JP3039410U - 電子レンジ用調理補助材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱調理により食材から放出される水分，油
分を滞留させずに吸収して、食材の局部的な濡れを防止
する。 【解決手段】 合成樹脂材で形成された支持フィルム１
と、支持フィルム１の片面に蒸着された金属蒸着薄層２
と、紙，板紙等で形成された紙層４と、金属蒸着薄層２
と紙層４とを接着した接着剤３とからなる。支持フィル
ム１の上面に開口されて紙層４に至る積層方向へ延びた
通溝５を設けた。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】 本考案は、電子レンジで加熱調理する際に使用 する高周波誘導性の発熱構造を有する調理補助材に係る技術分野に属する。

【０００２】

【従来の技術】 従来、電子レンジ用調理補助材としては、例えば、特許第 １２８９７９４号公報に記載のものが知られている。

【０００３】 この従来の電子レンジ用調理補助材は、合成樹脂材で形成された支持フィルム と、支持フィルムの片面に蒸着された金属蒸着薄層と、紙，板紙等で形成された 紙層と、金属蒸着薄層と紙層とを接着した接着剤とからなる。

【０００４】 この従来の電子レンジ用調理補助材は、電子レンジの調理室に設置されている テーブルの上に直接敷いて使用したり、このテーブルに載せられた皿等の上に敷 いて使用したりするもので、支持フィルムを上側にしてその上に調理する食材を 載せて調理が行われる。

【０００５】 この従来の電子レンジ用調理補助材を使用した加熱調理では、電子レンジの発 振機構から発振された高周波の誘導によって金属蒸着薄層にジュール熱を発生さ せて金属蒸着薄層を２００℃以上に発熱させ、食材に焦げ目やパリパリとしたク リスピー感を付与することができる。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】 前述の従来の電子レンジ用調理補助材で は、加熱調理中に食材の水分，油分が沸騰状態になって食材の外部に放出される と、食材と支持フィルムとの接触部分に水分，油分が滞留してしまうため、食材 に局部的な濡れが発生するという問題点がある。この問題点は、水分，油分の少 ない食材では余り深刻ではないが、冷凍食品等のように水分，油分の多い食材で はかなり深刻である。

【０００７】 本考案は、このような問題点を考慮してなされたもので、加熱調理により食材 から放出される水分，油分を滞留させずに吸収することのできる電子レンジ用調 理補助材を提供することを課題とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】 前述の課題を解決するため、本考案に係る 電子レンジ用調理補助材は、次のような手段を採用する。

【０００９】 即ち、請求項１では、合成樹脂材で形成された支持フィルムと、支持フィルム の片面に蒸着された金属蒸着薄層と、紙，板紙等で形成された紙層と、金属蒸着 薄層と紙層とを接着した接着剤とからなる電子レンジ用調理補助材において、支 持フィルムの上面に開口されて紙層に至る積層方向へ延びた通溝を設けたことを 特徴とする。

【００１０】 この手段では、加熱調理により食材から放出された水分，油分は、食材と支持 フィルムとの接触部分に滞留せずに通溝に流入して紙層に至り、紙層に吸収され る。

【００１１】 また、請求項２では、合成樹脂材で形成された支持フィルムと、支持フィルム の片面に蒸着された金属蒸着薄層と、紙，板紙等で形成された紙層と、金属蒸着 薄層と紙層とを接着した接着剤とからなる電子レンジ用調理補助材において、支 持フィルムの上面と紙層の下面とに開口され積層方向へ延びて貫通した通溝を設 けたことを特徴とする。

【００１２】 この手段では、加熱調理により食材から放出された水分，油分は、食材と支持 フィルムとの接触部分に滞留せずに通溝に流入して紙層に至り、紙層に吸収され る。紙層に吸収しきれなかった水分，油分は、拡散せずに紙層の下面のみから流 出する。

【００１３】 また、請求項３では、合成樹脂材で形成された支持フィルムと、支持フィルム の片面に蒸着された金属蒸着薄層と、紙，板紙等で形成された紙層と、金属蒸着 薄層と紙層とを接着した接着剤とからなる電子レンジ用調理補助材において、支 持フィルムの上面と紙層の下面とに開口され積層方向へ延びて貫通した通溝を設 け、紙層の下面に水分，油分の吸収性を有する吸収シートを積層したことを特徴 とする。

【００１４】 この手段では、加熱調理により食材から放出された水分，油分は、食材と支持 フィルムとの接触部分に滞留せずに通溝に流入して紙層に至り、紙層に吸収され る。紙層に吸収しきれなかった水分，油分は、拡散せずに紙層の下面のみから流 出して吸収シートに吸収される。

【００１５】

【考案の実施の形態】 以下、本考案に係る電子レンジ用調理補助材の実施 の形態を図面に基いて説明する。

【００１６】 図１〜図３は、本考案に係る電子レンジ用調理補助材の実施の形態（１）を示 すものである。

【００１７】 この実施の形態は、支持フィルム１，金属蒸着薄層２，接着剤３，紙層４のシ ート状積層構造体からなる。

【００１８】 支持フィルム１は、合成樹脂材で薄性に形成されている。合成樹脂材としては 、ポリエチレンテレタフレート（ＰＥＴ）フィルムやＰＥＴフィルムにポリメチ ルペンテン（ＴＰＸ）を積層したもの等が選択される。この支持フィルム１は、 食欲減退，違和感等を生じないようにするために、白色，パール色，クリーム色 等の明るく清潔感のある色調が選択されている。

【００１９】 金属蒸着薄層２は、金属材で薄膜状に形成されている。金属材としては、アル ミニウム等が選択される。この金属蒸着薄層２は、金属蒸着法によって、支持フ ィルム１の片面に蒸着されている。

【００２０】 紙層４は、水分，油分を吸収可能な紙，板紙等で支持フィルム１，金属蒸着薄 層２よりも相対的に厚く形成されている。この紙層４は、接着剤３により金属蒸 着薄層２に接着されている。

【００２１】 さらに、この実施の形態は、これ等の支持フィルム１，金属蒸着薄層２，接着 剤３，紙層４からなるシート状積層構造体に対して、支持フィルム１の上面に開 口され上面から紙層４の中途に至る積層方向へ延びた通溝５を設けてある。この 通溝５の配置形態ついては、図２に示すような並列直線状、図３に示すような格 子線状、図４に示すような並列多孔状、図５に示すような並列スリット状を自由 に選択することができる。

【００２２】 この実施の形態によると、通溝５を設けてあるにもかかわらず、従来と同様の 金属蒸着薄層２の発熱による加熱調理が支障なく行われる。

【００２３】 そして、加熱調理中に沸騰状態になって食材Ｆから外部に放出された水分，油 分は、通溝５に流入して紙層４に至り、紙層４に吸収されることになる。従って 、食材Ｆから外部に放出された水分，油分が食材Ｆと支持フィルム１との接触部 分に滞留してしまうことがなくなって、食材Ｆの局部的な濡れの発生が防止され る。なお、水分，油分の通溝５への流入や紙層４への吸収では、水分，油分に毛 細管現象が作用して円滑な流動が奏される。

【００２４】 紙層４に吸収された水分，油分は、紙層に貯留されて周囲に拡散しないため、 電子レンジの調理室（特にテーブル）やテーブルに載せられた容器等を汚損する ことがない。

【００２５】 図６は、本考案に係る電子レンジ用調理補助材の実施の形態（２）を示すもの である。

【００２６】 この実施の形態は、前述の実施の形態（１）の通溝５を支持フィルム１の上面 と紙層４の下面とに開口し積層方向へ延ばして貫通して設けてある。なお、実施 の形態では、貫通した通溝５によってシート状積層構造体が分離することのない ように、通溝５の配置形態を図４に示すような並列多孔状または図５に示すよう な並列スリット状とすることになる。

【００２７】 この実施の形態によると、前述の実施の形態（１）とほぼ同様の作用，効果が 奏されることに加えて、紙層４の水分，油分の吸収容量が限界に達した際に水分 ，油分を紙層４の側面等に拡散させず通溝５が開口されている下面のみから流出 させることができる。

【００２８】 従って、紙層４の下面側に流出した水分，油分を収容する容器，シート等を備 えておけば、極端に水分，油分の多い食材Ｆでも水分，油分を周囲に拡散させず にすむことができる。

【００２９】 図７は、本考案に係る電子レンジ用調理補助材の実施の形態（３）を示すもの である。

【００３０】 この実施の形態では、前述の実施の形態（２）の紙層４の下面に水分，油分の 吸収性を有する吸収シート６を接着してある。この吸収シート６は、ペーパタオ ルのようなものが好適である。

【００３１】 この実施の形態によると、前述の実施の形態（２）とほぼ同様の作用，効果が 奏されることに加えて、紙層４の下面側に流出した水分，油分を収容する容器， シート等を一々用意しなくても、確実に水分，油分を吸収することができること になる。

【００３２】 図８は、本考案に係る電子レンジ用調理補助材の用途例を示すものである。

【００３３】 この用途例では、天丼等からなる丼ものについて、容器Ｐに詰められた上物Ｆ ａ，飯Ｆｂからなる食材Ｆに対して、上物Ｆａ，飯Ｆｂの間に介装して加熱調理 する用途を示してある。

【００３４】 この用途によると、上物Ｆａについては前述の各実施の形態の作用，効果が奏 されるが、飯Ｆｂについては蒸らし，乾燥防止の機能を奏することができる。従 って、容器Ｐ，食材Ｐとともにセット化して市場に提供すれば、非常に有用性が ある。

【００３５】 以上、図示した実施の形態の外に、支持フィルム１の上面に剥離剤を塗着して おくこともできる。この実施の形態によると、加熱調理によって食材Ｐが支持フ ィルム１に粘着するを防止することになる。なお、実施の形態では、剥離剤にも 通溝５を貫通させる必要がある。

【００３６】 さらに、支持フィルム１，金属蒸着薄層２，接着剤３，紙層４からなる積層構 造体を椀，皿，カップ形等の容器状積層構造体とすることも可能である。

【００３７】 さらに、保温材層を追加積層することも可能である。

【００３８】

【考案の効果】 以上のように、本考案に係る電子レンジ用調理補助によれ ば、次のような効果が得られる。 （ａ）本考案の電子レンジ用調理補助材によれば、加熱調理により食材から放出 される水分，油分を通溝から紙層に吸収することができ、食材と支持フィルムと の接触部分に滞留させることがないため、食材に局部的な濡れが発生しなくなる 効果がある。 （ｂ）さらに、加熱調理により食材から放出される水分，油分が紙層に吸収され て周囲に拡散されないため、電子レンジの調理室等の周囲環境を汚損することが ない効果がある。 （ｃ）請求項２としては、紙層の水分，油分の吸収容量が限界に達した際に水分 ，油分を紙層の側面等に拡散させず通溝が開口されている下面のみから流出させ ることができるため、極端に水分，油分の多い食材でも水分，油分を周囲に拡散 させずにすむことができる効果がある。 （ｄ）請求項３としては、紙層の下面から流出した水分，油分を吸収シートで吸 収することができるため、極端に水分，油分の多い食材の水分，油分を周囲に拡 散させず確実に吸収することができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案に係る電子レンジ用調理補助材の実施
の形態（１）を示す断面図である。

【図２】 図１の要部の配置形態例を示す斜視図であ
る。

【図３】 図２とは別の配置形態例を示す斜視図であ
る。

【図４】 図２，図３とは別の配置形態例を示す斜視図
である。

【図５】 図２〜図４とは別の配置形態例を示す斜視図
である。

【図６】 本考案に係る電子レンジ用調理補助材の実施
の形態（２）を示す断面図である。

【図７】 本考案に係る電子レンジ用調理補助材の実施
の形態（３）を示す断面図である。

【図８】 本考案に係る電子レンジ用調理補助材の新規
用途例を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 支持フィルム ２ 金属蒸着薄層 ３ 接着剤 ４ 紙層 ５ 通溝 ６ 吸収シート Ｆ 食材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ３２Ｂ 15/12 Ｂ３２Ｂ 15/12 Ｆ２４Ｃ 7/02 ５５１ Ｆ２４Ｃ 7/02 ５５１Ｅ Ｈ０５Ｂ 6/64 Ｈ０５Ｂ 6/64 Ｊ

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 合成樹脂材で形成された支持フィルム
   と、支持フィルムの片面に蒸着された金属蒸着薄層と、
   紙，板紙等で形成された紙層と、金属蒸着薄層と紙層と
   を接着した接着剤とからなる電子レンジ用調理補助材に
   おいて、支持フィルムの上面に開口されて紙層に至る積
   層方向へ延びた通溝を設けたことを特徴とする電子レン
   ジ用調理補助材。
2. 【請求項２】 合成樹脂材で形成された支持フィルム
   と、支持フィルムの片面に蒸着された金属蒸着薄層と、
   紙，板紙等で形成された紙層と、金属蒸着薄層と紙層と
   を接着した接着剤とからなる電子レンジ用調理補助材に
   おいて、支持フィルムの上面と紙層の下面とに開口され
   積層方向へ延びて貫通した通溝を設けたことを特徴とす
   る電子レンジ用調理補助材。
3. 【請求項３】 合成樹脂材で形成された支持フィルム
   と、支持フィルムの片面に蒸着された金属蒸着薄層と、
   紙，板紙等で形成された紙層と、金属蒸着薄層と紙層と
   を接着した接着剤とからなる電子レンジ用調理補助材に
   おいて、支持フィルムの上面と紙層の下面とに開口され
   積層方向へ延びて貫通した通溝を設け、紙層の下面に水
   分，油分の吸収性を有する吸収シートを積層したことを
   特徴とする電子レンジ用調理補助材。