JP3027387B2 - 高輝度薄膜エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法 - Google Patents

高輝度薄膜エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法

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JP3027387B2
JP3027387B2 JP2-61131A JP6113190A JP3027387B2 JP 3027387 B2 JP3027387 B2 JP 3027387B2 JP 6113190 A JP6113190 A JP 6113190A JP 3027387 B2 JP3027387 B2 JP 3027387B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明ほ電界の印加に応じて発光を示すエレクトロル
ミネッセンス素子(以下、“EL素子”と略記する)及び
その製造方法に関するものである。
[従来の技術] ZnSやZnSe等の化合物半導体にMn等の発光中心を添加
したものに高電圧を印加することで発光するエレクトロ
ルミネッセンスの現象は古くから知られている。近年、
2重絶縁層型EL素子の開発(エス・アイ・ディ、74、ダ
イジェスト・オブ・テクニイカル・ペーパーズ、84頁、
1974年;SID 74 Digest of Technical Papers 1974、ジ
ャーナル・オブ・エレクトロケミカル・ソサエティ、11
4巻、1066頁、1967年;Journal of Electrochemical Soc
iety、114,1066,1967)により、輝度及び寿命が飛躍的
に向上し、薄膜EL素子は薄型ディスプレイに応用される
ようになり市販されるまでになった。
EL素子の発光色は、発光層を構成する半導体母体と添
加される発光中心の組合せで決まる。例えばZnS母体に
発光中心としてMnを添加すると黄橙色や、又、Tbを添加
すると緑色のエレクトロルミネッセンス発光(以下“EL
発光”と略記する)が得られる。
ところで、フルカラーの薄膜ディスプレスをEL素子を
用いて作製する場合、赤、青、緑の3原色を発光するEL
素子が必要であり、各色を高輝度に発光するEL素子の開
発が精力的に進められている。これらの3原色のうち、
青色についてはZnSにTmをドープしたZnS:Tm発光層やSrS
にCeをドープしたSrS:Ce発光層で青色EL発光が得られる
ことが知られている(特公昭63−46117号公報、小林洋
志他、テレビジョン学会誌、40巻、991頁、1986年)。
しかしながら、これらのEL素子は輝度が不十分である
という問題点を有する。中でも青色EL素子は特に低輝度
である。SrS:Ce発光層を有する素子は電子ビーム蒸着法
で作製しH2S雰囲気中、600℃で30分間アニールする方法
で駆動周波数2.5KHzで約100フートランバート(350cd/c
m2)の輝度が得られた(特公昭63−46117号公報)。そ
の後、SrSを電子ビーム蒸着する際に硫黄を共蒸着する
方法で駆動周波数5KHzで最高輝度1600cd/m2が達成さ
れ、この値がいままでの最高の輝度であった。(エス・
アイ・デイ,86 ダイジェスト・オブ・ペーパーズ,29
頁、1986年;SID 86 Digest of Technical Papers P29,1
986)。
しかし、この値も実用レベルからは、はるかに低く高
輝度発光を示すEL素子を製造するための条件が数多く検
討されている。例えば、MBE(モレキュラー・ビーム・
エピタキシャル)法やMOCVD(有機金属ガス気相成長)
法を用いて高結晶性の発光層を製造する方法などが知ら
れている。これらの方法によりZnS:Mn発光層を有する黄
橙色発光を示すEL素子では、かなり効果を得ているが、
青色を示すSrS:Ce発光層では顕著な効果は得られていな
い。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は薄膜ディスプレイを作製するのに十分な輝度
を有する薄膜EL素子及びその製造方法を提供して従来技
術の上記問題点を解消しようとするものである。
[課題を解決するための手段] かかる状況下において、本発明者等は、高輝度発光を
示すSrS素子の製造方法について鋭意検討した。本発明
者等は発光層を硫化性ガスで加熱処理する方法について
詳細に検討した結果、温度が650℃未満の場合や熱処理
時間が1時間未満の場合には、特公昭63−46117号公報
に記載されているように高輝度発光はしないが、加熱温
度を650℃以上にし、かつ、時間を1時間以上とするこ
とで第1図に示すように、本発明の素子の励起スペクト
ルに特有なピークが出現し、それにともなって輝度が急
激に増加することを見いだし、本発明をなすにいたっ
た。
すなわち、本発明はSrSを母材とする発光層を有し、
その両側を絶縁層で覆った二重絶縁層型薄膜EL素子にお
いて、該発光層の励起スペクトルが350nmから370nmの間
に極大値をもつピークを有し、この発光層のX線回折の
(220)面及び、又は(200)面の半値幅が、それぞれ0.
5度、0.4度以下である薄膜EL素子及びその製造方法、す
なわち、SrS母材に発光中心をドープした発光層を有す
る薄膜EL素子の製造方法において、下記の各工程を有す
るものである。
(a)基板上に電圧印加用の導電性の薄膜電極をつけ
る。
(b)導電性薄膜電極上に電気絶縁層をつける。
(c)上記絶縁性薄膜上にSrSを母材とし発光中心が付
与された発光層薄膜をつける。
(d)基板上に発光層まで順次成膜したものを、650℃
以上の温度で1時間以上、濃度0.1〜100mol%の硫化性
ガス雰囲気中でアニールする。
(e)アニールの後、発光層の上に電気絶縁層をつけ
る。
(f)絶縁性薄膜の上に電圧印加用の導電性の薄膜電極
をつける。ただし、上記(a)及びこの(f)項の薄膜
電極のうち一つは透明電極である。
本発明でいう励起スペクトルとは、発光層フォトルミ
ネッセンスの励起スペクトルのことであり、フォトルミ
ネッセンスのピーク波長をモニター光として励起波長を
変化させたときのモニターの光の強度を記録したスペク
トルである。
第1図に従来のSrS:Ce素子と本発明のSrS:Ce素子の励
起スペクトルを示す。従来の素子はエネルギーギャップ
に相当する270nmのピークとセリウムの励起エネルギー
に相当する440nmにピーク持つ。しかし、本発明の素子
はそれらのピーク以外に、360nm付近にもピークを有す
る。励起スペクトルのピーク波長は作製条件により多少
異なり、好ましくは350nmから370nmにピークを有するも
の、更に好ましくは355nmから365nmにピークを有するも
のである。
本発明の条件で硫化性ガス中で加熱処理した発光層の
励起スペクトルは、360nm付近にピークを持つことか
ら、価電子帯の上3.4evの位置あるいはバンドギャップ
中に3.4eVの間隔で電子トラップレベルを有している
(以下、“トラップレベル”と記す)。このトラップレ
ベルの存在により輝度が増加する原因の詳細は不明であ
るが、トラップレベルはCe3+の励起レベルとエネルギー
的に近い位置に存在し、励起レベルとトラップレベルが
相互作用することで、無輻射遷移で失活する割合が減少
し、発光効率が増加したものと推定される。360nm付近
のピークはアルゴン中の加熱処理や、又、硫化性ガス中
の加熱処理でも、650℃以下、1時間以下の加熱処理で
は出現せず、高輝度発光は示さない。
又、硫化性ガス中で加熱処理することにより、S欠陥
が少ない結晶性の高いSrS膜が得られ、x線回折の(22
0)又は(200)ピークの半値幅はそれぞれ、角度0.5度
以下、0.4度以下になる。
本発明のSrS:CeEL素子は最高輝度10000cd/m2(5KHz)
という、従来の6倍以上という驚くべき高輝度を示し、
発光開始電圧も真空中又は不活性ガス中で加熱処理した
素子に比べて100Vも低電圧にシフトするという想像を絶
する効果が得られた。本発明のSrS:CeEL素子の発光色は
アルゴン中で加熱処理した従来の素子よりも緑がかって
いる。発光スペクトルの測定から従来の素子の発光色よ
りも10〜20nm程度、超波長にシフトしていることがわか
った。しかし、発光色は発光中心濃度、KCl等の電荷補
償剤濃度、加熱処理時の硫化性ガスの濃度に関係してお
り、これらの条件を変えることによって従来の青色(47
5nm)の発光色を得ることもできる。電荷補償材とはCe
等の3価の発光中心を2価SrS母材中に添加する際に、
その電荷を補償するために添加するものであり、これに
より輝度は電荷補償材を添加しない場合よりも高くな
る。
SrS:Ce発光層の形成方法は特に限定されず、電子ビー
ム(EB)蒸着法、硫黄共蒸着を行うEB蒸着法、MBE法、
スパッタ法、MOCVD法など多くの方法が選択できる。中
でも、硫化水素雰囲気中でのスパッタ法や硫黄雰囲気下
のEB蒸着法は高輝度を示す素子が得られるので好まし
い。スパッタ法で作製した膜はトラップレベルが形成さ
れ易く特に好ましい。
本法で作製したSrS発光層をESCAで分折したところ格
子間に硫黄元素が存在するのが確認され、トラップレベ
ルはこの格子間にはいった硫黄元素が原因して形成され
るものと推定される。
更に、硫化性ガス中での加熱処理により、高輝度を示
すEL素子が得られる理由としては、硫化性ガスは発光層
中及び加熱雰囲気中に微量存在する酸素ガスを除去する
効果もあると推定される。
SrS:Ce発光層中に微量存在する酸素は輝度低下の原因
になると指摘され[ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・
アプライド フィジィックス,27巻、L1923頁、1988年;J
APANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS,27,L,1923(198
8)]、微量酸素を除く方法が望まれていた。本発明法
は、微量酸素を除く効果も有し、SrS:Ce発光層系におい
て、特に大きな輝度向上効果が得られるものと推定され
る。
本発明のSrS発光層中にドープされる発光中心として
は特に限定されないが、Ce、Eu、Pr、Tb、Tm、Sm、Nd、
Dy、Ho、Er、Mn、Cu等から選ばれる1種又は2種以上を
挙げることができる。中でもCeを発光中心として含む場
合が高輝度発光を示すために好ましい。発光中心は金属
で添加しても化合物で添加してもかまわない。例えばCe
の場合はCe、CeF3、CeCl3、CeI3、CeBr3、Ce2S3、Euの
場合は、Eu、EuF3、EuCl3、EuI3、EuBr3、Eu2S3、Prの
場合はPr、PrF3、PrCl3、PrI3、PrBr3、Pr2S3、Tmの場
合はTm、TmF3、TmCl3、TmI3、TmBr3、Tm2S3、Smの場合
はSm、SmF3、SmCl3、SmI3、SmBr3、Sm2S3、Ndの場合はN
d、NdF3、NdCl3、NdI3、NdBr3、Nd2S3、Dyの場合はDy、
DyF3、DyCl3、DyI3、DyBr3、Dy2S3、Hoの場合はHo、HoF
3、HoCl3、HoI3、HoBr3、Ho2S3、Erの場合はEr、ErF3
ErCl3、ErI3、ErBr3、Er2S3、Mnの場合はMn、MnF2、MnC
l2、MnI2、MnBr2、MnS、Cuの場合はCu、CuF、CuF2、CuC
l、CuCl2、CuI、CuI2、CuBr、CuBr2、Cu2S、CuSが挙げ
られる。発光中心の濃度は特に限定されないが、あまり
少ないと発光輝度が上がらず、又、あまり多すぎると発
光層の結晶性が悪くなったり、濃度消光が起こって輝度
が上がらない。好ましくは母材に対して0.01〜5mol%、
より好ましくは0.05〜2mol%の範囲である。
本発明のSrS発光層では、電荷補償材を添加した方が
添加しない場合と比べて高輝度に発光する。電荷補償材
の濃度としては、特に限定されないが、好ましくは母体
に対して0.01〜5mol%、より好ましくは0.05〜2mol%の
範囲である。
硫化性ガスとしては、特に限定されないが、硫化水
素、二硫化炭素、硫黄蒸気、エチルメルカプタン、メル
カプタン等のメルカプタン類を挙げることができる。中
でも、硫化水素ガスは輝度向上の効果が大きく好まし
い。これは硫化水素が一部加熱分解して発生する水素
に、微量酸素を除去する大きな効果があるためではない
かと推定される。
加熱処理温度は好ましくは650℃以上850℃以下であ
る。650℃未満では硫化性ガスの効果が小さく、真空中
又は不活性ガス中で加熱処理した素子と比較して若干高
輝度となる程度である。硫化性ガスの効果は650℃以
上、特に700℃以上で著しい。850℃を越えると透明電極
の劣化や絶縁耐圧の低下があり好ましくない。
本発明の素子を得るには、加熱処理を行う時間が1時
間以上必要である。第2図に加熱温度700℃、H2S濃度10
mol%の時の輝度(5KHz、sin波駆動)と加熱時間の関係
を示すが、1時間以上で輝度は急激に増加する。適当な
加熱処理時間は加熱温度により異なるが、2時間以上が
好ましく、3時間以上では更に好ましい。24時間以上の
加熱を行なっても輝度は飽和してそれ以上の大きな効果
はない。
硫化性ガスの濃度としては、0.1〜100mol%、より好
ましくは0.1〜30mol%である。希釈ガスとしてはAr、He
等の不活性ガスが用いられる。硫化性ガス濃度が0.1mol
%以下では効果が小さい。30mol%以上にしても効果は
飽和する傾向にある。
本発明において基板は特に限定されないが耐熱性のあ
るガラス、石英、金属、半導体を用いる。透明でない基
板を用いる場合は最上部にITO電極のごとき透明電極を
用いなければならない。
本発明において、例えばガラス基板又は石英基板上に
インジウム・スズ酸化物(ITOと略記する)電極を形成
し、その上に絶縁層、硫化物を主成分とする発光層を形
成し、ついで、硫化性ガスの雰囲気中で加熱処理を行う
と、上に絶縁層と硫化物発光層が形成されていない、露
出したITO電極は硫化性ガスとの接触により絶縁体とな
り、素子に電圧を添加するのが不可能となる。本発明者
らも、当初この現象により、硫化性ガス雰囲気中での加
熱処理は不可能と考えたが、絶縁層と硫化物発光層で覆
われたITO電極は導電性を維持していることを見出し、
加熱処理後に、絶縁層と硫化物発光層を一部分剥離し、
ITO電極を露出させ、この部分に電圧印加用のリード線
を接続することで、EL素子を作製する方法を開発した。
又、露出したITO電極部分だけをPt、Au、又はMoSi2、Mo
2Si3などのモリブデンシリサイド、WSi2、W2Si3などの
タングステンシリサイド等の硫化性ガスの浸透を防止す
る導電層でカバーする方法でも素子を作製できる。硫化
性ガスに対して耐性を有する電極上に絶縁層及び発光層
を形成し、硫化性ガス雰囲気中での加熱処理後に、最上
部にITO電極を形成する構造のEL素子では、このような
工夫は必要ない。
本発明のEL素子に用いられる絶縁層としては特に限定
されない。例えば、SiO2、Y2O3、TiO2、Al2O3、HfO2、T
a2O5、BaTa2O5、SrTiO3、PbTiO3、Si3N4、ZrO2等やこれ
らの混合膜又は2種以上の積層膜を挙げることができ
る。絶縁層の膜厚は特に限定されないが、好ましくは50
0〜30000Åの範囲であり、より好ましくは1000〜15000
Åの範囲である。
絶縁層と発光層の間には、成膜時、加熱処理時に両者
の反応を防ぐためにバッファー層を用いることが好まし
い。バッファー層としては特に限定されないが、金属硫
化物層、中でもZnS、CdS、SrS、CaS、BaS、CuS等が挙げ
られる。バッファー層の膜厚は特に限定されないが100
〜10000Åの範囲であり、より好ましくは500〜3000Åの
範囲である。
本発明において、発光層の膜厚は特に限定されない
が、薄すぎると発光輝度が低く、厚すぎると発光開始電
圧が高くなるため、好ましくは500〜30000Åの範囲であ
り、より好ましくは1000〜15000Åの範囲である。
[実施例] 以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1及び比較例1 反応性スパッタ法により、ガラス基板上(HOYA株式会
社製、NA−40)に厚さ約1000ÅのITO電極を形成した。
更にTaターゲット、及びSiO2ターゲットを用いて、酸
素30%、アルゴン70%の混合ガスを導入して反応性スパ
ッタ蒸着を行い、厚さ4000ÅのTa2O5と厚さ1000ÅのSiO
2を順次形成し絶縁層とした。
続いてZnSターゲットを用いてアルゴンガス中のスパ
ッタ蒸着により厚さ約1000ÅのZnS薄膜を作製した。そ
の後SrSとSrSに対して0.3mol%のCeF3及びKOlを混合し
た粉末をターゲットに用い、2mol%の硫化水素を含むAr
ガスを30mTorrの圧力で導入して、基板温度250℃でスパ
ッタ蒸着を行い、厚さ約6000ÅのSrS:Ce膜を作製した。
このようにして得られた膜を硫化水素を10mol%含むA
rガス中、720℃で4時間加熱処理した。
このSrS:Ce膜は第3図にX線回折パターンを示すが
(220)面に配向しており、回折ピーク強度はArのみの
加熱処理と比較すると著しく強くなっている。又、(22
0)ピークの半値幅は0.4度である。発光層の励起スペク
トルには360nmにピークがみられる。
励起スペクトルの測定には日立製作所製、螢光光度計
(Fluorescence spectrophotometer F−3000)を用い
て、発光層のフォトルミネッセンスのピーク波長をモニ
ター光として励起波長を変化させたときのモニター光の
発光強度を測定した。
次に、再びスパッタ法により厚さ約1000ÅのZnS及びS
iO2と厚さ4000ÅのTa2O5を順次形成し絶縁層とした。
次に、Alを真空蒸着して上部電極とした。下部電極は
発光層及び絶縁層の一部を剥離させてITO電極を露出
し、これを用いた。
第4図中のaは輝度電圧曲線を示す。硫化水素中で加
熱処理した素子の最高輝度は、5KHz、sin波駆動で、100
00cd/m2に達し、従来の最高値の6倍以上の輝度を示し
た。比較のために、加熱処理をAr中で行い、他は実施例
1と同様にして作製した素子の輝度電圧曲線を第4図中
のbとして示すが、最高輝度は500cd/m2で発光開始電圧
は約100V高電圧にシフトしている。比較例の発光層の励
起スペクトルには360nm付近のピークは存在しない。
比較例2 加熱処理を、H2Sを5%含むN2ガス中、600℃で30分行
なったこと以外は実施例1と同様にして素子を作製し
た。本素子の発光層の励起スペクトルには360nm付近の
ピークは存在しなかった。素子の最高輝度は5KHz、sin
波駆動で200cd/m2であった。
実施例2 素子を作製する際のSrS発光層の両側のZnS層を除いた
こと以外は実施例1と同様にしてSrS:Ce素子を作製し
た。本素子の発光層の励起スペクトルには360nmピーク
がみられた。この素子は最大輝度9000cd/m2(5KHz、sin
波駆動)を示した。
実施例3 素子を作製する際のSrS発光層の両側のZnS層をSrSに
変えたこと以外は実施例1と同様にしてSrS:Ce素子を作
製した。本素子の発光層の励起スペクトルには361nmピ
ークがみられた。この素子は最大輝度12000cd/m2(5KH
z、sin波駆動)を示した。
実施例4 発光層を作製する際のスパッタガスをArガスとした以
外は実施例1と同様にしてSrS:Ce素子を作製した。この
SrS:Ce膜は第5図に示すように(200)に配向してお
り、(200)ピークの半値幅は0.3度であり。(220)ピ
ークの半値幅は0.4度である。発光層の励起スペクトル
には358nmに特徴的ピークを持つ。この素子は最大輝度1
2000cd/m2(5kHz、sin波駆動)を示した。
実施例5〜14及び比較例3〜5 加熱処理温度と加熱処理時の硫化水素濃度を表1に示
すように変化させた以外は実施例1と同様にして薄膜EL
素子を得た。発光輝度測定結果を第1表に示す。
実施例15 硫化物発光層としてSrS中に0.3mol%のCeF3とPrF3とK
Clを添加した、粉末ターゲットを用いたスパッタ法で作
製したSrS:Ce、Prを使用する以外はすべて実施例1と同
様にしてSrS:Ce、Pr薄膜EL素子を作製した。この素子の
発光層の励起スペクトルは355nmにピークを有する。こ
の素子は最大輝度12000cd/m2(5kHz、sin波駆動)を示
した。
実施例16 硫化物発光層としてSrS中に0.3mol%のCeF3とKCl及び
0.02mol%のEuF3を添加した粉末ターゲットを用いたス
パッタ法で作製したSrS:Ce、Euを使用する以外はすべて
実施例1と同様にしてSrS:Ce、Eu薄膜EL素子を作製し
た。この素子の発光層の励起スペクトルは365nmにピー
クを有する。この素子は最大輝度7000cd/m2(5kHz、sin
波駆動)を示した。
実施例17 硫化性ガスが二硫化炭素を1mol%含むArガス中で温度
680℃で加熱処理したこと以外は実施例1と同様にしてS
rS:Ce素子を作製した。この素子は最大輝度3500cd/m
2(5khz、sin波駆動)を示した。
実施例18 硫化物発光層としてSrS中に0.3mol%のSmF3とKClを添
加した粉末ターゲットを用いたスパッタ法で作製したSr
S:Smを使用する以外はすべて実施例1と同様にしてSrS:
Sm薄膜EL素子を作製した。この素子の発光層の励起スペ
クトルは359nmにピークを有する。この素子は最大輝度4
00cd/m2(5kHz、sin波駆動)を示した。
実施例19〜25 SrS中の発光中心を第2表に示すように変化させた以
外は、実施例1と同様にして薄膜EL素子を得た。発光輝
度測定結果を第2表に示す。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明によれば、従来の製法の
EL素子に比べて高輝度であり、かつ発光開始電圧の低い
EL素子を作製できる。本発明の方法により作製した、Sr
S:Ce素子は、最高輝度10000cd/m2(5KHz)以上を示し、
この青色素子を用いることにより、フルカラーのELディ
スプレスを作製することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明素子と従来素子の励起スペクトル、 第2図はSrS:Ce素子の輝度と加熱処理時間との関係を示
すグラフ、 第3図は本発明実施例1のSrS:Ce発光層のX線回折パタ
ーン、 第4図中のaは本発明の実施例1のSrS:Ce素子の輝度−
電圧特性を示し、第4図中のbは比較例1のSrS:Ce素子
の輝度−電圧特性を示すグラフ、 第5図は本発明実施例4のSrS:Ce発光層のX線回折パタ
ーンを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−272093(JP,A) 特開 昭63−236294(JP,A) 特開 平3−167783(JP,A) 特開 平1−231293(JP,A) 特開 平3−46790(JP,A) 特開 平3−225793(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 33/00 - 33/28

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】SrS母材に発光中心をドープした発行層の
    両側を絶縁薄膜ではさみ、更にその両側を少なくとも一
    方が光透過性の電極ではさんだ構造を有するエレクトロ
    ルミネッセンス素子において該発光層の励起スペクトル
    に350nmから370nmの間に極大値をつピークを有し、該発
    光層のX線回折の(220)面及び、又は(200)面の半値
    幅が、それぞれ0.5度、0.4度以下であることを特徴とす
    る薄膜エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 【請求項2】発光層が、濃度0.1〜100mol%の硫化性ガ
    ス雰囲気中、650℃以上の温度で、1時間以上加熱処理
    することにより作製されたものであることを特徴とする
    請求項(1)記載の薄膜エレクトロルミネッセンス素
    子。
  3. 【請求項3】SrSを母体とする発光層が硫化性ガスある
    いはアルゴンガス雰囲気中でのスパッタ法により作製さ
    れたものであることを特徴とする請求項(1)記載の薄
    膜エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 【請求項4】SrS母材に発光中心をドープした発光層を
    有する薄膜エレクトロルミネッセンス素子の製法におい
    て、以下に記載する(a)から(f)の製造工程を有す
    ることを特徴とする薄膜エレクトロルミネッセンス素子
    の製造方法。 (a)基板上に電圧印加用の導電性の薄膜電極をつけ
    る。 (b)導電性薄膜電極上に電気絶縁層をつける。 (c)上記絶縁性薄膜上にSrSを母材とし発光中心が付
    与された発光層薄膜をつける。 (d)基板上に発光層まで順次成膜したものを、650℃
    以上の温度で1時間以上、濃度0.1〜100mol%の硫化性
    ガス雰囲気中でアニールする。 (e)アニールの後、発光層の上に電気絶縁層をつけ
    る。 (f)絶縁性薄膜の上に電圧印加用の導電性の薄膜電極
    をつける。ただし、上記(a)及びこの(f)項の薄膜
    電極のうち一つは透明電極である。
  5. 【請求項5】上記請求項(4)記載のエレクトロルミネ
    ッセンス素子の製造方法において、(b)工程と(c)
    工程の間及び、又は(d)工程と(e)工程の間に金属
    硫化物層をつける工程を有することを特徴とする薄膜エ
    レクトロルミネッセンス素子の製造方法。
JP2-61131A 1989-12-26 1990-03-14 高輝度薄膜エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法 Expired - Lifetime JP3027387B2 (ja)

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