JP3813685B2 - セラミックヒータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミナを主成分とするセラミックスを用いたセラミックヒータに関する。本発明のセラミックヒータは、自動車用酸素センサ、内燃機関用グロープラグ、半導体加熱用セラミックヒータ又は石油ファンヒータ等の石油気化器用熱源などに利用される。
【0002】
【従来の技術】
セラミックヒータは、加圧成形、押出成形等によって得られる平板或いは円筒など、所望の形状のセラミック基材の表面に、白金、モリブデン、タングステン等融点の高い金属を含むペーストを厚膜印刷して発熱抵抗体パターンを形成し、これらを一体に焼成することにより製造されている。セラミック基材を構成する主成分としてアルミナ、高融点金属としてタングステンを用い、一体に焼成して得られるセラミックヒータがその代表例である。このセラミックヒータは高温において安定であるため、従来より、例えば自動車用酸素センサ或いはグロープラグ等の高温に晒される用途に使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、セラミックヒータに電圧を印加し、発熱して高温となった場合に、発熱抵抗体或いはセラミックス中に、焼結助剤に含まれるアルカリ土類金属或いは不純物としてアルミナ中に含まれているアルカリ金属等の陽イオンが移動する、所謂マイグレーションと呼ばれる現象を生ずる。これら陽イオンは陰極端子側に偏析し、その結果、発熱抵抗体の抵抗が変化し、最終的に断線に至る。このマイグレーションは、高電圧を印加した場合、又はセラミックヒータの温度が高いほど生じ易く、また、発熱抵抗体或いはセラミックスの結晶粒界などにイオン化し易い物質が多いほど発生し易い。更に、発熱抵抗体或いはセラミックスの結晶粒界に存在する気孔によっても、セラミックヒータの耐久性は低下する。
【0004】
上記の問題を解決するため、従来より、セラミックヒータの構造及び基材部を構成するセラミックスの組成或いは発熱パターンを形成する抵抗体材料等、構造、材料両面からの改良が試みられている。例えば、(1) 特開平1−225087号公報、(2) 特開平3−329291号公報などが知られている。これらのうち上記(1) は高温環境下におけるヒータの長寿命化を、主成分であるAl2 3 及び焼結促進成分であるSiO2 、MgO及びCaOの量比を特定することにより達成しようとするものである。また、上記(2) は筒状等のセラミックス層の表面に陽極側端子と陰極側端子とを、できるだけ離れた位置に対向して配置することによりマイグレーションを抑え、セラミックヒータの耐久性を高めようとするものである。
【0005】
しかし、上記(1) の公報に記載された方法では、Al2 3 の他、焼結促進成分の量比に特に留意しながら配合する必要がある。また、上記(2) の公報に記載された方法では、陽極側、陰極側それぞれの端子を特定の位置に配置しなければならず、セラミックヒータの構造に制約がある。
【0006】
本発明は、上記の従来のセラミックヒータが有する問題点を解決するものであり、マイグレーションし易い元素を含む結晶質の化合物を生成させ、それら元素を移動し難くし、且つ発熱抵抗体或いはセラミックス、特にその結晶粒界に存在する気孔を少なくし、その径を小さくすることにより、耐久性に優れたセラミックヒータを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1発明のセラミックヒータは、セラミックスからなる基材部と、該基材部に担持された発熱抵抗体とを備えるセラミックヒータにおいて、上記セラミックスは、Al2 3 を主成分とし、これにSi、Mg及びCaの酸化物を含み、上記発熱抵抗体には、該発熱抵抗体を構成する金属元素とAlとを含む結晶質の化合物並びにMg、Al及びSiを含む結晶質の化合物のうちの少なくとも一方が含有されていることを特徴とする。
【0008】
上記「セラミックス」は「Al2 3 」を主成分とし、その原料としては純度90%以上の高純度のAl2 3 粉末が使用される。また、セラミックスの結晶粒界には、Si、Mg及び/又はCaを含むガラス質相がある。これらの成分は、焼結助剤として用いられるSiO2 、MgO及び/又はCaOの粉末或いは加熱によって酸化物となるMg、Caの炭酸塩などの粉末を原料とし、Al2 3 粉末とともに焼成され、結晶粒界に含有されている。
【0009】
上記「発熱抵抗体」は、タングステン、白金、モリブデンなどの金属元素によって構成される。この発熱抵抗体に含有される上記「結晶質の化合物」としては、例えば、タングステンにより構成される発熱抵抗体である場合、AlWO4 、Mg2 Al4 Si5 18等が挙げられる。このように結晶質の化合物は、発熱抵抗体を構成する金属元素を含む場合もあり、この金属元素を含まず、セラミックスに含まれる元素のみを含む場合もある。いずれにしてもセラミックスに含まれていて、マイグレーションする可能性のある元素を結晶質の化合物の中に固定して移動し難くすることにより、マイグレーションが抑えられ、セラミックスの耐久性が向上する。
【0010】
また、本発明では、第2発明のように、セラミックスの「結晶粒界」に、Al、Si、Mg及びCaのうちの2種以上の元素を含む結晶質の化合物が含有されているセラミックヒータとすることもできる。この結晶質の化合物としては、Ca3 Si2 7 、Ca2 Al2 SiO7 等が挙げられる。このようにセラミックスの結晶粒界においても、この結晶粒界を構成する酸化物に含まれる元素(例えばCa、Si等)、更には結晶粒子を構成する元素(例えばAl)を含む結晶質の化合物が含有されておれば、より効果的にそれら元素のマイグレーションが防止される。
【0011】
本発明において、セラミックヒータの耐久性は、大気雰囲気中で、セラミックヒータに定格電圧の2倍の電圧を100時間印加した場合に、発熱抵抗体の発熱部において断線する割合によって評価できる。本発明では、この方法によって評価した断線の割合が10%以下の、優れた耐久性を有するセラミックヒータを得ることができる。尚、この印加電圧の高い評価方法は加速試験であり、例えば自動車用酸素センサなどの用途では、通常、定格電圧は12ボルトであり、実使用時には、この評価方法によって断線に至る時間とは比較にならないほど長時間の使用に耐えるものであると考えられる。
【0012】
発明のセラミックヒータは、水素雰囲気中で、1400〜1600℃の温度範囲内の温度で焼成した後、水素雰囲気中で、1400〜1600℃の温度範囲内の温度で熱処理する工程を1〜3回実施することにより製造することができる。尚、上記の雰囲気、温度に晒す時間は1回につき0.5〜3時間とすることが好ましい。
【0013】
また、発明のセラミックヒータは、水素雰囲気中で、1400〜1600℃の温度範囲内の温度で焼成した後、大気雰囲気中で、900℃以上、1000℃未満の温度範囲の温度で50〜100時間、又は1000℃以上、1100℃未満の温度範囲の温度で4.5〜100時間、又は1100℃以上、1200℃以下の温度範囲の温度で0.5〜100時間熱処理し、上記発熱抵抗体中に、該発熱抵抗体を構成する金属元素とAlとを含む結晶質の化合物並びにMg、Al及びSiを含む結晶質の化合物のうちの少なくとも一方を生成させることにより製造することができる
【0014】
発明のセラミックヒータの製造方法において、焼成温度が1400℃未満では、緻密化が十分に進まず、気孔の多いセラミックスとなって、セラミックヒータの耐久性が低下する。一方、焼成温度が1600℃を越えると、Alの異常な結晶粒成長を生じ、結晶粒界等に気孔が生成し易く、セラミックヒータの耐久性が低下する。この焼成温度は、1450〜1600℃、特に1500〜1600℃とすることが好ましく、この範囲の焼成温度であれば、緻密化も十分に進み、異常な結晶粒成長を生ずることもない。尚、焼成時間は30分〜2時間、特に1〜2時間とすることが好ましい。また、上記「水素雰囲気」とは、水素、窒素及び水蒸気からなる雰囲気である。
【0015】
また、焼成とほぼ同様の雰囲気、温度に晒す工程の回数が4回になると、Al及びタングステン等の金属元素の結晶粒が成長しすぎ、結晶粒界が疎な構造となって、比較的大きな気孔等の欠陥を生ずる。この欠陥部においては、抵抗発熱体に通電したとき特に温度が高くなり、マイグレーションし易くなってセラミックヒータの耐久性が低下する。上記の熱処理工程の回数は、特に2回とすることが好ましく、特定の結晶質の化合物が十分に生成してマイグレーションが抑えられ、且つ緻密化も十分に進み、異常な結晶粒成長もなく、より優れた耐久性を有するセラミックヒータを得ることができる。
【0016】
更に、発明のセラミックヒータの製造方法において、熱処理温度が900℃未満である場合は、結晶質の化合物が生成するための結晶核が形成されず、この特定の結晶質の化合物が生成しない。一方、熱処理温度が1200℃を越えると、基材部の結晶粒界が熱エッチングの効果で表面からエッチングされるため、欠陥を生じ易い。また、熱処理時間がそれぞれの温度範囲における下限値未満である場合は、特定の結晶質の化合物の生成が不十分であって、マイグレーションが抑えられない。更に、気孔も十分に少なくならず、その径も小さくならないため、セラミックヒータの耐久性も向上しない。一方、熱処理時間は、熱処理温度が900℃で100時間で十分である。
【0017】
上記の熱処理温度と熱処理時間とは、特定の結晶質の化合物が十分に生成するように適宜組み合わせる必要がある。例えば、熱処理温度が900〜1000℃の範囲では、熱処理時間は50時間以上、特に温度が900〜950℃の範囲では75時間以上とすることが好ましい。また、熱処理温度が1000℃以上の場合は、熱処理時間を4.5時間まで短縮してもよい。更に、熱処理温度が1100℃以上の場合は、熱処理時間が24時間以下、2時間以上とすれば、セラミックヒータの耐久性を十分に向上させることができる。
【0018】
セラミックヒータの断線メカニズムについては、例えば、特開平4−329289号公報及び特開平5−51275号公報にも述べられているように、一般に以下のように考えられている。セラミックス中に存在する微量成分のマイグレーションにより、例えばアルカリ金属或いはアルカリ土類金属の陽イオンが陰極側に移動する。一方、酸素イオンが陽極側に移動し、発熱抵抗体を構成する金属元素と反応して、例えばタングステンを使用しておれば酸化タングステンを生じる。その際、体積膨張により基材部を構成するセラミックスにクラックを生じ、そのクラックを通じて侵入する外気酸素により更に急激に上記金属元素が酸化され、その結果、陽極側端子部、メタライズ部、リード部及び発熱抵抗体の剥離、崩壊を生ずることになる。
【0019】
一方、本発明のセラミックヒータでは、焼成した後、ほぼ同様の条件で実施する熱処理又は温度範囲及び時間等を特定した熱処理によって、発熱抵抗体或いはセラミックス、特にその結晶粒界に、マイグレーションし易い元素を含む特定の結晶質の化合物を生成させ、マイグレーションを抑えている。また、発熱抵抗体及びセラミックス、特にその結晶粒界における気孔を減少させ、且つその径の小さいものにしている。それらの効果によって、本発明では、セラミックヒータの耐久性を向上させているものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明のセラミックヒータは、平板状或いは丸棒状等の形状のものとすることができる。平板状セラミックヒータの場合、アルミナ材質の2枚のグリーンシートの間に、タングステン等の金属元素からなる発熱抵抗体パターンを設け、これらを一体に焼成することにより得られる。この発熱抵抗体パターンは焼成されて発熱抵抗体となり、その先端側には発熱部が、後端側にはリード部を介して電極端子部が形成され、使用時には、この部分にリード線引き出し用端子が接合され、電源に接続される。
【0021】
一方、丸棒状セラミックヒータの場合、ヒータの基本構造は平板状のものと同様であるが、電極端子部近傍の構造がやや複雑になっている。即ち、表面側となるグリーンシートの電極端子部が形成される位置にスルーホールを設け、このスルーホールを介して電極端子部と発熱抵抗体の後端側の電極端末部とが接続される構造にしたものである。そして、このスルーホールが設けられたグリーンシートに、他のグリーンシートを圧着し、一体となったものをアルミナ製碍管に巻着し、焼成することにより丸棒状ヒータが得られる。使用時には、電極端子部にリード線引き出し用端子が接合され、電源に接続される。
【0022】
【実施例】
以下、実験例及び比較例により、本発明のセラミックヒータの性能を詳しく説明する。
(1)セラミックヒータの構造
図3は、丸棒状セラミックヒータの分解斜視図である。このセラミックヒータは、アルミナ材質のグリーンシートが焼成されてなる層(以下、焼成セラミックス層という。)1a及び1bの間に、タングステンからなる発熱抵抗体2を設けたものである。焼成セラミックス層1aを構成することとなるグリーンシートには、陽極側及び陰極側端子部にあたる位置にスルーホール24a、24bが設けられている。そして圧着されたグリーンシートがアルミナ製碍管3に巻着され、焼成されて丸棒状セラミックヒータが形成される。尚、碍管3は円柱状の中実体であってもよいが、図示の通りの円管状でもよい。
【0023】
上記発熱抵抗体2は、その先端側の発熱部21と、後端側の陽極側端末部22a及び陰極側端末部22bと、発熱部21と両端末部22a、22bとを結ぶリード部23a、23bにより構成される。また、焼成セラミックス層1aにはスルーホール24a、24bが設けられ、このスルーホール24a、24bにより形成される導通部、及び該導通部を通じて、上記の両端末部22a、22bと各々導通される陽極側端子部及び陰極側端子部25a、25bが設けられる。更に、両端子部25a、25bには、電源に接続されるリード線引き出し用端子が接合される。
【0024】
(2)セラミックヒータの作製方法
セラミックヒータを構成するセラミックスからなる基材部は、2枚のグリーンシートを使用して作製した。
a) グリーンシートの作製
Al2 3 粉末(純度;99.9%、平均粒径;1.8μm)と、焼結助剤であるSiO2 (純度;99.9%以上、平均粒径;1.4μm)、CaOとなるCaCO3 (純度;99.9%以上、平均粒径;3.2μm)、MgOとなるMgCO3 (純度;99.9%以上、平均粒径;4.1μm)及び必要に応じて添加されるY2 3 等の微量粉末からなる所定割合で配合された配合物100重量部に対し、ポリビニルブチラール8重量部、ジブチルフタレート4重量部、メチルエチルケトンとトルエンとを合計量で70重量部添加し、ボールミルで混合してスラリ状とした。その後、減圧脱泡し、ドクターブレード法によって厚さ0.3mmの2枚のグリーンシートを作製した。
【0025】
b) 発熱パターンの印刷
1枚のグリーンシートの一表面に、予め調製されたタングステンペーストを厚膜印刷法により25μmの厚さにスクリーン印刷し、焼成されて発熱抵抗体2を構成することとなる発熱抵抗体パターン、即ち焼成されて発熱部21、陽極側端末部22a、陰極側端末部22b及びリード部23a、23bとなるパターンを形成した。発熱抵抗体パターンの発熱部21の幅は400μmとし、その軸方向の長さを20mmとし、リード部23a及び23bの幅は2.5mm、また、グリーンシートの焼成後の長さは65mmである。
【0026】
c) セラミックヒータ成形体の作製
その後、上記のグリーンシートの他表面の所定位置に、タングステンペーストを使用して厚膜印刷法により、陽極側端子部25a及び陰極側端子部25bを印刷し、次いで、陽極側端末部22aと陽極側端子部25a、及び陰極側端末部22bと陰極側端子部25bを各々電気的に接続するように、タングステンペーストをスルーホール24a、24bに充填し、その後、このグリーンシートの一表面に他のグリーンシートの一表面を圧着した。次いで、この他のグリーンシートの他表面にアルミナペースト(共素地)を塗布し、この塗布面をアルミナ製碍管側としてアルミナ製碍管3に巻き付け、外周を押圧してセラミックヒータ成形体を得た。
【0027】
d) セラミックヒータ成形体の焼成
上記のようにして得られたセラミックヒータ成形体を250℃で樹脂抜きし、その後、水素雰囲気中で、1550℃で1時間30分保持(表1、2の実験例1〜14、17、20、22及び24〜28)して焼成し(表1、2の実験例15、16、18、19、21、23、29及び30では、括弧内の温度、時間が焼成の条件である。)、焼成セラミックス層1a、1b、発熱抵抗体2、陽極側及び陰極側端子部25a、25b及びアルミナ製碍管3が一体化された直径2.5mm、長さ65mmのセラミックヒータを得た。セラミックヒータの常温における抵抗は5.0Ωとなるようにした。使用時には、陽極、陰極両端子部25a、25bに各々ニッケルメッキを施し、リード線引き出し用端子を、ロー材により両端子部25a、25bに接合し、このリード線引き出し用端子を電源に接続する。このセラミックヒータは定格電圧は直流12Vであり、その電圧印加により、静止大気中で最高温度部は約1000℃に達するものである。
【0028】
(3)セラミックヒータの焼成と同じ条件での熱処理又は温度範囲、時間等を特定した熱処理
▲1▼焼成と同じ条件での熱処理;上記(2)、d)のセラミックヒータを、上記の焼成と同一の条件で表1に記載の回数熱処理した。
▲2▼温度範囲、時間等を特定した熱処理;セラミックヒータの発熱抵抗体部分を、表1に記載の温度に予め調温された加熱炉内に挿入し、表1に記載の時間保持し、大気雰囲気中で熱処理した後、炉中から引き出して放冷した。
【0029】
図1は、実施例1のセラミックヒータの発熱抵抗体及びセラミックスからなる基材部の断面の微小領域X線回折パターンを示すチャートである。図1によれば、上段の発熱抵抗体では、タングステン及びAl2 3 の他、AlWO4 (28°近辺)の存在を確認することができる。一方、下段の基材部では、Al2 3 の他、Ca3 Si2 7 (28°及び29.5°近辺、図1のイ、ロのピーク)の存在を確認することができる。尚、発熱抵抗体のチャートにAl2 3 が認められるのは、X線のスポット径が100μmφであるため、基材部のAl2 3 が現れているものである。また、上記の化合物の同定はJCPDS290096及び230124〔JCPDSはJoint Committee on Powder Diffraction Standard(粉末回折標準委員会)の略〕に従って行った。尚、図1、2においてハ、ニのピークは各々アルミナ、タングステンのピークである。
【0030】
図2は、比較例1のセラミックヒータの発熱抵抗体及びセラミックスからなる基材部の、微小領域X線回折パターンを示すチャートである。図2によれば、上段の発熱抵抗体では、タングステンの他、Al2 3 が認められるが、理由は上記の通りである。一方、下段の基材部では、Al2 3 以外のものは確認されなかった。このように、繰り返し焼成も特定の熱処理も行わなかった場合は、Mg、Ca等を含む特定の結晶質の化合物が生成していないことが分かる。
【0031】
(4)セラミックヒータの耐久性試験
上記(3)、▲1▼、▲2▼の焼成と同じ条件での熱処理又は温度範囲、時間等を特定した熱処理を施したセラミックヒータに、24ボルトの直流電圧を100時間印加して耐久性を評価した。100時間経過後、発熱抵抗体2の先端部の発熱部21において断線していたセラミックヒータの数を表1及び表2に示す。
【0032】
【表1】
Figure 0003813685
【0033】
【表2】
Figure 0003813685
【0034】
表1の結果によれば、焼成と同じ雰囲気、温度に晒す工程を1回とした実験例15〜19では破損数は2〜4個である。また、この工程が2回である実験例20及び21並びに3回である実験例22及び23では、更に耐久性が高く、破損数は0〜1個であり、焼成と同じ雰囲気、温度に晒す工程による耐久性向上の効果が裏付けられている。特に、この工程を2〜3回とした場合は、より大きな効果が奏されることが分かる。
【0035】
また、実験例1及び2のように温度範囲、時間等を特定した熱処理における処理温度が900℃の場合は、50時間及び100時間の処理によって、破損数がそれぞれ5個及び4個の耐久性の高いセラミックヒータが得られることが分かる。この処理温度が1000℃の実験例3〜6では、実験例3のように、処理時間が4.5時間と比較的短時間であっても、より破損数が少なくなる。更に、処理温度が1100℃の実験例7〜10及び1200℃の実験例11〜14では、破損数は更に少なくなる。特に、処理温度が1200℃のの場合は、処理時間が0.5時間の実験例11でも破損数は0であり、まったく断線を生じない非常に耐久性に優れたセラミックヒータが得られることが分かる。
【0036】
一方、表2の結果によれば、実験例24の未処理のセラミックヒータでは破損数は48個と非常に多く、温度範囲、時間等を特定した熱処理における処理温度が700℃又は800℃である実験例25及び26でも、破損数は41個或いは33個と相当に多い。また、処理温度が900℃であっても、処理時間が24時間と短い実験例27では、特定の結晶質化合物の生成が少ないためか、破損数は14個と多いことが分かる。更に、処理温度を1200℃とし、処理時間を100時間と長くした実験例28では破損数は10個であり、実験例24〜27に比べれば破損数は少ないが、表1の各実験例と比較すれば破損数が多い。また、焼成と同じ雰囲気、温度に晒す工程を4回とした実験例29及び30では、破損数はそれぞれ10個及び12個と多く、この工程が3回を越える場合は耐久性に劣ることが分かる。
【0037】
【発明の効果】
第1発明によれば、発熱抵抗体或いはセラミックス、特にその結晶粒界に、セラミックス中のマイグレーションし易い元素を含む結晶質の化合物を含有するセラミックヒータが得られ、このセラミックヒータは優れた耐久性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例6のセラミックヒータのセラミックスからなる発熱抵抗体及び基材部の微小領域X線回折パターンを示すチャートである。
【図2】比較例1のセラミックヒータのセラミックスからなる発熱抵抗体及び基材部の微小領域X線回折パターンを示すチャートである。
【図3】丸棒状セラミックヒータの分解斜視図である。
【符号の説明】
1a、1b;グリーンシートが焼成されてなる層、2;発熱抵抗体、、21;発熱抵抗体の先端側の発熱部、22a、22b;陽極側及び陰極側端末部、23a、23b;リード部、24a、24b;スルーホール、25a、25b;陽極側及び陰極側端子部、3;アルミナ製碍管。

Claims (2)

  1. セラミックスからなる基材部と、該基材部に担持された発熱抵抗体とを備えるセラミックヒータにおいて、上記セラミックスは、Alを主成分とし、これにSi、Mg及びCaの酸化物を含み、上記発熱抵抗体には、該発熱抵抗体を構成する金属元素とAlとを含む結晶質の化合物並びにMg、Al及びSiを含む結晶質の化合物のうちの少なくとも一方が含有されていることを特徴とするセラミックヒータ。
  2. 上記セラミックスの結晶粒界には、Al、Si、Mg及びCaのうちの2種以上の元素を含む結晶質の化合物が含有されている請求項1記載のセラミックヒータ。
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