JP3035247B2 - 木造建築物における軸組構造 - Google Patents

木造建築物における軸組構造

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JP3035247B2 JP9123343A JP12334397A JP3035247B2 JP 3035247 B2 JP3035247 B2 JP 3035247B2 JP 9123343 A JP9123343 A JP 9123343A JP 12334397 A JP12334397 A JP 12334397A JP 3035247 B2 JP3035247 B2 JP 3035247B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木造住宅など木造
建築物に多用される軸組構造に係り、土台、柱、梁、
桁、筋違いなどを用いて建築物の骨組を構成する軸組構
造体において、各部材を簡便かつ確実に結合できる一
方、地震あるいは台風に起因してもたらされる垂直外力
あるいは水平外力に対しても極めて耐力性の高い、新規
な木造建築物における軸組構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、木造建築物の軸組構造において
は、垂直材である一本の柱の上端に複数の桁、梁などの
横架材を結合する技術が必要とされる。これにより、柱
に最初に結合される桁、梁などの第一横架材の成と、当
該第一横架材に対して直交して結合される第二横架材の
成の相違により種々のバリエーションが生じることとな
る。ここで、従来所謂三寸角(10.5cm角)の柱の
上端で、桁、梁などの横架材を結合する際に、前述の第
二横架材を追入れ・蟻継ぎするために形成される追入れ
部あるいは腰掛け部の掛かり幅は、僅かに6.0mm〜
7.5mm程度であるため、補強金物であるかすがいや
羽子板ボルトにより部材相互を連結補強するようにして
いる。しかしながら、当該補強構造も地震や台風などに
よって軸構造が激しく揺さぶられる場合には、決して安
全ではなく、当該かすがいや羽子板ボルトが抜けてしま
うこともあり、これより上記第二横架材の先端が追入れ
部あるいは腰掛け部から外れて建築物が倒壊してしまう
ことがあった。
【0003】一方、本発明者は上記従来の木造建築物の
軸組構造における上記欠点を解決するために、桁、梁な
どの横架材と柱を簡便かつ確実に結合するための木構造
用金物を特開平5−18002号により開示している。
ここで、特開平5−18002号に係る木構造用金物
は、柱の上端を被装する被装部の略中央にほぞを装通し
て掛止するための開口が設けられている一方、例えば、
上記被装部の対抗する一対の端縁の内、一つの端縁では
直角上方に折曲して、上方折曲部、腰掛けプレート部及
び連結部が設けられ、他方の端縁では直角下方に折曲し
て、下方折曲部、腰掛けプレート部及び連結部が設けら
れることを要旨とするものであり、地震や台風などによ
って連結軸組が激しく揺さぶられても上記横架材の外れ
を防止できるものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術の項に
記載の特開平5−18002号に係る木構造用金物によ
れば、従来の軸組構造に比べ第二横架材の追入れ・蟻継
ぎするために形成される追入れ部あるいは腰掛け部を木
構造用金物における腰掛けプレート部によって自由に設
計できるので、上記第二横架材の掛かり幅を長く設定で
きると共に、当該木構造用金物の連結部に設けられた釘
穴に釘を打ちつけることで、第二横架材と上記木構造用
金物を固着できるものであったため、地震や台風などに
よって連結軸組が激しく揺さぶられても横架材の外れを
防止できるものであった。しかしながら、特開平5−1
8002号に係る発明は、垂直材である柱と横架材であ
る桁、梁などを簡便かつ確実に結合しようとする観点に
立つものであるから、土台、柱、梁、桁、筋かいなどを
用いて建築物の骨組を構成する軸組構造体の全体につい
て耐力性を高めるには至らず、未だ、水平外力による筋
かい材の脱落、垂直外力による土台からの柱材の抜け等
の可能性が残るという問題があった。
【0005】そこで、本発明は上記従来の技術の項に記
載の欠点等に鑑みる一方、特開平5−18002号に係
る「木構造用金具」の開示後の更なる継続的研究の結
果、本発明に到達したものであり、その目的とするとこ
ろは、土台、柱、梁、桁、筋違いなどを用いて建築物の
骨組みを構成する軸組構造体において、各部材を簡便か
つ確実に結合できる一方、地震あるいは台風に起因して
もたらされる垂直外力あるいは水平外力に対しても極め
て耐力性の高い、新規な木造建築物における軸組構造を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る木造建築物における軸組構造は、以下
の構成より成る。
【0007】即ち、本発明に係る木造建築物における軸
組構造は、柱の先端ほぞに挿着されると共に桁に固定さ
れるか、柱の基端ほぞに挿着されると共に土台に固定さ
れる筋違い結合金具と、緊張手段を具備した筋違い金具
によって、一階と二階の床軸組を構成する柱間におい
て、上記筋違い結合金具が向い合う柱の上端あるいは下
端の交互に取着されると共に上記筋違い金具によって、
緊張されているものであって、上記筋違い結合金具が、
高硬質な金属製であり、柱の先端ほぞあるいは柱の基端
ほぞを挿通して掛止する開口を有し、当該柱のほぞ基部
面を被装する被装部、また当該被装部の少なくとも一つ
以上の基端から更に連続して設けられるプレート受部及
び当該プレート受部基端から直角に立設または垂設され
る折曲部が形成されるか、あるいは、上記被装部の基端
から更に連続して直角に立設または垂設される折曲部及
び当該折曲部の先端から更に外方直角に連続して延伸し
て設けられるプレート受部が形成されて成る横架材受
部、更に、上記プレート受部と上記折曲部の相互に直角
の角度もって向き合う相互面間で跨設されると共に、筋
違い下端あるいは上端を支軸する支軸穴が穿設されたリ
ブ板が設けられている金具である一方、上記緊張手段を
具備した筋違い先端が柱の先端に取着された上記筋違い
結合金具のリブ板の支軸穴に軸着されていると共に、当
該筋違いの基端が上記柱に向い合って立設された別の柱
の基端に取着された上記筋違い結合金具のリブ板の支軸
穴に軸着され、上記緊張手段によって緊張する事を要旨
とするものである。
【0008】
【作用】本発明に係る木造建築物における軸組構造にお
いては、横架材の追入れまたは蟻継ぎするための追入れ
受部あるいは腰掛け受部を筋違い結合金具の横架材受部
において自由に設計でき、垂直材である柱と横架材であ
る各桁を連結するものであるから、地震や台風などによ
って連結された軸組が激しく揺さぶられても横架材の外
れや土台からの柱材の抜けを防止できるよう作用する。
【0009】また、本発明に係る木造建築構造物におけ
る軸組構造においては、緊張手段を具備した筋違い先端
が、柱の先端に取着された上記筋違い結合金具のリブ板
の支軸穴に軸着されていると共に、当該筋違いの基端が
上記柱に向って立設された別の柱の基端に取着された上
記筋違い結合金具のリブ板の支軸穴に軸着されており、
更に柱間において上端あるいは下端の交互に取着されて
いることから、軸組に強い水平外力が与えられても、筋
違いが脱落しないと共に当該水平外力に抗して軸組を維
持するよう作用する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、更に本発明に係る好適な実
施の形態を通し引続き本発明について詳説するものとす
る。
【0011】先ず、図10は従来の軸組構造を示した概
要図である。木造建築物の従来の軸組構造50において
は、基礎55の上に根ほぞ穴が掘られた土台54が固着
され、更に上記根ほぞ穴に柱52の基端部の根ほぞが挿
着されて各柱が立設され、次に当該柱52の先端に形成
された先端ほぞにこれに相応したほぞ穴が掘られた桁5
1が挿着されると共に、各柱間では図示のように、向い
合う柱52の上端あるいは下端の交互に木製の筋違い5
3が添設され、また各部材はかすがいや羽子板ボルト等
により連結されるものである。ところが、図11は従来
の軸組構造に強い水平外力が加えられた場合の軸組変化
を示した概要図であるが、図示のように、左側からこの
軸組構造50に強い水平外力が加えられると、各部材間
を連結しているかすがいや羽子板ボルト等も抜けてしま
い、柱52の先端ほぞが桁51のほぞ穴から抜けて押上
げられてしまう一方、木製筋違い53が脱落してしまう
という支障があった。
【0012】次に、図1は本発明に係る軸組構造を示し
た概要図である。図示のように、本発明に係る軸組構造
1は、柱3の先端ほぞに挿着されると共に桁2に固定さ
れる筋違い結合金具7及び柱3の基端の根ほぞに挿着さ
れると共に土台5に固定される筋違い結合金具8と、緊
張手段を具備した筋違い金具4によって、一階と二階の
床軸組を構造する柱3間において、上記筋違い結合金具
7及び筋違い結合金具8が向い合う柱3の上端あるいは
下端の交互に取着されると共に上記筋違い金具4によっ
て緊張されているものである。ここで、上記筋違い結合
金具7及び筋違い結合金具8は高硬質な金属製である。
続いて、図2は本発明に係る一つの筋違い結合金具の平
面図、図3は同じくその正面図、図4は同じくその底面
図である。図示のように、筋違い結合金具7は、柱の先
端ほぞを挿通して掛止するほぞ掛止口9を有し、当該柱
のほぞ基部面を被装する被装部11、更に、当該被装部
11の一つの基端からさらに連続して部材連結孔10が
施されて設けられるプレート受部16及び上記基端より
直角に垂設される折曲部15より構成される横架材受部
12から成るものである。更に、図示のように、上記プ
レート受部16と折曲部15の相互に直角の角度をもっ
て向き合う相互面間で、筋違い上端を支軸する支軸穴1
4が穿設されたリブ板13が跨設されている。
【0013】続いて、図5は本発明に係るもう一つの筋
違い結合金具の平面図、図6は同じくその正面図、図7
は同じくその底面図である。図示のように筋違い結合金
具8は、柱の先端ほぞを挿通して掛止するほぞ掛止口9
を有し、当該柱のほぞ基部面を被装する被装部11、更
に、当該被装部11の対抗する二つの基端よりさらに連
続して部材連結孔10が施されて設けられるプレート受
部16及び上記両基端より直角に垂設される折曲部15
より構成される横架材受部12から成るものである。更
に、図示のように、二組の上記プレート受部16と折曲
部15の相互に直角の角度をもって向き合う相互面間
で、筋違い上端を支軸する支軸穴14が穿設された、リ
ブ板13が跨設されている。また、当該筋違い結合金具
8は、天地を逆にして使用することで、図1に示した本
発明に係る筋違い結合金具8とすることができる。
【0014】一方、図8は柱の先端ほぞに本発明に係る
筋違い結合金具を取着した際の部分断面図である。図示
のように、本発明に係る筋違い結合金具7のほぞ掛止口
には柱3のほぞ18が挿通されると共に当該ほぞ18は
桁のほぞ穴に挿着されている。また、当該筋違い結合金
具7と桁2は、連結ボルト19及び締付けナット20に
よって連結されている。ここで、上記筋違い結合金具7
には常に桁2による荷重が掛かっていると共に、筋違い
結合金具7と桁2は連結されていることから、筋違い結
合金具7は柱3から脱落することがない。次に、筋違い
結合金具7のリブ板13に施された支軸穴14には軸支
ソケット21が軸支されており、当該軸支ソケット21
の先端部には後述するメネジソケット間で緊張されるピ
アノ線22の先端が拘持されている。
【0015】更にまた、図9は柱の基端ほぞに本発明に
係る筋違い結合金具を取着した際の部分断面図である。
ここで、図中に示した本発明に係る筋違い結合金具7
は、図8に示したものの天地を逆にして使用したもので
あり、当該筋違い結合金具7のほぞ掛止口には柱3の根
ほぞ23が挿通されると共に当該根ほぞ23は土台5の
根ほぞ穴に挿着されている。また、当該筋違い結合金具
7と土台5は、連結ボルト19及び締付けナット20に
よって連結されている。そこで、上記筋違い結合金具7
には常に柱3による荷重が掛かっていると共に、筋違い
結合金具7と土台5は連結されていることから、筋違い
結合金具7は柱3から外れることがない。次に、筋違い
結合金具7のリブ板13に施された支軸穴14には軸支
メネジソケット26が軸支されており、更に当該軸支メ
ネジソケット26にはボルト上を進退するナット25が
取着され全ネジボルト24の基部が螺着されている一
方、当該全ネジボルト24の先部には前述の軸支ソケッ
ト21間で緊張されるピアノ線22の基端を拘持するメ
ネジソケット27が螺着されている。ここで、全ネジボ
ルト24に取着されたナット25を進退させることで、
向い合う柱の上端あるいは下端の交互に取着されて配置
された筋違い結合金具間に緊張されたピアノ線の緊張状
態を調節することができる。
【0016】
【本発明の効果】本発明は、上記記載のように構成され
ているので、以下の効果を奏す。
【0017】本発明に係る木造建築物における軸組構造
によれば、従来の軸組構造に比べ、第二横架材の追入れ
・蟻継ぎするために形成される追入れ部あるいは腰掛け
部を、筋違い結合金具の横架材受部によって自由に設計
できるので、上記第二横架材の掛かり幅を長く設定でき
ると共に、柱のほぞに筋違い結合金具のほぞ掛止口を挿
通するようにしてあるので、地震や台風などによって連
結軸組が激しく揺さぶられても横架材の外れを防止でき
る一方、上記筋違い結合金具が脱落することがないとい
う効果がある。
【0018】また、本発明に係る木造建築物における軸
組構造によれば、柱の先端ほぞに挿着されると共に桁に
固定されるか、柱の基端ほぞに挿着されると共に土台に
固定される筋違い結合金具と、上記筋違い結合金具が向
い合う柱の上端あるいは下端の交互に取着される一方、
その筋違い結合金具間を緊張手段を具備してピアノ線に
よって緊張するようにしたので、土台、柱、梁、桁、筋
違いから構成される軸組構造体において、各部材を簡便
かつ確実に結合できる一方、地震あるいは台風に起因し
てもたらされる垂直外力あるいは水平外力に対しても極
めて耐力性の高い軸組構造を得ることができるという効
果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る軸組構造を示した概要図。
【図2】本発明に係る一つの筋違い結合金具の平面図。
【図3】本発明に係る一つの筋違い結合金具の正面図。
【図4】本発明に係る一つの筋違い結合金具の底面図。
【図5】本発明に係るもう一つの筋違い結合金具の平面
図。
【図6】本発明に係るもう一つの筋違い結合金具の正面
図。
【図7】本発明に係るもう一つの筋違い結合金具の底面
図。
【図8】柱の先端ほぞに本発明に係る筋違い結合金具を
取着した際の部分断面図。
【図9】柱の基端ほぞに本発明に係る筋違い結合金具を
取着した際の部分断面図。
【図10】従来の軸組構造を示した概要図。
【図11】従来の軸組構造に強い水平外力が加えられた
場合の軸組変化を示した概要図。
【符号の説明】
1 本発明に係る軸組構造 2、51 桁 3、52 柱 4 本発明に係る筋違い 5、54 土台 6、55 基礎 7、8 本発明に係る筋違い結合金具 9 ほぞ掛止口 10 部材連結孔 11 被装部 12 横架材受部 13 リブ板 14 支軸穴 15 折曲部 16 プレート受部 18 ほぞ 19 連結ボルト 20 締付けソケット 21 軸支ソケット 22 ピアノ線 23 根ほぞ 24 全ネジボルト 25 ナット 26 軸支メネジソケット 27 メネジソケット 50 従来の軸組構造 53 木造筋違い

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 柱の先端ほぞに挿着されると共に桁に固
    定されるか、柱の基端ほぞに挿着されると共に土台に固
    定される筋違い結合金具と、緊張手段を具備した筋違い
    金具によって、一階と二階の床軸組を構成する柱間にお
    いて、上記筋違い結合金具が向い合う柱の上端あるいは
    下端の交互に取着されると共に上記筋違い金具によっ
    て、緊張されているものであって、上記筋違い結合金具
    が、高硬質な金属製であり、柱の先端ほぞあるいは柱の
    基端ほぞを挿通して掛止する開口を有し、当該柱のほぞ
    基部面を被装する被装部、また当該被装部の少なくとも
    一つ以上の基端から更に連続して設けられるプレート受
    部及び当該プレート受部基端から直角に立設または垂設
    される折曲部が形成され更に、上記プレート受部と上
    記折曲部の相互に直角の角度をもって向き合う相互面間
    で跨設されると共に、筋違い下端あるいは上端を支軸す
    る支軸穴が穿設されたリブ板が設けられている金具であ
    る一方、上記緊張手段を具備した筋違い先端が柱の先端
    に取着された上記筋違い結合金具のリブ板の支軸穴に軸
    着されていると共に、当該筋違いの基端が上記柱に向い
    合って立設された別の柱の基端に取着された上記筋違い
    結合金具のリブ板の支軸穴に軸着され、上記緊張手段に
    よって緊張することを特徴とする、木造建築物における
    軸組構造。
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