JP3043779B2 - エチレン重合体及びその製造方法 - Google Patents

エチレン重合体及びその製造方法

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裕之 古橋
哲哉 森岡
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、主鎖にエステル結合を有し、生分解性のエ
チレン重合体及びその製造方法に関する。
従来の技術 ポリエチレンは、分子量が低いものであれば微生物が
分解することができる。又、微生物により分子中のエス
テル結合が加水分解されることも知られている。
高分子量のポリエチレンを生分解性にするために、該
ポリエチレンに澱粉類を混合する方法が知られている。
しかしながら、澱粉類は分解されるものの、該ポリエチ
レンそのものは分解されない。
発明が解決しようとする課題 本発明は、生分解可能なエチレン重合体を提供するこ
とを目的とする。
課題を解決するための手段 本発明者らは前記の知見に基づき、その骨格にエステ
ル結合を持ち、かつ比較的低分子量のポリエチレンセグ
メントを持つ重合体を提供できれば、本発明の目的が達
成できるとの観点から、鋭意研究を行った結果、両末端
にカルボキシ基若しくはその置換基を持つエチレン重合
体とジオール化合物若しくはその誘導体を重縮合するこ
とにより、本発明の目的物である重合体が得られること
を見出して本発明を完成した。
発明の要旨 すなわち、本発明はの要旨は、 の繰り返し単位からなり、AがCH2・CH2の繰り返し
単位からなる数平均分子量(n)300〜300,000のポリ
エチレンセグメントであるn500〜5,000,000のエステ
ル結合含有エチレン重合体、 〔但し、Rは炭素数2〜20個の二価の炭化水素基を示
す。〕 (2) CH2・CH2の繰り返し単位からなり、かつそ
の両末端に 基が結合したn300〜300,000のエチレン重合体(I)
と、一般式YO−R−OYで表わされる化合物(II)を重縮
合することからなる請求項(1)に記載のエステル結合
含有エチレン重合体の製造方法、 〔但し、Xは−OH,−OR1,ハロゲン原子又は−SO3R2を、
Yは水素原子、−SiR3 3又は を示し、R1は炭素数1〜5個の炭化水素基、R2は炭素数
1〜20個の炭化水素基、R3及びR4は炭素数1〜5個の炭
化水素基をそれぞ示す。Rは前記と同意義である。〕 にある。
エステル結合含有エチレン重合体 本発明のエステル結合含有エチレン重合体は、前記繰
り返し単位で表わされる。該繰り返し単位におけるRは
炭素数2〜20個の二価の炭化水素基を示すが、望ましく
は炭素数2〜12個の二価の飽和若しくは不飽和の脂肪族
炭化水素基である。
該繰り返し単位中のAはポリエチレンセグメントから
なり、その数平均分子量(n)は300〜300,000である
が、生分解性の観点からはnが100,000以下、特に10,
000以下のものが望ましい。
本発明のエステル結合含有エチレン重合体は、500〜
5,000,000のnを持つものであるが、望ましくはn
が1,000〜500,000のものである。
エチレン重合体の製造法 本発明のエチレン重合体は、前記エステル結合含有エ
チレン重合体(I)と化合物(II)を重縮合することに
より製造することができる。
エチレン重合体(I) エチレン重合体(I)は、CH2・CH2の繰り返し単
位からなり、かつその両末端に 基が結合したn300〜300,000のものである。生分解性
の点からはnが100,000以下、特に10,000以下のもの
が望ましい。
上記において、Xは−OH,−OR1,ハロゲン原子又は−S
O3R2を示す。
−OR1のR1は、炭素数1〜5個の炭化水素基である
が、望ましくはアルキル基であり、特に望ましくはメチ
ル及びエチルである。
ハロゲン原子としては、塩素、臭素、弗素及びヨウ素
が挙げられる。
−SO3R2のR2は、炭素数1〜20個の炭化水素基である
が、より具体的には炭素数1〜20個のアルキル基、アル
ケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルアルキ
ル基が望ましい。これらの中でもアリール基、アルアル
キル基が望ましい。又、R2は塩素、臭素、ヨウ素、弗素
等のハロゲン原子が結合したものでもよい。
−SO3R2の具体例としては、 が挙げられる。
Xの中でも−OH,−OCH3,−OC2H5,−Cl, が望ましく、−OH,−OCH3が特に望ましい。
エチレン重合体(I)の製造法 Xが−OH又は−SO3R2であるエチレン重合体(I)
は、次の方法により製造することができる。
一般式H2C=CR3−R4−CR3=CH2〔但し、R3は炭素数1
〜10個の炭化水素基、R4は炭素数1〜20個の二価の炭化
水素基を示す。〕で表わされるジオレフィン化合物(II
I)と有機リチウム化合物(IV)との反応で生成するジ
リチオ化合物とジアミン化合物(V)の存在下、エチレ
ンを重合し、次いで二酸化炭素と反応させ、更にプロト
ン供与体又は一般式ZSO3R2〔但し、Zはハロゲン原子、
R2は前記と同意義。〕で表わされるスルホン酸ハライド
と反応させることにより製造できる。
又、Xが−OR1又はハロゲン原子であるエチレン重合
体(I)は、次の方法により製造が可能である。
上記ジオレフィン化合物(III)と有機リチウム化合
物(IV)との反応で生成するジリチオ化合物とジアミン
化合物(V)の存在下、エチレンを重合し、次いで二酸
化炭素と反応させ、更にプロトン供与体と反応させた
後、R1OH〔但し、R1は前記と同意義。〕で表わされるア
ルコール又はハロゲン化チオニルと反応させることによ
り製造することが可能である。
(1) ジオレフィン化合物(III)と有機リチウム化
合物(IV)との反応 ジオレフィン化合物(III)は、一般式H2C=CR3−R4
−CR3=CH2で表わされる。式において、R3は炭素数1〜
10個の炭化水素基であるが、具体的にはアルキル基、シ
クロアルキル基、アリール基、アルアルキル基が挙げら
れ、特にアルキル基、アリール基が望ましい。その具体
例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキ
シル等のアルキル基、フェニル、トリル、キシリル等の
アリール基が挙げられる。
又、R4は炭素数1〜20個の二価の炭化水素基である
が、具体的には、式CH2 (但し、m=1〜12)、 (但し、r=1〜6)等の置換基が挙げられる。
化合物(III)の具体例としては、2,5−ジメチル−1,
5−ヘキサジエン、2,5−ジフェニル−1,5−ヘキサジエ
ン、2,6−ジフェニル−1,6−ヘプタジエン、2,7−ジフ
ェニル−1,7−オクタジエン、2,7−ジ(4−トルイル)
−1,7−オクタジエン、2,7−ジメチル−1,7−オクタジ
エン、1,2−ビス〔4−(1−フェニルビニル)フェニ
ル〕エタン、1,4−ビス〔4−(1−フェニルビニル)
フェニル〕ブタン、1,2−ビス〔イソプロペニル−4−
フェニル)エタン、1,2−ビス〔イソプロペニル−4−
フェニル)ブタン等が挙げられる。
有機リチウム化合物(IV)は、一般式R5Liで表わされ
る化合物である。式において、R5は炭素数1〜10個の炭
化水素基、望ましくはアルキル基、アリール基、特に望
ましくはアルキル基である。
化合物(IV)としては、メチルリチウム、エチルリチ
ウム、n−プロピルリチウム、i−プロピルリチウム、
n−ブチルリチウム、i−ブチルリチウム、s−ブチル
リチウム、t−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウ
ム、ヘキシルリチウム等が例示できる。
化合物(III)と化合物(IV)の反応は、有機溶媒の
存在下で行うのが望ましく、有機溶媒としては、炭化水
素、特にヘプタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベン
ゼン、トルエン等の芳香族炭化水素の使用が望ましい。
有機溶媒は2種以上用いることも可能である。
化合物(III)と化合物(IV)は、(IV)/(III)
(モル比)が0.1〜30、望ましくは1〜5の割合で用い
られる。両者の反応は、−50〜+100℃、好ましくは0
〜50℃で、1時間〜1ケ月、好ましくは1日〜10日行な
われる。
(2) エチレンの重合 エチレンの重合は、上記(1)で化合物(III)と化
合物(IV)の反応で生成したジリチオ化合物と、ジアミ
ン化合物(V)の存在下、エチレンを重合することによ
り行なう。
ジアミン化合物(V)は、一般式R6 2N−R7−NR6 2で表
わされる。式において、R6は炭素数1〜5個の炭化水素
基、望ましくはアルキル基であり、具体的にはメチル、
エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i
−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル等で
ある。メチル基が特に望ましい。
R7は炭素数1〜10個の二価の炭化水素基である。望ま
しくは、式−CtH2t−(但し、t=1〜10)で表わされ
る二価の炭化水素基である。
化合物(V)としては、テトラメチルエチレンジアミ
ン、テトラメチルプロピレンジアミン、テトラメチルジ
アミノブタン、テトラメチルジアミノペンタン、テトラ
メチルジアミノヘキサン、テトラエチルエチレンジアミ
ン等が例示できる。
エチレンの重合は、望ましくは炭化水素等の溶媒の存
在下で行う。炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、
キシレン等の芳香族炭化水素が特に望ましい。
ジリチオ化合物とジアミン化合物(V)の使用割合
は、ジリチオ化合物を生成する際に用いたジオレフィン
化合物(III)1モルに対してジアミン化合物(V)を
0.1〜20モル、好ましくは0.5〜4モルとする。
エチレンの重合は、−100℃〜+100℃、好ましくは−
30℃〜+30℃の温度で、1時間〜1ケ月、好ましくは10
時間〜1週間行なわれる。
(3) 二酸化炭素との反応 上記(2)で生成したエチレン重合体と二酸化炭素の
反応は、上記(2)の反応系に、二酸化炭素を供給し、
接触することにより行う。二酸化炭素は、ジオレフィン
化合物(III)1モル当り、0.1〜10,000モル、好ましく
は2〜100モルである。二酸化炭素としては、二酸化炭
素を含む混合物も使用し得る。
反応は、−150℃〜+50℃、好ましくは−100℃〜0℃
の比較的低温で二酸化炭素を供給し、しかる後−50℃〜
+100℃、好ましくは0〜50℃の温度で、0.1〜100時
間、好ましくは1〜10時間、攪拌等の手段で接触させる
ことにより行なう。
(4) プロトン供与体又はスルホン酸ハライドとの反
応 プロトン供与体としては、水、アルコール、無機酸等
が使用し得る。アルコールとしては、メタノール、エタ
ノール、プロパノール等が、無機酸としては、塩酸、硝
酸、硫酸等が挙げられる。
又、スルホン酸ハライドは、一般式ZSO3R2で表わされ
る。この式において、Zはハロゲン原子であり、具体的
には、塩素、臭素、弗素、ヨウ素である。また、R2は、
前記エチレン重合体の置換基Xが−SO3R2の場合におけ
るR2と同意義である。従って、スルホン酸ハライドの具
体例としては、前記−SO3R2に、Zすなわちハロゲン原
子が結合した化合物が挙げられる。
プロトン供与体又はスルホン酸ハライドとの反応は、
−100℃〜+200℃、好ましくは0〜150℃で、1分間〜1
0時間、好ましくは0.1〜2時間行なわれる。
プロトン供与体と反応させることにより、両末端に が導入したエチレン重合体(I)が、又、スルホン酸ハ
ライドと反応させることにより、両末端に が導入したエチレン重合体(I)が得られる。
(5) アルコール又はハロゲン化チオニルとの反応 用い得るアルコールは、一般式R1OHで表わされ、R1
前記と同意義である。従って、特に望ましいアルコール
はメタノール及びエタノールである。
ハロゲン化チオニルとしては、SOCl2,SO2Cl2,SOBr2,S
OI2,SO2Br2,SO2I2等が使用し得る。
アルコール又はハロゲン化チオニルとの反応は、−50
℃〜+200℃、好ましくは50〜150℃で、1分間〜1週
間、好ましくは1時間〜1日間行う。
アルコールは単独で使用してもよく、メタノール・BF
3錯体のようなアルコールの錯化物を用いることもでき
る。
上記(4)でプロトン供与体と反応させた生成物とア
ルコールを反応させることにより、両末端に 又ハロゲン化チオニルと反応させることにより、両末端
(但し、Xはハロゲン原子)が、導入されたエチレン重
合体(I)を製造することができる。
上記のようにして得られたエチレン重合体(I)は、
上記の製造法を採ることから、製造の際に用いられる該
ジオレフィン化合物骨格及び有機リチウム化合物の置換
基R5をその中に包含する下記のようなミクロ構造を採る
ものと推定される。
上記において、Aは であり、(m+n)は数平均分子量に見合う整数であ
る。
化合物(II) 化合物(II)は、一般式YO−R−OYで表わされる。式
において、Rは炭素数2〜20個の二価の炭化水素基であ
り、好ましくは、炭素数2〜12個の二価の飽和若しくは
不飽和の脂肪族炭化水素基である。
Yは水素原子、−SiR8 3又は を示す。
R8及びR9は炭素数1〜5個の炭化水素基、好ましくは
アルキル基であり、特にメチル及びエチルが好ましい。
化合物(II)の具体例としてはエチレングリコール、
プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオー
ル、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジ
オール等の飽和脂肪族ジオール化合物、ブテンジオー
ル、ペンテンジオール、ヘキセンジオール等の不飽和脂
肪族ジオール化合物等が挙げられる。
又、これらジオール化合物のオキシ基の水素原子がト
リメチルシリル基やアセチル基で置換された化合物も使
用可能である。
エチレン重合体(I)と化合物(II)との重縮合 エチレン重合体(I)と化合物(II)との重縮合反応
は、通常溶媒の存在下で行なわれる。溶媒としては、炭
化水素が望ましく、特に沸点が80℃以上のトルエン、キ
シレン等の芳香族炭化水素が望ましい。
両者の反応は、50〜250℃、好ましくは100〜200℃
で、1〜100時間、好ましくは5〜50時間行なわれる。
更に、溶媒を除去した後、減圧下150〜200℃で反応させ
るのが特に望ましい。
重縮合反応において、反応を促進するためにチタニウ
ムテトラプロポキシド、チタニウムテトラブトキシド、
チタニウムテトラヘキシルオキシド等のチタニウムテト
ラアルコキシド等を触媒として使用することも可能であ
る。又、生成する副生物をトラップするために、アミン
等のトラップ剤の併用も可能である。
重縮合反応において、反応温度を高く、反応時間を長
く、又触媒を使用する等の方法により、通常本発明のエ
チレン重合体の分子量を高くすることができる。
発明の効果 本発明の方法により、微生物が分解することのできる
エステル結合含有エチレン重合体を製造することができ
る。
実施例 以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
実施例1 a) エチレン重合体(I)の合成 2,7−ジ(4−トルイル)−1,7−オクタジエン 3ミ
リモルを、ヘプタンとトルエンの等容量混合溶液25mlに
溶解させた。9ミリモルのs−ブチルリチウムに上記の
溶液を加え室温で5日間攪拌した。反応溶液から沈殿し
たジリチオ化合物をろ別し、25mlのヘプタンで洗浄し
た。
充分に窒素置換した500mlの反応容器に乾燥したトル
エンを200ml加え、さらに7ミリモルのテトラメチルエ
チレンジアミンを添加した。0℃に冷却した後、上記の
ジリチオ化合物を導入し、攪拌しながらエチレンを加え
ていった。エチレンの圧力を2気圧に保つように系内に
エチレンを補充しながら24時間攪拌を続け、エチレンの
重合体を合成した。
系内に残存するエチレンモノマーを脱気した後、−78
℃に冷却し、乾燥した二酸化炭素を導入した。二酸化炭
素の内圧を2気圧に維持しながら、室温まで昇温し、さ
らに5時間攪拌を続けた。
生成物を10%の塩酸にそそぎ、生成した沈殿物をろ別
した。沈殿物を熱トルエンで2日間抽出した後、トルエ
ンを冷却し、生成した固体をろ別し、乾燥した。得られ
たポリマーの収量は1.6gであり、GPCにより求めた数平
均分子量(n)は1.5×103であった。IRスペクトルを
測定したところ、カルボン酸に起因するピークが1700cm
-1に観察された。
プロトンNMRを測定したところ、カルボン酸の水素に
起因するブロードなピークが11ppm付近に観察された。
エチレン重合体に起因する1.3ppmのピークとカルボン
酸に隣接するメチレン基の水素に起因する2.3ppmのピー
クの強度比より求めたnは1.7×103であった。この値
はGPCにより求めた値とよく一致している。
このことにより両末端にカルボキシ基を有するエチレ
ン重合体が合成できたと結論した。
上記で得られた両末端にカルボキシル基を有するエチ
レン重合体(I)1.5gを、キシレン200mlに120℃で溶解
した。これに三フッ化ホウ素−メタノール錯体8.3mlを
加えた。混合物を6時間加熱還流下で反応させた。その
後、溶媒を減圧除去して、目的物を得た。
IRスペクトルを測定したところ、1740cm-1、1150cm-1
付近にエステル結合に起因するピークが見られた。
このことより、両末端カルボキシル化エチレン重合体
(I)から両末端メチルエステル化エチレン重合体
(I)にかわったことがわかる。
b) 1,8−オクタンジオールジアセテートとの重縮合 上記で得られた両末端カルボキシル化エチレン重合体
(I)1.5gと1,8−オクタンジオールジアセテート1ミ
リモルを混合し、180℃に加熱して溶融した。
この溶融混合物を、2mm Hgの減圧下、同温度で36時間
反応させた後、室温迄降温し固形物状のポリマーを得
た。次いで、このポリマーをトルエンに溶解し、更にメ
タノールで再洗して本発明のエチレン重合体を得た。
この重合体のIRスペクトルを測定したところ、カルボ
キシル基に起因するピーク(1700cm-1)は消滅し、新ら
たに1740cm-1,1150cm-1付近にエステル結合に基づくピ
ークが観測された。
又、GPCにより求めたnは4.8×103であった。
上記の結果から、得られたエチレン重合体は、下記の
繰り返し単位からなる重合体であると結論できる。
実施例2 a) エチレン重合体(I)の合成 実施例1と同様にして両末端メチルエステル化エチレ
ン重合体(I)を合成した。
b) エチレングリコールとの重縮合 上記で得られたエチレン重合体(I)1.5gとエチレン
グリコール0.06mlを混合した後、還流下のトルエン40ml
に溶解した。次に、チタニウムテトラブトキシドを1滴
この溶液に加え、窒素ガス気流下トルエン還流しながら
1時間反応を行った。
室温迄冷却した混合溶液をメタノールに注ぎ、沈殿物
を得た。この沈殿物にチタニウムテトラブトキシドを1
滴加え、4mm Hgの減圧下、180℃で8時間処理を行っ
た。その後、室温迄降温し、固形状のエチレン重合体を
得た。
GPCで求めたこの重合体のnは6×103であった。上
記の結果から、得られたエチレン重合体は、下記の繰り
返し単位からなる重合体であると結論できる。
実施例3 a) エチレン重合体(I)の合成 エチレン重合の際に用いた溶媒としてのトルエンをキ
シレンに変え、かつ重合時間を48時間とした以外は、実
施例1と同様にしてエチレンの重合を行った。得られた
重合体の一部を採取し、GPCによりそのnを測定した
ところ、2.8×103であった。
次いで、実施例1と同様にして二酸化炭素と反応し
た。二酸化炭素を排気した後、この反応溶液中に、ベン
ゼンスルホン酸クロリド6ミリモルをキシレン60mlに溶
解した溶液を加え、120℃で30分間攪拌した。得られた
混合物を熱ろ過し、更に、溶液の量が30ml程度になる
迄、加熱濃縮した。
b) 1,4−ブタンジオールとの重縮合 濃縮液に1,4−ブタンジオール1.5ミリモルを3mlのキ
シレンに溶解した溶液を加え、さらにテトラメチルエチ
レンジアミン1.5ミリモルを加えた。この混合溶液を120
℃で24時間反応させた後、室温にもどしメタノールを加
えて生成物を沈殿させた。ポリマーの収量は3.1g、数平
均分子量は1.0×104であった。ポリマーのIRスペクトル
にはカルボン酸に起因するピークはほとんどみられず、
1740cm-1付近にエステルに起因する吸収が観察された。
上記の結果から、得られたエチレン重合体は、下記の
繰り返し単位からなる重合体であると結論できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古橋 裕之 埼玉県入間郡大井町西鶴ケ岡1丁目3番 1号 東燃株式会社総合研究所内 (72)発明者 森岡 哲哉 埼玉県入間郡大井町西鶴ケ岡1丁目3番 1号 東燃株式会社総合研究所内 (72)発明者 土岐 重之 埼玉県入間郡大井町西鶴ケ岡1丁目3番 1号 東燃株式会社総合研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 の繰り返し単位からなり、AがCH2・CH2の繰り返し
    単位からなる数平均分子量(n)300〜300,000のポリ
    エチレンセグメントであるn500〜5,000,000のエステ
    ル結合含有エチレン重合体。 〔但し、Rは炭素数2〜20個の二価の炭化水素基を示
    す。〕
  2. 【請求項2】CH2・CH2の繰り返し単位からなり、か
    つその両末端に 基が結合したn300〜300,000のエチレン重合体(I)
    と、一般式 YO−R−OY で表わされる化合物(II)を
    重縮合することからなる請求項(1)に記載のエステル
    結合含有エチレン重合体の製造方法。 〔但し、Xは−OH、OR1、ハロゲン原子又は−SO3R2を、
    Yは水素原子、−SiR3 3又は をを示し、R1は炭素数1〜5個の炭化水素基、R2は炭素
    数1〜20個の炭化水素基、R3及びR4は炭素数1〜5個の
    炭化水素基をそれぞれ示す。Rは前記と同意義であ
    る。〕
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