JP3044930B2 - 像振れ補正装置 - Google Patents

像振れ補正装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は手振れによる結像面上の像振れを
抑制する像振れ補正装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の像振れ補正装置は種々提
案されており、その代表的なものは、振れ検知装置によ
りカメラに生じた手振れ振動を検知し、この検知信号に
基づいて撮影光学系内の振れ補正光学素子を変位させ、
像振れを解消させるもので、図9はその概略構成を示し
たものである。
【0003】図9において、凸レンズ群1及び凹レンズ
群2より成るアフォーカル光学系の後方に、凸レンズ群
3より成る振れ補正光学系が配置されている。この補正
光学系3は光軸偏心手段としてのレンズ枠4に保持さ
れ、このレンズ枠4は固定枠5に対して光軸に垂直な平
面内において2次元方向に移動可能に支持されている。
そして補正光学系3の移動により結像面6上の像が移動
する。
【0004】カメラの触れを検出する角変位計7は、カ
メラに生じた角度振れ、すなわち角変位信号θを出力す
る。この角変位信号θは係数変換器8で像振れ補正変位
信号dに変換され、この像振れ補正変位信号dはオペア
ンプ11を介してアクチュエータ9に供給される。アク
チュエータ9は供給された像振れ補正変位信号dによっ
て、前述のレンズ枠4をシフト駆動される様に動作す
る。
【0005】前記レンズ枠4の実際の位置変位を検出す
る位置検出手段を構成している位置検出センサ10は、
この位置検出センサ10からの信号dL をオペアンプ1
1を介してアクチュエータ9の入力系にフィードバック
させて、レンズ枠4及び補正光学系3の駆動制御を振動
変位に対応させるフィードバックループを構成させてい
る。
【0006】以上の構成によって、手振れによる像振れ
を解消するように、レンズ枠4が駆動されるため、像振
れ補正する事ができる。
【0007】なお、像振れの原因となる手振れは、上下
方向(ピッチ方向)と左右方向(ヨー方向)の2成分に
分けられるので、前記角変位計7ないしオペアンプ11
も2組用意され、カメラのピッチ振れとヨー振れを補正
する様に構成されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例では、補正光学系3が光軸に対してある範囲、例え
ば±d0 の範囲を移動可能に構成されているので、レン
ズ枠4と固定枠5の間には最低d0 のすきまを設けてお
く必要があり、結像に関与しない不要光線Lがすきまd
0 を通過して結像面6へ達する恐れがある。
【0009】ただし、従来例の様に焦点距離が不変のシ
ングルレンズでは、上記不要光線Lが結像面6に到達し
ない様なレンズ構成とする事は比較的容易であるが、ズ
ームレンズでは上記不要光線が結像面6に到達してしま
う可能性が大きい。
【0010】図10はズームタイプの像振れ補正光学系
で、wideからTeleへのズーム操作で第1レンズ
群ないし第3レンズ群が図の様に移動する一方、第4レ
ンズ群と絞り12は固定である。そして、第2レンズ群
のシフト駆動により、結像面6上の像を移動させて像振
れを補正する。
【0011】なお、第2レンズ群はズーム操作で光軸方
向に移動するので、レンズ枠4、固定枠5及びアクチュ
エータ等の機構部材も一体となって光軸方向に移動す
る。
【0012】ここで、レンズ枠4と固定枠5の間を通過
する不要光線はWide端ではLW、Tele端ではLT
となる。そして、LW は結像面6の外側へ達し、LT
は不図示の第3レンズ群保持枠にて遮断され、いずれの
場合も結像面6には到達しない。
【0013】ただし図10は補正光学系3が原点に位置
した場合の不要光線を示しており、仮にこの時の不要光
線が結像面に到達していなくても、像振れ補正時に補正
光学系3がシフト駆動されると、シフト方向とは反対側
のすきまが大きくなり、前記不要光線LW あるいはLT
が結像面に到達してゴーストを生じてしまうという問題
点が生ずる。
【0014】また、この不要光線LW あるいはLT は像
振れ補正光学機構内に迷光となって侵入し、後述する補
正光学系の位置検出手段である受光素子に入射してその
出力にエラーを生じさせ、像振れ補正精度を低下される
という問題点も発生させる。
【0015】本発明は上記のような問題点を解消した像
振れ補正装置を得ることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の像振れ補正装置
は、撮影光学系の振れによる像振れを補正する補正光学
系と、該補正光学系を保持するレンズ保持枠と固定枠と
を有し、該レンズ保持枠を該固定枠に対して、撮影光軸
と垂直な面内で移動可能に支持しており、該レンズ保持
枠を移動させて、像振れ補正を行う像振れ補正装置にお
いて、該固定枠に該レンズ保持枠の径より小さな内径を
持つ遮光部材を設け、該遮光部材は該レンズ保持枠が所
定の方向に移動したときに該所定の方向と逆の方向では
該レンズ保持枠で該遮光部材の内径を通過した光束を遮
光するように構成していることを特徴としている。
【0017】
【実施例】図1ないし図4に本発明の第1実施例を示
し、図1は本発明の特徴を最もよく表わす図面であり、
図1において、補正光学系21を保持するレンズ保持枠
22は、その腕状突部22a,22bに固設されたポリ
アセタール樹脂等のすべり軸受け23pを介して、中間
アーム25の突部25aに固着されているピッチスライ
ド軸24p上を摺動できる様になっている。
【0018】中間アーム25は他の突部25b,25c
に固設されたすべり軸受23yを介して、ヨースライド
軸24y上を摺動する。このヨースライド軸24yはヨ
ー軸保持台26に固着され、このヨー軸保持台26は固
定枠27に固着される。
【0019】上記レンズ保持枠22の突部22cにはピ
ッチガイドピン28pが植設され、このピッチガイドピ
ン28pが中間アームのガイド溝25dと嵌合しながら
ピッチ方向に摺動するので、レンズ保持枠22の倒れが
防止され、ピッチ方向の平行移動のみが許容される。
【0020】固定枠27の凹部27aにはヨーガイドピ
ン28yが台座29を介して固設され、中間アーム25
のガイド溝25eと嵌合する。よって中間アーム25は
倒れが防止され、ヨー方向の平行移動のみが許容され
る。
【0021】以上の構成により、レンズ保持枠22は中
間アーム25に対してピッチ方向に摺動可能となり、中
間アーム25は固定枠27に対してヨー方向に摺動可能
となるので、レンズ保持枠22及び補正光学系21は固
定枠27に対して、ピッチ方向、ヨー方向のいずれに対
しても移動可能となり、かつそれ以外の方向への運動は
阻止される。
【0022】次にレンズ保持枠22のピッチ方向、ヨー
方向の変位検出機構について説明する。レンズ保持枠2
2の突部22dに設けられた穴22eには、スリット3
0p、集光レンズ31p、赤外発光ダイオード(IRE
D)32pが埋設され、IRED32pに対向した固定
枠27上にはピッチ方向の位置検出素子(PSD)33
pが設置されている。
【0023】そして、IRED32pから投光された近
赤外光がスリット30pを通過してPSD33p上に投
射され、このPSD33pは投射光の位置に応じた信号
を出力するので、レンズ保持枠22のピッチ方向の変位
が検出される。同様にレンズ保持枠22の対角側突起2
2fの穴22gに埋設されたスリット30y、集光レン
ズ31y、IRED32yと、固定枠27上のPSD3
3yとにより、レンズ保持枠22のヨー方向変位を検出
する。
【0024】次にレンズ保持枠22のピッチ方向、ヨー
方向の駆動力発生機構について説明する。レンズ保持枠
22にはコイル34p,34yが固設され、固定枠27
にはヨーク35p,35y及び永久磁石36p,36y
で構成された磁気回路がネジ37p,37yにより固定
されている。そして、磁気回路のギャップに挿入された
コイル34p,34yに通電する事によりレンズ保持枠
22にピッチ方向、ヨー方向の推力を与える。
【0025】フレキシブルプリント基板38はIRED
32p,32yの駆動回路、PSD33p,33yの信
号処理回路、コイル34p,34yの駆動制御回路を含
み、ネジ37p,37yを用いて固定枠27に取付られ
る。
【0026】なお、IRED32p,32y及びコイル
34p,34yは移動体であるレンズ保持枠22に固着
されるため、可撓性給電ワイヤ39p,39y,40
p,40yを介して、フレキシブルプリント基板38の
裏面側に配線される。
【0027】一方、PSD33p,33yは固定部であ
る固定枠27上に配置されているので、PSD33p,
33yのリード部がフレキシブルプリント基板38の穴
38b,38cを介して該フレキシブルプリント基板の
裏面側に直接半田付される。このフレキシブルプリント
基板38はズーム操作時に補正光学機構と一体となって
光軸方向に移動するため、この移動を吸収するための屈
曲部38aを有し、この屈曲部38aを介してレンズあ
るいはカメラ本体側の回路基板に接続される。
【0028】遮光板(遮光部材)39はレンズ保持22
と固定枠27の間のすきまdS(図2参照)を通過する
有害光束を遮光すると共に振れ補正光学機構の各部品が
撮影レンズ前方から見えてしまうのを防止する。この遮
光板39はネジ40により、固定枠27上の3ケ所の突
起27d,27e,27fに取付けられる。また、遮光
板39は補正光学機構全体の剛性確保の役割も有する。
【0029】コイル34p,34yの通電により該コイ
ルはヨーク35p,35y及び永久磁石36p,36y
より成る磁気回路から力を受けるが、この磁気回路もま
た反作用によりコイル34p,34yの通電により力を
受けると、ヨーク36p,36yを支える板状の固定枠
27は撓みを生じ、機構部全体に有害な振動を生じる。
【0030】そこで、固定部27の円板部と突起部27
d,27e,27f及び遮光板39とでカゴ型構造と
し、機構部全体の剛性を高めている。また、ヨーク35
p,35yの撓みを防ぐため、ヨーク35p,35yと
遮光板39とをネジ41p,41yで結合し、より一層
の剛性アップを図っている。
【0031】以上のように構成された像振れ補正光学機
構により、補正光学系21をピッチ方向、ヨー方向に駆
動して手振れによる像振れを補正する。そして、本実施
例では補正光学機構がズーミングにより光軸上を移動す
るため、突起27d,27e,27fの側面には被駆動
用ピン42,43,44がネジ45にて植設されてい
る。このピン42,43,44は互いに120°の位相
差を有する位置に植設され、この各ピンが図2に示すズ
ーム駆動カムと嵌合し、該カムを有するカム筒の回転に
より、固定枠27、すなわち、補正光学系21が光軸方
向に移動してズーミングが行われる。
【0032】本実施例の断面図を示す図2において、5
1はピン43と嵌合する直進溝を有する固定筒、52は
ピン43と嵌合する曲線カム溝を有するカム筒であり、
このカム筒52を回転させる事によりピン43及び固定
枠27を光軸方向に進退させる。
【0033】54は第3レンズ群53を保持する3群保
持枠であり、この3群保持枠54にネジ56により植設
されたピン55が固定筒51の直進溝及びカム筒52の
カム溝に嵌合している。58は第1レンズ群57を保持
する1群保持枠であり、この1群保持枠58はヘリコイ
ドネジ59aを有するヘリコイド筒59に取付けられて
いる。60はヘリコイドネジ60aを有する直進筒であ
り、この直進筒60の内壁にネジ62によりピン61が
植設され、このピン61が固定筒51の直進溝及びカム
筒52のカム溝に嵌合している。
【0034】次に上記実施例の動作について説明する。
カム筒52を回転させると、このカム筒52上に設けら
れた3組のカム溝により、固定枠27、3群保持枠5
4、直進筒60が各々所定量光軸方向に進退しズーミン
グがなされる。また、ヘリコイド筒59の回転により第
1レンズ群57が光軸方向に進退してフォーカシングが
なされる。
【0035】そして、3群保持枠54の下方にあけられ
た孔54aにフレキシブルプリント基板38の屈曲部3
8aが収納され、この屈曲部38aにより振れ補正光学
機構の光軸方向移動に伴うフレキシブルプリント基板3
8の移動を吸収する。
【0036】次に図2において遮光板39の作用につい
て説明する。補正光学系21がシフトしていない状態で
は、レンズ保持枠22と固定枠27の間にすきまdS
設けられている。そして、補正光学系21がこのすきま
S までシフト可能とすると、遮光板39の内径とレン
ズ保持枠22の外径のオーバラップ量dOVがdOV>dS
となっていれば、すきまdS を通過する直射光束を遮光
できる。
【0037】そして、オーバラップ量dOVを大きくする
程、遮光安全性が高まるが、有効光束も遮光する事にな
るので、オーバーラップ量dOVはすきまdS よりやや大
きめにしておくことが望ましい。
【0038】図3は補正光学系21が原点すなわち中心
に位置する場合、図4は補正光学系21が図において下
方向すなわちピッチ方向へすきまdS だけシフトした場
合の図である。
【0039】図3においては、補正光学系21へ入射す
る入射光束はすべて遮光板39で規制されているが、図
4においては、入射光束の上側は補正光学系21の有効
系、即ちレンズ保持枠22で規制され、入射光束の下側
は遮光板39で規制される。
【0040】よって、いずれの場合でも有害光は遮光板
39より後方へ入り込む事はないので、結像面あるいは
PSD33yへの有害光到達が阻止される。 第2実施例 前記第1実施例では、遮光板39の大きさはレンズ保持
枠22と固定枠27のすきまを覆う事のできる必要最小
限のオーバーラップ量dOVを有していたが、第2実施例
では遮光板71の開口部71aを故意に小さくして、有
効光束の制限も積極的に行なう様にしたものである。
【0041】図5、図6は第1実施例の図3、図4に対
応する第2実施例の作用図であり、遮光板以外の構成は
第1実施例と同一であるから、同一部分には同一符号を
付して重複説明を省略する。
【0042】遮光板71の開口部71aは図5に示すよ
うに、前記第1実施例の遮光板39の開口部39aより
小さく設定されている。よって図6に示すように、補正
光学系21が最大ストロークまでシフトしても、この補
正光学系21に入射する入射光束は遮光板71で規制さ
れる。
【0043】本実施例では補正光学系21が最大量シフ
トした場合でも該補正光学系の外周部、いわゆる、コバ
に有効光線が当らないため、コバ面による乱反射が効果
的に防止できる。 第3実施例 前記第1、第2実施例では遮光板39,71は固定枠2
7に取付られているが、第3実施例は遮光板72をレン
ズ保持枠22に取付けたものである。
【0044】図7、図8は第1実施例の図3、図4に対
応する第3実施例の作用図である。本実施例において
は、レンズ保持枠22上に第1の遮光板72が設けら
れ、補正光学系21のシフト量の大小に関らず、該補正
光学系に入射する入射光束を制限するのは第1の遮光板
72あるいはレンズ保持枠22のガラス突当部22jで
ある。
【0045】第2の遮光板73は前述した様に像振れ補
正光学機構の剛性確保と内部部品の遮へいのために固定
枠27上に設けられているが、この第2の遮光板73を
設ける代わりに、第1の遮光板72の外径を大きくして
もよい。しかし、この場合には移動部の重量が多少増す
ので、第1の遮光板72を比重の小さな物質で作ること
が望ましい。
【0046】なお、第1ないし第3の実施例のいずれを
採用するかは、対象とする補正光学系の特性により決め
れば良い。すなわち、像振れ補正光学系シフト時の収差
を、該補正光学系の光束制限部が固定の場合とシフトす
る場合について計算し、収差の少ない方を採用すれば良
い。 他の変形例 第1及び第2実施例では補正光学系21の物体側に遮光
板39,71を配置したが、これを像側に配置しても良
い。また、この場合には遮光板39,71と固定枠27
を同一の部材で構成してもよい。また、固定枠27を物
体側に配置して遮光板39,71と兼用させる構造でも
よい。
【0047】一方、第3実施例においても第1の遮光板
72を像振れを補正光学系21の像側に配置しても、あ
るいは固定枠27と第2の遮光板73の間に配置しても
よい。
【0048】また、これらの遮光板を補正光学系21の
物体側と像側の両方に用いてもよいことは勿論である。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、結像面及び像振れ補正
機構内への有害な光線の到達を遮断し、像振れ補正機構
内の光学系位置検出手段への迷光到達を阻止し、ゴース
ト・フレア等のないクリア画像が得られるとともに正確
な像振れ補正が行なえる。
【0050】
【0051】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明を実施した像振れ補正装置の分解
斜視図。
【図2】図2は図1の主要部断面図。
【図3】図3は実施例1の動作を説明する作用図。
【図4】図4は実施例1の動作を説明する作用図。
【図5】図5は実施例2の動作を説明する作用図。
【図6】図6は実施例2の動作を説明する作用図。
【図7】図7は実施例3の動作を説明する作用図。
【図8】図8は実施例3の動作を説明する作用図。
【図9】図9は従来の像振れ補正装置の概念図。
【図10】図10は従来の像振れ補正光学系における迷
光説明図。
【符号の説明】
21 補正光学系 22 レンズ保持枠 27 固定枠 39 遮光板(遮光部材) 71 遮光板(光束規制部材を兼ねる遮光部材) 72 第1の遮光板(遮光部材) 73 第2の遮光板(遮光部材)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 撮影光学系の振れによる像振れを補正す
    る補正光学系と、該補正光学系を保持するレンズ保持枠
    と固定枠とを有し、該レンズ保持枠を該固定枠に対し
    て、撮影光軸と垂直な面内で移動可能に支持しており、
    該レンズ保持枠を移動させて、像振れ補正を行う像振れ
    補正装置において、該固定枠に該レンズ保持枠の径より
    小さな内径を持つ遮光部材を設け、該遮光部材は該レン
    ズ保持枠が所定の方向に移動したときに該所定の方向と
    逆の方向では該レンズ保持枠で該遮光部材の内径を通過
    した光束を遮光するように構成していることを特徴とす
    る像振れ補正装置。
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