JP2916958B2 - ガスバーナ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、１次空気の吸引比が
小さい濃混合気の炎孔と１次空気の吸引比が大きい希薄
混合気の炎孔とを組み合わせて燃焼させるようにしたガ
スバーナの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種のバーナは小型で強い火力を得る
ことができるため、湯沸器などの機器に多く用いられる
ようになっている(例えば実開平２−３６７１５号公
報、実開平２−１１５６２７号公報等参照)。しかし、
上記公報の前者では濃混合気生成用の空気通路と希薄混
合気生成用の空気通路とを分割して設けているため、装
置が大型化すると共に構造も複雑になりやすいという問
題点がある。

【０００３】また上記公報の後者では濃混合気用と希薄
混合気用のガス通路を共通にし、希薄混合気用の空気通
路をその間に設ける構造であるため、希薄混合気の炎孔
が外側に位置したり、希薄混合気の炎孔同士が並んだり
することになり、レイアウトが制約されて燃焼に最適な
配置で炎孔を設けることが困難となる。更にガス通路が
共通であるために、ガス量が絞られて濃混合気の燃焼に
よる保炎作用が低下した場合でも希薄混合気の炎孔から
高吸引比の混合気が速い速度で流出して燃焼が不安定に
なるので、最小火力を下げてＴＤＲ(インプット量の最
大／最小比)を大きくすることが困難になると共に、未
燃焼分が発生しやすくなるという問題点も予想される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】この発明はこのような
点に着目し、燃焼性能のよいバーナを小型且つ簡単な構
造で実現することを課題としてなされたものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上述の課題を達成するた
めに、この発明では、所定のダンパーとノズルの組み合
わせにより１次空気の吸引比が小さい混合気を生成する
ように構成された複数個の濃混合気用混合部、及び所定
のダンパーとノズルの組み合わせにより１次空気の吸引
比が大きい混合気を生成するように構成された複数個の
希薄混合気用混合部、を共通の空気供給室に配置し、各
混合部にそれぞれのダンパーを介して空気を供給するよ
うに構成している。また、上記の構成において、各希薄
混合気用混合部へのガス供給路に閉止弁を設けている。

【０００６】

【作用】共通の空気供給室から各混合部に空気が供給さ
れ、それぞれのダンパーとノズルの組み合わせにより所
定の吸引比で混合気が生成されるので、混合部の配置が
空気通路やガス通路によって制約されることがない。ま
た、閉止弁により希薄混合気用混合部へのガス供給を止
めた場合には、希薄混合気の炎孔からは濃混合気に対す
る２次空気が供給されてブンゼン式バーナによる通常の
予混合燃焼の状態となり、最小火力を下げることが容易
となる。

【０００７】

【実施例】次に図示の実施例について説明する。図１は
第１の実施例の要部の構造を模式的に示す図であり、１
はガス供給管、２は送風機、３ａは濃混合気用混合部、
３ｂは希薄混合気用混合部、４は熱交換器、５は外胴で
ある。複数の濃混合気用混合部３ａと希薄混合気用混合
部３ｂは交互に配置されており、各混合部の下部には固
定式のダンパー６ａまたは６ｂがそれぞれ形成され、こ
れに対応してガス供給管１に接続されたノズル７ａまた
は７ｂがそれぞれ配置されている。

【０００８】ダンパー６ａと６ｂの開口比は異なり、各
ノズル７ａまたは７ｂとの組み合わせによって混合部３
ａには小量の１次空気が吸引され、混合部３ｂには大量
の１次空気が吸引されるようにしてある。各混合部の吸
引比は、例えば混合部３ａ側では４０〜１００％、混合
部３ｂ側では１００％以上に選定されている。各混合部
３ａ，３ｂの実際の構造は、例えば図２のように折れ曲
がった混合管３１の上面に複数個の炎孔３２を配列した
扁平な形状であり、これを最外側に混合部３ａが位置す
るように重ねてユニット化することにより混合部の集合
体３３が形成されている。そしてこの集合体３３が外胴
５の内部に配置され、集合体３３の下部は送風機２から
空気が送り込まれる１個の空気供給室８となっている。

【０００９】この実施例は上述のような構成であり、燃
焼時には空気供給室８からそれぞれのダンパー６ａ，６
ｂを経て各混合部３ａ，３ｂに空気が供給され、またそ
れぞれのノズル７ａ，７ｂからガスが噴射され、上記に
例示したような所定の吸引比で濃混合気と希薄混合気が
生成される。この混合気が各炎孔３２から噴出して燃焼
するのであるが、混合部３ａからの濃混合気は混合部３
ｂからの希薄混合気中の空気の一部を２次空気として利
用しながら比較的炎孔に近い部分で燃焼して炎９ａを生
じ、混合部３ｂからの希薄混合気は炎９ａによる保炎作
用を受けながら比較的炎孔から遠い部分で燃焼して炎９
ｂを生ずる。なお、集合体３３の周囲の外胴５との間は
燃焼促進用の空気通路１０となっているが、各混合部３
ａ，３ｂ間に若干の隙間を設けてこれを空気通路とする
こともできる。

【００１０】このように、ブンゼン式バーナの構造によ
って濃混合気の燃焼と希薄混合気の燃焼を組み合わせた
燃焼装置が実現され、空気供給室８が共通で全体として
小型化されると共に構造が簡単なものとなる。また各混
合部３ａ，３ｂが独立しているのでガスと空気は所定の
空気吸引比で良好に混合され、燃焼性能が高くＴＤＲの
大きなバーナを得ることができるのであり、燃焼騒音も
低減される。

【００１１】図３は第２の実施例であり、図１の構造の
ものに対してガス供給管１を混合部３ａ用の分岐路１ａ
と混合部３ｂ用の分岐路１ｂとに分岐させ、分岐路１ｂ
に閉止弁１１を設けた点が異なっている。この閉止弁１
１は火力をある値以下に下げた場合に閉じて混合部３ｂ
へのガス供給を止めるものであり、これにより、混合部
３ｂの炎孔からは空気のみが噴出してこれが混合部３ａ
から噴出する濃混合気の２次空気として利用されること
になる。従って、この場合には燃焼の安定した通常の予
混合燃焼が行われることになり、ガス量を十分絞って最
小火力を下げることが容易となるのでＴＤＲ性能を一層
向上することができ、火力調整範囲が広くて使いやすい
バーナを得ることが容易となるのである。

【００１２】

【発明の効果】上述の実施例から明らかなように、この
発明は、共通の空気供給室に複数個の濃混合気用混合部
と複数個の希薄混合気用混合部を配置し、各混合部に設
けたそれぞれのダンパーとノズルの組み合わせにより所
定の空気吸引比を持つ濃混合気と希薄混合気を各混合部
ごとに生成して燃焼させるようにしたものである。

【００１３】従って、濃混合気用と希薄混合気用に空気
通路を分割する必要がなく、燃焼装置が小型化されると
共に構造が簡単となるので低コスト化が可能となる。ま
た、炎孔のレイアウトが制約されることがないので、実
施例のように濃混合気の炎孔と希薄混合気の炎孔とを交
互に並べるなど燃焼に最適な配置で炎孔を組み合わせる
ことが容易となる。また、空気吸引比はダンパーとノズ
ルの組み合わせで決まるので混合を適正にしかも所定の
吸引比で行うことができ、広い火力調整範囲で安定した
燃焼を行わせることができる。しかも、それぞれの混合
部の空気吸引比を他と関係なく独立に調節できるため、
燃焼性能の一層の向上も可能となり、ガスの種類やイン
プット量の変更などにも容易に対応することができる。

【００１４】また、各希薄混合気用混合部へのガス供給
路に閉止弁を設けたものでは、小火力時に濃混合気用混
合部のみにガスを供給してブンゼンバーナによる予混合
燃焼の状態とすることができ、火力調整範囲が広くて使
いやすいバーナを得ることに効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例の要部の構造を示す概略図
である。

【図２】同実施例の混合部の側面図と要部の斜視図であ
る。

【図３】別の実施例の要部の構造を示す概略図である。

【符号の説明】

１ ガス供給管 ２ 送風機 ３ａ 濃混合気用混合部 ３ｂ 希薄混合気用混合部 ６ａ，６ｂ ダンパー ７ａ，７ｂ ノズル ８ 空気供給室 １１ 閉止弁 ３１ 混合管

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定のダンパーとノズルの組み合わせに
   より１次空気の吸引比が小さい混合気を生成するように
   構成された複数個の濃混合気用混合部、及び所定のダン
   パーとノズルの組み合わせにより１次空気の吸引比が大
   きい混合気を生成するように構成された複数個の希薄混
   合気用混合部、を共通の空気供給室に配置し、各混合部
   にそれぞれのダンパーを介して空気を供給するように構
   成したことを特徴とするガスバーナ。
2. 【請求項２】 希薄混合気用混合部へのガス供給路に閉
   止弁を設けた請求項１記載のガスバーナ。