JP3022950B2 - B細胞分化因子 - Google Patents

B細胞分化因子

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JP3022950B2
JP3022950B2 JP7195345A JP19534595A JP3022950B2 JP 3022950 B2 JP3022950 B2 JP 3022950B2 JP 7195345 A JP7195345 A JP 7195345A JP 19534595 A JP19534595 A JP 19534595A JP 3022950 B2 JP3022950 B2 JP 3022950B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、B細胞分化因子に
関する。さらに詳しくは、マウスのT細胞株が産生する
B細胞分化因子および該因子をコードするDNA配列に
関する。 【0002】 【従来の技術】B細胞分化因子(TRF:T cell
Replacing Factorとも呼ばれる)
は、血液中のT細胞系列から産生されB細胞に直接作用
し、これを抗体産生細胞に分化・誘導するポリペプチド
からなる因子である。 【0003】抗体は、生体に侵入する細菌、ウイルスあ
るいは癌細胞などの生体異物と反応し、これらを不活性
化したり排除したりする機能をもっている。B細胞分化
因子(以下TRFと略す)は、特定抗原(生体異物)に
特異的なB細胞クローン即ち特定抗原に感作されたB細
胞クローンを抗体産生細胞に誘導して、該抗原に対する
抗体を産生させることから、TRFは、種々の感染症お
よび癌の治療の面から有用な物質である。即ち、TRF
は、この因子の生体内での過少によってひきおこされる
と考えられる自己免疫疾患や免疫不全症等の診断、治療
のみならず種々の感染症や癌の治療に利用できることが
期待される。 【0004】TRFに関してはこれまでいくつかの研究
がなされている。例えば、TRF産生細胞として知られ
ているT細胞ハイブリドーマB151K12株の培養液
からTRF活性を有する物質の精製が試みられ、温度お
よび酸性pHで比較安定な、単量体の分子量が18,0
00乃至19,000の糖蛋白質であろうと推定されて
いる〔Takatsu,K.et.al.,J.Imm
unol.134,382,1985,Harada,
N.et.al.,J.Immunol.134,39
44,1985および特開昭60−237022な
ど〕。しかしながら、培養液中のTRF含量は少なく、
多段の精製過程(硫安沈澱、陰イオン交換クロマトグラ
フィー、ゲル濾過、HPLC、スラブ電気泳動、逆相H
PLC、レクチンアフィニティーカラムクロマトグラフ
ィーなど)を経て分取できる物質は極微量であるため、
その構造(アミノ酸配列)も物理化学的性質も明確にさ
れるには至っていない。また、TRFの生産に関与する
遺伝子(DNA配列)も知られていない。なお、上述先
行技術の精製TRFは、BCGF(B cell Gr
owth Factor:B細胞増殖因子)IIの活性も
有することが示されている。また、複数のTRFの存在
も示唆されている。 【0005】このように、従来B細胞を分化・誘導する
因子(TRF)の構造は明らかでなく、それを大量に生
産して実用に供することは不可能であった。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】即ち、本発明は、TR
F高生産細胞からTRFmRNAを単離し、TRF生産
を支配するTRF遺伝子(即ちDNA配列)を明らかに
すると共に、TRF分子の構造(アミノ酸配列)を明ら
かにすることにより、組換えDNA技術でTRFの大量
生産および医薬等への応用の可能正を提供しようとする
ものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、既にSi
deras,P.らによって樹立されているIgG1
導因子BCDFγ産生細胞であるT細胞ライン2.19
(Eur.J.Immunol.,15,586〜59
3,1985)が、従来用いられているT細胞ハイブリ
ドーマB151K12株よりもTRFを約100倍量生
産することを見出した。そこでこのT細胞ライン2.1
9を用いて上記の問題点を解決すべく鋭意研究の結果本
発明を完成するに至った。 【0008】本発明のDNAを調製するには、まずT細
胞ライン2.19からmRNA画分を常法により調製
し、poly(A)+ RNAを用いて既に開発されてい
る方法(Noma,Y.et.al.Nature
19,640〜646,1986)に従いcDNAライ
ブラリーを作製する。このライブラリーから得られる各
cDNAクローンのプラスミドDNAを制限酵素Sal
Iで直線化した後、in vitroの系でSP6
RNAポリメラーゼで転写させてmRNAを得る。この
ようにして作製されたmRNAをアフリカツメガエル
(Xenopus)の卵母細胞(oocyte)に注射
して培養し、培養上清に分泌されてくるmRNAからの
翻訳産物(蛋白質)のTRF活性およびBCGFII活性
の有無を測定する〔Gronowicz,E.et.a
l.,Eur.J.Immunol.6,588〜59
0,1976およびTakatau,K.et.a
l.,J.Immunol.125,2646〜265
3,1980〕。尚、ここで述べるTRF活性およびB
CGFII活性は、各々下記の活性を有することによって
定義される。 【0009】A) TRF活性: 1) マウス慢性B白血病細胞(BCL1 )をIgM抗
体産生細胞に分化させる活性、 2) 抗原(DNP−KLH)感作させたマウス脾臓内
B細胞を抗原(DNP−オボアルブミン)で刺激し、特
異的抗体(抗DNP−IgG)産生細胞に分化させる活
性、または 3) in vivoで活性化したB細胞ブラストのI
gM合成誘導活性。 【0010】B) BCGFII活性: 1) BCL1 細胞の分裂促進、または 2) デキストラン硫酸刺激休止B細胞の分裂促進。 【0011】上記の活性測定法の内、特にA)−1)お
よびB)−1)の活性を指標にして、in vitro
で転写されるmRNAのTRF活性およびBCGFII活
性の測定を行ない、TRFのcDNAを有するクローン
を前記cDNAライブラリーから選択するのが便利であ
る。次に選択されたクローン(pSP6K−mTRF2
3)のプラスミドDNAに挿入されているcDNA断片
の塩基配列は公知の方法(後記実施例に記載するジデオ
キシ法およびユニディレクショナルディリーション法)
により決定し(図1参照)、意味のあるオープンリーデ
ィングフレーム(ポリペプチドをコードする塩基配列)
を探しTRFのアミノ酸配列を定めることができる。こ
の際、選択されたクローンpSP6K−mTRF23の
挿入DNA領域には、133個と62個のアミノ酸から
なるポリペプチドをコードする二種のオープンリーディ
ングフレームが見出されるが、後者(図1中544番目
から729番目の塩基配列に相当)のポリペプチドは、
分子量が約6,500であって、この値は2.19細
胞から産生されるTRFの単量体分子量(約18,00
0)に比べたとえ糖鎖が付与されているとしても小さす
ぎること、およびこのオープンリーディングフレーム
中に存在するACC I切断部位を当該制限酵素で切断
して作製されたクローンから調製されるmRNAが、ア
フリカツメガエルの卵母細胞でTRF産生能を失わない
ことから、TRFポリペプチドではない。従って、2.
19細胞がその生体内でまず産生するTRFは、133
個のアミノ酸からなるポリペプチドであると決定される
(図1参照)。尚、このポリペプチドのN末端にあるM
et(メチオニン)は、翻訳後修飾過程(post t
ranslational modification
process)で、フォルミル化やアセチル化され
ることがあり、またMetが取り除かれたりすることも
ある。 【0012】このように決定されるポリペプチドのN末
端領域には、分泌蛋白質に特有のリーダー配列(図1
中、N末端から約20番目までのアミノ酸配列に相当す
る疎水性の強いペプチド領域)が存在している。このこ
とは2.19細胞培養上清にTRFが分泌される事実と
合致する。通常、リーダー配列は、生体内でプロセシン
グ(シグナルぺプチダーゼによる切断など)を受け、そ
の領域が取り除かれた成熟ポリペプチドになることが知
られている。これまで知られているリーダー配列の切断
部位〔一般にアラニン(Ala)やグリシン(Gly)
などのアミノ酸のC末端側;Watson,M.E.
E.,Nucl.Acid.Res.12,5145〜
5164,1984参照〕から、本発明で用いた2.1
9細胞が分泌するTRF活性(或いはBCGFII活性)
をもつ約18,000分子量の蛋白質(糖蛋白質)は、
図1に示すアミノ酸配列中の各々19番目、21番目或
いは22番目から133番目までのポリペプチドを含む
分子であると考えられる。このことは、TRFが糖蛋白
質であることから考え、これらのポリペプチドの分子量
(およそ12,300〜12,700)の添架からも妥
当である。即ち、このポリペプチドから計算される分子
量(約12,300)は、オープンリーディングフレー
ム(図1中44番目から442番目までの塩基配列)に
対応するアミノ酸配列中に存在する3ケ所のN−グリコ
シル化可能部位(図1中の下線を引いたアミノ酸配列)
から考え矛盾はない。尚、上記のようなプロセシングを
受けて生じたポリペプチドのN末端のアミノ酸残基は、
さらにアセチル化されたり、またそれがGlu(グルタ
ミン酸)の場合はピロル化されたりすることがある。 【0013】さらに、生体内で産生されるポリペプチド
は、そのC末端が生体内でのプロセシングの過程で欠失
されることがあることが知られており、図1で示したポ
リペプチドのC末端のアミノ酸あるいはぺプチドの一部
が欠失していることもあると考えられる。 【0014】これらのポリペプチドは、図1に示すDN
A、特に翻訳終止コドン(TGA)を含む1〜133ま
でのアミノ酸配列に対応する塩基配列、あるいはこれと
実質的に同等な塩基配列を有するDNAを適当な発現ベ
クターに挿入し、これを適当な微生物や動物宿主細胞に
導入(形質転換)して、その形質転換体を培養すること
により、これるでの細胞培養に比べ効率的且つ大量に生
産することができる。 【0015】以下、実施例でもって本発明をさらに詳し
く説明する。 【0016】 【実施例】 (1) TRFmRNAの調製 TRF産生細胞としては、T細胞ライン2.19を用い
た。本細胞ラインはSideras,P.らによって既
に樹立されているものである(Sideras,P.e
t.al.Eur.J.Immunol.,15,58
6〜593,1985)。 【0017】まず、ConA(コンカナバリンA)で活
性化した2.19T細胞からNoma,Y.らの方法
(Nature,319,640〜646,1986)
に従いpoly(A)+ RNA(mRNA画分)を抽出
し,5〜22%の濃度勾配を用いた蔗糖密度勾配遠心法
(36,000rpm、15時間)によりpoly
(A)+ RNA抽出液を16の画分に分画分取した。次
に、各分画の適当量をアフリカツメガエル(Xenop
us)の卵母細胞(oocyte)に注射し、20℃で
36時間培養後その培養液についてTRF活性およびB
CGFII活性を測定した。 【0018】TRF活性の測定は、卵母細胞培養上清サ
ンプルを、1.5×105 個のBCL1 細胞を含む0.
2mlのRITC培地(血清フリーで5mg/mlの牛
血清アルブミン、50μMの2−メルカプトエタノー
ル、抗生物質を含む)で培養した培地に加え、2日後、
Gronowicz,E.らのプロティンAプラーク測
定法〔Eur.J.Immunol.6,588〜59
0,1976〕により、IgM分泌産生細胞数を測定す
ることにより行った。一方、BCGFII活性の測定は、
上記BCL1 細胞の増殖度を2日培養の最後の6時間に
3Hチミジンを加えて上記BCL1 細胞に取り込まれる
3Hチミジン量で測定することにより行った。 【0019】その結果、図2に示す如く、BCGFII活
性(図中の黒棒)は、9Sおよび16SのmRNA画分
にみられ、TRF活性(図中の白棒)は、16SのmR
NA画分のみにみられた。なお、同図中、Pは、TRF
産生株の1つであるT細胞ハイブリドーマB151K1
2株の培養上清を50%の濃度で上記BCL1 培養培地
に加えたポジティブコントロールを示し、Nは、mRN
A画分の代りにリン酸バッファーを卵母細胞に注入して
培養したネガティブコントロールを各々示す。 【0020】9S mRNAの分子サイズはインターロ
イキン(IL)−4のmRNAサイズに相当すること
〔Noma.Y.et.al.Nature,319,
640〜646,1986〕、および9S mRNA画
分にはBCL1 増殖促進活性はあるが、BCL1 細胞の
IgM分泌産生細胞への分化活性がみられないことか
ら、本発明者らは、2.19T細胞の16S mRNA
画分にTRF mRNAが存在すると判断し、次にcD
NAライブラリーの作製を試みた。 【0021】(2) cDNAライブラリー調製とTR
FcDNAクローンの選択 ConAで活性化した2.19T細胞の全poly
(A)+ RNAのcDNAライブラリーは、SP6プロ
モーターを含むプラスミドを用いたNoma,Y.らの
方法〔Nature,319,640〜649,198
6〕に準じて調製し、約5×104 個のcDNAクロー
ン(pSP6KcDNA ライブラリー)を得た。 【0022】次に、これらのクローンのプラスミドDN
Aの混合物を、Sac IとSalIで各々消化してプ
ラスミドを直線化させた後、試験管内(in vitr
o)でSP6RNAポリメラーゼを用いてmRNAを合
成させた。このように調製したmRNA溶液をアフリカ
ツメガエル(Xenopus)の卵母細胞(oocyt
e)に注射し、20℃で36時間培養後培養液中に分泌
された生成物を集め、実施例(1)で示した測定法によ
りTRF活性およびBCGFII活性を測定した。その結
果、Sal Iで消化したDNA断片から調製したmR
NAには両活性が観察されたが、Sac Iで消化した
DNA断片からのmRNAにはいずれの活性も認められ
なかった。 【0023】次に、上記2.19 T細胞ラインのmR
NAから調製されたpSP6KcDNAライブラリーを
18のプールに分け、(1プール約3,000クロー
ン)、各々について上記の方法に従いTRF活性および
BCGFII活性を測定した。その結果、1つのプール
(No.17)のみが両活性を示した。そこで、このプ
ールをさらにサブグループに分け、同様な方法でTRF
およびBCGFII活性を測定し、60個のクローンから
なるポジティブな活性を持つ一つのグループを得た。続
いて、これらのクローンのプラスミドDNAに挿入され
たDNA断片(cDNA)が、1Kb以上でその塩基配
列中Sac I切断部位がありSal I切断部位がな
いことを確かめ、上記60クローンから7クローン(ク
ローンNo.16,18,23,27,42,51およ
び53)を得た。これら7クローンのTRF活性(Ig
Mプラーク形成細胞数)およびBCGFII活性( 3Hチ
ミジン取込み量)については表1に示した。これらの7
クローンの内、No.23のクローンが最も強い活性を
示したのでこのクローンのプラスミドをpSP6K−m
TRF23(図3参照)と名付け以後の解析を行った。
尚、このプラスミドによって形質転換された大腸菌HB
101/pSP6K−mTRF23は、Escheri
chia coli SBM 285と命名し、微工研
にFERM P−8828の受託番号を得て寄託されて
いる。 【0024】 【表1】 表 1 細胞培養上清又はmRNA注入卵母細胞培養上清のTRF およびBCGFII活性 -------------------------------------------------------------- 細胞培養上清又は サンプル IgM プラーク 3H-チミジン 卵母細胞に注入さ 添加量* 形成細胞 取込み れるmRNA鋳型 (%) /培養 (cpm/培養) -------------------------------------------------------------- 1)細胞培養上清: B51K12 ハイブリドーマ 25 1834 7069 10 903 4222 2.19 T細胞ライン 1.0 3134 13726 0.25 1716 6847 コントロール 0 211 1289 2)mRNA鋳型: Sac I消化ライブラリー 5 500 8396 Sal I消化ライブラリー 5 799 14342 リン酸バッファー 5 563 6732 cDNA クローン No.16 5 199 1728 〃 18 5 233 1969 〃 23 5 3132 17970 〃 27 5 366 2001 〃 42 5 215 1650 〃 51 5 201 1862 〃 53 5 180 1883 コントロール(蒸留水) 5 150 1654 pSP6K-mTRF23 1 3229 10824 〃 0.25 1662 6615 〃 0.06 772 3037 〃 0.015 232 1625 〃 0.008 213 1497 -------------------------------------------------------------- * 活性測定用培地量に対するサンプル量の割合を示す。 【0025】(3) cDNA塩基配列の解析とTRF
ポリペプチド pSP6K−mTRF23に挿入されたcDNAは、一
旦pUC18プラスミドのBamHIサイトにサブクロ
ーニングし、ジデオキシ法〔Sanger,F.et.
al.,Proc.Natl.Acad.Sci.US
A,74,5463〜5469,1977〕およびユニ
ディレクショナル ディリーション法〔unidire
ctional deletion 法、Yanisc
h−Perron,C.et al.,Gene
3,103〜119,1985〕とを組合わせ、の塩基
配列を決定した。塩基配列決定のストラテジーを図4に
示した。その結果、図1に示すようにpolyAテール
領域を除く1533の塩基対からなる配列を得た。 【0026】この塩基配列を詳細に解析した結果、13
3個のアミノ酸残基(図1中、44番目から442番目
までの塩基配列)と62個のアミノ酸残基(図1中、5
44番目から729番目の塩基配列)からなる2つのオ
ープンリーディングフレームが見出されたが、(i)T
RFポリペプチド(糖蛋白質)は、2.19T細胞ライ
ンおよび当該mRNAが注射された卵母細胞から分泌産
生され、その単量体(SDSポリアクリルアミドゲル電
気泳動による解析)は、約18,000の分子量を有す
ること、(ii)62個のアミノ酸残基からなるオープン
リーディングフレーム中に存在するAcc I切断部位
(図1中624〜629の塩基配列)を当該酵素で切断
して直線化したDNAからのmRNAが卵母細胞におい
てTRFおよびBCGF産生能があること(iii)62個
のアミノ酸残基からなるポリペプチドの分子量(約6,
500)は、TRF単量体の推定分子量約18,000
に比べ、たとえ糖鎖が付加されたとしても(当該配列中
1個のN−グリコシル化のシグナル配列あり)、小さ過
ぎることなどから、2.19T細胞ラインでまず産生さ
れるTRFまたはBCGFII活性を有するポリペプチド
(TRFポリペプチドと略す)は、図1に示す133個
のアミノ酸配列からなると判断された。但し、このポリ
ペプチドのN末端にあるMet(メチオニン)は、翻訳
後修飾過程(post translational
modification process)により、
フォルミル化されたりアセチル化されたり或いはMet
残基が取り除かれたりすることが、これまで報告されて
いる生体内ポリペプチドの修飾過程から考えられる。 【0027】図1に示す133個のアミノ酸残基からな
るポリペプチドのN末端には、20個前後のアミノ酸残
基からなる疎水性の強いぺプチドが存在している。この
配列(リーダー配列)は、分泌蛋白質がもつ特有のもの
であり、蛋白質が細胞内から分泌される際、この配列が
除去されることが知られている。一般にアラニン(Al
a)やグリシン(Gly)などのアミノ酸残基のC末端
が切断されることが多いこと(Watson,M.E.
E.,Nucl.Acid.Res.12,5145〜
5164,1984)、またリーダー配列は通常20個
前後のぺプチドであることなどから、本発明におけるT
RFまたはBCGFII活性を有するポリペプチドは、図
1中に示すアミノ酸配列中の19番目、21番目或いは
22番目から133番目までのポリペプチドを含む分子
であると考えられる。これらのポリペプチドの分子量
(およそ12,300〜12,700)は、TRFの単
量体が分子量約18,000の糖蛋白であることとほぼ
一致する。 【0028】また、上記のようにリーダー配列が除去さ
れて生じたポリペプチドのN末端のアミノ酸は、さらに
生体内でアセチル化されたり、またそれがグルタミン酸
(Glu)の場合はピロル化されたりすることがあるこ
とは、これまで生体内から見出されているぺプチドの構
造からみて当然考えられる。 【0029】(4) pSP6K−mTRF23プラス
ミドのTRF活性 pSP6K−mTRF23プラスミドDNAからSP6
RNAポリメラーゼによって転写されたmRNAが、注
入され、培養された卵母細胞の培養上清のTRF活性
(BCL1 細胞のIgM分泌産生細胞への分化活性)と
BCGFII活性(BCL1 細胞への 3Hチミジンの取込
み量)は表1に示した。 【0030】さらに、Takatsu,K.ら〔J.I
mmunol.125,2646〜2653,198
0〕の方法に従い、上記卵母細胞生産物(γTRFと略
す)の抗DNP−IgG抗体産生応答反応の促進効果に
ついて調べた。まずBALB/cマウスをDNP−キイ
ホールリンペットヘモシアニン〔Keyhole li
mpet hemocyanin;KLH〕で感作し、
6〜8週間後、脾臓細胞を集め抗Thy1.2抗体と補
体処理によりB細胞をエンリッチし、γTRFの抗DN
P−IgGプラーク形成細胞促進能を調べた。その結
果、γTRFは抗原(DNP−オボアルブミン:DNP
−OA)存在下、DNP感作されたB細胞を刺激し、明
らかに抗DNP−IgG産生細胞へ分化させる活性を示
した(表2)。さらにデータは示さないが、γTRF
は、in vivoで活性化されたB細胞ブラストのI
gM合成誘導活性をも示した。尚、IL−1,IL−
2,IL−3およびBSF−1の活性はいずれも示さな
かった。これらの結果から、本発明においてpSP6K
−mTRF23にクローン化されたcDNA(図1参
照)がTRFポリペプチドの産生を支配していることが
確認できた。 【0031】尚、pSP6K−mTRF23クローンは
BCL1 細胞のIgMプラーク形成細胞促進活性とBC
1 増殖促進活性とを常に有していること(表1参照)
から、TRFとBCGFIIは同じ分子であることが示唆
された。 【0032】 【表2】 表 2 γTRF による抗 DNP-IgGプラーク形成の促進効果 ----------------------------------------------------------- 抗Thy1.2抗体+補体 γTRF 量 抗 DNPIgG プラーク 抗 原 * 前 処 理 (%) 形成細胞/培養 ----------------------------------------------------------- − な し 0 127 − DNP-KLH 0 1792 + な し 0 127 + DNP-KLH 0 199 + DNP-OA 0 92 + DNP-OA 1 695 + DNP-OA 0.5 884 + DNP-OA 0.25 555 + DNP-OA 0.125 382 ----------------------------------------------------------- * 培養量に対するγTRF の添加割合を示す。
【図面の簡単な説明】 【図1】pSP6K−mTRF23に挿入されたcDN
Aの塩基配列とTRFポリペプチド領域のアミノ酸配列
を示す図である。 【図2】mRNA画分のTRF活性(プラーク形成細
胞:PFC)とBCGFII活性(3Hチミジンの取込
み)を示すグラフである。 【図3】(A)は、pSP6K−mTRF23クローン
のプラスミドの概略図であり、(B)は(A)のインサ
ートcDNA周辺の概略図である。 【図4】pSP6K−mTRF23に挿入されたcDN
Aの塩基配列決定のストラテジーを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−237022(JP,A) The Journal of Im munology,Vol.134,No. 1(1985)p.382−389 The Journal of Im munology,Vol.134,No. 6(1985)p.3944−3951

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.次式I:〔式中、STPは翻訳終止コドンを表わす。〕で表される
    塩基配列またはその5’末端が54番のCまで、60番
    のCまで若しくは63番のGまで欠失した塩基配列を有
    するB細胞分化活性因子をコードするDNAの転写物で
    あるmRNAが真核または原核細胞内で翻訳されて生じ
    るポリペプチドをポリペプチド成分として有し、天然か
    ら単離精製されたタンパク質ではなく、マウス由来の他
    のタンパク質を実質的に含まない、組換え体である、B
    細胞分化活性を有する因子。 2.BCGFII活性も有する請求項1の因子。 3.ポリペプチドが式II: 〔式中、XはH(水素原子)、fMet(フォルミルメチオ
    ニン)、AcMet(アセチルメチオニン)またはMet(メチ
    オニン)を表わす。〕で表わされるポリペプチドまたは
    そのN末端から18番のAlaまで、20番のAlaまで、ま
    たは21番のMetまでのアミノ酸残基が欠失したポリペ
    プチドである請求項1の因子。 4.次式III: Y -Glu-Ile-Pro-Met-Ser-Thr-Val-Val-Lys- Glu-Thr-Leu-Thr-Gln-Leu-Ser-Ala-His-Arg- Ala-Leu-Leu-Thr-Ser-Asn-Glu-Thr-Met-Arg- Leu-Pro-Val-Pro-Thr-His-Lys-Asn-His-Gln- Leu-Cys-Ile-Gly-Glu-Ile-Phe-Gln-Gly-Leu- Asp-Ile-Leu-Lys-Asn-Gln-Thr-Val-Arg-Gly- Gly-Thr-Val-Glu-Met-Leu-Phe-Gln-Asn-Leu- Ser-Leu-Ile-Lys-Lys-Tyr-Ile-Asp-Arg-Gln- Lys-Glu-Lys-Cys-Gly-Glu-Glu-Arg-Arg-Arg- Thr-Arg-Gln-Phe-Leu-Asp-Tyr-Leu-Gln-Glu- Phe-Leu-Gly-Val-Met-Ser-Thr-Glu-Trp-Ala- Met-Glu-Gly (III) 〔式中、Yは、H(水素原子)、MetまたはThr-Ala-Met
    を表わすが、但し、N末端のアミノ酸はアセチル化さ
    れていても良く、或いはYがHの場合のN末端のGluは
    ピロル化されていても良い。〕で表わされるアミノ酸配
    列を有し、請求項3で与えられた式IIで表わされるポリ
    ペプチドのN末端側のペプチドが真核または原核細胞内
    でプロセシングを受けて生じたポリペプチドをポリペプ
    チド成分として有する、B細胞分化活性を有する請求項
    1の因子。 5.BCGFII活性も有する請求項4の因子。
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