JP3053903U - 回転式廃水浄化装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本考案の目的は、産業上排出される廃水を効率
的に浄化する装置を提供すると共に廃水中の油分を連続
かつ安定的の浄化する方法を提供することである。 【構成】本校案の回転式廃水浄化装置は、従来に無かっ
た高い酸素の取り込みと、浄化廃液の混合とを可能にす
るために、微生物が着床刷るためのろ床を、連続ではな
く、所定の長さで切り、廃液および空気の循環を高率良
くしたものである。また、油分が含まれた、廃水を油水
分離−除去−処分という従来の工程を経ずに、油水分離
槽を利用して浄化する新しい方法を確立した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案の廃水浄化装置は、食品産業、化学工業等産業廃水のほか一般生活廃水 の浄化に利用される。

【０００２】

【従来の技術】

従来の回転ろ床タイプの廃水処理装置は回転円盤タイプと回転軸中心の渦巻き タイプとがあり、後者については本考案者による実用新案の出願もなされている （出願番号：実願平−４１５１６）。廃水浄化の効率が最も良いと考えた渦巻き タイプも実際に運転を重ねて見ると、幾つかの欠点が発見された。その欠点の一 つは、廃水の循環効率が思ったほど良くないこと、これは空気の取り込み効率が それほど良くないことをも意味するものである。今一つの欠点は、巻き上げたろ 床中の廃水の重量のために、ろ床の間隔を一定に保つことが困難になり、間隔を 一定に保つため、、構造が複雑化することである。

【０００３】 一方、廃水処理現場では油分の良い処理方法が無く、相変わらず効率の悪い油 水分離装置で分離した油分を、別途処分している状態にある。それは油分が曝気 槽に入ると、活性汚泥を浮上させて固液分離を困難にするからである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案が解決しようとする課題は２つある。１つは、前記の渦巻きタイプの廃 水処理装置の欠点の改良、今１つは、廃水処理現場での油分の新しい処理方法を 従来に無かった考え方で創りだし提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

前記の渦巻きタイプの廃水処理装置の欠点の改良に、２つの手段を考案した。 １つは、図１、図４に示したように、回転するろ床自体での被処理液への空気の 取り込み量を増加させるために、円筒内及び巻き上げたろ床の１巻き毎に最低１ 箇所以上（ｄ）ｃｍの間隙を設けることで解決をした。巻き上げたろ床の間隙の 安定保持の問題は、ろ床の１巻き毎に最低１箇所以上（ｄ）ｃｍの間隙を設ける ことで、ろ床にかかる廃液の重量が減じたことにより、構造的な複雑さが解消し たが、更にこの問題解決の有効な手段として、ろ床を図１、図２に示したように 径の異なる円筒状のものにすることを考案したのである。

【０００６】 廃水処理現場での油分の処理の問題は、本考案の回転ろ床タイプの廃水浄化装 置に油分を分解する微生物を着床させたものを用い、従来の油水分離装置の代り に設置することにより（図６）、安定的に油分を分解浄化することで解決した。 本考案者はかって、ポリビニールアルコールを含む廃水をシュードモナス・ボレ オポリスを主微生物とする活性汚泥により完全分解する方法の開発を企画し、実 用化に成功したことがあるが、本考案の基本は、特別な機能をもつ微生物の安定 な成育の場を、本考案による回転ろ床において創り出したことである。

【０００７】

【作用】

先ず、本考案の回転式廃水浄化装置の作用について説明をする。本装置の考案 の発想は、川の水の自然浄化に学んだものである。特に、川底に大きな段差を設 けて水を小さな滝のように落下させることにより、水中の溶存酸素量を増し更に 混合の効果をも持たせているという、その作用を本考案で装置化に成功したもの である。ここに従来ある渦巻きタイプの回転式廃水処理装置との根本的な差があ る。本考案の回転式廃水浄化装置は、ろ床に（ｄ）ｃｍの間隙を多数設けること により、被浄化水の循環の度合いが増し、溶存酸素量が増加し、ろ床に生息する 微生物による浄化効果が良くなるという作用がその特徴の一つである。

【０００８】 今一つの、本考案の作用は、廃水中の油脂の浄化である。図６に示したように 従来の廃水処理システムの中の油水分離装置に本考案の回転式廃水浄化装置を設 置し、そのろ床に油分分解能の高い、シュードモナス属、フザリューム属、アス ペルギルス属、ムコール属、リゾプス属、アクロモバクター属等を着床させて、 油分を長期に亘り安定的に分解、浄化することである。此れは、本考案の回転式 廃水浄化装置が廃水中から浮上する油分をキャッチする機能を有しているためで あり、また、着床した油分分解能の高い微生物種が長期間安定的にろ床において 成育するためである。これは従来存在しなかった油分の浄化方法である。

【０００９】

【実施例】

１．油分分解能の高い微生物として、シュードモナス属、アスペルギルス属、リ ゾプス属の微生物を油を含む人工廃液で混合培養したものを、ろ床に、その見掛 けの表面積（不織布を一枚の板と考えて、その表面積を測定したもの）１平方メ ートル当たり、乾物重換算で３５０グラム着床させた、見掛けの表面積としては １平方メートル、槽の容量が１０リットルの、ベンチスケールの回転式廃水浄化 装置Ａ（請求項１タイプ）と同じ表面積、槽容量をもつ回転式廃水浄化装置Ｂ（ 請求項２タイプ）を使用し、ＣＯＤ １５００ ｐｐｍ（上白糖による ＣＯＤ １０００ ｐｐｍ、天ぷら油による ＣＯＤ ５００ ｐｐｍもの）の人工廃水 を、１日当たり１０リットル連続供給して、浄化処理を行った。系のｐＨは、０ ．０１規定のカセイソーダ水溶液で、５．５から７．５の範囲に保った。また、 回転式廃水浄化装置の回転数は、毎分２０回転で運転を行った。９２日間にわた る連続運転の結果は、処理水のＣＯＤ値の最大が ８３ ｐｐｍ、最小値が ２ １ ｐｐｍ、平均値は ４７ ｐｐｍであった。なお、系の水温は摂氏２２度か ら２８度を保ったが、その間の溶存酸素量の最低値は ２．２ ｐｐｍであった 。この溶存酸素量値は、単なる不織布の巻き上げタイプの回転式廃水処理装置の 値より ２．０ｐｐｍ高く、油分の安定した分解能を示すものである。

【００１０】 ２．大阪府内のＴ給食センターでは、１日当たり３５立方メートルの廃水を処理 しているが、油脂分は、予め油水分離槽で分離し、作業員が除去を行っている。 除去した油脂区分には、どうしても水分も入ってきて、その量は１日に８０リッ トルに達する。この油水分離槽に、予め、実施例１で使ったものと同じ、混合微 生物を、見掛けの表面積１平方メートル当たり乾物重で３００グラム着床させた 、見掛けの表面積が、５６平方メートルある回転式廃水処理装置Ｂを設置し、毎 分分１５回転の回転速度で、１っか月間連続運転を行ったが、その間、油水分離 槽には油脂分の浮上蓄積が見られなくなった。また、既設の廃水処理装置部分へ の油脂分の混入は無く、油水分離槽内で浄化されたことを示すものである。

【００１１】

【考案の効果】

本考案の効果は、実施例で示したように、従来の不織布巻き上げタイプの回転 式廃水処理装置では、実現し得なかった高溶存酸素量を達成すると共に、従来の 廃水中の油分の浄化を安定して連続的に行うことにより、廃水中の油分の分離除 去という作業を無くしたことである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案請求項１の回転式廃水浄化装置のろ床単
位の斜視図

【図２】本校案請求項１の回転式廃水浄化装置のろ床部
の斜視図

【図３】本校案請求項１の回転式廃水浄化装置の使用状
態を示す斜視図

【図４】本校案請求項２の回転式廃水浄化装置のろ床部
の斜視図

【図５】本校案請求項２の回転式廃水浄化装置の使用状
態を示す垂直断面図

【図６】油水分離装置での本考案の回転式廃水浄化装置
の使用垂直断面図

【符号の説明】

１ 金属またはプラスチック製の網または多孔体 ２ 合成高分子不織布 ３ 中心軸 ４ ろ床固定金具 ５ ろ床 ６ 駆動源 ７ セパレーター

【手続補正書】

【提出日】平成９年７月１８日

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】請求項３

【補正内容】

【請求項３】微生物として、油分分解能の高い、シュー
ドモナス属、フザリューム属、アスペルギルス属、ムコ
ール属、リゾプス属、アクロモバクター属等を回転する
ろ床に着床させて、従来の油分分離装置にかわって、油
分を含む廃水を安定的に連続浄化することを特徴とする
請求項１及び請求項２の回転式廃水浄化装置。 ─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成９年１２月２６日

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】実用新案登録請求の範囲

【補正方法】変更

【補正内容】

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項３】微生物として、油分解能の高いシュードモ
ナス属、フザリューム属、アスペルギルス属、ムコール
属、リゾプス属、アクロモバクター続等を回転するろ床
に着床させて、従来の油分分離装置に代わって油分を含
む廃水を、安定的に連続浄化することを特徴とする請求
項１又は２記載の回転式廃水浄化装置。

【手続補正書】

【提出日】平成１０年６月３日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】実用新案登録請求の範囲

【補正方法】変更

【補正内容】

【実用新案登録請求の範囲】

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】内径（ａ）ｃｍ、外径（ａ＋２ｂ）ｃｍ、
   長さ（ｃ）ｃｍの金属又はプラスチック製の網又は多孔
   体の筒状物の中に、長さ（ｃ）ｃｍ、厚さ（ｂ）ｃｍ、
   幅が（３．１４ａ−ｄ）ｃｍの合成高分子不織布を挿入
   固定したもの（図１）を微生物のろ床単位として、径の
   異なるろ床を複数単位中心軸に固定し（図２）、ろ床の
   約４０パーセントを廃水中に入れ、中心軸を回転させて
   廃水の浄化を行う装置（図３）において、ａの値とし
   て、１５ｃｍ＜ａ＜６００ｃｍ、ｂの値として、１ｃｍ
   ＜ｂ＜５ｃｍ、ｃの値として、５０ｃｍ＜ｃ＜３００ｃ
   ｍ、ｄの値として５ｃｍ＜ｄ＜１０ｃｍ、単位ろ床間の
   間隙ｅの値として、２ｃｍ＜ｅ＜８ｃｍの範囲にあるこ
   とを特徴とする回転式廃水浄化装置。
2. 【請求項２】幅が（ｃ）ｃｍの金属又はプラスチック製
   の網または多孔体二枚の間に、厚さが（ｂ）ｃｍ、幅が
   （ｃ）ｃｍ、長さが（ｆ）ｃｍの合成高分子不織布を
   （ｄ）ｃｍの間隔をおいて挟み込み固定したもの（図
   ４）の端を、中心軸に固定し、中心軸から（ｅ）ｃｍの
   間隙をもって巻き上げ、最終的に巻き上げたものの径が
   （ａ）ｃｍになるものを微生物のろ床とし、ろ床の約４
   ０パーセントを廃水中に入れ中心軸を回転させて廃水の
   浄化を行う装置（図５）において、ａの値として、１５
   ｃｍ＜ａ＜６００ｃｍ，ｂの値として、１ｃｍ＜ｂ＜５
   ｃｍ、ｃの値として５０ｃｍ＜ｃ＜３００ｃｍ、ｄの値
   として、５ｃｍ＜ｄ＜１０ｃｍ、ｅの値として、２ｃｍ
   ＜ｅ＜８ｃｍ、ｆの値として、４５ｃｍ＜ｆ＜１５０ｃ
   ｍの範囲にあることを特徴とする回転式廃水浄化装置。
3. 【請求項３】微生物として、油分分解能の高い、シュー
   ドモナス属、フザリューム属、アスペルギルス属、ムコ
   ール属、リゾプス属、アクロモバクター属等を回転する
   ろ床に着床させて、従来の油水分離装置にかわって（図
   ６）油分を含む廃水を安定的に連続浄化することを特徴
   とする請求項１及び請求項２の回転式廃水浄化装置。