JP3023738B2 - チタン製エンジンバルブの表面改質方法 - Google Patents

チタン製エンジンバルブの表面改質方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、チタン製エンジンバル
ブの表面改質方法に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明で使用する用語「チタン」は、チ
タン及びチタン合金を意味する。チタンは、比強度が大
きく、優れた耐食性をもち、その合金はきわめて優れた
軽量、高強度材料である。
【0003】例えば、Al 6%及びV 4%含有のチタ
ン合金は、室温及びエンジン内での使用温度範囲で耐熱
鋼と同程度の引張強度があり又比重は鋼の60%という
軽量高強度材料である。従って、自動車部品、例えばエ
ンジンバルブ材料としての使用が期待されている。
【0004】しかし、チタン合金は、耐食性、高比強
度、耐熱性に優れている反面、熱伝導率が低く、耐摩耗
性に劣るという欠点がある。一方、エンジンバルブは、
エンジン内での摺動運動で、スベリ摩擦や繰返し回転曲
げ等の応力を受けて、摩耗したり、疲労を起こすが、そ
のほとんどが表面で起こる。
【0005】エンジンバルブの寿命を支配したり、性能
を向上させる因子の大きな部分をその表面が担ってい
る。そのため、チタン合金をエンジンバルブ等の摺動部
材に用いる場合、種々の表面処理を行って、チタン合金
の表面に各種の皮膜を形成させて、表面を改質する必要
がある。
【0006】金属の表面の物性を改質する従来技術とし
て、金属表面に皮膜を形成させ、これに機能をもたせる
デポジション法と、金属表面自体を化学反応や注入、添
加で変化させ、母材金属とは異なる新しい性質の皮膜を
形成させる方法がある。前者は、真空蒸着、スパッタ蒸
着などの物理蒸着(PVD)と化学蒸着(CVD)など
であり、後者は、金属表面のレーザ処理、プラズマ処理
等である。
【0007】これらの従来技術を、チタン製エンジンバ
ルブに適用した場合、皮膜形成の生産性、皮膜とエンジ
ンバルブとの付着強度、耐摩耗性の改良度、コスト等エ
ンジンバルブの製造に重要な要件を同時に満足させるこ
とができない。とくに、皮膜形成の生産性とコストに難
点がある。
【0008】また、金属表面の改質技術として、従来よ
り、メッキが広範な分野で利用されている。しかしなが
ら、チタン製エンジンバルブをメッキして、その耐摩耗
性等を改良しようとする場合、エンジンバルブの表面の
前処理及び後処理、各種メッキ浴の組成と作業条件等各
種メッキ条件に大きく依存するため、自動車用エンジン
バルブの製造に重要な要件を満足させるように、各種メ
ッキ条件を策定することは非常に難しいことであった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】発明が解決しようとす
る課題は、チタン製エンジンバルブの表面に、皮膜を形
成させて耐摩耗性等を改良するに当って、皮膜の付着強
度、皮膜形成の生産性、コスト等エンジンバルブ製造に
重要な要件を満足させて、皮膜を形成することができな
かったことである。
【0010】
【課題を解決するための手段】課題を解決するための手
段を述べる前に、本発明を開発するに至った経緯を簡略
に解説する。本発明者等は、チタン製エンジンバルブに
Ni−Pメッキを施すことによって、チタン製エンジンバ
ルブの耐摩耗性を改良することを検討した。各種メッキ
条件を選定して実験をくり返した結果、チタン製エンジ
ンバルブに、トップコートとしてNi−Pメッキ層を施す
前に、予めアンダーコートとして、Niメッキ層を施すこ
と、その後、特定条件で熱処理すること及びNi−P金属
マトリックス層にファインセラミックスの微粒子を分散
させることによって、希望する条件でエンジンバルブの
耐摩耗性が改良されることを発見した。
【0011】従って、課題を解決するための手段を要す
れば、チタン製エンジンバルブの耐摩耗性を改良するに
当って、チタン製エンジンバルブに、アンダーコートと
して、Niメッキを施し、特定の条件で熱処理をすること
及びNi−P及びファインセラミックス微粒子から成る三
成分系のメッキ層をトップコートとして施すことであ
る。
【0012】本発明は、エンジンバルブの表面に形成さ
せる皮膜に炭化ケイ素(以下SiC)、窒化硼素(以下B
N)、窒化ケイ素(以下Si3N4)及びそれらの混合物から
成る群から選択されるファインセラミックスの微粒子を
分散させることによってチタン製エンジンバルブに要求
される耐摩耗性を得ることを特徴とする。
【0013】本発明で使用するBN,SiC及びSi3N4のファ
インセラミックスはいずれもその高強度性を利用して、
機械部品、自動車部品材料等に用途が拡大しつつある。
特に、SiC及びSi3N4は薄膜やコーティングあるいは非晶
質での利用が進められている。下の表にSiCとSi3N4の代
表的な物性を示す:
【0014】
【表1】
【0015】この表の値で特徴的なことは同じ非酸化物
セラミックスであるSiCに比較して、曲げ強度、破壊靭
性、耐熱衝撃性においてSi3N4が優れていることであ
る。
【0016】本発明では、チタン製エンジンバルブをこ
れらのファインセラミックスだけで直接コーティングす
るのではなく、ニッケル−リンの金属マトリックスと、
ファインセラミックス微粒子の複合化によって、金属が
単独では持ち得ない相乗効果を得るのが特徴である。そ
の場合、微粒子の作用は、それが有する高強度性とい
う、物理的性質に基づくものである。従って、SiC、BN
及びSi3N4のファインセラミックス微粒子は各々単独で
も、或いは二者以上を混合して使用してもよい。
【0017】本発明で、チタン製エンジンバルブの表面
に形成される皮膜を構成する単位という意味で使用する
用語「成分」は、Ni,P及びファインセラミックス微粒
子各々を一成分と見なすものである。従って、ファイン
セラミックス微粒子が「SiC」,「BN」,「Si3N4」及び
「それらの混合物」である場合、その各々を一成分と見
なすと理解されるべきである。
【0018】従って、本発明でチタン製エンジンバルブ
軸摺動部の外表部に形成される三成分系皮膜は、Ni−P
−SiC,Ni−P−BN,Ni−P−Si3N4,Ni−P−(SiC+B
N),Ni−P−(SiC+Si3N4),Ni−P−(SiC+Si3N4)及
びNi−P−(SiC+BN+Si3N4)の7種類である。
【0019】本発明の、チタン製エンジンバルブがその
外表面に有する、Ni−P−ファインセラミックス微粒子
の三成分系被膜に、直接影響を及ぼす因子として、皮膜
の粒子含有率、粒子の分布状態、粒子径、粒子の形状、
粒子と金属マトリックス界面の安定性などがある。従っ
て、本発明では、最終的に形成させようとするNi−P−
ファインセラミックス微粒子の三成分系皮膜の耐摩耗特
性を勘案して、分散粒子の諸条件を選択することが必要
である。因に、ファインセラミックス微粒子の粒径は1
0数μm以下が好ましく、1〜5μmの範囲が、より好
ましい。1μm以下になると粉体に近くなり、耐摩耗性
等の改質効果がそれ程期待出来ない。
【0020】SiC,BN,或いはSi3N4を単独、又は二者以
上を混合して使用する場合、粒径を同じ程度に揃えても
よいし、又は大、中及び小の粒径の粒子を混在させるこ
とによって、いわゆる最密パッキング効果を利用しても
よい。又、ファインセラミックス微細子の含有率は、三
成分系皮膜の重量に対して2〜10%、好ましくは、2
〜7%である。
【0021】チタン製エンジンバルブの外表面に形成さ
れるNi−P−ファインセラミックス微粒子の三成分系皮
膜の厚さは、10〜30μmの範囲が好ましい。この厚
さは、皮膜の硬さ、コスト、生産性等諸条件を勘案して
適宜選択されるベきである。
【0022】本発明の構成を添付図面に基づいて説明す
る。図1は、本発明による、チタン製エンジンバルブの
表面処理方法の実施要領を示す工程図である。図1にお
いて、T1〜T13は、各メッキ工程を示す略号である。
即ち、T1〜T6は、アンダーコートのNiメッキを施す前
の前処理、T8〜T10は、Niメッキを施した後の後処
理、そしてT12〜T13は、トップコートのNi−P−ファ
インセラミックス分散粒子の三成分系から成るメッキを
施した後の後処理工程である。
【0023】前処理はメッキする上での基本工程であ
り、メッキの密着不良の80%は前処理不十分が原因で
あるといわれている。従って、本発明では前処理を十分
に行うこととした。
【0024】工場出しされてきたエンジンバルブは、
「油の中に製品を浸せきしている」といっても過言でな
いほど油脂が付着している。この油脂を完全に取り除か
ないと密着不良の原因となる。T1の洗浄工程は、通常
の方法、たとえば蒸気脱脂、アルカリ脱脂等によってオ
イル、グリースその他の汚れを除去する工程である。
【0025】T1で使用するアルカリ脱脂液としては、
例えば下記の組成のものが使用される。
【0026】
【表2】
【0027】T1で、例えば浸漬脱脂を行った後、さら
に電解脱脂を行えば、浸漬脱脂だけでは取り除けなかっ
た微細な凹凸面に付着したバフカスや油を脱脂したり、
さびを、より完全に除くことができる。
【0028】T1の洗浄処理の後、水洗した後、T2で化
学エッチング処理を施す。化学エッチング処理は、チタ
ン製エンジンバルブの表面に形成されている薄くて丈夫
な酸化膜を取り除いて、表面を活性化する工程である。
本発明で使用される、好ましい化学エッチング処理浴の
組成および条件を下記に例示する。化学エッチング浴組成および条件
【0029】
【表3】
【0030】T3で化学エッチング処理した後、水洗し
てから、T5でさらにエッチング処理して、エンジンバ
ルブ表面の加工変質層を除去し、ひずみのない結晶面を
露出させる。T3で使用するエッチング沿の組成と条件
を下記に例示する。エッチング浴組成と条件
【0031】
【表4】
【0032】T5でのエッチング処理後水洗し、T7でNi
メッキを施す。T7でのNiメッキの目的は、トップコー
トとの付着力強度を大きくするためのアンダーコートで
ある。T7でのNiメッキ浴の組成及び条件等を解説す
る。Niイオン源としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル
或いはスルファミン酸ニッケルが使用される。コストの
点からは、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、スルファミン
酸ニッケルの順で高くなり、又、対水溶解度も、この順
で大きくなる。
【0033】アノード溶解剤としては、NiCl2・6H2Oが
好適である。ニッケルメッキはpH3.0〜6.2の範囲
で作業するので、この間のpHを望ましい値に保つため
に、緩衝剤が必要である。本発明では、ほう酸(H3B
O3)が好ましいが、ほう酸以外にも、ぎ酸ニッケル、酢
酸ニッケルもpH緩衝作用がある。
【0034】ニッケルメッキ浴のpHは低い方が高電流密
度が使用出来、電導度が増し、均一電着性が向上する
が、電流効率が低くなる。浴温は高い方が高電流密度が
使用出来、電圧が低くなり、析出物の硬さを減らし、柔
軟性を増すことができる。上述したニッケルメッキ浴の
組成および作業条件を適当に選択することによって適正
なニッケルメッキを施すことができる。
【0035】T7のニッケルメッキで使用するのに適し
た、メッキ浴の組成と条件を例示する。本発明では、こ
れらの組成例のニッケルメッキ浴を、適当に選定した作
業条件で使用する。ニッケルメッキ浴
【0036】
【表5】
【0037】T7でのニッケルメッキ処理におけるニッ
ケルメッキ層の厚さは、最低でも1μm、好ましくは1
0〜30μmの範囲である。
【0038】T7でのニッケルメッキが完了したら水洗
した後、T9で熱処理を行なう。この熱処理は、本発明
の構成上の特徴の一つであって、熱処理をすることによ
って母材であるチタン製エンジンバルブと、Ni皮膜間に
金属結合を形成させ、両者の付着強度を高める効果があ
る。熱処理は、400℃〜550℃の温度範囲で、不活
性ガス或いは真空下で、1〜4時間行こなわれる。最も
好ましくは、真空下、450°〜500℃で、1時間処
理される。
【0039】T9での熱処理が完了したら、水洗後、T
11で分散メッキを施こす。T11での分散メッキは、本発
明の構成の特徴の一つである。本発明の分散メッキは、
トップコートになる金属マトリックスNi−P皮膜中にフ
ァインセラミックス微粒子を分散させた三成分系の皮膜
で、トップコート層の耐摩耗性や耐熱性の向上を目的と
する。
【0040】T11での分散メッキの特徴は、前述したワ
ット浴や、スルファミン酸にリン源と、メッキ浴に難溶
性の微粒子を分散させておき、メッキを行ない、金属マ
トリックス(Ni−P)とともに微粒子を共析させ、金属
マトリックス中に微粒子の分散相を含む三成分系の皮膜
を形成させることである。このように、Ni−P金属マト
リックスと微粒子の複合化によって、各々単独では得ら
れない複合特性を持たせるのが、T11の分散メッキの特
徴である。
【0041】T11で使用するメッキ浴および分散粒子に
関して説明する。T11で使用するメッキ浴の一例として
は、前述のワット浴及びスルファミン酸浴に、リン源と
して、例えば次亜リン酸ナトリウムを1〜10g/l添
加したものが使用される。即ちリン源を添加したメッキ
浴から得られるNi−Pをマトリックスとして利用する。
【0042】T11での分散メッキは、上述したファイン
セラミックスの微粒子をメッキ浴に分散させたサスペン
ジョンの中で行なわれる。したがって、分散粒子が沈殿
しないようにメッキ浴をたえず攪拌し、しかも粒子を均
一に共析させなければならない。この点からも、分散粒
子の粒径は、10数μm以下が好ましく、1〜5μmの
範囲がより好ましい。1μm以下になると粉体に近くな
り、耐摩耗性等の改質効果が、それ程期待出来ない。
【0043】T11の分散メッキ工程によって形成される
分散メッキ層の厚さは、メッキ浴の組成及びメッキ条件
を適当に選択することによって、300〜500μm程
度の厚さにすることもできるが、耐摩耗性の改良度、コ
スト等諸要件を勘案すると10〜30μmの範囲で十分
である。
【0044】T11での分散メッキが終了したら、水洗し
た後、T13で熱処理を施す。分散メッキによって形成さ
れる、Ni−Pを金属マトリックスとし、SiC,Si3N4ある
いはBNあるいはそれらの混合物を分散相とする三成分系
皮膜は、熱処理することによって著しく硬くなって耐摩
耗性が向上する。熱処理は、350〜550℃、好まし
くは400〜550℃1〜4時間、最も好ましくは45
0〜500℃で1時間処理する。
【0045】この熱処理条件は、本発明の構成の特徴の
一つであるのでさらに論及しておくと、その反応機序、
因果関係等を完全には解明していないが、前工程でNi−
P−分散粒子から成る三成分系皮膜を形成させる、一
旦、300〜350℃で熱処理すると硬さはHv800程
度まで高くなり耐摩耗性は向上するが、疲レ限度は10
0MPa程度にまで極端に低下する。しかし、400〜5
50℃で1〜4時間熱処理すると、疲レ限度は200MP
a程度にまで向上し、かつ耐摩耗性も十分である。分散
粒子を含む三成分系皮膜の疲レ限度は350MPa程度で
あり、強度低下をさけられる皮膜である。従って、Ni−
P−ファインセラミックス微粒子の三成分系皮膜の硬さ
及び疲レ限度は、極めて温度依存性が高いことがわか
る。
【0046】上述した本発明の方法によって、チタン製
エンジンバルブの外周面に直接形成されたニッケル皮膜
及び前記ニッケル皮膜の表面に形成されたニッケル及び
リン及び窒化硼素、窒化ケイ素、炭化ケイ素及びそれら
の混合物から成る群から選択された分散粒子を含む三成
分系の皮膜を有する表面改質チタン製エンジンバルブが
製造される。以下、実施例を掲げ、本発明を具体的に説
明する。
【0047】
【実施例】使用したエンジンバルブ Ti−6Al−4Vのチタン合金製自動車用吸気用エンジン
バルブで、図2に示したように、軸部(1a)の一端に大
径の傘部(1b)が連設され、かつ他端部外周に、環状の
コッタ溝(1c)が形成されている。(以下、サンプルと
いう)
【0048】前処理 サンプルを、下記の組成のアルカリ脱脂浴に70℃で、
4分間浸漬して、サンプルに付着しているオイル、グリ
ースを取り除いた。
【0049】
【表6】
【0050】水洗後、サンプルを下記の組成の化学エッ
チング浴に、室温で、3分間、赤い泡が出るまで浸漬し
た。
【0051】
【表7】
【0052】水洗後、下記組成のエッチング浴に90℃
で、10秒浸漬して脱脂を完全に行なった。終了後水洗
した。
【0053】
【表8】
【0054】(アンダーコート)ニッケルメッキ 脱脂処理したサンプルを、下記の組成のスルファミン酸
ニッケルメッキ浴を使用し、下記の条件でニッケルメッ
キした。
【0055】
【表9】
【0056】形成されたニッケル皮膜の厚さを、電解膜
厚計で測定した結果10μmであった。
【0057】熱処理 ニッケルメッキ後水洗して、真空下、550℃で3時
間、加熱処理して、母材サンプルとニッケル皮膜の金属
結合を強固にした。ニッケル皮膜の硬度をミクロビッカ
ース硬度計で測定した結果は、Hv158であった。
【0058】分散メッキ 熱処理後、サンプルを水洗し、下記の組成の分散メッキ
浴を使用し、下記の条件で分散メッキを施した。
【0059】
【表10】
【0060】熱処理 水洗後、350℃で1時間熱処理を行なって、アンダー
コートのニッケル皮膜と、Ni−P−SiCの三成分系被皮
膜による金属結合を形成させ、付着強度を強固にした。
形成されたNi−P−SiC皮膜の厚さを、螢光X線厚さ測
定法で測定した結果30μmあった。また、ミクロビッ
カース硬度計で測定した結果、硬度はHv644であっ
た。
【0061】〔実施例2〕分散粒子を、SiCから、東芝
セラミック(株)製の窒化ケイ素(Si3N4)(粒径3μ
m)に代えた以外には、実施例1と同じメッキ手順を繰
り返して、Ni−P−Si3N4の三成分系皮膜を形成した。
皮膜の厚さは、30μm、硬度は、Hv670であっ
た。
【0062】〔試験例〕実施例1及び2で製造した表面
改質チタン製エンジンバルブを実用エンジンに装着し
て、下記の条件で耐久試験を行なった。耐久試験条件 (1)エンジン型式:6サイクル×4バルブ 2000cc (2)試験条件:6400rpm×4/4負荷 水温サイク
ル60〜110℃ 試験時間:200時間
【0063】評価方法 200時間耐久試験の前後におけるエンジンバルブ軸部
と、それに摺接するシリンダヘッド側のバルブガイドの
摩耗量とを測定した。結果を下に表示する。
【0064】
【表11】
【0065】考 察 通常、軸部及びバルブガイドの最大摩耗許容量は50μ
mとされているので、実施例1及び2で製造したエンジ
ンバルブは、十分実用に耐えることがわかる。また、Ni
−P−SiC(実施例1)皮膜よりも、Ni−P−Si3N4(同
2)皮膜の方が幾分優れていることもわかった。
【0066】
【発明の効果】本発明によって、次のような効果を奏す
ることができる。 (イ)コスト及び生産性等自動車部品の製造に特に重要
な要件を満足させて、チタン製エンジンバルブの表面を
改質し、特に耐摩耗性を改良することができる。 (ロ)チタン製エンジンバルブに、アンダーコートとし
てニッケル皮膜を形成させ、次いでニッケル、リン、及
び炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化硼素並びにそれらの混
合物から成る群から選択された分散粒子を含む三成分系
皮膜をトップコートとして形成させ、両皮膜に各々特定
の条件で熱処理を施すので、両皮膜の付着強度が向上
し、耐久性のよい皮膜とすることができる。 (ハ)メッキ浴の組成及びメッキ条件を変化させるだけ
で、比較的容易に、皮膜の組成、物性を変えることがで
きる。 (ニ)従来のメッキ装置及び加熱装置が使用できるので
新たな設備投資を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施要領を示す工程図である。
【図2】本発明で表面改質される、自動車吸気用エンジ
ンバルブの斜視図である。
【符号の説明】
1a 軸部 1b 傘部 1c コッタ溝
フロントページの続き (72)発明者 黒澤 一吉 東京都中央区日本橋1丁目15番1号 日 本パーカライジング株式会社内 (72)発明者 松村 由男 東京都中央区日本橋1丁目15番1号 日 本パーカライジング株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−41682(JP,A) 特開 平1−96407(JP,A) 特開 平4−333575(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F01L 3/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン製エンジンバルブの表面を改質す
    る方法であって; (1)チタン製エンジンバルブに、ニッケル皮膜を形成
    させる工程、 (2)ニッケル皮膜が形成されたチタン製エンジンバル
    ブを、真空或いは不活性ガス雰囲気で、400゜〜55
    0℃ で、1〜4時間、熱処理する工程、 (3)ニッケル皮膜の表面に、ニッケル−リン、及び炭
    化ケイ素、窒化ケイ素、窒化硼素及びそれらの混合物か
    ら成る群から選択された微粒子を含む三成分系皮膜を形
    成させる工程、次いで (4)350〜550℃で、1〜4時間熱処理する工程
    から主として成るチタン製エンジンバルブの表面を改質
    する方法。
  2. 【請求項2】 ニッケル皮膜の厚さが10〜30μmで
    ある請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 三成分系皮膜の厚さが10〜30μmで
    ある請求項1に記載の方法。
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