JP3020027B2 - サーモカップル周りの火炎形成構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、ガス器具の立ち
消え防止安全装置として用いられるサーモカップルの起
電力を確実かつ迅速に発生させることができるサーモカ
ップル周りの火炎形成構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】周知のように、サーモカップル１は、図
９に示すように、ガス器具の立ち消え防止安全装置の一
つとして広く用いられており、こんろのバーナーヘッド
２への点火がなされない場合や途中で火が消えたとき
に、器具栓電磁弁３を閉作動させて生ガスの流出をスト
ップするように作動する。

【０００３】そして、このサーモカップル１は、バーナ
ーヘッド２に正常に着火している場合には、火炎４によ
り熱せられて起電力を発生させ、この起電力により電磁
弁３を開作動させ、これを継続させることで、バーナー
にガスが供給されるように構成されている。

【０００４】このサーモカップル１の起電力を効率的に
発生させる火炎４の形状としては、図１０に示すよう
に、サーモカップル１を囲う長い火炎４Ａ，４Ａの間に
短い火炎４Ｂが存在する所謂平面形状が略Ｗ字状が好適
であり、このような火炎形状であれば、バーナーヘッド
２と混合管５（図９参照）のガタにより、火炎４が図１
１に示すようにバーナーヘッド２の周方向に回転してず
れた場合であっても、また、図１２に示すように横方向
にずれ、或は、図１３に示すように前後方向にずれた場
合であっても、所期の起電力を発生させるのに十分な熱
量を得ることができる。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明に係るサーモカップル周りの火炎形成構造
にあっては、長い火炎が形成される長火炎形成口と、サ
ーモカップルに向かって短い火炎が形成される短火炎形
成口とがバーヘッドの円筒状外周壁面の周方向に沿って
所要間隔毎に開設され、上記短火炎形成口の上面部に
は、１段以上の段差を形成し、該段差の最狭側壁部にお
けるハーナーヘッド半径方向の肉厚寸法を、上記短火炎
形成口からサーモカップルまでの距離寸法に対応させ
て、該距離が大きい場合には薄く形成し、該距離が小さ
い場合には厚くなるように形成したことを特徴とするも
のである。

【０００６】図１４に示す従来のバーナーヘッド構造
は、バーナーヘッド２の短火炎形成口６Ａを奥側、即
ち、サーモカップル１から遠くなるように形成すること
で、見掛け上短い火炎４Ｂが形成されるように構成され
ている。

【０００７】また、図１５に示す従来のバーナーヘッド
構造は、上記バーナーヘッド２の短火炎形成口６Ｂを徐
々に拡開してテーパー状に形成することでガス流速を減
速させることで、短い火炎４Ｂを形成するように構成さ
れている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記図
１４に示すバーナーヘッド構造にあっては、バーナーヘ
ッド２の短火炎形成口６Ａにおけるサーモカップル側の
面部を他の火炎口よりも奥側へ一段へこませなければな
らないため、バーナーヘッド形状が非常に複雑になる上
に、加熱時の鍋底やフライパン等の均熱性が得にくい、
という問題を有していた。

【０００９】また、図１５に示す従来のバーナーヘッド
構造にあっても、上記短火炎形成口６Ｂの形状を他の火
炎口と異なる形状とし、しかも、これに加えてテーパー
付けしなければならないため、これもバーナーヘッド２
の形状が非常に複雑になるという問題を有していた。

【００１０】この発明は、かかる現状に鑑み創案された
ものであって、その目的とするところは、バーナーヘッ
ドの短火炎形成口の形状を他の火炎口形状とそれほど変
えることなく理想的な短火炎形状を容易に形成すること
ができると共に、短火炎形成口とサーモカップルとの距
離に対応させて短火炎形状を容易に微調整することがで
き、以て、サーモカップルによる電磁弁の吸着応答性能
を向上させることができるサーモカップル周りの火炎形
成構造を提供しようとするものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明に係るサーモカップル周りの火炎形成構造
にあっては、混合管に位置決められて装着されるバーナ
ーヘッドと、このバーナーヘッドに近接して配置された
サーモカップルと、から構成され、上記バーナーヘッド
のサーモカップルに向って形成される炎口のうち、短い
火炎を形成する短火炎形成口に段差部を形成したことを
特徴とするものである。

【００１２】即ち、この発明においては、上記段差は、
１段、或は、複数段で形成するのが望ましい。

【００１３】また、この発明にあっては、上記段差部の
最狭側壁部のバーナーヘッド半径方向の肉厚寸法を、短
い火炎を形成する短火炎形成口からサーモカップルまで
の距離寸法に対応して、該距離が大きい場合には薄く、
該距離が小さい場合には厚くなるように形成すること
で、短火炎の形状を微調整することができる。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、添付図面に示す形態例に基
づきこの発明を詳細に説明する。

【００１５】図１乃至図３は、この発明の第１形態例を
示すものであって、この形態例では、バーナーヘッド１
２の短火炎形成口１６に段差部１７を形成することで、
該段差部１７にガスの渦流を発生させ、これによりガス
流速を急激に減速させることで、理想的な短火炎を形成
することができる。尚、この発明において新たな符号を
用いて特に説明しない部分の構成は、前記従来例と同様
であるため、その詳細な説明はここでは省略する。

【００１６】このように、この形態例では、バーナーヘ
ッド１２の短火炎形成口１６の形状を他の火炎口（図示
せず）とそれほど変えることなく理想的な短火炎４Ｂの
形状を得ることができるので、サーモカップル１１の起
電力を確実かつ迅速に発生させることができ、安全性が
向上する。

【００１７】図４乃至図６は、この発明の第２形態例を
示すものであって、この形態例では、第１形態例と異な
り、段差部１７を複数の段差（図示例では２段）とする
ことにより、ガス渦流を複雑に発生させることで、ガス
流速をさらに急激に減速させるように構成した他は、他
の構成、作用は第１形態例と同様であるので、図面には
第１形態例と同一の符号を付して、その詳細な説明はこ
こでは省略する。

【００１８】尚、この発明にあっては、上記構成に加
え、サーモカップルによる電磁弁の吸着応答性能を向上
させるため、短火炎４Ｂの形状を微調整できるように構
成されている。

【００１９】例えば、上記短火炎形成口１６とサーモカ
ップルとの距離が大きい場合には、短火炎４Ｂの形状を
大きくするため、図７に示すように、前記段差部１７を
形成する最狭側壁部１８の肉厚Ｄを小さく（薄く）形成
すればよい。

【００２０】また、短火炎形成口１６とサーモカップル
との距離が小さい場合には、短火炎４Ｂの形状を小さく
しなければならないため、図８に示すように、前記段差
部１７を形成する最狭側壁部１８の肉厚Ｄを大きく（厚
く）形成すればよい。

【００２１】

【発明の効果】この発明に係るサーモカップル周りの火
炎形成構造は、以上説明したように、長い火炎が形成さ
れる長火炎形成口と、サーモカップルに向かって短い火
炎が形成される短火炎形成口とがバーヘッドの円筒状外
周壁面の周方向に沿って所要間隔毎に開設され、上記短
火炎形成口の上面部には、１段以上の段差を形成し、該
段差の最狭側壁部におけるハーナーヘッド半径方向の肉
厚寸法を、上記短火炎形成口からサーモカップルまでの
距離寸法に対応させて、該距離が大きい場合には薄く形
成し、該距離が小さい場合には厚くなるように形成し、
短火炎形成口の段差によってガスの流速を急激に減少さ
せることができるため、理想的な短火炎形状を得ること
ができ、サーモカップルの起電力を確実、かつ、効率的
に発生させることができる。

【００２２】加えて、この発明にあっては、長火炎形成
口と短火炎形成口とがバーヘッドの円筒状外周壁面の周
方向に沿って所要間隔毎に開設されており、段差の有無
以外は長火炎形成口と短火炎形成口が同じ構造で形成さ
れているので、バーナーヘッド構造が複雑化せず、従っ
て、金型も単純に形成できるため、製造コストを大幅に
アップさせる心配がなく、しかも、短火炎形成口とサー
モカップルとの距離に対応させて短火炎の大きさを容易
に変更することができるので、サーモカップルにより電
磁弁の吸着応答性能を向上させることが容易である、と
いう優れた効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施の第１形態例に係るサーモカッ
プル周りの火炎形成構造を概略的に示す部分断面図であ
る。

【図２】同構造の火炎形成口を示す説明図である。

【図３】図２縦拡大断面図である。

【図４】この発明の実施の第２形態例に係るサーモカッ
プル周りの火炎形成構造を概略的に示す部分断面図であ
る。

【図５】同構造の火炎形成口を示す説明図である。

【図６】図５縦拡大断面図である。

【図７】同構造の段差部形成例を示す部分拡大断面図で
ある。

【図８】同構造の段差部形成例の他例を示す部分拡大断
面図である。

【図９】ガスこんろの概略的な構成を示す説明図であ
る。

【図１０】サーモカップルに対する理想的な火炎形状を
示す平面説明図である。

【図１１】サーモカップルと火炎とのズレ関係を示す説
明図である。

【図１２】サーモカップルと火炎との他のズレ関係を示
す説明図である。

【図１３】サーモカップルと火炎とのさらに他のズレ関
係を示す説明図である。

【図１４】従来のサーモカップル周りの火炎形成構造を
示す部分断面図である。

【図１５】従来の他のサーモカップル周りの火炎形成構
造を示す部分断面図である。

【符号の説明】

１２ バーナーヘッド １６ 短火炎形成口 １７ 段差部 １８ 最狭側壁部 Ｄ 最狭側壁部の肉厚

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F23D 14/06 F23N 5/10

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 長い火炎が形成される長火炎形成口と、
   サーモカップルに向かって短い火炎が形成される短火炎
   形成口とがバーヘッドの円筒状外周壁面の周方向に沿っ
   て所要間隔毎に開設され、上記短火炎形成口の上面部に
   は、１段以上の段差を形成し、該段差の最狭側壁部にお
   けるハーナーヘッド半径方向の肉厚寸法を、上記短火炎
   形成口からサーモカップルまでの距離寸法に対応させ
   て、該距離が大きい場合には薄く形成し、該距離が小さ
   い場合には厚くなるように形成することを特徴とするサ
   ーモカップル周りの火炎形成構造。