JP3044402U - 輪転印刷機のインキつぼ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インキつぼがインキ出しローラに当たってシ
ールする圧力を改善し、調節可能にする。 【解決手段】 インキつぼは２枚の側面板２を有し、そ
れら側面板２の間にはインキブレード９が設けられてい
る。各側面板２は、前方端面５に、インキ出しローラ７
に当たる弓形の切欠き６を有している。各側面板２に
は、切欠き６の輪郭を変化させることを可能にする変形
装置１４が設けられている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、２枚の側面板を有し、それら側面板の間にインキブレードが配置さ れており、各側面板は、その前方端面上に、輪転印刷機のインキ出しローラ上に 当たる弓形の切欠きを有している、輪転印刷機のインキつぼに関する。

【０００２】

【従来の技術】

互いに平行で間に距離があるように配置された２枚の側面板を有し、それら側 面板がほぼ三角形の輪郭を有するという、前記の種類のインキつぼが公知になっ ている。各側面板の、インキ出しローラ、例えばインキ出しローラに付属する三 角形の辺は弓形の切欠きを有していて、その切欠きが、インキ出しローラの外周 の輪郭に合わされている。両側面板間には下方領域にインキブレードがあり、そ のインキブレードは、その前方、つまり自由側の縁でもって、インキ出しローラ の外套面に当たっている。外套面と各側面板の切欠きの間には、ワックスおよび ／または脂肪を含ませたフェルトの被覆材が配置されていて、それにより、イン キつぼに入れられた印刷インキのためのシールを形成している。運転の際には、 インキ出しローラが回転するので、インキ出しローラのインキと接触している外 套面がインキを伴い、そのインキは、インキブレードによって薄いフィルムとし て形成され、さらに別の複数のローラを経て、輪転印刷機の版に供給される。フ ェルトの柔軟性のために、側面板とインキ胴の間の良好なシールが達成されるが 、このシールの機能は、収縮の効果、汚れ、および摩耗があることにより、耐久 性がない。したがって、運転を続行するうちに、シール性の悪い場所ができて、 それが汚れのもとになるということがあり得る。

【０００３】 欧州特許出願 594 536号でインキつぼが公知になっていて、そのインキつぼに おいては、両側面板に、インキつぼの中において、プラスチックのシール板が設 けられていて、それらシール板は、初期応力の下で、インキ胴の端面に押し当て られている。この構造は比較的に面倒である。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案の目的は、簡単な構造で、長い運転期間にわたって最適にシールするよ うな、前記の種類の輪転印刷機のインキつぼを提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

この目的は、本考案によれば、各側面板が、切欠きの輪郭を変化させるための 変形装置を有していることによって達成される。本考案によれば、切欠きとイン キ出しローラの外套面の間に付加的なシールは設けられておらず、切欠きは、外 套面に正確な輪郭で当たっており、そこでは、その輪郭の正確さは、本考案の変 形装置でもって得られていて、なお、有利なことに、運転中の再調整も可能であ る。このようにして、小さ過ぎる弓形の輪郭、つまり、切欠きの中央領域におい てインキ出しローラの外套面との間に鎌の形の隙間ができるという輪郭は形成さ れないことが常に保証される。したがって、そのような漏れの場所は回避される 。それとは異なった作用、つまり、対応する切欠きが、切欠きの両端領域の間が 広がった状態になって、中央の領域でインキ出しローラの外套面に当たることも 回避される。つまり、楔形の空間が形成しても、本考案による変形装置のために 、簡単な方式で閉じられ、それにより、常に最適のシール作用が達成されること になる。つまり、この変形装置は側面板の材料に作用を及ぼすので、側面板は、 特に切欠きの領域内において変形し、インキ出しローラに対してのシール性ある 閉じ方が得られることとなる。両端間広がりの傾向は、変形装置の再調整によっ て対処され得る。また、運転が続くうちにインキ出しローラ上での切欠きの端面 の相互摩擦によって起こる摩耗の発生も、変形装置の再調整によって補償され得 る。

【０００６】 本考案の一つの発展態様においては、変形装置が、側面板の弱体化ゾーンが付 属している荷重付与装置を有している。この弱体化ゾーンは、切欠きの輪郭の変 化を容易にするので、荷重付与装置は、所望の輪郭を生成させるために、しかる べくより小さい力しか発生する必要がないことになる。本考案の他の一つの実施 態様においては、弱体化ゾーンが設けられていないようにもできる。このことは 、変形装置が、所望の切欠きの輪郭を生成させるために、しかるべくより大きい 力を発生しなければならないことを意味する。変形装置の押圧作用は、側面板の 材料の塑性変形は生じないで弾性変形だけが生ずるように行われるというのが有 利である。

【０００７】 本考案の一つの発展態様においては、側面板が、前述のように前方、上方、お よび下方の各端面を有するほぼ三角形の形状を有していて、前方の端面に切欠き が形作られており、上方および／または下方の端面の領域に変形装置が配置され ている。

【０００８】 変形装置が上方の端面上にあるとするのが有利である。

【０００９】 本考案の一つの発展態様においては、上方および前方の端面での隅領域の中に 変形装置が配置されている。

【００１０】 側面板の切込みとして形作られている弱体化ゾーンが上方の端面から出発して いるのが有利である。切込み(Einschnitt)といっても、それは、切ることで生成 されねばならないのではなく、この隅領域における材料の弱体化を達成するため には、のこ切断などを含む任意の加工の方法が可能である。より容易な変形性が 達成されることだけが重要なのである。

【００１１】 さらに、弱体化ゾーンの一方の側において、変形装置が側面板上に固定されて おり、変形装置は、弱体化ゾーンの他方の側に押圧作用をするのが有利である。 そのために、変形装置が弱体化ゾーンを跨いで伸びており、そこで変形装置は、 弱体化ゾーンの一方の側で支持されて、弱体化ゾーンの他方の側の上に、隅領域 が追従してインキ出しローラへの方向に動かされるか、またはインキ出しローラ から離れる方向に動かされるように、しかるべき力が導入される。弱体化ゾーン が設けられていなくても、同じ状況が存在する。つまり、変形装置の固定場所と 、側面板に力を及ぼす変形装置の要素の間で、側面板の材料が変形するので、付 属した切欠きの輪郭は、円弧が狭くなるかまたは広くなるように変化させられる 。

【００１２】 最後に、変形装置が、側面板の上方の端面上に固定されたベースボディを有し ており、そのベースボディは、弱体化ゾーンを跨いで延びて、その自由端の領域 に、押圧装置、特に、ベースボディのねじ穴の中にねじ込まれ、側面板、特に、 その外方隅領域に作用を及ぼす、調節可能な押しボルトを有していることが有利 である。

【００１３】

【考案の実施の形態】

図１において、詳しくは図示していない輪転印刷機のインキつぼ１は、互いに 平行で、間に距離があるように配置された２枚の側面板２を有していて、図では そのうちの１枚だけが見えている。側面板２は、上方の端面３、下方の端面４、 および前方の端面５を有している。前方の端面５には、輪転印刷機のインキ装置 のインキ出しローラ７の外周輪郭に対応している切欠き６が設けられている。つ まり、切欠き６の端面５が、インキ出しローラ７の外套面８の周の一部分に、シ ール性をもって当たっている。このようにして形成されたシールは、インキつぼ １の中にある印刷インキの流出を阻止する。インキつぼ１の両側面板２の間には 、下方の領域にインキブレード９が配置されていて、そのインキブレード９の前 方、つまり自由側の縁１０が、インキ出しローラ７の外套面８と組み合って働く 。図示されていない調整装置によって、シール作用を得るために、インキつぼ１ を、インキ出しローラ７に向けて、しかるべき所望の初期応力をもって押し付け るということが可能である。このことは、図１においては、１１で表された力で もって暗示されている。インキ出しローラ７の回転方向は、矢印１２のように反 時計方向に生ずる。つまり、インキ出しローラ７の外套面上の仮想の１点は、先 ず側面板２の上方隅領域１３を通過し、それから、インキブレード９に向かって 動く。

【００１４】 前述した側面板２の隅領域１３には、荷重付与装置１５を有する変形装置１４ が配置されていて、荷重付与装置１５には押圧装置１６が設けられている。隅領 域１３には、側面板２の上方の端面３から出発している切込み１８によって構成 されている弱体化ゾーン１７が配置されている。このようにして、外方隅領域１ ９が、残りの側面板２に対して、容易に、インキ出しローラ７へと向かう方向、 またはそれから離れる方向に、変形され得る。この変形と共に、切欠き６の輪郭 の変化が生じて来る。つまり、このようにして、インキ出しローラ７に対しての 文句なしのシール性ある閉じ方が生成され得る。

【００１５】 変形装置１４は、側面板２の上方端面３にねじ止めされている、望ましくは長 方体の形のベースボディ２０を有している。そのために、相互間に距離を置いた 二つのねじ穴２１が、上方端面３において、弱体化ゾーン１７のインキ出しロー ラ７とは反対の側２９上に配置されている。それらねじ穴２１の中には、ベース ボディ２０の対応する貫通穴２３を貫通していて、ベースボディ２０をワッシャ ２４を介在して上方端面３上に締めつける２本の小ねじ２２がねじ込まれている 。ベースボディ２０は、橋の形で弱体化ゾーン１７を跨いで延びて、その自由側 、つまりインキ出しローラ７に向いた側の端２５の領域に、押圧装置１６を有し ている。この押圧装置１６は、ベースボディ２０のねじ穴２７の中にねじ込まれ ている押しねじボルト２６で形成されている。押しねじボルト２６をねじ穴２７ の中にねじ込むことにより、ボルト端が側面板２の外方隅領域１９上に押し当た り、それにより、切欠き６の領域での側面板２の変形が起こる。つまり、切欠き ６の輪郭がしかるべく変化する。押しねじボルト２６を緩めるならば、そのこと は、切欠き６の円弧輪郭の広がりをを許す。ロックナット２８によって押しねじ ボルト２６は固定され得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施形態で、輪転印刷機のインキつ
ぼの概略的な側面図である。

【符号の説明】

１ インキつぼ ２ 側面板 ３ 上方端面（側面板２の） ４ 下方端面（側面板２の） ５ 前方端面（側面板２の） ６ 切欠き ７ インキ出しローラ ８ 外套面 ９ インキブレード １０ 縁（インキブレード９の） １１ 矢印（力を示す） １２ 矢印（回転方向を示す） １３ 隅領域（側面板２の） １４ 変形装置 １５ 荷重付与装置 １６ 押圧装置 １７ 弱体化ゾーン １８ 切込み １９ 外方隅領域（側面板２の） ２０ ベースボディ ２１ ねじ穴 ２２ 小ねじ ２３ 貫通穴 ２４ ワッシャ ２５ 端（ベースボディ２０の） ２６ 押しねじボルト ２７ ねじ穴 ２８ ロックナット ２９ 弱体化ゾーン１７の一方の側 ３０ 弱体化ゾーン１７の他方の側

─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成８年１０月１１日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】実用新案登録請求の範囲

【補正方法】変更

【補正内容】

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項８】 前記変形装置（１４）が、前記側面板
（２）の前記上方の端面（３）上に固定されたベースボ
ディ（２０）を有しており、該ベースボディ（２０）
は、前記弱体化ゾーン（１７）を跨いで延びて、その自
由端（２５）の領域に、押圧装置（１６）、特に、前記
ベースボディ（２０）のねじ穴（２７）の中にねじ込ま
れ、前記側面板（２）、特に、その外方隅領域（１９）
に作用を及ぼす調節可能な押しボルト（２６）を有して
いる、請求項１ないし７のいずれか１項に記載のインキ
つぼ。

【手続補正書】

【提出日】平成９年３月１３日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】実用新案登録請求の範囲

【補正方法】変更

【補正内容】

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項８】 前記変形装置（１４）が、前記側面板
（２）の前記上方の端面（３）上に固定されたベースボ
ディ（２０）を有しており、該ベースボディ（２０）
は、前記弱体化ゾーン（１７）を跨いで延びて、その自
由端（２５）の領域に、押圧装置（１６）、特に、前記
ベースボディ（２０）のねじ穴（２７）の中にねじ込ま
れ、前記側面板（２）、特に、その外方隅領域（１９）
に作用を及ぼす調節可能な押しボルト（２６）を有して
いる、請求項３に記載のインキつぼ。 ─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成９年８月２０日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】請求項３

【補正方法】変更

【補正内容】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)実用新案権者 390009232 Ｋｕｒｆｕｅｒｓｔｅｎ−Ａｎｌａｇｅ 52−60，Ｈｅｉｄｅｌｂｅｒｇ，Ｆｅｄｅ ｒａｌ Ｒｅｐｕｂｌｉｃ ｏｆ Ｇｅｒ ｍａｎｙ (73)実用新案権者 596068316 エイデルベア アリス ソシエテアノニム ＨＥＩＤＥＬＢＥＲＧ ＨＡＲＲＩＳ Ｓ．Ａ. フランス国 60761 モンタタイール ス クエア イポリット マリノーニ ベーペ ー 149 (72)考案者 ジョージフ ジー． ブラックウェル フランス国 60870 ブレヌィール リュ アルベール カミュー 16 (72)考案者 クリースチァーン ベイン フランス国 95360 モンマニー リュ デュ ベレー 65

Claims (8)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ２枚の側面板を有し、それら側面板の間
   にインキブレードが配置されており、各側面板は、その
   前方端面上に、輪転印刷機のインキ出しローラ上に当た
   る弓形の切欠きを有している、輪転印刷機のインキつぼ
   において、 前記各側面板（２）が、前記切欠き（６）の輪郭を変化
   させるための変形装置（１４）を有していることを特徴
   とする、輪転印刷機のインキつぼ。
2. 【請求項２】 前記変形装置（１４）が、前記側面板
   （２）の弱体化ゾーン（１７）が付属している荷重付与
   装置（１５）を有している、請求項１記載のインキつ
   ぼ。
3. 【請求項３】 前記側面板（２）が、前方（５）、上方
   （３）、および下方（４）の各端面を有するほぼ三角形
   の形状を有していて、前記前方の端面（５）に前記切欠
   き（６）が形成されており、前記上方（３）および／ま
   たは下方（４）の端面の領域に前記変形装置（１４）が
   配置されている、請求項１または２に記載のインキつ
   ぼ。
4. 【請求項４】 前記上方の端面（３）に前記変形装置
   （１４）が配置されている、請求項１ないし３のいずれ
   か１項に記載のインキつぼ。
5. 【請求項５】 前記上方の端面（３）および前方の端面
   （５）の隅領域（１３）に前記変形装置（１４）が配置
   されている、請求項１ないし４のいずれか１項に記載の
   インキつぼ。
6. 【請求項６】 前記側面板（２）の切込み（１８）とし
   て形成されている前記弱体化ゾーン（１７）が前記上方
   の端面（３）から出発している、請求項１ないし５のい
   ずれか１項に記載のインキつぼ。
7. 【請求項７】 前記弱体化ゾーン（１７）の一方の側
   （２９）において、前記変形装置（１４）が前記側面板
   （２）上に固定されており、前記変形装置（１４）は、
   前記弱体化ゾーン（１７）の他方の側（３０）に押圧作
   用を及ぼす、請求項１ないし６のいずれか１項に記載の
   インキつぼ。
8. 【請求項８】 前記変形装置（１４）が、前記側面板
   （２）の前記上方の端面（３）上に固定されたベースボ
   ディ（２０）を有しており、該ベースボディ（２０）
   は、前記弱体化ゾーン（１７）を跨いで延びて、その自
   由端（２５）の領域に、押圧装置（１６）、特に、前記
   ベースボディ（２０）のねじ穴（２７）の中にねじ込ま
   れ、前記側面板（２）、特に、その外方隅領域（１９）
   に作用を及ぼす調節可能な押しボルト（２６）を有して
   いる、請求項１ないし７のいずれか１項に記載のインキ
   つぼ。