JP3043835B2 - 接着剤組成物 - Google Patents

接着剤組成物

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JP3043835B2 JP3146544A JP14654491A JP3043835B2 JP 3043835 B2 JP3043835 B2 JP 3043835B2 JP 3146544 A JP3146544 A JP 3146544A JP 14654491 A JP14654491 A JP 14654491A JP 3043835 B2 JP3043835 B2 JP 3043835B2
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広一 田口
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱劣化性に優れたア
クリル系接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近時、エレベーターや自動車などの構造
材の鋼板や電気亜鉛メッキ鋼板の接着にも反応硬化型の
アクリル系接着剤が用いられるようになってきた。反応
硬化型のアクリル系接着剤としては、嫌気性接着剤、第
二世代のアクリル系接着剤(SGA)、熱硬化型接着剤など
が知られている。
【0003】嫌気性接着剤は、被着体間において接着剤
組成物を圧着して空気を遮断することにより硬化する。
したがって、圧着する際に被着体からハミ出して空気に
接触する部分の接着剤は硬化しないが、接着剤が一液型
で作業性に優れるため、広く使用されている。
【0004】第二世代のアクリル系接着剤は、二液型で
あるが、二液の正確な計量を必要とせず、極めてラフな
計量、混合、時には二液の接触のみで常温で数分ないし
数十分で硬化する優れた作業性を有し、しかも高い剥離
強度、衝撃強度を有し、はみ出し部分の硬化も良好であ
るため広く用いられている。
【0005】熱硬化型接着剤は、アクリレートモノマー
及び/またはメタアクリレートモノマーと有機過酸化物
を主成分とし、加熱により過酸化物を分解させて硬化さ
せる一液型接着剤である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
アクリル系接着剤は、それを用いた硬化接着剤層の耐熱
劣化性が低く、加熱により大幅な接着強度の低下をきた
すという問題があった。具体的には、例えば、鋼板や亜
鉛メッキ鋼板を被着体とし、これらを接着剤で接着した
接着体は、160 〜 180℃で30〜60分程度焼付け塗装され
ることが多く、従来のアクリル系接着剤は、焼付け塗装
のような高温に接した場合には接着部が劣化して接着強
度の大幅な低下を起すという欠点を有していた。
【0007】アクリル系接着剤の耐熱劣化性の向上に関
しては種々の提案がなされている。例えば、特開昭58−
173174号公報や特開昭58−174476号には耐熱性の高いポ
リシロキサンやエチレン−アクリルゴムをエラストマー
成分として使用し、耐熱劣化性の向上を図っている。ま
た、特開昭62−129372号公報ではアクリレート成分及び
/またはメタアクリレート成分にエポキシアクリレート
を配合して耐熱劣化性を向上させることが記載されてい
る。更に特開昭58−147477号公報では遊離有機酸を存在
させないでブタジエン系エラストマーと含リン化合物を
併用することで耐熱劣化性を向上させることが開示され
ている。
【0008】しかしながら、上記の方法では充分に耐熱
劣化性を向上させることができず、特に亜鉛メッキ鋼板
のような被着体の場合は耐熱劣化性を向上させる効果が
充分でなかった。このような状況下において、耐熱劣化
性の優れたアクリル系接着剤が求められていた。
【0009】
【課題点を解決するための手段】本発明は、アクリル系
接着剤の耐熱劣化性を向上させることを目的としてなさ
れたものであり、以下を要旨とするものである。
【0010】(1) アクリレートモノマー及び/またはメ
タアクリレートモノマー、酸化カルシウム、有機過酸化
物及び還元剤を含有してなることを特徴とする接着剤組
成物。
【0011】(2) アクリレートモノマー及び/またはメ
タアクリレートモノマー及び有機過酸化物を含有する第
一液とアクリレートモノマー及び/またはメタアクリレ
ートモノマー及び還元剤を含有する第二液とからなり、
第一液及び第二液のいずれか一方または両方に酸化カル
シウムを含有させることを特徴とする接着剤組成物。
【0012】本発明の接着剤組成物は、二液型としても
一液型としても使用することができる。
【0013】本発明で使用するアクリレートモノマー及
びメタアクリレートモノマーは、ラジカル重合可能であ
れば特に制限はなく、単官能(メタ)アクリレート〔以
下、(メタ)の表現は、アクリレート及びメタアクリレ
ートのようにメタを付さないものとメタを付したものの
両者を指称する。〕及び多官能(メタ)アクリレートが
使用でき、それらを例示すれば次のようなものがある。
【0014】 一般式(I) Z − O− R1 (I) で表される単量体。
【0015】式中、Z は(メタ)アクリロイル基、 CH2
=CHCOOCH2−CH(OH)CH2 −基、または CH2=C(CH3)COOC
H2−CH(OH)CH2 −基を示し、R1は炭素数1〜20のアルキ
ル基、シクロアルキル基、ベンジル基、フェニル基、テ
トラヒドロフルフリル基、グリシジル基、ジシクロペン
タニル基、ジシクロペンテニル基、または(メタ)アク
リロイル基を表す。
【0016】このような単量体は、例えば(メタ)アク
リル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)ア
クリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−
エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、
(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸テト
ラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ジシクロペン
タニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、グリ
セロール(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メ
タ)アクリレートなどが挙げられる。
【0017】 一般式(II)
【化1】 で表される単量体。
【0018】式中、Z およびR1R 1 がH を含む以外前述
のとおりである。R2は-C2H4-、-C3H6-、
【化2】 -C4H8-、または-C6H12- であり、pは1〜25の整数を表
す。
【0019】このような単量体としては、例えば2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)ア
クリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)
アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレー
ト、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレ
ート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリ
レート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、1,6 −ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート
などが挙げられる。
【0020】 一般式(III)
【化3】 で表される単量体。
【0021】式中、Z およびR2は前述のとおりである。
R3は Hまたは炭素数1〜4のアルキル基を示し、qは0
〜8の整数を表す。
【0022】このような単量体としては、例えば 2,2−
ビス(4−メタクリロキシフェニル)プロパン、 2,2−
ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパ
ン、 2,2−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニ
ル)プロパン、 2,2−ビス(4−メタクリロキシプロポ
キシフェニル)プロパン、 2,2−ビス(4−メタクリロ
キシテトラエトキシフェニル)プロパンなどが挙げられ
る。
【0023】 前記、およびに記載の単量体に
含まれない多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステ
ル。
【0024】このような単量体としては、例えばトリメ
チロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペン
チルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリス
リトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリス
リトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられ
る。
【0025】 (メタ)アクリロイルオキシ基を有す
るウレタンプレポリマー。
【0026】このような単量体としては、例えば水酸基
を有する(メタ)アクリル酸エステルと有機ポリイソシ
アネートおよび多価アルコールを反応することにより得
られる。ここで水酸基を有する(メタ)アクリル酸エス
テルの例としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチ
ル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)
アクリル酸ヒドロキシブチルなどが挙げられる。また、
有機ポリイソシアネートの例としては、トルエンジイソ
シアネート、4,4 −ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイ
ソシアネートなどが挙げられる。多価アルコールの例と
しては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエステル
ポリオールなどが挙げられる。
【0027】 一般式(IV)
【化4】 〔式中、R は CH2=CR4CO(OR5)m −基 (但し、R4は Hまたは CH3、R5は -C2H4- 、-C3H6-、
【化5】 -C4H8-、 -C6H12- または
【化6】 を表し、m は1〜10の整数である。)を表し、n は1ま
たは2である。〕
【0028】この一般式(IV)で示される酸性リン酸化
合物の例としては、アシッドホスホオキシエチル(メ
タ)アクリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メ
タ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオ
キシエチル)フォスフェートなどが挙げられる。以上、
、、、、及びで述べた単量体は1種または
2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0029】本発明で使用される酸化カルシウムとして
は、酸化カルシウムを含有するものであれば使用するこ
とができ、通常市販されている酸化カルシウムは勿論、
水酸化カルシウム、炭酸カルシウムなどを含有するもの
であってもよい。酸化カルシウムは、任意の形状のもの
を用いることができるが、粉末状のもの、特に粒子径が
100μm 以下の微粉末が好ましい。
【0030】酸化カルシウムは、二液型接着剤に配合す
る場合、第一液及び第二液のいずれか一方または両方に
配合されるが、両方に配合する方が好ましい。
【0031】酸化カルシウムを配合する方法には特に制
限はないが、接着剤の貯蔵中に酸化カルシウムの沈降分
離や吸湿などが懸念される場合は、分散安定剤を用いた
り、接着剤の使用に際して酸化カルシウムを配合するこ
とができる。
【0032】酸化カルシウムを配合する割合は、(メ
タ)アクリレートモノマー100 重量部に対して、純分で
5重量部から40重量部が好ましく、5重量部未満では耐
熱劣化性を向上させる効果が少なく、40重量部を越える
と接着剤組成物の粘度が高くなる。
【0033】有機過酸化物としては、クメンハイドロパ
ーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、
ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプ
ロピルベンゼンジハイドロパーオキサイド、メチルエチ
ルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、
ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート等が例示さ
れるが、これらに限定されるものではない。有機過酸化
物の配合割合は、(メタ)アクリレートモノマー100 重
量部に対して 0.1〜20重量部であり、0.1 重量部未満で
は硬化速度が遅く、20重量部を越えると貯蔵安定性が低
くなる。
【0034】本発明で使用される還元剤は、前記有機過
酸化物と反応し、ラジカルを発生する還元剤であれば制
限なく使用できる。代表的な還元剤としては第3級アミ
ン、チオ尿素誘導体、金属塩などがあげられる。第3級
アミンとしてはトリエチルアミン、トリプロピルアミ
ン、トリブチルアミン、 N,N−ジメチルパラトルイジン
などが例示される。チオ尿素誘導体としては2−メルカ
プトベンズイミダゾール、メチルチオ尿素、ジブチルチ
オ尿素、テトラメチルチオ尿素、エチレンチオ尿素など
が例示される。金属塩としてはナフテン酸コバルト、ナ
フテン酸銅、バナジルアセチルアセトンなどが例示され
る。
【0035】還元剤の配合割合は、(メタ)アクリレー
トモノマー100 重量部に対して0.05〜15重量部、更に好
ましくは 0.1〜10重量部である。
【0036】本発明の接着剤には、(メタ)アクリル酸
を配合して接着剤の硬化速度の増大及び密着性の向上を
はかることができる。
【0037】本発明の接着剤には剥離強度、衝撃強度を
向上させるため、エラストマー成分を配合することがで
きる。エラストマー成分としては、例えばニトリル−ブ
タジエンゴムなどの各種合成ゴムが挙げられる。
【0038】この他に粘度、流動特性などを調節する目
的で、例えば有機溶剤、メタクリル酸メチル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体(MBS)、線状ポリウレタンなどの
熱可塑性高分子や微粉末シリカなども配合することがで
きる。
【0039】また、本発明の組成物では空気に接してい
る部分の硬化を更に迅速にするために、各種ワックス類
を配合することもできる。
【0040】更に、貯蔵安定性を改良する目的で各種重
合禁止剤、酸化防止剤などの既に知られている添加剤を
配合することも可能である。また、目的によっては可塑
剤、充填剤、着色剤等も添加することが可能である。
【0041】
【実施例】以下実施例により本発明を更に詳細に説明す
る。
【0042】実施例1〜実施例4及び比較例1〜2 表1の配合割合で各成分を混合して各例の第一液及び第
二液それぞれを調製した。
【0043】被着体用試験片として、 200×25×1.2 mm
サイズ及び 200×25×0.4 mmサイズのリン酸塩処理した
電気亜鉛メッキ鋼板(SECC-P) 各1枚を用い、それぞれ
の片面に対し、前記で調製した第一液と第二液を同重量
づつ混合した接着剤を、接着体の硬化接着剤層厚が100
μm となるように混合後直ちに塗布し、塗布面同士を貼
合わせた。これを室温で24時間養生して接着体を得た。
【0044】この接着体を 160〜200 ℃の各温度雰囲気
中に1時間放置して加熱処理後、23℃に放冷し、ISO 45
78-1979(引張速度 100mm/分)に従って剥離強度(単
位:kg/25mm)を測定した。結果を表1に示す。
【0045】実施例5 表1に示す配合の第一液及び第二液を用い、2枚の試験
片のうち1枚の片面に第一液を、もう1枚の片面に第二
液を接着体の硬化接着剤層厚が 100μm となるように塗
布し、これらの塗布面同士を貼合せた以外は、実施例1
と同様にして剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】本発明の接着剤組成物は耐熱劣化性が極
めて優れており、本発明の接着剤組成物を用いて得られ
る接着体は、焼付け塗装が可能であり、その産業上の有
益性は極めて大きい。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−159265(JP,A) 特開 昭60−35045(JP,A) 特開 昭64−20281(JP,A) 特開 昭58−174476(JP,A) 特開 昭58−173174(JP,A) 特開 昭51−126228(JP,A) 特開 昭52−52929(JP,A) 特開 平4−323282(JP,A) 特許2642554(JP,B2) 特許2769747(JP,B2) 特許2789099(JP,B2) 特公 昭46−42023(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09J 1/00 - 201/10 C08L 1/00 - 101/16 CA(STN) REGISTRY(STN) 特許ファイル(PATOLIS)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリレートモノマー及び/またはメタ
    アクリレートモノマー、酸化カルシウム、有機過酸化物
    及び還元剤を含有してなることを特徴とする接着剤組成
    物。
  2. 【請求項2】 アクリレートモノマー及び/またはメタ
    アクリレートモノマー及び有機過酸化物を含有する第一
    液とアクリレートモノマー及び/またはメタアクリレー
    トモノマー及び還元剤を含有する第二液とからなり、第
    一液及び第二液のいずれか一方または両方に酸化カルシ
    ウムを含有させることを特徴とする接着剤組成物。
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