JP3048150U - 合成樹脂シート製流体用袋容器の注出口構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 注出口を開封した合成樹脂シート製袋容器に
おいて、残量を内在させ、かつまた、横臥状態にした際
に、他物との接触による外圧を受けても、上昇する自己
の内圧を利用して溢出状態を回避できるようにしたもの
である。 【解決手段】 ２枚の合成樹脂シートを重ね合わせ、接
合部と幅広接合部とによって囲まれた内部を流体充填部
とし、前記幅広接合部に、流体充填部に連通する注出経
路を形成した袋容器において、前記幅広接合部領域の一
方の側辺内側に、前記流体充填部に連通する非接合の加
圧流体貯留室を、その内側の突出基部に角部を設けて形
成し、この加圧流体貯留室に接近する上方の角部の内角
位置で閉鎖した注出口を有し中間に屈曲部を設けた流体
経路の基端を前記加圧流体貯留室の斜め方向接続してな
るものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

この考案は、合成樹脂シート製の流体用容器において注出口を一旦開封しても 内容物が溢液しない注出口構造に関するものである。

【０００２】

【技術的背景】

合成樹脂シート製の流体用袋容器は詰替用容器として開発され、開封後固形の 容器に詰め替え、該詰め替え後は廃棄処分することを前提とし、省資源、廃棄処 分量の減量化等を目的としている。

【０００３】

【従来の技術】

詰め替えを前提として生産された合成樹脂シート製袋容器は一旦開封した場合 、内容物の総てを一度に排出するか、また、残量がある場合には排出口を液面よ りも高い位置となるように立てかけて溢流を防止する必要があった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

合成樹脂シート製袋容器は注出口を一旦開口して、内容物の残量がある場合に 、注出口を閉鎖するキャップあるいは蓋体が用意されている形態のものを除き、 その残量が溢出しないように細心の注意を払うものであるが、口閉鎖機能のない 袋容器にあっては、内容物を残すこと自体が誤りである、という風潮があり、一 旦開封後はそのすべてを消費するかまたは他の容器に移し替えることを前提とし ている。

【０００５】 この考案は、注出口を開封した合成樹脂シート製袋容器において、残量を内在 させ、かつまた、横臥状態にした際に、他物との接触による外圧を受けても、上 昇する自己の内圧を利用して溢出状態を回避できるようにした袋容器を提供する ことを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

この考案は、上記の目的を達成させるための手段として、第１の考案は、２枚 の合成樹脂シートを重ね合わせ、接合部と幅広接合部とによって囲まれた内部を 流体充填部とし、前記幅広接合部に、流体充填部に連通する注出経路を形成した 袋容器において、前記幅広接合部領域の一方の側辺内側に、前記流体充填部に連 通する非接合の加圧流体貯留室を、その内側の突出基部に角部を設けて形成し、 この加圧流体貯留室の斜め方向に前記先端に注出口を有する注出経路の基端を臨 ませてなるものである。

【０００７】 第２の考案は、２枚の合成樹脂シートを重ね合わせ、接合部と幅広接合部とに よって囲まれた内部を流体充填部とし、前記幅広接合部に、流体充填部に連通す る注出経路を形成した袋容器において、前記２枚の合成樹脂シートを重ね合わせ 、接合部と幅広接合部とによって囲まれた内部を流体充填部とし、前記幅広接合 部に、流体充填部に連通する注出経路を形成した袋容器において、前記幅広接合 部領域の一方の側辺内側に、前記流体充填部に連通する非接合の加圧流体貯留室 を、その内側の突出基部に角部を設けて形成し、この加圧流体貯留室に接近する 上方の角部の内角位置で閉鎖した注出口を有し中間に屈曲部を設けた流体経路の 基端を前記加圧流体貯留室の斜め方向接続してなるものである。

【０００８】

【考案の実施の形態】

合成樹脂シート１を素材とした袋容器６は基本的にその正面形状は縦長の方形 を基調とし、底部形状は直立静置できるもの、直立できないもの等さまざまな特 徴を具備させたものがあるが、両側辺ならびに上辺においては、そのほとんどが 一定形状であり、しかも両側辺は袋容器として必要幅の溶融による接合部２で形 成され、この小寸法幅の接合部２に対して上辺はラベル用ならびに吊り下げ用孔 を穿設した幅広接合部３が融着によって設けられ、これら４辺の融着縁で囲まれ た範囲が流体充填部４であり、前記幅広接合部３の範囲内に未融着により流体経 路５をその先端の注出口１０を閉鎖された状態で、かつ、元端が前記流体充填部 ４に接続して設けてあり、この袋容器６の正面形姿は前記幅広接合部３のラベル 面と流体充填部４の袋要部の異質の２様外姿から形成された本願の主要形態は従 前来の袋容器の構成と同様である。

【０００９】 これら流体充填部４と、該流体充填部４の上辺を形成する幅広接合部３との境 界において、片や内容物の膨満形態と、他方は空袋時形態と同様の平潰し板状で あるがため、一方の膨満形態を考慮したマチや該マチに相当する幅寸法増大等の 基本形態が変更されていないために、袋容器６に対して外圧が加えられた際に、 その接続境界線上において不自然なウネリ形状の皺９が形成された接続状態とな るが、これによっての袋容器全体形状の平衡を保っている。

【００１０】 この考案は、前記のウネリ形状の皺９の発生原因を利用し、さらにこの状態を 顕著な形態を生じせしめ、流体入り袋容器６を横臥した状態時で、外圧を受けた 際に幅広接合部３を上方に屈曲させ、該幅広接合部３の領域内に設けた流体経路 ５の先端の流出口１０の位置を、流体充填部４における内容物の最高位置よりも さらに上位に位置させて、受圧時における溢流現象を防止しようとするものであ る。

【００１１】 また、開封された袋容器６が横臥時に外圧がかからないときは、剛性度が高い 幅広接合部３の領域内に無溶融によって流体経路５が形成されているもので、該 流体経路５全周の引っ張り作用で合成樹脂シート１、１の表裏材が密接状態で閉 鎖作用が奏されているので内容物の溢出作用は防止されている。

【００１２】 この考案は、幅広接合部３の下辺によって形成された流体充填部４の上辺で、 かつ、一方の接合部２とによって形成された隅角部より前記幅広接合部３の範囲 に侵入する加圧流体貯留室７を幅広接合部３の下辺の突出基部により角部８をも って凹設し、該加圧流体貯留室７に流体経路５の元端を接続したものである。

【００１３】 すなわち、一直線状の幅広接合部３の下辺によって流体充填部４の上辺が形成 され、一方の接合部２とによって形成された角部が延長されて幅広接合部３の領 域に食い込む状態をもって侵入形成された加圧流体貯留室７を凹設したことによ って流体充填部４を袋容器６の外部から加圧すれば流体充填部４の内容物は幅広 接合部３の剛性に抗して加圧流体貯留室７に侵入する。

【００１４】 このとき、幅広接合部３にあっては、その下辺と、加圧流体貯留室７一端を形 成する角部８を起点とした皺９が幅広接合部３の表裏方向のいずれか一方向に向 けて山形あるいは谷形としての反り返えり現象を発生させつつその先頭が上辺を 指向して形成される、と同時に少なくとも加圧流体貯留室７を含むその近傍が袋 容器６が受けた加圧方向へ反り返る。

【００１５】 これは、流体充填部４において受圧面の凹みにより反力受け面より全長寸法が 短くなる引きつれ現象により幅広接合部３方向に対する引っ張り作用と、また前 記反力受け面が膨満作用による延び現象と相俟って反り返り方向が決定付けられ る。

【００１６】 すなわち、加圧流体貯留室７にあって、その断面が、表裏を構成する２枚の合 成樹脂シート１、１は、当初密接して１枚状になっているが、そこに流体の加圧 侵入にによって密接していた合成樹脂シート１、１は互いに離反し断面筒状に変 化する。このとき、加圧流体貯留室７とその周囲との平板状の維持作用の均衡が 破れ、これを補おうとする引き作用により皺９の発生現象とともに強い反り返り 現象とが同時に発生する。

【００１７】 前記した皺９は山脈状あるいは谷筋状に走り形成されるものであるが、この指 向方向は加圧流体貯留室７と幅広接合部３下辺との接点である角部８の角度によ って変化する。すなわち、加圧流体貯留室７の形状によって異なる。

【００１８】 幅広接合部３が少なくとも流体経路５を有する部分の幅広接合部３の部分的反 り返り現象が理想とする皺発生形状は加圧流体貯留室７の立体形状が接合部２の 内辺の延長線上を頂点とする円錐形状にある。

【００１９】 このようにして幅広接合部３が反り返り作用を生じた時点で、加圧流体貯留室 ７周辺は異常な物質的緊張状態を呈しており、したがって、該加圧流体貯留室７ に連なる流体経路５はその形成材の表裏の合成樹脂シート１、１は強固に密接状 態にあり、加圧流体貯留室７を膨満させる程度の外圧では開路するに足りる圧力 ではない。

【００２０】 したがって、流体入りで、かつ、注出口１０が開口された横臥状態の袋容器６ の上側に、誤って他物を載置した程度の圧力では受圧が内圧となって、自己閉鎖 作用を呈し、開口し内容物の溢出作用は免れるものである。

【００２１】 次ぎに前記した流体経路５の構成について説明すれば、この流体経路５は幅広 接合部３の領域内でその一方の角部の内角位置に未融着状態をもって形成するも ので、その元端は前記のように加圧流体貯留室７の斜辺に接続開口している。

【００２２】 この流体経路５は「く」の字あるいは逆「く」の字状を中間に設けた屈曲部５ ａにより元路５ｂと先路５ｃとにより形成され、先路５ｃの先端には注出口１０ が形成されているが開口前には幅広接合部３の内角位置にその端部が閉鎖された 状態をもって形成されている。

【００２３】 この注出口１０を設けた幅広接合部３における角部と前記加圧流体貯留室７と の直線距離は比較的短いものであるが、流体経路５に求める注出時以外の閉鎖作 用を達成させるために屈曲路をもってその道程を長くする目的と、注出口１０を 有する先路５ｃの指向性をその幅広接合部３における角度に設定することと元路 ５ｂを接続する加圧流体貯留室７の設置位置に基づく位置関係から前記した屈曲 部５ａを有する形状とするものである。

【００２４】 屈曲部５ａにあっては、その外周側部を円弧をもって曲成し、内容物の流出時 に必要以上の吐出圧をかけないようにしたものである。

【００２５】 注出口１０が開口された状態時の流体経路５にあって、内容物の注出時以外は 表裏の合成樹脂１、１は流体経路５が形成された周囲の幅広接合部３の剛性に引 っぱられて密接状態にあり、これが、内容物の注出時には該合成樹脂シート１、 １を内容物の侵入圧力によって離反させ、流通路としてパイプ状経路が形成され るに必要な内圧が発生するように流体充填部４を押圧するものである。そこで、 前記屈曲部５ａにおいて、流動側の外周に、さらに無意味な抵抗を生じさせる必 要はない。

【００２６】 さらには内容物の内圧を上昇させて屈曲部５ａを通過させても、注出口１０よ り高圧をもつて吐出させれば、目標注出場所より外れるおそれもあり、したがっ て、注出時にかかる圧路は流体経路５の一枚状に接合した合成樹脂シート１、１ をパイプ状に形成する開進に要する加圧が充たされれば不必要な圧力はでき得る 限り回避することが望ましい。

【００２７】 この流体経路５は前記のように幅広接合部３領域内に無融着によって形成する ものであるが、該幅広接合部３の特性である剛体中に表裏２重の合成樹脂シート １、１が離反できる状態であっても周囲の融着剛性により緊張した状態が常に閉 路作用しており、指向性の目的とともに中間屈曲により道程を長くすることによ りその閉止度効率を上昇させるものである。

【００２８】 この流体経路５の注出口１０を開口させる手段は、該注出口１０が内在する幅 広接合部３の隅角部を斜状に示した指示線１１に従って切断することにより、そ の目的を達成できるものである。

【００２９】

【考案の効果】

この考案は以上のように、内容物が充満し、かつ、流体経路が開封された袋容 器を横臥した状態にあって、誤ってその充填部の上部より加圧した場合であって も、膨満する充填部と各融着縁部との引きつれ現象によって生ずる皺発生を、加 圧作用により設定した、より複雑形に膨満形状に変化させ、流体経路を内在させ た幅広接合部の正常に姿勢を破壊して起立させ、流体経路の注出口高さを流体充 填部の最高位置よりも高位置に変化させることにより、内容物の溢漏ならびに滲 出を未然に防止し得る効果あるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】 融着部を断面で示す袋容器の正面図

【図２】 内容物が充填された袋容器の部分的正面図

【図３】 加圧流体貯留室に内容物を圧入した状態時
の幅広接合部の部分的拡大正面図

【図４】 加圧流体貯留室に内容物を圧入した状態時
の幅広接合部が横臥した充填部より起立した状態を示す
部分的拡大側面図

【符号の説明】

１ 合成樹脂シート ２ 接合部 ３ 幅広接合部 ４ 流体充填部 ５ 流体経路 ５ａ 屈曲部 ５ｂ 元路 ５ｃ 先路 ６ 袋容器 ７ 加圧流体貯留室 ８ 角部 ９ 皺 １０ 注出口 １１ 指示線

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ２枚の合成樹脂シートを重ね合わせ、接
   合部と幅広接合部とによって囲まれた内部を流体充填部
   とし、前記幅広接合部に、流体充填部に連通する注出経
   路を形成した袋容器において、前記幅広接合部領域の一
   方の側辺内側に、前記流体充填部に連通する非接合の加
   圧流体貯留室を、その内側の突出基部に角部を設けて形
   成し、この加圧流体貯留室の斜め方向に前記先端に注出
   口を有する注出経路の基端を臨ませたことを特徴とする
   合成樹脂シート製流体用袋容器の注出口構造。
2. 【請求項２】 ２枚の合成樹脂シートを重ね合わせ、接
   合部と幅広接合部とによって囲まれた内部を流体充填部
   とし、前記幅広接合部に、流体充填部に連通する注出経
   路を形成した袋容器において、前記幅広接合部領域の一
   方の側辺内側に、前記流体充填部に連通する非接合の加
   圧流体貯留室を、その内側の突出基部に角部を設けて形
   成し、この加圧流体貯留室に接近する上方の角部の内角
   位置で閉鎖した注出口を有し中間に屈曲部を設けた流体
   経路の基端を前記加圧流体貯留室の斜め方向接続してな
   ることを特徴とする合成樹脂シート製流体用袋容器の注
   出口構造。