JP3035508U - 入浴用補助椅子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】高齢者や障害者を対象とした入浴用補助椅子を
既存の浴槽に取り付けられるようにし、その導入費用の
削減をはかる。またその取扱性や安全性の向上をはか
り、不慮の事故を未然防止する。 【解決手段】平板状の座部２の一側を、下方に屈曲して
下向き壁２ａを形成し、この下向き壁２ａと対向するよ
うに接離方向に移動可能な圧接部材５を設けた。また座
部２の他方側の下面には、長さ調節可能な一対の支持脚
３，３を取り付け、入浴用補助椅子１を形成した。そし
て、上記下向き壁２ａと圧接部材５との間で浴槽１１の
上部端縁１ａを挟み込むことにより、片側を固定し、他
方側を洗い場の床面Ｆに接した支持脚３で支持すること
により、浴槽１１の外側にその上部端縁１１ａとほぼ同
じ高さに座部２が位置するように取り付けることとし
た。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、高齢者や身障者を対象とした入浴用補助椅子に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種の入浴用補助椅子としては、特開平７−２９９００７号に示され るものがある。これは、図３に示すように浴槽２０のエプロン２０ａの上端に腰 掛２１の一側を回動自在に取り付け、腰掛２１の他側寄り下面とエプロン２０ａ の下端寄りとを折り畳み式支持脚２２で連結したもので、使用時には、図示した ようにこの支持脚２２で腰掛２１を浴槽２０の外側において、その上縁とほぼ同 高位置で水平に支持するようにしている。

【０００３】 そして、使用後は、支持脚２２を折り畳み、腰掛２１をその先端を下方に回動 させることにより、この腰掛２１を浴槽２０のエプロン２０ａとほぼ面一な状態 で収納できるようにしている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上述した従来の入浴用補助椅子は、浴槽に一体的に設けられており、既存の浴 槽に後付けできないので、導入のためには費用が嵩むという問題点があった。

【０００５】 また腰掛をエプロンの垂直な面で支持するため、使用時、このエプロンに過大 な荷重がかかるという問題点があった。

【０００６】 さらにこの腰掛は、使用しない際にはエプロン面に収納できる構成のため、使 用時に不用意に支持脚が折り畳まれるおそれが有り、不慮の事故を引き起こす危 険性もあった。

【０００７】 本考案は、上記従来の入浴用補助椅子が有していた問題点の解決を課題とする 。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するために本考案のうち、請求項１記載の考案は、平板状の 座部と、この座部の下面一側寄りに設けられた係合部と、座部の下面他側寄りに 設けられた長さ調節可能な支持脚とで入浴用補助椅子を構成し、係合部が浴槽の 上端部周縁に係合すると共に、支持脚の下端が浴槽に隣接した洗い場の床面に接 することにより、この入浴用補助椅子が浴槽外側の洗い場側に、この浴槽の上部 周縁とほぼ同高位置に取り付けられるようにした。

【０００９】 請求項２記載の考案は、上記請求項１記載の考案における係合部を、座部の端 縁に連続して形成された下向き壁と、この下向き壁に接離方向に移動可能に設け られた圧接部材とで構成し、下向き壁と圧接部材とで浴槽の上部周縁を挟持し得 るようにしたことを特徴とする。

【００１０】 請求項３記載の考案は、上記請求項１または請求項２記載の考案において、座 部上に握りバーを付設したことを特徴とする。

【００１１】

【考案の実施の形態】

以下、図示した実施の形態に基づき本考案を詳細に説明する。

【００１２】 図２は、本考案に係る入浴用補助椅子１の裏面図である。図示したようにこの 入浴用補助椅子１は、合成樹脂などで形成された平板状の座部２の下面一側寄り に係合部６を設け、座部２の下面他側寄りに一対の支持脚３，３を取り付けたも のである。

【００１３】 上記係合部６は、座部２の一側を下方に屈曲して形成した下向き壁２ａと、こ の下向き壁２ａと所定距離（浴槽の上部端縁の幅以上）離れて設けられた圧接部 材５とからなる。この圧接部材５は、座部２の裏面に突設した支持部８に、螺杆 ７を介して取り付けられ、螺杆７は支持部８に設けられたねじ孔８ａを貫通して いる。また螺杆７の他方側には、ハンドル９が取り付けられ、このハンドル９の 回転により、圧接部材５を前記下向き壁２ａと接離方向に移動できるようになっ ている。なお、上記下向き壁２ａと圧接部材５の対向した面には、それぞれゴム １０などを貼着することにより、滑り止めを施している。また、図示していない が、圧接部材５は螺杆７と共廻りしないように、球関節軸受などを介してこの螺 杆７と連結されている。

【００１４】 支持脚３は、内周にねじを設けた筒体３ａと、この筒体３ａ内に螺合するよう に外周にねじを設けた杆体３ｂとからなり、杆体３ｂを回転させることにより、 その長さを調節できるようになっている。また、上記筒体３ａは、座部２の裏面 にねじ嵌合などにより、取り付けられており、使用しない際は、座部２から取り 外してこの入浴用補助椅子を嵩低く収納できるようにしている。

【００１５】 上記の構成を有する本考案の入浴用補助椅子１は、係合部６を浴槽１１の上部 端縁１１ａに係合させると共に、支持脚３の下端を浴槽１１に隣接した洗い場の 床面Ｆと接させることにより、図１に示すように浴槽１１の外側に、座部２が浴 槽１１の上部端縁１１ａとほぼ同高位置で水平に取り付けられるものである。

【００１６】 なお、本実施形態では、係合部６を構成する下向き壁２ａの横幅は、座部２の 横幅よりも狭く形成しており、このようにすることにより、内周角部にアールが つけられた浴槽１１においても入浴用補助椅子１を浴槽１１の端部寄りに取り付 けることができるようにしている。

【００１７】 次に上記構成を有する本考案の入浴用補助椅子の取り付けについて述べると、 まず入浴用補助椅子１の一側を浴槽１１の上側に位置させ、下方に落とし込むこ とにより、浴槽１１の上部端縁１１ａを下向き壁２ａと圧接部材５との間に嵌め 込む。次に、座部２の裏側に設けたハンドル９を回転操作することにより、支持 部８のねじ孔８ａに螺合した螺杆７を螺進させ、先端の圧接部材５を下向き壁方 向２ａに移動させる。このことで、浴槽１１の上部端縁１１ａを圧接部材５と下 向き壁２ａとの間で挟持し、入浴用補助椅子１の一側を固定する。

【００１８】 そして、座部２の他方側に取り付けられた支持脚３，３を、外筒３ａに螺合し た杆体３ｂを回転させることにより、洗い場床面Ｆとの間で座部２が水平に支持 されるようにその長さを調節する。

【００１９】 このようにして、本考案の入浴用補助椅子１は、浴槽１１の上部端縁１１ａで 片側が支持され、他方側が洗い場床面Ｆ上に位置した支持脚３，３で支持され、 取り付けられる。よって、洗い場に面した側であれば、浴槽１１の左右いずれの 位置にも取り付けることができる。また支持脚３は、長さ調節が可能であるので 、洗い場床面Ｆから浴槽１１の上部端縁１１ａに至る跨ぎ込み高さが異なる各種 の浴槽に取り付けることができる。

【００２０】 そして、このようにして浴槽１１の外側に張り出した形で取り付けられた本考 案の入浴用補助椅子１は、入浴する際、ここに一度、腰をおろすことにより、浴 槽１１の端縁１１ａを跨ぎ越す動作を不要とし、高齢者や身障者が容易かつ安全 に浴槽１１に出入り出来るようにするものである。

【００２１】 なお、図において符号４は、座部２上に取り付けた握りバーを示しており、こ の握りバー４は、手すりとしての機能と、座った際に座部から滑り落ちることを 防止するためのガードとしての機能を兼ね備えたものである。２ｂは、この握り バー４を取り付ける取付孔を示しており、入浴用補助椅子１を浴槽１１の左右い ずれの側に取り付けるかによって、その取り付け箇所を変更できるようにしてい る。

【００２２】 なお、上記では係合部６として、浴槽１１の上部端縁１１ａを挟持できるよう に下向き壁２ａと圧接部材５とからなるものを示したが、係合部６は座部２の一 側を浴槽１１の上部端縁１１ａに係合保持できれば良く、その形状は図示した例 に限らない。

【００２３】 また支持脚３として内周にねじを設けた筒体３ａと、この筒体３ａ内に螺合す るように外周にねじを設けた杆体３ｂとからなるものを示したが、支持脚３は長 さ調節が可能な構成であれば良く、例えば、下端に調節ねじを設けたものや、あ るいは所定間隔毎に位置決め用の通孔や凹部を設けた杆体を、筒体に摺動可能に 挿入し、両者をピンやねじなどで位置ずれ不可に固定するようにしたものであっ ても良い。また上記では、一対の支持脚３，３を示したが、支持脚３は座部２を 安定保持できれば良く、その形状も任意である。

【００２４】

【考案の効果】

以上説明したように本考案のうち請求項１記載の考案は、片側を浴槽の上部端 縁に係合させ、他方側を長さ調節可能な支持脚で支持することにより、入浴用補 助椅子を浴槽の外側に取り付けるようにしたので、洗い場床面から浴槽の上部端 縁に至る跨ぎ込み高さが異なる既存の各種浴槽に後付けすることができ、導入費 用が従来の一体型のものに比し、低廉となる。また浴槽の左右いずれの側にも取 り付けることができるので、浴室内の状態、あるいは利用者の障害の状況などに 対応することができる。さらにまた、入浴する際に浴槽の端縁を跨ぎ込む動作が 不要になるので、高齢者や身障者にとって浴槽への出入りがしやすくなると共に 、転倒などの不慮の事故が未然防止されるという多くの優れた効果を奏する。

【００２５】 また請求項２記載の考案は、係合部を下向き壁と圧接部材で構成し、浴槽の上 部端縁を挟持することとしたので、入浴用補助椅子が確実に浴槽の一側に固定さ れ、上記請求項１記載の考案の効果に加え、安全性の一層の向上がはかられる。

【００２６】 さらに請求項３記載の考案は、座部上に手すりとしての機能と、座った際に座 部から滑り落ちることを防止するためのガードとしての機能を兼ね備えた握りバ ーを付設することにより、上記請求項１または請求項２記載の考案の効果に加え 、取扱性が向上すると共に、一層の安全性の向上がはかられるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る入浴用補助椅子を浴槽に取り付け
た状態を示す斜視図である。

【図２】本考案に係る入浴用補助椅子の裏面斜視図であ
る。

【図３】従来例の斜視図である。

【符号の説明】

１ 入浴用補助椅子 ２ 座部 ２ａ 下向き壁 ３ 支持脚 ３ａ 筒体 ３ｂ 杆体 ４ 握りバー ５ 圧接部材 ６ 係合部 ７ 螺杆 ８ 支持部 ８ａ ねじ孔 ９ ハンドル

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 平板状の座部と、この座部の下面一側寄
   りに設けられた係合部と、座部の下面他側寄りに設けら
   れた長さ調節可能な支持脚とからなり、 係合部が浴槽の上部端縁に係合すると共に、支持脚の下
   端が浴槽に隣接した洗い場の床面に接することにより、
   浴槽外側の洗い場側に、この浴槽の上部端縁とほぼ同高
   位置に取り付けられることを特徴とする入浴用補助椅
   子。
2. 【請求項２】 係合部が、座部の端縁に連続して形成さ
   れた下向き壁と、この下向き壁に接離方向に移動可能に
   設けられた圧接部材とで構成され、下向き壁と圧接部材
   とで浴槽の上部周縁を挟持し得るようになされたことを
   特徴とする請求項１記載の入浴用補助椅子。
3. 【請求項３】 座部上に握りバーが付設されたことを特
   徴とする請求項１または請求項２記載の入浴用補助椅
   子。