JP3039354B2 - 高炉の操業方法 - Google Patents

高炉の操業方法

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JP3039354B2
JP3039354B2 JP8019321A JP1932196A JP3039354B2 JP 3039354 B2 JP3039354 B2 JP 3039354B2 JP 8019321 A JP8019321 A JP 8019321A JP 1932196 A JP1932196 A JP 1932196A JP 3039354 B2 JP3039354 B2 JP 3039354B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、コークスの単独
装入と、鉱石とコークスとの同時装入とを繰り返して行
う高炉の操業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高炉を安定にしかも効率よく操業するに
は、炉内を上昇するガス流分布を適正に制御することが
重要である。高炉内に装入された鉱石は、炉下部の羽口
から吹き込まれる熱風とコークスとの反応によって生成
するCO、H2の還元性ガスの作用で炉内を降下しつつ
徐々に加熱、還元され、軟化溶融帯を形成したのち、炉
芯コークス層の隙間を伝わって炉底に溜まる。炉底に溜
まった溶銑は、定期的または連続的に出銑口から抜き出
される。
【0003】近年の高炉の操業においては、コークス比
の低減を目的として羽口から熱風と共に微粉炭を多量吹
き込む高PCI操業への移行が積極的に推進されてお
り、炉頂から装入する鉱石量がコークス量に比較して多
くなってきているため、特に軟化溶融帯の通気抵抗が増
加し易い状況となっている。
【0004】このような状況下で高炉操業の効率および
安定性を高めるためには、軟化溶融帯の通気性を良好に
保つことが有効であることが知られている。軟化溶融帯
の通気性を良好に保つには、一度に装入する鉱石量を低
減させ、軟化溶融帯の厚みを低減する方法および鉱石と
同時に一部のコークスを装入する方法がある。
【0005】鉱石と同時に一部のコークスを装入する方
法としては、鉱石層とコークス層とを高炉内に交互に形
成するように装入して操業するに当たって、前記鉱石層
中に20%までのコークスもしくは石炭を混入する方法
(特開昭59−41402号公報)、高炉にそれぞれ所
定の割合により鉱石とコークスとを交互に層別して装入
し、羽口からの熱風吹込みにより前記鉱石を予熱、還
元、軟化、溶融せしめて出銑するに当たり、上記した鉱
石層に対し前記装入コークス量の一部を混入した鉱石と
コークスとの混合層とし、しかもこの混合層におけるコ
ークス粒径の鉱石粒径に対する比の値を1.4〜9.0
とする方法(特開昭61−153211号公報)、鉱石
中に全装入コークスの一部を混入した混合物と残余のコ
ークスとを交互に高炉に装入するに当たり、該混合物中
に混入するコークスの粒度の粗い方から20重量%の平
均粒度dp(mm)を、鉱石に混入するコークスの装入
量W(重量%)に応じて、dp>W+20 の範囲に保
って装入する方法(特開平4−63212号公報)等が
提案されている。
【0006】また、高炉中心部のコークスに対する鉱石
比を炉中心以外よりも小さくして中心流れを確保し、高
炉操業を安定化させる方法としては、鉱石とコークスを
交互に装入するに際し、コークスの装入を経時的に少な
くとも2系列に分け、当該チャージの総装入コークス量
の大半を前装入の鉱石層を全て覆うように装入し、最後
の装入系列では残部コークスを炉中心部に集中して装入
することにより、炉中心部のコークスに対する鉱石比を
炉中心以外よりも小さくなるよう堆積させる方法(特公
平1−9373号公報)が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記特開昭59−41
402号公報に開示の方法は、通気抵抗の高い軟化溶融
帯へのガスの侵入を可能ならしめ、炉況を改善させるも
のであるが、同時に装入する鉱石とコークスの粒径比が
規定されていないため、粒度の変動が生じると、密度差
のある鉱石とコークスの粒子偏析現象が、炉内半径方向
の粒度分布を支配するため、ガス流分布を不安定化さ
せ、炉況を悪化させる危険性がある。
【0008】また、上記特開昭61−153211号公
報に開示の方法は、コークス粒径の鉱石粒径に対する比
の値を1.4〜9.0とした混合層によって、上部装入
物の荷重を支持して軟化溶融帯における還元鉄とコーク
スとの緊密な接触を回避させ、これにより還元鉄への滲
炭を回避せしめ、それに伴う還元鉄へのSi移行を抑制
して低Siの溶銑を製造するものであるが、軟化溶融帯
内で完全に反応が消滅せず、細粒化した混合コークスが
炉芯部に供給されると、炉芯コークスの通気性、通液性
が阻害され、炉況悪化を引き起こす可能性がある。
【0009】さらに、特開平4−63212号公報に開
示の方法は、コークス混合鉱石層の炉内堆積過程におけ
る偏在現象を利用して半径方向のコークスと鉱石の存在
比率を制御するため、偏在量に寄与が大きいコークスと
鉱石の粒子間の粒径比および密度比を規定する必要があ
る。コークスと鉱石の粒子間の密度比は、通常一定値で
あるので、鉱石に混合するコークスと鉱石の粒径比を定
めることが重要である。しかし、特開平4−63212
号公報に開示の方法では、コークスと鉱石の粒径比が考
慮されていないので、粒子間の密度比と粒径比で定まる
コークスと鉱石の偏在量の制御性は必ずしも良好とは云
えず、高炉半径方向のO/C分布の制御性をさらに改善
することが高炉操業の効率化と安定化のために必要であ
る。
【0010】さらにまた、特公平1−9373号公報に
開示の方法は、炉中心部へコークスの一部を装入するた
め、炉頂部にコークス専用の装入装置を設ける必要があ
るが、炉上部の装入物堆積レベルの上部空間は、同装入
方法により特に中心部は常時高温の上昇ガスに晒されて
いるため、装入装置のメンテナンスが困難である。ま
た、高出銑操業時では、装入回数が増加するため、装入
1回に要する時間に制限が生じ、通常装入に比較して別
系統からの装入により装入回数が付加される特公平1−
9373号公報に開示の方法では、円滑な高炉操業に支
障をきたすこととなる。
【0011】この発明の目的は、コークスの単独装入
と、鉱石とコークスの同時装入とを交互に行う高炉の操
業において、同時装入する鉱石とコークスの粒径比率、
重量比率を所定範囲に調整し、あるいは同時装入を2回
以上の装入に分割することによって、1回目の同時装入
で鉱石中に混合されたコークスをできるだけ炉中心部に
偏析させ、炉中心部分のガス流量を強化し、2回目の同
時装入で鉱石中に混合されたコークスをできるだけ半径
方向に均一堆積させることにより、同時装入後の混合層
内高炉半径方向O/C分布の制御を実施し、混合層中の
コークスを軟化溶融帯で反応消滅させ、高炉の通気性、
通液性を良好に維持し、炉況を安定維持できる高炉の操
業方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1の発明
は、コークスと鉱石の密度差に起因する粒子偏析効果
と、コークスと鉱石の粒度差に起因する粒子偏析効果と
を相殺させるため、同時装入するコークスの加重平均粒
径をDc(mm)、鉱石の加重平均粒径をDo(m
m)、同時装入するコークスの鉱石に対する重量比率を
X(%)とした場合、下記の(1)式、(2)式を同時
に満足させるよう鉱石とコークスを同時装入するのであ
る。 1.2<Do/Dc<1.6 (1)式 X<3.2−(Dc−20)/25 (2)式
【0013】上記のように前記の(1)式、(2)式を
同時に満足させるよう鉱石とコークスを同時装入するこ
とによって、コークスと鉱石の密度差に起因する粒子偏
析効果が、コークスと鉱石の粒度差に起因する粒子偏析
効果と相殺し合い、コークスと鉱石の偏在がなく、炉半
径方向にコークスと鉱石を均等に混合でき、混合層中の
コークスを軟化溶融帯で反応消滅させ、高炉の通気性、
通液性を良好に維持し、炉況を安定維持することができ
る。
【0014】また、本願の請求項2の発明は、コークス
と鉱石の密度差に起因する粒子偏析効果と、コークスと
鉱石の粒度差に起因する粒子偏析効果とを相殺させると
共に、混合層中のコークスを軟化溶融帯で完全に反応消
滅させるため、同時装入するコークスの加重平均粒径を
Dc(mm)、鉱石の加重平均粒径をDo(mm)、コ
ークスの反応性指数をC、同時装入するコークスの鉱石
に対する重量比率をX(%)とした場合、下記の(1)
式、(3)式を同時に満足させるよう鉱石とコークスを
同時装入するのである。 1.2<Do/Dc<1.6 (1)式 X<2.7+(C−20)−(Dc−20)/25 (3)式
【0015】上記のように前記の(1)式、(3)式を
同時に満足させるよう鉱石とコークスを同時装入するこ
とによって、コークスと鉱石の密度差に起因する粒子偏
析効果が、コークスと鉱石の粒度差に起因する粒子偏析
効果と相殺し合い、コークスと鉱石の偏在がなく、炉半
径方向にコークスと鉱石が均等に混合できると共に、混
合層中のコークスを軟化溶融帯で完全に反応消滅させ、
高炉の通気性、通液性を良好に維持し、炉況を安定維持
することができる。
【0016】さらに、本願の請求項3の発明は、コーク
スと鉱石の密度差に起因する粒子偏析効果と、コークス
と鉱石の粒度差に起因する粒子偏析効果とを相殺させる
と共に、混合層中のコークスを軟化溶融帯で反応消滅さ
せ、さらに、高炉中心部における上昇ガス量を確保して
炉芯の通気性ならびに通液性を確保するため、同時装入
を2回以上の装入に分割し、同時装入するコークスの加
重平均粒径をDc(mm)、鉱石の加重平均粒径をDo
(mm)、同時装入するコークスの鉱石に対する重量比
率をX(%)とした場合、1回目の同時装入時に鉱石と
同時に装入するコークスの加重平均粒径Dcを鉱石の粒
度の粗い方から10体積%の加重平均粒径の2.5倍以
上とし、2回目の同時装入時に前記の(1)式、(2)
式を同時に満足させるよう鉱石とコークスを同時装入す
るのである。
【0017】上記のように同時装入を2回以上の装入に
分割し、1回目の同時装入時に鉱石と同時に装入するコ
ークスの加重平均粒径Dcを鉱石の粒度の粗い方から1
0体積%の加重平均粒径の2.5倍以上とし、2回目以
降の同時装入時に前記の(1)式、(2)式を同時に満
足させるよう鉱石とコークスを同時装入することによっ
て、1回目の同時装入で混合されたコークスの大部分が
高炉中心部に堆積し、高炉の通気性、通液性を良好に維
持でき、2回目以降の同時装入では、コークスと鉱石の
密度差に起因する粒子偏析効果が、コークスと鉱石の粒
度差に起因する粒子偏析効果と相殺し合い、コークスと
鉱石の偏在がなく、炉半径方向にコークスと鉱石を均等
に混合でき、混合層中のコークスを軟化溶融帯で反応消
滅させ、高炉の通気性、通液性を良好に維持し、炉況を
安定維持することができる。
【0018】さらにまた、本願の請求項4の発明は、コ
ークスと鉱石の密度差に起因する粒子偏析効果と、コー
クスと鉱石の粒度差に起因する粒子偏析効果とを相殺さ
せると共に、混合層中のコークスを軟化溶融帯で完全に
反応消滅させ、さらに、高炉中心部における上昇ガス量
を確保して炉芯の通気性ならびに通液性を確保するた
め、同時装入を2回以上の装入に分割し、同時装入する
コークスの加重平均粒径をDc(mm)、鉱石の加重平
均粒径をDo(mm)、コークスの反応性指数をC、同
時装入するコークスの鉱石に対する重量比率をX(%)
とした場合、前記の(1)式、(3)式を同時に満足さ
せるよう鉱石とコークスを同時装入するのである。
【0019】上記のように同時装入を2回以上の装入に
分割し、1回目の同時装入時に鉱石と同時に装入するコ
ークスの加重平均粒径Dcを鉱石の粒度の粗い方から1
0体積%の加重平均粒径の2.5倍以上とし、2回目の
同時装入時に前記の(1)式、(3)式を同時に満足さ
せるよう鉱石およびコークスを同時装入することによっ
て、1回目の同時装入で高炉中心部に混合されたコーク
スの大部分が堆積し、高炉の通気性、通液性を良好に維
持でき、2回目の同時装入では、コークスと鉱石の密度
差に起因する粒子偏析効果が、コークスと鉱石の粒度差
に起因する粒子偏析効果と相殺し合い、コークスと鉱石
の偏在がなく、炉半径方向にコークスと鉱石が均等に混
合でき、混合層中のコークスを軟化溶融帯で完全に反応
消滅させ、高炉の通気性、通液性を良好に維持し、炉況
を安定維持することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明者は、混合原料堆積層内に
おける原料偏在は、斜面上を流下する混合原料粒子が堆
積過程において分級堆積される確率によって決定される
と考えた。また、この確率は、混合粒子の密度差、粒度
分布を考慮した粒径比、装入量比、装入速度によって変
化すると考えた。
【0021】そして、鉱石とコークスの混合装入物が炉
内で堆積する際の粒度および密度偏析機構を定量化する
にあたり、まず、第1段階として内容積1850m3
実高炉の1/7スケールの図1に示す高炉炉頂部半裁模
型1を用いた装入実験を行った。装入実験は、鉱石とコ
ークスとの粒径比、装入時の鉱石とコークスの混合比
率、ベル2とベルカップ3とのクリアランスで決定され
る装入速度およびベル2から排出時のコークス混合比率
の変化パターンを数種変更した条件下で、炉内で堆積後
の半径方向の鉱石とコークスの存在比率分布を測定し
た。そして、得られた測定値と偏在予測モデルの出力パ
ターンが一致するように確率論にしたがった混合原料偏
析予測モデルを作成した。その結果、実測値と作成した
混合原料偏析予測モデルの計算値は、ほぼ一致してお
り、実高炉の堆積O/C比の炉内半径方向分布をシミュ
レーションできることが判明した。なお、図1中の4は
装入原料、5はベル昇降駆動装置、6はムーバブルアー
マ、7はコークス層、8は混合層、9は炉上部側壁、1
0はアクリル板半裁面である。
【0022】上記の実験および計算による炉内半径方向
の鉱石とコークス存在率を図2および図3に示す。図2
および図3に示すとおり、炉中心部でコークスが多く存
在し、かつ存在率は、鉱石とコークスの粒径比率に依存
する。すなわち、図4(a)に示すとおり、粒径の異な
る粒子が混合状態で斜面を流下する際には、粒径の小さ
な粒子A0は、粒径の大きな粒子A1間の空隙を通過し、
下層部へ移動する。この際粒子A0が粒子A1間の空隙を
通過する確率は、粒子A0に対する粒子A1間の空隙の大
きさと、斜面を流下中に粒子A0が粒子A1の空隙に遭遇
する頻度に比例する。粒子A0に対する粒子A1間の空隙
の大きさは、粒子A0と粒子A1の粒径差が大きいほど、
また、斜面を流下中に粒子A0が粒子A1の空隙に遭遇す
る頻度は、流下中の混合粒子における斜面垂直方向の速
度勾配が大きいほど大となり、粒径差による分級が盛ん
に行われる。したがって、粒径の小さな粒子A0は、落
下点近傍で分級を受けて斜面上流の炉壁部近傍に堆積
し、粒径の大きな粒子A1は、落下点近傍で浮上し、斜
面下流へ滑落する結果、炉中心部に偏在することにな
る。
【0023】一方、図4(b)に示すとおり、密度の異
なる粒子が混合状態で斜面を流下する際には、流下中の
粒子間の衝突のうち、同密度同士の衝突時に比較し、低
密度の粒子B0が高密度の粒子B1に衝突する際の反跳が
大きいため、高密度の粒子B1の近傍には低密度の粒子
0による粗な空隙が形成される結果、高密度の粒子B1
が低密度の粒子B0間の空隙を通過し、下層部へ移動す
る確率が大きくなる。したがって、高密度の粒子B
1は、落下点近傍で分級を受けて斜面上流の炉壁部近傍
に堆積し、低密度の粒子B0は、落下点近傍で浮上し、
斜面下流へ流下する結果、炉中心部に偏在することにな
る。
【0024】上記の混合原料偏在予測モデルを用い、内
容積2700m3、風量4400Nm3/minの実高炉
を対象とし、表1に示す4ケースの実高炉の装入条件お
よび原料粒径条件で数値シミュレーションを実施した。
その結果を図5に示す。図5に示す演算結果は、鉱石と
コークス同時装入時の混合層内のコークス存在率の炉内
半径方向分布を示す。図5に示すとおり、粒径の大きな
コークスC0、または粒径の小さなコークスC1を鉱石と
同時装入したケース1、ケース2の場合は、コークスC
0は炉内中心部から中間部に偏在し、コークスC1は炉壁
周辺部に偏在し、装入時の混合比率が3重量%の場合で
も、局部的には5重量%を超える部分が存在する。一
方、粒径が中間のコークスC2を鉱石と同時装入したケ
ース3、4の場合は、ほぼ装入時の混合比率で一様であ
り、局部的な偏在部は存在しないことが判明した。上記
の数値的検討からコークス(粒径Dc)と鉱石(粒径D
o)の粒子偏析効果を相殺する条件は、粒子密度比(=
3.0)に応じて下記(1)式のように決定することが
できる。 1.2<Do/Dc<1.6 (1)式
【0025】
【表1】
【0026】鉱石中に混合されたコークスは、高炉内を
降下中に鉱石の還元反応によるCO2ガスの発生と昇温
が進行すると、CO2ガスによるコークスのガス化反応
が生じると共に、強度が劣化して徐々に粒径が低下す
る。コークスのガス化反応は、軟化溶融帯でピークに達
するが、ガス化反応による強度劣化により粒径が特に低
下したコークスは、炉下部に達すると通気性および通液
性を悪化させ、炉況に悪影響を与える。したがって、鉱
石と同程度の粒径の比較的粒径の小さなコークスは、軟
化溶融帯でのガス化反応によって完全に消滅させること
が、通気性および通液性の悪化を防止するのに有効であ
る。また、逆に軟化溶融帯では、鉱石層の内部でコーク
スのガス化反応を活発化させることによって、鉱石の還
元反応も活発化し、鉱石の溶け落ち性状が好転し、鉱石
融着による通気抵抗の上昇を緩和することができる。し
たがって、コークスが軟化溶融帯で反応により消滅する
条件は、コークスの初期粒径と鉱石との混合比率で決定
される。
【0027】コークスのガス化反応による粒径劣化挙動
は、「住友金属」Vol.32No.1(Jan.19
80)、P1〜14の『高炉におけるコークス性状評価
モデル』によって明らかにされているため、同文献に開
示されている数学モデルによって前記表1の各ケースで
推定した炉内条件で、鉱石と同時装入したコークスが軟
化溶融帯で反応により消滅するかどうかの判定を行っ
た。その結果を図6に示す。図6の斜線部は、軟化溶融
帯で鉱石と同時装入したコークスが反応劣化によって完
全に消滅する範囲であり、コークス粒径Dcが大きくな
るほど、鉱石と同時装入で許容できる最大コークス混合
比率Xは、下記の(2)式に応じて低下する。 X<3.2−(Dc−20)/25 (2)式
【0028】図6に示すとおり、前記表1のケース1の
場合は、粒径の大きいコークスC0が偏在する炉中心か
ら炉中間部で、ガス化反応で消滅できないコークスが存
在する。また、ケース2では、炉壁周辺部に偏在するコ
ークスC1が粒径が小さいにもかかわらず偏在量が多い
ため、炉壁周辺部に未反応のコークスC1が残留するこ
とになる。さらに、ケース3では、粒径が中間のコーク
スC2が前記(1)式を満たしているため、炉内装入後
の半径方向の偏在がなく、初期混合重量%で一様にコー
クスC2が分布しており、全てのコークスC2が軟化溶融
帯でガス化反応により消滅できる。しかし、ケース4で
は、コークスC2を鉱石と同時装入しているため、炉半
径方向にコークスの偏在部は存在しないが、装入時の混
合率が5%と高いため、軟化溶融帯で反応消滅できな
い。したがって、軟化溶融帯でガス化反応により鉱石と
同時装入したコークスを消滅させ、かつ、通気性を良好
に保つには、高炉半径方向の粒子偏析効果の相殺条件で
ある前記(1)式だけでなく、コークス消滅量を規定す
る前記(2)式も同時に満足させなければならない。
【0029】また、コークス反応性Cを変更した表2の
各ケースで推定した炉内条件で、鉱石と同時装入したコ
ークスが軟化溶融帯で反応により消滅するかどうかの判
定を行った。その結果を前記図6に併せて示す。図6の
斜線部は、軟化溶融帯で鉱石と同時装入したコークスが
反応劣化によって完全に消滅する範囲であり、コークス
粒径Dcが低下するほど、また、同時装入するコークス
の反応性(CRI)Cが高いほど、鉱石と同時装入で許
容できる最大コークス混合比率Xは、下記の(3)式に
応じて増加する。 X<2.7+(C−20)−(Dc−20)/25 (3)式
【0030】
【表2】
【0031】図6に示すとおり、前記表2のケース5の
場合は、鉱石に対するコークスの混合割合を4%にした
ため、前記ケース3に比較すると軟化溶融帯における混
合コークスの消費は、炉半径方向で混合コークスの存在
比率が比較的フラットにも係わらず、やや粒径の小さめ
のものが偏在している炉壁部近傍で起こり、炉中心部か
ら中間部では残留する。また、熱間強度を上げるためコ
ークス反応性を低下させたコークスC3を同条件で使用
したケース6は、ケース5で消滅した炉壁部近傍の混合
コークスも残留するようになり、炉下部へ細粒化したコ
ークスが供給され、高炉の炉下部の通気性の悪化が懸念
される。コークス反応性を上昇させたコークスC4を用
いたケース7では、鉱石と同時装入したほぼ全てのコー
クスが軟化溶融帯までに消滅するため、炉芯部への残留
細粒コークスの供給を防止することができ、高炉の通気
性を良好に維持することが可能となる。
【0032】したがって、軟化溶融帯でコークスガス化
反応により鉱石と同時装入したコークスを消滅させ、か
つ、高炉の通気性を良好に保つには、高炉半径方向の粒
子偏析効果の相殺条件である前記(1)式だけでなく、
コークス消費量を規定する前記(3)式も同時に満足さ
せなければならない。
【0033】さらに、前記基礎実験に基づき精度調整し
た解析モデルにより、内容積2700m3の実高炉を対
象とした数値シミュレーションを実施した。図7に混合
層を含む数チャージ装入後の高炉半径方向のコークスに
対する鉱石の重量比の計算結果a〜dを示す。大ベルか
ら排出時のコークス混合重量比率は、図8のパターンa
に示すとおり一定であるという前提の基に、計算結果a
は、鉱石層にコークスを混合しない通常の装入を行った
場合、計算結果bは、鉱石に混合するコークスの加重平
均粒径を鉱石の粒度の粗い方から10体積%の加重平均
粒径の2倍とした場合、計算結果cは、鉱石に混合する
コークスの加重平均粒径を鉱石の粒度の粗い方から10
体積%の加重平均粒径の2.5倍とした場合である。ま
た、計算結果dは、鉱石に混合するコークスとして計算
結果cと同じものを用い、大ベルから排出時のコークス
混合重量比率の経時変化パターンを図8のパターンbと
した場合である。
【0034】図7に示すとおり、シミュレーション結果
では、混合層内の偏析効果によって炉中心近傍にコーク
スが偏在し、混合するコークスの加重平均粒径が鉱石の
粒度の粗い方から10体積%の加重平均粒径に比較して
大きいほど偏析による分離効果は強調され、混合された
コークスの大部分を炉中心に集めることができることを
示している。なお、混合するコークスの粒径を鉱石の粒
度の粗い方から10体積%の加重平均粒径と比較するの
は、仮に鉱石単味層を装入した場合、粒度偏析により炉
芯から体積比で10%以内の領域に堆積するべき粗粒鉱
石を、混合したコークスによって置換を図ろうとする思
想に基づいている。
【0035】したがって、高炉中心部においては、コー
クスに対する鉱石の存在率が減少するので、コークスを
反応劣化させるCO2ガスおよび水蒸気の発生量を低位
に抑制することができる。コークスの炉内反応劣化量の
評価を行った結果では、炉芯を構成するコークスが良好
な通気性と通液性を有する粒径を保つためのコークスの
最大反応量を超えないよう炉上中心部の鉱石とコークス
の重量比を制御するためには、鉱石と同時に装入するコ
ークスの加重平均粒径を、鉱石の粒度の粗い方から10
体積%の加重平均粒径の2.5倍以上とすることが必要
であることが判明した。また、鉱石とコークスの混合物
が大ベルから排出される際のコークス混合率の経時変化
は、図8のパターンaのように一定の場合よりも、図8
パターンbのような単調減少パターンの方が、炉内堆積
後の鉱石とコークスの分離効果が顕著になることが、図
7の計算結果dにより明らかに示されている。
【0036】以上の結果から本発明者は、コークスの単
独装入と交互に行う鉱石とコークスの同時装入を、少な
くとも2回以上の装入に分割し、同時装入の1回目の装
入時に鉱石と同時に装入するコークスの加重平均粒径
を、鉱石の粒度の粗い方から10体積%の加重平均粒径
の2.5倍とし、同時装入の2回目以降の装入時に、前
記(1)式、(2)式を同時に満足させるか、あるいは
前記(1)式、(3)式を同時に満足させることによっ
て、高炉中心部の鉱石存在率を低位に制御でき、高炉中
心部の上昇ガス量の確保、通気性ならびに通液性を確保
できるとの結論に至った。
【0037】
【実施例】
実施例1 以下にこの発明方法の詳細を前記図1に示す高炉模型の
装入実験結果および確率論にしたがった混合原料偏在予
測モデルのシミュレーション結果に基づいて説明する。
図1において、ベル2とベルカップ3間の貯鉱部内の装
入原料4は、ベル昇降駆動装置5を駆動してベル2を降
下させることにより切り出され、ムーバブルアーマ6に
衝突したのち炉内に装入され、数チャージ分のコークス
層7と、鉱石単独の層または鉱石とコークスの混合層8
とが交互に積層される。
【0038】このような原料装入を行って炉内に数チャ
ージ分のコークス層7と、鉱石単独の層または鉱石とコ
ークスの混合層8とを交互に積層したのち、コークスに
対する鉱石の重量比(以下堆積O/C比という)の炉内
半径方向の分布を測定した。装入実験に用いた鉱石(加
重平均粒径をDoとする)の見掛け密度は3.2g/c
3、コークス(加重平均粒径をDcとする)の見掛け
密度は1.08g/cm3で、同時装入コークス量は、
鉱石重量の2.7%一定とした。また、鉱石とコークス
の加重平均粒径比(Do/Dc)は、0.6、1.0、
1.2、1.6、1.8の5ケースで実施した。その結
果を図9に示す。
【0039】図9に示すとおり、装入O/C比は、装入
鉱石およびコークスが偏在することなく均一に混合され
た状態で炉内に堆積したときのO/C比に相当する。し
たがって、図9の縦軸の(堆積O/C比)/(装入O/
C比)の値が1のときは、原料に偏在がないことを示
し、1を超えるときは鉱石の偏在、1未満のときはコー
クスの偏在があることを示す。図9に示すとおり、Do
/Dcが小さい場合(<1.0)は、炉中心側の領域に
コークスが偏在し、炉中間部から炉壁周辺部にかけて鉱
石が多く存在し、これらの偏在の度合いは、Do/Dc
が低くなるほど顕著となっている。一方、Do/Dcが
大きい場合(>1.6)では、上記とは逆に炉中心領域
に鉱石が偏在し、炉中間部から炉壁周辺部にかけてコー
クスが多く偏在しており、この逆偏在の度合いは、Do
/Dcが高くなるほど顕著となっている。しかし、Do
/Dcが1.2の場合は、コークスと鉱石の偏在がな
く、炉内半径方向にコークスと鉱石が均等に混合積層さ
れている。これは、コークスと鉱石の密度差に起因する
粒子遍析効果が、粒度差による粒子遍析効果と相殺し合
い、混合しても分離しない状態が実現されたことを示す
ものである。
【0040】実施例2 内容積2700m3のベル式高炉を用い、本発明例1お
よび比較例1、2の操業では、コークス単独装入と、コ
ークスおよび鉱石の同時装入とを交互に繰り返して炉内
に堆積させ、従来例1の操業では、コークス単独装入
と、鉱石単独装入とを交互に繰り返して炉内に堆積さ
せ、送風量4400Nm3/minで操業を行った。な
お、使用した鉱石は、すべて平均粒径18.6mmのも
のであった。同時装入する原料装入条件および原料粒径
条件は、表3に示すとおりである。また、表4には、本
発明例1、比較例1、2および従来例1の主要な装入条
件、原料粒径条件と共に、操業中の炉内状況、すなわ
ち、送風圧、スリップ発生回数、溶銑Si濃度の変動
率、羽口コークスサンプルによる炉芯コークスの加重平
均粒径の測定値および溶銑温度の変動量を示す。
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】表4に示すとおり、コークスおよび鉱石の
同時装入を行っているが、Do/Dcが0.35の比較
例1では、炉中心領域へのコークスの偏在によってコー
クスを鉱石に混合しない従来例1に比較し、炉中心領域
の炉頂ガス温度の上昇とCOガス利用率の低下が認めら
れたが、炉中心領域への強度の弱い反応により劣化した
コークスの供給に起因すると思われる溶銑中Si濃度、
溶銑温度の変動が見られ、スリップ発生回数も増加し、
操業が不安定に向かった。これは、鉱石の同時装入コー
クスに対する粒径比が低いため、炉中心領域に偏在した
強度の低下したコークスが炉下部へ供給され、炉心部の
通気性、通液性が悪化したことによるものである。上記
比較例1の条件は、特開平4−63212号公報で規定
の鉱石中へのコークス混合率と混合コークス粒径の関係
を満たしている。すなわち、鉱石に対するコークスの混
合比率は、4.2重量%であり、鉱石に対する比較例1
のコークス粗度の粗い方から20重量%の平均粒度は5
2.6mmであり、特開平4−63212号公報に示さ
れている最小値、すなわち、20+4.2=24.2m
mを大幅に上回っている。しかしながら、前記したとお
り、比較例1は、操業安定化の改善程度は不十分であっ
た。このことは、特開平4−63212号公報の発明で
定める範囲が、安定な高炉操業を維持するための装入条
件としては不十分であることを示すものである。
【0044】Do/Dcが1.72の比較例2の場合
は、通気性の悪化から特に炉壁側のガス抜けとスリップ
が発生し、炉況悪化に至った。この比較例2の場合は、
炉壁周辺部に同時装入のコークスが軟化溶融帯以下でも
残留し、細粒化することによって通気性の悪化とガス流
れの変動をもたらしたことが原因であると考えられる。
これに対し、Do/Dcが1.23である本発明例1で
は、スリップが皆無となって通気性が良好となり、風圧
変動が低下し、炉況は非常に安定化した。
【0045】実施例3 内容積2700m3の高炉を用い、本発明例2および比
較例で3〜5は、コークス単独装入と、コークスと鉱石
の同時装入とを交互に繰り返して炉内に堆積させ、送風
量4400Nm3/minで操業を行った。その結果を
表5に示す。
【0046】
【表5】
【0047】表5に示すとおり、同時装入時のコークス
の混合比率を増加させた比較例3の場合は、軟化溶融帯
に到達するまでに同時装入されたコークスが消費されて
いないと推定され、高炉の通気性が悪化し、炉況変動に
至った。逆に同時装入時のコークスの混合比率を減少さ
せた比較例4の場合は、前記従来例に比較して変動が小
さく、炉況改善策とはならなかった。また、熱間強度好
転を狙って混合するコークスの反応性を低下させた比較
例5では、通気性がさらに低下し、溶銑Si変動ならび
に送風圧変動が増加し、炉況は悪化した。この原因は、
同時装入コークスの反応性の低下により軟化融着帯レベ
ルでのコークス残留による通気悪化によるものと推定さ
れる。これに対し混合するコークスの反応性を増加させ
た本発明例2の場合は、軟化融着帯に到達するまでに同
時装入されたコークスが消費されて通気性が好転し、風
圧変動が低下してスリップ回数が皆無となり、炉況が非
常に安定した。
【0048】実施例4 1チャージ当たりの鉱石装入量52.1Ton、1チャ
ージ当たりのコークス装入量14.3Tonの内容積2
700m3の高炉を用い、1チャージ当たりのコークス
装入量14.3Tonの重量比にして10%、すなわ
ち、1.43Tonを鉱石層に混入した。使用した鉱石
粒度は、図10(a)に示す分布を有しており、加重平
均粒径は18.6mm、鉱石の粗度の粗い方から10体
積%の加重平均粒径は27.6mmであった。また、使
用したコークス粒度は、図10(b)に示すとおり、単
独装入する加重平均粒径56.2mmはコークス
(ア)、鉱石層に混入するコークスの加重平均粒径は、
鉱石の粒度の粗い方から10体積%の加重平均粒径の
2.2倍のコークス(イ)、2.5倍のコークス(ウ)
の粒度分布を有しており、コークス(イ)、コークス
(ウ)の2種類を行い、風量4400Nm3/minで
操業し、混合コークスの加重平均粒径、排出経時パター
ンを変更したときの炉内状況、すなわち、送風圧、スリ
ップ回数、溶銑中Si濃度の変化、溶銑温度の変化およ
び羽口コークスサンプルによる炉中心部のコークス粒径
の測定値を測定した。その結果を表6に示す。また、炉
上部で半径方向の温度分布とCOガス利用率分布を測定
した。その結果を図11、図12に示す。なお、表6中
の排出パターンは、図8のパターン、炉芯粒径は、羽口
コークスサンプルによる炉中心部コークスの平均粒径で
ある。
【0049】
【表6】
【0050】表6に示すとおり、鉱石中に混合するコー
クスの加重平均粒径が鉱石の粒度の粗い方から10体積
%の2.2倍の比較例6の場合は、中心部へのコークス
の偏在によって鉱石中にコークスを混合しない従来例2
と同様、炉中心部の温度の上昇と、COガス利用率の低
下が認められたが、依然として溶銑中Si濃度、溶銑温
度に変動が見られ、安定な高炉操業の維持が困難であっ
た。これに対し、鉱石中に混合するコークスの加重平均
粒径が鉱石の粒度の粗い方から10体積%の2.5倍の
本発明例3の場合は、図11、図12に示すように中心
ガス流が強化された結果、スリップ回数が減少し、炉況
状態は安定した。また、大ベルからの同時装入の排出パ
ターンを、パターンbに変更し、コークスを先に炉内に
装入した本発明例4の場合は、さらにスリップ回数が減
少し、溶銑中Si濃度、溶銑温度の変動が減少した。こ
れは、図11、図12に示される高炉中心部の温度上
昇、ガス利用率の低下、および表6に示される羽口コー
クスサンプル測定によるコークス粒径の増加によって、
高炉中心部のガス流れの安定化と炉芯コークスの活性化
によるものと推定できる。すなわち、鉱石と同時装入さ
れたコークスは、偏析効果によって高炉中心部に偏在
し、反応による中心部近傍のコークスの劣化が低減さ
れ、通気性、通液性の良好な炉芯コークスが形成された
結果、安定な炉中心部のガス流れと、送風圧の低下、な
らびに溶銑中Si濃度、溶銑温度の変動の低下によっ
て、安定操業を維持することができた。
【0051】
【発明の効果】この発明は、コークスの単独装入と鉱石
とコークスの同時装入とを繰り返して高炉を操業するに
際し、同時装入するコークスの加重平均粒径をDc(m
m)、鉱石の加重平均粒径をDo(mm)、同時装入す
るコークスの鉱石に対する重量比率をX(%)とした場
合、前記の(1)式、(2)式を同時に満足させるよう
鉱石およびコークスを同時装入することによって、コー
クスと鉱石の密度差に起因する粒子偏析効果と、コーク
スと鉱石の粒度差に起因する粒子偏析効果とが相殺さ
れ、コークスと鉱石の偏在がなく、炉半径方向にコーク
スと鉱石を均等に混合でき、混合層中のコークスを軟化
溶融帯で反応消滅でき、高炉の通気性、通液性を良好に
維持し、炉況を安定維持できる。
【0052】また、この発明は、コークスの単独装入と
鉱石とコークスの同時装入とを繰り返して高炉を操業す
るに際し、同時装入するコークスの加重平均粒径をDc
(mm)、鉱石の加重平均粒径をDo(mm)、同時装
入するコークスの鉱石に対する重量比率をX(%)、コ
ークスの反応性指数をCとした場合、前記の(1)式、
(3)式を同時に満足させるよう鉱石およびコークスを
同時装入することによって、コークスと鉱石の密度差に
起因する粒子偏析効果と、コークスと鉱石の粒度差に起
因する粒子偏析効果とが相殺され、混合層中のコークス
を軟化溶融帯で反応消滅でき、高炉の通気性、通液性を
良好に維持し、炉況を安定維持できる。
【0053】さらに、この発明は、コークスの単独装入
と鉱石とコークスの同時装入とを繰り返して高炉を操業
するに際し、同時装入を2回以上の装入に分割し、同時
装入するコークスの加重平均粒径をDc(mm)、鉱石
の加重平均粒径をDo(mm)、同時装入するコークス
の鉱石に対する重量比率をX(%)とした場合、1回目
の同時装入時に鉱石と同時に装入するコークスの加重平
均粒径Dcを鉱石の粒度の粗い方から10体積%の加重
平均粒径の2.5倍以上とし、2回目の同時装入時に前
記の(1)式、(2)式を同時に満足させるよう鉱石お
よびコークスを装入することによって、1回目の同時装
入で高炉中心部に混合されたコークスの大部分が堆積
し、炉芯の通気性、通液性を良好に維持でき、2回目の
同時装入でコークスと鉱石の密度差に起因する粒子偏析
効果と、コークスと鉱石の粒度差に起因する粒子偏析効
果とが相殺され、混合層中のコークスを軟化溶融帯で反
応消滅でき、しかも、高炉中心部における上昇ガス量が
確保されて炉芯の通気性、通液性を確保でき、炉況を安
定維持できる。
【0054】さらにまた、この発明は、コークスの単独
装入と鉱石とコークスの同時装入とを繰り返して高炉を
操業するに際し、同時装入を2回以上の装入に分割し、
同時装入するコークスの加重平均粒径をDc(mm)、
鉱石の加重平均粒径をDo(mm)、同時装入するコー
クスの鉱石に対する重量比率をX(%)、コークスの反
応性指数をCとした場合、前記の(1)式、(3)式を
同時に満足させるよう鉱石およびコークスを同時装入す
ることによって、1回目の同時装入で高炉中心部に混合
されたコークスの大部分が堆積し、炉芯の通気性、通液
性を良好に維持でき、2回目の同時装入でコークスと鉱
石の密度差に起因する粒子偏析効果と、コークスと鉱石
の粒度差に起因する粒子偏析効果とが相殺され、混合層
中のコークスを軟化溶融帯で反応消滅でき、しかも、高
炉中心部における上昇ガス量が確保されて炉芯の通気
性、通液性を確保でき、炉況を安定維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】装入実験に用いた内容積1850m3の実高炉
の1/7スケールの高炉炉頂部半裁模型を示すもので、
(a)図は立体斜視図、(b)図は半裁縦断面図であ
る。
【図2】実験による装入後のコークスと鉱石の混合状況
例の説明図である。
【図3】実験による装入後の高炉半径方向の鉱石存在率
分布の測定値と計算値とを示すグラフである。
【図4】混合原料粒子の高炉内堆積過程における分級堆
積作用の説明図で、(a)図は粒径差による分級、
(b)図は密度差による分級である。
【図5】鉱石とコークス同時装入後の混合層内の炉内半
径方向のコークス存在分布の推定図である。
【図6】鉱石の軟化溶融帯で同時装入したコークスが反
応劣化によって消滅するための条件図である。
【図7】実高炉を想定した塊コークス混合装入を行った
場合の数値シミュレーションによる高炉半径方向のコー
クスに対する鉱石の割合を示すグラフである。
【図8】混合された装入物が大ベルから排出される際の
コークス混合重量比率の経時変化パターンの説明図であ
る。
【図9】実施例1における同時装入時の鉱石対コークス
の加重平均粒径比を変化させた場合の高炉半径方向の原
料偏在状況の実測値と計算値とを示すグラフである。
【図10】実施例4で用いた鉱石とコークスとの粒度分
布を示すもので、(a)図は鉱石の粒度分布図、(b)
図はコークスの粒度分布図である。
【図11】実施例4の実高炉で行った混合装入時の半径
方向の温度分布を示すグラフである。
【図12】実施例4の実高炉で行った混合装入時の半径
方向のCOガス利用率分布を示すグラフである。
【符号の説明】
1 高炉炉頂部半裁模型 2 ベル 3 ベルカップ 4 装入原料 5 ベル昇降駆動装置 6 ムーバブルアーマ 7 コークス層 8 混合層 9 炉上部側壁 10 アクリル板半裁面

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コークスの単独装入と、鉱石とコークス
    の同時装入とを交互に行う高炉の操業方法において、同
    時装入するコークスの加重平均粒径をDc(mm)、鉱
    石の加重平均粒径をDo(mm)、同時装入するコーク
    スの鉱石に対する重量比率をX(%)とした場合、下記
    の(1)式、(2)式を同時に満足させるよう鉱石およ
    びコークスを同時装入することを特徴とする高炉の操業
    方法。 1.2<Do/Dc<1.6 (1)式 X<3.2−(Dc−20)/25 (2)式
  2. 【請求項2】 コークスの単独装入と、鉱石とコークス
    の同時装入とを交互に行う高炉の操業方法において、同
    時装入するコークスの加重平均粒径をDc(mm)、鉱
    石の加重平均粒径をDo(mm)、同時装入するコーク
    スの鉱石に対する重量比率をX(%)、コークスの反応
    性指数をCとした場合、下記の(1)式、(3)式を同
    時に満足させるよう鉱石およびコークスを同時装入する
    ことを特徴とする高炉の操業方法。 1.2<Do/Dc<1.6 (1)式 X<2.7+(C−20)−(Dc−20)/25 (3)式
  3. 【請求項3】 コークスの単独装入と、鉱石とコークス
    の同時装入とを交互に行う高炉の操業方法において、同
    時装入を2回以上の装入に分割し、同時装入するコーク
    スの加重平均粒径をDc(mm)、鉱石の加重平均粒径
    をDo(mm)、同時装入するコークスの鉱石に対する
    重量比率をX(%)とした場合、1回目の同時装入時に
    鉱石と同時に装入するコークスの加重平均粒径Dcを鉱
    石の粒度の粗い方から10体積%の加重平均粒径の2.
    5倍以上とし、2回目の同時装入時に下記の(1)式、
    (2)式を同時に満足させるよう鉱石およびコークスを
    装入することを特徴とする高炉の操業方法。 1.2<Do/Dc<1.6 (1)式 X<3.2−(Dc−20)/25 (2)式
  4. 【請求項4】 コークスの単独装入と、鉱石とコークス
    の同時装入とを交互に行う高炉の操業方法において、同
    時装入を2回以上の装入に分割し、同時装入するコーク
    スの加重平均粒径をDc(mm)、鉱石の加重平均粒径
    をDo(mm)、同時装入するコークスの鉱石に対する
    重量比率をX(%)、コークスの反応性指数をCとした
    場合、1回目の同時装入時に鉱石と同時に装入するコー
    クスの加重平均粒径Dcを鉱石の粒度の粗い方から10
    体積%の加重平均粒径の2.5倍以上とし、2回目の同
    時装入時に下記の(1)式、(3)式を同時に満足させ
    るよう鉱石およびコークスを装入することを特徴とする
    高炉の操業方法。 1.2<Do/Dc<1.6 (1)式 X<2.7+(C−20)−(Dc−20)/25 (3)式
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