JP3048223B2 - 耐摩耗性、耐食性に優れたデフレクタロール - Google Patents
耐摩耗性、耐食性に優れたデフレクタロールInfo
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- JP3048223B2 JP3048223B2 JP8275891A JP27589196A JP3048223B2 JP 3048223 B2 JP3048223 B2 JP 3048223B2 JP 8275891 A JP8275891 A JP 8275891A JP 27589196 A JP27589196 A JP 27589196A JP 3048223 B2 JP3048223 B2 JP 3048223B2
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、スキンパス圧延ラ
インや、酸洗ライン等の金属帯を処理するプロセスライ
ンで通板する金属帯の方向を変えるためのデフレクタロ
ールに関し、とくに、耐摩耗性および耐食性を具備した
デフレクタロールに関する。
インや、酸洗ライン等の金属帯を処理するプロセスライ
ンで通板する金属帯の方向を変えるためのデフレクタロ
ールに関し、とくに、耐摩耗性および耐食性を具備した
デフレクタロールに関する。
【０００２】
【従来の技術】金属帯を処理するプロセスラインでは、
金属帯の方向を変えるためにデフレクタロールが用いら
れている。たとえば、連続焼鈍ライン、精整ラインのス
キンパスミル、酸洗ラインのテンションレベラー等で使
用されるデフレクタロールは金属帯に付与される張力が
高いことから、摩耗の進行が比較的速い。さらに、酸洗
ラインのテンションレベラーで使用されるデフレクタロ
ールは、このような高張力に加えて、腐食環境下で使用
されるため、摩耗および腐食が生じ易い。
金属帯の方向を変えるためにデフレクタロールが用いら
れている。たとえば、連続焼鈍ライン、精整ラインのス
キンパスミル、酸洗ラインのテンションレベラー等で使
用されるデフレクタロールは金属帯に付与される張力が
高いことから、摩耗の進行が比較的速い。さらに、酸洗
ラインのテンションレベラーで使用されるデフレクタロ
ールは、このような高張力に加えて、腐食環境下で使用
されるため、摩耗および腐食が生じ易い。
【０００３】このようなデフレクタロールには、従来、
耐摩耗性を付与する目的で、軸受鋼等の高硬度材料を使
用してきたが、腐食されやすく、ロールに肌あれが発生
し、このロール肌あれが金属帯に転写され、金属帯の製
品価値が著しく損なわれることから、腐食環境下での使
用には問題を残していた。このような問題に対し、例え
ば、特開平5-277728号公報には、ロール表層にHs65を超
える硬さとなる溶接金属を肉盛溶接し、その後溶体化処
理を含む熱処理により高硬度とする耐摩耗性および耐食
性に優れかつ耐ビードマーク性に優れた肉盛ロールの製
造方法が提案されている。しかしながら、この方法で
は、溶体化処理を含む２回以上の肉盛層の熱処理を行う
必要があり、製造工程的に煩雑であり、経済的にもコス
ト高となる要因を含んでおり、さらに、硬度増加のため
の熱処理により粒界にCr炭化物が析出してCr欠乏域が形
成され、耐食性の観点からは不利となるなど、依然とし
て問題を残していた。
耐摩耗性を付与する目的で、軸受鋼等の高硬度材料を使
用してきたが、腐食されやすく、ロールに肌あれが発生
し、このロール肌あれが金属帯に転写され、金属帯の製
品価値が著しく損なわれることから、腐食環境下での使
用には問題を残していた。このような問題に対し、例え
ば、特開平5-277728号公報には、ロール表層にHs65を超
える硬さとなる溶接金属を肉盛溶接し、その後溶体化処
理を含む熱処理により高硬度とする耐摩耗性および耐食
性に優れかつ耐ビードマーク性に優れた肉盛ロールの製
造方法が提案されている。しかしながら、この方法で
は、溶体化処理を含む２回以上の肉盛層の熱処理を行う
必要があり、製造工程的に煩雑であり、経済的にもコス
ト高となる要因を含んでおり、さらに、硬度増加のため
の熱処理により粒界にCr炭化物が析出してCr欠乏域が形
成され、耐食性の観点からは不利となるなど、依然とし
て問題を残していた。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
有利に解決し、耐食性および耐摩耗性に優れたデフレク
タロールを提供することを目的とする。
有利に解決し、耐食性および耐摩耗性に優れたデフレク
タロールを提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属帯を処理
するプロセスラインで金属帯の方向を変えるデフレクタ
ロールであって、該デフレクタロール表層に、重量％
で、Ni：35〜40％、Cr：10〜15％、および炭化物を合計
で45〜55％含み残部不純物からなる溶射被覆層が形成さ
れてなることを特徴とする耐摩耗性、耐食性に優れたデ
フレクタロールである。
するプロセスラインで金属帯の方向を変えるデフレクタ
ロールであって、該デフレクタロール表層に、重量％
で、Ni：35〜40％、Cr：10〜15％、および炭化物を合計
で45〜55％含み残部不純物からなる溶射被覆層が形成さ
れてなることを特徴とする耐摩耗性、耐食性に優れたデ
フレクタロールである。
【０００６】また、本発明では、前記溶射被覆層を再溶
融してもよい。
融してもよい。
【０００７】
【発明の実施の形態】本発明は、金属帯を処理するプロ
セスラインで金属帯の方向を変えるために用いられるデ
フレクタロールであり、とくに酸洗ラインのテンション
レベラー等の金属帯張力が高く、しかも腐食環境下で用
いられるデフレクタロールに適用して好適である。
セスラインで金属帯の方向を変えるために用いられるデ
フレクタロールであり、とくに酸洗ラインのテンション
レベラー等の金属帯張力が高く、しかも腐食環境下で用
いられるデフレクタロールに適用して好適である。
【０００８】本発明では、デフレクタロール表層に溶射
により、溶射被覆層を形成する。形成される溶射被覆層
は、重量％で、Ni：35〜40％、Cr：10〜15％、および炭
化物を合計で45〜55％含み残部不純物からなる溶射層で
ある。つぎに、溶射被覆層の組成の限定理由について説
明する。本発明の溶射被覆層は、Ni、Crからなる基地中
に炭化物が分散した組織を有している。基地組成は、N
i：35〜40％、Cr：10〜15％からなる。この組成範囲
は、ＳＵＳ３０４にくらべ孔食電位が約0.2 Ｖ貴であ
り、耐食性に優れている。
により、溶射被覆層を形成する。形成される溶射被覆層
は、重量％で、Ni：35〜40％、Cr：10〜15％、および炭
化物を合計で45〜55％含み残部不純物からなる溶射層で
ある。つぎに、溶射被覆層の組成の限定理由について説
明する。本発明の溶射被覆層は、Ni、Crからなる基地中
に炭化物が分散した組織を有している。基地組成は、N
i：35〜40％、Cr：10〜15％からなる。この組成範囲
は、ＳＵＳ３０４にくらべ孔食電位が約0.2 Ｖ貴であ
り、耐食性に優れている。
【０００９】Niが35％未満では、塩酸系の腐食に対する
耐食性が劣化し、40％を超えると、被覆層の硬さが低く
なりすぎるため、Niは、35〜40％の範囲とした。Crが、
10％未満では、水系の腐食に対する耐食性が劣化し、15
％を超えると、被覆層の硬さが低くなりすぎるため、Cr
は、10〜15％の範囲とした。基地中に分散する炭化物量
は、45〜55％とする。基地中に分散する炭化物は耐摩耗
性の点から1200Hv以上の硬さを有するのが好ましい。
耐食性が劣化し、40％を超えると、被覆層の硬さが低く
なりすぎるため、Niは、35〜40％の範囲とした。Crが、
10％未満では、水系の腐食に対する耐食性が劣化し、15
％を超えると、被覆層の硬さが低くなりすぎるため、Cr
は、10〜15％の範囲とした。基地中に分散する炭化物量
は、45〜55％とする。基地中に分散する炭化物は耐摩耗
性の点から1200Hv以上の硬さを有するのが好ましい。
【００１０】炭化物量が45％未満では、被覆層の硬さが
低く耐摩耗性が劣化し、55％を超えると被覆層の延性が
低下するため、炭化物量は、45〜55％の範囲とした。炭
化物は、単独、複合いずれも適用できる。炭化物として
は、延性のある面心立方晶あるいは斜方晶の結晶構造を
有するものが好ましく、WC、ZrC 、TiC 、NbC 、HfC、V
C、Cr3C2 などがあげられる。
低く耐摩耗性が劣化し、55％を超えると被覆層の延性が
低下するため、炭化物量は、45〜55％の範囲とした。炭
化物は、単独、複合いずれも適用できる。炭化物として
は、延性のある面心立方晶あるいは斜方晶の結晶構造を
有するものが好ましく、WC、ZrC 、TiC 、NbC 、HfC、V
C、Cr3C2 などがあげられる。
【００１１】本発明の溶射被覆層は、800Hv 以上の硬
さ、35kgf/mm2 以上の引張強さを有するのが、耐摩耗性
の点から好ましい。溶射に用いる材料は粉末が好まし
い。溶射後、被覆層がNi：35〜40％、Cr：10〜15％、お
よび炭化物を合計で45〜55％含み残部不純物となるよう
に粉末を添加し、溶射する。
さ、35kgf/mm2 以上の引張強さを有するのが、耐摩耗性
の点から好ましい。溶射に用いる材料は粉末が好まし
い。溶射後、被覆層がNi：35〜40％、Cr：10〜15％、お
よび炭化物を合計で45〜55％含み残部不純物となるよう
に粉末を添加し、溶射する。
【００１２】溶射の施工方法は、通常公知の溶射方法が
すべて適用可能である。例えば、酸素−燃料ガスによる
燃焼炎中に粉末状の溶射材料を送給し、溶融させつつ飛
行させてロール表面に被覆層を形成する粉末式フレーム
溶射、あるいは、アセチレンなどの燃料ガスと酸素との
混合比を爆発燃焼するように調整した混合ガスに点火し
高温と高速度のフレームを作り、これを熱源として粉末
を溶融しつつ高速飛行させてロール表面に被覆層を形成
する爆発溶射、あるいは、Ar、He、N2等のガスをアーク
によりプラズマ化し、ノズルから噴射させて形成した超
高温、高速流のプラズマジェットを熱源として、プラズ
マジェット中に粉末材料をガス流にのせて送給し、これ
を溶融しつつ飛行させてロール表面に被覆層を形成する
プラズマ溶射などが好適である。
すべて適用可能である。例えば、酸素−燃料ガスによる
燃焼炎中に粉末状の溶射材料を送給し、溶融させつつ飛
行させてロール表面に被覆層を形成する粉末式フレーム
溶射、あるいは、アセチレンなどの燃料ガスと酸素との
混合比を爆発燃焼するように調整した混合ガスに点火し
高温と高速度のフレームを作り、これを熱源として粉末
を溶融しつつ高速飛行させてロール表面に被覆層を形成
する爆発溶射、あるいは、Ar、He、N2等のガスをアーク
によりプラズマ化し、ノズルから噴射させて形成した超
高温、高速流のプラズマジェットを熱源として、プラズ
マジェット中に粉末材料をガス流にのせて送給し、これ
を溶融しつつ飛行させてロール表面に被覆層を形成する
プラズマ溶射などが好適である。
【００１３】本発明のデフレクタロールは、溶射被覆層
の再加熱による溶融処理を行う場合がある。この場合、
芯金とロールスリーブとを予め溶接固定するが、Ｃ含有
量が高いと割れが発生する。したがって、ロール母材
（ロールスリーブ、芯金）としては、割れ発生防止の観
点から、Ｃ含有量が0.78％以下、強度の観点から0.45％
以上のＣ含有量の鋼材、例えば、ＳＣＭ４３５、Ｓ４５
Ｃ、Ｓ５０Ｃが好ましい。
の再加熱による溶融処理を行う場合がある。この場合、
芯金とロールスリーブとを予め溶接固定するが、Ｃ含有
量が高いと割れが発生する。したがって、ロール母材
（ロールスリーブ、芯金）としては、割れ発生防止の観
点から、Ｃ含有量が0.78％以下、強度の観点から0.45％
以上のＣ含有量の鋼材、例えば、ＳＣＭ４３５、Ｓ４５
Ｃ、Ｓ５０Ｃが好ましい。
【００１４】上記した鋼材のロール表層に溶射被覆層を
形成する。溶射被覆層の密着性を向上させるためには、
ロール表面の清浄化と、粗面化等の準備処理を行うのが
好ましい。ロール表面の清浄化は、脱脂溶液で表面を洗
浄するのがよく、また、ロール表面の粗面化は、ブラス
ト加工、機械加工等により行うのが好ましい。本発明で
は、溶射後の溶射被覆層を、酸素−アセチレン炎、酸素
−プロパン炎、高周波誘導加熱などを用いて溶融処理を
行うのが好ましい。溶融の加熱温度としては、1000〜11
50℃が好ましい。1150℃を超えると被覆層が溶融して溶
け落ちるため、過熱しすぎないことが肝要である。この
溶融処理により、皮膜の緻密化と、皮膜とロール母材と
の界面での合金化が進行し、皮膜密着力の向上が図れ
る。これにより、さらに、耐摩耗性、耐食性の向上が期
待できる。
形成する。溶射被覆層の密着性を向上させるためには、
ロール表面の清浄化と、粗面化等の準備処理を行うのが
好ましい。ロール表面の清浄化は、脱脂溶液で表面を洗
浄するのがよく、また、ロール表面の粗面化は、ブラス
ト加工、機械加工等により行うのが好ましい。本発明で
は、溶射後の溶射被覆層を、酸素−アセチレン炎、酸素
−プロパン炎、高周波誘導加熱などを用いて溶融処理を
行うのが好ましい。溶融の加熱温度としては、1000〜11
50℃が好ましい。1150℃を超えると被覆層が溶融して溶
け落ちるため、過熱しすぎないことが肝要である。この
溶融処理により、皮膜の緻密化と、皮膜とロール母材と
の界面での合金化が進行し、皮膜密着力の向上が図れ
る。これにより、さらに、耐摩耗性、耐食性の向上が期
待できる。
【００１５】
（実施例１）図１に示す、胴部外径350 mmφ、胴長2100
mmのＳＣＭ４３５鋼製のデフレクタロール表面を脱脂処
理、ブラスト加工による粗面化処理を施したのち、Ni
粉、Cr粉、WC粉を用いて粉末式フレーム溶射法により、
ロール表層に1.0mm 厚の溶射被覆層を形成した。溶射被
覆層の組成は、Ni：40％、Cr：15％、WC：45％で、Ni、
Crの基地中に炭化物が分散した組織となっている。被覆
層の硬さは、Hv 900、分散した炭化物の硬さは、Hv 320
0 であった。
mmのＳＣＭ４３５鋼製のデフレクタロール表面を脱脂処
理、ブラスト加工による粗面化処理を施したのち、Ni
粉、Cr粉、WC粉を用いて粉末式フレーム溶射法により、
ロール表層に1.0mm 厚の溶射被覆層を形成した。溶射被
覆層の組成は、Ni：40％、Cr：15％、WC：45％で、Ni、
Crの基地中に炭化物が分散した組織となっている。被覆
層の硬さは、Hv 900、分散した炭化物の硬さは、Hv 320
0 であった。
【００１６】このデフレクタロールを図２に示す酸洗ラ
イン出側のテンションレベラーのデフレクタロールとし
て組み込み、６ヶ月間操業した。その結果、６ヶ月を経
過しても、腐食によるロール肌あれや焼付きの発生はな
く、また、摩耗も少なく、操業上の問題はなく、ロール
の交換の必要もなかった。これに対し、比較例として、
酸洗ライン出側のテンションレベラーのデフレクタロー
ルとしてＳＵＪ２鋼製のデフレクタロールを組み込み操
業した場合には、腐食によるロール肌あれが発生し、こ
のロール肌あれが圧延板へ転写したため、デフレクタロ
ールは１ヶ月で交換せざるを得なかった。
イン出側のテンションレベラーのデフレクタロールとし
て組み込み、６ヶ月間操業した。その結果、６ヶ月を経
過しても、腐食によるロール肌あれや焼付きの発生はな
く、また、摩耗も少なく、操業上の問題はなく、ロール
の交換の必要もなかった。これに対し、比較例として、
酸洗ライン出側のテンションレベラーのデフレクタロー
ルとしてＳＵＪ２鋼製のデフレクタロールを組み込み操
業した場合には、腐食によるロール肌あれが発生し、こ
のロール肌あれが圧延板へ転写したため、デフレクタロ
ールは１ヶ月で交換せざるを得なかった。
【００１７】この結果、本発明により、少なくとも６倍
の寿命延長が達成できた。 （実施例２）胴部外径 300mmφ、胴長2200mmのＳＣＭ４
３５鋼製のデフレクタロール表面を脱脂処理、ブラスト
加工による粗面化処理を施したのち、Ni粉、Cr粉、NbC
粉、Cr3C2 粉を用いて粉末式フレーム溶射法により、ロ
ール表層に1.5mm 厚の溶射被覆層を形成した。溶射被覆
層の組成は、Ni：40％、Cr：15％、NbC ：30％、Cr
3C 2 ：15％で、Ni、Crの基地中に炭化物が分散した組織
となっている。被覆層の硬さは、Hv 900、分散した炭化
物の硬さは、Hv 1500 であった。
の寿命延長が達成できた。 （実施例２）胴部外径 300mmφ、胴長2200mmのＳＣＭ４
３５鋼製のデフレクタロール表面を脱脂処理、ブラスト
加工による粗面化処理を施したのち、Ni粉、Cr粉、NbC
粉、Cr3C2 粉を用いて粉末式フレーム溶射法により、ロ
ール表層に1.5mm 厚の溶射被覆層を形成した。溶射被覆
層の組成は、Ni：40％、Cr：15％、NbC ：30％、Cr
3C 2 ：15％で、Ni、Crの基地中に炭化物が分散した組織
となっている。被覆層の硬さは、Hv 900、分散した炭化
物の硬さは、Hv 1500 であった。
【００１８】このデフレクタロールを連続焼鈍ラインの
スキンパスミルのデフレクタロールとして組み込み、７
ヶ月間操業した。この間、焼付きの発生はなく、摩耗も
少なく、操業上の問題はなく、ロールの交換の必要もな
かった。これに対し、比較例として、ＳＵＪ２鋼製のデ
フレクタロールを連続焼鈍ラインのスキンパスミルのデ
フレクタロールとして組み込み操業した場合には、焼付
きが発生し、これが圧延板へ転写したため、デフレクタ
ロールは２ヶ月で交換せざるを得なかった。
スキンパスミルのデフレクタロールとして組み込み、７
ヶ月間操業した。この間、焼付きの発生はなく、摩耗も
少なく、操業上の問題はなく、ロールの交換の必要もな
かった。これに対し、比較例として、ＳＵＪ２鋼製のデ
フレクタロールを連続焼鈍ラインのスキンパスミルのデ
フレクタロールとして組み込み操業した場合には、焼付
きが発生し、これが圧延板へ転写したため、デフレクタ
ロールは２ヶ月で交換せざるを得なかった。
【００１９】この結果、本発明により、少なくとも3.5
倍の寿命延長が達成できた。 （実施例３）胴部外径 320mmφ、胴長2200mmのＳＣＭ４
３５鋼製のデフレクタロール表面を脱脂処理、ブラスト
加工による粗面化処理を施したのち、Ni粉、Cr粉、ZrC
粉、VC粉を用いて粉末式フレーム溶射法により、ロール
表層に1.0mm 厚の溶射被覆層を形成した。溶射後、酸素
−アセチレン炎で被覆層の表面を加熱し、1150℃まで加
熱して、被覆層を再溶融させた。溶射被覆層の組成は、
Ni：40％、Cr：10％、ZrC ：30％、VC：20％で、Ni、Cr
の基地中に炭化物が分散した組織となっている。被覆層
の硬さは、Hv 900、分散した炭化物の硬さは、Hv 3200
であった。
倍の寿命延長が達成できた。 （実施例３）胴部外径 320mmφ、胴長2200mmのＳＣＭ４
３５鋼製のデフレクタロール表面を脱脂処理、ブラスト
加工による粗面化処理を施したのち、Ni粉、Cr粉、ZrC
粉、VC粉を用いて粉末式フレーム溶射法により、ロール
表層に1.0mm 厚の溶射被覆層を形成した。溶射後、酸素
−アセチレン炎で被覆層の表面を加熱し、1150℃まで加
熱して、被覆層を再溶融させた。溶射被覆層の組成は、
Ni：40％、Cr：10％、ZrC ：30％、VC：20％で、Ni、Cr
の基地中に炭化物が分散した組織となっている。被覆層
の硬さは、Hv 900、分散した炭化物の硬さは、Hv 3200
であった。
【００２０】このデフレクタロールを連続焼鈍ラインの
スキンパスミルのデフレクタロールとして組み込み、８
ヶ月間操業した。腐食によるロール肌あれ、焼付きの発
生はなく、摩耗も少なく、操業上の問題はなく、ロール
の交換の必要もなかった。これに対し、比較例として、
ＳＵＪ２鋼製のデフレクタロールを連続焼鈍ラインのス
キンパスミルのデフレクタロールとして組み込み操業し
た場合には、焼付きが発生し、これが圧延板へ転写した
ため、デフレクタロールは２ヶ月で交換せざるが得なか
った。
スキンパスミルのデフレクタロールとして組み込み、８
ヶ月間操業した。腐食によるロール肌あれ、焼付きの発
生はなく、摩耗も少なく、操業上の問題はなく、ロール
の交換の必要もなかった。これに対し、比較例として、
ＳＵＪ２鋼製のデフレクタロールを連続焼鈍ラインのス
キンパスミルのデフレクタロールとして組み込み操業し
た場合には、焼付きが発生し、これが圧延板へ転写した
ため、デフレクタロールは２ヶ月で交換せざるが得なか
った。
【００２１】この結果、本発明により、少なくとも４倍
の寿命延長が達成できた。
の寿命延長が達成できた。
【００２２】
【発明の効果】本発明によれば、耐食性および耐摩耗性
に優れたデフレクタロールを提供することができ、腐食
環境下で、張力の高い個所に使用した場合にも、腐食や
摩耗によるロール肌あれは生ぜず、また、焼付きによる
圧延板への転写もなく、デフレクタロールの寿命延長が
可能となり、操業の安定的向上という産業上多大の効果
を奏する。
に優れたデフレクタロールを提供することができ、腐食
環境下で、張力の高い個所に使用した場合にも、腐食や
摩耗によるロール肌あれは生ぜず、また、焼付きによる
圧延板への転写もなく、デフレクタロールの寿命延長が
可能となり、操業の安定的向上という産業上多大の効果
を奏する。
【図１】本発明の実施例に使用したデフレクタロールの
仕上り形状寸法を示す部分断面側面図である。
仕上り形状寸法を示す部分断面側面図である。
【図２】テンションレベラーにおけるロール構成の１例
を示す説明図である。
を示す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 緑川 悟 千葉県千葉市中央区川崎町１番地 川崎 製鉄株式会社 千葉製鉄所内 (72)発明者 熊川 雅也 千葉県船橋市行田１丁目１番１号 トー カロ株式会社 東京工場内 (56)参考文献 特開 平９−78219（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−10110（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−195187（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−287893（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) B21B 39/00 B21D 1/05 B65H 27/00 C23C 4/00 - 4/18
Claims (2)
- 【請求項１】 金属帯を処理するプロセスラインで金属
帯の方向を変えるデフレクタロールであって、該デフレ
クタロール表層に、重量％で、Ni：35〜40％、Cr：10〜
15％、および炭化物を合計で45〜55％含み残部不純物か
らなる溶射被覆層が形成されてなることを特徴とする耐
摩耗性、耐食性に優れたデフレクタロール。 - 【請求項２】 前記溶射被覆層が再溶融した溶射被覆層
であることを特徴とする請求項１記載のデフレクタロー
ル。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8275891A JP3048223B2 (ja) | 1996-10-18 | 1996-10-18 | 耐摩耗性、耐食性に優れたデフレクタロール |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8275891A JP3048223B2 (ja) | 1996-10-18 | 1996-10-18 | 耐摩耗性、耐食性に優れたデフレクタロール |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10118707A JPH10118707A (ja) | 1998-05-12 |
| JP3048223B2 true JP3048223B2 (ja) | 2000-06-05 |
Family
ID=17561885
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP8275891A Expired - Fee Related JP3048223B2 (ja) | 1996-10-18 | 1996-10-18 | 耐摩耗性、耐食性に優れたデフレクタロール |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3048223B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP4560755B2 (ja) * | 2000-11-02 | 2010-10-13 | 株式会社Ｉｈｉ | 誘導電動機の回転子製造方法 |
-
1996
- 1996-10-18 JP JP8275891A patent/JP3048223B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH10118707A (ja) | 1998-05-12 |
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