JP3036359B2 - 温水洗浄装置付き便器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は温水洗浄装置付き便器に
係り、特に温水タンクの設置位置を改良した温水洗浄装
置付き便器に関する。

【０００２】

【従来の技術】人体臀部を温水で洗浄するための温水洗
浄装置付き便器として、洋風便器の後部上面に便座ボッ
クスを設置し、この便座ボックス内に温水タンクや洗浄
ノズル等の洗浄用機器を設置したものがある。

【０００３】このタイプの温水洗浄装置付き便器におい
ては、温水タンクの容量が大きいところから、便座ボッ
クスに便器側方へ張り出す張出部を設け、この張出部の
中に温水タンクを設置することが一般的である。

【０００４】なお、温水タンクを便座ボックスと切り離
し、洋風便器の台座部内に配置し、温水タンクと便座ボ
ックスとを別々に洋風便器に組みつけることもある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】便座ボックスに張出部
を設け、この張出部内に温水タンクを設置した場合、便
座ボックスの高さを小さくすることができる反面、張出
部の後方での保守、点検作業や清掃を行ないにくいとい
う問題がある。また、トイレルームの壁面が洋風便器に
近接している場合には、張出部が邪魔になって温水洗浄
装置を設置できない場合もある。

【０００６】温水タンクを便座ボックスから切り離し、
便座ボックスとは別個に洋風便器の台座部内に設置した
温水洗浄装置付き便器においては、温水洗浄装置を設置
したり、取り外して修理したりする場合、便座ボックス
の装着及び取り外しと温水タンクの装着及び取り外しと
をそれぞれ行なう必要があり、作業性が悪い。とくに、
この便座ボックスと温水タンクとはチューブや電線で接
続されているため、チューブや電線が外れたり絡まった
りしないように便座ボックス及び温水タンクの装着、取
り外しを行なわなければならず、作業性がかなり悪い。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１の温水洗浄装置
付き便器は、洋風便器の後部上面に温水洗浄装置を設置
してなり、該温水洗浄装置は、該洋風便器の後部上面に
設置されたケーシングと、該ケーシング内に設置され、
該ケーシングの前方にノズル本体を突出させうる洗浄ノ
ズルと、該洗浄ノズルに接続された温水タンクとを備え
ている温水洗浄装置付き便器において、該ケーシングか
らブラケットが垂下しており、該温水タンクは、該ブラ
ケットに取り付けられており、該温水タンクの全体が該
ケーシングの底面よりも下方に配置されており、該温水
タンクは、前記洋風便器の上面に設けられた開口を通し
て該洋風便器内部に配置されていることを特徴とするも
のである。

【０００８】請求項２の温水洗浄装置付き便器は、請求
項１において、前記温水タンクの上方に前記洗浄ノズル
が配置されていることを特徴とするものである。

【０００９】請求項３の温水洗浄装置付き便器は、請求
項２において、前記温水タンクと洗浄ノズルとの間に、
該温水タンク内の水を該洗浄ノズルに供給するためのポ
ンプが設置されていることを特徴とするものである。

【００１０】請求項４の温水洗浄装置付き便器は、請求
項１ないし３のいずれか１項において、前記洗浄ノズル
に近接して制御回路基板が設置されており、且つ該基板
のうち該洗浄ノズルに対峙する面に回路部品が設置され
ていることを特徴とするものである。

【００１１】

【作用】請求項１〜４の温水洗浄装置付き便器において
は、温水タンクがケーシングに取り付けられて一体とな
っているため、温水タンク及びケーシングを一まとめに
して洋風便器に対し装着、取り外しすることができる。

【００１２】この温水タンクは、その全体がケーシング
の底面よりも下方に配置され、且つ洋風便器の開口から
洋風便器内に配置されているため、ケーシングに温水タ
ンク設置スペースが全く不要となり、ケーシングの高さ
を低くして小型化することが可能である。

【００１３】この温水洗浄装置は、ケーシングに温水タ
ンクを収納するための洋風便器側方への張出部を設ける
必要がない。

【００１４】請求項２の温水洗浄装置付き便器において
は、温水タンクの熱（特に、温水タンクによって暖めら
れ、上昇する暖気流）によって洗浄ノズルあるいはその
近傍の配管が暖められる。これにより、寒冷時における
洗浄ノズルの凍結が防止される。また、初期冷水を無く
すことも可能となる。

【００１５】請求項３の温水洗浄装置付き便器において
は、ポンプも暖められ、ポンプ内あるいはポンプ近傍の
配管の凍結が防止される。

【００１６】請求項４の温水洗浄装置付き便器において
は、制御回路基板の回路部品からの放熱により洗浄ノズ
ルが暖められる。これにより、該洗浄ノズルやその近傍
の配管の凍結が防止される。また、初期冷水を無くすこ
とも可能となる。

【００１７】

【実施例】以下、図面を参照して実施例について説明す
る。第１図〜第４図は本発明の実施例に係る温水洗浄装
置付き便器を示すものであり、第１図は洋風便器の透視
斜視図、第２図は温水洗浄装置の分解斜視図、第３図は
温水洗浄装置の斜視図、第４図は温水洗浄装置付き便器
の分解斜視図である。

【００１８】洋風便器１の後部上面に、温水洗浄装置の
ケーシングとしての便座ボックス２が設置され、この便
座ボックス２に便座３及び便蓋４が起倒自在に枢支され
ている。この便座ボックス２は、ベースプレート２ａ
（第２図）及び該ベースプレート２ａに着脱可能に取り
付けられたボックスカバー２ｂとから構成されている。
便座ボックス２の後方にロータンク５が設置されてい
る。

【００１９】この便座ボックス２内の前縁中央部にシャ
ワーノズル７及びチャームノズル８が設けられ、それぞ
れ、洗浄用ノズル本体を便座ボックス２の前方へ突出可
能とされている。

【００２０】また、この便座ボックス２内には、温風フ
ァン１０、脱臭ファン１１（第２図）、制御用回路基板
１２、トランス１３などが設置されている。この回路基
板１２は、パワートランジスタなどの回路部品を搭載し
た面が下向きとなるようにして前記シャワーノズル７及
びチャームノズル８の上方の直近位置に設置されてい
る。

【００２１】本実施例では、ベースプレート２ａから１
対のブラケット１４が垂設され、このブラケット１４に
温水タンク１５が取り付けられている。

【００２２】また、この温水タンク１５の上側に、該温
水タンク１５内の温水をノズル７，８に供給するための
ポンプ１６が設置されている。このポンプ１６は、取付
金具１６ａ（第２図）を介してブラケット１４に固定さ
れている。このように、これらブラケット１４及び取付
金具１６を介して、第２，３図に明示される通り、この
温水タンク１５及びポンプ１６は便座ボックス２と一体
化されている。

【００２３】本実施例では、この温水タンク１５の上方
にシャワーノズル７及びチャームノズル８が配置されて
いる。

【００２４】第４図に示される通り、洋風便器１の便鉢
１７の後方の上面には、略方形の開口１８が設けられて
いる。温水タンク１５が垂設された便座ボックス２は、
該温水タンク１５をこの開口１８に上方から差し込むよ
うにして洋風便器１に装着される。便座ボックス２のベ
ースプレート２ａの底面からはボルト１９が突設されて
おり、このボルト１９を洋風便器１のボルト挿通孔２０
に挿入し、ナット（図示略）を締め込むことにより便座
ボックス２が洋風便器１に固定される。

【００２５】なお、第１図の通り、温水タンク１５に接
続されたホース２１がロータンク５内のサービスタンク
（図示略）の流出口２２に対し接続されている。

【００２６】このトイレルームの壁面にリモコン２３が
設けられ、この温水洗浄装置をリモートコントロール可
能としている。便座ボックス２の側部上面にもスイッチ
部２４が設けられている。このスイッチ部２４は開閉カ
バー２５で覆われている。

【００２７】リモコン２３又はスイッチ部２４に設けら
れたシャワースイッチを押すと、シャワーノズル７が作
動され、その先端から温水が噴出され、使用者臀部のシ
ャワー洗浄（肛門洗浄）が行なわれる。チャームスイッ
チを押すと、チャームノズル８が作動され、その先端か
ら温水が噴出されて人体臀部の温水洗浄（ビデ洗浄）が
行なわれる。温風スイッチを押すと温風ファン１０が作
動され、温風吹出口１０ａから人体臀部に温風が吹き付
けられて乾燥が行なわれる。ストップスイッチを押す
と、これらシャワーノズル７、チャームノズル８または
温風ファン１０の作動が停止される。

【００２８】このように構成された温水洗浄装置付き便
器においては、温水タンク１５及びポンプ１６が便座ボ
ックス（ケーシング）２と一体となっているため、温水
タンク１５及び便座ボックス２を一まとめにして洋風便
器１に対し装着、取り外しすることができ、この作業性
が著しく向上される。

【００２９】この温水タンク１５の全体が便座ボックス
２の下方に配置され、且つ洋風便器１の開口１８から洋
風便器１内に挿入されて配置されているため、便座ボッ
クス２に内に温水タンク用のスペースを設けることが全
く不要であり、便座ボックス２の高さを低くすることが
可能である。また、便座ボックス２に温水タンクを収納
するための洋風便器側方への張り出し部を設ける必要が
ない。従って、洋風便器の後部における保守点検作業や
清掃を容易に行なえる。また、洋風便器の側方にトイレ
ルームの壁面が近接している場合であっても、この洋風
便器に温水洗浄装置を設置できる。

【００３０】本実施例においては、温水タンク１５の上
方にシャワーノズル７及びチャームノズル８が配置され
ているため、温水タンク１５の熱（特に、温水タンクに
よって暖められ、上昇する暖気流）によってノズル７，
８あるいはその近傍の配管が暖められる。さらに、回路
基板１２がノズル７，８に近接配置され、しかも該回路
基板１２は、回路部品を搭載した面がノズル７，８側と
なるように設置されている。従って、この回路部品から
の放熱によりノズル７，８が暖められる。これにより、
寒冷地におけるノズル７，８あるいはその近傍の配管内
の水の凍結が防止される。本実施例では、ポンプ１６も
この温水タンク１５の上側に配置されているところか
ら、このポンプ１６も温水タンク１５によって暖めら
れ、ポンプ１６内あるいはポンプ１６近傍の配管内の水
の凍結が防止される。

【００３１】なお、このようにノズル７，８やポンプ１
６あるいはそれらの近傍の配管を暖めることにより、初
期冷水（洗浄開始時に低温水がノズルから噴出されるこ
と）を全く無くしたり、著しく少なくすることもでき
る。

【００３２】

【発明の効果】請求項１の温水洗浄装置付き便器による
と、ケーシングを小型化できる。特に、ケーシングの側
方への張り出しを全くなくすか、きわめて小さなものと
することができ、洋風便器の後部における保守点検作業
や清掃を容易に行なえるようになる。また、洋風便器の
側方にトイレルームの壁面が近接している場合でも温水
洗浄装置を設置できる。

【００３３】請求項２，４の温水洗浄装置付き便器によ
ると、洗浄ノズル及びその近傍の配管の凍結を防止でき
る。また、初期冷水を無くすことも可能となる。

【００３４】請求項３の温水洗浄装置付き便器による
と、さらにポンプやその近傍の配管の凍結も防止でき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例に係る温水洗浄装置付き便器の透視斜視
図である。

【図２】実施例に用いられている温水洗浄装置の斜視図
である。

【図３】実施例に用いられている温水洗浄装置の透視斜
視図である。

【図４】実施例に係る温水洗浄装置付き便器の分解斜視
図である。

【符号の説明】

１ 洋風便器 ２ 便座ボックス（ケーシング） ７ シャワーノズル ８ チャームノズル １２ 回路基板 １３ トランス １４ ブラケット １５ 温水タンク １６ ポンプ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 平２−23078（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) E03D 9/00 - 9/16

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 洋風便器の後部上面に温水洗浄装置を設
   置してなり、 該温水洗浄装置は、該洋風便器の後部上面に設置された
   ケーシングと、該ケーシング内に設置され、該ケーシン
   グの前方にノズル本体を突出させうる洗浄ノズルと、該
   洗浄ノズルに接続された温水タンクとを備えている温水
   洗浄装置付き便器において、該ケーシングからブラケットが垂下しており、 該温水タンクは、該ブラケットに取り付けられており、 該温水タンクの全体 が該ケーシングの底面よりも下方に
   配置されており、 該温水タンクは、 前記洋風便器の上面に設けられた開口
   を通して該洋風便器内部に配置されていることを特徴と
   する温水洗浄装置付き便器。
2. 【請求項２】 請求項１において、前記温水タンクの上
   方に前記洗浄ノズルが配置されていることを特徴とする
   温水洗浄装置付き便器。
3. 【請求項３】 請求項２において、前記温水タンクと洗
   浄ノズルとの間に、該温水タンク内の水を該洗浄ノズル
   に供給するためのポンプが設置されていることを特徴と
   する温水洗浄装置付き便器。
4. 【請求項４】 請求項１ないし３のいずれか１項におい
   て、前記洗浄ノズルに近接して制御回路基板が設置され
   ており、且つ該基板のうち該洗浄ノズルに対峙する面に
   回路部品が設置されていることを特徴とする温水洗浄装
   置付き便器。