JP3053679B2 - 外壁の水切り構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、住宅等の建築物の上
下に設置される外壁の間を水切り板によって防水する外
壁の水切り構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、建物の工業生産化を図る一方式
として、建物ユニット方式が知られている。この方式
は、箱型をなす建物ユニットを工場で予め組み立ててお
き、その複数個を建築現場に運び、互いに接合して建物
とするものである。このユニット住宅では、上階建物ユ
ニットの上側外壁と、下階建物ユニットの下側外壁との
間に隙間が開くため、この上側外壁と下側外壁との間
に、水切り板を配設して、その間隙からの外壁内への水
の侵入を防止するようにしている。

【０００３】従来の外壁の水切り構造としては、例えば
図４および図５に示すようなものがある。すなわち、図
中符号１は上階建物ユニットで、下階建物ユニット２の
上に積み重ねられて設置されている。

【０００４】この上階建物ユニット１には上側外壁３
が、下階建物ユニット２には下側外壁４がそれぞれ取り
付けられ、この上側外壁３，下側外壁４との間隙が、水
切り板５等により防水されるようになっている。

【０００５】詳しくは、この水切り板５は、上側外壁３
の下縁部３ａの内側に取り付けられ、この両水切り板５
の端縁部５ａにシーリング部材６を介して連結板７が貼
り付けられて、両水切り板５が連続されるようになって
いる。この水切り板５等は、クランク形状に折曲され、
下縁部が下側外壁４の上縁部４ａの外側を覆うようにな
っている。

【０００６】また、両外壁３，４組付け状態では、隣接
する上側外壁３，３同士，下側外壁４，４同士の間に間
隙Ｃが生じるため、各端面３ｂ，４ｂ間に図示省略のガ
スケットを充填したり、その間隙Ｃをモールで覆うよう
にしている。

【０００７】かかるユニット住宅の建付けについて説明
すると、予め工場で、各建物ユニット１，２に各外壁
３，４が取り付けられていると共に、水切り板５が上側
外壁３の下縁部３ａに取り付けられいる。これらを建築
現場に運び、下階建物ユニット２上に上階建物ユニット
１を載せた後、隣接する水切り板５の端縁部５ａ同士を
連結板７にて連続させるようにしている。

【０００８】なお、この種のものとしては例えば特開昭
６３ー１３８０３９号公報に記載されたようなものがあ
る。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のものにあっては、水平方向に隣接する上側外
壁３，３等の間隙Ｃは約１ｃｍ〜２ｃｍ程度であるた
め、水切り板５の端縁部５ａが上側外壁３の端面３ｂか
ら突出する距離は、最大限、その間隔の半分であり、非
常に短い。従って、この水切り板５の端縁部５ａと連結
板７との重ね代が狭くなることから、接着作業が面倒で
ある。また、各外壁３，４の端面３ｂ，４ｂ間にはシー
ル材を充分に充填することはできるが、上側外壁３と下
側外壁４との間、つまり水切り板５が配設されている部
分では、シール材を各端面３ｂ，４ｂ間と同様に充填す
ることはできず、上記重ね代が狭いことと相俟って、連
結板７と水切り板５との間等から水が侵入する虞があ
る。また、各外壁３，４間の変位に対して水切り板５等
が破断を生じ易い、という問題がある。

【００１０】そこで、この発明は、組付け作業性が良好
で、防水性能を確保でき、しかも、変位に対して破断を
生じ難い外壁の水切り構造を提供することを課題として
いる。

【００１１】

【課題を解決するための手段】この発明は、かかる課題
に着目してなされたもので、上下に設置される外壁の間
に、水平方向に沿い前記外壁の内側への水の侵入を防止
する水切り板が配設された外壁の水切り構造において、
前記水切り板の端部に、略直角に折曲するリブを形成
し、該隣接するリブ間にシーリング部材を充填した外壁
の水切り構造としたことを特徴としている。

【００１２】

【作 用】かかる手段によれば、隣接するリブ間にシー
リング部材を充填するようにしているため、従来のよう
に連結板を配設するものと比較すると、作業性が良好で
ある。また、隣接するリブ間に充分シーリング部材を充
填できるので、この間を確実にシールすることができる
と共に、各外壁等の相対移動に対して隣接する水切り板
の破断も生じ難くなる。

【００１３】

【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。

【００１４】図１ないし図３は、この発明の一実施例を
示すものである。従来例と同一の部分については同一符
号を付して説明する。

【００１５】まず構成を説明すると、図１中符号３は上
側外壁、符号４は下側外壁で、この上側外壁３と下側外
壁４との間に長板形状の水切り板１１が配設されてい
る。この水切り板１１は、上下方向に沿う断面がクラン
ク形状に折曲され、両端部には、外側に略直角に折曲す
るリブ１１ａが形成されている。このリブ１１ａは、図
２に示すように、幅Ｈが約２ｃｍ程度に設定され、隣接
するリブ１１ａ間にシーリング部材１２とバックアップ
部材１３が充填されている。

【００１６】この水切り板１１の上縁部１１ｂが上側外
壁３の下縁部３ａの裏面側に取り付けられ、下縁部１１
ｃで下側外壁４の上縁部４ａが覆われるようになってい
る。なお、この実施例では、下側外壁４と水切り板１１
との間に間隙が生じているが、シーリング部材を用いて
シールすることができることは言うまでもない。

【００１７】また、両外壁３，４組付け状態では、隣接
する上側外壁３，３同士，下側外壁４，４同士の間に間
隙Ｃが生じるため、各端面３ｂ，４ｂ間に図示省略のガ
スケットを充填したり、その間をモールで覆うようにし
ている。

【００１８】次に、かかるユニット住宅の建付けについ
て説明すると、予め工場で、各建物ユニット１，２に各
外壁３，４が取り付けられていると共に、水切り板１１
が上側外壁３の下縁部３ａに取り付けられいる。これら
を建築現場に運び、下階建物ユニット２上に上階建物ユ
ニット１を載せた後、隣接する水切り板１１のリブ１１
ａ間にバックアップ部材１３およびシーリング部材１２
を充填すると共に、上側外壁３同士，下側外壁４同士の
間に間隙Ｃが生じるため、各端面３ｂ，４ｂ間に図示省
略のガスケットを充填したり、この間隙Ｃをモールで覆
うようにしている。

【００１９】このようにすれば、両水切り板１１の間に
シーリング部材１２等を充分に充填できるため、防水性
を確保できると共に、各外壁３，３等の相対移動に対し
て隣接する水切り板１１，１１の破断も生じ難くなる。

【００２０】なお、シーリング部材１２としては、非加
硫ブチルゴム，ガスケット（ＥＰＤＭ等の成形品）やウ
レタン発泡体等を充填することもできる。

【００２１】以上、この発明の実施例を図面に基づいて
説明してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られる
ものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計
変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、この実
施例ではユニット住宅の外壁にこの発明を適用したが、
これに限らず、外壁間に隙間が生じるようなものであれ
ば他の建築物にも適用できることは勿論である。

【００２２】

【発明の効果】以上説明してきたように、この発明によ
れば、水切り板の端部に、略直角に折曲するリブを形成
し、隣接するリブ間にシーリング部材を充填することに
より、組付け作業性が良好で、防水性能を確保でき、し
かも、変位に対して破断を生じ難い外壁の水切り構造を
提供することができる、という実用上有益な効果を発揮
する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の外壁の水切り構造の一実施例を示す
斜視図である。

【図２】同一実施例の水切り板を示す斜視図である。

【図３】同一実施例の水切り部材とシーリング部材等を
示す斜視図である。

【図４】従来例を示すユニット住宅の鉛直方向に沿う断
面図である。

【図５】同従来例を示す図１に相当する斜視図である。

【符号の説明】

３ 上側外壁 ４ 下側外壁 11 水切り板 11a リブ 12 シーリング部材

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】上下に設置される外壁の間に、水平方向に
   沿い前記外壁の内側への水の侵入を防止する水切り板が
   配設された外壁の水切り構造において、 前記水切り板の端部に、略直角に折曲するリブを形成
   し、該隣接するリブ間にシーリング部材を充填したこと
   を特徴とする外壁の水切り構造。