JP3030343B2 - 材料の焼結制御方法 - Google Patents

材料の焼結制御方法

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JP3030343B2
JP3030343B2 JP2267210A JP26721090A JP3030343B2 JP 3030343 B2 JP3030343 B2 JP 3030343B2 JP 2267210 A JP2267210 A JP 2267210A JP 26721090 A JP26721090 A JP 26721090A JP 3030343 B2 JP3030343 B2 JP 3030343B2
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修実 阿部
勝男 桑原
学 成尾
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理学電機株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は密度が高く良好な構造の焼結体を得るための
材料の焼結制御方法の改良に関する。
[従来の技術] 従来から、物質の温度に対する力学的特性を求めるた
めに、熱機械分析(TMA−Thermomechanical analysis)
や動的熱機械測定(Dynamic thermomechanometry)が行
われており、上記TMAにおいては、荷重の大きさと検出
棒の形状によって、膨張モード、圧縮モード、針入モー
ド、引張りモード、曲げモード等がある。
第9図には、圧縮の荷重を加えて、試料長さの変化を
測定する圧縮モードの装置が示されており、図におい
て、試料1及びリファレンス用の基準物質2は試料ホル
ダ3にて保持されて電気炉4内に入れられている。ま
た、上記試料1及び基準物質2には検出棒5a,5bを介し
て重り(ウェイト)6a,6bにより荷重がかけられると共
に、上記検出棒5a,5bは天秤ビーム7a,7bの一端に接続さ
れる。そして、上記電気炉4内にはヒータ8が埋め込ま
れており、また試料ホルダ3と電気炉4との間には保護
管10が配設され、この保護管10によって対流などにより
生じる温度不均一状態から試料1を保護することが行わ
れている。なお、上記試料1には熱電対11が設けられ、
この熱電対11で試料自体の温度の変化を検出できる。
以上の構成によれば、上記ヒータ8への電流制御によ
り電気炉4内の温度が制御されることになり、保護管2
内は均一状態で例えば上昇率が一定の温度に制御され
る。そして、この温度制御により熱が試料1に与えられ
ると、試料はその長さが変化し、上記の場合は重り6に
より試料1が収縮することになり、この収縮量は天秤ビ
ーム7aに接続された不図示の差動トランスにより測定さ
れ、基準物質2の測定値との差が真の収縮量として検出
される。
ところで、上記分析装置は、構造材料、機能材料等の
焼結状態の分析に用いられ、この分析材料の一つに、例
えば焼結体として形成されるセラミックがあるが、この
セラミックの特性改善のためには結晶粒径を小さくし、
かつクラックや粗大粒子及び粒内欠陥の生成を少なくす
ることが重要である。しかし、十分に緻密な焼結体を作
製するために高い温度で加熱すると、粒成長が顕著に進
み、また欠陥も発生する。
そこで、焼結体を形成する際に、従来では上記微細組
織の発達を抑制するため、収縮速度を比較的低い一定値
に制御しつつ焼結する速度制御焼結方法が提案されてお
り、これによればマグネシウム添加アルミナ等は従来の
焼結法に比べて結晶粒径が、小さくなるという効果があ
る。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、上記従来の速度制御焼結法では、高純
度のアルミナ等において結晶粒径を小さくすることがで
きないという問題があった。すなわち、後期焼結過程で
は、粒子形状の変化や閉気孔の生成などにより収縮速度
が低下し、また一般的に理論収縮量(密度)に近づく
程、緻密化の駆動力は低下するということから、粒成長
や微細組織と密接に関係する後期焼結過程が良好に制御
されていない。
また、上記従来の熱機械分析装置では、電気炉4で設
定される温度はその中に埋め込まれているヒータ8によ
り与えられ、また試料1には保護管10を介して温度が与
えられる。従って、上記焼結体の分析で所望の温度に木
目細かに設定したい場合には、応答性の良い温度コント
ロールを行うことができないという問題があった。
更に、例えばセラミックの焼結状態の従来の分析にお
いては、等速で温度をコントロールしていたため、有効
な分析ができないという問題があった。
第10図には、電気炉内の温度と試料の長さ(伸び)と
の関係が示されており、図のグラフ100のように、電気
炉4内の温度は等速で上昇させるようにコントロールさ
れ、この場合にはグラフ101で示されるように、試料1
は途中から急激に収縮する。従って、セラミック等では
焼結速度が速すぎるために、欠陥が生じやすく、結晶粒
径等を小さくして密度を高めるための条件を分析するこ
ともできなかった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、そ
の目的は、微細な結晶粒からなり高密度な焼結材料を得
ることができる材料の焼結制御方法を提供することにあ
る。
[課題を解決するための手段] 上記目的を達成するために、第1請求項記載の発明
は、物質の収縮速度をフィードバック制御する材料の焼
結制御方法において、材料の現在及び過去の測定収縮速
度に基づいて算出した将来の予測収縮速度と設定収縮速
度との偏差に基づいて材料の昇温速度を制御することを
特徴とする。
第2請求項記載の発明は、上記予測収縮速度において
は、基本制御式に対し、積分成分又は微分成分を加えた
ことを特徴とする。
第3請求項記載の発明は、上記昇温速度制御では、上
記の予測収縮速度と設定収縮速度との偏差が零となる状
態で、一定の昇温速度を補正量として与えることを特徴
とする。
第4請求項記載の発明は、上記昇温速度制御では、理
論収縮量に対する測定収縮量の割合に依存する補正を行
うことを特徴とする。
第5請求項記載の発明は、材料の焼結過程において予
想される構造変化に対応して、上記予測収縮速度を測定
収縮量の関数で求めることを特徴とする。
第6請求項記載の発明は、物質の収縮速度をフィード
バック制御する材料の焼結制御方法において、材料の測
定収縮速度と設定収縮速度との偏差に基づいて材料の昇
温速度を制御すると共に、この昇温速度制御では、理論
収縮量に対する測定収縮量の割合に依存する補正を行う
ことを特徴とする。
すなわち、従来において収縮速度を比較的低い一定値
に制御するという方法は、相対密度(理論収縮値を100
とした場合の相対値)が90%以下の場合であり、粒成長
や微細組織と密接に関係する後期焼結過程が制御されて
いないものである。そこで、本発明では収縮速度制御の
精密化を図り、微細組織の発達が特に顕著に起こる95%
以上の相対密度まで収縮速度を制御するものである。
[作用] 上記の構成によれば、収縮速度の制御において、特に
後期焼結過程が有効に行われるように緻密に温度制御さ
れることになり、結晶粒径及び粒径分布の幅を小さくす
ることができ、例えば強度の高い焼結体を得ることがで
きる。
[実施例] 以下、本発明の実施例について図面を参照しながら詳
細に説明する。
第1図には、実施例に係る焼結装置の構成が示されて
おり、まず実施例の焼結装置に用いられた熱機械分析装
置(荷重モード)の全体について説明する。
図において、電気炉4内に入れられた試料ホルダ3に
は、試料1及びリファレンス用の基準物質2がスペーサ
12を介して保持されており、これら試料1及び基準物質
2は検出棒5a,5bを介して天秤ビーム7a,7bに接続され
る。そして、上記試料1及び基準物質2には、検出棒5
a,5bを介して重り6a,6bの荷重がかけられており、また
天秤ビーム7a,7bの反対側にはカウンターウェイト13a,1
3bが設けられ、このカウンターウェイト13の自重により
検出棒5a,5bの重さとのバランスをとっている。
上記試料ホルダ3の外周には、放射熱を遮蔽するシー
ルド3aが設けられており、また検出棒5a,5bには中空の
スリーブ14a,14bが被せられ、このスリーブ14a,14bにて
対流による振動が検出棒5a,5bへ伝達して測定精度を低
下させることを防止している。
そして、上記天秤ビーム7a,7bには、差動トランス16
a,16bが設けられ、この差動トランス16a,16bにより試料
の収縮量を測定することになる。
このような分析装置において、実施例では加熱手段と
してU字状ヒータ17を宙吊り状態で電気炉4の内壁に取
り付けており、従来用いられていた保護管(第9図の1
0)をなくした構成となっている。なお、電気炉4内に
は試料ホルダ3の外部と内部に温度測定用のサーモカッ
プル18を配設する。このような構成によれば、U字状ヒ
ータ17の発生熱は試料ホルダ3を介して試料1及び基準
物質2に迅速に伝達されるので、電気炉4内の温度制御
の応答性を向上させることができる。
実施例の分析装置は、伸縮速度を所定の設定値に制御
するものであり、この制御は試料近傍の雰囲気温度を可
変制御することにより達成される。実施例では、温度指
令に基づいたU字状ヒータ17により試料近傍の雰囲気温
度を即座に可変できるので、所定の伸縮速度にフィード
バック制御することが容易となる。
そして、上記試料の収縮量を測定する差動トランス16
a,16bには、A/D(アナログデジタル)変換器20を介して
マイクロコンピュータ(マイコン)21が設けられ、この
マイコン21では上記試料1の収縮量により伸縮速度、こ
こでは後述の収縮速度が演算されると共に、設定された
収縮速度に合せるための制御値が演算される。
また、上記マイコン21にはU字状ヒータ17への通電を
制御して電気炉4の温度を制御する温度コントローラ22
が設けられており、この温度コントローラ22は上記マイ
コン21から出力された制御値により温度制御を行う。
第2図には、第1図の装置を更に具体化した構成が示
されており、図のように、上記差動トランス16とA/D変
換器20との間には、示差回路23及びレコーダ24を介挿す
ることができる。
上記示差回路23は、差動トランス16a,16bからの出力
値を入力して、基準物質2の収縮量と試料1の収縮量と
の差(R−S)を演算しており、この差の値が試料1の
収縮量となり、これらのデータはレコーダ24に記録され
る。
また、マイクロコンピュータ21は、伸縮速度演算部21
a、一定値制御、ステップ制御あるいは関数制御するた
めのプログラムデータを記憶したデータ部21b、偏差演
算部21c、PID(比例、積分、微分動作を同時に行う)制
御部21d及び温度レート演算器21eから構成され、収縮速
度によりフィードバック制御を行っている。なお、実施
例の収縮量は収縮率で演算する。
上記において、伸縮速度演算器21aは、差動トランス1
6a,16bで実測された収縮量に基準物質2の収縮量を補正
すると共に、移動平均値を求め、平均化された補正収縮
量をΔL、試料長さL0とすると、実施例の収縮速度は、 d(ΔL/L0)/dt …(1) で表わされる。
また、上記データ部21bは、収縮速度を一定値に制御
する場合、ステップ制御する場合及び関数制御する場合
に対応するプログラムデータを有しており、このプログ
ラムデータを偏差演算部21cに出力する。そして、偏差
演算部21cは実際の上記(1)式の収縮速度とプログラ
ムデータとの偏差を演算し、この偏差量をPID制御部21b
へ出力する。
このPID制御部21bは、上記編差量に基づいて伸縮速
度、ここでは収縮速度の修正を行うことになり、例えば
後述するように、基本制御値に対し積分成分、微分成分
を加えた制御を行う。
このようにして得られた収縮速度制御値は、温度レー
ト演算器21eにて温度レート制御値、例えば昇温速度制
御値に変換され、この昇温速度制御値は温度コントロー
ラ22へ出力される。そうすると、温度コントローラ22は
U字状ヒータ17a,17bの通電制御を行うことになり、こ
れによってプログラムに従った収縮速度で試料1を加熱
することができる。
次に、上記装置により行う収縮速度(伸縮速度)の制
御方法を順に説明する。
伸縮速度を一定値に制御する場合は、まず上記伸縮速
度演算器21aで、実測された収縮速度にて更にΔt時間
経過後の予測収縮速度Rを求める。すなわち、この予測
収縮速度Rは、最新の測定値Rnからj個遡った合計j+
1個の収縮速度[Rn〜Rj={d(ΔL/L0)/dt}n〜
{d(ΔL/L0)/dt}j]データから次式で求める。
上記(2a)式は、最新の収縮値Rnに収縮速度差による
補正項を加えたものであり、この式中で、Xj-1(Xは1
以上の整数)は各収縮速度差データに対する重み、Cは
重みの総和を1にするための定数である。
焼結過程では、相転移、化学反応、微細組織の変化等
によって収縮速度の応答性は複雑に変化すると考えられ
るので、実施例ではプログラム中の収縮速度の測定値Rp
と上記予測値Rとの相対偏差である(Rp−R)/Rpのy
乗に比例する項を基にし、焼結速度式から考えられる補
正を施している。
すなわち、従来から知られている初期焼結の収縮速度
は、温度が一定のとき次式で表わされる。
d(ΔL/L0)/dt=k・r-m・t-n …(3) (k:速度定数、r:結晶粒径、m,n:正の定数) 上記(3)式によれば、収縮速度は結晶粒径r、時間
tの増加に伴って減少する。しかし、上記(1)式の予
測収縮速度は上記収縮速度の減少を考慮していないの
で、プログラム設定値と予測収縮速度との偏差が0であ
る場合でも、収縮速度の減少を補うために、温度を増加
し続けることが必要である。従って、偏差演算器21cで
は収縮速度の偏差量に依存する速度項に一定の昇温速度
を加える補正を行う。
また、上記結晶粒径rの影響は初期焼結過程において
は小さいが、焼結の進行に伴って大きくなると考えられ
るので、形状適合などが起こる後期焼結過程では粒径に
加えて粒子形状の変化や閉気孔の生成が収縮速度を更に
低下させるようになる。そして、一般的に理論収縮量
(密度)に近づく程、緻密化の駆動力は低下すると考え
られる。従って、実施例では、後期焼結過程において高
密度になる(理論密度に近づく)程、収縮速度を増加さ
せるように、昇温速度が増加する補正を行う。
上記補正を考慮すると、次式の制御昇温速度Vpの基本
制御式が成立する。
Vp=C1[{(Rp−R)/Rp}・(Vm−Vo)+Vo] +C2[(ΔL/L0)/(ΔL/L0)th]・(Vm−Vo) …(4) 上記(4)式において、C1、C2は任意の定数、(ΔL/
L0)thは理論収縮量、Vmは昇温速度の制限値であり、こ
の制限値は昇温速度が装置の制御範囲を超えるのを防ぐ
ために設けられる。また、C1を係数とする第1項は、設
定値と予測値の偏差に対する変換項で、(Rp−R)/Rp
が0のときにVoを通るy次の関数である。この項の最大
値は、R=0のとき、C1・Vmである。従って、上記式の
第1項においてC1・Voが設定値と収縮速度との偏差が零
の状態で与えられる補正昇温速度となる。
そして、C2を係数とする第2項は、理論収縮量に近づ
くに従って与えられる昇温速度の補正項で、理論収縮量
に達したとき、最大値C2・(Vm−Vo)となる。従って、
昇温速度は、焼結開始時にC1・Vm、終了時には(C1
C2)・Vm−C2・Voとなる。
また、上記の昇温速度の制御値は、PID制御により最
適化が図られることになり、例えば、積分成分VI、微分
成分VDを次式で求める。
VI=V0I+Vp・Δt(Io/100) …(5) VD=V0D+VD・Δt(Do/100) …(6) ここで、V0I及びV0Dは、時間Δt前のそれぞれの成分
の設定値、Io、Doはそれぞれの成分の重みである。そし
て、以上の式から制御昇温速度を次式で求めることにな
る。
V=Vp+VI+VD …(7) 上記式において、収縮速度を比較的低い一定値に制御
する場合は、y=1,C1=C2=1,Vm=10〜40K・min-1,Vo
=2〜5K・min-1,Io=5〜15,Do=2〜10とすることが
できる。制御の終了は、予め設定された収縮量又は温度
のいずれかが所定値に達したとき実行する。
次に、高純度アルミナを実際に一定値制御により焼結
した分析例を示す。
この高純度アルミナは、純度99.9%で、比表面積13.6
m2・g-1のものを用い、このアルミナ粉末を45×15×15m
mに金型成型した後、静水圧成形して試料を作ってお
り、この試料の相対密度は55.71%、理論収縮量は17.72
%である。
第3図には、収縮速度と収縮量(率)の関係が示され
ており、図示のように収縮速度を、例えば0.1%・min-1
(図の201)、0.2%・min-1(図の202)、0.3・min
-1(図の203)の3つとし、また上記式において、y=
1、Vm=10K・min-1、Vo=3K・min-1、C1=C2=1とし
た。
第3図から、収縮速度の制御精度は設定値に対して±
3%以内であり、収縮速度の制御は収縮量として16.7%
(グラフ201)から16.2%(グラフ203)まで可能である
ことが理解される。従って、試料1の収縮量は相対密度
で96%から95%まで制御することが可能となる。
第4図には、上記の場合の温度曲線が示されており、
収縮速度が低下するに従って温度の上昇も緩やかとな
り、またいずれの場合も1300℃以上で急激に温度が上昇
することになる。
次に、収縮速度を多段階にステップ制御する場合につ
いて説明する。
第5図には、4段階のステップ制御の説明図が示され
ており、いずれの制御を行う場合にも、最初の段階では
試料収縮が起こらないので、温度レートによる温度制御
を行い、その後、例えば試料1の収縮量(ΔL/L0)が−
1%となったとき、0.1%・min-1のレートでステップ制
御を始め、順に−2%で0.2%・min-1のレート、−5%
で0.3・min-1のレート、−10%で0.4%のレートで収縮
速度制御を行う。そして、実施例では、各ステップ間の
切換え時ではAに示されるように、緩やかな切替えとな
るようにスロープ制御を行っており、これにより次のス
テップに急激に切り替えられることによるハンチングを
防止している。
このようなステップ制御によれば、第6図に示される
ように、収縮が緩やかに起こることになり、試料1の密
度を高くすることができる。
第7図には、実施例装置で実際にステップ制御を行っ
た例が示されており、この場合は、収縮速度を、順に0.
2%・min-1(I段階)、0.3%・min-1(II段階)、0.2
%・min-1(III段階)、0.1%・min-1(IV段階)そして
0.05%・min-1(V段階)の5段階に制御する。この場
合の制御定数は、上記一定制御の場合と同様であり、こ
の場合の温度は曲線400のように上昇する。
この図に示されるように、プログラム設定値に対する
制御値のばらつきは±3%程度であり、各ステップ間の
移行に要する時間は、1〜2分程度であるが、上記第5
図のように設定値を増加させる場合に比較して設定値を
減少させる場合の方が上記時間は少ない。この場合のス
テップ制御によれば、収縮速度を0.05%・min-1にまで
ステップさせて低くしたので、相対密度が97%まで制御
できることになる。
以上のようなステップ制御は、上記一定値制御の場合
よりも、精密に収縮速度、すなわち伸縮速度を制御する
ことができ、焼結の場合には理論密度にまで収縮させる
条件を見出すことができる。
次に、伸縮速度を関数制御する場合について説明す
る。
関数制御の場合は、収縮速度が初期設定値Roになった
時間をt=0として、Δt時間経過毎に設定値Rpを書換
えることにより行い、収縮速度を時間又は収縮量の関数
として制御する場合には、上記Rpは次の式により決定さ
れる。
Rp=f(t)=f(n×Δt) …(8) Rp=g(ΔL/L0) …(9) そして、上記関数は収縮速度が所定勾配でゆっくりと
下降するような関数としてもよく、密度増加率が一定と
なるような関数とすることもできる。
第8図には、密度増加率が一定となるような時間の関
数により、高純度アルミナの試料1の収縮速度を制御し
た場合の制御状態が示されている。
この例では、成形体密度をρ、密度増加率(dρ/d
t)を一定値sとすると、次式のRpが求められる。
Rp=(s・ρ 1/3)/3(ρ+st) …(10) ここで、密度増加率sを0.25%・min-1とし、制御を
開始する初期設定値Roを上記(10)式で、t=0として
得られたRp(0.123%・min-1)の80%としている。
第8図によれば、プログラム曲線500に対し制御値は
図示501のようになり(図示502は温度曲線)、プログラ
ム設定値の±5%で制御でき、160分で相対密度96%の
焼結体を得ることができる。
以上のように、熱機械分析装置を用いた装置での補正
された一定値制御、ステップ制御又は関数制御において
は、高密度領域において収縮量と収縮速度の関係を最適
化する設定条件、高密度の焼結体を得る条件を確定する
ことができ、最適な制御プログラムにより、例えばファ
インセラミック等の良好な焼結体を製作することができ
る。すなわち、本発明の焼結方法によれば、焼結体の結
晶粒径及び粒径分布の幅を小さくすることができ、また
残留気孔などの大きさが小さくなり、その量も減少する
ことになる。従って、収縮速度の最適化制御により、理
論密度に近い高い密度の焼結体を得ることが可能とな
り、強度の高い物質を提供することができる。
上記実施例では、収縮速度の制御について説明した
が、試料が伸張する場合にも本発明の装置を適用するこ
とができる。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明によれば、材料の測定収
縮速度又は予測収縮速度と設定収縮速度との偏差に基づ
いて材料の昇温速度を制御し、また上記偏差が零となる
状態で一定の昇温速度を補正量として与えたり、理論収
縮量に対する測定収縮量の割合に依存する補正をした
り、更には材料の焼結過程において予想される構造変化
に対応して、物質の予測収縮速度を測定収縮量の関数で
求めることにより、電気炉温度を可変制御するようにし
たので、95%以上の理論密度に近い値まで制御範囲を広
げることができる。この結果、粒成長や微細組織と密接
に関係する後期焼結過程が良好に制御することができ、
強度の高い焼結体を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例に係る熱機械分析装置の主要構
成を示す断面図、第2図は実施例装置の制御内容を詳細
に説明するブロック図、第3図は伸縮速度を一定値に制
御した場合の収縮量(率)と収縮速度との関係を示すグ
ラフ図、第4図は第3図における一定値制御での温度変
化を示すグラフ図、第5図は伸縮速度をステップ制御す
る場合の制御例を示す図、第6図は第5図のステップ制
御での収縮率の変化を示すグラフ図、第7図は収縮速度
を減少させる5段階のステップ制御を行った場合の実際
の収縮速度と温度変化を示すグラフ図、第8図は伸縮速
度を関数制御した場合の実際の収縮速度と温度変化を示
すグラフ図、第9図は従来の熱機械分析装置の概略構成
を示す断面図、第10図は従来において昇温速度を一定に
制御した場合の収縮状態を示すグラフ図である。 1……試料、2……基準物質、 3……試料ホルダ、4……電気炉、 5a,5b……検出棒、6……重り、 7a,7b……天秤ビーム、 10……保護管、 16a,16b……差動トランス、 17……U字管ヒータ、20……A/D変換器、 21……マイクロコンピュータ、 21a……収縮速度演算器、 21b……データ部、21c……偏差演算部、 21d……PID制御部、 21e……温度レート演算部、 22……温度コントローラ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 成尾 学 東京都昭島市松原町3丁目9番12号 理 学電機株式会社拝島工場内 (56)参考文献 特開 昭63−316104(JP,A) J.ROUQUEROL,”CONT ROLLED TRANSFORMAT ION RATE THERMAL A NALYSIS;THE HIDDED FACE OF THERMAL A NALYSIS”,Thermochi mica Acta,1989,Vol. 144,p.209−224 M.L.Hvckabee,T.M. Hare,H.Palmour 3," RATE CONTROLLED SI NTERING As A PROCE SSING METHOD”,MATE RIAL SCIENCE RESEA CH,1978,VOL−2 p.205−216 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 25/00 - 25/72 C04B 35/64

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】物質の収縮速度をフィードバック制御する
    材料の焼結制御方法において、 材料の現在及び過去の測定収縮速度に基づいて算出した
    将来の予測収縮速度と設定収縮速度との偏差に基づいて
    材料の昇温速度を制御することを特徴とする材料の焼結
    制御方法。
  2. 【請求項2】上記予測収縮速度は、基本制御式に対し、
    積分成分又は微分成分を加えたことを特徴とする上記請
    求項(1)記載の材料の焼結制御方法。
  3. 【請求項3】上記昇温速度制御では、上記の予測収縮速
    度と設定収縮速度との偏差が零となる状態で、一定の昇
    温速度を補正量として与えることを特徴とする上記請求
    項(1)又は(2)記載の材料の焼結制御方法。
  4. 【請求項4】上記昇温速度制御では、理論収縮量に対す
    る測定収縮量の割合に依存する補正を行うことを特徴と
    する上記請求項(1)乃至(3)記載の材料の焼結制御
    方法。
  5. 【請求項5】材料の焼結過程において予想される構造変
    化に対応して、上記予測収縮速度を測定収縮量の関数で
    求めることを特徴とする上記請求項(1)記載の材料の
    焼結制御方法。
  6. 【請求項6】物質の収縮速度をフィードバック制御する
    材料の焼結制御方法において、 材料の測定収縮速度と設定収縮速度との偏差に基づいて
    材料の昇温速度を制御すると共に、この昇温速度制御で
    は、理論収縮量に対する測定収縮量の割合に依存する補
    正を行うことを特徴とする材料の焼結制御方法。
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