JP3038509B2 - 受光素子の製造方法 - Google Patents

受光素子の製造方法

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JP3038509B2 JP3148073A JP14807391A JP3038509B2 JP 3038509 B2 JP3038509 B2 JP 3038509B2 JP 3148073 A JP3148073 A JP 3148073A JP 14807391 A JP14807391 A JP 14807391A JP 3038509 B2 JP3038509 B2 JP 3038509B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は受光素子に関し、特に光
通信分野における、基本的な測定の1つとして光パワー
の測定に用いられる、III-V族化合物半導体結晶のヘテ
ロ接合を用いた受光素子の暗電流特性の改善に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】光パワーの検出器としては、波長 400〜
1000nmの短波長帯ではSiが、 900〜1700nmの長波長帯で
はGe、InGaAs、InGaAsP 等が材料として用いられてい
る。特に長波長帯においてInGaAs及びInGaAsP は、暗電
流、量子効率、周波数応答特性等がGeに比べて優れてお
り、最近多く用いられている。
【0003】微小光パワーを測定する場合に問題となる
のは、受光素子の暗電流とリニアリティであり、特に暗
電流が大きいとSN比が小さくなり、安定した測定が困
難となる。
【0004】従来、上記の暗電流による問題点を解決す
る方法として、1)受光素子を冷却して暗電流を下げる、
2)電気的にオフセット補正回路を設け、暗電流をキャン
セルする、3)チョップ(変調)光を入射し、後段で検波
を行う、等の手法がとられてきた。
【0005】しかしながら、上記1)〜3)の方法は、受光
素子のもつ暗電流を本質的に低減させるものではなく、
付加的な部品や回路等でSN比の改善を行うものであっ
た。
【0006】図3には従来のプレーナ形受光素子を示
し、InP 基板上にエピタキシャル成長によって形成され
たInP バッファ層、InGaAs光吸収層及びInP ウィンドウ
層を備え、InP ウィンドウ層から、InGaAs光吸収層にか
けて不純物拡散領域が設けられている。この不純物拡散
領域の表面とInP 基板の裏面にはオーミック電極が設け
られ、オーミック電極の設けられている受光側には反射
防止膜が設けられる。
【0007】図4は従来のメサ型受光素子の構造を示
し、InP バッファ層、InGaAs光吸収層及びInP ウィンド
ウ層がメサ型に形成されており、反射防止膜はメサ構造
の側面にも設けられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】暗電流の成分はいくつ
かあるが、pn接合の露出により流れる表面リーク電流
は、結晶表面に露出したn形表面が蓄積層、p形表面が
反転層となり、そこを流れるチャンネル電流である。
【0009】図3に示すプレーナ形素子では、そのA部
の部分拡大図である図5に示すように、反射防止膜6の
帯電により、逆方向電圧を印加しなくても反射防止膜6
とInP ウインドウ層4との界面で空乏層8が生成する場
合があり、その状態で逆方向電圧が印加されると、反転
層が形成されてpn接合が形成され、受光素子側面の結
晶表面(B部)にpn接合が露出し、大きな表面リーク
電流が流れて暗電流が増加する。
【0010】その対策としては、図6のようにチャンネ
ルストッパー9を設けた受光素子があるが、このチャン
ネルストッパ9を形成させるための不純物選択拡散の工
程が必要となる。
【0011】図4のメサ形素子では、図中C部分でpn
接合がメサ側面に常に露出しており、この部分で表面リ
ーク電流が流れてしまい、この点から従来メサ型素子で
は低暗電流化は無理とされてきた。
【0012】チャンネル電流(表面リーク電流)Ic
は、pn接合における飽和電流をIsとすると、 Ic ∝Is 1/2 となる。
【0013】ここで、例えば受光素子の接合がp+ n接
合の片側段階接合である場合、Isは、 Is i 2(Dn /τd1/2 /NA ただし、ni :真正半導体キャリア濃度 Dn :少数キャリアの拡散定数 τd :少数キャリアの拡散寿命 NA :p+ 層キャリア濃度 である。
【0014】上記式の真正半導体キャリア濃度ni は、
半導体のバンドギャップエネルギをEg 、絶対温度を
T、ボルツマン定数をkとすると、 ni exp(−Eg / 2kT) であるから、チャンネル電流Ic は、 Ic exp(−Eg / 2kT) であり、バンドギャップエネルギEg に大きく依存す
る。
【0015】本発明では、InGaAsはInP に対して結晶成
長に選択性があり、InGaAsは InPの(111)面上では
結晶成長が認められないことに着目し、基板をまずメサ
エッチングして(111)面を露出させた場合、光吸収
層及びウィンドウ層をそれぞれエピタキシャル成長させ
ることにより簡単にpn接合の露出のない埋め込み構造
が得られ、表面リーク電流の大幅に低減したメサ構造の
受光素子を得ることができ
【0016】すなわち、本発明は、基板上にエピタキシ
ャル成長により形成された光吸収層及びウィンドウ層を
含むメサ構造を備え、前記メサ構造の側面が、前記光吸
収層よりバンドギャップエネルギが大きい材料のエピタ
キシャル埋め込み層で埋め込まれ、不純物を選択拡散す
ることにより前記光吸収層の中でpn接合を形成する受
光素子の製造において、基板をメサエッチングにより
(111)面を露出させた後、光吸収層及び前記ウィン
ドウ層を順次エピタキシャル成長により積層し、前記光
吸収層が、メサ側面の(111)面に対する選択成長性
により、メサ側面において前記ウィンドウ層により埋め
込まれることを特徴とする受光素子の製造方法である。
【0017】以下、本発明の実施例に基いて本発明の製
造方法を説明する。
【0018】図1は本発明の方法で得られた受光素子の
構造を示し、図2にその製造工程を示す。
【0019】図2において、例えば基板として(10
0)InP を用い、基板1を適当なマスクを用いてメサエ
ッチングを施す。エッチングは基板の(111)A面又
は(111)B面が現われるような、ブロムメタノール
系や塩酸系のエッチャントを用いてウェットエッチング
で行なう。エッチングの深さは、後に形成される光吸収
層厚さより深くする。
【0020】次にこのメサエッチングにより(111)
面を露出させた InP基板1上に、アンドープ又は不純物
をドープした InPバッファ層2、InP と格子整合のとれ
たアンドープInGaAs光吸収層3及びアンドープ InPウィ
ンドウ層4を順次エピタキシャル成長させる。エピタキ
シャル成長は気相成長法(CVD)を用いる。
【0021】図2に示すように、 InPバッファ層2と I
nPウィンドウ層4はメサの(111)面上にも均一にエ
ピタキシャル成長するが、InGaAs光吸収層は(100)
面上にのみInGaAs層3及び3’としてエピタキシャル成
長により積層され、さらにその上に成長する InPウィン
ドウ層4成長によって覆われる。InGaAs光吸収層3はメ
サ側面には存在しないので、 InPバッファ層2及び InP
ウィンドウ層4によって完全に埋め込まれた構造とな
る。
【0022】本発明の受光素子の製造において、上記の
InPバッファ層2は InP基板の歪や転移等を緩和するた
めに設けられるものであり、基板が良質であれば省略す
ることができる。
【0023】次いで図1に示すように、適当な拡散マス
クを用いて不純物5を拡散させ、pn接合を形成させ、
保護膜を兼ねて反射防止膜6を付け、オーミック電極7
及び8を付けて受光素子とする。
【0024】本発明の方法は、図1の構造のほか他の実
施例として、図7に示す裏面入射形受光素子を製造する
ことができる。この場合、保護膜10は図1における反
射防止膜6に相当するが、反射防止機能は必ずしも必要
としない。
【0025】
【作用】光吸収層3をウィンドウ層4に埋め込むには、
通常2回ないしは3回の再成長を要する。
【0026】しかしながら、本発明の方法では、InGaAs
は面方位依存性を有し、(111)面に対して結晶が成
長しないので、これを利用することにより、1回のエピ
タキシャル成長による層形成によって光吸収層の埋め込
みが実現できる。
【0027】本発明で得られた図1の受光素子におい
て、反射防止膜6を通過した光は、波長0.9 μm 以上で
透明な InPウィンドウ層4を通り、InGaAs光吸収層3ヘ
導かれる。InGaAsのバンドギャップエネルギ(300Kで0.
75eV)で定まる吸収端波長1.65μm 以下の光はこのInGa
As光吸収層3で吸収される。
【0028】不純物拡散領域5とInGaAs光吸収層4との
pn接合により生じる空乏層8の端部から拡散長以内の
領域で発生した少数キャリアの電子とホールが空乏層内
の電界で分離・ドリフトし、光電流としてオーミック電
極より取り出される。
【0029】
【発明の効果】本発明の方法によれば、基板をメサエッ
チングするのみで以後は通常のエピタキシャル成長によ
り光吸収層の埋め込みが行なわれ、pn接合の露出のな
い受光素子を得ることができる。本発明の方法で得られ
る受光素子は、暗電流成分の一つである表面リーク電流
が殆ど無視できるので、暗電流値が低く、高感度の光検
出が実現でき、例えば、微弱の光パワーの測定以外に、
光通信用測定器全般に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による受光素子の断面図。
【図2】図1の受光素子の製造工程を示す。
【図3】従来のプレーナ形受光素子の断面図。
【図4】従来のメサ形受光素子の断面図。
【図5】図3のA部の拡大図。
【図6】図5においてチャンネルストッパーを設けた場
合の説明図。
【図7】本発明による他の受光素子の断面図。
【符号の説明】
1 InP 基板 2 InP バッファ層 3 InGaAs光吸収層 3’InGaAs層 4 InP ウィンドウ層 5 不純物拡散領域 6 反射防止膜 7 オーミック電極 8 オーミック電極 9 チャンネルストッパ 10 保護膜

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上にエピタキシャル成長により形成
    された光吸収層及びウィンドウ層を含むメサ構造を備
    え、前記メサ構造の側面が、前記光吸収層よりバンドギ
    ャップエネルギが大きい材料のエピタキシャル埋め込み
    層で埋め込まれ、不純物を選択拡散することにより前記
    光吸収層の中でpn接合を形成する受光素子の製造にお
    いて、基板をメサエッチングにより(111)面を露出
    させた後、光吸収層及び前記ウィンドウ層を順次エピタ
    キシャル成長により積層し、前記光吸収層が、メサ側面
    の(111)面に対する選択成長性により、メサ側面に
    おいて前記ウィンドウ層により埋め込まれることを特徴
    とする受光素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 pn接合を形成する半導体結晶が、InP
    及びInGaAsである、請求項1に記載の受光素子製造方
    法。
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