JP3023593U - シートベルト・ストッパ機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 腹部に掛け渡されるシートベルト部分を緩め
に調整して不快感，圧迫感から解放し、衝突時には胸部
に掛け渡されるシートベルト部分は勿論、腹部に掛け渡
されたシートベルト部分にもシートベルト本来の機能が
働き、しかも安価に製造できるシートベルト・ストッパ
機構を提供する。 【解決手段】 腹部に掛け渡されるシートベルト２ｂ部
分を緩みがでるような長さに調整した後、プレートの長
孔３ｂの隙間にシートベルト・ストッパ１を挿入する。
プレート３をシートベルト装置のバックルに嵌合させる
ことによりセッティングされる。この状態ではプレート
３，シートベルト・ストッパ１およびシートベルト２の
間の摩擦力によりプレートに対しシートベルトが動くこ
とはなく、腹部の圧迫を緩和できる。衝突等により強い
力が加わった場合にはシートベルト本来の機能が働く。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、自動車の運転席，助手席等に設けられる３点式自動巻き取りシート ベルト装置のシートベルト本来の機能を維持した状態でシートベルト装着時の圧 迫感を緩和できるシートベルト・ストッパ機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】

自動車に設置されるシートベルト装置において、装着時の圧迫感を緩和するた めに種々の機構が提案されている。 特開昭６１ー２９１２４８（シートベルト戻り止めくさび）は、シートベルト の巻き込みを行うシートベルト収納口にくさびを差し入れてシートベルトの動き を固定するもので、胸部および腹部に掛け渡されるシートベルトを緩い状態にセ ットできる。 この機構によれば、胸部および腹部の圧迫感を緩和できるが、例えば衝突した 場合、弛んだ分だけ運転手の体が前に倒れ、しかもシートベルトがくさびでロッ クされ巻き取り部分からシートベルトが高速に引き出されないためシートベルト 本来の機能を果たすことができないという欠点があった。

【０００３】 また、実願昭６２ー４７４５８（シートベルトのすべり止め機構）は固定座に 結合するジョイント部にねじ止めにより主体金具を取り付け、主体金具にバネに よってシートベルトを挟み込む抑え部材を設け、抑え部材をベルトの幅方向に移 動させることによりベルトの動きをロックしたり、解除したりするものである。 この機構によれば、ジョイント部分でシートベルトをロックする構造であるの で、腹部のシートベルトのみを緩めてセットでき、胸部に掛け渡されるシートベ ルト部分は本来のシートベルト機能が働いた状態となる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、ジョイント部に主体金具が完全に固定され、ベルトがバネの反 力により抑え部材によって単に挟みこまれているため、衝突時にシートベルト本 来のロックが作動したとしても、ずるずると強い力によってシートベルトが巻き 取り側に引かれ、充分なロック機能が働かない可能性がある。 また、主体金具自体は数点の部品で構成され、機構も複雑で安価に製造できな いという問題があった。 本考案は、上記各欠点を解決するもので、その目的は、腹部に掛け渡されるシ ートベルト部分を緩めに調整して不快感，圧迫感から解放し、衝突時には胸部に 掛け渡されるシートベルト部分は勿論、腹部に掛け渡されたシートベルト部分に もシートベルト本来の機能が働き、しかも安価に製造できるシートベルト・スト ッパ機構を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

前記目的を達成するために本考案によるシートベルト・ストッパ機構は、腰部 側部付近にシートベルトの一端を固定し、かつ、肩部付近に設けた折り返し吊り 金具を介してシートベルトを巻き込むように引き込み習性を与え、シートベルト の中間部に挿通したプレートを前記腰部側部の反対側付近でバックルに装着する ことによりシートベルトのセッティングを行う形式であって、装着時には常時、 前記折り返し吊り金具およびプレートを介して腹部に掛け渡されるシートベルト 部分および胸部に斜めに掛け渡されるシートベルト部分を身体に圧接させる３点 式自動巻き取りシートベルト装置において、前記プレートのシートベルトを挿通 させる長孔の隙間に挿入するためのゴム製板形状のシートベルト・ストッパであ って、前記シートベルト・ストッパは、前記長孔の隙間に差し込むための楔形状 の先端部と、前記先端部に連設される前記長孔の隙間より薄い中間部と、前記中 間部に連設される抜け防止部とからなる構造にし、前記腹部に掛け渡されるシー トベルト部分を任意な長さに調整した後、前記プレートで折り返されるシートベ ルトの内側より前記長孔の隙間に前記先端部を差し込み、前記プレートの反対面 側に通り抜けた前記先端部とシートベルトを共に掴み引っ張ることにより前記シ ートベルト・ストッパの中間部付近まで前記長孔の隙間に挿通し、前記プレート を前記バックルに装着したとき、前記プレート，前記シートベルト・ストッパの 中間部の両面および前記シートベルトの一面の間の摩擦力により前記シートベル トの動きを規制し、前記腹部に掛け渡されるシートベルト部分に緩みをつけて固 定可能に構成してある。

【０００６】 また、本考案は、上記３点式自動巻き取りシートベルト装置において、前記プ レートのシートベルトを挿通させる長孔の隙間に挿入するためのゴム製板形状の シートベルト・ストッパであって、前記シートベルト・ストッパの板厚を前記長 孔の隙間より薄く構成し、かつ、前記シートベルト・ストッパは前記長孔の隙間 に差し込むための縁部が曲線形状の先端部と、前記先端部に連設される中間部と 、前記中間部に連設される抜け防止部とからなる構造にし、前記腹部に掛け渡さ れるシートベルト部分を任意な長さに調整した後、前記プレートで折り返される シートベルトの内側より前記長孔の隙間に前記先端部を差し込み、前記プレート の反対面側に通り抜けた前記先端部とシートベルトを共に掴み引っ張ることによ り前記シートベルト・ストッパの中間部付近まで前記長孔の隙間に挿通し、前記 プレートを前記バックルに装着したとき、前記プレート，前記シートベルト・ス トッパの中間部の両面および前記シートベルトの一面の間の摩擦力により前記シ ートベルトの動きを規制し、前記腹部に掛け渡されるシートベルト部分に緩みを つけて固定可能に構成してある。 さらに本考案における前記抜け防止部は、前記長孔の隙間より厚い段差部で構 成してある。また、前記抜け防止部は、前記長孔の長さより外側位置に設けられ た係止部で構成してある。

【０００７】

【考案の実施の形態】

以下、図面を参照して本考案の実施の形態を説明する。 図１は、本考案によるシートベルト・ストッパ機構の実施例を説明するための 図で、図１（ａ）は図４（後述する）に示すバックル９に嵌合するプレート３の 構造を示す正面図である。 プレート３は、長孔３ａおよび３ｂが設けられ、嵌合孔３ｄを有する嵌合部３ ｃを備えている。 図１（ｂ）は、本考案によるシートベルト・ストッパの一実施例を示す正面図 および側面図である。 ゴム製の板形状のシートベルト・ストッパ１の先端部１ｂは、楔形に形成され ている。長孔３ｂの隙間に挿入し易くするためである。

【０００８】 中間部１ｃは長孔３ｂの隙間より薄く、この部分がシートベルトおよびプレー トに圧接してシートベルトの動きを止める役割を果たす。 段差部１ａは長孔３ｂの隙間より厚く、抜け止め防止部を構成する部分である 。 これら先端部１ｂ，中間部１ｃおよび段差部１ａが一体となってシートベルト ・ストッパが構成される。 図１（ｃ）にシートベルト・ストッパの他の実施例を示している。 この例は、シートベルト・ストッパ４の中間部４ｃ部分も楔形状に構成したも のである。他の構成部分は図１（ａ）のシートベルト・ストッパと同じである。

【０００９】 図２は、シートベルト２に通されたプレート３にシートベルト・ストッパ１を 装着した状態を示す側断面図、図４は、シートベルトのプレート３をバックル９ に嵌合した状態を示す斜視図である。 図２および図４を参照しながらシートベルト・ストッパを長孔の隙間に挿入す る手順を説明する。 まず、腹部に掛け渡されるシートベルト２ｂ部分を自らの腹部を締め付けない ように充分に長く調節する。そしてプレート３の長孔３ａおよび３ｂに通された Ｕ字のシートベルト２ａ部分を充分に引出した状態で、長孔３ｂの内側の隙間よ りシートベルト・ストッパ１の先端部１ｂを差し込み、プレート３の反対側に突 出するまで挿入する。

【００１０】 Ｕ字のシートベルト２ａと突出したシートベルト・ストッパ１の先端部１ｂを 共に重ねた状態で掴み、胸部に掛け渡されるシートベルト２ｃ方向に強く引っ張 ることにより、シートベルト・ストッパ１の中間部１ｃ部分まで挿通させる。引 っ張る力が強くて中間部１ｃ部分を通り抜けしようとしても、段差部１ａによっ て停止させられる。 つぎにシートベルト２ｃを引っ張り、図２に示すようにシートベルト２ａのＵ 字部分の長さを小さくするとともにシートベルト・ストッパ１の先端部１ｂを長 孔３ａの隙間部分に引き込ませる。長孔３ａの隙間は大きいため簡単にシートベ ルト・ストッパ１の先端部１ｂは引き込まれる。 このようにしてシートベルト・ストッパ１をプレート３に装着した状態で、図 ４に示すようにプレート３をバックル９に嵌合させる。

【００１１】 このとき、シートベルト・ストッパ１の中間部１ｃの一面とシートベルト２ａ の間および中間部１ｃの他面とプレート１の間の摩擦力により、シートベルトは プレート３に対し動かない状態となるため、シートベルト２ｂ部分は緩く腹部に 掛け渡され、シートベルト２ｃ部分は巻き込み部７からの引き込み習性により胸 部にピッタリと当たり、シートベルト本来の機能が働いた状態となる。 この状態で、衝突等によりシートベルトを瞬時に引き出そうとする強い力が加 わると、シートベルト装置にロック機構が働く。同時にシートベルト２ｃ部分方 向にシートベルト２ｂ部分を引き出そうとする力も加わり、シートベルト・スト ッパ１の中間部１ｃの一面とシートベルト２ａの間の摩擦力が、中間部１ｃの他 面とプレート１の間の摩擦力より大きいため、シートベルト２が引っ張られる方 向にシートベルト・ストッパ１も共に動き、段差部１ａが変形してシートベルト ・ストッパ１が長孔３ｂを通り抜ける。

【００１２】 そのため、プレート３よりシートベルト・ストッパ１が脱落し、腹部に掛け渡 されたシートベルト２ｂ部分にもシートベルト本来の機能が働くことになる。 なお、上記構成により衝突等により瞬時にシートベルトに強い力が加わりシー トベルト本来の機能が働いたとき、シートベルト・ストッパ１が脱落することを 本件考案者は実験により確認している。 プレート１をバックル９より解放した場合には、シートベルトはシートベルト ・ストッパが装着された状態で折り返し吊り金具８を介して巻き込み部７に巻き 込まれる。同じ人間が再度、シートベルトをセッティングする場合、腹部に掛け わたされるシートベルトの長さを調整する必要はない。

【００１３】 図３（ａ）は、図１とは異なるプレートに対し本考案によるシートベルト・ス トッパを装着した状態を示す側断面図である。 プレート５はプレート３と異なり１つの長孔５ａを有するもので、他の構成部 分はプレート３と基本的に変わることはない。 シートベルト・ストッパ１を挿入する方法も図２の場合と同様であり、効果も 同様である。 図３（ｂ）は、さらに他のシートベルト・ストッパの実施例を示している。 シートベルト・ストッパ１０は、全体が同じ厚さで、プレートの長孔の隙間よ り薄くなっている。先端部１０ｂはエッジが円弧状であり、抜け防止部である係 止部１０ａは長孔の長さより外側位置になる部分に形成されている。 係止部１０ａは、衝突等によりシートベルト本来の機能が働いたとき、変形し て長孔を通り抜ける程度の大きさとなっている。他の機能および効果は図１（ｂ ）のシートベルト・ストッパと同じである。 プレートの構造、特に長孔の幅および長さはメーカにより異なるので、長孔の 幅および長さならびにシートベルトの厚さによりシートベルト・ストッパの厚さ を選択すれば良い。

【００１４】

【発明の効果】

以上、詳しく説明したように本考案は、３点式自動巻き取りシートベルト装置 において、プレートのシートベルトを挿通させる長孔の隙間に挿入するためのゴ ム製板形状のシートベルト・ストッパであって、シートベルト・ストッパは、長 孔の隙間に差し込むための楔形状の先端部と、先端部に連設される長孔の隙間よ り薄い中間部と、中間部に連設される抜け防止部とからなる構造にし、腹部に掛 け渡されるシートベルト部分を任意な長さに調整した後、プレートで折り返され るシートベルトの内側より長孔の隙間に前記先端部を差し込み、プレートの反対 面側に通り抜けた先端部とシートベルトを共に掴み引っ張ることによりシートベ ルト・ストッパの中間部付近まで長孔の隙間に挿通し、プレートを前記バックル に装着したとき、プレート，シートベルト・ストッパの中間部の両面およびシー トベルトの一面の間の摩擦力により前記シートベルトの動きを規制し、腹部に掛 け渡されるシートベルト部分に緩みをつけて固定可能に構成したものである。

【００１５】 したがって、腹部に掛け渡されるシートベルト部分を緩めに調整して不快感， 圧迫感から解放し、衝突時には胸部に掛け渡されるシートベルト部分は勿論、腹 部に掛け渡されたシートベルト部分にもシートベルト本来の機能が働くという効 果がある。また、シートベルト・ストッパはゴム部材で一体に構成されるので安 価に製造でき、しかも当初にプレートに装着しておけば、同じ人間が座席にすわ る限り、再度調整する必要がないという利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案によるシートベルト・ストッパ機構の実
施例を説明するための図で、（ａ）はプレートの正面
図，（ｂ）はシートベルト・ストッパの実施例を説明す
るための正面図および側面図、（ｃ）はシートベルト・
ストッパの他の実施例を示す側面図である。

【図２】シートベルトを通したプレートに本考案による
シートベルト・ストッパを装着した状態を示す側断面図
である。

【図３】（ａ）は図１とは異なるプレートに対し本考案
によるシートベルト・ストッパを装着した状態を示す側
断面図，（ｂ）はさらに他のシートベルト・ストッパの
実施例を示す側面図である。

【図４】シートベルトを装着した状態を示す斜視図であ
る。

【符号の説明】

１，４，１０…シートベルト・ストッパ ２…シートベルト ３，５…プレート ６…運転手 ７…巻き込み部 ８…折り返し吊り金具 ９…バックル

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 腰部側部付近にシートベルトの一端を固
   定し、かつ、肩部付近に設けた折り返し吊り金具を介し
   てシートベルトを巻き込むように引き込み習性を与え、
   シートベルトの中間部に挿通したプレートを前記腰部側
   部の反対側付近でバックルに装着することによりシート
   ベルトのセッティングを行う形式であって、装着時には
   常時、前記折り返し吊り金具およびプレートを介して腹
   部に掛け渡されるシートベルト部分および胸部に斜めに
   掛け渡されるシートベルト部分を身体に圧接させる３点
   式自動巻き取りシートベルト装置において、 前記プレートのシートベルトを挿通させる長孔の隙間に
   挿入するためのゴム製板形状のシートベルト・ストッパ
   であって、 前記シートベルト・ストッパは、前記長孔の隙間に差し
   込むための楔形状の先端部と、前記先端部に連設される
   前記長孔の隙間より薄い中間部と、前記中間部に連設さ
   れる抜け防止部とからなる構造にし、 前記腹部に掛け渡されるシートベルト部分を任意な長さ
   に調整した後、前記プレートで折り返されるシートベル
   トの内側より前記長孔の隙間に前記先端部を差し込み、
   前記プレートの反対面側に通り抜けた前記先端部とシー
   トベルトを共に掴み引っ張ることにより前記シートベル
   ト・ストッパの中間部付近まで前記長孔の隙間に挿通
   し、前記プレートを前記バックルに装着したとき、前記
   プレート，前記シートベルト・ストッパの中間部の両面
   および前記シートベルトの一面の間の摩擦力により前記
   シートベルトの動きを規制し、前記腹部に掛け渡される
   シートベルト部分に緩みをつけて固定可能にしたことを
   特徴とするシートベルト・ストッパ機構。
2. 【請求項２】 腰部側部付近にシートベルトの一端を固
   定し、かつ、肩部付近に設けた折り返し吊り金具を介し
   てシートベルトを巻き込むように引き込み習性を与え、
   シートベルトの中間部に挿通したプレートを前記腰部側
   部の反対側付近でバックルに装着することによりシート
   ベルトのセッティングを行う形式であって、装着時には
   常時、前記折り返し吊り金具およびプレートを介して腹
   部に掛け渡されるシートベルト部分および胸部に斜めに
   掛け渡されるシートベルト部分を身体に圧接させる３点
   式自動巻き取りシートベルト装置において、 前記プレートのシートベルトを挿通させる長孔の隙間に
   挿入するためのゴム製板形状のシートベルト・ストッパ
   であって、 前記シートベルト・ストッパの板厚を前記長孔の隙間よ
   り薄く構成し、かつ、前記シートベルト・ストッパは前
   記長孔の隙間に差し込むための縁部が曲線形状の先端部
   と、前記先端部に連設される中間部と、前記中間部に連
   設される抜け防止部とからなる構造にし、 前記腹部に掛け渡されるシートベルト部分を任意な長さ
   に調整した後、前記プレートで折り返されるシートベル
   トの内側より前記長孔の隙間に前記先端部を差し込み、
   前記プレートの反対面側に通り抜けた前記先端部とシー
   トベルトを共に掴み引っ張ることにより前記シートベル
   ト・ストッパの中間部付近まで前記長孔の隙間に挿通
   し、前記プレートを前記バックルに装着したとき、前記
   プレート，前記シートベルト・ストッパの中間部の両面
   および前記シートベルトの一面の間の摩擦力により前記
   シートベルトの動きを規制し、前記腹部に掛け渡される
   シートベルト部分に緩みをつけて固定可能にしたことを
   特徴とするシートベルト・ストッパ機構。
3. 【請求項３】 前記抜け防止部は、前記長孔の隙間より
   厚い段差部である請求項１または２記載のシートベルト
   ・ストッパ機構。
4. 【請求項４】 前記抜け防止部は、前記長孔の長さより
   外側位置に設けられた係止部である請求項１または２記
   載のシートベルト・ストッパ機構。