JP3029252B2 - 吸収式冷凍機の過剰濃度制御システム - Google Patents

吸収式冷凍機の過剰濃度制御システム

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JP3029252B2 JP9278726A JP27872697A JP3029252B2 JP 3029252 B2 JP3029252 B2 JP 3029252B2 JP 9278726 A JP9278726 A JP 9278726A JP 27872697 A JP27872697 A JP 27872697A JP 3029252 B2 JP3029252 B2 JP 3029252B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸収式液体冷凍機
(absorption liquid chiller)の制御システムに関
し、主に、冷凍機システム内の臭化リチウムの濃度を測
定するアナログセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】吸収式冷凍システムは、種々の冷媒/吸
収剤の組み合わせにより動作可能であり、その一つとし
て水/臭化リチウムの組み合わせが挙げられる。吸収剤
の濃度は、低濃度から高濃度へとコンスタントに変化し
ていき、その変化は、溶液が占有している容器と、冷凍
機の動作条件とに依存している。臭化リチウム溶液は、
ある条件下では、液体の状態から固体の状態へと変化し
得る。この固体状態となる条件は、結晶化として知られ
ている。吸収式冷凍機で結晶化が起きると、冷凍機は適
切に動作しなくなり、その修理に多くの労力及びコスト
が必要となる。
【0003】また、吸収式冷凍システムにおいては、溶
液から蒸発する冷媒量が増加するにつれて、過濃度状態
(over-concentration)が、更に問題となってくる。こ
の過濃度状態に至るプロセスを監視するための通常の手
法としては、蒸発機サンプ内の冷媒レベルを監視すると
いう手法が挙げられる。この手法においては、冷媒のレ
ベルがある点に達すると、液面レベルを検出するフロー
トスイッチが閉鎖され、冷媒の適切な補充処理を行うよ
うにしている。この手法は、リアクティブ・タイプの制
御アルゴリズムであり、液面レベルスイッチの高さによ
って、その動作が予め決定されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述したよう
なフロートを用いた手法では、スイッチのトリップポイ
ント即ち作動点は一点にきまっており、溶液から多量の
冷媒が失われたとしても、このスイッチが作動するまで
は、このような多量に冷媒が失われたという事態を予測
することは、原理的に不可能である。
【0005】従って、本発明は、吸収式冷凍システムの
改良を目的とする。この目的は、本発明にかかる方法及
び装置によって達成される。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述した従来技術におけ
る難点を解消するために、本発明は、蒸発機内の冷媒の
液面レベルの変化に応答可能であるアナログ式の液面レ
ベルスイッチ提供する。この液面レベルの変動は、吸収
機サンプから流出する希薄溶液濃度の直接的な指標とな
る。この濃度がわかれば、他の測定された温度ととも
に、吸収サイクルを正確に算出することができる。この
サイクルがわかり、流体の特性と関連づけることができ
れば、結晶化が発生するポイントを監視することがで
き、かつ、現在の動作条件と上記ポイントとを比較する
ことができる。
【0007】動作条件が結晶化濃度に近づくと、冷凍機
を保護するために、臭化リチウム濃度が減少するよう
に、濃度調整動作が行われる。
【0008】従来技術では、臭化リチウム濃度が高くな
るまで単に運転を続行されていたが、本願では、マイク
ロプロセッサを使用することにより、上述のような結晶
化が生じないように、冷凍機は順行的に(proactive)
動作する。このように調整を行うことで、吸収冷凍機
は、理論的には結晶化することはなくなる(ただし、電
気的、あるいはメカ的な故障時は除く)。
【0009】なお、本発明は、臭化リチウムを用いたシ
ステム以外にも勿論適用可能である。即ち、溶媒である
冷媒とイオン性溶質とを含む溶液を含んだ作動液体を用
いたシステムであって、該作動液体の相状態に、溶液の
飽和条件に対応する濃度及び温度をそれぞれ画定する結
晶化境界線が存在するのであれば、本発明を適用するこ
とは可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の特性及び目的を更に示す
ために、以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説
明する。
【0011】吸収式冷凍機では、容器即ちベッセル内の
冷媒が厳しい真空条件となるので、水が用いられてい
る。吸収式冷凍機は、絶対圧力が低い(真空)条件下で
は、水は、比較的低温でも熱を吸収して気化(沸騰)す
る、という単純な原理に基づいて動作している。例え
ば、水銀柱0.25インチ(6.4mm)という非常に厳しい真
空条件では、水は40°F(4℃)というかなり低温で
沸騰する。水が沸騰する際には、他の流体(通常は水)
からエネルギーを吸収する、即ち、他の流体が冷却され
る。この冷却された流体は、その後冷却に用いられる。
【0012】以上の冷却プロセスを連続して行うため
に、冷媒蒸気は、生成したらすぐに除去する必要があ
る。そのため、臭化リチウム塩の水溶液が、水蒸気を吸
収するために用いられる。臭化リチウムは、水との親和
性が高く、適切な条件下においては、水を大量に吸収す
る。このように、臭化リチウム塩水溶液水を吸収させて
冷媒を除去することで、冷凍機の圧力は、冷却気化を続
行するに十分に低い圧力に保たれる。
【0013】しかし、このプロセスでは、上記臭化リチ
ウム水溶液が希釈され、その吸収能が低下する。従っ
て、希釈された臭化リチウム水溶液をベッセルへと送っ
て加熱することで、吸収した水を除去(蒸発除去)して
いる。冷却タワーやその他の冷却源からの、比較的低温
の凝縮水によって、上述した蒸気から十分な熱を除去し
て再度蒸気を凝縮させて液体とし、この液化した水が冷
却サイクル内で再度用いられる。濃縮された臭化リチウ
ム溶液は、その後、元のベッセルに戻されて、吸収プロ
セスが続行される。
【0014】図3に、二重効用(double effect)冷凍
機システム30におけるフローの概略を示す。この冷凍
機の主要なセクションは、幾つかのベッセル内に収容さ
れる。大きな下部シェル32は、蒸発機セクション3
4、吸収機セクション36をそれぞれ収容する。蒸発機
及び吸収機は、互いに並列して設けられる。蒸発機セク
ション内では、冷媒水が蒸発して、空調あるいは冷却プ
ロセス用の冷却水(chilled water)を冷却する。吸収
機内では、蒸発機からの水蒸気が臭化リチウム溶液内に
吸収される。
【0015】蒸発機/吸収機アッセンブリの上方には、
他のベッセル、即ちハイステージ発生機38が設けられ
ている。ここでは、吸収機からの希釈された溶液の約半
分が、加熱及び濃縮されて、吸収された水のうち、約半
分を多少超える程度の量の水が回収される。
【0016】また、蒸発機/吸収機アッセンブリの上方
には、さらにベッセルが設けられており、このベッセル
には、ローステージ発生機40及び凝縮機42がそれぞ
れ収容される。上記希釈された溶液の残り半分は、ハイ
ステージ発生機38からの高温水蒸気によって、ロース
テージ発生機40内で加熱及び再濃縮される。このロー
ステージ発生機40内でのプロセス内の溶液から回収さ
れた水蒸気は、凝縮機セクション内で液体に凝縮され
る。
【0017】本実施形態における冷凍機は、更に、以下
の構成を有する。
【0018】まず、動作を経済的に行うようにするため
の、二つの溶液熱交換器44、46と、蒸気凝縮熱交換
器48と、を有する。また、凝縮しなかった成分を除去
して真空状態を維持するための、外部パージシステムを
有する。更に、冷媒及び溶液を循環させるための、気密
ポンプ50、52を有する。さらにまた、機器を自動化
して信頼性を高めるための、種々の動作デバイスや安全
デバイス等を有している。また、キャパシティバルブ6
4は、冷凍機への熱入力を制御する。その他、通常冷凍
機システムに用いられる追加構成としては、ドレイント
ラップ56、レリーフバルブ58、温度センサ62、温
度制御装置TC,液面制御デバイス(level control de
vice)LCD等がある。図3における矢線は、それぞ
れ、冷凍機システムにおけるフロー方向を示している。
【0019】上述した吸収式冷凍機は、本発明の適用が
可能である吸収式冷凍機のうち典型的なものを示してい
る。この機器のさらに詳細な説明、及び他の典型的な冷
凍機は、参照として本願に包含される、キャリアコーポ
レイション社刊の「二重効用気密吸収式液体冷凍機の設
置、動作及びメンテナンス案内(Start-Up,Operateion,
and Maintenance Instructions,Double-Effect Hermeti
c Absorption LIquidChillers.Catalog No.531-607)」
に記載されている。
【0020】本発明の実施形態においては、図3に示さ
れるように、蒸発機のオーバーフローボックス54に
は、アナログ液面スイッチ10が設けられている。図1
は、このスイッチ10の拡大図である。図1に示される
ように、“A”で示される距離は、周知のパラメータで
ある。フロート12が中空シャフト20に沿って移動す
ると、このフロートの正確な位置が決定される。一連の
リードスイッチ14及びレジスタ16は、シャフト20
内に収容された円筒形のコア部材22内に設けられてお
り、これらは、フロート内の一セットのマグネット18
によって起動され、かつ、ポテンショメータと同様に、
リードワイヤ24からマイクロプロセッサ60へと送出
される出力電圧を変化させる。測定された電圧は、適切
な計算式を用いることで、直接濃度へと変換される。液
面スイッチは、設置時に較正する必要がある。このよう
に較正を行うには、以下のように二つの重要な理由があ
る。
【0021】1)冷媒の体積は、シェルサイズやユニッ
トサイズに応じて変動し、一方、二つのユニットが全く
同一であるということはない。
【0022】2)二つのスタイルの吸収/蒸発シェル
(オーバ/アンダータイプと並列タイプ)があり、両者
は冷媒液面の相関がそれぞれ異なる。
【0023】レベルスイッチ10は、IMO社がXTシ
リーズレベルトランスミッタとして販売している製品を
用いることができる。このレベルスイッチ10は、保守
作業員がユニット内の冷媒チャージをトリム(trim)す
る、即ち調整することで、較正される。ユニットは、5
0%の定格負荷条件とされ、安定化される。保守作業員
は、吸収機サンプからの希薄溶液サンプルを用いて、ハ
イドロメータ(比重計)を用いて濃度を測定する。その
後、保守作業員は、液面スイッチの電圧を測定し、マイ
クロプロセッサ60内に収容された制御アルゴリズム内
にその値を記録する。更に、保守作業員は、定格負荷の
100%で冷凍機を運転させて、上記処理を繰り返す。
この較正により、電圧/濃度曲線の2点を測定すること
で、個々のユニットの特定の動作パラメータを完全に定
めることが可能となる。
【0024】上記手法の有効性を確認するために、実際
に種々の希薄溶液濃度(この測定はハイドロメータを用
いて行った)と液面スイッチからの電圧とを記録して、
種々の動作条件で冷凍機を運転した。そして、このデー
タから、数学的相関を決定した。
【0025】この試験の結果、冷凍機の動作条件とは無
関係に、濃度が同じであれば電圧も常に同じ値に定まる
ことが示された。個々の電圧が直接濃度と相関している
ことがわかったうえで、電圧の値から、冷凍機の完全な
動作サイクルが正確にプロットされた。
【0026】新たに構築された制御アルゴリズムを用い
て、更に試験を行った。この新たなアルゴリズムは、ど
の状態においても、臭化リチウムの濃度を正確に算出す
ることが可能である。図2に、典型的な冷凍機サイクル
の概略図を示す。図2において番号付けがなされた点
は、冷凍機内を臭化リチウム溶液の移動に対応する。図
4に、臭化リチウム水溶液の平衡状態図を示す。その溶
液サイクルを、臭化リチウム水溶液の基本平衡状態図に
示す。図2もまた動作効率の解析及び故障処理等に参照
して用いることができる。
【0027】図4の左側の縦軸には、平衡条件における
溶液と水蒸気の圧力をとっている。また、右側の縦軸に
は、冷媒(水)と溶液とのそれぞれ対応する飽和(蒸発
または凝縮)温度をとっている。また、横軸には、溶液
濃度を、水溶液中の臭化リチウムの重量百分率で示す。
例えば、臭化リチウム濃度60%とは、重量比で臭化リ
チウムが60%、水が40%を占めることを示す。
【0028】図4において、左右にのびる曲線は、溶液
の温度曲線(水平方向の飽和温度直線とは別の曲線)で
ある。また、図4の右下にある太線で示す曲線は、結晶
化曲線を示す。この結晶化曲線の右側においては、溶液
が結晶化(固化)してフローが制限される。臭化リチウ
ム溶液試料の濃度を決定するには、ハイドロメータによ
りその比重を測定し、かつその試料溶液の温度を測定す
ることで決定される。その後、上記温度及び比重の交点
を図4にプロットし、その交点における横軸の臭化リチ
ウム濃度が、求める濃度となる。対応する蒸気圧に関し
ては上記交点における左側の縦軸、飽和温度に関しては
上記交点における右側の縦軸の値が、それぞれ求める値
となる。
【0029】以下、溶液サイクルのプロット例を示す。
【0030】通常の100%負荷(full load)状態で
の吸収溶液サイクルを、図2のポイント1〜13に示
す。なお、これらの値は、負荷や動作条件の変動につれ
て変化する。
【0031】ポイント1は、吸収機内の濃厚溶液を示
し、その後、吸収機ノズルからのスプレーによって水蒸
気の吸収が開始される。この条件は、ベッセルの内部で
の反応であり、測定することは困難である。
【0032】ポイント2は、吸収機をでた後でかつ低温
熱交換器に入る前の、希釈された(薄い)溶液を示す。
このポイント2は、溶液ポンプを通じてのフローをも表
す。このポイント2は、ポンプ吐出口からの溶液試料か
ら測定可能である。
【0033】ポイント3は、低温熱交換器から流出する
希薄溶液を示す。この点は、ポイント2と濃度は同じで
あるが、濃厚溶液から熱を奪うことにより、温度は高く
なっている。この温度も測定可能である。
【0034】ポイント4は、ドレイン熱交換器から流出
する希薄溶液を示す。このポイントも、濃度はポイント
3と等しいが、蒸気の凝縮による熱が加えられているの
で、温度は高くなっている。この温度も測定可能であ
る。この点において、希薄溶液は、第一に液面制御デバ
イス(LCD)のバルブを通じて流れ、その後にほぼ半
分づつに別れて、一方はローステージ発生機へと向か
い、残りは高温熱交換器へと向かう。
【0035】ポイント5は、沸点まで予加熱された後の
ローステージ発生機内の希薄溶液を示す。この溶液は、
凝縮機内の蒸気凝縮温度により画定される飽和温度に対
応する温度及び濃度で蒸発する。この条件は、ベッセル
内部のものであり、測定することはできない。
【0036】ポイント6は、高温熱交換器から流出して
ハイステージ発生機へと流入する希薄溶液を示す。その
濃度は、ポイント4に等しいが、濃厚溶液からの熱によ
って、温度が高くなっている。この温度は測定可能であ
る。
【0037】ポイント7は、沸騰点まで予加熱されたの
値のハイステージ発生機における希薄溶液を示す。この
溶液は、ローステージ発生機チューブ内の蒸気凝縮温度
により画定される飽和温度に対応する温度及び濃度にお
いて蒸発する。この条件は、ベッセル内部のものであ
り、測定はできない。
【0038】ポイント8は、冷媒を蒸発させることで再
濃縮された後の、ハイステージ発生機から流出して高温
熱交換器へと流入する濃厚溶液を示す。この点は、流出
する濃厚溶液の温度と、ローステージ発生機チューブか
ら流出する凝縮された蒸気の温度(飽和温度)と、を測
定することで、概略的にプロットすることができる。こ
の条件は、正確には測定できない。
【0039】ポイント9は、二つの熱交換器間を流通す
る、高温熱交換器からの濃厚溶液を示す。その濃度は、
ポイント8に等しいが、熱は希薄溶液に奪われているの
で、低温となっている。この温度は、溶液熱交換器がそ
れぞれ分離している冷凍機システムモデルでは測定可能
である。
【0040】ポイント10は、ローステージ発生機を流
出して低温熱交換器に流入する濃厚溶液を示す。その濃
度は、ハイステージ発生機からの溶液よりも薄い。ま
た、この濃度は、流出する濃厚溶液の温度と、蒸気凝縮
温度(飽和温度)とを測定することで、概略的にプロッ
トすることができる。この状態は、正確には測定できな
い。
【0041】ポイント11は、高温熱交換器からの濃厚
溶液と、ローステージ発生機からの濃厚溶液と、のそれ
ぞれ低温熱交換器に流入する前における混合物を示す。
この温度は、溶液熱交換器が分離している冷凍機システ
ムモデルにおいては、測定可能である。
【0042】ポイント12は、熱を希薄溶液に与えた後
で、低温熱交換器から流出する前における濃厚溶液を表
す。この条件は、ベッセル内部におけるものであり、測
定できない。
【0043】ポイント13は、低温熱交換器から流出し
て吸収機スプレーノズルに流入する前の、熱交換器内の
ある程度希薄な溶液と混合された後における、濃厚溶液
を示す。その温度は測定可能であるが、その濃度は測定
できない。スプレーノズルから噴出された後に、この溶
液は、ポイント1で低圧の吸収機にフラッシュ(flas
h)されるので、ある程度冷却されて濃縮される。
【0044】以下、図2に示される各ポイント状態がど
のようにして得られるかを示す。ポイント2は、液面セ
ンサと直接溶液温度測定とによる濃度から決定される。
【0045】冷媒液面センサ電圧は、最初に冷凍機の始
動時において較正され、蒸発機内の冷媒の液面と、吸収
機内の臭化リチウム溶液の濃度と、の間の相関が確定さ
れる。このような相関の確定は、低濃度及び高濃度にお
ける溶液の液面レベルと、そのときにおける冷媒液面レ
ベルセンサの電圧とを測定することでなされる。その濃
度に直線相関があるとして、外挿及び内挿を行って二点
間を結ぶ直線を生成する。ただし、冷媒液面レベルと電
圧とは負の相関を有しており、すなわち、液面レベルが
上昇すると、電圧入力が減少する。
【0046】ポイント2’は、ポイント2と濃度は同じ
であるが、冷媒温度により画定される飽和温度にある。
残りのポイントは、ポイント状態の方程式、結晶化ライ
ン方程式、その他センサ情報、濃度収支、物質収支を用
いて算出される。ポイント9x、14xは、それぞれポ
イント9、14の溶液温度における結晶化ライン方程式
によって画定される。これらの計算式は、当業者であれ
ば容易に算出できる、標準的なものである。
【0047】以下、濃度制御オーバーライド及び異常か
らの保護について説明する。
【0048】上記の計算式から、キャパシティ制御ルー
チン(即ち臭化リチウムの濃度があまりに高くなったと
きに生じる、再循環不能なシャットダウン)が生じない
ようにするためのに、CONC9、CONC14が用い
られる。この濃度保護は、CONC9、CONC14の
それぞれについて、抑制しきい値(IN:inhibit thresho
ld)、近接しきい値(CD:close threshold)、安全シャ
ットダウンしきい値(SS:safety shutdown threshold)
として図2に示される。算出された濃度がいったん抑制
しきい値を超えると、算出される濃度がその抑制しきい
値より0.5%低い値まで降下するまでは、キャパシテ
ィバルブ64は開かないようにされる。算出された値が
近接しきい値を超えると、算出される濃度が抑制しきい
値より0.5%低い値まで降下するまでは、キャパシテ
ィバルブ64は閉鎖される。算出された濃度がその安全
シャットダウン濃度を超えると、希釈サイクルにおける
再循環不能なシャットダウンを行う。
【0049】各ポイントにおける濃度しきい値を以下に
示す。
【0050】
【表1】 ポイント 抑制しきい値 近接しきい値 故障/シャットダウン (%CONC.) (%CONC.) (%CONC.) CONC9 CONC9x-1.5% CONC9x-1.0% CONC9x-0.5% CONC14 CONC14x-1.5% CONC14x-1.0% CONC14x-0.5% 上記計算によって、吸収式冷凍機が保護され、冷凍機の
動作における本発明の有用性が示される。パワーロス
(power loss)、停電が生じた場合、通常のシャットダ
ウンはできない。本発明においては、パワーロスが生じ
る前までのデータが残る。従って、パワーロスからの復
帰の際に、このデータを用いて、溶液が結晶化していな
いかどうかを調べ、冷凍機を再起動しても安心かどうか
を決定することができる。
【0051】以下に、溶液結晶化温度(Projected Crys
tallization Solution Temperature)等の算出過程を示
す。
【0052】
【表2】溶液結晶化温度(Projected Crystallization
Solution Temperature)算出 TSOL9x=結晶化ライン等式(CONC9x) TSOL14x=結晶化ライン等式(CONC14x) 差及び溶液温度(Difference and Solution Temperatur
e)算出 DIFF9=TSOL9−TSOL9x DIFF13=TSOL13−TSOL14X (DIFF9<DIFF13)であれば、 TSOL9S=TSOL9−DIFF9 TSOL13S=TSOL13−DIFF9 その他の場合(ELSE)、 TSOL9S=TSOL9−DIFF13 TSOL13S=TSOL13−DIFF13 希釈サイクルにおけるパワーロス検出 (TSOL9<TSOL9S)又は(TSOL13<TSOL13S)であれば、 状態警告(Alarm State) その他の場合、 (TSOL9<TSOL9S+25)又は(TSOL13<TSOL13S+25)であれば、 Power Loss Dilution Cycle=TRUE その他の場合、 Power Loss Dilution Cycle=FALSE 上述した発明の目的は、吸収式冷凍機における臭化リチ
ウム溶液が過剰濃度となることを防ぐだけでなく、冷凍
機の動作状態が“通常の”濃度を超える動作状態となら
ないように、予防手段となって通常動作を維持するよう
に作用し、これにより、冷凍機における不必要なシャッ
トダウンを防止するようになっている。このことは、最
初に、冷凍機の動作サイクルの臨界状態点を決定するこ
とによって達成される。二段動作サイクルにおける通常
状態のポイントは、ポイント1〜13として前述したと
おりでる。二つの状態ポイント9、14は、冷凍機内に
設けられ温度及び圧力センサをアナログ冷媒液面レベル
センサとともに用いることで、決定される。この液面レ
ベルセンサは、冷凍機の始動時に較正されて、希薄溶液
濃度を直接指示するようにされる。この液面レベルセン
サは、冷媒の液面レベルに直接関連した電圧を出力す
る。冷媒の液面レベルは、直接希薄溶液濃度に関連す
る。
【0053】二つの電圧の値が、対応する2以上の希薄
溶液の濃度に対応して読み取られる。このデータは、マ
イクロプロセッサの制御システム内に格納される。これ
により、どの動作状態においても適用できる、希薄溶液
濃度を決定するための相関が得られる。
【0054】また、二つの上述された臨界ポイント9、
14を算出するために用いられる、他の状態ポイントも
算出可能である。これら二つの臨界ポイントは、臭化リ
チウムが結晶化するポイントであるポイント9X,14
Xと比較される。3つのポイントが、前述した臨界ポイ
ント(9、14)と、臭化リチウムの結晶化ポイント
(臭化リチウム温度一定における9X,14X)との間
に予め定められる。状態ポイント9、14が第一の所定
ポイントに達すると、図2のポイント“IN”で示され
るように、冷凍機のキャパシティ制御バルブは、それ以
上開かないようにされる。第二のポイント“CD”に達
すると、臨界ポイントが結晶化ラインから離れるまで
は、キャパシティ制御バルブが閉ざされる。第三のポイ
ント“SS”に達すると、冷凍機は、“SAFETY”
シャットダウン状態となり、希釈サイクルへと入る。
【0055】また、センサによって収集された情報や状
態ポイントの算出に用いられた等式とともに、“吸収損
失(absorber loss)”を算出及び表示することも可能
である。吸収損失は、冷媒温度と、吸収機内の臭化リチ
ウム飽和温度との差である。この差は、華氏で表され、
冷凍機の公立の指標となる。本発明の更なる利点は、パ
ワーロスが生じた時にも、データが格納され、パワーが
復帰した際において冷凍機を駆動してもよいかどうかを
決定することが可能である点である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明に適したアナログ液面ス
イッチメカニズムの概略説明図、図1(b)は、図1
(a)の1b部内に設けられた、スイッチとレジスタの
部分切り欠き説明図である。
【図2】典型的な冷凍機における、臭化リチウム水溶液
の溶液サイクル及び結晶化ラインをの説明図。
【図3】双効果冷凍機システムにおけるのフローの説明
図。
【図4】臭化リチウム水溶液の平衡状態図。
【符号の説明】
30…冷凍機システム 32…下部シェル 34…蒸発機セクション 36…吸収機セクション 38…ハイステージ発生機 40…ローステージ発生機 42…凝縮機 44、46…溶液熱交換器 48…蒸気凝縮熱交換器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 クリストファー ピー.サーペンテ アメリカ合衆国,ニューヨーク,リヴァ プール,キングス パーク ドライヴ 130ジェイ (72)発明者 ハロルド ダブリュー.サムズ アメリカ合衆国,ニューヨーク,ジェイ ムスヴィル,ソウイクレイ ドライヴ 5976 (72)発明者 マーヴィン シー.デッカー アメリカ合衆国,ニューヨーク,スカニ ートレス,ウエスト レイク ロード 2123 (56)参考文献 特開 昭56−10663(JP,A) 特開 平3−244973(JP,A) 特開 昭55−105157(JP,A) 特開 平3−42527(JP,A) 実開 昭63−132321(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F25B 15/00 306

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸収式冷凍機の過剰濃度制御システムで
    あって、前記吸収式冷凍機は、溶媒である冷媒とイオン
    性溶質とを含む溶液を含んだ作動液体を用い、前記作動
    液体は、前記溶媒内に溶解した前記溶質の量を示す濃度
    を有し、かつ、該作動液体の相状態には、前記溶液の飽
    和条件に対応する濃度及び温度をそれぞれ画定する結晶
    化境界線が存在し、 前記冷凍機に設けられ、前記溶液の深さに応答して前記
    液体の濃度を示す濃度信号を生成する手段を有し、 前記液体の温度を示す温度信号を生成する温度センサを
    有し、 前記温度信号と前記濃度信号とに応答して、前記相状態
    にプロットされる前記冷凍機の吸収サイクルを算出する
    手段を有し、前記吸収サイクルには、所定の濃度及び温
    度により定義される複数の臨界ポイントが存在し、 前記液体の実際の濃度及び温度と、前記冷凍機の前記相
    状態における濃度及び温度とを比較する手段を有し、 前記吸収サイクルを算出する手段によって算出される前
    記液体の前記複数の臨界ポイントのそれぞれに対応する
    濃度及び温度と、前記結晶化境界線上にある濃度及び温
    度とを比較して、その差を表す差信号を生成する手段
    と、 前記差信号により示される前記差の大きさに応じて、前
    記結晶化境界線上にある濃度及び温度に前記液体が到達
    しないように、前記冷凍機の動作状態を変化させる手段
    を有することを特徴とするシステム。
  2. 【請求項2】 前記作動液体には、臭化リチウム溶液が
    含まれることを特徴とする請求項1記載のシステム。
  3. 【請求項3】 前記溶液の深さに応答して前記液体の濃
    度を示す濃度信号を生成する手段は、フロートを有した
    アナログスイッチを有することを特徴とする請求項2記
    載のシステム。
  4. 【請求項4】 吸収式冷凍機の過剰濃度制御システムで
    あって、前記吸収式冷凍機は、作動液体として臭化リチ
    ウムの水溶液を用い、前記作動液体は、前記臭化リチウ
    ム水溶液濃度を有し、かつ、該作動液体の相状態には、
    前記臭化リチウム水溶液の飽和条件に対応した臭化リチ
    ウム濃度及び温度をそれぞれ画定する結晶化境界線が存
    在し、 前記冷凍機に設けられ、前記水溶液の深さに応答して前
    記液体の臭化リチウム濃度を示す濃度信号を生成する手
    段を有し、 前記液体の温度を示す温度信号を生成する温度センサを
    有し、 前記温度信号と前記濃度信号とに応答して、前記相状態
    にプロットされる前記冷凍機の吸収サイクルを算出する
    手段を有し、前記吸収サイクルには、所定の濃度及び温
    度により定義される複数の臨界ポイントが存在し、 前記液体の実際の濃度及び温度と、前記冷凍機の前記相
    状態における濃度及び温度とを比較する手段を有し、 前記吸収サイクルを算出する手段によって算出される前
    記液体の前記複数の臨界ポイントのそれぞれに対応する
    濃度及び温度と、前記結晶化境界線上にある濃度及び温
    度とを比較して、その差を表す差信号を生成する手段
    と、 前記差信号により示される前記差の大きさに応じて、前
    記結晶化境界線上にある濃度及び温度に前記液体が到達
    しないように、前記冷凍機の動作状態を変化させる手段
    を有することを特徴とするシステム。
  5. 【請求項5】 前記水溶液の深さに応答して前記液体の
    臭化リチウム濃度を示す濃度信号を生成する手段は、前
    記吸収式冷凍機の蒸発機セクション内に設けられている
    ことを特徴とする請求項4記載のシステム。
  6. 【請求項6】 前記水溶液の深さに応答して前記液体の
    臭化リチウム濃度を示す濃度信号を生成する手段は、電
    圧を出力するアナログ液面レベルスイッチを有し、前記
    電圧は、前記水溶液内の臭化リチウムの濃度信号に変換
    されることを特徴とする請求項5記載のシステム。
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