JP3022935B2 - トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール四水和物結晶、及び該四水和物結晶または無水物の製造方法 - Google Patents
トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール四水和物結晶、及び該四水和物結晶または無水物の製造方法Info
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- JP3022935B2 JP3022935B2 JP3248407A JP24840791A JP3022935B2 JP 3022935 B2 JP3022935 B2 JP 3022935B2 JP 3248407 A JP3248407 A JP 3248407A JP 24840791 A JP24840791 A JP 24840791A JP 3022935 B2 JP3022935 B2 JP 3022935B2
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Description
【0001】
【0002】本発明は、ポリエステル系塗料、繊維、樹
脂などの原料または化学中間体として有用なトランス−
1,4−シクロヘキサンジメタノール四水和物結晶、及
び該四水和物結晶または無水物の製造方法に関する。
脂などの原料または化学中間体として有用なトランス−
1,4−シクロヘキサンジメタノール四水和物結晶、及
び該四水和物結晶または無水物の製造方法に関する。
【0003】
【0004】従来、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル(以下、1,4−CHDMと略することがある。)
は、工業的には、例えば、1,4−シクロヘキサンジカ
ルボン酸ジメチルエステルを銅クロム触媒の存在下で水
素還元した後、蒸留して得ることで製造されていた。
ル(以下、1,4−CHDMと略することがある。)
は、工業的には、例えば、1,4−シクロヘキサンジカ
ルボン酸ジメチルエステルを銅クロム触媒の存在下で水
素還元した後、蒸留して得ることで製造されていた。
【0005】このようにして得られた1,4−CHDM
は、通常トランス体が約70%及びシス体が約30%か
ら成り、室温で蝋状またはマスキット状の物質である。
は、通常トランス体が約70%及びシス体が約30%か
ら成り、室温で蝋状またはマスキット状の物質である。
【0006】また、パラキシレングリコールを水素還元
することにより、シス体の比較的多い1,4−CHDM
が製造されることも知られている。
することにより、シス体の比較的多い1,4−CHDM
が製造されることも知られている。
【0007】このシス体とトランス体の性質を比較する
と、高純度のシス体の融点は42〜43℃であり、高純
度のトランス体の融点は66〜66.5℃である。
と、高純度のシス体の融点は42〜43℃であり、高純
度のトランス体の融点は66〜66.5℃である。
【0008】また、その誘導体については、トランス体
から製造したポリエステル樹脂のほうがガラス転移点や
軟化点が高く、性質が優れていることがわかっている。
から製造したポリエステル樹脂のほうがガラス転移点や
軟化点が高く、性質が優れていることがわかっている。
【0009】従って、ポリエステル系塗料、繊維、樹脂
などの原料としてはトランス−1,4−CHDMが望ま
れ、その需要増大が期待されている。
などの原料としてはトランス−1,4−CHDMが望ま
れ、その需要増大が期待されている。
【0010】トランス−1,4−CHDMは、実験室的
には、例えば、次のような方法により製造されていた。
には、例えば、次のような方法により製造されていた。
【0011】 アクタ・ファーマシューティカ・スウェ
チカ(Acta Pharmaceutica Suetica)5(5),449
−456頁(1968)に紹介されているような、1,
4−CHDMのシス・トランス混合物をトリメチルシリ
ル化してジグリセロールカラムでクロマト分離する方
法。
チカ(Acta Pharmaceutica Suetica)5(5),449
−456頁(1968)に紹介されているような、1,
4−CHDMのシス・トランス混合物をトリメチルシリ
ル化してジグリセロールカラムでクロマト分離する方
法。
【0012】 ジャーナル・オブ・リキッド・クロマト
グラフィー(Journal of Liquid Chromatography)10
(6)1077-1084頁(1987)に紹介されて
いるような1,4−CHDMのシス・トランス混合物を
シクロデキストリン結合型シリカゲルカラムを使用して
クロマト分離する方法。
グラフィー(Journal of Liquid Chromatography)10
(6)1077-1084頁(1987)に紹介されて
いるような1,4−CHDMのシス・トランス混合物を
シクロデキストリン結合型シリカゲルカラムを使用して
クロマト分離する方法。
【0013】 ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサエ
ティ( Journal of the Chemical Society)404-4
07頁(1953)に紹介されているような、1,4−
CHDMのシス・トランス混合物をジベンゾエートにし
た後、結晶性の差を利用して選択的に結晶化してから再
度加水分解してトランス−1,4−CHDMを得る方
法。
ティ( Journal of the Chemical Society)404-4
07頁(1953)に紹介されているような、1,4−
CHDMのシス・トランス混合物をジベンゾエートにし
た後、結晶性の差を利用して選択的に結晶化してから再
度加水分解してトランス−1,4−CHDMを得る方
法。
【0014】
【0015】しかしながら、通常の蒸留を行うことによ
る工業的生産により得たものは、シス体を約30%含有
したシス・トランス混合物となる。
る工業的生産により得たものは、シス体を約30%含有
したシス・トランス混合物となる。
【0016】このように、シス体を約30%含有した
1,4−CHDMは、その融点が約55℃であり、その
ため取り扱いに多くの課題を抱えていた。
1,4−CHDMは、その融点が約55℃であり、その
ため取り扱いに多くの課題を抱えていた。
【0017】例えば、商業的に流通する時には、そのも
のが蝋状またはマスキット状であるために高価なドラム
容器を必要とする事、そのものを使用する前には予め5
0〜60℃の温度で加熱溶解しておく手間が必要である
事、その加熱溶解の際に分解や着色が生ずる事、更には
加熱溶解に要する費用がかさみ、ひいてはこれを原料と
して製造される品物が高価になってしまう事などの課題
があった。
のが蝋状またはマスキット状であるために高価なドラム
容器を必要とする事、そのものを使用する前には予め5
0〜60℃の温度で加熱溶解しておく手間が必要である
事、その加熱溶解の際に分解や着色が生ずる事、更には
加熱溶解に要する費用がかさみ、ひいてはこれを原料と
して製造される品物が高価になってしまう事などの課題
があった。
【0018】また、上記〜で示したトランス−1,
4−CHDMの製造方法は、分析方法あるいは実験室的
な方法であって、低収率、高コスト、繁雑な操作などの
課題を抱えており、工業的生産には適していない。
4−CHDMの製造方法は、分析方法あるいは実験室的
な方法であって、低収率、高コスト、繁雑な操作などの
課題を抱えており、工業的生産には適していない。
【0019】従って、取り扱いに優れ、流通段階でドラ
ム容器等を必要とせず、また、使用前に予め加熱溶解す
る必要がなく、さらに、工業的生産に適した工程で製造
できるトランス−1,4−CHDMが望まれていた。
ム容器等を必要とせず、また、使用前に予め加熱溶解す
る必要がなく、さらに、工業的生産に適した工程で製造
できるトランス−1,4−CHDMが望まれていた。
【0020】
【0021】本発明者等は、上記課題を解決する為に鋭
意研究を重ねた結果、1,4−CHDMのシス・トラン
ス混合物を水溶液中で結晶化することにより、融点が2
0〜23℃で、容易に液状となるトランス−1,4−C
HDM四水和物結晶を初めて得ることに成功した。
意研究を重ねた結果、1,4−CHDMのシス・トラン
ス混合物を水溶液中で結晶化することにより、融点が2
0〜23℃で、容易に液状となるトランス−1,4−C
HDM四水和物結晶を初めて得ることに成功した。
【0022】更に、このものの結晶水を除去し粉砕する
ことにより、きわめて取り扱い易い粉末トランス−1,
4−CHDM無水物を容易に得る事に成功し、本発明を
完成するに至った。
ことにより、きわめて取り扱い易い粉末トランス−1,
4−CHDM無水物を容易に得る事に成功し、本発明を
完成するに至った。
【0023】即ち、本発明の課題を解決するための手段
は、下記のとおりである。
は、下記のとおりである。
【0024】第1に、分子式C8H16O2・4H2Oで表さ
れるトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール四
水和物結晶である。
れるトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール四
水和物結晶である。
【0025】第2に、融点が20〜23℃である上記第
1に記載のトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール四水和物結晶である。
1に記載のトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール四水和物結晶である。
【0026】第3に、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ールのシス体及びトランス体混合物の水溶液から結晶化
する、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール
四水和物結晶の製造方法である。
ールのシス体及びトランス体混合物の水溶液から結晶化
する、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール
四水和物結晶の製造方法である。
【0027】第4に、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ールのシス体及びトランス体混合物の水溶液から結晶化
により、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル四水和物結晶を製造した後、結晶水を除去することに
よるトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール無
水物の製造方法である。
ールのシス体及びトランス体混合物の水溶液から結晶化
により、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル四水和物結晶を製造した後、結晶水を除去することに
よるトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール無
水物の製造方法である。
【0028】第5に、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ールのシス体及びトランス体混合物の水溶液から結晶化
により、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル四水和物結晶を製造した後、結晶水を除去し粉砕する
ことによる、粉末トランス−1,4−シクロヘキサンジ
メタノール無水物の製造方法である。
ールのシス体及びトランス体混合物の水溶液から結晶化
により、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル四水和物結晶を製造した後、結晶水を除去し粉砕する
ことによる、粉末トランス−1,4−シクロヘキサンジ
メタノール無水物の製造方法である。
【0029】以下に本発明の内容を詳細に説明する。
【0030】まず、下記に、本発明に係るトランス−
1,4−CHDM四水和結晶の諸性質を示す。
1,4−CHDM四水和結晶の諸性質を示す。
【0031】 (1) 元素分析 測定値 C=44.1 % H=11.1 % O=44.8 % 理論値 C=44.4 % H=11.2 % O=44.4 %
【0032】(2) 分子量 216.3
【0033】(3) 融点 20〜23℃
【0034】(4) カールフィッシャー水分計による水分
測定 測定値 33.8 % 理論値 33.3 %
測定 測定値 33.8 % 理論値 33.3 %
【0035】(5) 外観 透明板状結晶
【0036】(6) 定性分析 本結晶を、現在市販されているトランス−1,4−CH
DM(試薬)を標準品としてガスクロマトグラフィー、
高速液体クロマトグラフィーで分析すると標準トランス
−1,4−CHDMと同一の位置に検出される。
DM(試薬)を標準品としてガスクロマトグラフィー、
高速液体クロマトグラフィーで分析すると標準トランス
−1,4−CHDMと同一の位置に検出される。
【0037】(7) X線回折分析 (a) トランス−1,4−CHDM四水和物結晶をドライ
アイス雰囲気下で無反射試料板上にのせ、X線回折分析
(日本電子製X線回折分析計、JDX−3500)を行
った。結果を、図1に示す。 (b) 参考として、トランス−1,4−CHDM四水和物
結晶から得られたトランス−1,4−CHDM無水物を
ドライアイス雰囲気下で無反射試料板上にのせ、X線回
折分析(日本電子製X線回折分析計、JDX−350
0)を行った。結果を、図2に示す。
アイス雰囲気下で無反射試料板上にのせ、X線回折分析
(日本電子製X線回折分析計、JDX−3500)を行
った。結果を、図1に示す。 (b) 参考として、トランス−1,4−CHDM四水和物
結晶から得られたトランス−1,4−CHDM無水物を
ドライアイス雰囲気下で無反射試料板上にのせ、X線回
折分析(日本電子製X線回折分析計、JDX−350
0)を行った。結果を、図2に示す。
【0038】以上の事実から本発明に係る結晶は、従来
全く知られていないトランス−1,4−CHDMの四水
和物であると判断される。
全く知られていないトランス−1,4−CHDMの四水
和物であると判断される。
【0039】次に、本発明に係るトランス−1,4−C
HDM四水和物結晶の製造方法と、トランス−1,4−
CHDM無水物及び粉末トランス−1,4−CHDM無
水物の製造方法とについて説明する。
HDM四水和物結晶の製造方法と、トランス−1,4−
CHDM無水物及び粉末トランス−1,4−CHDM無
水物の製造方法とについて説明する。
【0040】本発明で原料として使用する1,4−CH
DMは、シス体とトランス体の混合物であれば良く、製
法は問われない。
DMは、シス体とトランス体の混合物であれば良く、製
法は問われない。
【0041】本発明の結晶化におけるトランス−1,4
−CHDM水溶液の濃度は、10〜60%(以下、%は
特に断らない限り重量%を表す。)、好ましくは30〜
50%が良い。
−CHDM水溶液の濃度は、10〜60%(以下、%は
特に断らない限り重量%を表す。)、好ましくは30〜
50%が良い。
【0042】60%より濃い場合は、析出したトランス
−1,4−CHDM四水和物結晶の分離が困難となり、
10%より薄い場合は、トランス−1,4−CHDM四
水和物結晶の収量が少なく製造効率が悪くなる。
−1,4−CHDM四水和物結晶の分離が困難となり、
10%より薄い場合は、トランス−1,4−CHDM四
水和物結晶の収量が少なく製造効率が悪くなる。
【0043】結晶化の温度は、トランス−1,4−CH
DM四水和物結晶の融点が20〜23℃であることか
ら、0〜15℃の低温で行うことが必要である。
DM四水和物結晶の融点が20〜23℃であることか
ら、0〜15℃の低温で行うことが必要である。
【0044】結晶化における結晶種は、添加しても添加
しなくても結晶化が可能であるが、添加することにより
結晶化の時間を短縮することができる。
しなくても結晶化が可能であるが、添加することにより
結晶化の時間を短縮することができる。
【0045】結晶化したトランス−1,4−CHDM四
水和物結晶は、通常使用される遠心分離法やフィルター
ろ過等により分離することができるが、トランス−1,
4−CHDM四水和物結晶の融点が20〜23℃である
ことから、5〜15℃で処理することが必要である。
水和物結晶は、通常使用される遠心分離法やフィルター
ろ過等により分離することができるが、トランス−1,
4−CHDM四水和物結晶の融点が20〜23℃である
ことから、5〜15℃で処理することが必要である。
【0046】ここで得られるトランス−1,4−CHD
M四水和物結晶は、融点が20〜23℃であることか
ら、わずかな加温で液体となり、従ってこれまで手間の
かかっていた容器からの取り出し等の取り扱いが容易と
なる。
M四水和物結晶は、融点が20〜23℃であることか
ら、わずかな加温で液体となり、従ってこれまで手間の
かかっていた容器からの取り出し等の取り扱いが容易と
なる。
【0047】結晶水は、必要に応じて加熱しながら行わ
れる減圧乾燥法や凍結乾燥法等により容易に除去するこ
とができる。
れる減圧乾燥法や凍結乾燥法等により容易に除去するこ
とができる。
【0048】このようにして得られるトランス体の含有
量がおよそ90%以上であるトランス体高含有1,4−
CHDM無水物の融点は、トランス体の含有量によって
変化するが、おおむね60〜65℃である。
量がおよそ90%以上であるトランス体高含有1,4−
CHDM無水物の融点は、トランス体の含有量によって
変化するが、おおむね60〜65℃である。
【0049】従って、トランス体高含有1,4−CHD
M無水物は、冷却することによって比較的硬い固形物を
形成するので、冷却しながら混練した後成形する方法や
冷却固化した後切削する方法等を採用することによって
容易に、サラサラした粒状の粉末トランス−1,4−C
HDM無水物を得ることができる。
M無水物は、冷却することによって比較的硬い固形物を
形成するので、冷却しながら混練した後成形する方法や
冷却固化した後切削する方法等を採用することによって
容易に、サラサラした粒状の粉末トランス−1,4−C
HDM無水物を得ることができる。
【0050】これらのトランス−1,4−CHDM四水
和物結晶、トランス−1,4−CHDM無水物及び粉末
トランス−1,4−CHDM無水物を用いることによ
り、ガラス転移点が高く、性質の優れたポリエステル樹
脂等の誘導体を製造することが可能となる。
和物結晶、トランス−1,4−CHDM無水物及び粉末
トランス−1,4−CHDM無水物を用いることによ
り、ガラス転移点が高く、性質の優れたポリエステル樹
脂等の誘導体を製造することが可能となる。
【0051】例えば、トランス体含有量が80%以上の
1,4−CHDM、更に好ましくはトランス体含有量が
90%以上の1,4−CHDMを50〜97モル%含有
し、他のグリコール成分としてエチレングリコールを3
〜50モル%含有したものと、テレフタル酸等のジカル
ボン酸成分とを反応させて得られるポリエステルは、従
来品、すなわちトランス体含有量が80%未満の1,4
−CHDMを用いて同様に反応させて製造したものに比
べて、著しく耐熱性の向上したものになる。
1,4−CHDM、更に好ましくはトランス体含有量が
90%以上の1,4−CHDMを50〜97モル%含有
し、他のグリコール成分としてエチレングリコールを3
〜50モル%含有したものと、テレフタル酸等のジカル
ボン酸成分とを反応させて得られるポリエステルは、従
来品、すなわちトランス体含有量が80%未満の1,4
−CHDMを用いて同様に反応させて製造したものに比
べて、著しく耐熱性の向上したものになる。
【0052】更に、上記ポリエステルを製造する際に、
所望により繊維状強化剤や難燃剤、着色防止剤、制電
剤、耐熱剤、耐候剤などの各種改良剤を添加することに
よって一層各種性質を強化することも可能である。
所望により繊維状強化剤や難燃剤、着色防止剤、制電
剤、耐熱剤、耐候剤などの各種改良剤を添加することに
よって一層各種性質を強化することも可能である。
【0053】このように、トランス−1,4−CHDM
四水和物結晶及び粉末トランス−1,4−CHDM無水
物を容易に製造することを可能とすることにより、トラ
ンス−1,4−CHDMを用いた優れた特性を持つポリ
エステル樹脂、繊維等が製造可能となり、ひいては、
1,4−CHDMの用途を拡大することもできる。
四水和物結晶及び粉末トランス−1,4−CHDM無水
物を容易に製造することを可能とすることにより、トラ
ンス−1,4−CHDMを用いた優れた特性を持つポリ
エステル樹脂、繊維等が製造可能となり、ひいては、
1,4−CHDMの用途を拡大することもできる。
【0054】また、パラキシレングリコールを水等の溶
媒に溶解し、ルテニウム等の還元触媒の存在下で還元す
ることにより、比較的シス体の多い1,4−CHDMを
調製することができるが、このようにして得られた1,
4−CHDMをそのまま、又は特開平2−131442
号公報に紹介されている異性化法を適用した後に、本発
明のトランス−1,4−CHDM四水和物結晶及び粉末
トランス−1,4−CHDM無水物の製造方法に適用し
て、1,4−CHDMのトランス体高含有品とシス体高
含有品とに分離することもできる。
媒に溶解し、ルテニウム等の還元触媒の存在下で還元す
ることにより、比較的シス体の多い1,4−CHDMを
調製することができるが、このようにして得られた1,
4−CHDMをそのまま、又は特開平2−131442
号公報に紹介されている異性化法を適用した後に、本発
明のトランス−1,4−CHDM四水和物結晶及び粉末
トランス−1,4−CHDM無水物の製造方法に適用し
て、1,4−CHDMのトランス体高含有品とシス体高
含有品とに分離することもできる。
【0055】
【0056】以下に、本発明を更に実施例をもって説明
するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するもの
ではない。また、%は特に断らない限り重量%を表す。
するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するもの
ではない。また、%は特に断らない限り重量%を表す。
【0057】
【実施例1】
【0058】市販の純度99.8%の1,4−CHDM
(シス体27%、トランス体73%)を水に溶解し、5
0%の水溶液とし、5℃で1日間静置した。
(シス体27%、トランス体73%)を水に溶解し、5
0%の水溶液とし、5℃で1日間静置した。
【0059】析出した結晶を10℃以下に保ちながら遠
心分離し、結晶を得た。
心分離し、結晶を得た。
【0060】該結晶は、外観が透明板状であって、元素
分析によれば、C=44.1%、H=11.1%、O=4
4.8%であり、分子量は216.3、融点は22.5℃
であった。また、カールフィッシャー水分計による水分
測定結果は34%であった。
分析によれば、C=44.1%、H=11.1%、O=4
4.8%であり、分子量は216.3、融点は22.5℃
であった。また、カールフィッシャー水分計による水分
測定結果は34%であった。
【0061】この結晶を、現在市販されているトランス
−1,4−CHDM(試薬)を標準品としてガスクロマ
トグラフィー、高速液体クロマトグラフィーで定性分析
したところ、標準トランス−1,4−CHDMと同一の
位置に検出された。また、ガスクロマトグラフィーによ
り分析したところ、トランス体が99.4%であった。
−1,4−CHDM(試薬)を標準品としてガスクロマ
トグラフィー、高速液体クロマトグラフィーで定性分析
したところ、標準トランス−1,4−CHDMと同一の
位置に検出された。また、ガスクロマトグラフィーによ
り分析したところ、トランス体が99.4%であった。
【0062】さらに、該結晶をドライアイス雰囲気下で
無反射試料板上にのせ、X線回折分析計(日本電子製、
JDX−3500)を使用してX線回折分析を行った。
その結果を、図1に示す。なお、図1に示した結果は、
下記の実施例3に示すトランス−1,4−CHDM無水
物のX線回折図形(図2)とは異なっていた。
無反射試料板上にのせ、X線回折分析計(日本電子製、
JDX−3500)を使用してX線回折分析を行った。
その結果を、図1に示す。なお、図1に示した結果は、
下記の実施例3に示すトランス−1,4−CHDM無水
物のX線回折図形(図2)とは異なっていた。
【0063】以上の結果から、該実施例1により得られ
た結晶は、トランス−1,4−CHDMと水の結合した
新規な結晶体である、トランス−1,4−CHDM四水
和物結晶であることが確認された。
た結晶は、トランス−1,4−CHDMと水の結合した
新規な結晶体である、トランス−1,4−CHDM四水
和物結晶であることが確認された。
【0064】
【実施例2】
【0065】1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメ
チルエステル250Kgと銅クロム触媒[C−5、堺化
学(株)製]25Kgとを550リットル容オートクレー
ブに入れ260℃で攪拌し、水素圧150Kg/cm2
で水素還元した後、ろ過により触媒を除去し、得られた
ろ液中の副生メタノールを濃縮により除去し、原料の
1,4−CHDMを調製した。
チルエステル250Kgと銅クロム触媒[C−5、堺化
学(株)製]25Kgとを550リットル容オートクレー
ブに入れ260℃で攪拌し、水素圧150Kg/cm2
で水素還元した後、ろ過により触媒を除去し、得られた
ろ液中の副生メタノールを濃縮により除去し、原料の
1,4−CHDMを調製した。
【0066】このものをガスクロマトグラフィーにて分
析した結果、1,4−CHDMの純度は98%であり、
シス体を28%、トランス体を72%含んでいた。
析した結果、1,4−CHDMの純度は98%であり、
シス体を28%、トランス体を72%含んでいた。
【0067】上記調製した原料の1,4−CHDM50
Kgを水50Kgに溶解した後、5℃に冷却し、実施例
1で得たトランス−1,4−CHDM四水和物結晶を結
晶種として少量添加し、1日静置した。
Kgを水50Kgに溶解した後、5℃に冷却し、実施例
1で得たトランス−1,4−CHDM四水和物結晶を結
晶種として少量添加し、1日静置した。
【0068】析出した結晶を10℃以下に保ちながら遠
心分離することにより、トランス−1,4−CHDM四
水和物結晶を33Kg得た。
心分離することにより、トランス−1,4−CHDM四
水和物結晶を33Kg得た。
【0069】このものをガスクロマトグラフィーにより
分析したところ、純度99.7%で、トランス体が9
7.7%であった。
分析したところ、純度99.7%で、トランス体が9
7.7%であった。
【0070】また、カールフィッシャー水分計による水
分測定結果は、33.2%であり、融点は21℃であっ
た。
分測定結果は、33.2%であり、融点は21℃であっ
た。
【0071】
【実施例3】
【0072】実施例2で得たトランス−1,4−CHD
M四水和物結晶の10Kgを減圧度5mmHg、70℃
で18時間加熱することで結晶水を除去し、冷却固化す
ることによりトランス−1,4−CHDM無水物6.7
Kgを得た。
M四水和物結晶の10Kgを減圧度5mmHg、70℃
で18時間加熱することで結晶水を除去し、冷却固化す
ることによりトランス−1,4−CHDM無水物6.7
Kgを得た。
【0073】このもののガスクロマトグラフィーによる
分析結果は、純度99.7%で、トランス体が97.7
%であった。
分析結果は、純度99.7%で、トランス体が97.7
%であった。
【0074】また、カールフィッシャー水分計による水
分測定結果は0.2%であり、融点は64℃であった。
分測定結果は0.2%であり、融点は64℃であった。
【0075】さらに、このものをドライアイス雰囲気下
で無反射試料板上にのせ、X線回折分析計(日本電子
製、JDX−3500)を使用してX線回折分析を行っ
た。その結果を、図2に示す。
で無反射試料板上にのせ、X線回折分析計(日本電子
製、JDX−3500)を使用してX線回折分析を行っ
た。その結果を、図2に示す。
【0076】
【実施例4】
【0077】実施例2で得たトランス−1,4−CHD
M四水和物結晶の10Kgを減圧度10mmHg、80
℃で20時間加熱することで結晶水を除去した後、溶融
状態のままステンレス製バットに流し込み、室温にて一
夜放置後、固化した塊をフローズンカッター[FZ型、
湘南産業(株)製]でカッティングを行い、取り扱いの容
易な、白色の粉末トランス−1,4−CHDM無水物を
得た。
M四水和物結晶の10Kgを減圧度10mmHg、80
℃で20時間加熱することで結晶水を除去した後、溶融
状態のままステンレス製バットに流し込み、室温にて一
夜放置後、固化した塊をフローズンカッター[FZ型、
湘南産業(株)製]でカッティングを行い、取り扱いの容
易な、白色の粉末トランス−1,4−CHDM無水物を
得た。
【0078】このもののガスクロマトグラフィーによる
分析結果は、純度99.7%で、トランス体が97.7
%であった。
分析結果は、純度99.7%で、トランス体が97.7
%であった。
【0079】また、カールフィッシャー水分計による水
分測定結果は、0.6%であり、融点は63℃であっ
た。
分測定結果は、0.6%であり、融点は63℃であっ
た。
【0080】
【0081】本発明に係るトランス−1,4−CHDM
四水和物結晶は、取り扱いに優れ、流通段階でドラム容
器等を必要とせず、また、使用前に予め加熱溶解する必
要がないものであり、工業的生産に適した工程で製造す
ることができる。
四水和物結晶は、取り扱いに優れ、流通段階でドラム容
器等を必要とせず、また、使用前に予め加熱溶解する必
要がないものであり、工業的生産に適した工程で製造す
ることができる。
【0082】さらに、本発明によれば、トランス−1,
4−CHDM無水物及び粉末トランス−1,4−CHD
M無水物を工業的に容易に製造することができる。
4−CHDM無水物及び粉末トランス−1,4−CHD
M無水物を工業的に容易に製造することができる。
【図1】本発明に係るトランス−1,4−CHDM四水
和物のX線回折図形を示す。
和物のX線回折図形を示す。
【図2】本発明に係るトランス−1,4−CHDM無水
物のX線回折図形を示す。
物のX線回折図形を示す。
フロントページの続き (72)発明者 山崎 史人 静岡県富士市広見西本町9−1−201 (72)発明者 戸苅 あづさ 静岡県富士市本市場232−1 コーポ千 寿2−205 (72)発明者 岡本 直記 千葉県松戸市南花島4−61−17 (56)参考文献 特公 昭41−3621(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 31/27 C07C 29/78 CA(STN) REGISTRY(STN)
Claims (5)
- 【請求項1】 分子式C8H16O2・4H2Oで表されるト
ランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール四水和物
結晶。 - 【請求項2】 融点が20〜23℃である請求項1記載
のトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール四水
和物結晶。 - 【請求項3】 1,4−シクロヘキサンジメタノールの
シス体及びトランス体混合物の水溶液から結晶化する、
トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール四水和
物結晶の製造方法。 - 【請求項4】 1,4−シクロヘキサンジメタノールの
シス体及びトランス体混合物の水溶液から結晶化によ
り、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール四
水和物結晶を製造した後、結晶水を除去することによる
トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール無水物
の製造方法。 - 【請求項5】 1,4−シクロヘキサンジメタノールの
シス体及びトランス体混合物の水溶液から結晶化によ
り、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール四
水和物結晶を製造した後、結晶水を除去し粉砕すること
による、粉末トランス−1,4−シクロヘキサンジメタ
ノール無水物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3248407A JP3022935B2 (ja) | 1991-09-03 | 1991-09-03 | トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール四水和物結晶、及び該四水和物結晶または無水物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3248407A JP3022935B2 (ja) | 1991-09-03 | 1991-09-03 | トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール四水和物結晶、及び該四水和物結晶または無水物の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0558929A JPH0558929A (ja) | 1993-03-09 |
JP3022935B2 true JP3022935B2 (ja) | 2000-03-21 |
Family
ID=17177656
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3248407A Expired - Lifetime JP3022935B2 (ja) | 1991-09-03 | 1991-09-03 | トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール四水和物結晶、及び該四水和物結晶または無水物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3022935B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100254103B1 (ko) * | 1994-10-20 | 2000-04-15 | 겐지 아이다 | 이미노카르본산염 수용액 조성물 및 이미노카르본산염의 취급방법 |
JP2006076931A (ja) * | 2004-09-10 | 2006-03-23 | Asahi Kasei Fainkemu Kk | 高純度トランス−4−シアノシクロヘキサン−1−カルボン酸メチルの製造方法 |
JP5124534B2 (ja) * | 2009-06-30 | 2013-01-23 | ダンロップスポーツ株式会社 | ゴルフボール |
JP6096639B2 (ja) | 2013-10-29 | 2017-03-15 | 三菱日立パワーシステムズ株式会社 | 回転機械 |
CN114436779B (zh) * | 2020-10-30 | 2024-04-12 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种1,4-环己烷二甲醇反式异构体的提纯装置及使用方法 |
-
1991
- 1991-09-03 JP JP3248407A patent/JP3022935B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0558929A (ja) | 1993-03-09 |
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