JP3025310B2 - ダンボールニット、それからなる成形品およびマウスパッド - Google Patents

ダンボールニット、それからなる成形品およびマウスパッド

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JP3025310B2
JP3025310B2 JP8535550A JP53555096A JP3025310B2 JP 3025310 B2 JP3025310 B2 JP 3025310B2 JP 8535550 A JP8535550 A JP 8535550A JP 53555096 A JP53555096 A JP 53555096A JP 3025310 B2 JP3025310 B2 JP 3025310B2
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義勝 水上
利英 富川
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鐘紡株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、ダンボールニット、それからなる成形品お
よびマウスパッドに関する。さらに詳しくは、たとえば
衣料、防寒具、カーテン、ブラインドなどの断熱材;ア
ンダーカーペット、カーペット、テーブル敷、コースタ
ー、シートマット、ドア材、シート材、天井材などの自
動車、船舶、航空機などの内装材、ヘルメットの内張
り、マウスパッド、ケーブル用ゴム引きテープ、メディ
カルテープなどのクッション材;ブラジャーカップ、帽
子、プロテクター、芯材、ゲス、ケース、靴、バッグ、
グラブ、自転車用サドル、ベッドカバーなどの成形品に
好適に使用しうるダンボールニット、それからなる成形
品およびコンピュータなどに用いられるマウスの操作に
用いられるマウスパッドに関する。
背景技術 従来、ダンボールニットは、種々の分野で用いられて
いる。該ダンボールニットに用いられる表地と裏地とを
接合するつなぎ糸には、通常の加工糸が用いられること
が多い。これらのダンボールニットは、主として衣類の
裏地に用いられ、クッション性と断熱性とを付与する性
質を有する。
また、つなぎ糸に熱融着繊維が用いられたダンボール
ニットとしては、たとえば特開平4−240252号公報に記
載された、たとえばブラジャーカップなどの編布成形体
が知られている。これは、編布の伸縮性と熱融着繊維の
成形性とを利用した成形体である。
一般に、このような成形体を自動車用シートなどの縫
製品として用いるばあいには、縫目強度が大きいことが
必要条件となる。しかしながら、特別問題視されていな
い編地の前記編布成形体は、充分な縫目強度を保持する
ことができない。したがって、かかる編布成形体を自動
車用シートなどの縫製品として好適に用いることが困難
である。
一方、前記編布成形体と同様の製品として、ツーウェ
イトリコットの三層構造編物がすでに市販されている。
かかる三層構造編物には、大きな弾性率によってクッシ
ョン性を向上させるために、つなぎ糸としてモノフィラ
メントが用いられ、またトリコットでありながら縦横に
伸縮性を付与するために、スパンデックスが用いられて
いる。したがって、前記三層構造編物には、高価である
という欠点がある。
通常、丸編み機を用いて製造されるダンボールニット
は、トリコットとは異なり、スパンデックスが用いられ
ていなくても、縦横の伸縮性が編み組織によって付与さ
れる。しかしながら、丸編み機では、ツーウェイトリコ
ットに用いられている弾性率が大きいモノフィラメント
を編み立てることができない。
そこで、ダンボールニットを製造する際には、編み立
てるときにはソフトで、編み立てたのちには弾性率が大
きくなるつなぎ糸として、熱融着糸が用いられている。
つなぎ糸として熱融着糸が用いられたダンボールニット
としては、編み立てたのちに、熱処理によってつなぎ糸
を融着させ、弾性率を大きくさせることによってえられ
たダンボールニットが知られている。
しかしながら、たとえば靴の内張り部分などの高クッ
ション性が要求される部分には、現在でもなお、トリコ
ットが用いられている。ダンボールニットがこの分野に
用いられていない理由は、繰り返し荷重に対するヘタリ
が大きいためである。したがって、繰り返し荷重に対す
るヘタリが小さいダンボールニットを容易に製造するこ
とができれば、コストはトリコットよりも低いので、そ
の用途が広がるものと考えられる。
ところで、現在、コンピュータ用マウスパッドは数多
く販売されており、その多くは、表地がニットであり、
該ニットにポリウレタンスポンジが積層されたものであ
る。かかるマウスパッドでは、表地でマウスの滑りが向
上され、クッション性を付与することでボールの転がり
が向上されている。また、ウレタンスポンジは、該マウ
スパッドとテーブルとの滑り止めになっている。しかし
ながら、かかるマウスパッドは、荷重に対する変形量が
表地とウレタンスポンジとでは大きく異なるため、長時
間にわたって使用を続けると、表地とウレタンスポンジ
とが剥れやすくなるという欠点がある。
そこで、マウスパッド用材料として、たとえばダブル
トリコットの三層構造編物が着目されてきている。かか
るダブルトリコットのクッション性は、マウスパッドに
要求される適切な組織を選定することによって変化させ
ることができる。
しかしながら、かかるダブルトリコットなどのニット
は、マウスパッドとテーブルとの滑り止めが充分でない
ため、そのままではマウスパッドとして用いることがで
きない。また、かかるニットは、裁断部分が解れやす
く、解れ止めを行なう必要があるという欠点がある。
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであ
り、成形性にすぐれ、縫目強度が大きく、クッション性
にすぐれ、安価であり、種々の断熱材、クッション材、
成形品などに好適に使用しうるダンボールニット、それ
からなる成形品、およびコンピュータなどに用いるマウ
スの小さな動きにも敏感に対応するマウスパッドを提供
することを目的とする。
発明の開示 本発明は、表地と裏地とがつなぎ糸で接合されてな
るダンボールニットであって、前記つなぎ糸が熱融着糸
を20重量%以上含有し、前記裏地が熱融着糸を20重量%
以上含有してなるダンボールニット、前記ダンボール
ニットを成形してなる成形品、表地と裏地とがつなぎ
糸で接合されてなるダンボールニットからなり、前記つ
なぎ糸が熱融着糸を20重量%以上含有し、前記表地が熱
融着糸を20重量%以上含有し、前記裏地に滑り止め加工
が施され、前記表地と裏地とがそれらの端部で熱融着さ
れてなるマウスパッド、ならびに表地と裏地とがつな
ぎ糸で接合され、前記表地が熱融着糸を20重量%以上含
有し、前記裏地に滑り止め加工が施され、前記表地と裏
地とがそれらの端部で熱融着された三層構造のダブルト
リコットからなるマウスパッドに関する。
発明を実施するための最良の形態 本発明のダンボールニットは、前記したように、表地
と裏地とがつなぎ糸で接合されており、前記つなぎ糸が
熱融着糸を20重量%以上含有し、前記裏地が熱融着糸を
20重量%以上含有するものである。
本発明のダンボールニットには、前記特定のつなぎ糸
および特定の糸からなる裏地が用いられていることに大
きな特徴の1つがある。
本発明者らは、ダンボールニットのつなぎ糸および裏
地と、それらの熱処理条件とについて研究を重ねた結
果、裏地に用いられる糸がダンボールニットの成形性お
よび縫目強度に大きな影響を与え、またつなぎ糸に用い
られる糸がダンボールニットのクッション性に影響を与
えることを見出した。そこで、本発明者らは、さらに研
究を重ねたところ、前記特定のつなぎ糸および特定の糸
からなる裏地を用いてダンボールニットを作製したばあ
いには、かかるダンボールニットは、成形性にすぐれ、
縫目強度が大きく、しかもクッション性にすぐれるとい
う特性を併せもつものであることを見出した。前記ダン
ボールニットは、さらに、用いられている材料が安価で
あることから、低コストで製造することができるもので
ある。
なお、本明細書において、ダンボールニットとは、三
層構造両面丸編み地をいう。
本発明のダンボールニットの表地に用いられる糸の種
類は、とくに限定がなく、用途に応じて適宜選択するこ
とが好ましい。
前記表地に用いられる糸の具体例としては、たとえ
ば、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエ
チレンなどの合成繊維からなるフィラメント、羊毛、コ
ットン、麻などの天然繊維からなる紡績糸、混紡糸、交
撚糸、混織糸などがあげられる。
前記表地は、糸を先染めしてえられたものであっても
よく、ジャガード編みで柄が形成されたものであっても
よい。
なお、前記表地には、必要に応じて、後述する裏地や
つなぎ糸に用いられる熱融着糸が用いられていてもよ
い。
また、表地を構成する糸の太さは、とくに限定がな
く、編み組織、編み機などに応じて適宜選択すればよ
い。
さらに、たとえば、その用途が自動車用シートのばあ
いには、汚れが目立たなくなるという観点から、前記表
地が起毛されていることが好ましい。表地を起毛させる
ばあいには、該表地が異収縮混織糸、バルキー糸などか
らなることが好ましい。とくに、バルキー糸は、紡績糸
であり、起毛しやすいという観点から好ましい。なお、
表地を起毛させる際には、種々の糸が交撚されるように
し、起毛に斑を加えてもよい。
なお、表地の厚さは、とくに限定がなく、えられるダ
ンボールニットの用途などを考慮して適宜調整すればよ
い。
本発明のダンボールニットの裏地は、熱融着糸を20重
量%以上含有するものである。
前記裏地に用いられる熱融着糸の代表例としては、た
とえば芯が高融点を有し、鞘が低融点を有する芯鞘型複
合繊維からなる芯鞘型熱融着糸、サイドバイサイド型熱
融着糸、低融点を有する合成繊維と高融点を有する合成
繊維もしくは天然繊維とを混織、交撚、合糸または混紡
してえられる熱融着糸などがあげられる。これら熱融着
糸の具体例としては、たとえばベルカップル(登録商
標、鐘紡(株)製、タイプLHC、フィラメント、芯:ポ
リエステル、鞘:低融点コポリエステル)、ベルカップ
ル(登録商標、鐘紡(株)製、タイプHCC、フィラメン
ト、芯:ポリエステル、鞘:ナイロン)、ベルカップル
(登録商標、鐘紡(株)製、タイプLCO、芯:ポリエス
テル、鞘:低融点コポリエステル)などの芯鞘型熱融着
糸;ベルコンビ(登録商標、鐘紡(株)製、ステープ
ル、芯:ポリエステル、鞘:低融点ポリエステルまたは
ポリエチレン)などの芯鞘型混紡糸用芯鞘型熱融着糸;
タイプPP−HB(チッソ(株)製、プロピレンホモポリマ
ー、ステープル)、タイプBF(大和紡績(株)製、エチ
レンホモポリマー、ステープル)、タイプ410(イース
トマン(EASTMAN)社製、コポリエステル、ステーブ
ル)などのステープル熱融着糸;タイプES(チッソ
(株)製、一方側:ポリプロピレン、他方側:ポリエチ
レン)などのサイドバイサイド型熱融着糸などがあげら
れる。これらは単独でまた2種以上を混合して用いるこ
とができる。
なお、前記熱融着糸は、いずれも110〜220℃程度の融
点を有するものである。
本発明のダンボールニットにおいては、前記したよう
に、裏地が熱融着糸を20重量%以上含有する。かかる熱
融着糸の含有量が20重量%未満であるばあいには、えら
れるダンボールニットの縫目強度が小さくなり、また成
形後の形状保持性が低下する。したがって、かかるダン
ボールニットからえられる自動車用シート、ブラジャー
カップなどの最終商品の品質が低下する。なお、ダンボ
ールニットの縫目強度をより高くし、成形性をより向上
させるためには、かかる熱融着糸の含有量は、30〜100
重量%、好ましくは50〜100重量%であることが望まし
い。
前記裏地は、熱融着糸を20重量%以上含有するもので
あるかぎりとくに限定がない。該裏地は、熱融着糸のみ
からなってもよいが、そのほかに、たとえば前記表地に
用いられる糸として例示された各種合成繊維、天然繊維
などからなる糸を適宜用いることができる。
また、裏地は、種々の糸を交撚させてえられたもので
あってもよい。とくにたとえばポリエステル、ナイロン
などからなる伸縮性を有する仮撚加工糸を交編させてえ
られた裏地は、伸縮性にすぐれるという観点から、より
好ましい。さらに、伸縮性を有するバルキー糸からえら
れた裏地も、伸縮性にすぐれるという観点から好まし
い。
前記裏地は、先染めした糸からなるものであってもよ
く、ジャガード編みで柄が形成されたものであってもよ
い。
裏地を構成する糸の太さは、とくに限定がなく、編み
組織、編み機などに応じて適宜選択すればよい。
また、裏地の厚さは、とくに限定がなく、えられるダ
ンボールニットの用途などを考慮して適宜調整すればよ
い。
本発明のダンボールニットのつなぎ糸は、熱融着糸を
20重量%以上含有する。
前記つなぎ糸として用いられる熱融着糸としては、た
とえば前記裏地に用いられる熱融着糸として例示された
糸などを用いることができる。
なお、くり返し荷重に対する融着部分の耐久性の向上
という観点から、つなぎ糸として芯鞘型熱融着糸を用い
ることが好ましい。かかる芯鞘型熱融着糸のなかでも、
鞘としてポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチ
レングリコールとのブロックコポリマー、熱可塑性ポリ
ウレタンなどのエラストマーが用いられた芯鞘型熱融着
糸は、つなぎ糸の繰返し荷重に対する耐性にすぐれてい
るので好ましい。また、これらのエラストマーは、通常
低いヤング率を有するものであるが、本発明のダンボー
ルニットにおいては、芯鞘型熱融着糸の鞘に用いられる
ポリマーのヤング率が600kg/mm2以下、好ましくは300kg
/mm2以下であることが、つなぎ糸が繰り返し荷重に対す
る耐性にすぐれるという観点からより望ましい。かかる
ヤング率が600kg/mm2以下のポリマーとしては、たとえ
ばナイロン、シンジオタクチックポリプロピレンなどの
ポリプロピレン、プロピレンとエチレンなどの他の共重
合可能なモノマーとの共重合体などがあげられる。な
お、かかるポリマーのヤング率は、適度の腰を付与する
という観点から、50kg/mm2以上であることが好ましい。
本発明のダンボールニットに用いられるつなぎ糸は、
前記したように、熱融着糸を20重量%以上含有する。か
かる熱融着糸の含有量が20重量%未満であるばあいに
は、ダンボールニットは、クッション性に劣る。なお、
ダンボールニットのクッション性をより向上させるため
には、かかる熱融着糸の含有量は、30〜100重量%、好
ましくは50〜100重量%であることが望ましい。
なお、本発明においては、ダンボールニットの成形時
に暑さがいちじるしく変化することがなく、バルキー性
が低下しにくいという観点から、前記裏地に用いられる
熱融着糸の融点が、つなぎ糸として用いられる熱融着糸
の融点よりも20℃以上、好ましくは30℃以上低くなるよ
うに、裏地に用いる熱融着糸およびつなぎ糸として用い
る熱融着糸をそれぞれ選択することが好ましい。
前記つなぎ糸として、熱融着糸を20重量%以上含有す
るものが用いられる。つなぎ糸は、すべて熱融着糸であ
ってもよい。また、前記つなぎ糸としては、前記熱融着
糸と、たとえばポリエステル、ナイロンなどからなる仮
撚加工糸、異収縮混織糸などのフィラメント;収縮綿、
コンジュゲート綿などを混紡し、熱処理によってバルキ
ー性を付与してえられたアクリル繊維糸などのバルキー
糸、たとえば羊毛、コットン、麻などからなる紡績糸な
どを交撚させてえられた糸を用いることができる。これ
らのなかでは、伸縮弾力性にすぐれ、安価であるという
観点から、仮撚加工糸が好ましい。
本発明で用いられるつなぎ糸は、熱処理によってそれ
自身が融着するが、熱処理を施す際に、前記つなぎ糸と
表地および裏地とに融着することがある。表地および/
または裏地に、つなぎ糸の融着部分の糸と同一材質の糸
が用いられているばあいには、つなぎ糸と、表地および
/または裏地との接着性が向上する。かかるつなぎ糸と
表地および/または裏地との接着性を向上させること
は、ダンボールニットの縫目強度および形状保持性が向
上するという観点から好ましい。したがって、つなぎ糸
と、表地および裏地とは、両者の接着性を考慮して適宜
組合せることが好ましい。
なお、たとえばナイロン、ポリウレタン、とくにポリ
ウレタンなどのそのほかの繊維と融着しやすいポリマー
からなるつなぎ糸が用いられるばあいには、かかるつな
ぎ糸に用いられるポリマーと、表地および/または裏地
の繊維に用いられるポリマーとが同一てなくても、つな
ぎ糸と表地および/または裏地とが強固に接着するの
で、えられるダンボールニットの縫目強度および形状保
持性を向上させることができる。
つなぎ糸の太さは、とくに限定がなく、一般に、編地
の組織および用いる編み機のゲージ数に応じて調整する
ことが好ましい。なお、ダンボールニットのクッション
性を向上させ、ヘタリがより生じにくくなるようにする
ためには、単位面積あたりのつなぎ糸の数が多いことが
好ましい。さらに、編立性およびダンボールニットの表
面への影響を考慮し、つなぎ糸の太さやその数を調整す
ることが好ましい。
つなぎ糸として、熱融着糸のフィラメントのみを用い
るばあいには、それ自体の接着性を向上させるために、
かかるフィラメントの撚糸を用いることが好ましい。該
撚糸をつなぎ糸として用いると、えられるダンボールニ
ットにヘタリがより生じにくくなるという利点がある。
かかるフィラメントの撚糸の撚数は、該フィラメントの
太さによって異なり、一概には決定することができな
い。つなぎ糸自体が充分な融着性を有し、ダンボールニ
ットにヘタリが生じるのが充分に抑制されるようにする
ためには、撚係数が4以上であることが好ましい。また
つなぎ糸が硬くなりすぎてダンボールニットの風合が低
下したり、コストが上昇するおそれをなくすためには、
撚係数が15以下、好ましくは10以下であることが望まし
い。なお、本明細書にいう撚係数とは、糸の太さ(デニ
ール)の平方根に乗ずる係数であり、単位は1mあたりの
撚数である。
本発明のダンボールニットを製造する方法は、とくに
限定がなく、たとえば以下に示す方法などを採用するこ
とができる。
ダンボールニットは、通常丸編みによって製造され
る。その際には、一般に用いられている丸編み機が用い
られる。
前記丸編み機には、通常、供給口数が多数あり、表地
を構成する糸、裏地を構成する糸、つなぎ糸などの複数
の糸が同時に供給される。このとき、つなぎ糸を、S撚
り(右撚り)とZ撚り(左撚り)とが交互に編み立てら
れるように供給すると、つなぎ糸が倒れずに厚さが大き
いダンボールニットを製造することができる。かかる丸
編み機のなかでも、両面丸編み機を用いることが好まし
い。ダンボールニットの厚さは、針の運動幅に比例する
ので、必要に応じて釜の改造を行なうことが好ましい。
ダンボールニットの生機は開反し、テンター乾燥機で
熱セットされる。このとき、適宜、幅方向、機械方向に
収縮させることにより、厚さを保持させることができ
る。幅方向はテンター幅によって、また機械方向はオー
バーフィードによって調節することができる。
前記熱セット時の温度および時間は、つなぎ糸を構成
しているポリマーの種類などによって異なる。熱セット
時の温度は、つなぎ糸の編立および熱セットによる捲縮
の捲縮力を一定の範囲に保持することができるように調
整することが好ましい。捲縮力が大きすぎるばあいに
は、熱セットが過剰になり、つなぎ糸が硬くなりすぎ
る。つなぎ糸が硬くなりすぎると、ダンボールニットに
繰り返し荷重が加わった際に、つなぎ糸に歪が残りやす
く、ダンボールニットのヘタリが大きくなる傾向があ
る。また、熱セット時の温度が低すぎ、熱セットが不充
分であると、つなぎ糸の硬さが低く、ダンボールニット
のクッション性が低下する傾向がある。したがって、つ
なぎ糸を構成するポリマー、繊維の太さ、構成本数など
によってつなぎ糸の硬さの程度が異なることから、あら
かじめつなぎ糸の捲縮力を測定し、たとえばテンター各
室の温度、風量、フィード速度などの適切な熱セット条
件を決定して熱セットを行なうことが好ましい。
なお、ダンボールニットは、熱セット後に染色するこ
ともできる。熱セット後に染色するばあいには、染色時
に再度熱処理されるため、ダンボールニットにシワが入
らないように注意する必要がある。ダンボールニットに
シワが入らないようにするためには、たとえば吊り下げ
て染色するスター染色方法などを採用することが好まし
い。つなぎ糸がブライトであるばあいには、表地および
/または裏地を染色しておけば、つなぎ糸は染色されて
いなくても、外観がわるくなることがない。
かくしてえられる本発明のダンボールニットは、前記
したように、表地と裏地とがつなぎ糸で接合されたもの
であるが、本発明においては、該表地上に表皮層を形成
させることができる。表地上に表皮層を形成させたばあ
いには、そのダンボールニットを、とくにモールドを用
いた成形により容易に供することができ、たとえば靴の
甲皮、シート地などの製造が容易になり、コストが低下
し、ダンボールニットのクッション性がより向上すると
いう利点がある。
前記表皮層としては、たとえばポリウレタン弾性体
層、ポリ塩化ビニル層などが好ましく用いられる。
前記ポリウレタン弾性体層を形成するポリウレタン弾
性体としては、たとえばジヒドロキシポリエーテル、ジ
ヒドロキシポリエステル、ジヒドロキシポリカーボネー
ト、ジヒドロキシポリエステルアミドなどの通常数平均
分子量が500〜6000程度の低融点を有するポリオール
と、たとえばp,p′−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシア
ネート、2,6−ジイソシアネート、水素化ジフェニルメ
タンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートな
どの通常分子量が500程度以下の有機ジイソシアネート
とを、たとえばグリコール、アミノアルコール、トリオ
ールなどの通常分子量が500程度以下の鎖伸長剤を用い
て反応させてえられたポリウレタンなどがあげられる。
前記低融点を有するポリオール、有機ジイソシアネー
トおよび鎖伸長剤は、それぞれ適宜組合せて用いればよ
い。前記例示のなかでは、たとえばポリオールとしてポ
リテトラメチレングリコール、ポリε−カプロラクトン
またはポリブチレンアジペートを用いることが、低コス
トであるという観点から好ましい。なお、ポリオールと
してポリエチレングリコールを用いたばあいには、えら
れるポリウレタンの親水性が向上するので、かかるポリ
エチレングリコールは、親水性が要求されるダンボール
ニットをうる際に好適に用いることができる。また、た
とえば有機ジイソシアネートとして、p,p′−ジフェニ
ルメタンジイソシアネートを用いることが、低コストで
あるという観点から好ましい。さらに、鎖伸長剤として
は、低コストであるという観点から、p,p′−ビスヒド
ロキシエトキシベンゼンおよび1,4−ブタンジオールが
好ましい。
本発明に好適に用いられるポリウレタン弾性体は、前
記したように、ポリオール、有機ジイソシアネートおよ
び鎖伸長剤からえられるものであるが、適度な硬度を付
与するという観点から、全成分中のポリオール成分の量
が65重量%以上、好ましくは70重量%以上となるように
調整することが望ましい。
前記ポリ塩化ビニル層としては、たとえばポリ塩化ビ
ニルに加え、塩化ビニルと、酢酸ビニル、塩化ビニリデ
ン、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル、
ビニルエーテル、マレイン酸、マレイン酸エステル、脂
肪族ビニル化合物などとの共重合体などの通常重合度が
1000〜3000程度の塩化ビニル系樹脂から形成される層な
どがあげられる。なお、ポリ塩化ビニル層を形成させる
際には、前記塩化ビニル系樹脂に、たとえば、ジブチル
フタレート、ジヘプチルフタレート、ジ−n−オクチル
フタレート、ジイソオクチルフタレート、ジ−2−エチ
ルヘキシルフタレートなどのフタル酸エステルやトリ−
2−エチルヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフ
ェートなどのリン酸エステルなどの可塑剤、ジブチルス
ズラウレート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチル
スズラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチ
ルスズマレート、ジブチルスズジマレート、ジオクチル
スズマレートなどの有機スズ化合物、ステアリン酸鉛、
二塩基性ステアリン酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、塩基性
硫酸鉛などの鉛系化合物などの安定剤を配合することが
好ましい。前記可塑剤の配合量は、ダンボールニットを
柔軟にし、たとえばモールドを用いた成形を容易にした
り、フィルムなどのポリ塩化ビニル層が硬くなりすぎて
ダンボールニットのクッション性が充分に向上しなくな
ることを防止するためには、塩化ビニル系樹脂100重量
部に対して30重量部程度以上であることが好ましく、ま
たフィルムなどのポリ塩化ビニル層が柔かくなりすぎ、
粘着することを避けるためには、塩化ビニル系樹脂100
重量部に対して60重量部程度以下であることが好まし
い。
前記表地上に表皮層を形成させる方法には、とくに限
定がない。たとえば、あらかじめ形成されたポリウレタ
ン弾性体やポリ塩化ビニルフィルムを表地上にラミネー
トさせる方法、表地上にポリウレタン含有溶剤をナイフ
でコーティングしたり、塩化ビニル系樹脂を加熱してえ
られた溶融物をフィルム状でコーティングする方法など
を採用することができる。
なお、表皮層として、ポリウレタン弾性体層を形成さ
せる際に、湿式コーティング方を採用したばあいには、
形成されたポリウレタン弾性体層に通気性が付与される
という利点がある。
かくして形成される表皮層の厚さは、充分な耐摩耗性
を付与するためには、5μm以上、好ましくは10μm以
上であることが望ましい。
なお、本発明のダンボールニットの厚さは、とくに限
定がなく、その用途に応じた厚さとなるように表地およ
び裏地の厚さなどを適宜調整すればよい。
本発明のダンボールニットは、成形性にすぐれ、縫目
強度が大きく、クッション性にすぐれていることから、
種々の断熱材、クッション性、成形品などに好適に使用
することができる。
本発明の成形品は、前記すぐれた特性を有するダンボ
ールニットを成形してえられたものである。
ダンボールニットから成形される成形品としては、た
とえばブラジャーカップ、帽子、プロテクター、芯材、
ゲス、ケース、靴、バッグ、グラブ、自転車のサドル、
ベッドカバーなどがあげられる。
前記成形品をうる方法としては、たとえば所望の形状
を有するモールドを用い、たとえば熱プレス成形機、真
空成形機などによって熱成形する方法などを採用するこ
とができる。なお、ダンボールニットを成形する際の成
形条件は、とくに限定がなく、ダンボールニットに用い
られている繊維の種類などに応じて適宜調整することが
好ましい。
かくしてえられる本発明の成形品は、前記ダンボール
ニットが有する大きな縫目強度およびすぐれたクッショ
ン性を具備している。しかも、かかる成形品は、安価で
容易にうることができる。
ダンボールニットからえられるクッション材の一例と
してマウスパッドがあげられる。本発明のマウスパッド
(以下、マウスパッド(I)という)は、表地と裏地と
がつなぎ糸で接合されたダンボールニットからなり、前
記つなぎ糸が熱融着糸を20重量%以上含有し、前記表地
が熱融着糸を20重量%以上含有し、前記裏地に滑り止め
加工が施され、前記表地と裏地とがそれらの端部で熱融
着されたものである。
本発明のマウスパッド(I)において、前記特定のつ
なぎ糸および特定の糸からなる表地を有するダンボール
ニットが用いられ、かつ裏地に滑り止め加工が施されて
いることに大きな特徴の1つがある。
本発明者らが、クッション性を有するニットとその熱
処理条件および滑り止め加工について研究を重ねた結
果、とくにニットの表地の組織、それを構成する糸およ
び滑り止め加工に用いられる材料が、マウスの小さな動
きへの対応、テーブルなどへのそれ自身の固定のされや
すさなどのマウスパッドの性能に大きな影響を与えるこ
とを見出した。そこで、前記特定のつなぎ糸および特定
の糸からなる表地を有するダンボールニットを用い、か
つ裏地に滑り止め加工を施して本発明のマウスパッド
(I)を完成させた。したがって、本発明のマウスパッ
ド(I)は、マウスの小さな動き(1ピクセル)にも敏
感に対応することができ、しかもそれ自身はテーブルな
どに固定されるといった特性を併せもつものである。
なお、本明細書において、マウスパッドとは、ボール
の動きによりディスプレー上のカソードの位置を移動す
るリモートコントローラー(通称マウス)の下敷のこと
をいう。
本発明のマウスパッド(I)に用いられるダンボール
ニットは、表地と裏地とがつなぎ糸で接合されたもので
ある。
前記表地は、熱融着糸を20重量%以上含有するもので
ある。
前記熱融着糸の例としては、本発明のダンボールニッ
トに用いられる熱融着糸として例示された熱融着糸など
があげられる。
本発明のマウスパッド(I)においては、前記したよ
うに、ダンボールニットの表地は、熱融着糸を20重量%
以上含有するものである。かかる熱融着糸の含有量が20
重量%未満であるばあいには、表地の解れが止まりにく
くなり、またマウスの滑りを向上させるために表面に適
切な硬さを付与することが困難となり、表地の繊維が脱
落するのを防止しにくくなる。なお、より表地の解れを
なくし、マウスの滑りを向上させるためには、かかる熱
融着糸の含有量は、30〜100重量%、好ましくは50〜100
重量%であることが望ましい。
前記表地は、熱融着糸を20重量%以上含有するもので
あるかぎりとくに限定がない。該表地は、熱融着糸のみ
からなってもよいが、そのほかに、たとえば本発明のダ
ンボールニットの表地に用いられる糸として例示された
各種合成繊維、天然繊維からなる糸などを適宜用いるこ
とができる。また、かかる表地は、糸を先染めしてえら
れたものであってもよく、ジャガード編みで柄が形成さ
れたものであってもよい。
なお、本発明のマウスパッド(I)においては、マウ
スとの摩擦による繊維の脱落が少ないという観点から、
前記表地がフィラメントからなることが好ましい。
表地を構成する糸の太さは、とくに限定がないが、つ
なぎ糸と表地とのバランスを向上させるためには、表地
の糸の太さは、150デニール以上、好ましくは170デニー
ル以上であることが望ましく、また表地のなめらかさを
向上させるためには、表地の糸の太さは、350デニール
以下、好ましくは200デニール以下であることが望まし
い。なお、編みのウエルおよびコースは、かかる表地の
糸の太さによってほぼ一義的に決定される。また、編み
組織は、表面が平滑で単純な組織が好ましい。
なお、表地の厚さは、とくに限定がなく、最終的にえ
られるマウスパッド(I)の厚さなどを考慮して適宜調
整すればよい。
本発明のマウスパッド(I)の裏地に用いられる糸の
種類は、とくに限定がなく、本発明のダンボールニット
の表地に用いられる糸として例示された各種合成繊維、
天然繊維からなる糸などを適宜用いることができる。ま
た、かかる裏地は、糸を先染めしてえられたものであっ
てもよく、ジャガード編みで柄が形成されたものであっ
てもよい。
なお、前記裏地には、必要に応じて、前記表地や後述
するつなぎ糸に用いられる熱融着糸が用いられていても
よい。
裏地を構成する糸の太さは、とくに限定がなく、編み
組織、編み機などが応じて適切な太さの糸を選択すれば
よい。
また、裏地の厚さは、とくに限定がなく、最終的にえ
られるマウスパッド(I)の厚さなどを考慮して適宜調
整すればよい。
本発明のマウスパッド(I)に用いられるつなぎ糸
は、熱融着糸を20重量%以上含有する。
前記つなぎ糸として用いられる熱融着糸としては、た
とえば本発明のダンボールニットのつなぎ糸に用いられ
る熱融着糸として例示された糸などを用いることができ
る。
なお、前記熱融着糸のなかでも、本発明のダンボール
ニットにおいて好ましく用いられる芯鞘型熱融着糸が好
ましく用いられる。
本発明のマウスパッド(I)に用いられるつなぎ糸
は、前記したように、熱融着糸を20重量%以上含有する
ものであり、本発明のダンボールニットと同様に、かか
る熱融着糸の含有量は、30〜100重量%、好ましくは50
〜100重量%であることが望ましい。
また、前記つなぎ糸がすべて熱融着糸であってもよい
が、本発明のダンボールニットのつなぎ糸として例示さ
れた糸をつなぎ糸として用いることができる。
本発明のマウスパッド(I)において、つなぎ糸と表
地および裏地との組合せ、つなぎ糸の太さ、数、形態な
どは、本発明のダンボールニットと同様でよい。
さらに、マウスパッド(I)に用いられるダンボール
ニットの製造方法や染色についても、本発明のダンボー
ルニットと同様でよい。
前記ダンボールニットの厚さは、とくに限定がなく、
最終的にえられるマウスパッド(I)の厚さを考慮して
適宜調整すればよい。
本発明のマウスパッド(I)は、さらにダンボールニ
ットの裏地に滑り止め加工が施されたものである。
前記ダンボールニットの裏地の滑り止め加工は、たと
えばポリウレタン、ポリ塩化ビニルゴム、エチレン−酢
酸ビニル系共重合体などからなるフィルム、不織布など
の滑り止め材を裏地に積層することによって容易に施す
ことができる。
前記フィルム、不織布などの滑り止め材を構成する材
料の具体例としては、たとえば、本発明のダンボールニ
ットの表地上に形成されるポリウレタン弾性体をうる際
に例示されたポリオール、有機ジイソシアネート、鎖伸
長剤などからえられるポリウレタン;本発明のダンボー
ルニットの表地上に形成されるポリ塩化ビニル層をうる
際に用いられるポリ塩化ビニルなどの塩化ビニル系樹
脂;スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロ
プレンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチル
ゴムなどの合成ゴム、天然ゴムなどのゴム;たとえば酢
酸ビニルの含有量が15〜35重量%程度のエチレン−酢酸
ビニルコポリマー、たとえばエチレン−ビニルコポリマ
ー、エチレン−ビニルアルコール−酢酸ビニルターポリ
マーなどのエチレン−酢酸ビニルコポリマーのケン化
物、たとえばエチレン−酢酸ビニル−塩化ビニルターポ
リマー、カルボキシル基含有エチレン−酢酸ビニルコポ
リマーなどのグラフトポリマーなどのエチレン−酢酸ビ
ニル変性コポリマーなどのホットメルトタイプのエチレ
ン−酢酸ビニル系共重合体などがあげられる。これらの
なかでは、摩擦係数が大きいという観点から、軟質ポリ
ウレタンを用いることが好ましい。また、ポリウレタン
不織布として、たとえばエスパンシオーネ(鐘紡(株)
製)などがある。かかるポリウレタン不織布を裏地に施
すばあいには、裁断および成形を同時に行なうことがで
きる超音波ミシン、高周波ウェルダーまたは熱ウェルダ
ーを用いると、表地の解れがなくなるので好ましい。
裏地上に施された滑り止め材は、表地に凹凸が感じら
れないようにするためには、部分的にプリントされてい
ないことが好ましい。また滑り止め材自身も平面性にす
ぐれていることが好ましい。したがって、不織布よりも
フィルムのほうが、摩擦係数が大きいので、より好まし
い。
前記滑り止め材としてフィルムを用いるばあい、その
厚さは、とくに限定がなく、適宜調整すればよい。充分
な機械的強度を付与し、フィルムの平面性を保持するた
めには、フィルムの厚さは、20μm以上、好ましくは10
0μm以上であることが望ましい。また、前記滑り止め
材として不織布を用いるばあい、その目付は、とくに限
定がなく、適宜調整すればよいが、不織布の機械的強度
の観点から、15g/m2以上であることが好ましい。
前記滑り止め材を裏地に積層させる方法は、とくに限
定がなく、たとえばエチレン−酢酸ビニル系接着剤、ポ
リウレタン系接着剤などの軟質接着剤などを、裏地にコ
ーティング、スプレーなどして滑り止め材を積層させる
方法、Tダイから押出し、成形と同時にフィルムを積層
一体化させる方法などを採用することができる。
かくして、ダンボールニットの裏地に滑り止め加工を
施したのち、ダンボールニットの表地と裏地とをそれら
の端部で熱融着させることにより、本発明のマウスパッ
ド(I)をうることができる。
前記表地と裏地とをそれらの端部で熱融着させる方法
は、とくに限定がなく、たとえば超音波ミシン、高周波
ウェルダー、熱ウェルダーなどを用いる方法などを採用
することができる。
かくしてえられる本発明のマウスパッド(I)の厚さ
は、とくに限定がなく、使用感などを考慮して適宜調整
することが好ましい。
本発明により、マウスパッドとして、前記マウスパッ
ド(I)に加え、表地と裏地とがつなぎ糸で接合され、
前記表地が熱融着糸を20重量%以上含有し、前記裏地に
滑り止め加工が施され、前記表地と裏地とがそれらの端
部で熱融着された三層構造のダブルトリコットからなる
マウスパッド(以下、マウスパッド(II)という)が提
供される。
本発明のマウスパッド(II)において、前記特定の糸
からなる表地を有し、かつ裏地に滑り止め加工が施され
ているダブルトリコットが用いられていることに大きな
特徴の1つがある。
本発明者らは、クッション性を有するトリコットとそ
の熱処理条件および滑り止め加工について研究を重ねた
結果、とくにトリコットの表地の組織、それを構成する
糸および滑り止め加工に用いられる材料が、マウスの小
さな動きへの対応、テーブルなどへのそれ自身の固定の
されやすさなどのマウスパッドの性能に大きな影響を与
えることを見出した。そこで、前記特定の糸からなる表
地を有し、かつ裏地に滑り止め加工が施されたダブルト
リコットを用い、本発明のマウスパッド(II)を完成さ
せた。したがって、本発明のマウスパッド(II)は、マ
ウスの小さな動きにも敏感に対応することができ、しか
もそれ自身はテーブルなどに固定されるといった特性を
併せもつものである。
本発明のマウスパッド(II)に用いられる三層構造の
ダブルトリコットは、表地と裏地とがつなぎ糸で接合さ
れたものである。
本発明のマウスパッド(II)において、表地および裏
地それぞれに用いられる糸の種類および太さ、表地およ
び裏地それぞれの厚さなどは、とくに限定がなく、本発
明のマウスパッド(I)と同様でよい。
なお、本発明のマウスパッド(II)においても、マウ
スとの摩擦による繊維の脱落が少ないという観点から、
前記表地がフィラメントからなることが好ましい。
本発明のマウスパッド(II)に用いられるつなぎ糸の
種類および太さは、とくに限定がなく、本発明のマウス
パッド(I)に用いられるつなぎ糸と同様でよい。さら
にマウスパッド(II)は、ダブルトリコットからなるの
で、たとえばナイロンモノフィラメントなどの硬質の糸
もまた、つなぎ糸として用いることができる。
前記三層構造のダブルトリコットを製造する方法は、
とくに限定がない。たとえば、一般にトリコットをうる
際に用いられている縦編み機を用い、縦編みによってダ
ブルトリコットを製造することができる。なお、かかる
ダブルトリコットは、編み機として、通常、丸編み機の
かわりに縦編み機を用いるほかは、前記マウスパッド
(I)におけるダンボールニットと同様にしてうること
ができる。
前記ダブルトリコットの厚さは、とくに限定がなく、
最終的にえられるマウスパッド(II)の厚さを考慮して
適宜調整すればよい。
本発明のマウスパッド(II)は、さらに三層構造のダ
ブルトリコットの裏地に滑り止め加工が施されたもので
ある。なお、かかるダブルトリコットの裏地の滑り止め
加工は、本発明のマウスパッド(I)と同様にして施す
ことができる。
本発明のマウスパッド(II)は、ダブルトリコットの
裏地に滑り止め加工を施したのち、たとえばマウスパッ
ド(I)と同様にしてダブルトリコットの表地と裏地と
をそれらの端部で熱融着させることにより、製造するこ
とができる。
本発明のマウスパッド(II)の厚さは、とくに限定が
なく、前記マウスパッド(I)と同程度であればよい。
本発明のマウスパッド(I)および(II)は、マウス
の小さな動きにも敏感に対応することができ、しかもそ
れ自体はテーブルなどに固定され、使いやすいものであ
るので、たとえばコンピュータなどのマウス用に好適に
使用することができる。
つぎに、本発明のダンボールニット、それからなる成
形品およびマウスパッドを実施例に基づいてさらに詳細
に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定される
ものではない。
実施例1 表地の地糸としてポリエステル系仮撚加工糸(SD150D
/48F、鐘紡(株)製)を、裏地の地糸として芯鞘型熱融
着糸(ベルカップル、タイプLCO150D/48F、鐘紡(株)
製、熱融着温度:180℃以上、撚数:100回/m)と、前記ポ
リエステル系仮撚加工糸とを交互に交撚させた糸を、つ
なぎ糸として芯鞘型熱融着糸(ベルカップル、タイプLC
O250D/16F、鐘紡(株)製、熱融着温度:180℃以上、撚
係数:100回/m)を用い、20ゲージ、32口の両面丸編み機
で編立て、開反後、テンター乾燥機で幅方向に18%収縮
させながら、雰囲気温度150℃で2分間熱融着させ、厚
さ2mmのダンボールニットを製造した。
なお、前記裏地の地糸およびつなぎ糸として用いられ
ている芯鞘型熱融着糸は、その主たる熱融着温度が180
℃であり、実質的に110℃以上となったときに、熱融着
を開始する。したがって、これらの芯鞘型熱融着糸を部
分的に熱融着させるために、雰囲気温度を150℃に設定
した。
えられたダンボールニットを用い、クッション性およ
び縫目疲労強度を測定した。
クッション性は、JIS K 6401に記載の「繰り返し
圧縮試験」に準拠してヘタリ率を測定して調べた。な
お、ダンボールニット1枚では圧縮試験用試料として厚
さが不充分であるので、厚さが約6cmとなるまで積み重
ね、測定試料とした。その結果、ヘタリ率が7.8%であ
り、かかるダンボールニットがクッション性にすぐれた
ものであることがわかった。
縫目疲労強度は、つぎの方法によって調べた。
工業用ミシンで、ポリエステル8番のミシン糸および
ボールポイント針21番を用い、5mmピッチでダンボール
ニットを2枚重ねて縫製した。ついで、幅が10cmのダン
ボールニットを、つかみ間隔12cmで、幅が5cmのクラン
プにて両端を把持し、3kgの試験荷重を加え、ストロー
クが15cmおよびストローク速度が30往復/分の条件で25
00回繰り返して試験した。こののち、ダンボールニット
を取り外し、0.5kgの荷重を加えた状態で、縫目によっ
て生じた穴(縫目穴)の長さを0.1mm単位で測定した。
その結果、縫目穴の長さが1.3mmであることから、かか
るダンボールニットを自動車用シートなどに用いても充
分な縫目強度を有するものであることがわかった。
実施例2 熱プレス絞り成形機を用い、予備加熱温度を200℃、
雄型温度を200℃、雌型温度を常温に設定し、実施例1
でえられたダンボールニットの裏地側からプレスしてか
かるダンボールニットを直径12cmの半球形に成形させ
た。放冷したのち、えられた半球形の成形品の形状は、
そのまま保持されており、脱型がスムーズであった。
さらに、前記と同様にしてブラジャーカップ型の成形
品をえたのち、これを裁断して縫製した。その結果、編
地強度が大きく、丸編み地特有の解れは、まったく発生
しなかった。
実施例3 実施例1において、つなぎ糸をポリエステル系仮撚加
工糸(SD150D/48F、鐘紡(株)製)と芯鞘型熱融着糸
(ベルカップル、タイプLCO75D/48F、鐘紡(株)製、撚
数:100回/m)との引き揃え糸に変更したほかは、実施例
1と同様にして厚さ1.5mmのダンボールニットを製造し
た。
えられたダンボールニットを用い、クッション性およ
び縫目疲労強度を実施例1と同様にして測定した。その
結果、クッション性については、ヘタリ率が5.5%であ
り、かかるダンボールニットがクッション性にすぐれた
ものであることがわかった。また縫目疲労強度について
は、縫目穴の長さが1.5mmであることから、かかるダン
ボールニットを自動車用シートなどに用いても充分な縫
目強度を有するものであることがわかった。
実施例4 実施例1において、裏地の地糸をポリエステル系仮撚
加工糸(SD150D/48F、鐘紡(株)製)と芯鞘型熱融着糸
(ベルカップル、タイプLCO75D/48F、鐘紡(株)製、撚
数:100回/m)との引き揃え糸に変更したほかは、実施例
1と同様にして厚さ2mmのダンボールニットを製造し
た。
えられたダンボールニットを用い、クッション性およ
び縫目疲労強度を実施例1と同情にして測定した。その
結果、クッション性については、ヘタリ率が7.8%であ
り、かかるダンボールニットがクッション性にすぐれた
ものであることがわかった。また縫目疲労強度について
は、縫目穴の長さが1.8mmであることから、かかるダン
ボールニットを自動車用シートなどに用いても充分な縫
目強度を有するものであることがわかった。
実施例5 実施例1において、表地の地糸をアクリル系紡績糸
(DMM1/60、鐘紡(株)製)の収縮綿を30重量%混紡し
た先染めハイバルキー糸に変更したほかは、実施例1と
同様にして厚さ2mmのダンボールニットを製造した。
つぎに、えられたダンボールニットの表地を起毛機に
よって起毛させ、シャーリングによって起毛の長さを3m
mにカットした。
起毛されたダンボールニットを用い、クッション性お
よび縫目疲労強度を実施例1と同様にして測定した。そ
の結果、クッション性については、ヘタリ率が7.6%で
あり、かかるダンボールニットがクッション性にすぐれ
たものであることがわかった。また縫目疲労強度につい
ては、縫目穴の長さが1.5mmであることから、かかるダ
ンボールニットを自動車用シートなどに用いても充分な
縫目強度を有するものであることがわかった。
実施例6 表地の地糸としてポリエステル系仮撚加工糸(SD150D
/48F、鐘紡(株)製)を、裏地の地糸として芯鞘型熱融
着糸(ベルカップル、タイプLCO150D/48F、鐘紡(株)
製、融点:170℃、撚数:100回/m)と、前記ポリエステル
系仮撚加工糸とを交互に交撚させた糸を、つなぎ糸とし
て芯鞘型熱融着糸(ベルカップル、タイプHCC250D/16
F、鐘紡(株)製、芯:ポリエステル、芯の融点:255
℃、鞘:ナイロン6、鞘の融点:214℃、鞘のヤング率:1
90kg/mm2、撚数:100回/m)を用い、20ゲージ、32口の両
面丸編み機で編立て、開反後、テンター乾燥機で幅方向
に18%収縮させながら、雰囲気温度210℃で2分間熱融
着させ、厚さ3.5mmのダンボールニットを製造した。
えられたダンボールニットを用い、クッション性およ
び縫目疲労強度を実施例1と同様にして測定した。その
結果、クッション性については、繰り返し荷重を加えて
もダンボールニットに生じるヘタリが少なく、かかるダ
ンボールニットがクッション性にすぐれたものであるこ
とがわかった。また縫目疲労強度については、縫目穴の
長さが1.3mmであることから、かかるダンボールニット
を自動車用シートなどに用いても充分な縫目強度を有す
るものであることがわかった。
実施例7 熱プレス絞り成形機を用い、予備加熱温度を190℃、
雄型温度を190℃、雌型温度を常温に設定し、実施例6
でえられたダンボールニットの裏地側からプレスしてか
かるダンボールニットを直径12cmの半球形に成形させ
た。放冷したのち、えられた半球形の成形品の形状は、
そのまま保持されており、脱型がスムーズであった。な
お、成形後のダンボールニットの厚さは3.1mmであっ
た。
さらに、前記と同様にしてブラジャーカップ型の成形
品をえたのち、これを裁断して縫製した。その結果、編
地強度が大きく、丸編み地特有の解れはまったく発生し
なかった。
実施例8 実施例6において、つなぎ糸をポリエステル系仮撚加
工糸(SD150D/48F、鐘紡(株)製)と芯鞘型熱融着糸
(ベルカップル、タイプLCO75D/48F、鐘紡(株)製、融
点:200℃、鞘のヤング率:950kg/mm2、撚数:100回/m)と
の引き揃え糸に変更したほかは、実施例6と同様にして
厚さ3.7mmのダンボールニットを製造した。
えられたダンボールニットを用い、クッション性およ
び縫目疲労強度を実施例1と同様にして測定した。その
結果、クッション性については、繰り返し荷重を加えて
もダンボールニットにヘタリがほとんど生じず、かかる
ダンボールニットがクッション性にすぐれたものである
ことがわかった。また縫目疲労強度については、縫目穴
の長さが1.6mmであることから、かかるダンボールニッ
トを自動車用シートなどに用いても充分な縫目強度を有
するものであることがわかった。
実施例9 実施例6において、裏地の地糸をポリエステル系仮撚
加工糸(SD150D/48F、鐘紡(株)製)と芯鞘型熱融着糸
(ベルカップル、タイプLCO75D/48F、鐘紡(株)製、融
点:130℃、撚数:100回/m)との引き揃え糸に変更したほ
かは、実施例6と同様にして厚さ3.5mmのダンボールニ
ットを製造した。
えられたダンボールニットを用い、クッション性およ
び縫目疲労強度を実施例1と同様にして測定した。その
結果、クッション性については、繰り返し荷重を加えて
もダンボールニットにヘタリがほとんど生じず、かかる
ダンボールニットがクッション性にすぐれたものである
ことがわかった。また縫目疲労強度については、縫目穴
の長さが1.7mmであることから、かかるダンボールニッ
トを自動車シートなどに用いても充分な縫目強度を有す
るものであることがわかった。
実施例10 実施例6において、表地の地糸をアクリル系紡績糸
(DMM1/60、鐘紡(株)製)の収縮綿を30重量%混紡し
た先染めハイバルキー糸に変更したほかは、実施例6と
同様にして厚さ3.5mmのダンボールニットを製造した。
つきにえられたダンボールニットの表地を起毛機によ
って起毛させ、シャーリングによって起毛の長さを3mm
にカットした。
起毛されたダンボールニットを用い、クッション性お
よび縫目疲労強度を実施例1と同様にして測定した。そ
の結果、クッション性については、繰り返し荷重を加え
てもダンボールニットにヘタリがほとんど生じず、かか
るダンボールニットがクッション性にすぐれたものであ
ることがわかった。また縫目疲労強度については、縫目
穴の長さが1.3mmであることから、かかるダンボールニ
ットを自動車用シートなどに用いても充分な縫目強度を
有するものであることがわかった。
実施例11 実施例6において、つなぎ糸をポリエステル系仮撚加
工糸(SD75D/36F、鐘紡(株)製)と芯鞘型熱融着糸(7
5D/48F、芯:ポリエチレンテレフタレート、芯の融点:2
55℃、鞘:シンジオタクチックポリプロピレン、鞘のヤ
ング率:100kg/mm2、鞘のペンタッド率(核磁気共鳴スペ
クトル分析によって求められた、シンジオタクティック
構造を有する連続した5つの不斉炭素原子で構成される
単位の含有量):85%、鞘の融点:135℃、撚数:100回/
m)との引き揃え糸に変更し、雰囲気温度150℃で1分間
熱融着させたほかは、実施例6と同様にして厚さ3.6mm
のダンボールニットを製造した。
えられたダンボールニットを用い、クッション性およ
び縫目疲労強度を実施例1と同様にして測定した。その
結果、クッション性については、繰り返し荷重を80000
回かけたのちでもダンボールニットのヘタリ率が6%で
あり、ほとんど肉眼ではわからず、かかるダンボールニ
ットがクッション性にすぐれたものであることがわかっ
た。また縫目疲労強度については、縫目穴の長さが1.7m
mであることから、かかるダンボールニットを自動車用
シートなどに用いても充分な縫目強度を有するものであ
ることがわかった。
実施例12 実施例6でえられたダンボールニットの表地上に、ポ
リ塩化ビニル(重合度:1300)100重量部、可塑剤として
ジブチルフタレート80重量部、安定剤としてジブチルス
ズラウレート2重量部およびステアリン酸バリウム1重
量部をバンバリーミキサーで180℃で加熱混合し、Tダ
イからフィルム状に押出してコーティングし、厚さ0.5m
mのポリ塩化ビニル層(表皮層)を形成させた。この表
皮層の表面に、エンボスローラーで模様を付け、冷却さ
せて固化を行なった。
表皮層が形成されたダンボールニットを用い、クッシ
ョン性および縫目疲労強度を実施例1と同様にして測定
した。その結果、クッション性については、繰り返し荷
重を加えてもダンボールニットにヘタリがまったく生じ
ず、かかるダンボールニットがクッション性にきわめて
すぐれたものであることがわかった。また縫目疲労強度
については、縫目穴の長さが1.0mmであることから、か
かるダンボールニットを自動車用シートなどに用いても
充分な縫目強度を有するものであることがわかった。
実施例13 実施例6でえられたダンボールニットの表地上に、ブ
タンジオール、ヘキサメチレンジイソシアネートおよび
アジピン酸からえられたポリウレタンを15重量%含有し
たジメチルホルムアミド溶液をドクターナイフでコーテ
ィングしたのち、10%ジメチルホルムアミド水溶液中に
浸漬し、ついで水洗して凝固させて乾燥し、厚さ1mmの
通気性を有するポリウレタン弾性体層(表皮層)を形成
させた。
表皮層が形成されたダンボールニットを用い、クッシ
ョン性および縫目疲労強度を実施例1と同様にして測定
した。その結果、クッション性については、繰り返し荷
重を加えてもダンボールニットがヘタリがまったく生じ
ず、かかるダンボールニットがクッション性にきわめて
すぐれたものであることがわかった。また縫目疲労強度
については、縫目穴の長さが1.1mmであることから、か
かるダンボールニットを自動車用シートなどに用いても
充分な縫目強度を有するものであることがわかった。
実施例14 裏地の地糸としてポリエステル系仮撚加工糸(SD150D
/48F、鐘紡(株)製)を、表地の地糸として芯鞘型熱融
着糸(ベルカップル、タイプLCO150D/48F、鐘紡(株)
製、フィラメント、融点:170℃、撚数:100回/m)と、前
記ポリエステル系仮撚加工糸を交互に交撚させた糸を、
つなぎ糸として芯鞘型熱融着糸(ベルカップル、タイプ
HCC250D/16F、鐘紡(株)製、芯:ポリエステル、芯の
融点:250℃、鞘:ナイロン6、鞘の融点:214℃、鞘のヤ
ング率:190kg/mm2、撚数:100回/m)を用い、28ゲージ、
32口の両面丸編み機で編立て、開反後、テンター乾燥機
で幅方向に18%収縮させながら、雰囲気温度210℃で2
分間熱融着させ、厚さ3.5mmのダンボールニットを製造
した。
えられたダンボールニットの裏地に、ポリウレタンメ
ルトブロー不織布(エスパンシオーネ、UHO30、鐘紡
(株)製、目付:30g/m2)を反応性ポリウレタン接着剤
ではりつけて滑り止め加工を施したのち、表地と裏地と
がそれらの端部で融着するように縁を超音波ミシンで熱
融着させ、所望の大きさに切断し、マウスパッドを製造
した。
えられたマウスパッドを用い、摩耗試験を行なった。
摩耗試験は、JIS L 1018 C法(テーパ形法)に準
拠し、摩擦試験を500回行なったのちの重量の減少量(m
g)を測定することによって行なった。その結果、かか
るマウスパッドは、表地が熱融着糸のフィラメントから
なり、さらにつなぎ糸として熱融着糸が用いられ、表地
と裏地とが相互に融着していることから、重量の減少量
は28mgと少なく、耐摩耗性にすぐれていることがわかっ
た。
なお、表地の地糸として裏地の地糸と同じ糸を用いた
参考をマウスパッドについても同様の摩耗試験を行なっ
たところ、重量の減少量は97mgであった。
また、マウスパッドの滑り止め効果を調べるために、
マウスパッドをガラス板上に載せて、このガラス板を徐
々に傾斜させ、マウスパッドが滑り落ちるガラス板の傾
斜角度を測定した。その結果、水平面からの傾斜角度は
78度と大きく、かかるマウスパッドがすぐれた滑り止め
効果を発現するものであることがわかった。なお、不織
布が積層させていない(裏地に滑り止め加工が施されて
いない)参考のマウスパッドについても同様に滑り止め
効果を調べたところ、ガラス板の水平面からの傾斜角度
は17度ときわめて小さかった。
また、えられたマウスパッドに繰り返し荷重を加えて
もマウスパッドにヘタリがほとんど生じなかった。さら
にマウスを用いた実用試験においても、マウスの滑りが
良好であり、不織布の厚さ斑を感じることがなかった。
実施例15 実施例14において、ポリウレタンメルトブロー不織布
のかわりに厚さ30μmのポリウレタンフィルムを用いて
滑り止め加工を施したほかは、実施例14と同様にしてマ
ウスパッドを製造した。
えられたマウスパッドを用い、実施例14と同様にして
滑り止め効果を調べた。その結果、ガラス板の水平面か
らの傾斜角度は85度と大きく、かかるマウスパッドがす
ぐれた滑り止め効果を発現するものであることがわかっ
た。
また、えられたマウスパッドに繰り返し荷重を加えて
もマウスパッドにヘタリがほとんど生じなかった。さら
にマウスを用いた実用試験においても、マウスの滑りが
良好であり、不織布と同様に、フィルムの厚さ斑を感じ
ることがなかった。
実施例16〜18および比較例1 実施例14において、表地の地糸における熱融着糸の含
有量を表1に示すように変更したほかは、実施例14と同
様にしてマウスパッドを製造した。
えられたマウスパッドを用い、実施例14と同様にして
摩耗試験を行なった。その結果を表1に示す。なお、表
1に示したマウスパッド中のダンボールニットの厚さ
は、実施例14において、つなぎ糸における熱融着糸の含
有量を表1に示すように変更して製造したマウスパッド
のものである。
表1に示された結果から、表地の地糸における熱融着
糸の含有量が多いほど、マウスパッドの耐摩耗性が向上
することがわかる。
実施例19 実施例14において、表地の地糸を、熱融着短繊維(ベ
ルコンビ、鐘紡(株)製、2デニール、51mm)20重量%
とレギュラーポリエステルSD(1.4デニール、51mm)80
重量%とを混紡した紡績糸に変更したほかは、実施例14
と同様にしてマウスパッドを製造した。
えられたマウスパッドを用い、実施例14と同様にして
摩耗試験を行なった。その結果、重量の減少量は64mgで
あった。
実施例20 裏地の地糸としてポリエステル系仮撚加工糸(SD75D/
24F、鐘紡(株)製)を、表地の地糸として芯鞘型熱融
着糸(ベルカップル、タイプLCO75D/24F、鐘紡(株)
製、融点:170℃、撚数:100回/m)と、前記ポリエステル
系仮撚加工糸とを交互に交撚させた糸を、つなぎ糸とし
て芯鞘型熱融着糸(ベルカップル、タイプHCC150D/24
F、鐘紡(株)製、芯:ポリエステル、芯の融点:255
℃、鞘:ナイロン6、鞘の融点:214℃、鞘のヤング率:1
90kg/mm2、撚数:100回/mを用い、40ゲージのダブルトリ
コット編み機で編立て、雰囲気温度230℃で厚さ5mmの三
層構造のダブルトリコットを製造した。
えられたダブルトリコットを用い、実施例14と同様に
してマウスパッドを製造した。
えられたマウスパッドを用い、実施例14と同様にして
摩耗試験を行なった。その結果、重量の減少量は24mgと
少なかった。
産業上の利用可能性 本発明のダンボールニットは、成形性にすぐれ、縫目
強度が大きく、クッション性にすぐれ、安価であるの
で、種々の断熱材、クッション材、成形品などに好適に
使用することができる。
また、本発明の成形品は、前記ダンボールニットを成
形してえられたものであるので、前記したようなすぐれ
た特性を有するものである。
さらに、本発明のマウスパッドは、マウスの小さな動
きにも敏感に対応することができ、しかもそれ自身はテ
ーブルなどに固定されるというすぐれたものであり、た
とえばコンピュータのマウス用などに好適に使用するこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−266246(JP,A) 特開 平6−180626(JP,A) 特開 平5−331748(JP,A) 特開 平1−250454(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D04B 1/00 D04B 21/14 G06F 3/033

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表地と裏地とがつなぎ糸で接合されてなる
    ダンボールニットであって、前記つなぎ糸が熱融着糸を
    20重量%以上含有し、前記裏地が熱融着糸を20重量%以
    上含有してなり、裏地に用いられる熱融着糸の融点がつ
    なぎ糸として用いられる熱融着糸の融点よりも20℃以上
    低いダンボールニット。
  2. 【請求項2】(削除)
  3. 【請求項3】つなぎ糸に含まれる熱融着糸が芯鞘型熱融
    着糸であり、その鞘に用いられるポリマーのヤング率が
    600kg/mm2以下である請求の範囲第1項記載のダンボー
    ルニット。
  4. 【請求項4】表地が起毛されてなる請求の範囲第1項記
    載のダンボールニット。
  5. 【請求項5】表地上に、表皮層としてポリウレタン弾性
    体層またはポリ塩化ビニル層が形成された請求の範囲第
    1項記載のダンボールニット。
  6. 【請求項6】請求の範囲第1項記載のダンボールニット
    を成形してなる成形品。
  7. 【請求項7】表地と裏地とがつなぎ糸で接合されてなる
    ダンボールニットからなり、前記つなぎ糸が熱融着糸を
    20重量%以上含有し、前記表地が熱融着糸を20重量%以
    上含有し、前記裏地に滑り止め加工が施され、前記表地
    と裏地とがそれらの端部で熱融着されてなるマウスパッ
    ド。
  8. 【請求項8】表地がフィラメントからなる請求の範囲第
    7項記載のマウスパッド。
  9. 【請求項9】表地と裏地とがつなぎ糸で接合され、前記
    表地が熱融着糸を20重量%以上含有し、前記裏地に滑り
    止め加工が施され、前記表地と裏地とがそれらの端部で
    熱融着された三層構造のダブルトリコットからなるマウ
    スパッド。
  10. 【請求項10】表地がフィラメントからなる請求の範囲
    第9項記載のマウスパッド。
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