JP3054283B2 - 導電性人工皮革 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は導電性人工皮革に係り、
更に詳しくは、可燃物や電子部品等を取り扱う際に有用
なウレタン樹脂製導電性白色人工皮革に関する。

【０００２】

【従来の技術】可燃物や電子部品等を取り扱う作業場に
おいて、作業者の静電気帯電が、事故，災害あるいは生
産障害の原因となることがある。このような問題を解決
するためには、カーボンブラックをウレタン樹脂に配合
して不織布に含浸させた人工皮革を用いること等が考え
られる。しかしこの方法では、白色又は淡色の素材を製
造することができなかった。

【０００３】そこで、酸化チタンを核としその表面を導
電層で被覆した白色導電性微粉末等を用いる方法が開発
された。

【０００４】ところが、満足のいく導電性を付与するた
めには、白色導電性微粉末を大量に添加する必要があ
り、その結果、靴等の用途に必要とされる物性値（耐屈
曲性等）をクリアーできなくなるという問題があった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的と
するところは、耐屈曲性等の物性に優れた、白色又は淡
色の導電性人工皮革を提供するにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上述の目的は、白色導電
性酸化チタン微粉末及びアニオン系界面活性剤を添加し
たことを特徴とするウレタン樹脂製導電性人工皮革によ
って達成される。

【０００７】本発明において用いられる白色導電性酸化
チタン微粉末とは、酸化チタンを核としその表面を導電
層で被覆したものであり、導電層としては、例えば酸化
銅，酸化銀，酸化亜鉛，酸化カドミウム，酸化錫，酸化
鉛，酸化マンガン等が挙げられる。中でも十分な導電性
を有し、かつ着色が少ないという点から、酸化錫が好ま
しい。

【０００８】本発明の導電性人工皮革への白色導電性微
粉末の配合量は、特に限定されるものではないが、湿式
製膜による場合は、導電性人工皮革に含浸させる樹脂全
体を１００として、また、乾式製膜や湿乾併用製膜の場
合には、表層に用いられる樹脂全体を１００として、い
ずれも３５〜４５重量％が好ましい。

【０００９】本発明において用いられるアニオン系界面
活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ，
エトキシレート−α−ナフトールスルホン酸，アルキル
アリルスルホン酸ソーダ等のスルホン系芳香族化合物
や、ジアルキルスルホコハク酸エステル等のスルホン系
脂肪族化合物等が挙げられるが、スルホン系芳香族化合
物が、少量で導電性効果が得られるという点で好まし
く、なかでもエトキシレート−α−ナフトールスルホン
酸が特に好ましい。

【００１０】本発明の導電性人工皮革へのアニオン系界
面活性剤の配合量は、特に限定されるものではないが、
白色導電性微粉末１００重量部に対して０．５〜５重量
部が好ましい。

【００１１】本発明において用いられるポリエチレング
リコールとしては、例えば分子量２００〜２００００の
ものが挙げられ、分子量の大きい（Ｍ＝５０００〜１０
０００）フレーク状のものが好ましい。

【００１２】本発明の導電性人工皮革へのポリエチレン
グリコールの配合量は、特に限定されるものではない
が、白色導電性微粉末１００重量部に対して０．５〜５
重量部が好ましい。

【００１３】本発明の導電性人工皮革へ白色導電性微粉
末及びアニオン系界面活性剤又はポリエチレングリコー
ルを配合するには、基材層である不織布に含浸するウレ
タン樹脂液に、或いは不織布に貼付するウレタン樹脂製
のフィルム層中に、予め混合するだけでよい。

【００１４】本発明の導電性人工皮革の製造方法は、特
に限定されるものではなく、例えば湿式法，乾式法，湿
乾併用法等の、通常のウレタン樹脂製人工皮革の製造方
法でよいが、添加する白色導電性微粉末の量が少なくて
すみ、また該微粉末の添加が後加工で手軽に行えるとい
う点で、乾式法または湿乾併用法が好ましい。

【００１５】

【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、それに先立って、導電性人工皮革の物性（導
電性，耐屈曲性）の評価方法を記載する。

【００１６】（導電性評価方法） 摩擦帯電性；ＪＩＳ Ｌ １０９４−１９８８ （２５
℃，３３％ＲＨ，摩擦布：ウール） 表面抵抗；タケダ理研工業製エレクトロメーターによっ
て測定した（表面電極の内円の外径・５cm，表面の環状
電極の内径・７cm）。

【００１７】（耐屈曲性評価方法） ＪＩＳ Ｋ ６５４５−１９７０ （４級以下を×，
５級以上を○として評価した。）

【００１８】実施例１〜４，比較例１〜２ 不織布に銀面層をつけた基材（鐘紡製Ｂ１４９９）に、
ドライラミネート（乾式法）を行うことによって接着層
を施し、その上に下記表１に示す添加物を含むウレタン
樹脂からなる表面層を形成させた。得られた人工皮革に
ついて、上述の評価を行い、結果を表２に示す。

【００１９】尚、表中の値は、重量部を表す。但し、ア
ニオン系界面活性剤及びポリエチレングリコールの値
は、酸化チタン微粉末を１００とした時の値である。

【００２０】

【表１】

【００２１】

【表２】

【００２２】表２から分かる通り、本発明の人工皮革
は、導電性及び耐屈曲性の両方を満足するものであっ
た。また、実施例の人工皮革は、いずれも白色であっ
た。尚、実施例１〜４及び比較例２の表面抵抗は、電流
が測定不能（針が振り切れた。／測定器の上限は３×１
０⁵ ）であったため、算出できなかった。このことは、
これらの人工皮革の表面抵抗が小さいことを表す。

【００２３】実施例５ 実施例１にならって、鐘紡製基材４１３０２を用いて湿
乾併用法にて、人工皮革を製造した。この人工皮革も導
電性及び耐屈曲性の両方を満足しており、かつ白色であ
った。

【００２４】

【発明の効果】本発明の人工皮革は、導電性に優れてい
るので、可燃物や電子部品等を取り扱う作業場におい
て、静電気が原因で起こる事故，災害あるいは生産障害
等を防止することができる。また、白色又は淡色の人工
皮革に適しており、更に耐屈曲性等の物性にも優れてい
る。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 白色導電性酸化チタン微粉末及びアニオ
   ン系界面活性剤を添加したことを特徴とするウレタン樹
   脂製導電性人工皮革。
2. 【請求項２】 白色導電性酸化チタン微粉末及びポリエ
   チレングリコールを添加したことを特徴とするウレタン
   樹脂製導電性人工皮革。