JP3030577U - 版胴において保持部材とトラバースとを結合するための装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来技術によるよりも簡単に、版胴の胴みぞ
内に並置される保持部材を工具を必要とせずに組付け、
分解することを可能にする。 【解決手段】 互いに並べて配置可能な複数の保持部材
（１０）が係止部材（１７，１８）を用いて形状結合に
よってトラバース（６）に係止可能である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、輪転印刷機の版胴において柔軟な印刷版を版胴の周面上へ固定する ために保持部材とトラバースとを結合するための装置であって、柔軟な印刷版の 前縁が版胴の胴みぞの前縁に係合し、かつ柔軟な印刷版の後縁が操作可能にトラ バースに配置可能である、少なくとも１つの弾性的な保持部材によって固定可能 であり、保持部材が版胴の周面に向いた端部にフック形の突出部を有している形 式のものに関する。

【０００２】

【従来の技術】

ヨーロッパ特許公開０６３９４５４号には輪転印刷機で支持胴上で印刷版を保 持するために引込み可能であるフックを備えた装置およびこのような装置を備え た輪転印刷機が記載されている。

【０００３】 従来技術のこの装置では、フック形の突出部を備えた保持部材が２つのガイド によって形成された弾性のシステム内へ挿入され、かつ第１のガイドによって固 定されている。保持部材に突出部が形成されており、突出部は、この保持部材の 突出部が第２のガイドの上縁上へ載置し、かつ第１のガイドに形成された弾性的 な端部が保持部材の突出部を第２のガイドの上縁上へ持続的に固定するように、 第１のガイドによって第２のガイドへ押しつけられている。

【０００４】 保持部材の取外しには第１のガイドの弾性作用を、したがって保持部材の第２ のガイドへの接触を取除く工具が必要である。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

本考案の課題は、従来技術によるよりも簡単に、版胴の胴みぞ内に並置される 保持部材を工具を必要とせずに組付け、分解することを可能にすることである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するための本考案の手段は、輪転印刷機の版胴において柔軟 な印刷版を版胴の周面上へ固定するために保持部材とトラバースとを結合するた めの装置であって、柔軟な印刷版の前縁が版胴の胴みぞの前縁に係合し、かつ柔 軟な印刷版の後縁が操作可能にトラバースに配置可能である、少なくとも１つの 弾性的な保持部材によって固定可能であり、保持部材が版胴の周面に向いた端部 にフック形の突出部を有している形式のものにおいて、互いに並べて配置可能な 複数の保持部材が係止部材を用いて形状結合によってトラバースに係止可能であ ることである。

【０００７】

【考案の効果】

本考案によって得られる利点は、特に保持部材組立時に保持部材の申し分のな い係止を実施することができることであり、このことは作業員の利益に適い、か つ胴みぞ内のスペースが狭いにもかかわらず実施可能でもある、それというのも 個々の保持部材がみぞ内に並置するように配置され、かつ互いに整列するからで ある。最後に本考案による手段は、すべての保持部材が所定の組付け位置を取る ので、制御の簡単化を可能にする。

【０００８】 本考案の優れた構成においては、保持部材がトラバースのガイド内へ鉛直方向 に挿入可能である。

【０００９】 本考案のこの構成では保持部材はさらに切欠を有しており、切欠はバヨネット 原理によってトラバースのピンに係止可能である。係止は側方移動運動によって 行われ、この運動が切欠と各対応するピンとの間の形状による結合を形成する。 係止はトラバース内に受容された２つのガイドによって形成された平面内で行う ことができる。保持部材を鉛直方向に挿入すると、保持部材はピンに係合する。 個々の保持部材の係止のためにはこの保持部材の側方の移動運動が必要であり、 したがって係止状態では保持部材はみぞ内で互いに並んで配置される。

【００１０】

【考案の実施の形態】

図１には版胴１の胴みぞの領域における横断面図が示されており、例えばこの 例では丸棒として構成されたトラバース６が認められる。トラバースは版胴１の 胴みぞ５内に受容されている。版胴１の周面で開口したみぞ２が一方でみぞコー ナー縁４によって、他方でみぞ側面３によって形成されている。みぞコーナー縁 ４に印刷版７の前縁８が、かつみぞ２の後方側のみぞ側面３に当接した保持部材 １０に印刷版７の後縁９が固定される。印刷版７は版胴１の周面上で緊張される 。

【００１１】 図示の保持部材１０はフック形の突出部１１を有し、この突出部でもって印刷 版７の後縁９が下から係合され、こうして緊張せしめられる。保持部材１０（係 止状態で図示されている）はトラバース６の前方のガイド１２と後方のガイド１ ３との間に受容されている。両ガイド１２，１３は挿入領域１４を形成している 。ガイド１２，１３はねじ１５によってトラバース６に固定されているが、他の 固定形式も可能であることは自明である。ねじ１５とその中心線２２のそばに互 いに間隔を置いて個々の係止部材（この例ではピン１８として構成されている） が並置されている（図２も参照）。見通し易いようにピンは図１では点線の中心 線２１によってだけで示されている。

【００１２】 弾性的に実施された保持部材１０は、所定の位置を取るようにガイド１２，１ ３内に受容することができる。一方でトラバース６内に、他方で版胴１の端部に ロックされたトーションバー２４が印刷版７の緊張を保証する。

【００１３】 図２は版胴のみぞ内のトラバースへ保持部材を係止する過程を略示する。

【００１４】 側部領域に切欠１６を備えた保持部材１０はみぞ２（後方のみぞ側面３が認め られる）内で先ず位置１０．１を取る。この位置１０．１の挿入位置では丸み部 ２３を有する切欠１６がねじ１５およびこのねじのそばに配置されたピン（係止 ピン）１８へ上方から係合する。保持部材１０が鉛直方向で見て下方を示した矢 印の方向に下縁まで挿入された位置１０．２へ移動せしめられる。この位置１０ ．２で切欠１６の開口１７がピン１８に対向して位置する。水平方向の、すなわ ち版胴の軸線に平行に向いた矢印の方向の保持部材１０の側方移動によって開口 １７がピン１８の周囲に係合して係止位置１０．３を取る。この位置で切欠１６ の縁はねじ１５とは接触しない。しかし開口１７はピン１８を取巻く。保持部材 １０が係止される挿入位置１０．３において、保持部材はそれぞれ隣の保持部材 １０の側縁１９で当接する。ねじ１５もピン１８も取巻く切欠１６は保持部材１ ０の側部にあるが、保持部材１０の中央部に設けることもできる。挿入された位 置１０．２から係止位置１０．３への側方への移動は係止部材間に、例えば開口 １７とピン１８との間に形状結合を形成し、この結合は版胴の回転時に生じる遠 心力に対して精確な嵌合を保証する。各保持部材１０の縦縁２０はみぞ２の底部 には当接せず、ほぼガイド１２，１３間に位置する（図１も参照）。さらに図２ から明らかであるように、ねじ１５およびピン１８の中心線２１と２２は図１に 示されたように僅かに上下に位置している。

【００１５】 版胴１のみぞ２内に複数の保持部材１０が並置されているので（これらは互い に整列している）、印刷版の後縁は全幅にわたってつかまれ、かつ印刷版は所定 の位置で版胴の周面に固定され得る。

【００１６】 またトラバース６におけるこれらの保持部材１０の係止が外れるのを阻止する ためには、版胴１の軸線に平行な、保持部材１０の変位を制限するための手段が 設けられている。

【００１７】 図３が示すように、この変位を制限するための手段は柔軟なプレート３０また はばね板を備えており、プレートまたはばね板はみぞ２に整列させて版胴１の側 面の１つに固定される。図では版胴１は符号３２で示された側面の側に凹所３１ を有している。柔軟なプレート３０はこの凹所内にねじ３３，３３′によって固 定されており、ねじは凹所３１内に設けられたねじ孔と協働する。

【００１８】 やはり図３からこの柔軟なプレート３０が、係止された位置において保持部材 １０の、版胴１の軸線に平行な変位が制限されるように版胴１に配置されている ことが認められる。このことは図３に置いてトラバース６の所の保持部材１０の 実線によって略示されている。

【００１９】 さらにこの柔軟なプレート３０は、図３に点線で示されているように保持部材 １０の鉛直方向の挿入およびトラバース６での係止が許されるように曲ることが できる。

【００２０】 この柔軟なプレート３０の長さを適切に選択することによって、プレートは手 で、すなわち工具を用いずに曲げることができる。したがって保持部材１０の取 付けおよび分解の全過程を工具なしで実施することができる。

【００２１】 変更形において柔軟なプレートを取外し可能な剛性のプレートに代えることが できる。剛性のプレートは保持部材１０をトラバース６へ係止した後に版胴１の 側面の１つに、柔軟なプレート３０と同様にして固定可能である。

【００２２】 もちろん本考案は上記の図示の例に限定されるものではなく、このことは特に トラバース６への保持部材１０の係止後の、版胴１の軸線に平行なこの保持部材 １０の変位を制限する手段の形状に関して該当する。

【図面の簡単な説明】

【図１】胴みぞの領域内の版胴の横断面図である。

【図２】保持部材をトラバースへ係止する過程を示した
図である。

【図３】版胴の軸線に平行な保持部材の変位を制限する
手段の略示部分図である。

【符号の説明】

１ 印刷版、 ２ みぞ、 ３ みぞ側面、 ４ みぞ
コーナー縁、 ５ 胴みぞ、 ６ トラバース、 ８
前縁、 ９ 後縁、 １０ 保持部材、 １１突出部、
１２，１３ ガイド、 １４ 挿入領域、 １５，３
３，３３′ねじ、 １６ 切欠、 １７ 開口、 １８
ピン、 １９ 側縁、 ２０ 縦縁、 ２１，２２
中心線、 ２３ 丸み部、 ２４ トーションバー、
３０プレート、 ３１ 凹所、 ３２ 側面

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)実用新案権者 390009232 ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト ＨＥＩＤＥＬＢＥＲＧＥＲ ＤＲＵＣＫＭ ＡＳＣＨＩＮＥＮ ＡＫＴＩＥＮＧＥＳＥ ＬＬＳＣＨＡＦＴ ドイツ連邦共和国 ハイデルベルグ クア フユルステン−アンラーゲ 52−60 Ｋｕｒｆｕｅｒｓｔｅｎ−Ａｎｌａｇｅ 52−60，Ｈｅｉｄｅｌｂｅｒｇ，Ｆｅｄｅ ｒａｌ Ｒｅｐｕｂｌｉｃ ｏｆ Ｇｅｒ ｍａｎｙ (72)考案者 フランソワ レコレ フランス国 ブレユ−ル−ヴェル リュ デュ リュソー 30 (72)考案者 ジャック メトロプ フランス国 レヌヴィル リュ フランソ ワ フェルナンデス ７

Claims (11)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 輪転印刷機の版胴において柔軟な印刷版
   を版胴の周面上へ固定するために保持部材とトラバース
   とを結合するための装置であって、柔軟な印刷版の前縁
   が版胴の胴みぞの前縁に係合し、かつ柔軟な印刷版の後
   縁が操作可能にトラバースに配置可能である、少なくと
   も１つの弾性的な保持部材によって固定可能であり、保
   持部材が版胴の周面に向いた端部にフック形の突出部を
   有している形式のものにおいて、互いに並べて配置可能
   な複数の保持部材（１０）が係止部材（１７，１８）を
   用いて形状結合によってトラバース（６）に係止可能で
   あることを特徴とする、版胴において保持部材とトラバ
   ースとを結合するための装置。
2. 【請求項２】 保持部材（１０）がトラバース（６）の
   ガイド（１２，１３）内へ鉛直方向に挿入可能である、
   請求項１記載の装置。
3. 【請求項３】 保持部材（１０）が切欠（１６，１７）
   を有しており、切欠がピン（１８）の所で係止可能であ
   る、請求項１記載の装置。
4. 【請求項４】 トラバース（６）における保持部材（１
   ０）の係止がガイド（１２，１３）によって制限された
   平面内で行われる、請求項２記載の装置。
5. 【請求項５】 保持部材（１０）の切欠（１６）が鉛直
   方向に挿入時にピン（１８）へ係合する、請求項３記載
   の装置。
6. 【請求項６】 トラバース（６）における保持部材（１
   ０）の係止が版胴（１）の軸線に平行な移動によって行
   われる、請求項４記載の装置。
7. 【請求項７】 トラバース（６）における保持部材（１
   ０）の係止解除を阻止するために版胴（１）の軸線に平
   行な保持部材の変位を制限するための手段が設けられて
   いる、請求項６記載の装置。
8. 【請求項８】 変位を制限する手段が版胴（１）の側面
   （３２）に固定された柔軟なプレート（３０）を備えて
   いる、請求項７記載の装置。
9. 【請求項９】 変位を制限する手段が保持部材（１０）
   の係止後に固定可能である、取外し可能なストッパを備
   えている、請求項７記載の装置。
10. 【請求項１０】 係止部材（１７，１８）が保持部材
    （１０）の側縁（１９）に配設されている、請求項１記
    載の装置。
11. 【請求項１１】 トラバース（６）における保持部材
    （１０）の係止がバヨネット原理により行われている、
    請求項１記載の装置。