JP3021908B2 - 金属系材料の熱処理装置 - Google Patents

金属系材料の熱処理装置

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JP3021908B2 JP1557892A JP1557892A JP3021908B2 JP 3021908 B2 JP3021908 B2 JP 3021908B2 JP 1557892 A JP1557892 A JP 1557892A JP 1557892 A JP1557892 A JP 1557892A JP 3021908 B2 JP3021908 B2 JP 3021908B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属系材料の熱処理装
置に係わり、特に、金属系材料への水素の吸蔵およびこ
の水素を吸蔵した金属系材料からの水素の放出を行うこ
とにより、前記金属系材料の組織を変更して物性調整を
行い、あるいは、金属系材料の破砕を行うようにした熱
処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば金属系材料の物性調整等
(例えば、希土類(R)ー鉄(Fe)ーボロン(B)系
合金の結晶粒の微細化による磁気特性の向上、あるい
は、チタン(Ti)系合金の組織の粗大化による疲労強
度や耐クリープ特性の改善)を行う一方法として、前述
したように、ある処理温度下で、前記金属系材料に水素
を吸蔵させたのちに再度その水素を放出させることによ
り、金属組織を変更することが行われており、その熱処
理装置として従来においては、図4に示す構造のものが
検討されている。
【0003】この熱処理装置1は、金属系材料Wが搬入
されるとともに、この金属系材料Wを所定の処理温度に
加熱する熱処理炉2と、この熱処理炉2に給気路3を介
して接続され、反応用の水素を貯蔵する水素ボンベ4
と、前記熱処理炉2に接続され、この熱処理炉2内の気
体を吸引して排気する排気手段5と、この排気手段5に
よって排気された気体を焼却処理して装置外へ放出する
排気処理手段6とを備えた構成となっており、前記水素
ボンベ4においては、水素を冷却して液化処理すること
により貯蔵の容積効率を高めるようにしている。
【0004】そして、この熱処理装置1においては、金
属系材料Wを前記熱処理炉2内に搬入したのちに、前記
水素ボンベ4から熱処理炉2内に水素を供給するととも
に、この熱処理炉2内の温度を500℃〜1000℃に
保持することにより、前記金属系材料Wを水素ガス雰囲
気中において所定温度に加熱して水素を吸蔵させ、次い
で、前記熱処理炉2内の温度を前記温度に保持しつつ、
熱処理炉2内を真空状態まで減圧することにより、水素
を吸蔵した金属系材料Wから水素を放出させるようにし
ている。
【0005】また、前記金属系材料Wから放出された水
素は、排気手段5によって熱処理炉2から吸引され、そ
の後段の排気処理手段6において焼却処理されたのちに
装置外へ放出されるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述の従来
の技術においては、金属系材料Wの熱処理に用いられる
水素は、水素ボンベ4から熱処理炉2へ供給されたのち
に排気処理手段6を経て大気へ放出されるものであるか
ら、一つの処理工程毎に新たな水素を供給しなければな
らず、この結果、水素の消費量が膨大なものとなってし
まい、加えて、この水素を貯蔵するために、大容量の水
素ボンベ4が必要となるといった問題点を有している。
【0007】一方、このような問題点への対処方法とし
て、例えば、熱処理炉2から排出される水素を供給側の
水素ボンベ4へ戻すことが考えられる。
【0008】しかしながら、このような方法において
も、一旦気化した水素を液体に戻すための液化処理施設
が必要となり、また、冷却した水素を使用に当たって再
度加熱しなければならず、これによって熱処理装置が全
体として大型化するとともに、処理施設の建設コストの
高騰を招いてしまい、有効な解決手段とはなり得ていな
い。
【0009】そして、特に、生産性向上のために、前記
熱処理を複数の熱処理炉2を用いて行う場合には、水素
の供給系を各熱処理炉毎に設けなければならないことか
ら、水素の使用量がさらに増え、これに伴い、設備の一
層の大型化を招いてしまう。
【0010】また、一旦熱処理に用いた水素を再使用す
る場合、熱処理炉における処理の際に不純物を巻き込ん
でしまい、再使用時に、熱処理される金属系材料の特性
に影響を与えることが考えられる。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述した従来
の技術における問題点を有効に解消し得る金属系材料の
熱処理装置を提供せんとするもので、特に、金属系材料
に水素を吸蔵させる水素吸蔵処理、および、前記水素を
吸蔵した金属系材料から水素を放出させる水素放出処理
を行う複数の熱処理炉と、これらの熱処理炉を相互に連
通させて、各熱処理炉間に水素流通用の閉回路を形成す
る連通路と、この連通路の途中に設けられて、前記熱処
理炉が水素吸蔵処理を行う際に、その内部を昇圧すると
ともに水素を供給し、かつ、これらの熱処理炉が水素放
出処理を行う際にその内部を減圧するとともに水素を排
出する圧力制御手段と、前記連通路の途中に設けられた
水素精製手段とを備えていることを特徴とする。
【0012】
【作用】本発明の金属系材料の熱処理装置によれば、一
つの熱処理炉が金属系材料へ水素を吸蔵させる工程にあ
る場合には、この熱処理炉が所定温度に加熱されたのち
に、その内部に圧力制御手段によって水素が供給され、
かつ、内部圧力が所定圧力に昇圧され、これによって、
熱処理炉内において金属系材料の水素吸蔵現象が生じ、
金属系材料の水素吸蔵処理がなされる。
【0013】そして、一つの熱処理炉における水素吸蔵
処理が終了して、この熱処理炉における処理が水素放出
処理に切り換えられると、圧力制御手段によってこの熱
処理炉内の水素が吸引排出され、かつ、この水素の排出
に伴い熱処理炉内が減圧され、この結果、熱処理炉内に
おいて、金属系材料からの水素の放出現象が生じ、この
金属系材料の水素放出処理が行われる。
【0014】一方、このように一つの熱処理炉において
水素放出処理が行われている間に、この熱処理炉に連通
路を介して接続されている他の熱処理炉においては、そ
の内部を所定温度に加熱して水素吸蔵処理を行うための
準備が平行して行われており、一つの熱処理炉における
水素放出処理が完了した時点であるいは平行して、圧力
制御手段によって一つの熱処理炉から吸引された水素が
他の熱処理炉へ送り込まれる。
【0015】これによって、他の熱処理炉に対する内部
圧力の昇圧操作と水素の充填操作とが行われて、他の熱
処理炉において水素吸蔵処理が行われる。
【0016】このように、本発明においては、金属系材
料の熱処理に用いられる水素が各熱処理炉間において授
受され、装置外への放出が抑制され、また、1基に必要
な量の水素によって少なくとも2基以上の熱処理炉にお
ける熱処理が可能となり、水素の使用量の軽減ならびに
装置の大型化の抑制が可能となる。
【0017】また、一つの熱処理炉から他の熱処理炉へ
水素が送り込まれる際に、この水素が水素精製手段を通
過させられることにより、清浄な水素が熱処理炉へ送り
込まれる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の第1実施例について、図1を
参照して説明すれば、本実施例に示す金属系材料の熱処
理装置10は、金属系材料Wに水素を吸蔵させる水素吸
蔵処理、および、前記水素を吸蔵した金属系材料Wから
水素を放出させる水素放出処理を行う複数(本実施例に
おいては2基)の熱処理炉A・Bと、これらの熱処理炉
A・Bを相互に連通させて、各熱処理炉A・B間に水素
流通用の閉回路を形成する連通路11と、この連通路1
1の途中に設けられて、前記熱処理炉A(B)が水素吸
蔵処理を行う際に、その内部を昇圧するとともに水素を
供給し、かつ、これらの熱処理炉A・Bが水素放出処理
を行う際にその内部を減圧するとともに水素を排出する
圧力制御手段12と、前記連通路11の途中に設けられ
た水素精製手段13とを備えた概略構成となっている。
【0019】次いで、これらの詳細について説明すれ
ば、前記各熱処理炉A・Bは、本実施例においては、金
属系材料Wを熱処理に先立って加熱する予熱室14と、
この予熱室14に連設されて、前記金属系材料Wの水素
吸蔵処理および水素放出処理を行う熱処理室15と、こ
の熱処理室15に連設されて、この熱処理室15から搬
出された熱処理後の金属系材料Wの冷却を行う冷却室1
6とを備えた構成となっており、各予熱室14、熱処理
室15、および、冷却室16は相互に連通ならびに遮蔽
可能となされている。
【0020】前記各熱処理炉A・Bは、グラファイト、
タングステン、あるいは、モリブデン等からなるヒータ
を真空容器内に備えた内熱式や、カンタル、シリコニッ
ト等のヒータを真空容器外に備えた外熱式が用いられ
る。
【0021】前記連通路11は、前記各熱処理炉A・B
の熱処理室15を連通するように設けられており、その
途中に、前記圧力制御手段12が設けられ、前記両熱処
理室15間を気密に連通させて、これらの間に外気と遮
断された水素の閉回路を形成するようになっている。
【0022】前記圧力制御手段12は、その容積を増減
させる構成でかつ装置外部との気体の交換のない構成の
もの、例えば、シリンダー等が用いられており、前記連
通路11の、前記圧力制御手段12の両側のそれぞれに
設けられた開閉弁17・18の作用により、前記両熱処
理炉A・Bの熱処理室15の一つへ選択的に連通させら
れ、連通させられたこれらの熱処理室15の容積を拡大
することにより、各熱処理室15を減圧するとともにそ
の内部の水素を取り込み、また、容積を減少させること
により、各熱処理室15内を昇圧するとともにその内部
に水素を送り込むようになっている。
【0023】そして、前記水素精製手段13は、前記各
開閉弁17・18と前記圧力制御手段12との間に設け
られており、前記圧力制御手段12へ吸引されあるいは
圧力制御手段12から排出される水素は、一旦水素精製
手段13を通過するような構成となっている。
【0024】そして、前記各熱処理室15の内部温度や
内部圧力の制御、および、前記圧力制御手段12や各開
閉弁17・18の作動制御は、図示しないマイクロコン
ピュータ等の制御手段によって、予め設定された温度や
圧力ならびに手順によって制御されるようになってい
る。
【0025】一方、本実施例において熱処理の対象とさ
れる金属系材料Wの組成は例えば、以下のとおりであ
る。
【0026】その一つは、RーFeーB系合金で次のよ
うな組成を有する。 R :10〜20at% B : 3〜10at% Fe:残部および不可避不純物 また、必要に応じて次の組成が添加される。 Co:0.1〜50at% M :0.001〜5.0at% 但し、MはAl、Si、Ga、Ti、V、Cr、Zr、
Nb、Mo、Hf、Ta、W、C、Nの内の1種又は2
種以上である。
【0027】また、他の一つは、Ti系合金の構造材で
あり、例えば次の合金組成が挙げられる。
【0028】1)Al:6.5wt%、Sn:1.4w
t%、Zr:1wt%、Mo:2.9wt%、Cr:
2.1wt%、Fe:1.7wt%、および、残部がT
iである合金 2)Al:6wt%、V:4wt%、および、残部がT
iである合金 3)Al:6wt%、Sn:2wt%、Zr:4wt
%、Mo:2wt%、および、残部がTiである合金 4)V:10wt%、Fe:2wt%、Al:3wt
%、および、残部がTiである合金
【0029】他に、ZrーCo系、TiーFe系、(T
i、Zr)ーNi系、希土類ーNi系合金等の水素吸蔵
合金の活性化処理や粉末化処理としても使用できる。
【0030】そして、前述のように構成された本実施例
の熱処理装置10において金属系材料Wの熱処理を行う
場合の具体例について、前記2つの組成のそれぞれにつ
いて行った2つの実験例に基づいて説明すれば、以下の
とおりである。
【0031】(実験例1)まず、熱処理に用いられる金
属系材料Wとして、前者のRーFeーB系合金を用いた
実施例について説明する。
【0032】表1の1〜4に示す組成のRーFeーB系
合金を、プラズマ・アーク溶解炉にて溶解したのちに鋳
造したのちに、それぞれAr雰囲気中で1130℃、2
0時間の条件で均質化処理を行う。この金属系材料W
は、粒径120μm程度の粗大な強磁性相を有する。
【0033】
【表1】
【0034】このような金属系材料Wが一方の外熱式の
カンタル線ヒータを備えた熱処理炉Aの予熱室14にお
いて真空状態で予備加熱されたのちに真空状態で熱処理
室15内に設置されると、予熱室14と熱処理室15と
が気密に遮蔽され、熱処理室15の内部加熱が開始され
る。
【0035】一方、前記熱処理室15の内部温度は、そ
れぞれに設けられている温度センサーによって検出され
て制御手段へフィードバックされており、このフィード
バック信号に基づき、熱処理室15の内部温度が所定の
温度(約850℃)に保持される。
【0036】そして、稼働初期においては、別途設けら
れている図示しない水素貯蔵手段等から、所定量の水素
が前記一方の熱処理炉Aの熱処理室15へ、所定圧力
(約1atm以下)の下に送り込まれる。ここで、熱処
理炉Aの熱処理室15の内部圧力は、圧力センサーによ
って検出されて制御手段へフィードバックされ、このフ
ィードバック信号に基づいて前述の圧力に保持される。
【0037】このような水素の供給が完了した後に、熱
処理炉A内の温度が制御手段によって昇温し、約830
℃に調整されて、前記金属系材料Wが前記温度下におい
て約3時間保持され、これによって、金属系材料Wに水
素が吸蔵される。
【0038】次いで、前記熱処理炉A内の温度を830
℃に保持した状態で、制御装置から一方の開閉弁17へ
駆動信号が出力されて、一方の熱処理炉Aの熱処理室1
5とが連通させられるとともに、圧力制御手段12へ駆
動信号が出力されて、熱処理炉A内の気体を吸引するよ
うに作動させられる。
【0039】これによって、熱処理炉A内の圧力が減少
させられるとともに、その内部の水素が水素精製手段1
3を経て圧力制御手段12に吸引されることにより、前
記熱処理炉Aにおいて、金属系材料Wに吸蔵されていた
水素が放出されて前記金属系材料Wの脱水素が行われ、
さらに、このよう脱水素処理が行われたのちに前記開閉
弁17が閉塞されて、熱処理炉Aの熱処理室15と圧力
制御手段12との連通が遮断される。
【0040】そして、この時の前記熱処理炉A内の圧力
は、圧力センサーからの検出信号と、この検出信号に基
づく制御手段による圧力制御手段12の作動量の制御に
より、1×10-1Torr以下に保持される。
【0041】ちなみにこの処理を行った後の前記各組成
のNdーFeーB系合金は、400μm以下に粉砕さ
れ、かつ、粉末内部に0.2〜0.4μmのNd2Fe
14Bの再結晶粒からなる組織を有するとともに、所望
の磁気特性を有することが確認された。
【0042】さらに、熱処理炉Aにおける金属系材料W
の水素放出処理と平行して、他方の熱処理炉Bにおいて
は、新たな金属系材料Wが予熱処理を施されたのちに熱
処理室15へ搬入され、この熱処理室15において所定
温度に加熱されることにより、水素吸蔵処理が可能な状
態となされている。
【0043】これより、制御手段により他方の開閉弁1
8が開放動作させられるとともに、圧力制御手段12が
作動させられることにより、この圧力制御手段12に吸
引されていた水素が前述した所定圧力の下に、水素精製
手段13を介して他方の熱処理炉Bの熱処理室15へ送
り込まれ、この他方の熱処理炉Bにおける水素吸蔵処理
が行われ、また、この水素吸蔵処理が完了したのちにお
いては、前記圧力制御手段12が逆方向に作動させられ
て、前記他方の熱処理炉Bに送り込まれていた水素が吸
引されることにより、この熱処理炉Bでの水素放出処理
が行われる。
【0044】このような他方の熱処理炉Bにおける金属
系材料Wへの熱処理が完了したのちに他方の開閉弁18
が閉じられることにより、この他方の熱処理炉Bと圧力
制御手段12との連通が遮断されて、他方の熱処理炉B
での金属系材料Wへの熱処理が完了する。
【0045】このように、本実施例の熱処理装置10に
おいては、金属系材料Wの熱処理に用いられる水素が、
各熱処理炉A・Bとの間で圧力調整手段12を介して授
受されて、水素の装置外への放出が抑制されるから、水
素の使用量が大幅に削減されるとともに、排気処理系の
諸設備が不要であるから、装置の大型化ないしは設備費
用の高騰を抑制することができ、しかも、稼働初期に充
填した1基分の水素量によって2基の熱処理炉A・Bが
稼働させられるから、この点からも装置の大型化が抑制
される。
【0046】また、前述の熱処理操作において、水素は
両熱処理炉A・B間で流通させられる際に、必ず水素精
製手段13を通過させられることにより、両熱処理炉A
・Bには、常時、清浄な水素が供給される。したがっ
て、各熱処理炉A・Bにおける金属系材料Wの品質が確
保される。
【0047】そして、各熱処理炉A・Bにおける金属系
材料Wの出し入れ、例えば、予熱室14および冷却室1
6と熱処理室15間の出し入れや、熱処理室15の真空
排気処理の際に、熱処理に用いられた水素が前記予熱室
14や冷却室16を介して外部へ漏洩し、熱処理の繰り
返しによって装置内の水素量が減少することが考えられ
るが、その減少量は極めて少なく、仮に、熱処理に必要
とされる水素量以下に減少した場合においても、その減
少量分を補給するだけで対応可能であり、したがって、
予備的に設けられる水素貯蔵設備も少容量のものです
む。
【0048】ここで、本実施例の熱処理装置10におい
て、初期の水素充填量を35Nm3とし、前記各組成の
金属系材料Wに対してそれぞれ10回の処理を行った後
の水素の減少量を測定した結果を表2の左欄に示す。
【0049】
【表2】
【0050】そして、前記表2の右欄は、比較のため
に、同様の前記各金属系材料Wについて、従来の装置に
よって熱処理を行った際の水素の残存量を示すものであ
る。
【0051】この結果からも明らかなように、本実験例
によれば、殆ど水素の減少が見られず、極めて大きな効
果が得られる。
【0052】(実験例2)次いで、金属系材料Wとして
後者のTi系合金を用いた実験例について説明する。
【0053】まず、表3の1.2で示す組成を有し、平
均粒径120μmのTi系合金粉末のそれぞれについ
て、温度750℃、2000atm、および、3時間保
持の条件下で熱間静水圧プレスを行い、所定形状の金属
系材料Wとしての構造部材を作成した。
【0054】
【表3】
【0055】この金属系材料Wを内熱式のグラファイト
・ヒーター備えた熱処理炉A(B)内に設置し、熱処理
装置10の各構成要素を制御手段によって作動させるこ
とにより、前記実施例と同様にして850℃、1atm
の雰囲気下で前記金属系材料Wに水素を吸蔵させ、その
後に、850℃、1×10-4Torrの条件下で前記金
属系材料Wの脱水素処理を行った。
【0056】このような熱処理によって、前記粗大なα
+β相を有するTi系合金が得られ、このような組成の
Ti系合金は、高サイクル疲労強度や耐クリープ特性に
優れている。
【0057】そして、この場合にも、熱処理に用いられ
る水素は、各熱処理炉A・Bとの間で、前記圧力制御手
段12を介して授受されることにより、装置外への水素
の漏洩が抑制され、かつ、水素精製手段13によって常
時清浄な水素による熱処理が行われる。
【0058】ここで、初期状態の水素充填量を35Nm
3とした本実施例の装置によって、前記処理を各Ti系
合金に対してそれぞれ20回行った際の水素の減少量を
測定した結果を表4の左欄に示し、また、表4の右欄に
は、比較のために、本実施例の各Ti系合金に対して従
来の装置を用いて熱処理を行った場合における水素の減
少量を示した。
【0059】
【表4】
【0060】この結果からも明らかなように、本実験例
においても水素の減少はなく、従来装置に比して、大幅
な改善がなされている。
【0061】一方、図2は本発明の第2実施例を示すも
ので、本実施例に示す熱処理装置20は、各熱処理炉A
・Bの熱処理室15を、2系統の連通路21・22(図
2中に鎖線と実線とによって示した)によって連絡し、
それぞれの連通路21・22の途中を、第1実施例に示
した圧力制御手段12を構成する真空排気手段23とそ
の排気側に設けられた水素精製手段13とに接続し、か
つ、それぞれの連通路21・22の途中で、前記真空排
気手段23の吸引側に開閉弁24・25を設けた構成と
なっている。
【0062】そして、このように構成された本実施例の
熱処理装置20は、各熱処理炉A・Bにおける熱処理操
作ならびに熱処理条件等は第1実施例と同様であるが、
両熱処理炉A・B間の水素の循環方法に違いがある。
【0063】すなわち、例えば、熱処理炉Aにおいて水
素吸蔵処理が完了すると、まず、閉状態にある2つの開
閉弁24・25のうち、真空排気手段23と熱処理炉A
との間に配設された開閉弁24が開放されるとともに、
真空排気手段23が作動させられることにより、熱処理
炉A内の気体が吸引されて、前記水素精製手段13を経
て他の熱処理炉Bへ送り込まれる。
【0064】これによって、熱処理炉Aにおいて熱処理
室15の内部圧力が減少させられて水素放出現象が生
じ、この放出された水素が前記真空排気手段23によっ
て、水素精製手段13へ送り込まれて精製されたのち
に、さらにこの水素が他の熱処理炉Bの熱処理室15へ
送り込まれることにより、この熱処理室15の内部圧力
が上昇させられ、これによって他の熱処理炉Bの熱処理
室15において水素吸蔵処理が行われる。
【0065】ここで、前記他の熱処理炉Bへ送り込まれ
る水素の圧力は、圧力センサーによって検出される熱処
理炉Bの熱処理室15の内部圧力に関するフィードバッ
ク信号に基づいて、前記真空排気手段23の作動量が制
御されることにより、前述の実施例と同様の価に調整さ
れる。
【0066】次いで、開放されていた開閉弁24が閉塞
されることにより他の熱処理炉Bが密閉状態に保持さ
れ、水素吸蔵のために必要な時間が経過したのちに、他
の開閉弁25が開放されるとともに、真空排気手段23
が作動させられることにより、他の熱処理炉Bの熱処理
室15内の水素が吸引されたのちに、水素精製手段13
を経て一方の熱処理炉Aの熱処理室15へ送り込まれ、
この結果、前述と同様の現象により、他の熱処理炉Bに
おいて水素放出処理が行われ、かつ、一方の熱処理炉A
において水素吸蔵処理が開始される。
【0067】以上の操作が繰り返されることにより、各
熱処理炉A・Bにおいて交互に金属系材料Wへの熱処理
が行われるが、本実施例においても、前記第1実施例と
同様に、熱処理に用いられる水素が両熱処理炉間で授受
されるのみで装置外への漏洩が抑えられ、これによって
水素の使用量が抑制されるとともに、2基の熱処理炉が
1基分の水素で稼働させられ、また、水素貯蔵手段も少
容量のものですみ、装置の大型化が抑制される。
【0068】しかも、各熱処理炉A・Bには、水素精製
手段13を通過させられた水素が供給されるから、常
時、清浄な水素による熱処理が行われる。
【0069】また、本実施例では、一方の熱処理炉Aが
水素放出処理の状態にある場合、真空排気手段23によ
って、前記熱処理炉Aから水素を強制的に吸引するとと
もに、前記水素を水素吸蔵処理の状態にある他の熱処理
炉Bへ強制的に送り込んでその内部圧力を上昇させるこ
とにより、一方の熱処理炉Aにおける減圧処理と他方の
熱処理炉Bにおける昇圧処理、ならびに、両者間の水素
の移動が同時かつ強制的に行われ、この結果、これらの
各処理が確実かつ迅速に行われる。
【0070】さらに、図3は本発明の第3実施例を示す
もので、本実施例に示す熱処理装置30は、前記第3実
施例において、圧力制御手段12を真空排気手段33と
した例について示したのに代えて、さらに、前記圧力制
御手段12を真空排気手段33と、その排気側に設けら
れた圧力調整手段41とによって構成したもので、残余
の構成は、前記第3実施例と同様である。
【0071】そして、本実施例における作用は殆ど前記
第3実施例と同様であるが、第3実施例において、真空
排気手段23によって圧力制御手段12を構成したのに
代えて、圧力制御手段12を、真空排気手段23と、そ
の排気側に設けられる圧力調整手段31とによって構成
するとともに、これらの間に前記水素精製手段13を配
置した構成としたものである。
【0072】そして、前記圧力調整手段31の作動量を
制御することによって水素の供給圧力(換言すれば、水
素吸蔵処理状態にある熱処理炉の熱処理室15内の内部
圧力)を調整するようにしているのに対して、本実施例
においては、圧力調整手段31によってその調整を行う
ようにした点に特徴がある。
【0073】このような構成とすることにより、前記水
素の供給圧力をきめ細かく、かつ、高精度の調整が可能
となり、また、この供給圧力の調整作用と、水素を吸引
して水素放出処理状態にある熱処理炉の減圧作用とが独
立させられることにより、熱処理の安定性が確保され
る。
【0074】さらに、本実施例においては、圧力調整手
段31を水素精製手段12の下流側に設けた構成とした
から、圧力調整手段31を増設した場合においても、水
素精製手段13に水素を送り込む際の抵抗の増加が抑制
され、これによって、水素精製手段13による水素精製
効率の低下が抑制される。
【0075】なお、前記各実施例は一例であって、適用
する金属系材料の種類や設計要求等に基づき種々変更可
能である。例えば、前記各実施例においては、熱処理に
水素単体を用いる例について示したが、これに代えて、
不活性ガスとの混合気体を用いることも可能であり、こ
の場合には、混合気体の水素分圧を圧力制御の制御因子
とすればよい。
【0076】また、各実施例ともに、熱処理炉を2基設
けた例について示したが、これに限られるものではな
く、各熱処理炉における処理が重なり合わなければ、あ
るいは、その重なりが許容される範囲であれば、3基以
上の熱処理炉を設けることも可能である。
【0077】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係わる金
属系材料の熱処理装置によれば、次のような優れた効果
を奏する。
【0078】複数の熱処理炉間に水素の授受を行う閉回
路を形成して、前記水素を複数の熱処理炉の間で授受さ
せて繰り返し使用を可能とし、これによって複数の熱処
理炉を単一の熱処理炉に必要な水素量で稼働させること
ができ、生産性の向上を図りつつ水素の使用量を軽減す
ることができ、かつ、装置の大型化を抑制することがで
きる。
【0079】また、熱処理に用いられる水素を貯蔵する
手段を別途設ける必要がなくなり、この点からも装置の
大型化を抑制することができる。
【0080】一方、水素の流通路に水素精製手段を設け
たことにより、常時精製された水素を熱処理路に送り込
むことができ、これによって、品質の安定した熱処理を
実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2実施例を示すブロック図である。
【図3】本発明の第3実施例を示すブロック図である。
【図4】一従来例を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 熱処理装置 11 連通路 12 圧力制御手段 13 水素精製手段 20 熱処理装置 21 連通路 22 連通路 23 真空排気手段 30 熱処理装置 31 圧力調整手段 A 熱処理炉 B 熱処理炉 W 金属系材料
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C22F 1/18 C22F 1/18 H (56)参考文献 特開 昭61−270329(JP,A) 特開 平3−90510(JP,A) 実公 昭39−3314(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 1/74 C21D 1/76 B22F 1/00 C22F 1/00 641 C22F 1/18

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属系材料に水素を吸蔵させる水素吸蔵
    処理、および、前記水素を吸蔵した金属系材料から水素
    を放出させる水素放出処理を行う複数の熱処理炉と、こ
    れらの熱処理炉を相互に連通させて、各熱処理炉間に水
    素流通用の閉回路を形成する連通路と、この連通路の途
    中に設けられて、前記熱処理炉が水素吸蔵処理を行う際
    に、その内部を昇圧するとともに水素を供給し、かつ、
    これらの熱処理炉が水素放出処理を行う際にその内部を
    減圧するとともに水素を排出する圧力制御手段と、前記
    連通路の途中に設けられた水素精製手段とを備えている
    ことを特徴とする金属系材料の熱処理装置。
  2. 【請求項2】 圧力制御手段が、真空排気手段であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の金属系材料の熱処理装
    置。
  3. 【請求項3】 圧力制御手段が、真空排気手段とその排
    気側に設けられた圧力調整手段とによって構成されてい
    ることを特徴とする請求項1記載の金属系材料の熱処理
    装置。
  4. 【請求項4】 圧力制御手段が、真空排気手段とその排
    気側に設けられた圧力調整手段とによって構成されてい
    るとともに、前記真空排気手段と圧力調整手段との間に
    前記水素精製手段が設けられていることを特徴とする請
    求項1記載の金属系材料の熱処理装置。
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