JP3046718U - レール固定用ベースプレート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 レール固定時にレールの方向を微調整するこ
とができ、さらにレール固定後において発生するレール
の「ずれ」をも修正することが可能なレール固定用ベー
スプレートを提供すること。 【構成】 レールブラケット１０又は梁１１等にレール
１２を取り付けるためのベースプレートであって、レー
ル１２を把持するためのクリップ部材２と取り付けボル
ト３及び取り付けナット４によって構成された一対のク
リップ手段と、レール把持面に固定された一対の長ナッ
ト５と、先端がレール側面を支持するため上記長ナット
５に螺合し貫通する一対の可動ボルト６とを有すること
を特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、レール固定用ベースプレートに関しており、さらに詳しくは、レー ル固定時にレールの方向を微調整することができ、レール固定後においてもレー ルの「ずれ」を修正することが可能なレール固定用ベースプレートに関している 。

【０００２】

【従来の技術】

従来、エレベータのガイドレール等を構造物あるいは構造物に設けたレールブ ラケット等に固定する方法としては、例えば実開昭５８―１９７１７７に開示さ れたように、クリップによってレールをレールブラケットに取り付けると共に、 ずれ止め金具を溶接する方法が知られていた（図７参照）。

【０００３】 しかし一般に、レールを構造物に固定するためには、構造物に複数のレールブ ラケットを設ける等して複数箇所においてレールを固定する必要がある。ところ が、上記方法によってずれ止め金具を順に溶接していくと、レールの方向に微妙 な「ずれ」が生じ得る。レールの方向に微妙な「ずれ」がある場合、例えばそれ がエレベータのガイドレールであれば、乗り心地が悪いばかりでなく、エレベー タ装置全体に無理な負荷がかかり、安全性の低下や、装置寿命が短くなるという 問題がある。

【０００４】 一方、エレベータのガイドレール等のようにレールに何らかの負荷がかかる場 合、その負荷によってもレールの方向に微妙な「ずれ」が生じ得る。特に油圧片 持ち式エレベータのガイドレールでは、レール固定後に大きな曲げモーメントが かかる場合があるため（図４参照）、レールの「ずれ」に起因する乗り心地の悪 化の問題や、安全性の低下、エレベータ装置の寿命短縮に関する問題が無視でき ない。

【０００５】 これらの問題に対処するためレールの方向は修正されるべきであるが、一度溶 接したずれ止め金具を剥がし取って再び溶接する作業は、困難であるという問題 があった。尚、レールをクリップのみで固定してずれ止め金具等の溶接を行わな い方法は、レール固定時の方向の「ずれ」はレールとクリップとの間の微小な隙 間によって吸収され得るが、レールに負荷がかかった場合の「ずれ」の程度がず れ止め金具を設けた場合より大きくなるため、実用的でない。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

本考案が解決しようとする課題は、レール固定時にレールの方向を微調整する ことができ、さらにレール固定後において発生するレールの「ずれ」をも修正す ることが可能なレール固定用ベースプレートを提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案において上記課題を解決するための手段は、レールブラケット又は梁等 にレールを取り付けるためのベースプレートであって、レールを把持するための クリップ部材と取り付けボルト及び取り付けナットによって構成された一対のク リップ手段と、レール把持面に固定された一対の長ナットと、先端がレール側面 を支持するため上記長ナットに螺合し貫通する一対の可動ボルトとを有すること を特徴とする。

【０００８】

【考案の実施の形態】

図１から図３は、請求項１に対応する本考案の第１実施例を示しており、１が 本実施例のレール固定用ベースプレート（以下、ベースプレートという。）であ り、長方形平板によって構成され、段付きのクリップ部材２が取り付けボルト３ 及び取り付けナット４によって左右一対に取り付けられ、さらに長ナット５が左 右一対に溶接されて固定されている。取り付けボルト３及び取り付けナット４は 、本実施例とレールブラケット１０等との接合手段をも兼ねるものである。長ナ ット５には、左右両側から可動ボルト６が螺合されている。可動ボルト６は、長 ナット５より長いねじ部を有しており、長ナット５を貫通している。

【０００９】 それぞれの寸法は、レール１２の大きさ等に合わせて定められる。例えばレー ル１ｍの重量が１０ｋｇ程度であれば、ベースプレート１の板圧は６ｍｍ程度、 長ナット５及び可動ボルト６はＭ１２程度がよい。

【００１０】 第１実施例をレールブラケット１０に固定するには、まずベースプレート１を 取り付けボルト３及び取り付けナット４によってレールブラケット１０に仮留め してレール１２をベースプレート１に当てる。次に取り付けボルト３及び取り付 けナット４を一旦外してレール１２の上からクリップ部材２を取り付ける。そし て可動ボルト６を回転させてその先端をレール側面に当てる。可動ボルト６の先 端位置を調整することにより、レール１２の方向を微調整する。この状態が図２ 及び図３に示してある。

【００１１】 レール１２が図４に示すような油圧片持ち式エレベータの左右のガイドレール 等の場合、例えばエレベータ内の入り口近傍に大きな荷重がかかると左右のガイ ドレールには大きな曲げモーメントＭがかかる。このことによって、レール１２ には「ずれ」が生じ得る。しかし本実施例では、たとえレール固定後にレール１ ２の「ずれ」が生じても可動ボルト６によって「ずれ」を修正することができる ため、エレベータの乗り心地、安全性等を高いレベルに維持でき、また装置全体 の負担の増大を回避することができる。

【００１２】 図５及び図６は、請求項２に対応する本考案の第２実施例を示しており、１が 本実施例のベースプレートであり、Ｌ字型折れ板によって構成されている。本実 施例と梁１１等との接合手段がレール把持面と垂直な面に設けられている他は、 第１実施例と同様の構成である。上記の接合手段については図示していないが、 あらゆる公知の手段が採用され得る。

【００１３】 第２実施例を梁１１に固定するには、まずベースプレート１を図示しない接合 手段によって梁１１に接合してレール１２をベースプレート１に当てる。次に取 り付けボルト３及び取り付けナット４によってレール１２の上からクリップ部材 ２を取り付ける。そして可動ボルト６を回転させてその先端をレール側面に当て る。可動ボルト６の先端位置を調整することにより、レール１２の方向を微調整 する。この状態が図６に示してある。

【００１４】 本実施例では、第１実施例と同様に、レール固定後にレール１２の「ずれ」が 生じても可動ボルト６によって「ずれ」を修正することができる。

【００１５】

【考案の効果】

本考案のレール固定用ベースプレートは、上記した構成を特徴とするものであ るから、レール固定時にレールの方向を微調整することができ、さらにレール固 定後において発生し得るレールの「ずれ」をも修正することが可能である。

【００１６】 従って、レール固定時に方向がずれることを回避できるばかりでなく、例えば レールが油圧片持ち式エレベータのガイドレールである場合等、レール固定後に レールに大きな曲げモーメント等がかかる場合であっても、レールの「ずれ」を 修正することによって、乗り心地や安全性を高いレベルに維持することができ、 エレベータ装置等の負担増大を回避することができることの効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例を示す図で、（Ａ）は正面
図、（Ｂ）は平面図。

【図２】本考案の第１実施例の使用例を示す図で、
（Ａ）は正面図、（Ｂ）は平面図。

【図３】本考案の第１実施例の使用例を示す斜視図。

【図４】油圧片持ち式エレベータを示す概略図で、
（Ａ）は平面図、（Ｂ）は正面図。

【図５】本考案の第２実施例を示す図で、（Ａ）は正面
図、（Ｂ）は平面図。

【図６】本考案の第２実施例の使用例を示す斜視図。

【図７】従来技術を示す図で、（ａ）は平面図、（ｂ）
は正面図。

【符号の説明】

１ レール固定用ベースプレート ２ クリップ部材 ３ 取り付けボルト ４ 取り付けナット ５ 長ナット ６ 可動ボルト １０ レールブラケット １１ 梁 １２ レール ２０ エレベータかご ２１ レールチャック ２２ 片持ち支持梁 ２３ ワイヤーロープ（駆動機構） ２４ 人 ２５ 荷台 ２６ 荷物 Ｍ 曲げモーメント

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 レールブラケット（１０）又は梁（１
   １）等にレール（１２）を取り付けるためのベースプレ
   ートであって、レール（１２）を把持するための一対の
   クリップ手段と、レール把持面に固定された一対の長ナ
   ット（５）と、先端がレール側面を支持するため上記長
   ナットに螺合し貫通する一対の可動ボルト（６）とを有
   することを特徴とするレール固定用ベースプレート。
2. 【請求項２】 クリップ手段が、クリップ部材（２）と
   取り付けボルト（３）及び取り付けナット（４）によっ
   て構成されたことを特徴とする請求項１に記載のレール
   固定用ベースプレート。