JP3027050B2 - ゴルフボール - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は塗装ゴルフボール、特に
ペイントの傷や剥離が生じてもそれら欠陥が目立たない
塗装ゴルフボールに関する。

【０００２】

【従来の技術】ゴルフボールはゴルフクラブ、特にショ
ートアイアンで打たれた時クラブフェースについた溝に
より、ボール表面が傷つき、それに伴いペイント層が剥
離したりする。

【０００３】従来よりペイントが剥離した際、目立たな
くするためにカバーの色調とペイントの色調を同一にす
る様に試みられてきた。確かに、カバー、ペイント層共
に増白剤を配合する組み合わせでは、カバーとペイント
の色調を合わせることでペイントが剥離した際の傷付き
を目立たなくすることは可能であった。しかし、カバー
に増白剤を配合した系では、紫外線による変色度合を大
きくし、好ましくない。

【０００４】そこで、カバーに増白剤を配合せずにペイ
ント層のみに増白剤を配合したボールが主流となってき
たが、これらのボールにおいてはカバーとペイント層の
色調を合わせても、カバー／ペイント共に増白剤を配合
した系と比較すると非常に傷付きが目立ち、改良が望ま
れていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明はゴルフボール
のカバー中に蛍光増白剤を含まない場合に、傷やペイン
トの剥離がおきてもその欠陥が目立たない塗装ゴルフボ
ールを提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】即ち、本発明はアイオノ
マーカバーのゴルフボールとその上のペイント層からな
る塗装ゴルフボールにおいて、アイオノマー樹脂カバー
が蛍光増白剤を実質上含まず、ペイント塗装後の白度を
表わすＷcieが１１０〜１２５の間にあり、かつ緑みを
表わすＴwが４〜６.５の間にあり、かつカバーのＷcie
(Ｃw)、Ｔw(Ｃ_T)、及びペイント塗装後のＷcie(Ｐw)、
Ｔw(Ｐ_T)との間に ４≦Ｐw−Ｃw≦１２ ０＜Ｃ_T−Ｐ_T≦１.２ が成り立つことを特徴とする塗装ゴルフボールを提供す
る。

【０００７】本発明のゴルフボール本体はアイオノマー
樹脂カバーが施されている。アイオノマー樹脂は市販の
いかなるものを用いてもよいが、デュポン社からサーリ
ンの商標で売られているものが好適である。カバー中に
は必要に応じて顔料、例えば酸化チタンや硫酸バリウム
をアイオノマー樹脂に対０.５〜１０重量％配合する。

【０００８】本発明ではこのアイオノマー樹脂カバー中
に実質上蛍光増白剤を含まない。「実質上含まない」とは
微量の蛍光増白剤を含んでもよいが、その機能を十分に
果たす程の量で含まないことを意味する。

【０００９】本発明のゴルフボール上には、顔料分１２
重量％以下のエナメル塗料またはクリヤー塗料を塗装す
る。エナメル、クリヤー塗料共にウレタン系、アクリル
系、エポキシ系が例示される。また、塗料としては、溶
剤タイプまたは水系塗料の何れでもよい。色調はカバ
ー、ペイント共に通常酸化チタンおよび適当な有機・無
機顔料を組み合わせて調色する。主な有機顔料は不溶性
アゾ系、縮合アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン
系、ジオキサジン系、無機顔料としてはケイ酸塩、フェ
ロシアン化物、リン酸塩等が用いられ、適宜組み合わせ
る。その量は、樹脂分に対して０.０００１〜０.５％が
好ましい。このペイント中は蛍光増白剤を通常含む。増
白剤としてはＵＶＩＴＥＸ ＯＢ(チバガイギー社製)ま
たはホワイトフロー(住友化学社製)が用いられ、その量
は樹脂分に対し０.０１〜１.０重量％が好ましい。

【００１０】本発明では、ペイント塗装後の白さを表わ
すＷcieが１１０〜１２５の間にあり、かつ緑みを表わ
すＴwが４〜６.５の間にあり、かつカバーのＷcie(Ｃ
w)、Ｔw(Ｃ_T)およびペイント塗装後のＷcie(Ｐw)、Ｔw
(Ｐ_T)との間に ４≦Ｐw−Ｃw≦１２ ０＜Ｃ_T−Ｐ_T≦１.２ を満足する。ここにおいて、ＷcieおよびＴwはＣＩＥ・
ＩＳＯの白色度(ＩＳＯ１０５−Ｊ０１: １９８７(Ｅ)
に基づく、以下の式; Ｗcie＝Ｙ＋８００(Ｘ₀−x)＋１７００(Ｙ₀−y) Ｔw＝１０００(Ｘ₀−x)−６５０(Ｙ₀−y) (式中、Ｘ₀およびＹ₀はＤ₆₅照明の完全拡販面の色度座
標であり、Ｘ₀＝０.３１２７、Ｙ₀＝０.３２９１であ
る。)が求められる。この値が上記範囲外であると、傷
や剥離が非常に目立つようになる。クレームされた範囲
の意味するところは、つまり、ペイント層の白さＷcie
の値をカバー層のＷcieより適度の範囲で大きくし、緑
みについてはカバー層がペイント層より適度の範囲で大
きくなる様にすることで傷付きを目立たなくすることを
可能にした。

【００１１】ペイント塗装後の色調で黄−青味を表わす
ｂ＊の値が−５.０以下、−１０.０以上である方が好ま
しい。−５.０より大きいと、ボールが黄味を帯び又−
１０.０より小さいと青味が強すぎてゴルフボールの外
観品質としては不適当である。

【００１２】Ｌ＊a＊b＊色差はＪＩＳ Ｚ８７０１又は
ＪＩＳ Ｚ８７２８に規定する三刺激値Ｘ、Ｙ、Ｚを用
いて次式のように換算される。

【００１３】

【数１】

【００１４】[式中、Ｘn、Ｙn、Ｚn:完全拡散反射面の
ＸＹＺ系における三刺激値を示す。]

【００１５】上記式によりＬ＊は明度を、a＊b＊は色彩
を表わし、特にa＊は赤−緑方向、b＊は黄−青方向が表
わされる。またＬ＊は大きくなると、明るく、a＊は大
きくなると赤く、b＊は大きくなると黄を示す。

【００１６】本発明では、Ｌ＊a＊b＊色差は色彩色差計
(ミノルタカメラ株式会社から市販のＣＲ−２２１)を使
用して測定する。

【００１７】これらの色調のコントロールは顔料の種
類、配合量、カバーやペイントの種類などにより、なし
得る。

【００１８】

【発明の効果】本発明によれば、カバー色調とペイント
塗装後の色調を適切な範囲でコントロールし組み合わす
ことで、外観上も好まれる白さであり。かつ耐候変色も
少なく、傷付き後もほとんど傷が目立たなく良好であ
る。

【００１９】

【実施例】本発明を実施例により更に詳細に説明する。
本発明はこれら実施例に限定されていない。

【００２０】実施例１〜６および比較例１〜６ アイオノマー樹脂をカバー(サーリン／ＴiＯ₂＝９８:
２:重量比)として用いるツーピースゴルフボールに表−
１に示す塗装形態で表−１に示す塗料を用いて塗装し
た。得られたボールの外観、耐候後の変色、傷付き後の
目立ち易さを評価し、結果を表−１に示す。

【００２１】

【テスト方法】

(１)色調測定 ミノルタ色彩色差計ＣＲ２２１(２度視野、３mmφ、光
源Ｄ₆₅)Ｙ x y 測定にて

【ＣＩＥ・ＩＳＯの白色度式】

Ｗcie＝Ｙ＊８００(Ｘ₀−x)＋１７００(Ｙ₀−y) Ｔw＝１０００(Ｘ₀−x)−６５０(Ｙ₀−y) (Ｘ₀、Ｙ₀はＤ₆₅照明の完全拡散面の色度座標 Ｘ₀＝０.３１２７ Ｙ₀＝０.３２９１)

【００２２】(２) 耐候後の変色 サナシャイン・ウェザオメーターで１２０時間処理後、
色差計で処理前後のＬ＊、a＊、b＊値からΔＬ＊、Δa
＊、Δb＊、ΔＥ＊を求め、また、目視観察(n＝１２個)
とから判定した。○は変色度合が非常に少なく、良好で
あること、×は変色度合が大きく、不良であることを示
す。

【００２３】(３) 傷付き後の目立ち易さ サンドウェッジにてプロにて実射(n＝１２個、１個当り
の実射)(ヘッドスピード約３０m／s)後の外観判定 ○−ほとんど目立たない ×−目立つ

【００２４】

【表１】

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平１−158976（ＪＰ，Ａ) 特開 昭64−70086（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−227283（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−309980（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A63B 37/00 A63B 45/00

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 アイオノマーカバーのゴルフボールとそ
   の上のペイント層からなる塗装ゴルフボールにおいて、
   アイオノマー樹脂カバーが蛍光増白剤を実質上含まず、
   ペイント塗装後の白度を表わすＷcieが１１０〜１２５
   の間にあり、かつ緑みを表わすＴwが４〜６.５の間にあ
   り、かつカバーのＷcie(Ｃw)、Ｔw(Ｃ_T)、及びペイント
   塗装後のＷcie(Ｐw)、Ｔw(Ｐ_T)との間に ４≦Ｐw−Ｃw≦１２ ０＜Ｃ_T−Ｐ_T≦１.２ が成り立つことを特徴とする塗装ゴルフボール。