JP4214765B2 - 合成樹脂製注出口およびそれを備えた合成樹脂製注出口付容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液状、ゼリー状等内容物を注出する容器用の合成樹脂製注出口に関するものであり、さらに詳細には、樹脂量を極力少なくして環境に配慮した合成樹脂製注出口の形状に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液状の清涼飲料やゼリー状の飲料(栄養剤も含む)などの包装容器として、プラスチックフィルムを主体とした軟包装袋や紙を主体とした紙容器があり、これら容器に前記飲料等を注ぎ出す合成樹脂製の注出口が溶着されている注出口付容器が知られ、上記飲料に限らず、液体洗剤やシャンプー等トイレタリー用などにも広く普及している。
【0003】
上記容器用の合成樹脂製注出口は、チューブ状の注出用筒体の下部に容器(軟包装袋等)の開口部がシールされるための容器用溶着部があり、この容器用溶着部は容器の安定したシール性と、さらに材料コストとともに廃棄物の減量や省資源(石油資源)に配慮して極力この樹脂量を少なくするようにしたもので、例えば図3(a)の正面図に示すように、チューブ状の注出用筒体(20)の上部にはキャップ螺着用のネジ山(22)を備え、下部にはそれぞれの間に空間(S)を設けた4枚の容器用溶着板(10)が水平に一体化されて、この容器用溶着板(10)は、図3(b)の上面図に示すように、左右端(10a、10b)に尖端を有する(左右端部が尖っている)舟形状でなり、この容器用溶着板(10)が薄い(1mm程度)のでこれらを支えて容器とのシール性をよく(安定して)するためその左右端(10a、10b)から注出用筒体(20)まで延びて、この注出用筒体(20)と一体化される板状リブ(12)で上記4枚の容器用溶着板(10)を連結一体化せしめている合成樹脂製注出口(2)があった。
【0004】
しかし、上記板状リブ(12)で4枚の容器用溶着板(10)を連結一体化せしめている合成樹脂製注出口(2)では、この板状リブ(12)が各容器用溶着板(10)間の空間(S)いっぱいにあり、そのため多くの樹脂量を必要とし、材料コストが嵩むことと、樹脂が肉厚となり収縮による「ひけ」が生じること、および使用後の廃棄と樹脂資源に配慮されていないという環境に係わる問題があった。
上記「ひけ」とは、合成樹脂はそれぞれ固有の成形収縮率によって縮むに、中心部や肉圧部などの冷却が遅れた部分の収縮によって表面が引っ張られて凹む現象をいう。
【0005】
また、上記容器用の合成樹脂製注出口の一事例として、例えば図4(a)の正面図に示すように、チューブ状の注出用筒体(20)の上部にはキャップ螺着用のネジ山(22)を備え、下部には容器のシール性をよく(安定して)するため4枚の厚手(2mm程度)の容器用溶着板(11)が水平に一体化されていて、それぞれの間に狭い(1mm程度)空間(S)を設けたもので、この厚手の容器用溶着板(11)は、図4(b)の上面図に示すように、左右端(11a、11b)に尖端を有する(左右端部が尖っている)舟形状でなり、その左右端(11a、11b)で4枚の厚手の容器用溶着板(11)が連結一体化されている合成樹脂製注出口(3)があった。
【0006】
しかし、上記厚手の容器用溶着板(11)で一体化されている合成樹脂製注出口(3)では、シール性は極安定しているが容器用溶着板(11)自体が多くの樹脂量を必要とし、上記図3(a)に示す上記板状リブ(12)で容器用溶着板(10)を連結している合成樹脂製注出口(2)と同様に材料コストが嵩むことと、樹脂が肉厚となり収縮による「ひけ」を生じること、および使用後の廃棄と省資源に配慮されていないという環境に係わる問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、安定した容器とのシール性を保持しつつ、材料コストが嵩まず、ひけが発生せず、かつ使用後の廃棄物や省資源に係わる環境に配慮された合成樹脂製注出口およびそれを備えた合成樹脂製注出口付容器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明は、注出用筒体の下部に複数枚の左右端に尖端を有する舟形状の容器用溶着板が一体となって水平に取り付けられ、それら容器用溶着板の間を板状縦リブで連結一体化している合成樹脂製注出口であって、前記板状縦リブが、複数枚の容器用溶着板の各々左右端の尖端を中心として左右両側に一定の幅で、該容器用溶着板を連結一体化していることを特徴とする合成樹脂製注出口である。
【0009】
上記請求項1の発明によれば、注出用筒体の下部に複数枚の舟形状の容器用溶着板が水平に一体化され、その左右端の尖端のみで各容器用溶着板を連結一体化されているので、従来のように厚手の容器用溶着板でなくても安定した容器とのシール性を保持することができ、かつ従来のように各容器用溶着板間の空間いっぱいに連結用の板状リブを必要としないので、使用する樹脂量を少なくすることができ、よって材料コストの節減とともに、樹脂の冷却効率がよく「ひけ」が発生せず、かつ使用後の廃棄物の減量化や省資源に貢献する合成樹脂製注出口を提供できる。
【0010】
また、請求項2の発明は、上記請求項1に記載の合成樹脂製注出口を装備していることを特徴とする合成樹脂製注出口付容器である。
【0011】
上記請求項2の発明によれば、上記請求項1に記載の合成樹脂製注出口を装備している合成樹脂製注出口付容器とすることによって、この合成樹脂製注出口と容器とのシール性が保持され、「ひけ」が発生せず、かつ使用樹脂量を少なくして使用後の廃棄物の減量化や省資源に貢献し環境問題に配慮された容器用合成樹脂製注出口付容器を提供できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
本発明は、図1の斜視図に示すように、例えば液状、ゼリー状等内容物を注出するための合成樹脂製注出口(1)と、それと一体化されている4枚の舟形状の容器用溶着板(10)の端縁にプラスチックフィルムを主体としたパウチ(5)の上縁開口部(5a)がシールされている合成樹脂製注出口付容器(100)に関するもので、特に、使用する樹脂量を極力少なくして廃棄物や省資源に係る環境に配慮された合成樹脂製注出口(1)の形状に関するものである。
【0014】
そこで上記請求項1に係る発明は、例えば図2(a)の正面図に示すように、注出用筒体(20)の下部に4枚の容器用溶着板(10)が一体となって水平に取り付けられていて、この容器用溶着板(10)は、図2(b)の上面図に示すように、左右端(10a、10b)に尖端を有する舟形状の容器用溶着板(10)でなり、この4枚の容器用溶着板(10)の連結一体化を、図2(a)および図2(b)に示すように、左右端(10a、10b)の尖端のみに設けた板状縦リブ(14)で成されている合成樹脂製注出口(1)としたものである。
【0015】
このように4枚の容器用溶着板(10)の連結一体化が、左右端(10a、10b)の尖端のみに設けた板状縦リブ(14)で成されているので、図6(a)に示す従来の板状リブ(12)のように、各容器用溶着板(10)間の空間(S)いっぱいになく、そのため使用する樹脂量が少なくなり、よって材料コストが低減され、かつ環境に配慮された合成樹脂製注出口(1)とすることができ、さらに図7(a)に示す従来の厚手の容器用溶着板(11)に比べ、図2(a)および図2(b)に示すように、4枚の容器用溶着板(10)の連結一体化が、左右端(10a、10b)の尖端のみに設けた板状縦リブ(14)で成されているので、樹脂量の少ない薄い容器用溶着板(10)としても安全性の高いシール性が得られる合成樹脂製注出口(1)とするものである。
【0016】
また、上記請求項2に係る発明では、図1に示すように、例えばチューブ状の注出用筒体(20)の下部に4枚の舟形状の容器用溶着板(10)が一体となって水平に取り付けられている合成樹脂製注出口(1)て、この各容器用溶着板(10)の端縁に、フィルムを主体としたパウチ(5)の上端開口部がシールされている合成樹脂製注出口付容器(100)とするものである。
【0017】
上記フィルムを主体としたパウチ(5)に替え、図示しないが、例えば紙製容器(カートン)とすることもでき、内容物によってその容器を適宜選定することができる。
【0018】
上記本発明の合成樹脂製注出口(1)としては、その材料としてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどの汎用樹脂が挙げられ、内容物や用途等に応じて適宜選定され、これら樹脂の射出成形法等公知の成形法によって得られる。
【0019】
また、上記合成樹脂製注出口(1)のサイズは、それにシールされる容器のサイズや内容物によって異なるが、例えば清涼飲料用の合成樹脂製注出口の場合、図2(a)および図2(b)に示すように、この注出用筒体(20)の外径(K)が20mm程度、その長さ(L1)が30mm程度、さらに容器用溶着板(10)の左右端(10a、10b)の長さ(L2)が41mm程度のものが一般的であり、この時の容器用溶着板(10)の厚さ(D)は1mm程度、それらの間隔(H)は2mm程度で、これらを連結一体化している板状縦リブ(14)の幅(W)は、容器用溶着板(10)の左右端(10a、10b)を中心として左右に3mm延びた6mm程度とし、このように1mm程度の僅かな厚さ(D)の容器用溶着板(10)と6mm程度の僅かな幅(W)の板状縦リブ(14)とし、合成樹脂製注出口(1)に使用する樹脂量を極力少なくしても安定した容器とのシール性を保持する合成樹脂製注出口(1)とすることができる。
【0020】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
即ち、上記請求項1に係る発明においては、注出用筒体の下部に複数枚の左右端に尖端を有する舟形状の容器用溶着板が一体となって水平に取り付けられ、それら容器用溶着板の間を板状縦リブで連結一体化している合成樹脂製注出口において、その板状縦リブによる連結一体化が左右端の尖端のみとしているので、従来のように厚手の容器用溶着板でなくても安定した容器とのシール性を保持することができ、かつ従来のように各容器用溶着板間の空間には連結用の板状リブを必要としないので、使用する樹脂量を少なくすることができ、よって材料コストの節減とともに、「ひけ」が発生せず、かつ使用後の廃棄物の減量化や省資源に貢献する合成樹脂製注出口を提供できる効果がある。
【0021】
また、上記請求項2に係る発明においては、上記請求項1に記載の合成樹脂製注出口を装備している合成樹脂製注出口付容器とすることによって、この合成樹脂製注出口と容器とのシール性が保持され、かつ使用樹脂量を少なくして使用後の廃棄物の減量化や省資源に貢献し環境問題に配慮された容器用合成樹脂製注出口付容器を提供できる効果がある。
【0022】
従って本発明は、液状、ゼリー状等内容物を注出する容器用の合成樹脂製注出口において、特に樹脂量を極力少なくして環境に配慮した合成樹脂製注出口として、優れた実用上の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の合成樹脂製注出口を備えた合成樹脂製注出口付容器の一実施の形態を説明する斜視図である。
【図2】本発明の合成樹脂製注出口の一実施の形態を示すもので、
(a)は、その正面図であり、
(b)は、その上面図である。
【図3】従来の合成樹脂製注出口の一事例を示すもので、
(a)は、その正面図であり、
(b)は、その上面図である。
【図4】従来の合成樹脂製注出口の他の一事例を示すもので、
(a)は、その正面図であり、
(b)は、その上面図である。
【符号の説明】
1‥‥合成樹脂製注出口
2‥‥板状リブのある合成樹脂製注出口
3‥‥厚手の容器用溶着板でなる合成樹脂製注出口
5‥‥パウチ
5a‥‥バウチの上端縁開口部
6‥‥キャップ
10‥‥容器用溶着板
10a‥‥容器用溶着板の左端
10b‥‥容器用溶着板の右端
11‥‥厚手の容器用溶着板
11a‥‥厚手の容器用溶着板の左端
11b‥‥厚手の容器用溶着板の右端
12‥‥板状リブ
14‥‥板状縦リブ
20‥‥注出用筒体
22‥‥ネジ山
D‥‥容器用溶着板の厚さ
H‥‥各容器用溶着板の間隔
K‥‥注出用筒体の外径
L1‥‥注出用筒体の長さ
L2‥‥容器用溶着板の左右端の長さ
S‥‥各容器用溶着板間の空間
W‥‥板状縦リブの幅
Claims (2)
- 注出用筒体の下部に複数枚の左右端に尖端を有する舟形状の容器用溶着板が一体となって水平に取り付けられ、それら容器用溶着板の間を板状縦リブで連結一体化している合成樹脂製注出口であって、前記板状縦リブが、複数枚の容器用溶着板の各々左右端の尖端を中心として左右両側に一定の幅で、該容器用溶着板を連結一体化していることを特徴とする合成樹脂製注出口。
- 上記請求項1に記載の合成樹脂製注出口を装備していることを特徴とする合成樹脂製注出口付容器。
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