JP3045174B2 - 穀物の搖動選別機 - Google Patents

穀物の搖動選別機

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拓 石田
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、穀物の搖動選別機に関するものである。
(従来の技術) 傾斜させた選別網を水平方向に搖動させるようにした
穀物選別機として、従来、特公昭64−6829号記載のもの
が知られている。
この選別機は、供給側を高く排出側を低くした選別網
を設けた上部搖動枠と下部搖動枠を、その供給側端部に
取付けの水平円運動付与機構によって搖動させるように
しているとともに、選別網の下にはさらに下網を設け、
両網間に目詰防止球を入れた構造のものである。
(発明が解決しようとする課題) しかし、上記従来の選別機は、選別網の搖動が、その
供給側を水平円運動とし、排出側を前後運動となるよう
にしているため、供給と同時に横方向の搖動作用が強く
働き、拡散には効果が高いものの、籾に比べて流動性の
高い玄米や白米においては、かえって、混入する小米等
が表面に浮き上ったり、或は中間に混入したまま流下す
ることとなって、選別効率を低下させることになる、と
いう問題がある。
また、上記選別機では、選別枠の底面と選別網の下方
にさらに下網を設け、その間に目詰防止球を入れている
ものであるが、目詰防止球は平面状の下網に乗ったもの
であるため、水平方向のみの搖動運動では、球に上下方
向の動きを与えにくく、そのため、選別網に対して充分
な衝撃作用を与えることができないという欠点がある。
本発明は、上記従来の搖動選別機における問題点を解
決するためになされたもので、選別枠の搖動運動を、そ
の供給側が前後動となり、排出口側を円運動乃至は楕円
運動となるようにするとともに、水平方向の搖動運動で
あっても、目詰防止球が不特定の上下動を生じ、選別網
全面に対して衝撃作用が与えられるようにして、選別効
率が高く、選別網の目詰りを確実に防止することがで
き、しかも、構造も簡単化され安価に製作できるように
した、搖動選別機を提供しようとするものである。
(課題を解決するための手段) 上記の目的を達成するための本発明の構成について、
実施例に対応する図面を参照して説明すると、本発明
は、フレーム1に、後部を前後方向に移動自在に支持す
るとともに、前部を偏心軸9によって水平円運動させる
揺動付与装置4に結合した揺動枠2に、上面に間隔を保
って多数の凹凸20を設けた底板16の上方に選別網6を張
設けるとともに、底板16と選別網6との間に目詰防止球
23を収納した選別枠体5を、後部である供給側を高く前
部である排出側を低く傾斜し、かつ、選別枠体5の前後
方向のほぼ中央部を上記揺動付与装置4の上方に位置し
て設けたことを特徴とするものである。
(作用) 上記の選別機において、選別すべき原料穀物、例えば
米粒は、ホッパー27より選別枠体5の後端部である供給
側に供給され、分散板18により傾斜した選別網6上へと
拡散されることになる。選別枠体5は、その中間部が、
搖動付与装置4の偏心軸9により水平円運動されるが、
その後部である供給側は、ガイド軸15とガイド体13の長
溝14との係合によって、ほぼ前後方向へ移動するように
されているので、選別枠体5に張設された選別網6の運
動は、第3図に示すように、その中間部は円運動となる
が、その供給側は前後動となり、また排出側は横長の楕
円状に動くことになる。そのため、供給側においては、
前後動による米粒への流下と引戻し作用が働き、流下作
用においては、米粒の動きが速く、引戻し(引き上げ)
作用においては米粒の動きが遅くなるような働きとな
る。そうすれば、整流は転がりやすいため動きが大き
く、小米や砕米は不整形であるため動きが小さくなっ
て、その動きが繰返されるうちに、整流は上面を流下
し、小米や砕米は沈下して選別網面に接して流下し、網
目を通して底板16上に選別、落下することになる。
このように供給側より流下しながら選別、分離作用を
受けてきた米粒は、排出側に近くなるにつれ小米の混入
が少なくなってゆき、次第に米粒中よりの小米の選別は
しにくい状態となる。しかし、選別網6は、排出側に移
るにつれ、次第に円運動へそして横長の楕円運動へと変
わって行き、米粒の横方向への動きを大きくして分散さ
れ、米粒は停滞傾向となって、選別効率は高められるこ
とになる。
そして、整粒と分離して底板16上に落下した小米や砕
米は、底板16上を流下して小米排出口19より機外に取り
出され、整粒は整粒米排出口17より機外に取り出され
る。
また、選別枠体5の底板には凹凸20,20が設けられて
いるので、各小室22に収容された目詰防止球23は、選別
枠体5の搖動運動によって、はね上げを繰り返し、選別
網6に衝撃を与えて網目に小米等が詰まることを防止す
ることになる。
(実施例) 以下、本発明選別機の実施例について、図面を参照し
て説明する。
第1図、第2図において、1はフレーム、2はモータ
3により回転する搖動付与装置4により水平方向に搖動
されるように、フレーム1内に配設された搖動枠で、こ
の搖動枠2内には選別網6を備えた選別枠体5が設けら
れている。
搖動付与装置4は、フレーム1の前部に取付けられた
軸筒7に、モータ3により回転される垂直軸8が支持さ
れ、その上端に垂直軸8と偏心させた偏心軸9を突設し
ており、この偏心軸9は、搖動枠2の前部の巾方向中央
部に設けた軸受10に軸装されている。また、フレーム1
の後部には、搖動枠2の後部の下面両側部を載置する支
持体11,11が設けられ、搖動枠2の後部はその下面を支
持体11,11に設けたコロ12,12を介して水平方向に遊動自
在に支持されている。さらに、搖動体2の後部の下面中
央部には、搖動体2の長手方向(前後方向)に沿う長溝
14を設けたガイド体13が設けられ、その長溝14には、フ
レー1に立設されたガイド軸15が係合されている。
選別枠体5は、箱状に形成されており、その底板16と
所要距離隔てた上方位置には、選別網6が張設され、排
出側である選別網6の前方には整粒米(良米)の排出口
17が設けられ、供給側である選別網6の後部には平面山
形の分散板18が設けられている。また、底板16の前端部
には小米排出口19が設けられ、底板16の上面には多数の
突起或は突条等の凹凸20,20が設けられているととも
に、底板16と選別網6との間には多数の区分板21,21に
よって、上下が互いに連通した小室22,22に区切られ、
それら小室22,22内には目詰防止球23,23が収容されてい
る。そして、上記の選別枠体5は、搖動枠2に前方の排
出側が低く後方の供給側が高くなるよう傾斜させ、その
前後方向のほぼ中央部を上記揺動付与装置の上方部に位
置させるとともに、その前部が揺動枠2より前方に突出
して配置され、その前部が搖動枠2の前部に水平軸24,2
4により回動自在に取付けられ、その後部は長孔25と止
ネジ26,26の係合とによって、上下に移動自在に取付け
られ、その傾斜角度が調節できるようになっている。そ
して、選別枠体5の供給側である後端部の上方には、選
別する穀類供給用のホッパー27が配設され、ホッパー27
の下端開口部28にはレバー29により開閉するシャッタ30
が設けられている。また、このホッパー27は、第2図に
鎖線で示すように、その開口部28は選別網6のほぼ全巾
にわたるように横長に形成するのがよい。
上記のように、選別枠体5は搖動枠2に取付けられて
いるので、搖動枠2とともに運動することになる。搖動
枠2は、その後部がガイド体13の長溝14とガイド軸15と
の係合によって前後方向に移動自在に支持され、またそ
の前部は、搖動付与装置の偏心軸と係合しているので、
第3図に示すように、垂直軸8を回転すれば、偏心軸9
の円運動によって水平円運動することになり、それにと
もなって搖動枠2の後部には前後に移動されることにな
る。したがって、選別枠5全体としての運動は、その後
部から前部に至るにつれて、前後運動から水平円運動へ
そして横方向に長い楕円運動へと変化されて行くことに
なる。
ホッパー27から供給された米粒は、そのように運動す
る選別網6を流下することにより、整粒と小米や砕米と
能率よく選別、分離され、整粒は選別網6の前方にある
排出口17より取り出され、小米や砕米は網目から底板16
上に落ちて流下し、排出口19より取り出されることにな
る。
本発明における選別網6の運動の特徴は、従来機にお
ける選別網6の運動とは反対に、その供給側の方が前後
動し、排出側の方になるにつれ次第に横方向への運動が
大きくなって行くようにしていることである。そのた
め、米粒選別の初期においては、米粒の流下と引き戻し
作用によって、整粒と小米等との網上での上下分離がな
されて選別が促進されることになり、選別が進んできた
選別網6の中央部から前部においては、横移動の増進に
よって網上への滞留が多くなって選別が十分に行なわれ
ることになるのである。
上記の選別作用の効果は、多くの実験を重ねて確認し
ているところである。それによれば、選別効率は選別網
6の搖動運動の軌跡によって異なってくるもので、その
運動は選別網6に対するガイド軸15及び偏心軸9の関係
位置及び偏心軸9による円運動振巾に関係する。
それで、偏心軸9による円運動の振巾(径)をdと
し、選別網6の排出側先端においての楕円の最大振巾を
Dとすると、上記dとDとの関係が1:1.2〜2.0の範囲と
なるようにするのが好ましく、そのような関係が生ずる
ように、選別網6に対する垂直軸8とガイド軸15の位置
を設定するのがよい。そうすれば、それら位置関係は、
選別網6のガイド軸15の接点から先端までをLとする
と、垂直軸8の位置を先端から1/2L〜1/3Lの範囲に設定
するのがよいことになる。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明の搖動選別機は、上面に
多数の凹凸を設けた底板の上方に送別網を張設けるとと
もに、底板と選別網との間に目詰防止球を収容した選別
枠体を、搖動枠に、後部である供給側を高く前部である
排出側を低く傾斜して取付け、フレームに該搖動枠の後
部を前後方向に移動自在に支持するとともに、搖動枠の
前部を偏心軸によって水平円運動させる搖動付与装置
に、結合した構成のものであるから、次のように多くの
優れた効果を奏するものである。
(1)選別網は、搖動付与装置の偏心軸の回転とガイド
軸とによって、米粒の供給側から排出側にかけて前後
動、水平円運動、水平楕円運動と順次その動きが変化す
るようになるので、米粒に対する流下と引戻し作用によ
り整流と小米や砕米との分離、選別が促進され、選別初
期における選別効率が向上されるとともに、選別の中期
から終期にかけては横方向の動きが増すことにより、選
別もれを防止でき、全体として優れた選別効果が得られ
ることになる。
(2)選別枠体の搖動により、底板と選別網間に収容し
た目詰防止球は底板の凹凸に当たりよくはね上って選別
網に衝撃を与えることができ、したがって網の目詰り防
止効果が良好である。
(3)従来の搖動選別機では、底板と選別網との間に下
網を設けた構造となっているが、本発明では、そのよう
な下網を設ける必要がなく、それだけ構造が簡易化さ
れ、製作費の低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示した側断面図、第2図は
同平断面図、第3図は選別網の運動軌跡図である。 1……フレーム,2……搖動枠, 4……搖動付与装置,5……選別枠体, 6……選別網,8……垂直軸, 9……偏心軸,13……ガイド体, 14……長溝,15……ガイド軸, 16……底板,17……整粒排出口, 19……小米等排出口,20……凹凸, 22……小室,23……目詰防止球, 24……水平軸,25……長孔, 26……止ネジ,27……ホッパー

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フレームに、後部を前後方向に移動自在に
    支持するとともに、前部を偏心軸によって水平円運動さ
    せる揺動付与装置に結合した揺動枠に、上面に間隔を保
    って多数の凹凸を設けた底板の上方に選別網を張設ける
    とともに、底板と選別網との間に目詰防止球を収納した
    選別枠体を、後部である供給側を高く前部である排出側
    を低く傾斜し、かつ、選別枠体の前後方向のほぼ中央部
    を上記揺動付与装置の上方に位置して設けたことを特徴
    とする、穀物の揺動選別機。
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