JP3028976B2 - 下地調整方法 - Google Patents

下地調整方法

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JP3028976B2
JP3028976B2 JP18401891A JP18401891A JP3028976B2 JP 3028976 B2 JP3028976 B2 JP 3028976B2 JP 18401891 A JP18401891 A JP 18401891A JP 18401891 A JP18401891 A JP 18401891A JP 3028976 B2 JP3028976 B2 JP 3028976B2
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克朗 小畠
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はコンクリート躯体の表
面仕上用の下地調整方法に関し、より詳しくは炭素繊維
やアラミド繊維などの繊維シートを使用した下地調整方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、繊維強化樹脂シート(以降FR
Pシートと略す)は、炭素繊維やアラミド繊維等の高強
度で高弾性な特性を有する繊維系素材の長繊維を一方向
に方向性を揃えて配し、これにエポキシ樹脂等の硬化性
樹脂剤を含浸させたシート材を積層し、樹脂剤の硬化に
より長繊維とシート材とを一体化させて作られている。
このため、このようにして製造されるFRPシートに
は、繊維の配向方向に応じた力学的な方向性が生じる。
つまり、繊維が配向された縦方向の力に対しては強固に
なるが、横方向の力に対しては非常に弱いものとなる。
【0003】したがって、縦方向と横方向との双方の力
に対して強固なFRPシートを製造する場合には、上記
単方向性のFRPシートを更に多層に、その方向性を異
ならせて積層形成するようにしている。すなわち、例え
ば特公昭56−54207号公報等に示されているよう
に、一方向性強化繊維に硬化性樹脂剤を含浸させプリプ
レグによって所望の厚みを有する板状のFRPシートを
作る場合には、その繊維の配向を交差させた状態で積層
し、繊維配向による熱収縮差及びこれによる反りなどを
矯正するとともに、各方向に対する強度をもたせた状態
で要求厚みに応じて一体に硬化させ、所定厚みのFRP
シートを作り、これをコンクリートまたはモルタル内に
埋設して使用する試みがなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで近年にあって
は、引張強度が高くかつ軽量で耐蝕性に優れたFRP
を、コンクリート系材料やその他の建築材料に補強材と
して複合させ、この複合材を建築構造物に多用すること
により、躯体の軽量化や耐久性の向上ないしは施工の省
力化を図ろうという技術的傾向が高まってきている。
【0005】しかしながら、前述したような従来のFR
Pシートでは、その成形表面は樹脂によって滑らかなも
のとなるため、モルタル等のコンクリート系材料やその
他の建築材料との付着性に劣る不都合があり、複合材と
しての一体性を確保することが難しいという問題点があ
った。
【0006】また、従来のFRPシートでは、繊維の配
向を同一方向に揃えた長繊維層を何層にも、その配向を
いろいろな方向に異ならせて積層形成する必要があり、
製造が面倒で建築材料として使用するにはコストが高い
という問題点もあった。
【0007】また、特に上記技術的傾向の1つとして、
コンクリート躯体の表面を仕上モルタルで、または貼付
モルタルを介してタイル等で表面仕上げする場合におい
て、そのモルタル部分に埋設する補強材を不織布などか
ら、より強度の高いFRPシートに替えようとする考え
があるが、上述のように従来のFRPシートではモルタ
ルとの一体性を確保することが難しいので、これをコン
クリート躯体に対して表面仕上げするためのモルタル層
内に補強材として埋設すると、温度変化や地震動などに
起因するデファレンシャルムーブメントが発生した場合
に、仕上材としてのタイルやモルタル自体に剥脱が生じ
る虞があった。
【0008】この発明は、上記のような事情に鑑みてな
されたものであり、その目的は、モルタル等のコンクリ
ート系材料やその他の建築材料との付着性に優れ、もっ
て複合材としての一体性を確保することができ、殊にコ
ンクリート躯体の表面を仕上モルタルで、または貼付モ
ルタルを介してタイル等で表面仕上げする場合に、その
モルタル層内に補強材として埋設するのに好適な、廉価
な繊維シートを使用すると共に、この繊維シートを使用
する上で好ましく適用でき、表面仕上材の剥脱を防止す
ることができる下地調整方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の下地調整方法は、コンクリート躯体の表面に
モルタルを塗布し、該モルタルが硬化しないうちに、シ
ートを構成する炭素繊維やアラミド繊維などの繊維が3
次元方向に絡められて相互に結着され且つシート面を貫
通する多数の孔を有する繊維シートを、該モルタルに押
圧して、該繊維シートの表面に該モルタルの突起を形成
し、該繊維シートの表面を擦ることにより、該突起を平
滑化しつつ該繊維シートの表面に該繊維シートの繊維の
毛を露出させるようにしたことを特徴とする。
【0010】また、上記突起の平滑化に先立ち又は同時
に上記繊維シート上に更にモルタルを付与して該突起を
平滑化するようにしたことを特徴とする。
【0011】また、上記繊維シートの表面をローラー、
押し板等で押圧して該繊維シートと上記モルタルとを密
に接触させた後、コテ等で該繊維シートの表面に形成さ
れた上記突起を平滑化することを特徴とする。
【0012】さらに、上記モルタルが、ポリマー,セメ
ント,骨材を含むポリマーセメントであることを特徴と
する。
【0013】さらにまた、上記繊維シートの厚さが1mm
以下の不織布であることを特徴とする。
【0014】繊維シートとしては、炭素繊維シート,ア
ラミド繊維シート等が好ましく使用できる。
【0015】また繊維シートとしては具体的には、バイ
ンダーとしての樹脂を含む液中に短繊維を分散させ、そ
れを抄いた後加熱乾燥して繊維同士を樹脂で相互に結着
することによって得られる抄紙構造のシート、あるいは
フェルトにバインダーとしての樹脂を含浸させた後、ま
たは含浸させつつ加圧ローラーで圧縮し加熱乾燥して得
られるシート等、各種のシートを使用することができ
る。熱融着繊維を含む繊維シートを使用する場合には、
シートを加熱することにより熱融着で繊維相互を結着さ
せるようにしても良い。これらの繊維シートはいずれに
あっても通気性を有する。
【0016】繊維シートの厚さは0.3mm以上、1mm以
下のものが好ましい。厚さが0.3mm未満の繊維シート
は、これを構成する繊維それぞれを毛羽立たせることが
難しいため好ましいものではない。他方、1mmを超える
と、仕上げの際に塗布すべきモルタルの厚さが必要以上
に厚くなると共に、モルタルと繊維シートの一体化が困
難になり、好ましいものではない。
【0017】繊維シートは、毛羽立ちが確保できれば織
布であってもよいが、一般に織布は長繊維で作られてい
るため繊維の毛羽立ちが難しく、また高価であるため、
本発明に使用する繊維シートは不織布であることが好ま
しい。
【0018】厚さの薄い繊維シートをペーパーと称する
ことがあるが、本発明ではこのようなペーパーも含んで
いる。
【0019】繊維シートを構成する繊維材相互の結着
は、フェノール,エポキシ(熱硬化性)等の熱硬化性樹
脂、またはポリプロピレン(PP),ポリフェニルサル
ファイド(PPS),エポキシ(熱軟化性),アクリロ
ニトリルブチレンスチレン(ABS)等の熱軟化性樹
脂、ピッチ等で行うことができる。
【0020】殊に、本発明に適用される繊維シートとし
ては、シートを貫通する孔を有することが必須である。
貫通する孔は、直径1〜4mmのものが好ましい。直径1
mm未満では孔からモルタルが流出し難いし、4mmを超え
ると、特にタイル仕上げの場合、剪断強度が低くなるた
めである。
【0021】また孔のピッチは、タイル仕上げの場合の
剪断強度確保の観点から、5〜15mmが好ましい。直径
約1.5mmの孔を約10mmピッチで開孔した繊維シート
が最も好ましい態様である。
【0022】
【作用】本発明に使用される繊維シートは全体的には、
多数の短繊維が3次元方向に絡められつつ相互に樹脂等
で結着され、その表面は短繊維の末端が起立して毛羽立
ち得るようになっている。このため、当該繊維シートを
本発明の方法に使用すると、その表面の毛羽立ちが保た
れたまま、またはコテで繊維シートの表面が擦られるこ
とで毛羽立ちが増加し、建築材料と複合化させるに際し
てはこの毛羽立ちがアンカーとして機能して、繊維シー
トは建築材料とメカニカルに固着するようになるので、
それら相互の付着性が向上されて強固に一体化するよう
になる。
【0023】また、本発明で使用される繊維シートは、
そのシート面を貫通する多数の孔を有しているので、当
該繊維シートをモルタル中に埋設すると、表面の毛羽立
ちがアンカーとして機能してモルタルとメカニカルに固
着するばかりか、モルタルが繊維シートの孔部内に入り
込んで固化し相互に絡み合った状態となり、さらには特
に、孔を通って繊維シートの表面にモルタルが流出し
て、繊維シートの表面にモルタルの突起を形成すること
になる。
【0024】この突起を積極的に作成するために、並び
にモルタルと繊維シートとの間に存在する空気を排除し
てモルタル及び繊維シート相互間の接着を良好にするた
めには、モルタルを塗布した後、モルタルが硬化しない
うちに繊維シートをモルタル上に置き、繊維シートの表
面をモルタル層に向かってローラー,押し板などで押圧
することが好ましい。
【0025】その後、モルタルの突起が形成された繊維
シート上にモルタルを付与したり、あるいは付与しない
で、モルタルの突起をコテ等で平滑化する。モルタルの
流動性が良い場合や、孔径が大きい場合、あるいは孔数
が多い場合には、繊維シート上へのモルタル付与は省略
することも可能である。特に、多数の針を表面に有する
ローラーを用い、且つ流動性の良いモルタルを用いると
きには、このローラーにモルタルを含ませておくこと
で、押圧作業と平滑化作業とを同時に行うことができ
る。
【0026】モルタルの突起は1〜3mm程度の高さであ
るため、これをコテ等で平滑化するときには必然的に繊
維シートの表面が擦られ、繊維シートの繊維の末端がモ
ルタル層の表面から露出されて、繊維の毛羽立ちが確保
される。この繊維の露出のために、この上に施す仕上モ
ルタルとの接着力が高くなる。このとき、繊維シート上
のモルタルの厚みを過度に厚くすると、繊維がモルタル
上に露出しないため、この上に仕上材を施す場合には、
仕上材と繊維シート上のモルタルとの間の接着力は増加
しなくなってしまう。従って、繊維シート上のモルタル
厚さは0.5〜5mm,好ましくは1〜3mmが適切であ
る。もっとも、繊維シート上で平滑化されたモルタルを
仕上モルタルとしても兼用し、この上に塗装することで
施工を完了するような場合には、繊維シート上のモルタ
ルの厚さは厚くても良い。仕上モルタル内に繊維が入り
込んでいるからである。
【0027】本発明に係る下地調整方法を施した後に表
面仕上げを施工する場合には、モルタル、繊維シート上
にモルタルを付与した場合にはその付与モルタルを塗布
後1週間程度放置し、将来発生するひび割れを発生させ
た後、仕上モルタルで仕上げたり、あるいは貼付モルタ
ルを介してタイル仕上げをするようにすることが好まし
い。
【0028】このとき、繊維シートの繊維の存在によ
り、モルタル及び使用した場合には付与モルタルと仕上
モルタルとの間、あるいはモルタル及び使用した場合に
は付与モルタルと貼付モルタル及びタイルとの間の接着
強度を高めることができる。殊に本発明によると、モル
タルを、繊維シートの孔から突出させたのち平滑化する
ため、モルタル及び付与モルタルと、仕上モルタルや貼
付モルタル及びタイルとの間の接着強度が高められるた
め、面外剥離強度を高くすることができる。
【0029】
【実施例】以下、この発明の実施例を添付図面を参照し
ながら説明する。図1は、本発明に適用される繊維シー
トの製造工程を示す図である。図示するように、この繊
維シート1は、炭素繊維やアラミド繊維などの高強度で
高弾性かつ耐蝕性・耐火性に優れた繊維系素材の短繊維
2を3次元方向にランダムに絡めさせて配向し、一定の
幅寸法H及び所定の厚みDに形成した長尺物のフェルト
状繊維体3をさらに加工して得られるものである。フェ
ルト状繊維体3中には、これを構成する各短繊維2の表
面に未硬化の樹脂として予めエポキシ樹脂が浸漬等によ
り塗布されており、このフェルト状繊維体3は、プリプ
レグマットとして構成されている。また、このフェルト
状繊維体3は、各短繊維2間の空隙が大きく、いわゆる
スポンジ状になっていて、加圧することで任意の厚みに
圧縮し得る。
【0030】前記短繊維2の表面に塗布されるエポキシ
樹脂は熱硬化形の樹脂であり、前記短繊維2相互を一体
化させた状態で固化する。
【0031】以上のフェルト状繊維体3は、回転しつつ
加圧を行うプレスローラ対4に連続的に供給され、この
プレスローラ対4によって冷間加圧されることで各短繊
維2相互がエポキシ樹脂によって結着され、一枚の繊維
シート1に成形される。成形された繊維シート1の厚み
dは前記プレスローラ対4の離間間隔にほぼ等しく、幅
寸法はほぼ元の幅寸法Hに保たれる。繊維シート1の厚
さは0.3mm以上、1mm以下のものが好ましい。厚さが
0.3mm未満の繊維シートは、これを構成する繊維それ
ぞれを毛羽立たせることが難しいため好ましいものでは
ない。他方、1mmを超えると、仕上げの際に塗布すべき
モルタルの厚さが必要以上に厚くなると共に、モルタル
と繊維シートの一体化が困難になり、好ましいものでは
ない。
【0032】そしてこの繊維シート1は、各短繊維2が
厚み方向の圧縮率に応じて空隙を有した状態で絡み合
い、この状態でエポキシ樹脂の固化により一体的に結着
されるため、図示のごとき長尺状の繊維シート1に連続
的に成形される。また、上記長尺状の繊維シート1を順
次定寸カットすることで厚み,幅,長さの揃った定尺物
の繊維シート1が得られることになる。
【0033】したがって、上述のようにして得られる繊
維シート1は、短繊維2が3次元に配向されて絡めら
れ、かつ厚み方向に圧縮された状態で樹脂で一体化され
るため、シート面と直交する厚み方向の強度も十分確保
でき、しかも層間剥離のない3次元方向に強度の高いも
のとなる。
【0034】また、上記繊維シート1のフェルト状繊維
体3は多数の短繊維2が3次元方向に絡められて形成さ
れているので、当該繊維シート1の表面はその短繊維2
の末端が起立して毛羽立ち得るものとなっている。この
ため、当該繊維シート1を、例えば板材等の建築材料に
接合して積層板として複合させたり、あるいはコンクリ
ート系材料中や石膏ボードなどの建築材料中に埋設して
複合化させると、その表面の毛羽立ちが建築材料に対す
るアンカーとして機能してメカニカルに固着されるよう
になるので、繊維シート1と建築材料との付着性が向上
されて強固に一体化されるようになる。
【0035】以上述べた繊維シート1は、毛羽立ちが確
保できれば織布であってもよいが、一般に織布は長繊維
で作られているため繊維の毛羽立ちが難しく、また高価
であるため、本実施例に使用する繊維シート1は不織布
であることが好ましい。厚さの薄い繊維シートをペーパ
ーと称することがあるが、本明細書で繊維シートという
ときはこのようなペーパーも含む。
【0036】なお、成形時における圧縮比率D/dは、
得ようとする繊維シート1の厚みや厚さ方向の要求強度
などを勘案して、適宜設定し得る。
【0037】図2は本発明に適用される繊維シート11
そのものを示したものであり、図3はその製造工程の途
中を示す図である。ここで、この繊維シート11は、上
述の繊維シート1をさらに加工することにより得られ
る。すなわち、図1(B)に示す製造工程において、フ
ェルト状繊維体3をシート状にプレス成形するときに、
そのシート面には図3に示すように多数のスリット5が
千鳥状に入れられ、爾後このスリット5に直交する幅方
向にその繊維シート11を引張ることで、図2に示すよ
うに当該繊維シート11のシート面にはこれを貫通する
多数の孔6が網目状に配列形成される。そして、このよ
うな構成でなる繊維シート11は、コンクリート躯体の
下地調整をする際のモルタル層内に埋設されて、補強材
として使用するのに特に適したものとなる。
【0038】シート面を貫通する孔は、直径1〜4mmの
ものが好ましい。直径1mm未満では孔からモルタルが流
出し難いし、4mmを超えると、特にタイル仕上げの場
合、剪断強度が低くなるためである。また孔のピッチ
は、タイル仕上げの場合の剪断強度確保の観点から、5
〜15mmが好ましい。直径約1.5mmの孔を約10mmピ
ッチで開孔した繊維シートが最も好ましい態様である。
【0039】以下に、上記繊維シート11を適用した本
発明に係る下地調整方法について、図4を参照して説明
する。図4(A)〜(C)は、コンクリート躯体7の表
面をタイル仕上げするときの施工の一例を、その作業工
程順に示した断面図である。図4(A)に示すように、
まずコンクリート躯体7の表面にはモルタル8が塗布さ
れてモルタル層が形成される。塗布すべきモルタル8と
しては、例えばポリマー,セメント,骨材を含むポリマ
ーセメント等が好ましい。この際接着を良くするため
に、コンクリート躯体7の表面にプライマーを塗布した
後、モルタル8を塗布することが好ましい。そしてこの
モルタル層8内にはこれが硬化しないうちに、図4
(B)に示すように、繊維シート11がローラー9等で
押圧されて埋設される。このとき、流動性のあるモルタ
ル8は繊維シート11中に、さらに繊維シート11の表
面に流出して、後述するモルタルの突起を作る。そし
て、繊維シート11の表面をコテ等で擦ることにより、
このモルタルの突起が平滑化される。平滑化された表面
には、繊維シート11を構成する繊維2の毛が露出する
ことになる。爾後、これを下地として図4(C)に示す
ように、タイル10が張付けられる。
【0040】モルタル8の突起の形成とそれに伴う施工
について、図5(A)〜(D)を参照してさらに詳細に
説明する。
【0041】繊維シート11は、そのシート面を貫通す
る多数の孔6を有しているので、当該繊維シート11を
モルタル8中に埋設すると、表面の毛羽立ちがアンカー
として機能してモルタル8とメカニカルに固着するばか
りか、モルタル8が繊維シート11の孔6内に入り込ん
で固化し相互に絡み合った状態となり、さらには特に、
孔6を通って繊維シート11の表面にモルタル8が流出
して、繊維シート11の表面にモルタル8の突起20を
形成することになる(図5(A)参照)。ここで、繊維
シート11は全体的には、多数の短繊維2が3次元方向
に絡められつつ相互に樹脂等で結着され、その表面は短
繊維2の末端が起立して毛羽立ち得るようになっている
ことから、当該繊維シート11は、その表面の毛羽立ち
が保たれたまま、または突起20を平滑化するためにコ
テで繊維シート11の表面が擦られることで毛羽立ちが
増加し、建築材料と複合化させるに際してはこの毛羽立
ちがアンカーとして機能して、繊維シート11は建築材
料とメカニカルに固着するようになり、それら相互の付
着性が向上されて強固に一体化するようになる。
【0042】ところで、上記突起20を積極的に作成す
るために、並びにモルタル8と繊維シート11とを密に
接触させてそれら間に存在する空気を排除しモルタル8
及び繊維シート11相互間の接着を良好にするために
は、モルタル8を塗布した後、モルタル8が硬化しない
うちに繊維シート11をモルタル8上に置き、繊維シー
ト11の表面をモルタル層8に向かってローラー9や押
し板などで押圧することが好ましい。
【0043】その後、モルタルの突起20が形成された
繊維シート11上にさらにモルタルを付与したり、ある
いは付与しないで、モルタルの突起20をコテ等で平滑
化する(図5(B)参照)。モルタル8の流動性が良い
場合や、孔径が大きい場合、あるいは孔数が多い場合に
は、繊維シート11上へのモルタル付与は省略すること
も可能である。特に、多数の針を表面に有するローラー
を用い、且つ流動性の良いモルタルを用いるときには、
このローラーにモルタルを含ませておくことで、押圧作
業と平滑化作業とを同時に行うことができる。
【0044】モルタルの突起20は1〜3mm程度の高さ
であるため、これをコテ等で平滑化するときには必然的
に繊維シート11の表面が擦られ、繊維シート11の繊
維2の末端がモルタル層8の表面から露出されて、繊維
2の毛羽立ちが確保される。この繊維2の露出のため
に、この上に施す仕上モルタル21との接着力が高くな
る(図5(C)参照)。このとき、繊維シート11上の
モルタル8の厚みを過度に厚くすると、繊維2がモルタ
ル8上に露出しないため、この上に仕上モルタル21や
タイル10等の仕上材を施す場合には、仕上材と繊維シ
ート11上のモルタル8との間の接着力は増加しなくな
ってしまう。従って、繊維シート11上のモルタル厚さ
は0.5〜5mm,好ましくは1〜3mmが適切である。も
っとも、繊維シート11上で平滑化されたモルタル8を
仕上用モルタルとしても兼用し、この上に塗装すること
で施工を完了するような場合には、繊維シート11上の
モルタル8の厚さは厚くても良い。仕上げとなるモルタ
ル8内に繊維2が入り込んでいるからである。
【0045】本発明に係る下地調整方法を施した後に表
面仕上げを施工する場合には、図5(C)及び(D)に
示すように、モルタル8、繊維シート11上にモルタル
を付与した場合にはその付与モルタルを塗布後1週間程
度放置し、将来発生するひび割れを発生させた後、仕上
モルタル21で仕上げたり、あるいは貼付モルタル22
を介してタイル仕上げをするようにすることが好まし
い。
【0046】このとき、繊維シート11の繊維2の存在
により、モルタル8及び使用した場合には付与モルタル
と仕上モルタル21との間、あるいはモルタル8及び使
用した場合には付与モルタルと貼付モルタル22及びタ
イル10との間の接着強度を高めることができる。殊に
本発明によると、モルタル8を、繊維シート11の孔6
から突出させたのち平滑化するため、モルタル8及び付
与モルタルと、仕上モルタル21や貼付モルタル22及
びタイル10との間の接着強度が高められるため、面外
剥離強度を高くすることができる。
【0047】以上の説明から明らかなように、モルタル
層8に埋設してコンクリート躯体7とタイル10等との
間に介装した繊維シート11は強力な補強材となる。そ
して、これによりデファレンシャルムーブメントの発生
に伴う応力の緩和が図れるようになり、さらに繊維シー
ト11を構成する繊維2のモルタル8からの露出が、タ
イル10等に対してアンカーとして機能することも相俟
って、タイル10や仕上モルタル21の剥脱防止に極め
て有効なものとなる。
【0048】また、本実施例に適用される繊維シート1
1は、腐食による錆の発生なども起こらないので、耐久
性に優れると共に、良好な耐火性も有する。
【0049】また、繊維シート11は、従来のように長
繊維を一方向に揃えて配向した層を多層にその方向性を
異ならせて積層する作業が不要なので、従来に比べて製
作が極めて簡単で製造コストも安価になる。さらに、繊
維系素材には短繊維2を使用しているので、長繊維を使
用した従来例に比べて、材料コスト面でも有利になる。
【0050】なお、繊維シート11のシート面に設ける
孔6は図2に示すものに限定されるものではなく、例え
ば図6(A)〜(C)に示すようにパンチング成形によ
って適宜形状の孔6を多数設けるようにしても良い。こ
の場合においても、前記実施例と同様な作用効果が得ら
れることは言うまでもない。
【0051】<実験例>実験例で本発明の効果をより明
らかにする。
【0052】ポルトランドセメント:1重量部、SBR
とEVAの混合ポリマー:0.1重量部、砂:1重量部
に、水を加えハンドミキサーで混練してモルタルを得
た。このモルタルをコンクリート表面にコテで2〜3mm
の厚さで塗布した。
【0053】厚さ0.6mmで1m×1mの大きさの抄紙
構造の炭素繊維シート(繊維はお互いにエポキシ樹脂で
結着されている。繊維太さは約13ミクロン、孔ピッチ
は表1に記載、隣の列との孔間隔5mm、その他は表1に
記載)を、塗布したモルタル上に張付けローラーで押圧
した。この押圧により、有孔の繊維シートのときは孔か
らモルタルが流出し、繊維シート上にモルタルの突起が
できた。若干のモルタルを付与するとともに、この突起
をコテで平滑化した。コテで平滑化するとき炭素繊維シ
ートの表面は必然的に擦られている。
【0054】1週間放置後、タイル貼付用モルタル(セ
メント:1重量部、砂:1.8重量部、メチルセルロー
ス:0.08重量部)を介して45mm×95mm×8mmの
タイルの貼付けをした。
【0055】4週間放置後、タイルの接着力を調べるた
め剪断強度(面内強度)と剥離強度(面外強度)を測定
した。測定結果を表1に示す。
【0056】剪断強度はタイルを面に平行に押すことに
より測定した。剥離強度はタイルの表面に治具を接着剤
で取り付けタイルを面に直角方向に引っ張ることによっ
て測定した。
【0057】
【0058】
【発明の効果】以上要するに本発明にあっては、シート
面を貫通する多数の孔を有する繊維シートを使用してい
るので、コンクリート躯体の表面に塗布したモルタルと
繊維シートとの間に介在する空気を容易に排除して、モ
ルタルと繊維シートとの接着効果を高めることができ、
またこの繊維シートをコンクリート躯体側に塗布したモ
ルタルに押圧し、これにより有孔繊維シートの表面にモ
ルタルの突起を形成して、繊維シートとモルタルとの一
体化を図ると共に、その後繊維シートの表面を擦ること
によって突起を平滑化しつつ繊維シートの表面に繊維の
毛を露出させるようにしたので、これら繊維の末端が起
立して毛羽立ち得、その毛羽立ちが仕上材に対してアン
カーとして機能してメカニカルに固着されて付着性を向
上させることができ、さらに、タイル等の仕上材により
表面仕上げをする際にコンクリート躯体側に下地を形成
するにあたって、繊維シートを強力な補強材として埋設
して下地調整することができるので、これによりデファ
レンシャルムーブメントの発生に伴う応力の緩和が図
れ、さらに上記に加えて、繊維シートは、腐食による錆
の発生なども起こらないので耐久性に優れると共に良好
な耐火性も有することとも相俟って、仕上材の剥落防止
に極めて有効なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に適用される繊維シートの製造工程の一
例を示す図である。
【図2】本発明に適用される繊維シートの一例を示す斜
視図である。
【図3】図2に示す繊維シートの製造工程の途中を示す
図である。
【図4】コンクリート躯体の表面をタイル仕上げすると
きの施工の一例を説明する図である。
【図5】本発明に係る下地調整方法におけるモルタルの
突起の形成とそれに伴う施工の一例を示す図である。
【図6】繊維シートの変形実施例を示す図である。
【符号の説明】
1,11 繊維シート 2 繊維 6 孔 7 コンクリート躯体 8 モルタル 9 ローラー 10 タイル 20 突起
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古屋 則之 東京都清瀬市下清戸4丁目640番地 株 式会社大林組技術研究所内 (72)発明者 国原 安彦 東京都清瀬市下清戸4丁目640番地 株 式会社大林組技術研究所内 (56)参考文献 実開 昭57−196727(JP,U) 実開 昭55−19792(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04F 13/00 - 13/08

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリート躯体の表面にモルタルを塗
    布し、該モルタルが硬化しないうちに、シートを構成す
    る炭素繊維やアラミド繊維などの繊維が3次元方向に絡
    められて相互に結着され且つシート面を貫通する多数の
    孔を有する繊維シートを、該モルタルに押圧して、該繊
    維シートの表面に該モルタルの突起を形成し、該繊維シ
    ートの表面を擦ることにより、該突起を平滑化しつつ該
    繊維シートの表面に該繊維シートの繊維の毛を露出させ
    るようにしたことを特徴とするコンクリート躯体の表面
    仕上用の下地調整方法。
  2. 【請求項2】 上記突起の平滑化に先立ち又は同時に上
    記繊維シート上に更にモルタルを付与して該突起を平滑
    化するようにしたことを特徴とする請求項1記載の下地
    調整方法。
  3. 【請求項3】 上記繊維シートの表面をローラー、押し
    板等で押圧して該繊維シートと上記モルタルとを密に接
    触させた後、コテ等で該繊維シートの表面に形成された
    上記突起を平滑化することを特徴とする請求項1または
    2いずれかの項に記載の下地調整方法。
  4. 【請求項4】 上記モルタルが、ポリマー,セメント,
    骨材を含むポリマーセメントであることを特徴とする請
    求項1〜3いずれかの項に記載の下地調整方法。
  5. 【請求項5】 上記繊維シートの厚さが1mm以下の不織
    布であることを特徴とする請求項1〜4いずれかの項に
    記載の下地調整方法。
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