JP2769747B2 - 接着剤組成物 - Google Patents

接着剤組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属素材の接着に好まし
く使用され、耐熱劣化性のアクリル系接着剤組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】近時、エレベーターや自動車などの構造
材の鋼板や電気亜鉛メッキ鋼板の接着にもアクリル系接
着剤が用いられるようになってきた。反応性のアクリル
系接着剤としては嫌気性接着剤、第二世代のアクリル系
接着剤(SGA)、熱硬化型接着剤などが知られてい
る。
【0003】嫌気性接着剤は被接着材間において接着剤
組成物を圧着して空気を遮断することにより硬化する。
したがって、圧着する際に被接着材からはみ出して空気
に接触する部分の接着剤は硬化しがたいが、接着剤が一
液型で作業性に優れているため広く使用されている。
【0004】第二世代のアクリル系接着剤は二液型であ
るが、二液の正確な計量を必要とせず、きわめてラフな
計量、混合、時には二液の接触のみで常温で数分ないし
数十分で硬化する優れた作業性を有し、しかも高い剥離
強度、衝撃強度を有し、はみ出し部分の硬化も良好であ
るため広く用いられている。
【0005】熱硬化型接着剤はアクリレートモノマー及
び/又はメタアクリレートモノマーと有機過酸化物が主
成分であり、加熱により過酸化物を分解させて硬化させ
る一液型接着剤である。
【0006】また、ウレタン系塗料や接着剤においては
遊離のイソシアネート基が水分と反応して炭酸ガスを発
生し、この発泡性のために表面状態の劣化や接着力の低
下を防止するために特定のゼオライトを配合する技術が
知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな鋼板や電気亜鉛メッキ鋼板を接着したものは、接着
後焼付け塗装をして製品にすることが多く、従来のアク
リル系接着剤は焼付け塗装のような高温に接した場合に
は接着部が劣化して強度低下を起こしがちであった。
【0008】アクリル系接着剤は、ウレタン系接着剤の
ような遊離のイソシアネート基が存在しないので発泡す
るおそれがなく、アクリル系接着剤にゼオライトを配合
することは知られていなかった。
【0009】アクリル系接着剤の熱劣化防止に関しては
種々提案されている。例えば、特開昭58−17317
4号公報や特開昭58−174476号公報には耐熱性
の高いポリシロキサンやエチレン−アクリルゴムをエラ
ストマー成分として使用し、熱劣化の防止を図ってい
る。また、特開昭62−129372号公報ではアクリ
レート成分及び/又はメタアクリレート成分にエポキシ
アクリレートを配合して熱劣化を防止している。更に、
特開昭58−147477号公報には遊離有機酸を存在
させないでブタジエン系エラストマーと含リン化合物を
併用することで熱劣化が防止できることが開示されてい
る。
【0010】しかしながら、上記の方法では被着体が鋼
板やアルミニウムなどの金属の場合は有効であるが、亜
鉛メッキ鋼板のような被着体の場合には完全に熱劣化を
防止することができなかった。そこで、亜鉛メッキ鋼板
のような被着体の場合にも有効な耐熱劣化性のアクリル
系接着剤が求められていた。
【0011】
【課題解決の手段】本発明は上記課題を解決することを
目的とし、その構成は、アクリレートモノマー及び/又
はメタアクリレートモノマー、ゼオライト、有機過酸化
物及び還元剤を含有してなることを特徴とし、二液型と
しても、また一液型としても使用することができる。
【0012】本発明に使用するアクリレートモノマー及
び/又はメタアクリレートモノマーはラジカル重合する
ものであれば特に限定はなく、単官能(メタ)アクリレ
ート〔以下(メタ)の表現はアクリレート及びメタクリ
レートのようにメタを付さないものとメタを付したもの
の両者を指称する〕及び多官能(メタ)アクリレートが
使用でき、これらを例示すれば次のようなものがある。
【0013】(1)一般式、
【化1】Z−O−Rで表される単量体。式中、Zはア
クリロイル基、メタアクリロイル基、 CH=CHCOOCH−CH(OH)CH
基、または CH=C(CH)COOCH−CH(OH)CH
− 基を示し、Rは炭素数1〜20のアルキル基、
シクロアルキル基、ベンジル基、フェニル基、テトラヒ
ドロフルフリル基、グリシジル基、ジシクロペンタニル
基、ジシクロペンテニル基、アクリロイル基またはメタ
アクリロイル基を表す。
【0014】このような単量体は、例えば(メタ)アク
リル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)ア
クリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−
エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、
(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸テト
ラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ジシクロペン
タニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、グリ
セロール(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メ
タ)アクリレートなどが挙げられる。
【0015】(2)一般式、
【化2】
【0016】このような単量体としては、例えば2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)ア
クリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)
アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレー
ト、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレ
ート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリ
レート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
トなどが挙げられる。
【0017】(3)一般式、
【化3】 R3 | Z−(OR2 q −O−C6 4 −C−C6 4 −O−(R2 O)q −Z で | R3 表される単量体。
【0018】式中、Z及びR2 は(2)と同様である。
3はHまたは炭素数1〜4のアルキル基を表し、qは
0〜8の整数を表す。
【0019】このような単量体としては、例えば2,2
−ビス(4−メタクリロキシフェニル)プロパン、2,
2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシ
プロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メ
タクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパンなどが
挙げられる。
【0020】(4)前記(1)、(2)および(3)に
記載の単量体に含まれない多価アルコールの(メタ)ア
クリル酸エステル。
【0021】このような単量体としては、例えばトリメ
チロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペン
チルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリス
リトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリス
リトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられ
る。
【0022】(5)(メタ)アクリロイルオキシ基を有
するウレタンプレポリマー。このような単量体として
は、例えば水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル
と有機ポリイソシアネートおよび多価アルコールを反応
させることによって得られる。ここで水酸基を有する
(メタ)アクリル酸エステルの例としては、(メタ)ア
クリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロ
キシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチルな
どが挙げられる。また、有機ポリイソシアネートの例と
しては、トルエンジイソシアネート、4,4ジフェニル
メタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。
多価アルコールの例としては、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコール、ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0023】(6)一般式、
【化4】
【0024】この一般式で示される酸性リン酸化合物の
例としては、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アク
リレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アク
リレート、ビス〔2−(メタ)アクロイルオキシエチ
ル〕フォスフェートなどが挙げられる。
【0025】以上、(1)ないし(6)に挙げた単量体
は1種または2種以上を組合わせて使用することができ
る。
【0026】本発明に使用するゼオライトとしては、含
水量3重量%以下のゼオライトが好ましい。このような
ゼオライトとしては市販されている通常の合成ゼオライ
トを300℃程度以上に加熱処理すると、含水量3%以
下のゼオライトが容易に得られる。ゼオライトは一般
式、M2/k・Al・xSiO・yHO(M
は金属カチオン、kは金属カチオンの原子価)で表され
る周期表の1A族及び2A族の元素の結晶性アルミノ珪
酸塩であれば天然品も合成品も使用できる。市販品とし
ては「3A」、「4A」、「5A」、「13X」および
「10X」などが挙げられ、中でも「3A」タイプが最
も好ましい。
【0027】ゼオライトの添加量は(メタ)アクリレー
トモノマー100重量部に対し3重量部から40重量
部、好ましくは4重量部から30重量部、より好ましく
は5重量部から25重量部であり、3重量部以下では耐
熱劣化性の効果が小さく、40重量部以上では接着剤組
成物の粘度が高く実用的でない。二液型接着剤を用いる
場合にはゼオライトは何れか一方の液に加えても、両方
の液に加えても差支えない。
【0028】有機過酸化物としては、特に限定はなく、
例えばクメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハ
イドロパーオキサイド、ターシャリーブチルハイドロパ
ーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンジハイドロパー
オキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベン
ゾイルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキシ
ベンゾエートなどが挙げられる。その添加量は(メタ)
アクリレートモノマー100重量部に対し、0.1〜2
0重量部であり、0.1重量部未満では硬化速度が遅
く、20重量部を越えると貯蔵安定性が悪くなる。
【0029】還元剤としては前記有機過酸化物と反応
し、ラジカルを発生する還元剤であればいずれも使用で
きる。代表的な還元剤としては、第3級アミン、チオ尿
素誘導体、金属塩などが挙げられる。第3級アミンとし
ては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブ
チルアミン、N,N−ジメチルパラトルイジンなどが挙
げられる。チオ尿素誘導体としては2−メルカプトベン
ズイミダゾール、メチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、
テトラメチルチオ尿素、エチレンチオ尿素などが挙げら
れる。金属塩としては、ナフテン酸コバルト、ナフテン
酸銅、バナジルアセチルアセトンなどが挙げられる。
【0030】還元剤の添加量は(メタ)アクリレートモ
ノマー100重量部に対し0.05〜15重量部であ
り、好ましくは0.1〜10重量部である。本発明にお
いては剥離強度や衝撃強度を向上させるためのエラスト
マー成分を添加することができる。エラストマー成分と
してはニトリル−プタジエンゴム、クロロスルホン化ポ
リエチレンなどの各種合成ゴムが挙げられる。また、
(メタ)アクリル酸を配合して、接着剤の硬化速度の増
大および密着性の向上を図ることができる。
【0031】この他に粘度、粘性を調整する目的でメタ
クリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MB
S)、線状ポリウレタンなどの熱可塑性高分子や微粉末
シリカなども使用することができる。また、本発明の組
成物では空気に接している部分の硬化を更に迅速にする
ために各種ワックス類を加えることもできる。
【0032】更に貯蔵安定性を改善する目的で、各種重
合禁止剤、酸化防止剤などの添加剤を添加することも可
能である。また、目的によっては可塑剤、充填剤、着色
剤なども添加することができる。
【0033】本発明は1液型接着剤としても2液型接着
剤としても使用することができる。1液型接着剤として
使用する場合には、有機過酸化物と還元剤とを容易に復
元する化学的修飾或いはマイクロカプセルなどの技術に
より実質的に分離するか、互いに接触しても常温での反
応速度が極度に小さい化合物を選ぶなどの手段を用いる
ことができる。
【0034】
【実施例】実施例1〜実施例5及び比較例1 第1表の配合割合で各成分を混合して第一液と第二液か
らなる二液主剤型の接着剤組成物を調整した。
【0035】試験片として200×25mmのリン酸塩処
理した電気亜鉛メッキ鋼板(SECC−P)を二枚用意
し、一方を厚さ1.2mm、他方を厚さ0.4mmとした。
調製した接着剤組成物の第一液と第二液を混合し、直ち
にこの試験片に塗布して貼り合わせた。この際、直径1
00μmのガラスビーズを添加して接着膜厚を均一に
し、室温で24時間養生した。
【0036】剥離強度は試験片を各熱劣化温度に1時間
放置した後、23℃に放冷し、ISO 4578−19
79(引張速度100mm/分、単位kg/25mm)に従
って剥離強度を測定し、結果を第1表に示した。
【表1】 第 1 表
【0037】使用成分の略号は下記の通りである。 N−220SH:アクリロニトリル−ブタジエンゴム
(日本合成ゴム社製) MMA :メタクリル酸メチル 2HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 2EHMA:2−エチルヘキシルメタクリレート P−56 :パラフィン(mp.56℃) MS−3A:モレキュラーシーブ3A(ゼオライト)
(ユニオン昭和社製) CHP :クメンハイドロパーオキサイド MEHQ :ハイドロキノンモノメチルエーテル ETU :エチレンチオ尿素 APEM :アシッドホスホオキシエチルメタクリレー
【0038】実施例6〜実施例7及び比較例2〜比較例
第2表の配合割合で各成分を混合して第一液と第二液か
らなる二液主剤型の接着剤組成物を調整した。
【0039】試験片として200×25mmのリン酸塩処
理した電気亜鉛メッキ鋼板(SECC−P)を二枚用意
し、一方を厚さ1.2mm、他方を厚さ0.4mmとした。
調製した接着剤組成物の第一液と第二液を混合し、直ち
にこの試験片に塗布して貼り合わせた。この際、直径1
00μmのガラスビーズを添加して接着膜厚を均一に
し、室温で24時間養生した。
【0040】常態剥離強度は試験片を23℃、50%R
Hの環境下でISO 4578−1979(引張速度1
00mm/分、単位kg/25mm)に従って剥離強度を測
定した。熱処理後剥離強度は180℃、1時間加熱処理
した後、試験片の温度を23℃に放冷して常態剥離強度
測定と同様にして測定した。その結果を第2表に示し
た。
【表2】 第 2 表
【0041】使用成分の略号は下記の通りである。 MS−3A ※:16重量%水分吸湿したモレキュラー
シーブ3A VOAA :バナジルアセチルアセトン MA :メタクリル酸 PBQ :パラベンゾキノン
【0042】
【発明の効果】本発明の接着剤組成物は耐熱劣化性が大
幅に改善され、金属板、特に亜鉛メッキ鋼板に使用して
好ましい接着強度を得ることができる。したがって、接
着金属板の焼付け塗装が可能になり、産業上の有益性は
大きい。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリレートモノマー及び/又はメタア
    クリレートモノマー、ゼオライト、有機過酸化物及び還
    元剤を含有してなることを特徴とする接着剤組成物。
  2. 【請求項2】 アクリレートモノマー及び/又はメタア
    クリレートモノマー及び有機過酸化物を含有する第一液
    と、アクリレートモノマー及び/又はメタアクリレート
    モノマー及び還元剤を含有する第二液とからなり第一液
    及び第二液のいずれか一方まは両方にゼオライトを含有
    させることを特徴とする接着剤組成物。
  3. 【請求項3】 前記請求項1及び2において、ゼオライ
    トが含水量3重量%以下であることを特徴とする接着剤
    組成物。
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