的には連続的製造方法
が好ましい。
方法は、もちろん回分式(バッチ操作方式)でも連続的
製造方法でも可能であるが、工業的には連続的製造方法
が好ましい。
【0030】以下、図1を参照して本発明のオルガノク
ロロシランの加水分解方法により連続的にオルガノクロ
ロシラン加水分解生成物を得る場合の一例を説明する。
ロロシランの加水分解方法により連続的にオルガノクロ
ロシラン加水分解生成物を得る場合の一例を説明する。
【0031】図中、10は第1段加水分解反応器で、原
料のオルガノクロロシランは管11から、またメタノー
ルは管12から第1段加水分解反応器10に供給され、
ここで飽和塩化水素溶液と撹拌されて加水分解され、塩
化水素ガスを発生すると共に、環状ポリオルガノシロキ
サン、末端がシラノール基である直鎖状ポリオルガノシ
ロキサン、末端のクロル原子がアルコールと反応して得
られた末端がアルコキシ基である直鎖状ポリオルガノシ
ロキサン等のオルガノクロロシラン加水分解生成物にな
る。なお、滞留時間は5〜40分である。得られたオル
ガノクロロシラン加水分解生成物は、飽和塩化水素溶液
と共に管13から排出され、第1相分離器20で飽和塩
化水素溶液と相分離されて管21から排出される。この
時、分離された飽和塩化水素溶液の全量又は一部は管2
2から第1段加水分解反応器10に返送され、循環使用
することが経済的である。また、この飽和塩化水素水溶
液は、直接反応器10に循環せずにミストセパレータ9
0の塔頂よりフラッシュしてもよい。
料のオルガノクロロシランは管11から、またメタノー
ルは管12から第1段加水分解反応器10に供給され、
ここで飽和塩化水素溶液と撹拌されて加水分解され、塩
化水素ガスを発生すると共に、環状ポリオルガノシロキ
サン、末端がシラノール基である直鎖状ポリオルガノシ
ロキサン、末端のクロル原子がアルコールと反応して得
られた末端がアルコキシ基である直鎖状ポリオルガノシ
ロキサン等のオルガノクロロシラン加水分解生成物にな
る。なお、滞留時間は5〜40分である。得られたオル
ガノクロロシラン加水分解生成物は、飽和塩化水素溶液
と共に管13から排出され、第1相分離器20で飽和塩
化水素溶液と相分離されて管21から排出される。この
時、分離された飽和塩化水素溶液の全量又は一部は管2
2から第1段加水分解反応器10に返送され、循環使用
することが経済的である。また、この飽和塩化水素水溶
液は、直接反応器10に循環せずにミストセパレータ9
0の塔頂よりフラッシュしてもよい。
【0032】管21から排出されたオルガノクロロシラ
ン加水分解生成物は、第2段加水分解反応器30内に供
給され、管31から供給された希塩化水素溶液と撹拌さ
れて更に加水分解される。滞留留時間は5〜30分が好
ましく、希塩化水素水溶液中に必要ならアルコールを含
有させてもよい。次に、オルガノクロロシラン加水分解
生成物は、希塩化水素溶液と共に管32から排出されて
第2相分離器40で希塩化水素溶液と相分離され、管4
1から排出される。一方、分離された希塩化水素溶液は
管42から第1段加水分解反応器10に返送されて再利
用され、これによって塩化水素の完全回収を行うことが
できる。
ン加水分解生成物は、第2段加水分解反応器30内に供
給され、管31から供給された希塩化水素溶液と撹拌さ
れて更に加水分解される。滞留留時間は5〜30分が好
ましく、希塩化水素水溶液中に必要ならアルコールを含
有させてもよい。次に、オルガノクロロシラン加水分解
生成物は、希塩化水素溶液と共に管32から排出されて
第2相分離器40で希塩化水素溶液と相分離され、管4
1から排出される。一方、分離された希塩化水素溶液は
管42から第1段加水分解反応器10に返送されて再利
用され、これによって塩化水素の完全回収を行うことが
できる。
【0033】相分離されたオルガノクロロシラン加水分
解生成物は、次いで管41から第1中和反応器50に供
給される。ここでアルカリ水溶液で中和された後、アル
カリ水溶液と共に排出され、管51から第3相分離器6
0に導入され、アルカリと相分離された後、管61から
第2中和反応器70に供給される。一方、希アルカリ水
溶液は管71から第2中和反応器70に供給される。第
2中和反応器70で中和されたオルガノクロロシラン加
水分解生成物は管72から第4相分離器80に導入さ
れ、ここで希アルカリ水溶液と分離されて管81から排
出された後、タンク等に貯蔵される。一方、分離された
希アルカリ水溶液は管82から第1中和反応器50に返
送されて再利用することもできる。
解生成物は、次いで管41から第1中和反応器50に供
給される。ここでアルカリ水溶液で中和された後、アル
カリ水溶液と共に排出され、管51から第3相分離器6
0に導入され、アルカリと相分離された後、管61から
第2中和反応器70に供給される。一方、希アルカリ水
溶液は管71から第2中和反応器70に供給される。第
2中和反応器70で中和されたオルガノクロロシラン加
水分解生成物は管72から第4相分離器80に導入さ
れ、ここで希アルカリ水溶液と分離されて管81から排
出された後、タンク等に貯蔵される。一方、分離された
希アルカリ水溶液は管82から第1中和反応器50に返
送されて再利用することもできる。
【0034】また、第1段加水分解反応器10から発生
した塩化水素ガスは管14からミストセパレーター90
を通過して管91から回収される。塩化水素ガスに同伴
する低分子量ポリオルガノシロキサンあるいは未反応シ
ランは、ミストセパレータ90で捕捉され、管92から
反応器へ返送される。
した塩化水素ガスは管14からミストセパレーター90
を通過して管91から回収される。塩化水素ガスに同伴
する低分子量ポリオルガノシロキサンあるいは未反応シ
ランは、ミストセパレータ90で捕捉され、管92から
反応器へ返送される。
【0035】なお、上記工程では中和反応を2度行って
いるが、1度目の中和反応を十分に行えば(滞留時間を
長くとれば)、目的とするポリオルガノシロキサンが得
られるので、必ずしも2回行う必要がない。
いるが、1度目の中和反応を十分に行えば(滞留時間を
長くとれば)、目的とするポリオルガノシロキサンが得
られるので、必ずしも2回行う必要がない。
【0036】上記工程によれば、連続的に増粘等の不都
合もなく、効率よくオルガノクロロシラン加水分解生成
物が得られ、しかも塩化水素を100%回収できる上、
中和に要するコストも低く、経済的に有利である。
合もなく、効率よくオルガノクロロシラン加水分解生成
物が得られ、しかも塩化水素を100%回収できる上、
中和に要するコストも低く、経済的に有利である。
【0037】
【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に示すが、本発明は下記の実施例に制限されるもので
はない。
的に示すが、本発明は下記の実施例に制限されるもので
はない。
【0038】[実施例1]図1に示す反応工程におい
て、加水分解反応器10、30は撹拌装置を具備し、加
熱可能な内径13cm、高さ33cmの円筒型反応器で
あり、第1段加水分解反応器10へ[(CH3)2Si
O]4を900g、水を1300g仕込み、撹拌装置で
撹拌しながら反応温度35℃でHClガスを吹き込んで
飽和塩化水溶液とした。次いで、ジメチルジクロロシラ
ンを51.5g/min、17%塩化水素水溶液を1
8.0g/min、メタノールを7.08g/min、
飽和塩化水素水溶液(室温25℃)を70.58g/m
in連続的に第1段加水分解反応器10へ供給した。こ
の時、第1段加水分解反応器10中の反応物の総量が常
に反応前に仕込んだ[(CH3)2SiO]4と水の総量
に等しくなるように管13から反応物を第1相分離器2
0へ流出させた。第1段加水分解反応条件は、反応温度
35℃、平均滞留時間20分に設定し、第1相分離器2
0においては、温度室温(25℃)、滞留時間20分と
設定した。
て、加水分解反応器10、30は撹拌装置を具備し、加
熱可能な内径13cm、高さ33cmの円筒型反応器で
あり、第1段加水分解反応器10へ[(CH3)2Si
O]4を900g、水を1300g仕込み、撹拌装置で
撹拌しながら反応温度35℃でHClガスを吹き込んで
飽和塩化水溶液とした。次いで、ジメチルジクロロシラ
ンを51.5g/min、17%塩化水素水溶液を1
8.0g/min、メタノールを7.08g/min、
飽和塩化水素水溶液(室温25℃)を70.58g/m
in連続的に第1段加水分解反応器10へ供給した。こ
の時、第1段加水分解反応器10中の反応物の総量が常
に反応前に仕込んだ[(CH3)2SiO]4と水の総量
に等しくなるように管13から反応物を第1相分離器2
0へ流出させた。第1段加水分解反応条件は、反応温度
35℃、平均滞留時間20分に設定し、第1相分離器2
0においては、温度室温(25℃)、滞留時間20分と
設定した。
【0039】第1相分離器20によってオルガノクロロ
シラン加水分解物相と水相とに自動的に分離されると共
に、分離したオルガノクロロシラン加水分解物を、予め
[(CH3)2SiO]41300g、17重量%塩化水
素水溶液1300gが仕込まれて撹拌下にある第2段加
水分解反応器30に、同じく17重量%塩化水素水溶液
15.5g/minと共に連続的に供給した。ここで、
第1相分離器20によって連続的に分離される分離水
(循環飽和塩化水素水溶液)の70.5g/minは、
第1段加水分解反応器に供給していた飽和塩化水素水溶
液70.5g/minを中止し、これにかわり第1段加
水分解反応器に管22によって連続的に導入される。な
お、第2段加水分解反応条件は、反応温度35℃、滞留
時間20分と設定した。また、第1段加水分解の時と同
様、第2段加水分解反応器30の反応物量が反応前に仕
込んだ[(CH3)2SiO]4と水の総量に常に等しく
なるように反応物を第2相分離器40へ流出させた。第
2相分離器40の分離条件は、温度は室温、滞留時間は
10分である。
シラン加水分解物相と水相とに自動的に分離されると共
に、分離したオルガノクロロシラン加水分解物を、予め
[(CH3)2SiO]41300g、17重量%塩化水
素水溶液1300gが仕込まれて撹拌下にある第2段加
水分解反応器30に、同じく17重量%塩化水素水溶液
15.5g/minと共に連続的に供給した。ここで、
第1相分離器20によって連続的に分離される分離水
(循環飽和塩化水素水溶液)の70.5g/minは、
第1段加水分解反応器に供給していた飽和塩化水素水溶
液70.5g/minを中止し、これにかわり第1段加
水分解反応器に管22によって連続的に導入される。な
お、第2段加水分解反応条件は、反応温度35℃、滞留
時間20分と設定した。また、第1段加水分解の時と同
様、第2段加水分解反応器30の反応物量が反応前に仕
込んだ[(CH3)2SiO]4と水の総量に常に等しく
なるように反応物を第2相分離器40へ流出させた。第
2相分離器40の分離条件は、温度は室温、滞留時間は
10分である。
【0040】第2相分離器40によって分離された一定
量のオルガノクロロシラン加水分解生成物は、続いて連
続的に第1中和反応器50に導入し、ここで、第1中和
反応器50に供給されたオルガノクロロシラン加水分解
生成物と等量の5重量%炭酸ソーダ水溶液と混合し、反
応温度80℃、滞留時間1時間の条件で、オルガノクロ
ロシラン加水分解物を連続的に中和した。
量のオルガノクロロシラン加水分解生成物は、続いて連
続的に第1中和反応器50に導入し、ここで、第1中和
反応器50に供給されたオルガノクロロシラン加水分解
生成物と等量の5重量%炭酸ソーダ水溶液と混合し、反
応温度80℃、滞留時間1時間の条件で、オルガノクロ
ロシラン加水分解物を連続的に中和した。
【0041】第1中和反応器50からの中和物は第3相
分離器60に導入し、更に第2中和反応器70に導入し
た。ここで、第1段中和と全く同様に中和し、オルガノ
クロロシラン加水分解物を分離し、無色透明のオルガノ
クロロシラン加水分解物を得た。
分離器60に導入し、更に第2中和反応器70に導入し
た。ここで、第1段中和と全く同様に中和し、オルガノ
クロロシラン加水分解物を分離し、無色透明のオルガノ
クロロシラン加水分解物を得た。
【0042】上記オルガノクロロシラン加水分解工程に
おいて、すべての反応工程が設定された条件での定常状
態に達した時の各工程において生成されるオルガノクロ
ロシラン加水分解生成物の物性と反応率を調べたとこ
ろ、第1相分離器20より流出したオルガノポリクロロ
シラン加水分解物は、粘度4.0cs、反応率98.4
%、第2相分離器40より流出したオルガノクロロシラ
ン加水分解物は、粘度5.8cs、反応率99.9%、
目的物の第2中和工程後に分離したオルガノクロロシラ
ン加水分解物は、粘度7.2cs、[(CH3)2Si
O]3-6の含有率72.2重量%、このうち[(CH3)
2SiO]4は45.5重量%であった。
おいて、すべての反応工程が設定された条件での定常状
態に達した時の各工程において生成されるオルガノクロ
ロシラン加水分解生成物の物性と反応率を調べたとこ
ろ、第1相分離器20より流出したオルガノポリクロロ
シラン加水分解物は、粘度4.0cs、反応率98.4
%、第2相分離器40より流出したオルガノクロロシラ
ン加水分解物は、粘度5.8cs、反応率99.9%、
目的物の第2中和工程後に分離したオルガノクロロシラ
ン加水分解物は、粘度7.2cs、[(CH3)2Si
O]3-6の含有率72.2重量%、このうち[(CH3)
2SiO]4は45.5重量%であった。
【0043】[実施例2〜10]ジメチルジクロロシラ
ン、循環飽和塩化水素溶液、希塩化水素溶液の供給比を
変えて実施例1と同様にオルガノクロロシラン加水分解
物を得た。この時の実験条件と得られたポリシロキサン
生成物の物性を表1に示した。なお、表1には実施例1
の結果も併記する。
ン、循環飽和塩化水素溶液、希塩化水素溶液の供給比を
変えて実施例1と同様にオルガノクロロシラン加水分解
物を得た。この時の実験条件と得られたポリシロキサン
生成物の物性を表1に示した。なお、表1には実施例1
の結果も併記する。
【0044】
【表1】
【0045】[実施例11]実施例1において、ジメチ
ルジクロロシランの代わりに、ジメチルジクロロシラン
とトリクロロフェニルシランの1:1混合物(重量比)
からなるトルエン溶液(シロキサン濃度20重量%)を
25g/min導入した以外は実施例1と同一の条件で
実験を行った。得られたポリオルガノシロキサン(トル
エン溶液)の粘度は6csであった。
ルジクロロシランの代わりに、ジメチルジクロロシラン
とトリクロロフェニルシランの1:1混合物(重量比)
からなるトルエン溶液(シロキサン濃度20重量%)を
25g/min導入した以外は実施例1と同一の条件で
実験を行った。得られたポリオルガノシロキサン(トル
エン溶液)の粘度は6csであった。
【0046】[比較例]実施例1において、第1段反応
でメタノールを供給せず、また、第2段反応で希塩化水
素溶液の濃度を5重量%にした以外は実施例1と同一条
件で実験を行った。
でメタノールを供給せず、また、第2段反応で希塩化水
素溶液の濃度を5重量%にした以外は実施例1と同一条
件で実験を行った。
【0047】この結果、第1段加水分解反応で得られた
加水分解生成物の反応率は97.4%、加水分解生成物
の粘度は4.5csであり、第2段加水分解反応で得ら
れた加水分解生成物の反応率は99.7%、加水分解生
成物の粘度は9.1csであった。このものは、次いで
中和工程に導入すると粘度が急増し、第3相分離器60
及び第4相分離器80中でのシロキサン層の分離が極め
て困難で、滞留時間を数時間とってもきれいに相分離せ
ず、工業的に極めて問題があることが判明した。
加水分解生成物の反応率は97.4%、加水分解生成物
の粘度は4.5csであり、第2段加水分解反応で得ら
れた加水分解生成物の反応率は99.7%、加水分解生
成物の粘度は9.1csであった。このものは、次いで
中和工程に導入すると粘度が急増し、第3相分離器60
及び第4相分離器80中でのシロキサン層の分離が極め
て困難で、滞留時間を数時間とってもきれいに相分離せ
ず、工業的に極めて問題があることが判明した。
【0048】以上の結果から、加水分解反応を2段に分
けて行い、かつ第1段のオルガノクロロシランの加水分
解をアルコールの存在下に行うことにより、ポリオルガ
ノクロロシラン加水分解物と塩化水素水溶液との分離が
極めて良く、また、反応率も向上し(塩化水素の回収効
率の向上)、中和工程も容易になり、経済的な連続加水
分解反応を可能とすることが認められる。
けて行い、かつ第1段のオルガノクロロシランの加水分
解をアルコールの存在下に行うことにより、ポリオルガ
ノクロロシラン加水分解物と塩化水素水溶液との分離が
極めて良く、また、反応率も向上し(塩化水素の回収効
率の向上)、中和工程も容易になり、経済的な連続加水
分解反応を可能とすることが認められる。
【0049】なお、上記実施例の加水分解方法により得
られたポリオルガノシロキサン生成物を出発原料として
アルカリ触媒法あるいは硫酸触媒法でシリコーンオイル
を合成し、微量存在する末端アルコキシポリシロキサン
の影響を調べたところ、ゲル化することなく重合反応が
進行し、その影響が認められなかった。
られたポリオルガノシロキサン生成物を出発原料として
アルカリ触媒法あるいは硫酸触媒法でシリコーンオイル
を合成し、微量存在する末端アルコキシポリシロキサン
の影響を調べたところ、ゲル化することなく重合反応が
進行し、その影響が認められなかった。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のオルガノ
クロロシランの加水分解方法によれば、工業的有利にポ
リオルガノシロキサンを得ることができる。
クロロシランの加水分解方法によれば、工業的有利にポ
リオルガノシロキサンを得ることができる。
【図1】本発明の一例を示す工程図である。
10 第1段加水分解反応器 20 第1相分離器 30 第2段加水分解反応器 40 第2相分離器 50 第1中和反応器 60 第3相分離器 70 第2中和反応器 80 第4相分離器 90 ミストセパレーター
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−8223(JP,A) 特開 昭61−241327(JP,A) 特開 昭49−124067(JP,A) 特開 昭48−88199(JP,A) 特開 昭54−90120(JP,A) 特開 平5−194554(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07F 7/21 C07F 7/08 C08G 77/06
Claims (7)
- 【請求項1】 オルガノクロロシランを加水分解し、ポ
リオルガノシロキサンを製造する方法において、第1段
加水分解をアルコールの存在下、飽和塩化水素溶液中で
行い、第2段加水分解を希塩化水素溶液中で行うことを
特徴とするオルガノクロロシランの加水分解方法。 - 【請求項2】 第1段加水分解のオルガノクロロシラン
の加水分解反応温度が30〜60℃である請求項1記載
のオルガノクロロシランの加水分解方法。 - 【請求項3】 第1段加水分解で使用するアルコールが
メタノールである請求項1又は2記載のオルガノクロロ
シランの加水分解方法。 - 【請求項4】 第1段加水分解で使用するアルコールの
量がオルガノクロロシランに対して10〜35重量%で
ある請求項1、2又は3記載のオルガノクロロシランの
加水分解方法。 - 【請求項5】 第1段加水分解におけるオルガノクロロ
シラン加水分解生成物が全反応系に対して20〜40重
量%である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のオル
ガノクロロシランの加水分解方法。 - 【請求項6】 第2段加水分解反応を反応温度が40℃
以下、希塩化水素水溶液の塩化水素濃度が20重量%以
下で行う請求項1乃至5のいずれか1項に記載のオルガ
ノクロロシランの加水分解方法。 - 【請求項7】 第1段加水分解と第2段加水分解とを連
続的に行う請求項1乃至6のいずれか1項に記載のオル
ガノクロロシランの加水分解方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4151320A JP3055307B2 (ja) | 1992-05-19 | 1992-05-19 | オルガノクロロシランの加水分解方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4151320A JP3055307B2 (ja) | 1992-05-19 | 1992-05-19 | オルガノクロロシランの加水分解方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05320179A JPH05320179A (ja) | 1993-12-03 |
JP3055307B2 true JP3055307B2 (ja) | 2000-06-26 |
Family
ID=15516057
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4151320A Expired - Fee Related JP3055307B2 (ja) | 1992-05-19 | 1992-05-19 | オルガノクロロシランの加水分解方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3055307B2 (ja) |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3644703B2 (ja) * | 1993-08-18 | 2005-05-11 | 信越化学工業株式会社 | 環状ジメチルポリシロキサンの製造方法 |
DE102005047394A1 (de) * | 2005-10-04 | 2007-04-05 | Wacker Chemie Ag | Verfahren zur Herstellung von Organopolysiloxanen |
DE102005047395A1 (de) * | 2005-10-04 | 2007-04-05 | Wacker Chemie Ag | Verfahren zur Herstellung von Organopolysiloxanen |
DE102009001613A1 (de) * | 2009-03-17 | 2010-09-23 | Wacker Chemie Ag | Abtrennung von siliciumorganischen Verbindungen aus Abwasser |
DE102013201851A1 (de) * | 2013-02-05 | 2014-08-21 | Wacker Chemie Ag | Hydrolyse von Organochlorsilanen im Rohrbündelreaktor |
JP7023511B2 (ja) * | 2018-06-28 | 2022-02-22 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 環状シロキサン化合物の製造方法、及び環状シロキサン化合物 |
CN114984879B (zh) * | 2022-05-26 | 2024-03-01 | 中国化学赛鼎宁波工程有限公司 | 一种有机硅浆渣的处理系统及方法 |
CN114989435B (zh) * | 2022-05-29 | 2023-05-30 | 云南能投硅材科技发展有限公司 | 一种稳定控制的二甲基二氯硅烷水解工艺 |
-
1992
- 1992-05-19 JP JP4151320A patent/JP3055307B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05320179A (ja) | 1993-12-03 |
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