JP3021743B2 - 楽音合成装置 - Google Patents

楽音合成装置

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JP3021743B2 JP3091562A JP9156291A JP3021743B2 JP 3021743 B2 JP3021743 B2 JP 3021743B2 JP 3091562 A JP3091562 A JP 3091562A JP 9156291 A JP9156291 A JP 9156291A JP 3021743 B2 JP3021743 B2 JP 3021743B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は自然楽器音を合成する
楽音合成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】遅延回路およびフィルタ等を有するルー
プ回路に、波形メモリから読み出した初期波形を注入
し、ループ回路を循環する信号を楽音信号として取り出
すようにした楽音合成装置が知られている。この楽音合
成装置によれば、ループ回路に注入された初期波形は、
フィルタを通過する毎にフィルタの周波数特性に従って
各周波数成分が減衰される。この結果、音色が時間経過
に伴って変化する減衰音がループ回路から得られる。さ
て、例えばピアノの場合、同じ鍵を押鍵する場合であっ
ても、押鍵のタッチによって音色が変化する。従って、
自然楽器音らしさを高めるためには、タッチ等に応じ、
ループ回路に注入する初期波形を変化させることが望ま
しい。この初期波形を変化させるための方法として、以
下説明する2つの方法が提案されている。第1の方法
は、波形メモリとループ回路との間にフィルタを介挿
し、このフィルタのフィルタ演算用係数をタッチ等に応
じて変化させるものである。また、第2の方法は、複数
の波形メモリを用意すると共にこれらの波形メモリから
読み出した各波形を混合してループ回路に注入するよう
にし、各波形の混合比率を変えることにより、初期波形
を変化させるものである。なお、この方法については、
特開平2−15299号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した第
1の方法は、フィルタの係数を変えたとしても、初期波
形を多様に変化させることに限界があり、あまり音色を
変化させることができないという問題があった。また、
上述した第2の方法は、多様な初期波形を得るために
は、多くの波形メモリを必要とするという問題があっ
た。この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであ
り、多くの波形メモリを用いることなく、多様な音色の
楽音を発生することができる楽音合成装置を提供するこ
とを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明による楽音合成
装置は、入力信号に対して少なくとも遅延処理を施して
循環させるループ手段と、波形を記憶する波形記憶手段
と、複数の値をとり得る制御信号であって、演奏操作に
応じた値をとる制御信号を発生する制御信号発生手段
と、前記波形記憶手段に記憶された波形について、前記
制御信号の値に応じた区間の波形を読み出し、該読み出
した波形を初期波形として前記ループ手段に入力する波
形読み出し手段であって、前記読み出される波形は、前
記制御信号の異なる値に対して一部が重複するものとを
具備し、前記閉ループ手段を循環する信号を楽音信号と
して出力することを特徴とする。
【0005】
【作用】上記構成によれば、制御入力に応じてループ回
路に入力される初期波形が変化する。従って、多様な音
色の楽音を合成することができる。
【0006】
【実施例】以下、図面を参照し、この発明の一実施例を
説明する。図1はこの発明の一実施例による楽音合成装
置の構成を示すブロック図である。この図において、1
は演奏操作子としての鍵盤である。2は押鍵検出部であ
り、鍵盤1における鍵が押鍵された場合に、押鍵された
鍵のキーコードKC、鍵が押下されていることを示すキ
ーオン信号KON、押鍵のタッチを示すタッチ情報TO
UCHを出力する。3は音色スイッチを備えてなる音色
指定部であり、音色スイッチの操作状態に対応した音色
指定情報TCを出力する。4は波形メモリである。ま
た、5は波形メモリ読出制御部であり、その構成を図2
に示す。この波形メモリ読出制御部5は、キーオン信号
KONによって駆動され、キーコードKC、タッチ情報
TOUCHおよび音色指定情報TCに応じたアドレス情
報ADRSを波形メモリ4に供給する。ここで、波形メ
モリ4は、図3に示すように各音色に対応した波形値列
を各々記憶している。また、同じ音色であっても、音域
によって波形を変更した方が好ましい場合があり、この
場合、例えば低音域用波形値列、高音域用波形値列とい
うように、同一音色に対応した複数の波形値列が波形メ
モリ4に記憶される。この場合における波形値列の選択
は、音色指定情報TCとキーコードKCに基づいて行わ
れる。1つの音色(および音域)に対応した波形値列
は、図4に示すように複数周期に亙った波形の各位相点
の波形値によって構成されている。また、本実施例にお
いては、図4に示すように、最初のうちは高周波成分を
多く含み、時間経過に伴って徐々に高周波成分が減衰し
て行く波形の波形値列が各種波形メモリ4に記憶されて
いる。このような波形は、例えば衝突音等、自然界にお
いて発生するものを収録することによって得ることがで
きる。波形メモリ読出制御部5は、音色指定情報TCに
対応した波形値列の中に含まれ、タッチ情報TOUCH
に応じた区間に存在する各波形値のアドレスADRSを
順次出力する。例えば図4に示すように、TOUCH=
127の場合は、θ=0(θは波形値の位相)に対応し
たスタートアドレスおよびθ=2πに対応したエンドア
ドレスが発生され、TOUCH=126の場合は、θ=
πに対応したスタートアドレスおよびθ=3πに対応し
たエンドアドレスが発生され、…という具合に、タッチ
が弱くなるに従って時間的に後の方の区間が選択され、
その区間のスタートアドレスおよびエンドアドレスが発
生される。6はフィルタであり、波形メモリ4から順次
読み出される波形値WMが入力され、該入力波形にフィ
ルタ処理を施して出力する。このフィルタ6のフィルタ
演算用係数は、フィルタ・ディレイ制御部7により、キ
ーコードKC、タッチ情報TOUCHおよび音色指定情
報TCに応じた値に設定される。8はループ回路であ
り、加算器81、フィルタ82およびディレイ回路83
がループ状に接続されてなり、加算器81にフィルタ6
の出力信号が入力される。フィルタ82のフィルタ演算
用係数およびディレイ回路83の遅延時間は、フィルタ
・ディレイ制御部7により、キーコードKC、タッチ情
報TOUCHおよび音色指定情報TCに応じた値に各々
設定される。ループ回路8における加算器81およびフ
ィルタ82の各出力は乗算器91および92を各々介し
た後、加算器93によって加算され、加算器93から楽
音信号が出力される。ここで、乗算器91および92の
各乗算係数は、出力制御部9により、音色指定情報TC
およびキーオン信号KONに基づいて制御される。
【0007】次に図2を参照し、波形メモリ読出制御部
5の構成を説明する。501はキーコードKCの値に対
応した周波数情報Fnoを出力するKC−Fno変換テ
ーブルであり、ROM(リードオンリメモリ)によって
実現される。また、502はピッチ時変化情報発生部で
あり、キーコードKC、音色指定情報TCおよびタッチ
情報TOUCHに応じた変調信号を出力する。周波数情
報Fnoおよび変調信号は加算器505によって加算さ
れ、この加算結果はFno累算器506に入力される。
このFno累算器506は、キーオン信号KONの立ち
上がり時、キーオン信号が微分器507によって微分さ
れることによって発生されるキーオンパルスKONPが
ORゲート508を介して入力され、累算値がリセット
される。そして、キーオン以後、加算器505の出力信
号が、Fno累算器506によって逐次累算され、Fn
o累算器506から再生すべき波形値の位相点を指定す
る位相情報が発生される。503はスタートアドレステ
ーブル、504はエンドアドレステーブルであり、波形
メモリ4内の波形値列において、キーコードKC、タッ
チ情報TOUCHおよび音色指定情報TCによって決定
される区間のスタートアドレスおよびエンドアドレスを
各々発生する。加算器509はスタートアドレスとFn
o累算器506が発生する位相情報を加算し、アドレス
ADRSとして波形メモリ4に供給する。また、アドレ
スADRSはアドレス比較部510によってエンドアド
レスと比較され、両者が一致した時点で一致信号EQが
発生され、Fno累算器506がリセットされる。従っ
て、キーオン信号KONが立ち上がってから以後は、ア
ドレスADRSとして、スタートアドレスからエンドア
ドレスまでの区間の各アドレスが繰り返し出力される。
【0008】以下、この楽音合成装置の動作を説明す
る。鍵盤1における鍵が押下されると、それに応答して
キーオン信号KONが立ち上がると共に、押鍵された鍵
のキーコードKC、押鍵のタッチに応じたタッチ情報T
OUCHが押鍵検出部2から出力される。この結果、波
形メモリ読出制御部5において、キーコードKC、タッ
チ情報TOUCHおよび音色指定情報TCに応じた区間
のスタートアドレスおよびエンドアドレスが各々設定さ
れる。また、出力制御部9により、音色指定情報TCに
応じた各乗算係数が乗算器91および92に設定され
る。そして、上述したようにしてスタートアドレスから
エンドアドレスに至るまでの区間の各アドレスが繰り返
し波形メモリ4に供給され、波形メモリ4から該区間に
対応した各波形値WMが繰り返し読み出され、フィルタ
6を介してループ回路8に注入される。そして、ループ
回路8の2点から取り出された信号が乗算器91、92
および加算器93を介すことによって混合され、楽音信
号として出力される。このように、音色指定情報TC、
タッチ情報TOUCHおよびキーコードKCに応じてル
ープ回路8に入力される波形が切り換えられるので、多
彩な音色の楽音を発生することができる。また、本実施
例のように、最初のうちは高周波成分を多く含み、時間
経過に伴って徐々に高周波成分が減衰して行く波形を波
形メモリ4に記憶しておき、タッチが弱くなるのに従っ
て時間的に後の方の区間の波形を選択してループ回路8
に注入するようにすると、ff(フォルテシモ)からp
p(ピアニシモ)までタッチに応じて音色が連続的に変
化することとなり、自然楽器に極めて近い演奏が可能と
なる。
【0009】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
入力信号に対して少なくとも遅延処理を施して循環させ
るループ手段と、波形を記憶する波形記憶手段と、前記
波形における制御入力に応じた区間の波形を読み出し、
初期波形として前記ループ手段に入力する波形読出手段
とを設けたので、小規模な構成でありながら、多様な音
色の楽音を発生し得る楽音合成装置を実現することがで
きるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例による楽音合成装置の構
成を示すブロック図である。
【図2】 同実施例における波形メモリ読出制御部5の
構成を示すブロック図である。
【図3】 同実施例における波形メモリ4の記憶内容を
示す図である。
【図4】 同実施例の動作を説明する図である。
【符号の説明】
1……演奏操作子、2……押鍵検出部、4……波形メモ
リ、5……波形メモリ読出制御部、8……ループ回路。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力信号に対して少なくとも遅延処理を
    施して循環させるループ手段と、 波形を記憶する波形記憶手段と、 複数の値をとり得る制御信号であって、演奏操作に応じ
    た値をとる制御信号を発生する制御信号発生手段と、 前記波形記憶手段に記憶された波形について、前記制御
    信号の値に応じた区間の波形を読み出し、該読み出した
    波形を初期波形として前記ループ手段に入力する波形読
    み出し手段であって、前記読み出される波形は、前記制
    御信号の異なる値に対して一部が重複するものとを具備
    し、前記閉ループ手段を循環する信号を楽音信号として
    出力することを特徴とする楽音合成装置。
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