JP3049358B2 - 自動二輪車の密閉型バッテリー取付構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、ヘッドパイプの周囲を前カバーと後カバー
及びインナーフェンダーで囲んで成る自動二輪車の密閉
型バッテリーの取付構造に関する。

（従来の技術） 従来、自動二輪車に搭載するバッテリーの取り付けに
際しては電解液が漏れないようバッテリーが水平に位置
するよう固定することが必要であった。

しかし、密閉型バッテリーを搭載することにより、バ
ッテリーを必ずしも水平に取り付ける必要はなくなり、
このことによって密閉型バッテリーを車体前部に取り付
ける設計が比較的容易となった。このような設計は前輪
側の分布荷重を増すのに有効であり、例えば特開昭59−
114178号公報によって開示されている。即ち、バッテリ
ーをヘッドパイプ上部の側方に配設し、以て前輪側の分
布荷重を適切なものとしている。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら、上記従来の取付構造においては、バッ
テリーを専用の取付部品を用いてヘッドパイプの上部側
方に取り付けていたため、前後カバー全体が大型化する
とともに、バッテリー取付構造が複雑化し、部品点数が
増えるという問題があった。

本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的
とする処は、ヘッドパイプを囲む前後カバーの大型化を
招くことなく、既存の部品を利用して密閉型バッテリー
を構造単純に取り付けて部品点数の削減を図ることがで
きる自動二輪車の密閉型バッテリー取付構造を提供する
ことにある。

（問題を解決するための手段） 上記目的を達成するため、本発明は、ヘッドパイプを
前カバーと後カバーで囲み、これらの前カバーと後カバ
ー及び車体前方に向かって斜め上方に傾斜するインナー
フェンダーによって形成される側面視略三角形状の空間
内に密閉型バッテリーを前記ヘッドパイプと略平行に配
設して成る自動二輪車の前記密閉型バッテリーの取付構
造において、 前記前カバーを前記ヘッドパイプよりも前方に突出す
る上下の支持部材で前記ヘッドパイプに固定し、上方の
支持部材には警笛を取り付け、下方の支持部材には、前
記インナーフェンダーのフロントフォークブラケットよ
りも上方で且つ前記ヘッドパイプよりも車体前方に延出
する前端部を該前端部の左右に立設された左右一対のブ
ラケットを介して取り付け、前記左右一対のブラケット
の内側に、左右側壁と後壁より成り前方が開放された断
面コの字状のバッテリー収納部を前記インナーフェンダ
ーの前端部に一体に形成し、該バッテリー収納部に前記
密閉型バッテリーを前記ヘッドパイプの前面に沿わせて
配置したことを特徴とする。

（作用） 本発明によれば、自動二輪車の前カバーと後カバー及
びインナーフェンダーによって形成される側面視略三角
形状の空間においてはヘッドパイプの前方に比較的大き
な空間が形成されるが、この比較的大きな空間に密閉型
バッテリーを配置したため、同じくヘッドパイプの前方
に配された警笛等の電装部品への配線が楽に行なわれる
とともに、ヘッドパイプを囲む前カバーと後カバーの大
型化が防がれる。

又、インナーフェンダーの前端部は前カバーをヘッド
パイプに取り付けるため支持部材を利用して取り付けら
れ、このインナーフェンダーの前端部に一体に形成され
たバッテリー収納部に密閉型バッテリーを取り付けるよ
うにしたため、既存の支持部材やインナーフェンダーそ
のものを利用して密閉型バッテリーを取り付けることが
でき、その取付構造が簡略化するとともに、部品点数の
削減が図られる。

（実施例） 以下に本発明の実施例を添付図面に基づいて説明す
る。

第１図は本発明に係る密閉型バッテリー取付構造を備
えたスクータ型自動二輪車の側面図、第２図は同スクー
タ型自動二輪車の前部の側面図、第３図は２図のIII−I
II線断面図、第４図はインナーフェンダーのバッテリー
取付部の正面図である。

第１図において、２は車体前方上部に位置するヘッド
パイプであり、該ヘッドパイプ２にはステアリング軸が
回動自在に挿通しており、このステアリング軸の上端に
はハンドル３が結着されている。そして、ステアリング
軸の下部にはブラケット2a（第２図参照）を介してフロ
ントフォーク４の上端部が取り付けられており、このフ
ロントフォーク４の下端部には前輪５が回転自在に支承
されている。

そして、前記ヘッドパイプ２からはダウンチューブ１
が車体後方に向かって斜め下方に延設されている。

又、第１図において、22は車体カバーであり、16は後
述するフレーム部材20に不図示の連結部材を介して連結
されたシートであり、該シート16及びフレーム部材20の
内部には物入れ部が形成され、この物入れ部にはヘルメ
ット26等が収納される。

そして、上記物入れ部の下方には駆動ユニット17がス
プリング部材19と前記フレーム部材20とを介して本体に
吊設されており、駆動ユニット17の後部には駆動輪であ
る後輪21が回転自在に支持されている。

ところで、前記ヘッドパイプ２の前方には密閉型バッ
テリー６が該ヘッドパイプ２に対し略平行に（即ち、密
閉型バッテリー６の高さ方向がヘッドパイプ２と平
行）、且つ、近接して設置されている。尚、密閉型バッ
テリー６を傾斜して設けても、密閉型であるが故に電解
液の漏れは生じない。尚、７は前カバー、18は後カバー
であり、これらによってヘッドパイプ２や密閉型バッテ
リー６等が覆い隠されている。

次に、本発明に係る密閉型バッテリー取付構造の一実
施例を第２図〜第４図に基づいて詳述する。

第２図に示すように、ヘッドパイプ２の下部には車体
後方から車体前方に向かって斜め上方に傾斜するインナ
ーフェンダー８が設けられており、該インナーフェンダ
ー８の前端部8aはフロントフォークブラケット2aよりも
上方で且つヘッドパイプ２よりも車体前方に延出してい
る。そして、このインナーフェンダー８の前端部8aはヘ
ットパイプ２に、不図示の後端部は車体フレームに固定
されており、該インナーフェンダー８は前輪５に対して
マッドガードとしても機能している。尚、前述のよう
に、ヘッドパイプ２内には不図示のステアリング軸が回
動自在に設けられており、一対のフロントフォーク４に
ブラケット2aを介して結合されている。従って、前記ハ
ンドル３、ステアリング軸及びフロントフォーク４は一
体となって回動して前輪５を操舵する。

又、第４図に示すように、インナーフェンダー８の前
端部8aには左右一対のブラケット12,12が一体に立設さ
れており、これらの内側には棚状のバッテリー収納部10
が一体に形成されている。そして、このバッテリー収納
部10には前記密閉型バッテリー６が収納されて取り付け
られている。

上記バッテリー収納部10の上部にはボルト孔を有する
ブラケット10aが形成されており、該ブラケット10aはヘ
ッドパイプ２の前面に溶着された金具11にボルト締めさ
れている。

又、インナーフェンダー８の前端部8aに立設された左
右一体のブラケット12,12はリブ12a,12aによって補強さ
れており、これらのブラケット12,12にもボルト孔が穿
設されている。そして、ブラケット12,12は前記ヘッド
パイプ２に溶着されたコの字状の支持部材13にボルト締
めされている。該支持部材13は、その前端部にて前記前
カバー７の内面にねじ止めされたカバー固定部材14に固
着されており、従って、該支持部材13は密閉型バッテリ
ー６を支持するのみでなく、前カバー７をもヘッドパイ
プ２に対し固定支持している。

更に、ヘッドパイプ２の上部には支持部材27が溶着さ
れており、該支持部材27も同様に他のカバー固定部材1
4′,14″を介して前後カバー7,18をヘッドパイプ２に対
し固定支持している。尚、支持部材13は第４図において
は図示が省略されている。又、第２図に示すように、支
持部材27には警笛15がボルト締めされて固定されてい
る。

次に、上記構成のバッテリー取付構造の作用を説明す
る。

密閉型バッテリー６は、前記バッテリー収納部10内に
設置されるとヘッドパイプ２と略平行となるよう傾斜
し、不図示のラバーバンド等によって前記バッテリー収
納部10内に固持される。

而して、本実施例においては、自動二輪車の前カバー
７と後カバー18及びインナーフェンダー８によって形成
される側面視略三角形状の空間においてはヘッドパイプ
２の前方に比較的大きな空間が形成されるが、この比較
的大きな空間に密閉型バッテリー６を配置したため、同
じくヘッドパイプ２の前方に配された警笛15等の電装部
品への配線が楽に行なわれるとともに、ヘッドパイプ２
を囲む前カバー７と後カバー18の大型化が防がれる。

又、インナーフェンダー８の前端部8aは前カバー６を
ヘッドパイプ２に取り付けるため支持部材13を利用して
取り付けられ、このインナーフェンダー８の前端部8aに
一体に形成されたバッテリー収納部10に密閉型バッテリ
ー６を取り付けるようにしたため、既存の支持部材13や
インナーフェンダー８そのものを利用して密閉型バッテ
リー６を取り付けることができ、その取付構造が簡略化
するとともに、部品点数の削減が図られる。

更に、本実施例においては、インナーフェンダー８、
バッテリー収納部10、ブラケット10a、ブラケット12,1
2、リブ12a,12a等は全て一体に成形された樹脂で構成さ
れているため、これらの組立作業が単純化されるのみで
なく、これらは緩衝作用を有するために緩衝部材が不要
となる。

ところで、第５図は第１図に示した駆動ユニット17、
スプリング部材19、フレーム部材20等より成る駆動部の
分解拡大斜視図である。

図示のように、スプリング部材19は、その前端部にて
部材28を介して車体フレームに固定されている。該スプ
リング部材19は、後輪21の受ける衝撃を緩和するために
撓むよう構成されている。即ち、大きな衝撃を受けた場
合には第１図に２点鎖線19′にて示す位置にまで撓み、
ストッパー25により制止される。

ところが、前記スプリング部材19の４本の脚19a…
が、駆動ユニット17の上部に形成された突部17a,17a内
に挿通される２本のピン23,23により駆動ユニット17に
固定されるため、該スプリング部材19は、図に19bで示
した間隔が伸縮しにくい。

そこで、本実施例においては、前記突部17a,17a内に
穿設されたピン孔の内壁を十分な厚さを有したゴムブッ
シュ24、24で形成しており、このためスプリング部材19
の19bで示される部分の撓みによる伸縮もゴムブッシュ2
4,24により吸収され得ることとなり、衝撃の緩衝効率が
向上する。

（発明の効果） 以上の説明で明らかなように、本発明によれば、ヘッ
ドパイプを前カバーと後カバーで囲み、これらの前カバ
ーと後カバー及び車体前方に向かって斜め上方に傾斜す
るインナーフェンダーによって形成される側面視略三角
形状の空間内に密閉型バッテリーを前記ヘッドパイプの
略平行に配設して成る自動二輪車の前記密閉型バッテリ
ーの取付構造において、前記前カバーを前記ヘッドパイ
プよりも前方に突出する上下の支持部材で前記ヘッドパ
イプに固定し、上方の支持部材には警笛を取り付け、下
方の支持部材には、前記インナーフェンダーのフロント
フォークブラケットよりも上方で且つ前記ヘッドパイプ
よりも車体前方に延出する前端部を該前端部の左右に立
設された左右一対のブラケットを介して取り付け、前記
左右一対のブラケットの内側に、左右側壁と後壁より成
り前方が開放された断面コの字状のバッテリー収納部を
前記インナーフェンダーの前端部に一体に形成し、該バ
ッテリー収納部に前記密閉型バッテリーを前記ヘッドパ
イプの前面に沿わせて配置したため、ヘッドパイプを囲
む前後カバーの大型化を招くことなく、既存の部品を利
用して密閉型バッテリーを構造単純に取り付けて部品点
数の削減を図ることができるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る密閉型バッテリー取付構造を備え
たスクータ型自動二輪車の側面図、第２図は同スクータ
型自動二輪車前部の側面図、第３図は第２図のIII−III
線断面図、第４図はインナーフェンダーのバッテリー取
付部の正面図、第５図は駆動部の分解斜視図である。 ２……ヘッドパイプ、2a……フロントフォークブラケッ
ト、６……密閉型バッテリー、７……前カバー、８……
インナーフェンダー、8a……インナーフェンダーブラケ
ット、10……バッテリー収納部、12……ブラケット、1
3,27……支持部材、15……警笛、18……後カバー。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ヘッドパイプを前カバーと後カバーで囲
   み、これらの前カバーと後カバー及び車体前方に向かっ
   て斜め上方に傾斜するインナーフェンダーによって形成
   される側面視略三角形状の空間内に密閉型バッテリーを
   前記ヘッドパイプと略平行に配設して成る自動二輪車の
   前記密閉型バッテリーの取付構造において、 前記前カバーを前記ヘッドパイプよりも前方に突出する
   上下の支持部材で前記ヘッドパイプに固定し、上方の支
   持部材には警笛を取り付け、下方の支持部材には、前記
   インナーフェンダーのフロントフォークブラケットより
   も上方で且つ前記ヘッドパイプよりも車体前方に延出す
   る前端部を該前端部の左右に立設された左右一対のブラ
   ケットを介して取り付け、前記左右一対のブラケットの
   内側に、左右側壁と後壁より成り前方が開放された断面
   コの字状のバッテリー収納部を前記インナーフェンダー
   の前端部に一体に形成し、該バッテリー収納部に前記密
   閉型バッテリーを前記ヘッドパイプの前面に沿わせて配
   置したことを特徴とする自動二輪車の密閉型バッテリー
   の取付構造。