JP3038039B2 - セラミックスヒータ及びその製造方法 - Google Patents

セラミックスヒータ及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、センサ等に取り付けら
れるセラミックスヒータ及びその製造方法に関し、詳し
くは、例えば内燃機関の排ガス中の酸素濃度を検出する
酸素センサの加熱用セラミックスヒータ及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば酸素センサは、内燃機関の
排気管に装着されて排ガス中の酸素濃度を検出するため
に使用されており、特に低温時に酸素センサを良好に機
能させるために、センサの素子部を加熱するセラミック
スヒータが用いられている。
【0003】このセラミックスヒータとしては、センサ
の形状に合わせて例えば板状や円筒形のヒータが使用さ
れている。このうち、円筒形のセラミックスヒータは、
例えばアルミナ(Al23)からなる円筒形のセラミッ
クス基材の表面に、発熱パターンが形成されたグリーン
シートを積層し、一体焼成して形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記の様なセ
ラミックスヒータを、高温に長期間晒される酸素センサ
の加熱用として使用した場合には、下記の問題が発生す
ることがあった。
【0005】つまり、酸素センサが高温に長期間晒され
ると、使用しているうちに発熱パターンが劣化してその
抵抗が増大することがあり、それによって、発熱パター
ンが断線したり、或は保護層にクラックが発生すること
があった。更に、最悪の場合には保護層が崩壊してしま
い、その結果、ヒータ寿命が低下することがあった。こ
の場合、外観的には陰極に近い発熱パターン付近が黒ず
み、いわゆる黒色化現象を生じている。
【0006】このため、ヒータの使用条件を検知し、必
要な時だけ通電することによって、ヒータの耐久寿命を
維持することが行なわれているが、その場合には、検知
手段や通電制御手段が別途必要となって装置が複雑化す
るという問題があり、また、検知手段等の故障によっ
て、新たな寿命低下の原因を生じることがあるので、根
本的な解決策とはなり得ないという問題があった。
【0007】本発明は、前記課題を解決するためになさ
れ、検知手段等の別途の手段を必要とすることなく、高
温の環境においてもヒータの寿命が長いセラミックスヒ
ータ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の請求項1の発明は、第1セラミックス層と、該第1セ
ラミックス層の表面に積層された第2セラミックス層
と、前記第1及び第2セラミックス層の境界面に配置さ
れた発熱部,陽極側端子及び陰極側側端子を有する発熱
パターンと、を備えた円筒形のセラミックスヒータにお
いて、前記陽極側端子に接続されて端子電圧を保持する
陽極側劣化防止パターンと、前記陰極側端子に接続され
て端子電圧を保持する陰極側劣化防止パターンと、を隣
接させて前記発熱部の外側に配置したことを特徴とする
セラミックスヒータを要旨とする。
【0009】円筒形のセラミックスヒータの製造方法で
あって、グリーンシートの表面に発熱部を備えた発熱体
パターンを形成する際に、前記発熱部の陽極側パターン
の外側に陽極側端子に接続されて端子電圧を保持する陽
極側劣化防止パターンを形成するとともに、前記発熱部
の陰極側パターンの外側に陰極側端子に接続されて端子
電圧を保持する陰極側劣化防止パターンを形成し、その
後前記発熱パターンの表面を他のグリーンシートで覆う
ことによって発熱パターンを挟んだ積層体を形成し、該
積層体をセラミックス基材に巻き付けるように積層して
一体焼成することを特徴とするセラミックスヒータの製
造方法を要旨とする。
【0010】尚、本発明のセラミックスヒータに、前記
以外の構成として、例えばセンサ素子や絶縁層等が形成
されていてもよい。前記第1及び第2セラミックス層を
形成する材料としては、Al23が好適であるが、特に
熱伝導特性に優れた高温強度材料とするために、Al2
3は平均結晶粒径10μm以下、相対理論密度94%以
上であることが好ましい。
【0011】また、前記第1セラミックス層としては、
加熱すべきセンサ形状に応じて形成されたセラミックス
基材、或はそのセラミックス基材の表面を覆う様にグリ
ーンシートを焼成して形成されたものを採用することが
できる。また、第2セラミックス層としては、グリーン
シートを焼成して形成されたものを採用することができ
る。
【0012】前記セラミックス基材は、Al23以外に
も、ムライトやスピネル等のアルミナ類似のセラミック
スなど、高温高強度セラミックスを使用しても良い。ま
た、グリーンシートから形成されるセラミックス層は、
発熱パターンを高温環境下において保護し、しかもセラ
ミックス基材と発熱パターンの接合性を向上させるもの
であり、少なくとも発熱パターンを包含する様に位置さ
せると良い。
【0013】発熱パターンの材料としては、主にタング
ステン(W)やモリブデン(Mo)を用い、更にこれら
の成分に、白金(Pt)やロジウム(Rh)等の高融点
金属成分を混合して用いるとよい。また、抵抗特性の向
上のために、PtやRhを単独に用いてもよい。尚、悪
影響を与えない限りにおいて、セラミックス層と同材よ
りなる酸化物等が若干存在していてもよい。
【0014】前記発熱パターンは、高抵抗性を有する発
熱部と、電源からの電圧が印加される陽極側端子及び陰
極側端子とを備えており、更にこの陽極側端子及び陰極
側端子と発熱部とを接続するために、リード部が形成さ
れている。
【0015】そして、この発熱部の外側に配置される陽
極側及び陰極側劣化防止パターンは、端子電圧を保持す
るために低い線抵抗値(例えば20℃で0.01Ω/m
m)に設定されており、そのため、例えば発熱部より約
2倍ほど幅が広くされている。
【0016】前記セラミックスヒータの製造方法の概要
は、次の通りである。原料として、例えば主成分Al2
3からなる粉末を湿式混合してなるものを用意する。
尚、稠密な高温高強度とするために、使用する原料粉末
としては、純度90%以上の高純度粉末を用い、その粒
径は2μm以下にすると良い。
【0017】但し、焼成促進成分であるSiO2,Mg
O,CaO,B23は、焼成過程において酸化物、ひい
ては所定の網目構造となりえるもの、例えば水酸化物、
塩(例えば炭酸塩等)として配合していもよい。
【0018】配合粉末の成形は、加圧成形(例えば静水
圧成形やドクターブレード成形)、或は押出成形など種
々の方法で行うことができる。尚、この成形に当り、所
定の溶剤および結合剤等を適時配合することは勿論であ
る。
【0019】発熱パターンの形成は、メッキ、気相析出
法(例えばスパッタリングや蒸着等)の種々の手段を採
用できる。特に、金属ペーストによって発熱パターンを
形成する場合には、成形されたグリーンシートに例えば
スクリーン印刷によって所定パターンを形成し、このパ
ターン印刷面側をグリーンシートで被覆し、その上に所
定パターンを形成した後、更にグリーンシートで被覆し
てセラミックス基体材料との接合に供するとよい。これ
は、金属パターンを直接に基材に接合すると、相互密着
性が不十分となり、気孔発生に基づく発熱パターン成分
の酸化原因(断線原因)を発生するおそれがあるからで
ある。
【0020】焼成は、セラミックス基材および各セラミ
ックス層の相互密着性を高めるために、同時焼成するこ
とが好ましい。焼成方法としては、型加圧(HP,HI
P)焼結,雰囲気加圧焼結,反応焼結など種々のものを
採用でき、その焼結温度は1450〜1600℃の範囲
から選択するとよい。雰囲気は不活性ガス(例えばA
r,N2),酸化性雰囲気(例えば大気中),還元雰囲
気(例えばH2ガス)のいずれであってもよい。
【0021】こうして得られたセラミックスヒータは、
その発熱パターンの端子部をメタライズ処理し、電源か
らのリードをろう付けにて接続される。本発明のセラミ
ックスヒータは、特に高温下で長時間使用される内燃機
関の空燃比制御用の酸素センサを加熱するためのヒータ
ーとして好適である。この場合セラミックスヒータは、
試験管型固体電解質酸素センサ素子の内部に挿入しても
良いし、酸素センサ素子に付設しても良い。
【0022】
【作用】本発明者らは、高温下で使用されるときのセン
サ劣化要因を分析し、それに基づいて本発明を完成した
ものである。以下その分析及び考察等について詳細に説
明する。
【0023】ヒータの断線現象のメカニズムは、既に特
願昭63−48721号にて開示された如く、下記の通
りである。従来のヒータにおける断線後の外観状態につ
いてのEPMA(元素分析)の結果を、模式的に図5
(A)及びそのB−B断面図である図5(B)に示す。
その結果から、次の事実(イ),(ロ)が判明した。 (イ) 発熱パターンP1のうち、陰極側の発熱部P2
の周辺が局部的に白色(Al23の通常色)から黒色に
変化していること。 (ロ) 発熱パタ−ンP1のうち、陽極側の発熱部P2
の周辺が局部的にクラックを生じていること。
【0024】又、ヒータを1000℃の大気雰囲気中に
おき、直流17Vで連続印加することにより通電し、発
熱部P2の抵抗値の変化を調べた結果から、次の事実
(ハ)が判明した。 (ハ) 一番陽極側に近い発熱部P2である第1パター
ン部位P3(図5(A))の抵抗が、図6に示す様に、
その他のパターン部位等に比して著しく増大しているこ
と。尚、この図6は、発熱パターンP1の全抵抗,第1
パターン部位P3の抵抗,その他のパターン部位の抵抗
の経時変化を示している。
【0025】前記事実を解明するために行った理論的考
察は、次の通りである。 (イ)の考察 アルミナヒータを構成するアルミナ基材は主成分として
Al23と共に焼結促進成分として種々の金属酸化物が
含有されて焼結されているので、焼結体においてはAl
23粒界のガラス相としてこれらの金属酸化物が存在す
る。
【0026】こうしたアルミナヒータを高温下にて直流
通電すると、ガラス相中に存在するマグネシウム(M
g)やカルシウム(Ca)原子が陽イオンとなって陰極
側に移動する。一方、該成分の近傍に存在する酸素
(O)原子が電気的中性を維持するために、酸素イオン
となり陽極側に移動する。そのため、Mg、Ca成分が
単体又は酸化物等として陰極側端子付近に堆積し、その
部位の黒色化をもたらす。即ち、直流電流の印加によ
り、Al23粒界のガラス相中のフラックス成分が電気
分解を受けるものである。
【0027】(ロ)の考察 また、陽極側に移動した酸素イオンにより、発熱パター
ンP1の材料、例えばタングステン(W)が酸化され、
その部位の抵抗値を増大させる。
【0028】(ハ)の考察 前記(ロ)の酸化反応等によって、発熱パターンP1は
体積膨脹を起こし、発熱パターンP1に断線を生ずると
共に、保護層P4に応力が加わり、クラックを生ずる。
尚、酸化した発熱パターンP1材料は、その一部が拡散
により保護層P4、更には外界へ移動し、この意味でも
抵抗値を増大させる。
【0029】従って、こうしたアルミナヒータが高温に
晒され続けると、保護層P4のクラックから侵入した外
気酸素により、爆発的に発熱パターンP1材料が酸化さ
れ、より一層の体積膨脹を起こし、保護層P4の剥離・
崩壊に至ると見なされる。
【0030】つまり、発熱パターンP1の断線メカニズ
ムの根本原因は、Mg2+、Ca2+の低電位側への移動
(マイグレーション)およびO2-の高電位側への移動と
考えられる。
【0031】そこで、本発明者らは、円筒形のセラミッ
クスヒータにおいて、前記メカニズムによるヒータの断
線を防止するために、発熱パターンの発熱部の外側に、
陽極側端子に接続されて端子電圧を保持する陽極側劣化
防止パターンを形成するとともに、陰極側端子に接続さ
れて端子電圧を保持する陰極側劣化防止パターンを形成
し、両劣化防止パターンを隣接して配置した。
【0032】例えば、発熱部の陽極側パターンに沿って
その外側に形成された陽極側劣化防止パターンと、発熱
部の陰極側パターンに沿ってその外側に形成された陰極
側劣化防止パターンとは、発熱パターンを挟んだ積層体
がセラミック基材に巻き付けられることによって、発熱
部の陽極側パターンと陰極側パターンとの間で、互いに
近接して配置されることになる。
【0033】この結果、従来のヒータにおいて、陽極側
及び陰極側パターン(第1パターン部位)で進行してい
た前述の劣化、即ちMg2+,Ca2+の低電位側へ移動
(マイグレーション)やO2-の高電位側への移動に基づ
く劣化は、本発明品では劣化防止パターン上で進行する
ことになるので、発熱パターンには全く劣化は進行しな
くなる。
【0034】更に、劣化防止パターンは、端子電圧を保
持するが電流は流れない非発熱パターンであり、しかも
その温度が低いために、劣化防止パターン上での前述の
劣化の進行は、結果的に軽微に終わる。また、万一劣化
防止パターンが、前述の劣化の進行によって断線したと
しても、この劣化防止パターンは、非発熱パターンであ
る以上、加熱性能に何ら悪影響を及ぼすことはない。
【0035】
【実施例】以下、本発明のセラミックスヒータ及びその
製造方法の実施例について説明する。
【0036】図1に示す様に、本実施例のセラミックス
ヒータ1は、円筒状のセラミックス基材2の表面に、2
層のセラミックス層3,4が形成されており、該第1セ
ラミックス層3と第2セラミックス層4との間の境界面
5には、発熱パターン7が形成されている。
【0037】この発熱パターン7は、分解斜視図の図2
に示す様に、セラミックスヒータ1の先端側で何度も蛇
行する幅の細い発熱部8と、セラミックスヒータ1の後
端側に配置されて電源に接続される陽極側端子9a及び
陰極側端子9b(端子部9と総称する)と、発熱部8及
び端子部9を接続するリード部10a,10bとから構
成されている。
【0038】更に、前記境界面5には、この発熱パター
ン7に加えて、陽極側端子9aに接続された陽極側劣化
防止パターン11aと、陰極側端子9bに接続された陰
極側劣化防止パターン11bとが形成されている。
【0039】前記陽極側劣化防止パターン11aは、陽
極側端子9aからリード部10aに沿って伸びて、発熱
部8の陽極側パターン(陽極側第1パターン部位8a)
と平行に形成されており、一方、陰極側劣化防止パター
ン11bは、陰極側端子9bからリード部10bに沿っ
て伸びて、発熱部8の陰極側パターン(陰極側第1パタ
ーン部位8b)と平行に形成されている。
【0040】従って、この両劣化防止パターン11a,
11b(11と総称する)は、図3(図1のA−A断面
図)に示す様に、セラミックスヒータ1の境界面5上
で、隣接して配置されている。尚、両劣化防止パターン
11は、発熱部8の幅より約2倍広く形成されており、
線抵抗値は端子電圧を保持できるように、約0.01Ω
/mmに設定されている。
【0041】次に、前記構成のセラミックスヒータ1の
製造方法について、図2に基づいて説明する。 (a)原料粉末の混合 平均粒径1.5μm,純度99.9%のAl23粉末と、
焼結促進剤として平均粒径2μm,純度98%のSiO2
粉末と、平均粒径2μm,純度90%のMgO粉末と、
平均粒径2μm,純度93%のCaO粉末とを、97.
2:2.5:0.1:0.1の割合で配合し、ボールミル
で20〜60時間湿式混合した後、脱水乾燥する。 (b)基材の作成 前記(a)で製造した配合粉末に、メチルセルロース1
%,マクセロン(商品名)15%,水10%を添加し、
混練する。次に、押出成形法で円筒状に成形し、所定寸
法に切断後、1200℃で仮焼して基材2とする。 (c)第1〜第2グリーンシート,発熱パターン及び劣
化防止パターンの作成 前記(a)で製造した配合粉末に、ポリビニルブチラー
ル8%,DBP4%,メチルエチルケトン,トルエン7
0%を添加し、ボールミルで混合してスラリー状とす
る。減圧脱泡後、ドクターブレード法により、第2セラ
ミックス層4となる厚さ0.2〜0.4mmの第2グリーン
シート4aを作成する。
【0042】次に、この第2グリーンシート4aの表面
に、予め調整されたWペーストを、厚膜印刷法により1
0〜30μmにスクリーン印刷して、発熱パターン7及
び劣化防止パターン11となる印刷パターン7a,11
aa,11bbを形成する。
【0043】更に、この印刷表面に、第2グリーンシー
ト4aと同様の方法にて成形した、第1セラミックス層
3となる厚さ0.05〜0.10mmの第1グリーンシート
3aを圧着し、積層シートを形成する。 (d)基材,第1〜第2グリーンシート,発熱パターン
及び劣化防止パターンの一体化 前記(a)で製造した配合粉末に、ポリビニルブチラー
ル25%,DBP8%,ブチルカルビドール30%を添
加して、ペースト状物を製造し、このペースト状物を、
前記(c)で得られた積層シートの第1グリーンシート
3aの表面に塗布する。
【0044】次に、この塗布面を基材2との接合に供す
る様にして、基材2の周囲に積層シートを巻き付け、加
圧密着させる。次に、250℃で樹脂抜きした後、水素
炉雰囲気中1500〜1600℃で焼成して、一体化さ
れたセラミックスヒータ1を形成する。その後、このセ
ラミックスヒータ1は、その端子部9の先端がNiメッ
キされ、ろう材を用いてリード線引出用端子(図示せ
ず)と接合される。
【0045】次に、この様にして製造されたセラミック
スヒータ1の効果を確認するために行った実験例につい
て説明する。 (実験例1)本実施例のセラミックスヒータ1を用い
て、高温耐久試験を行った。
【0046】実験は、1000℃の加熱雰囲気下で、劣
化防止パターン11を備えるとともに4.5Ωの抵抗値
を有する発熱パターン7に、直流17Vの通電を行な
い、その抵抗値の経時変化を測定した。また、比較例と
して、劣化防止パターンのない従来の発熱パターンを形
成したヒータについても、同様に高温耐久試験を行っ
た。その結果を図4に示すが、縦軸は抵抗変化率(%)
であり、横軸は耐久時間(Hr)を示している。尚、実
験では、本実施例及び比較例として、各々5個の試料に
ついて実験を行った。
【0047】図4から明らかな様に、本実施例のセラミ
ックスヒータ1は、比較例のものに比べて、抵抗値の経
時変化が著しく少なく優れた高温耐久性能を有してい
る。それに対して、比較例のものは、50時間から10
0時間かけて短時間で急速に抵抗値が増大しているの
で、不適なものである。
【0048】この様に、本実施例のセラミックスヒータ
1は、発熱部8の外側に近接して陽極側及び陰極側の劣
化防止パターン11を設けてあるので、Mg2+,Ca2+
の低電位側への移動やO2-の高電位側への移動は、劣化
防止パターン11上で進行することになる。その結果、
発熱パターン7には全く劣化は進行しなくなる。
【0049】また、劣化防止パターン11は、端子電圧
を保持するが電流は流れない非発熱パターンであり、し
かもその温度が低いので、前記劣化が軽微である。ま
た、この劣化防止パターン11が劣化して断線したとし
ても、これは発熱するパターンではないので、加熱性能
に何ら悪影響を及ぼすことはない。
【0050】その結果、発熱パターン7の劣化による抵
抗値の増加が生じにくいので、セラミックスヒータ1の
寿命を向上することができる。従って、このセラミック
スヒータ1を、例えば高温に長期間晒される空燃比制御
用の酸素センサに適用した場合には、発熱パターン7が
劣化しにくく、その抵抗の増大を防ぐことができるの
で、発熱パターン7が断線したり、或は保護層にクラッ
クが発生することを防止できる。その結果、酸素センサ
を高温で使用した場合でも、長い期間に亘ってセラミッ
クスヒータ1を好適に使用できるという顕著な効果を奏
する。
【0051】
【発明の効果】以上の如く本発明のセラミックスヒータ
、円筒形のヒータであり、しかも、陽極側及び陰極側
の劣化防止パターンを設けてあるので、Mg2+,C
2+,O2-の移動による発熱パターンの劣化を防ぐこと
ができるものである。特に本発明のものは、高温下に晒
される条件下においても抵抗値の変化が少なく、安定な
加熱特性を長時間維持でき、耐久性に優れている。しか
も検知手段等がいらずその構造が簡単であり、製造も容
易である。従って、各種のセンサの加熱用ヒータとして
好適に適用でき、極めて有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のセラミックスヒータを一部破
断して示す斜視図である。
【図2】実施例のセラミックスヒータを分解して示す斜
視図である。
【図3】実施例のセラミックスヒータの図1におけるA
−A断面図である。
【図4】実施例及び比較例のセラミックスヒータの耐久
試験の結果を示すグラフである。
【図5】従来のセラミックスヒータの問題点を示す説明
図である。
【図6】従来のセラミックスヒータの抵抗値の変化を示
すグラフである。
【符号の説明】
1…セラミックスヒータ 2…セラミックス
基材 3,4…セラミックス層 5…境界面 7…発熱パターン 8…発熱部 9a…陽極側端子 9b…陰極側端子 11a…陽極側劣化防止パターン 11b…陰極側劣
化防止パターン 11…劣化防止パターン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−96884(JP,A) 特開 昭60−212986(JP,A) 特開 昭62−206780(JP,A) 特開 昭62−44971(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 3/18 G01N 27/409 H05B 3/14 H05B 3/46

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1セラミックス層と、該第1セラミッ
    クス層の表面に積層された第2セラミックス層と、前記
    第1及び第2セラミックス層の境界面に配置された発熱
    部,陽極側端子及び陰極側側端子を有する発熱パターン
    と、を備えた円筒形のセラミックスヒータにおいて、 前記陽極側端子に接続されて端子電圧を保持する陽極側
    劣化防止パターンと、前記陰極側端子に接続されて端子
    電圧を保持する陰極側劣化防止パターンと、を隣接させ
    て前記発熱部の外側に配置したことを特徴とするセラミ
    ックスヒータ。
  2. 【請求項2】 円筒形のセラミックスヒータの製造方法
    であって、 グリーンシートの表面に発熱部を備えた発熱体パターン
    を形成する際に、前記発熱部の陽極側パターンの外側に
    陽極側端子に接続されて端子電圧を保持する陽極側劣化
    防止パターンを形成するとともに、前記発熱部の陰極側
    パターンの外側に陰極側端子に接続されて端子電圧を保
    持する陰極側劣化防止パターンを形成し、その後前記発
    熱パターンの表面を他のグリーンシートで覆うことによ
    って発熱パターンを挟んだ積層体を形成し、該積層体を
    セラミックス基材に巻き付けるように積層して一体焼成
    することを特徴とするセラミックスヒータの製造方法。
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