JP3037245B2 - ステレオスライドマウント - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、ステレオスライ
ドマウントに関するものであり、特に、左右の画面の外
側をマスクして正確な立体画像を提供できるようにした
ステレオスライドマウントに関するものである。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】左右の
レンズの光軸間隔を固定した構造のステレオカメラで撮
影したステレオスライドは、左右の撮影レンズの視野の
差により、左右の撮影画面のそれぞれ外側に撮影範囲が
一致しない非重複部分が生じる。この非重複部分は、ス
テレオスライドビューワで鑑賞する際に立体像が形成さ
れず、非重複部分をマスクしないステレオスライドを両
眼視した場合は、重複部分と非重複部分の境界に他方の
窓の縁が重なった縦線が見えて興趣を損なうことにな
る。したがって、これを防ぐためにステレオスライドマ
ウントの窓幅をスライドフィルムの画面幅よりも狭く形
成して非重複部分をマスクすることが行われている。

【０００３】マスクすべき非重複部分の幅は、左右の画
像のマッチングに最も影響を与える被写体の撮影距離が
近くなるほど増大するので、窓幅が段階的に相違する複
数種類のステレオスライドマウントが用意されており、
これらのステレオスライドマウントから、適切なマスク
量の窓幅のものを選択してスライドフィルムをマウント
している。しかしながら、一コマ毎に切断した一対のス
ライドフィルムを目視してマスク量を判断することは容
易ではなく、ステレオスライドマウントの選択を誤る場
合が多いという問題がある。

【０００４】また、ステレオ写真において好適な立体効
果を得るためには、左右画像のマッチングに最も影響を
与える被写体の像を、ステレオスライドマウントの左右
の窓内において同一位置に位置させるべきであることが
知られており、それらの被写体の位置が左右の画面中で
異なっている場合は自然な立体効果が減殺される。しか
し、従来のステレオスライドマウントはフィルムの左右
方向の位置決めの判断基準になるものがなく、適正位置
に位置決めすることが容易ではないという欠点がある。

【０００５】そこで、本願出願人は、従来のステレオス
ライドシステムの欠点を解消すべく、ステレオスライド
マウント及び画面マスク量ガイド装置／ステレオスライ
ドビューワ（特願平８−２９１７７号）によるステレオ
スライドシステムを提案している。このステレオスライ
ドシステムは、フィルムのパーフォレーションと撮影画
面との位置関係が一定となるように構成したステレオカ
メラによって撮影したステレオスライドを対象としたも
のであり、ステレオスライドマウントは、左右の窓の周
囲にフィルム位置決めピンを設けたベースフレームと、
左右の窓間のギャップ幅が同一で窓幅が段階的に相違す
るカバーフレームとによって構成されている。

【０００６】また、画面マスク量ガイド装置／ステレオ
スライドビューワは、ステレオスライドの画面の外側領
域のマスク量を変化させつつ立体画像を観察して適切な
マスク量を判定できるものである。

【０００７】画面マスク量ガイド装置／ステレオスライ
ドビューワによりフィルムのマスク量を決定した後に、
ベースフレームの位置決めピンにフィルムのパーフォレ
ーションを係合させて位置決めし、決定したマスク量に
該当する窓幅のカバーフレームを選択してベースフレー
ムに接合すれば、フィルムは一定位置に位置決めされ、
且つ、左右のフィルムの外側の非重複部分がマスクされ
て、正確な立体効果を得ることができる。

【０００８】このように、上記のステレオスライドマウ
ントは、マウント時における位置決めを正確、且つ容易
に行うことができるが、マウントシステムを構成する複
数種類の窓幅のカバーフレームは、左右の窓間のギャッ
プ幅が同一なので、窓幅が狭くなるほど左右の画面の中
心ピッチも狭くなり、画面ピッチに応じて両眼の視線の
輻輳角が相違することになる。

【０００９】左右の画面ピッチの変化は、通常の鑑賞時
にはさほど問題にならないが、画面ピッチの差が大きい
種々のステレオスライドを頻繁に交換して長時間鑑賞す
る際は、輻輳角の変化に対する眼球の順応が遅れて不快
に感じたり、疲労することも考えられる。

【００１０】そこで、マウント作業の容易性と位置決め
の正確さとを具備し、且つ、見やすく疲労度の小さいス
テレオスライドマウントを提供するために解決すべき技
術的課題が生じてくるのであり、本発明は上記課題を解
決することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】この発明は、上記目的を
達成するために提案するものであり、有孔フィルムのパ
ーフォレーションと左右一対の撮影画面のそれぞれとの
相対的位置が同一となるステレオカメラにて撮影したス
テレオスライドをマウントするステレオスライドマウン
トであって、それぞれ２個の矩形の窓を並設したベース
フレームとカバーフレームとによって構成され、前記ベ
ースフレームのフィルム載置面に、固定すべきスライド
フィルムのパーフォレーションに係合して二枚のスライ
ドフィルムを位置決めする位置決めピンを設け、前記カ
バーフレームのフィルム押さえ面に前記位置決めピンに
対応するピン穴を設け、前記位置決めピンとピン穴とを
嵌合させてベースフレームとカバーフレームとを接合す
るステレオスライドマウントにおいて、前記窓幅がフィ
ルムの画面幅に対して順次縮小し、且つ、左右の窓のピ
ッチが一定な複数種類のステレオスライドマウントを形
成してマウントシステムを構成し、前記複数種類のステ
レオスライドマウントにおける前記位置決めピン並びに
ピン穴を、左右の窓のそれぞれ内側縦辺とフィルムの画
面の内側端部とが一致する位置に配設し、前記複数種類
のステレオスライドマウントの窓幅の相違によって、左
右のスライドフィルムの外側遮蔽面積を調整できるよう
にしたことを特徴とするステレオスライドマウントを提
供するものである。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を図に
従って詳述する。図１及び図２はステレオスライドマウ
ントを示し、外形の形状が同一で窓幅Ｗが漸次段階的に
縮小する複数種類のステレオスライドマウント１（＃０
〜＃３）によってマウントシステムを構成している。図
１及び図２においては窓幅Ｗの一段階毎の増減量を誇張
して示しているが、実際は一段階毎の窓幅の差はより小
さく設定すべきであり、画面マスク量が最も小さい最大
窓幅のもの（＃０）から最小窓幅のものまでのステップ
数も、図示した４段階に限定するものではない。

【００１３】全種類のステレオスライドマウント１（＃
０〜＃３）の基本的な構造は同一であり、それぞれ左右
の窓のピッチＰｗが同一で、窓幅Ｗと左右のフィルムの
装着ピッチが段階的に異なるものであるが、最大窓幅の
ステレオスライドマウント１（＃０）を例にとってその
構造を説明する。

【００１４】図３乃至図５に示すように、ステレオスラ
イドマウント１（＃０）は、樹脂の射出成形によって形
成されたカバーフレーム２とベースフレーム３とによっ
て構成され、カバーフレーム２とベースフレーム３のそ
れぞれに左右一対の窓４Ｌ，４Ｒと５Ｌ，５Ｒが設けら
れている。カバーフレーム２の窓４Ｌ，４Ｒとベースフ
レーム３の窓５Ｌ，５Ｒの縦横寸法は等しく、左右の窓
のピッチＰｗは、ステレオスライドビューワを使用して
鑑賞する際の見やすさを考慮すると、人間の両眼間隔の
標準値である６３．５ｍｍか、または、６３．５ｍｍよ
りも若干狭く設定することが望ましい。

【００１５】図５に示すように、ベースフレーム３の左
右の窓５Ｌ，５Ｒの周囲には、フィルムのパーフォレー
ションを係合させる円柱形の位置決めピン６が上下左右
４個所に立設され、図４に示すカバーフレーム２には、
ベースフレーム３の位置決めピン６と対称的な位置にピ
ン穴７が設けられている。また、ベースフレーム３の裏
面中央には縦溝８が成形されており、縦溝８の部分をヒ
ンジとしてベースフレーム３を二つ折りに折曲げること
ができる。

【００１６】ステレオスライドマウント１は、フィルム
のパーフォレーションと画面の相対的位置が左右で同一
となるように構成されたステレオカメラで撮影したスラ
イドフィルムをマウントすることを前提としており、図
５に示すように、位置決めピン６とピン穴７の位置は、
１コマ単位に切断したスライドフィルムＦの左右端部の
パーフォレーションを、ベースフレーム３の４個所の位
置決めピン６に係合させたときに、窓５Ｌ，５Ｒの内側
縦辺とスライドフィルムＦの画面の内側縁部が一致する
位置となっている。

【００１７】図１及び図２に示すように、全種類（＃０
〜＃３）のステレオスライドマウント１において窓のピ
ッチＰｗは同一であり、窓幅（Ｗ₀ ，Ｗ₁ ，Ｗ₂ ，
Ｗ₃ ）は段階的に変化し、且つ、左右二組の位置決めピ
ン６間のギャップ幅（Ｐ₀ ，Ｐ₁，Ｐ₂ ，Ｐ₃ ）は、＃
０のステレオスライドマウント１のギャップ幅Ｐ₀ を基
準とすると、以下の関係となっている。

【００１８】 （＃０）Ｐ₀ （＃１）Ｐ₁ ＝Ｐ₀ ＋Ｗ₀ −Ｗ₁ （＃２）Ｐ₂ ＝Ｐ₀ ＋Ｗ₀ −Ｗ₂ （＃３）Ｐ₃ ＝Ｐ₀ ＋Ｗ₀ −Ｗ₃ したがって、全てのステレオスライドマウント１（＃０
〜＃３）において、左右の窓４，５の内側縦辺と位置決
めピン６との相対的位置が同一となり、いずれのステレ
オスライドマウントにおいてもスライドフィルムの画面
の内側縁部と窓４，５の内側縦辺とが一致する。そし
て、窓幅の小さいステレオスライドマウントほど左右二
組の位置決めピン６間のギャップ幅（Ｐ₀ ，Ｐ₁ ，
Ｐ₂ ，Ｐ₃ ）が増大して左右のフィルムのピッチは拡張
され、左右のフィルムのそれぞれ外側のマスク量が増大
する。

【００１９】ステレオスライドをマウントする際は、従
来技術として前述したマスク量ガイド装置や他のマスク
量判定手段によってフィルムのマスク量を決定し、その
マスク量に該当する窓幅のステレオスライドマウント１
を選択する。そして、ベースフレーム３の左右の窓５
Ｌ，５Ｒにフィルムを装着し、ベースフレーム３にカバ
ーフレーム２を載せ、位置決めピン６とピン孔７とを嵌
合させてカバーフレーム２とベースフレーム３とを接合
する。

【００２０】ベースフレーム３は縦溝８の部分をヒンジ
として二つ折りにできるので、左半分か右半分のいずれ
か一方から先に嵌合させることができ、位置決めピン６
とピン孔７との位置合わせが容易におこなえるのでマウ
ント作業の能率が良好である。一方、カバーフレーム２
の表面には折曲げ溝が無く、平坦に成形してあるので、
カバーフレーム２にタイトルや撮影メモを記入する場合
に便利である。また、カバーフレーム２の左右の窓４
Ｌ，４Ｒ間のギャップ部に凹部を形成して、この凹部に
タイトル等を記入したり、タイトルラベルを貼付するよ
うにしてもよい。

【００２１】従来のステレオスライドビューワは、ステ
レオスライドマウントの装填を容易にするために、スラ
イドホルダの内部の幅がステレオスライドマウントの幅
よりも若干広く形成されており、この寸法差によってス
テレオスライドマウントの左右の位置決めが不安定なも
のが多いが、図６に示すように、スライドビューワのス
ライドホルダ部１１に位置決めバネ１２を設けて、位置
決めバネ１２をステレオスライドマウント１の縦溝８に
圧接させれば、ステレオスライドマウント１の前後左右
位置を正確に位置決めすることができる。

【００２２】図７は他の位置決め手段を示し、ステレオ
スライドマウント１Ａの底辺中央にノッチ９を成形し、
スライドビューワのスライドホルダ部１１にノッチ９に
係合する凸部１１ａを設けて、ステレオスライドマウン
ト１Ａを位置決めするものである。同図に示すように、
凸部１１ａの上端を半円形に成形することによって、ス
テレオスライドマウント１Ａをスライドホルダ部１１の
上方から挿入して、ノッチ９を凸部１１ａに係合させる
際に円滑に係合する。ノッチ９の高さは、ステレオスラ
イドマウント１Ａの底面がスライドホルダ部１１の底面
から浮上しないように、凸部１１ａの高さよりも若干高
くする。ノッチ９の他の効果としては、ステレオスライ
ドマウント１Ａの天地を容易に認識することができる利
点がある。

【００２３】従来、ステレオスライドマウントをステレ
オスライドビューワのスライドホルダ部に挿入する際
に、ステレオスライドマウントを傾斜姿勢のまま押し下
げた場合は、図８に示すように、スライドホルダ部Ｈの
左右両壁面にステレオスライドマウントＭの角部が接触
して、その摩擦抵抗によりステレオスライドマウントＭ
が挿入の途中でロック状態となることがしばしば起こ
る。そこで、上記のノッチ９並びに凸部１１ａによる位
置決め手段を設けることにより、図７に示すように、ス
ライドホルダ部１１の内部の幅を、ステレオスライドマ
ウント１Ａの幅よりもかなり広く形成してもステレオス
ライドマウントの左右の位置ずれを防止でき、ステレオ
スライドマウントの挿入を容易化することができる。

【００２４】尚、フィルムのパーフォレーションの形状
が円形であったり、左右方向へ長い長円形のフィルムの
場合は、円柱形の位置決めピン６の直径を適切に設定す
ることにより、位置決めピン６のみによってフィルムの
左右方向及び上下方向の位置が正確に維持されるが、１
３５フィルム等のように、上下に細長い形状のパーフォ
レーションを有するフィルムの場合は、位置決めピン６
の直径や形状によっては、上下方向の位置決めが曖昧に
なることも考えられる。

【００２５】図９及び図１０は、上記の問題を解決する
ための実施形態を示し、図９（ａ）（ｂ）に示すよう
に、ベースフレーム３に、フィルムの左右方向の位置を
規制する位置決めピン６に加えて、フィルムの上下方向
の位置を規制する位置決めピン１３を設け、同図（ｃ）
（ｄ）に示すカバーフレーム２に、位置決めピン６，１
３と嵌合するピン穴７，１４を設けている。

【００２６】また、図１０に示すベースフレーム３は、
その上下中間に、フィルムの上下幅と等しい幅の凹部１
５を成形してあり、フィルムを凹部１５に載置すること
により、図９のものと同様にフィルムの上下方向の位置
を規制するように構成したものである。

【００２７】尚、この発明は上記の実施形態に限定する
ものではなく、この発明の技術的範囲内において種々の
改変ができ、この発明がそれらの改変されたものに及ぶ
ことは当然である。

【００２８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のステレオ
スライドマウントは、画面マスク量ガイド装置等によっ
て決定した画面幅のステレオスライドマウントを選択し
てフィルムをマウントすれば、被写体の正確な視差補正
がなされるものであり、画面の窓幅が相違しても左右の
画面ピッチは全て同一である。よって、画面マスク量が
異なる種々のステレオスライドマウントを頻繁に交換し
て鑑賞する場合も、左右の視線の輻輳角は一定であり、
眼の疲労が少ないという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のステレオスライドマウントを示し、
（ａ）（ｂ）（ｃ）は、それぞれ窓幅が段階的に縮小す
るステレオスライドマウントの正面図である。

【図２】本発明のステレオスライドマウントを示し、
（ｄ）は、図１に続き窓幅が最小のステレオスライドマ
ウントの正面図である。

【図３】最大窓幅のステレオスライドマウントを示し、
（ａ）は正面図、（ｂ）は側面図、（ｃ）は底面図、
（ｄ）は背面図である。

【図４】図３のステレオスライドマウントのカバーフレ
ームを示し、（ａ）は正面図、（ｂ）は側面図、（ｃ）
は底面図、（ｄ）は背面図である。

【図５】図３のステレオスライドマウントのベースフレ
ームを示し、（ａ）は正面図、（ｂ）は側面図、（ｃ）
は底面図、（ｄ）は背面図である。

【図６】スライドホルダの板バネとステレオスライドマ
ウントの縦溝による位置決め手段の解説図。

【図７】他の実施形態を示し、スライドホルダの凸部と
ステレオスライドマウントのノッチによる位置決め手段
の解説図。

【図８】従来例を示し、ステレオスライドマウントの装
填不良状態を示す解説図。

【図９】他の実施形態を示し、（ａ）はベースフレーム
の正面図、（ｂ）はベースフレームの側面図、（ｃ）は
カバーフレームの正面図、（ｄ）はカバーフレームの側
面図である。

【図１０】他の実施形態を示し、（ａ）はベースフレー
ムの正面図、（ｂ）はベースフレームの側面断面図であ
る。

【符号の説明】

１ ステレオスライドマウント ２ カバーフレーム ３ ベースフレーム ４Ｌ，４Ｒ 窓 ５Ｌ，５Ｒ 窓 ６ 位置決めピン ７ ピン穴 ８ 縦溝 ９ ノッチ １１ スライドホルダ部 １１ａ 凸部 １２ 位置決めバネ １３ 位置決めピン １４ ピン穴 １５ 凹部

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 有孔フィルムのパーフォレーションと左
   右一対の撮影画面のそれぞれとの相対的位置が同一とな
   るステレオカメラにて撮影したステレオスライドをマウ
   ントするステレオスライドマウントであって、 それぞれ２個の矩形の窓を並設したベースフレームとカ
   バーフレームとによって構成され、前記ベースフレーム
   のフィルム載置面に、固定すべきスライドフィルムのパ
   ーフォレーションに係合して二枚のスライドフィルムを
   位置決めする位置決めピンを設け、前記カバーフレーム
   のフィルム押さえ面に前記位置決めピンに対応するピン
   穴を設け、前記位置決めピンとピン穴とを嵌合させてベ
   ースフレームとカバーフレームとを接合するステレオス
   ライドマウントにおいて、 前記窓幅がフィルムの画面幅に対して順次縮小し、且
   つ、左右の窓のピッチが一定な複数種類のステレオスラ
   イドマウントを形成してマウントシステムを構成し、前
   記複数種類のステレオスライドマウントにおける前記位
   置決めピン並びにピン穴を、左右の窓のそれぞれ内側縦
   辺とフィルムの画面の内側端縁とが一致する位置に配設
   し、前記複数種類のステレオスライドマウントの窓幅の
   相違によって、左右のスライドフィルムの外側遮蔽面積
   を調整できるようにしたことを特徴とするステレオスラ
   イドマウント。
2. 【請求項２】 上記ベースフレームの左右中央部にヒン
   ジ部を形成して屈曲自在としたことを特徴とする請求項
   １記載のステレオスライドマウント。