JP3046135B2 - バーナ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、家庭用や小型業務用等
の小型の燃焼装置に用いられるバーナ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】各種燃焼装置に於けるバーナの燃焼ガス
中の窒素酸化物（ＮＯｘ）は、それ自体に毒性があるば
かりか、酸性雨や光化学スモッグの原因の一つとみられ
ているため、燃焼装置に使用するバーナには、このＮＯ
ｘの発生量を低減するために種々の対策が開発され、講
じられている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来こ
れらの対策は、法的な規制がある産業用等の大型の燃焼
装置に対して主になされており、家庭用や小型業務用等
の小型の燃焼装置では、騒音等の問題があるため、必ず
しも十分な対策が施されているとはいえない。

【０００４】即ち、大型の燃焼装置では、燃焼用ファン
の静圧を大きくとれるため、燃焼用ガスや空気の流れの
制御が容易であること、バーナのレイアウトに自由度が
高いこと、騒音対策も容易であること等の利点により、
騒音に対しての対策条件が厳しくなく、また燃焼室が大
きくとれるため、いわゆる緩慢燃焼によるＮＯｘ低減対
策を施しても完全燃焼させ易いという利点があるのに対
して、小型の燃焼装置ではこれらの利点がなく、従って
小型の燃焼装置では、大型の燃焼装置と比較してＮＯｘ
低減対策が難しい。

【０００５】そこで、本発明は、燃焼の安定化、ＮＯｘ
の低減とともに、燃焼量の調節範囲の自由度を高めたバ
ーナ装置を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明のバーナ装置は、
燃料濃厚な混合気を燃焼させる単一又は複数の第１のバ
ーナと、燃料希薄な混合気を燃焼させる単一又は複数の
第２のバーナとを単位として構成され、前記第２のバー
ナの燃焼に前記第１のバーナの燃焼を種火として作用さ
せる第１のバーナ群と、燃料濃厚な混合気を燃焼させる
単一又は複数の第１のバーナと、燃料希薄な混合気を燃
焼させる単一又は複数の第２のバーナとを単位として構
成され、前記第２のバーナの燃焼に前記第１のバーナの
燃焼を種火として作用させる単一又は複数の第２のバー
ナ群と、燃料濃厚な混合気を燃焼させる単一又は複数の
第１のバーナと、燃料希薄な混合気を燃焼させる単一又
は複数の第２のバーナとを単位とし、前記第２のバーナ
群と同数又は異なる数の前記第１のバーナ及び前記第２
のバーナで構成され、前記第２のバーナの燃焼に前記第
１のバーナの燃焼を種火として作用させる単一又は複数
の第３のバーナ群と、前記第１のバーナ及び前記第２の
バーナに設けられて燃料ガスの供給を受けて前記第１の
バーナに対する燃焼濃厚な混合気、前記第２のバーナに
対する燃料希薄な混合気を形成する燃料混合手段と、燃
料ガス供給源側から比例弁を通して供給される燃料ガス
を前記第１のバーナ群の前記燃料混合手段に供給する第
１の燃料ガス供給系統と、前記燃料ガス供給源側から前
記比例弁を通して供給される燃料ガスを前記第２のバー
ナ群毎に設けた第１の開閉弁を介して前記第２のバーナ
群側の前記燃料混合手段に供給する単数又は複数の第２
の燃料ガス供給系統と、前記燃料ガス供給源側から前記
比例弁を通して供給される燃料ガスを前記第３のバーナ
群毎に設けた第２の開閉弁を介して前記第３のバーナ群
側の前記燃料混合手段に供給する第３の燃料ガス供給系
統とを備え、前記第１の開閉弁、前記第２の開閉弁の選
択開閉により燃焼させる前記第２のバーナ群又は前記第
３のバーナ群の選択と、前記第１のバーナ群、選択され
た前記第２のバーナ群及び前記第３ のバーナ群の燃焼量
を前記比例弁により加減可能にしたことを特徴とする。

【０００７】本発明のバーナ装置において、前記第１の
バーナは、前記第２のバーナを挟んで配置させたことを
特徴とする。

【０００８】また、本発明のバーナ装置において、前記
第１のバーナの燃焼量より前記第２のバーナの燃焼量を
多く設定したことを特徴とする。

【０００９】

【作用】本発明のバーナ装置は、第１のバーナ群、第２
のバーナ群及び第３のバーナ群を備えるとともに、各バ
ーナ群は単数又は複数の第１及び第２のバーナを備えて
おり、第１のバーナには燃料濃厚混合手段から濃厚な混
合気、第２のバーナには燃料希薄混合手段から希薄な混
合気が供給される。第１のバーナ群側には第１の燃料ガ
ス供給系統から燃料ガスが供給され、第２のバーナ群に
第２の燃料ガス供給系統から燃料ガスが供給され、第３
のバーナ群に第３の燃料ガス供給系統から燃料ガスが供
給されることにより、第１、第２又は第３のバーナ群は
独立した燃焼が可能である。

【００１０】そして、第２のバーナでは燃料希薄、即
ち、過剰空気の混合気の燃焼であるため、単独では火炎
の安定性が悪くなるが、この火炎に隣接して、第１のバ
ーナでは燃料濃厚な混合気による安定した火炎が得ら
れ、これが種火として作用する結果、過剰空気の火炎が
安定化し、火炎のリフトや振動燃焼を起さず、騒音の発
生も抑制されるのである。

【００１１】また、燃料濃厚な混合気の火炎により安定
化する燃料希薄な混合気の燃焼は、過剰空気の燃焼であ
るため、過剰空気の冷却作用によって火炎の温度が低温
に維持され、ＮＯｘの発生も低減する。

【００１２】そして、第２及び第３の燃料ガス供給系統
は開閉弁を備えて燃料ガスの供給を選択することがで
き、即ち、第２及び第３の燃料ガス供給系統を遮断し
て、第１の燃料ガス供給系統のみから燃料ガスの供給、
第２又は第３の燃料ガス供給系統を遮断して、第１及び
第２又は第３の燃料ガス供給系統から燃料ガスの供給、
第２及び第３の燃料ガス供給系統を開通させて第１、第
２及び第３の燃料ガス供給系統から燃料ガスの供給を行
うことができ、このような燃料ガスの選択供給に加え、
比例弁の開度調整により、燃料ガスの供給量を加減する
ことができる。この結果、第１のバーナ群の燃焼及び燃
焼量の調整から第１〜第３のバーナ群の全燃焼及び燃焼
量の調整を最大燃焼までを段階的かつ連続的に燃焼量を
加減でき、燃焼量の調節の範囲の自由度を高めることが
できる。

【００１３】そして、第２のバーナを挟んで第１のバー
ナが配置されることにより、両者の火炎を隣接させ、即
ち、第１のバーナで得られる燃料濃厚な混合気による安
定した火炎を種火として第２のバーナの火炎に作用させ
る結果、過剰空気の火炎が安定化し、火炎のリフトや振
動燃焼を起さず、騒音の発生も抑制される。

【００１４】また、第１のバーナの燃焼量より第２のバ
ーナの燃焼量を多く設定すれば、燃料濃厚な混合気の火
炎により安定化する燃料希薄な混合気の燃焼量が増大
し、過剰空気の燃焼であるため、過剰空気の冷却作用に
よって火炎の温度が低温に維持され、ＮＯｘの発生も低
減することになる。

【００１５】

【実施例】以下、本発明を図面に示した実施例を参照し
て詳細に説明する。

【００１６】図１は、本発明のバーナ装置の炎孔部の構
成の一実施例を示したもので、１ａ、１ｂは、夫々上側
にスリット状の炎孔ａ、ｂを列設した縦型扁平な単一又
は複数の第１及び第２のバーナとしてのバーナ部を示す
ものであり、これらの第１、第２のバーナ部１ａ、１ｂ
の夫々複数を交互に隣接して設置してバーナを構成して
いる。このバーナの両端にはバーナ部１ａが位置するよ
うに配置している。これらの各バーナ部１ａ、１ｂのス
リット状の炎孔ａ、ｂが夫々第１、第２の炎孔群Ａ、Ｂ
を構成しており、これらの炎孔群Ａ、Ｂにより炎孔部を
構成している。

【００１７】次に、図２は、上記炎孔部により構成した
本発明のバーナ装置の全体構成の一実施例を示す。この
実施例では、燃料ガス供給系統は、開閉弁を設けていな
い第１の燃料ガス供給系統２と、第１の開閉弁４、４’
を設けた単一又は複数の第２の燃料ガス供給系統３、
３’、第２の開閉弁４”を設けた単一又は複数の第３の
燃料ガス供給系統３”の複数系統を設けている。即ち、
第１の燃料ガス供給系統２は第１のバーナ群、第２の燃
料ガス供給系統３、３’は第２のバーナ群、第３の燃料
ガス供給系統３”は第３のバーナ群に対する燃料供給を
担当する。そして、これら第２及び第３の燃料ガス供給
系統３、３’、３”は、開閉弁４、４’、４”の選択的
な開閉により、独立して燃料ガスを遮断可能な構成であ
る。

【００１８】燃料ガス供給系統２に対応する炎孔部の範
囲では、その両端にバーナ部１ａが位置している。そし
て、この炎孔部の範囲に隣接して燃料ガス供給系統３に
対応する炎孔部の範囲では、左端部にバーナ部１ｂ、右
端部にバーナ部１ａが位置している。また、炎孔部の範
囲に隣接して燃料ガス供給系統３’に対応する炎孔部の
範囲では、右端部にバーナ部１ｂ、左端部にバーナ部１
ａが位置しており、同様に、この炎孔部の範囲に隣接し
て燃料ガス供給系統３”に対応する炎孔部の範囲では、
右端部にバーナ部１ｂ、左端部にバーナ部１ａが位置し
ている。

【００１９】各燃料ガス供給系統２、３、３’、３”は
燃料混合手段５を経て各バーナ部１ａ、１ｂに燃料ガス
と空気の混合気を供給する構成としており、これらの燃
料混合手段５は、バーナ部１ａに混合気を供給する燃料
濃厚混合手段５ａとバーナ部１ｂに混合気を供給する燃
料希薄混合手段５ｂとから構成されている。これらの燃
料混合手段５には、ブンゼンバーナ、その他の予混合バ
ーナに用いられる適宜の構成を適用することができる。
この実施例では、ノズル６から混合管７内に燃料ガスを
噴出して、その噴出エネルギ又は送風機により混合管７
内に吸引される空気と混合させる構成としており、この
ノズル６の噴出口径等を調節して燃料ガスと空気の混合
割合を調節可能に構成している。したがって、上記燃料
混合手段５にこのような調節を行うことにより、バーナ
部１ａに対応する燃料濃厚混合手段５ａ及びバーナ部１
ｂに対応する燃料希薄混合手段５ｂを容易に構成するこ
とができる。

【００２０】以上の構成に於いて、開閉弁４、４’、
４”が開の場合には、燃料ガス供給系統２、３、３’、
３”の全てから燃料ガスが供給され、夫々の燃料混合手
段５を経て全てのバーナ部１ａ、１ｂに燃料ガスと空気
の混合気が供給されて燃焼に供される。即ち、燃料ガス
供給系統２を流れる燃料ガスは、この系統２のバーナ部
１ａ、１ｂに対応する燃料混合手段５ａ、５ｂを構成す
るノズル６から各バーナ部１ａ、１ｂの混合管７内に噴
出して、同時に吸引される空気と混合して炎孔群Ａ、Ｂ
に至り、各炎孔ａ、ｂから噴出して燃焼に供される。こ
の際、バーナ部１ａに対応する燃料混合手段５ａは、上
述した調節により燃料濃厚な混合気を生成し、また、バ
ーナ部１ｂに対応する燃料混合手段５ｂは燃料希薄な混
合気を生成する。燃料ガス供給系統３、３’、３”に対
応するバーナ部１ｂに関しても、バーナ部１ａには燃料
濃厚な混合気、バーナ部１ｂには燃料希薄な混合気が供
給される。

【００２１】例えば、これらの混合気の空気比は、理論
空気量λ＝１とすると、燃料濃厚な混合気ではλ≒０．
４、燃料希薄な混合気ではλ≒１．２〜１．５となるよ
うにする。また、バーナ部１ａ、１ｂに供給する燃料ガ
ス量の比は、例えば、第１のバーナ部１ａ：第２のバー
ナ部１ｂ＝３：７程度というように、バーナ部１ｂに供
給する燃料ガス量の方をバーナ部１ａに供給する燃料ガ
ス量よりも多くする。

【００２２】以上のような混合気の供給により、図２の
実線及び二点鎖線に示すように、バーナを構成する全て
のバーナ部１ａの炎孔群Ａ上に、燃料濃厚な混合気の燃
焼による火炎８ａ、そして、バーナ部１ｂの炎孔群Ｂ上
には燃料希薄な混合気の燃焼による火炎８ｂが形成され
る。バーナ部１ａはバーナ部１ｂと交互に隣接し、バー
ナの両端に配置されているので、バーナ部１ｂの火炎８
ｂの両側に必ずバーナ部１ａの火炎８ａが存在する。

【００２３】バーナ部１ｂの火炎８ｂは、過剰空気の燃
焼による火炎であるため、単独では安定性が悪いが、こ
れらの火炎８ｂの両側に必ず存在するバーナ部１ａの火
炎８ａは安定した火炎であるため、これが種火としての
作用をし、これにより過剰空気の火炎８ｂが安定化され
る。したがって、バーナ部１ｂの火炎８ｂは、単独では
発生してしまうリフトや振動燃焼が起きず、騒音の発生
が抑制される。

【００２４】そして、このように燃料濃厚な混合気の火
炎８ａにより安定化される燃料希薄な混合気の燃焼は、
過剰空気の燃焼であるため、この過剰空気の冷却作用に
より火炎８ｂの温度が低温に維持されてＮＯｘの発生が
低減される。

【００２５】次に、開閉弁４を閉として燃料ガス供給系
統３による燃料ガスの供給を遮断すると、この系統３の
バーナ部１ａ、１ｂが消火して図２の実線で示す火炎に
対応するバーナ部の燃焼のみが継続する。

【００２６】次いで、燃料ガス供給系統３’による燃料
ガスの供給を遮断すると、この系統３’に対応するバー
ナ部１ａ、１ｂが消火する。そして、更に燃料ガス供給
系統３”による燃料ガスの供給を遮断すると、この系統
３”に対応するバーナ部１ａ、１ｂが消火する。

【００２７】このような何れの燃焼状態に於いても、バ
ーナ部１ｂの火炎８ｂの両側には必ずバーナ部１ａの火
炎８ａが存在するので、上述と同様に、このバーナ部１
ｂの火炎８ｂがバーナ部１ａの火炎８ａにより安定化さ
れる。

【００２８】このような安定化作用を適用するため、以
上の実施例に於いては、燃料ガス供給系統３”に対応す
るバーナ部１ａ、１ｂが燃焼状態に於いて、燃料ガス供
給系統３’に対応するバーナ部１ａ、１ｂを消火するこ
とはできない。

【００２９】このようにして、バーナ部１ａの火炎８ａ
によるバーナ部１ｂの火炎８ｂの安定化作用を阻害する
ことなく燃焼させる炎孔面積をステップ的に変化させる
ことができ、比例制御等の周知の燃焼量の制御手法を併
用することにより、広い範囲に渡る燃焼量の調節を行う
ことができる。上述した実施例では、炎孔面積は４段で
ステップ的に変化させることができるが、これ以上の段
数でステップ的に変化可能な構成とすることもでき、最
少段数の構成として２段のみステップ的に変化させる構
成とすることもできる。この構成は上述した実施例に於
いて、燃料ガス供給系統２、３及びこれらに対応するバ
ーナ部１ａ、１ｂ、又は、燃料ガス供給系統２、３’及
びこれらに対応するバーナ部１ａ、１ｂのみにより構成
することができる。

【００３０】次に、図３、図４は、本発明のバーナ装置
の炎孔部の構成の他の実施例を示すもので、この実施例
のバーナでは、バーナ部１ａは上側にスリット状の炎孔
ａを設けた先端噴出部９を細く形成して、側壁１０との
間に空間部を構成しており、また、バーナ部１ｂは先端
部にリボン１１を設置して多数の炎孔ｂを形成してい
る。図４に示すように、バーナ部１ａの先端噴出部９の
横側には必要に応じて袖火炎孔１２を形成することがで
きる。

【００３１】次に、図５は、本発明のバーナ装置の炎孔
部の構成の他の実施例を示すもので、この実施例のバー
ナでは、図３、図４の構成に於けるバーナ部１ａのスリ
ット状の炎孔ａに代えて、バーナ部１ｂと同様に先端部
にリボン１３を設置して多数の炎孔ａを形成するととも
に、袖火炎孔１２、外側に間隔を置いて袖火形成用の側
壁７を構成したものである。

【００３２】以上の構成のバーナ装置に於いては、図
１、図２の構成と同様な上述した作用に加え、リボン１
１、１３により構成した炎孔ａ、ｂに於ける混合気の整
流作用により騒音の発生をより低減することができ、ま
た、バーナ部１ａに袖火１４を形成するものに於いて
は、バーナ部１ａの火炎８ａ自体、バーナ部１ｂの火炎
８ｂの安定化を更に図ることができる。

【００３３】次に、図６は、本発明のバーナ装置の炎孔
部の構成の他の実施例を示すもので、この実施例のバー
ナでは、多数の炎孔をセラミック板１５により形成して
いる。即ち、このセラミック板１５には、多数の炎孔を
直線状に列設して第１、第２の炎孔群Ａ、Ｂを構成して
おり、これらの炎孔群Ａ、Ｂを交互に列設している。炎
孔群Ｂの炎孔ｂは、炎孔群Ａの炎孔ａよりも径を小さく
し、しかも、数を多くした構成としている。即ち、図示
例では、炎孔群Ｂは二列に配列させた小径の多数の炎孔
ｂから構成している。

【００３４】以上の構成に於いては、炎孔群Ｂの炎孔ｂ
による燃焼は、上述した過剰空気の燃焼であるとともに
小径の多数の炎孔ｂにより細分化された燃焼であるた
め、火炎８ｂの温度がより低温に維持されてＮＯｘの発
生が更に低減される。また、この火炎８ｂは、上述の実
施例と同様に、炎孔群Ａの炎孔ａによる燃料濃厚な混合
気の火炎８ａにより安定化される結果、リフトや振動燃
焼が発生し難い。

【００３５】次に、図７は、本発明のバーナ装置に於け
るＮＯｘ排出特性の一実施例を表したものである。この
実施例は、図１に示すようなバーナ装置に於いて、燃料
濃厚な混合気の混合比を、λ＝０．４〜０．７と設定す
るとともに、全体の空気比が図中横軸に示す値となるよ
うに燃料希薄な混合気の空気比を調節して燃焼させた場
合のＮＯｘの発生量を表したものである。なお、表示の
空気比は、バーナ装置の外側に冷却用空気を流した場合
に於いて、この冷却用空気を含んだ値であり、（ ）内
の空気比がこの冷却用空気を含まない値である。また、
燃料希薄な混合気による燃焼量と燃料濃厚な混合気によ
る燃焼量の比は、７．５：２．５としている。

【００３６】また、図７に示すように、本発明のバーナ
装置では、従来の一般的なブンゼンバーナと比較してＮ
Ｏｘの発生量が大幅に低減されていることがわかる。

【００３７】また、図８は、本発明のバーナ装置に於い
て、燃料希薄な混合気を供給するバーナ部又は炎孔群の
火炎のリフト限界の一例を他のものと比較して示すもの
である。

【００３８】Ａは本発明のバーナ装置に於いて、バーナ
部１ｂまたは炎孔群Ｂの炎孔ｂにのみ燃料希薄な混合気
を供給し、バーナ部１ａまたは炎孔群Ａの燃料濃厚な混
合気の火炎８ａによる保炎を行わない場合に於けるバー
ナ部１ｂのリフト限界を示すもので、この限界はλ＝
０．７程度である。これに対して、Ｂは保炎機構を有す
る従来の一般的なブンゼンバーナに於けるリフト限界を
示すもので、この限界はλ＝１．３程度である。そし
て、Ｃは本発明のバーナ装置に於いて、バーナ部１ａ、
１ｂまたは炎孔群Ａ、Ｂの燃焼を行わせた場合に於ける
バーナ部１ｂのリフト限界を示すもので、λ＝３．０程
度である。

【００３９】このように本発明のバーナ装置では、従来
の一般的なブンゼンバーナと比較して、より高過剰空気
の燃焼を安定的に行うことができ、高過剰空気の燃焼に
よるＮＯｘの低減を図ることができる。

【００４０】また、図２において、１６は比例制御弁、
１７は元弁であり、本発明のバーナ装置はこのように、
上述したステップ的な燃焼量の制御と比例制御を併用す
ることができるものである。

【００４１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
次の効果が得られる。 ａ 単独では火炎の安定性が悪い燃料希薄な混合気によ
る過剰空気の燃焼を、燃料濃厚な混合気の燃焼による安
定した火炎で保炎するようにしたので、過剰空気の燃焼
を安定的に行うことができ、このような過剰空気の燃焼
によりＮＯｘの発生を低減することができる。過剰空気
の燃焼を安定的に行えることから、騒音の発生を抑制す
ることができ、騒音に対しての対策が厳しい小型の燃焼
装置に於いて、騒音を増大させずにＮＯｘ発生量の低減
対策を施すことができる。 ｂ 第２及び第３の燃料ガス供給系統は開閉弁の選択的
な開閉で燃料ガスの供給を選択でき、例えば、第２及び
第３の燃料ガス供給系統を遮断して、第１の燃料ガス供
給系統のみから燃料ガスの供給、第２又は第３の燃料ガ
ス供給系統を遮断して、第１及び第２又は第３の燃料ガ
ス供給系統から燃料ガスの供給、第２及び第３の燃料ガ
ス供給系統を開通させて第１、第２及び第３の燃料ガス
供給系統から燃料ガスの供給の選択供給に加え、比例弁
の開度調整により、燃料ガスの供給量を加減することが
できるので、第１のバーナ群の燃焼及び燃焼量の調整か
ら第１〜第３のバーナ群の全燃焼及び燃焼量の調整を最
大燃焼までを段階的かつ連続的に燃焼量を加減でき、過
剰空気の燃焼の安定化を阻害せずに、燃焼量の調節の範
囲の自由度を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のバーナ装置の一実施例を示した斜視図
である。

【図２】本発明のバーナ装置の一実施例を示す系統説明
図である。

【図３】本発明のバーナ装置の他の実施例を示す斜視図
である。

【図４】図３のバーナ装置の燃焼状態を説明する断面図
である。

【図５】本発明のバーナ装置の他の実施例を示す断面図
である。

【図６】本発明のバーナ装置の他の実施例を示す斜視図
である。

【図７】本発明のバーナ装置と従来のブンゼンバーナと
のＮＯｘ発生量の比較を示す図である。

【図８】本発明のバーナ装置における火炎のリフト限界
を示す図である。

【符号の説明】

１ａ 第１のバーナ部（第１のバーナ） １ｂ 第２のバーナ部（第２のバーナ） ２ 第１の燃料ガス供給系統 ３、３’ 第２の燃料ガス供給系統 ３” 第３の燃料ガス供給系統 ４、４’第１の開閉弁 ４” 第２の開閉弁 ５ 燃料混合手段 ５ａ 燃料濃厚混合手段 ５ｂ 燃料希薄混合手段 １６ 比例制御弁（比例弁）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 望月 公雄 静岡県富士市西柏原新田201番地 高木 産業株式会社内 (72)発明者 秋山 茂俊 静岡県富士市西柏原新田201番地 高木 産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平１−219406（ＪＰ，Ａ) 実開 平２−36716（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−142525（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭55−27645（ＪＰ，Ｂ２) 特公 昭55−27646（ＪＰ，Ｂ２) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F23D 14/02 - 14/10 F23C 11/00 329 - 330

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 燃料濃厚な混合気を燃焼させる単一又は
   複数の第１のバーナと、燃料希薄な混合気を燃焼させる
   単一又は複数の第２のバーナとを単位として構成され、
   前記第２のバーナの燃焼に前記第１のバーナの燃焼を種
   火として作用させる第１のバーナ群と、 燃料濃厚な混合気を燃焼させる単一又は複数の第１のバ
   ーナと、燃料希薄な混合気を燃焼させる単一又は複数の
   第２のバーナとを単位として構成され、前記第２のバー
   ナの燃焼に前記第１のバーナの燃焼を種火として作用さ
   せる単一又は複数の第２のバーナ群と、 燃料濃厚な混合気を燃焼させる単一又は複数の第１のバ
   ーナと、燃料希薄な混合気を燃焼させる単一又は複数の
   第２のバーナとを単位とし、前記第２のバーナ群と同数
   又は異なる数の前記第１のバーナ及び前記第２のバーナ
   で構成され、前記第２のバーナの燃焼に前記第１のバー
   ナの燃焼を種火として作用させる単一又は複数の第３の
   バーナ群と、 前記第１のバーナ及び前記第２のバーナに設けられて燃
   料ガスの供給を受けて前記第１のバーナに対する燃焼濃
   厚な混合気、前記第２のバーナに対する燃料希薄な混合
   気を形成する燃料混合手段と、 燃料ガス供給源側から比例弁を通して供給される燃料ガ
   スを前記第１のバーナ群の前記燃料混合手段に供給する
   第１の燃料ガス供給系統と、 前記燃料ガス供給源側から前記比例弁を通して供給され
   る燃料ガスを前記第２のバーナ群毎に設けた第１の開閉
   弁を介して前記第２のバーナ群側の前記燃料混合手段に
   供給する単数又は複数の第２の燃料ガス供給系統と、 前記燃料ガス供給源側から前記比例弁を通して供給され
   る燃料ガスを前記第３のバーナ群毎に設けた第２の開閉
   弁を介して前記第３のバーナ群側の前記燃料混合手段に
   供給する第３の燃料ガス供給系統と、 を備え、前記第１の開閉弁、前記第２の開閉弁の選択開
   閉により燃焼させる前記第２のバーナ群又は前記第３の
   バーナ群の選択と、前記第１のバーナ群、選択 された前
   記第２のバーナ群及び前記第３のバーナ群の燃焼量を前
   記比例弁により加減可能にした ことを特徴とするバーナ
   装置。
2. 【請求項２】 前記第１のバーナは、前記第２のバーナ
   を挟んで配置させたことを特徴とする請求項１記載のバ
   ーナ装置。
3. 【請求項３】 前記第１のバーナの燃焼量より前記第２
   のバーナの燃焼量を多く設定したことを特徴とする請求
   項１記載のバーナ装置。