JP3018355B2 - 軸受用鋼及び転がり軸受 - Google Patents

軸受用鋼及び転がり軸受

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JP3018355B2
JP3018355B2 JP1264792A JP26479289A JP3018355B2 JP 3018355 B2 JP3018355 B2 JP 3018355B2 JP 1264792 A JP1264792 A JP 1264792A JP 26479289 A JP26479289 A JP 26479289A JP 3018355 B2 JP3018355 B2 JP 3018355B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、軸受用鋼及び自動車、農業機械、建設機械
及び鉄鋼機械、特に、トランスミッションやエンジン用
として求められる長寿命な転がり軸受に関する。
〔従来の技術〕
従来から鋼中の非金属介在物、特に、酸化物系介在物
は、例えば、伸線中の断線回数を多くし、製品の捻回
値、疲労等の機械的性質を悪化させることが知られてい
る。
そこで、鋼中の酸素量が少ない高清浄度鋼が種々提案
されており、例えば、特開昭53−76916号には、含有酸
素量50ppm以下とした高清浄度鋼が開示されている。
そして、鋼材の品質は非金属介在物の数,大きさによ
り大きく左右されるため、この介在物の大きさ,数を検
査する方法としてJIS(JIS−G−0555)及びASTM(ASTM
−E45)が存在し、さらに画像処理法を適用した介在物
の画像検査装置が開示されている(特開昭63−309844
号)。
軸受寿命と材料清浄度との間には密接な関係があり、
軸受の長寿命化に当たっては鋼中酸素量若しくはASTM基
準等に基づく介在物指数の指定を行うことが一般的であ
る。
酸化物系介在物の評価法の従来例として、「エレクト
ロンビーム法による介在物の評価法の開発(昭和62年5
月19日,日本学術振興会,5−1〜5−14,斎藤他)」に
おいて、エレクトロンビーム法により鋼中の介在物をサ
ンプル表面に浮上させ、その量,形態,組成等を定量化
する介在物評価法が開示されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、前記従来例は酸化物系介在物の数,大
きさがいかなる範囲内にあることが軸受の疲労寿命を向
上する上で有効であるか、についての具体的記載も開示
もなく、従来の軸受においては十分な寿命を確保する関
係が知られていなかった。
最近の高清浄度化の要求の中で、従来の清浄度評価項
目のみでは、軸受の長寿命,短寿命の差別化が困難にな
り、同項目のみの指定によっては、これ以上の軸受寿命
の向上は望めない状況であった。
そこで、この発明は、かかる従来の課題を解決するた
めに、長寿命軸受を得る上での新たな評価項目を具体的
に見出すことにより、長寿命清浄度軸受鋼及び長寿命転
がり軸受を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
請求項(1)記載の発明は、平均粒子径3μm以上30
μm以下の酸化物系介在物が単位面積(160mm2)当たり
80個以下であり、且つ、その内平均粒子径10μm以上の
前記酸化物系粒子の構成比率が2%未満であることを特
徴とする軸受用鋼に係る。
請求項(2)記載の発明は、均粒子系15μm以上30μ
m以下の酸化物系介在物が単位体積(100mm3)当たり10
個以下であることを特徴とする軸受用鋼に係る。
請求項(3)記載の発明は、平均粒子径10μm以上15
μm以下の酸化物系介在物が単位体積(100mm3)当たり
100個以下であることを特徴とする軸受用鋼に係る。
請求項(4)記載の発明は、平均粒子径3μm以上30
μm以下の酸化物系介在物が単位面積(160mm2)当たり
80個以下であり、且つ、その内平均粒子径10μm以上の
前記酸化物系粒子の構成比率が2%未満であると共に、
平均粒子径15μm以上30μm以下の酸化物系介在物が単
位体積(100mm3)当たり10個以下であることを特徴とす
る軸受用鋼に係る。
請求項(5)記載の発明は、平均粒子径15μm以上30
μm以下の酸化物系介在物が単位体積(100mm3)当たり
10個以下であり、且つ、平均粒子径10μm以上15μm以
下の酸化物系介在物が単位体積(100mm3)当たり100個
以下であることを特徴とする軸受用鋼に係る。
請求項(6)記載の発明は、平均粒子径3μm以上30
μm以下の酸化物系介在物が単位面積(160mm2)当たり
80個以下であり、且つ、その内平均粒子径10μm以上の
前記酸化物系粒子の構成比率が2%未満であると共に、
平均粒子径10μm以上15μm以下の酸化物系介在物が単
位体積(100mm3)当たり100個以下であることを特徴と
する軸受用鋼に係る。
請求項(7)記載の発明は、平均粒子径3μm以上30
μm以下の酸化物系介在物が単位面積(160mm2)当たり
80個以下であり、且つ、その内平均粒子径10μm以上の
前記酸化物系粒子の構成比率が2%未満であると共に、
平均粒子径15μm以上30μm以下の酸化物系介在物が単
位体積(100mm3)当たり10個以下であり、且つ、平均粒
子径10μm以上15μm以下の酸化物系介在物が単位体積
(100mm3)当たり100個以下であることを特徴とする軸
受用鋼に係る。
請求項(8)記載の発明は、単位体積当たりの酸化物
系介在物の個数が前記範囲内にあることを電子ビーム溶
解抽出評価法によって保証したことを特徴とする軸受用
鋼に係る。
請求項(9)記載の発明は、鋼中酸素含有量が9ppm以
下であることを特徴とする前記軸受用鋼に係る。
請求項(10)記載の発明は、軌道輪及び転動対の少な
くとも一つが前記軸受用鋼で構成されたことを特徴とす
る転がり軸受に係る。
〔作用〕
本発明者が検討したとろによると、酸化物系介在物の
平均粒径,介在物の数,その存在比、及び鋼中酸素量を
変えると軸受の寿命をコントロールできることを見出し
た。そして、酸化物系介在物の平均粒径,介在物の数,
その存在比、及び鋼中酸素量を軸受寿命の評価項目とし
長寿命軸受を得るために検討したところ、酸化物系介在
物の平均粒径,介在物の数,その存在比、及び鋼中酸素
量をある特定の範囲にすることにより軸受の寿命を向上
することができた。
転がり軸受のスラスト寿命試験結果(L10)と鋼中酸
素濃度との間には、第1図に示すように、低酸素域では
明確な相関は無いが、一般に酸素含有量が少なくなるに
従って軸受寿命が向上する。第1図から分かるように、
鋼中酸素量が9ppm以下で軸受寿命が向上する率が高い。
寿命の良否は、実測寿命と計算寿命との比(L10/L
10cal)の値が大きい程長寿命であるとして判定した。
第1図において、鋼中酸素量と介在物数との間には相
関があるが、介在物の大きさとは必ずしも相関がない。
よって、酸化物系介在物と軸受寿命との関係についてさ
らに考察を進めた。
尚、スラスト寿命試験は、円盤状試験片について『電
気製鋼所編 特殊鋼便覧(第1版)、理工学社 1965年
5月25日発行,第10〜21頁』記載の試験機を用いて行っ
た。試験条件は次の通りである。
Pmax=527kgf/mm2,N=3000c・p・m 潤滑油 VG68 タービン油 そこで、単位面積(160mm2)当たりの酸化物系介在物
数と軸受寿命との関係について検討した。
第2図は、光学顕微鏡(×400)によって解像度の限
界である、3μm以上の酸化物系介在物の単位面積当た
りの個数と寿命(L10/L10cal)との関係を示す。
第2図に示すように、介在物数の減少に伴い軸受寿命
が向上する。従って、長寿命の範囲の介在物数を指定す
れば長寿命軸受であることを保証することができる。よ
って、平均粒径が3μm以上で例えば30μm以下の酸化
物系介在物の単位体積当たりの個数を80個以下とするこ
とにより長寿命となる。但し、介在物数の減少に伴って
ややバラツキも大きくなっている。
そこで、同一介在物数で長寿命と短寿命の転がり軸受
について介在物の粒子径分布を調査したところ第3図及
び第4図のような結果を得た。一般に酸化物系介在物の
粒子径分布は、小径側にピークがあり粒子径の増大にと
もなって粒子数が減少する分布を採るが、長寿命のもの
は粒子径分布が10μmを境にしてシャープに小径側の分
布が多くなるのに対し、短寿命のものは粒子径分布がブ
ロードであり、10μm以上の粒子に分布のすそ野が広が
っていることが分かる。平均粒径10μm以上の介在物の
粒子の存在比を指定すれば長寿命軸受であることを保証
することができる。
そして、平均粒径10μm以上30μm以下の介在物の構
成比率と寿命との関係について第5図に示す。第5図か
ら、平均粒径10μm以上30μm以下の介在物の構成比を
2%未満とすることにより長寿命軸受となる。たとえ、
平均粒径10〜13μmの介在物粒子でもその存在比を2%
未満であるとする。
また、このように鋼表面に存在する介在物数を計測す
る方法に対して、鋼から酸化物系介在物を抽出して計測
することにより精度が高い立体評価法、例えば、より精
度の高い電子ビーム溶解抽出評価法を用いて介在物を鋼
から抽出して軸受寿命(L10)を評価したところ、単位
体積(100mm3)当たりの平均粒子径15μm以上例えば30
μm以下の酸化物径介在物粒子数と軸受寿命との間に第
6図に示すように介在物粒子数が少なくなる程軸受寿命
が長くなる関係を得た。
従って、平均粒子径15μm以上30μm以下の介在物粒
子数を指定することにより長寿命軸受であることを保証
することができる。よって、単位体積(100mm3)当たり
の平均粒子径15μm以上30μm以下の介在物粒子数を10
個以下とすることにより、長寿命な軸受を得ることがで
きる。
また、第7図に単位体積当たりの平均粒径10μm以上
15μm以下の粒子数と軸受寿命との関係を示す。
第7図において、平均粒径10〜15μmの介在物数が10
0個以下で寿命が向上していることが分かる。そして、
単位体積(100mm3)当たりの平均粒子径15μm以上30μ
m以下の酸化物系介在物粒子数を10個以下とした試料、
及び、さらに鋼中酸素量9ppmとした試料については第7
図のA領域のような特性を得ることができ、軸受寿命と
介在物粒子数との関係には十分によい相関があり、この
介在物数及び鋼中酸素量を指定することにより一定の軸
受寿命を保証することが可能であることを示している。
そこで、単位体積当たりの平均粒径15〜30μmの酸化
物系介在物を10個以下にするか、又は、単位体積当たり
の平均粒径10〜15μmの介在物を100個以下とするか、
又は、単位体積当たりの平均粒径15〜30μmの酸化物系
介在物を10個以下とし、更に単位体積当たりの平均粒径
10〜15μmの介在物を100個以下とすることにより介在
物数が少なくなり、長寿命軸受を得ることができた。
〔実施例〕
(実施例1) 例えば、10種の異なるチャージの軸受用鋼2種(SUJ
−2)を用い、この軸受用鋼を成形加工後、浸炭処理及
び焼戻しの処理を行い、円盤状試験片を作成した。
このような円盤状試験片の夫々について、軸受寿命
(L10)を前記スラスト寿命試験機を用いて実測した。
試験片にフレーキングが生じるまでの回転数をもって寿
命と判断した。
また、前記軸受用鋼を用いて単列深溝球軸受(6202)
を製作し、第8図に示すラジアル荷重試験機を用いて軸
受寿命(寿命L10)を測定した。軸受寿命は、内外輪の
表面または転動体の表面に剥離が生じ、振動が一定値以
上となるまでの回転数とした。
第8(1)図はこの試験機の正面図であり、第8図
(2)は第8図(1)図のA−A断面図である。図にお
いて、70は試験軸受であり、71は振動検出部、72は熱電
対、73は油面、74は支持軸受である。8図に次すよう
に、ラジアル荷重が試験軸受に負荷されるようになって
いる。
この試験機の試験条件は次の通りである。
ラジアル荷重=1410kgf 回転数=3900rpm(内輪回転,外輪静止) 潤滑,FBKRO−68ダービン油 Pmax=355kgf/mm2 ここで、単位面積(160mm2)当たりの平均粒径3〜30
μmの酸化物系介在物の数及び平均粒径10〜30μmの酸
化物系介在物の存在比は、寿命試験に用いられた試料の
一部を鏡面研磨し、光学顕微鏡ないし電子顕微鏡画像解
析装置を用いることにより解析した。
この解析装置、例えば、光学顕微鏡を用いる場合、TV
カメラ,TVスクリーン、及びカウンタの組合せからな
り、顕微鏡による像をTVカメラに写してこれを電子線で
走査してスクリーン上の明暗を電気信号に変え、これか
ら介在物の数,粒径を求めることができる。
この実施例において、酸化物系介在物数,平均粒径,
及び特定粒径の介在物の存在%が変わるようにチャージ
を変更し、円盤状試験片及び深溝球軸受を作成して軸受
寿命を実測して、その結果を後記の第1,2表に示す。
軸受寿命の良否は、〔寿命実測値(L10)/計算寿命
(L10cal)〕が大きい程軸受寿命が長く良好であり、こ
の値が小さい程軸受寿命は不良であると判定した。
本実施例の試験結果を次の第1,2表に示す。尚、表中
の下線部は本発明の範囲外であることを示す(以下、同
様)。
第1,2表の試験結果を第9図にプロットする。
第1,2表及び第9図から分かるように、平均粒径が3
μm〜30μmの介在物数の単位体積当たりの個数が80個
以下であり、この内平均粒径が10μm〜30μmの粒子の
構成比率が2%以下のチャージNo1〜5、No11〜15で
は、良好な寿命となっている。
これに対し、平均粒径が10μm〜30μmの粒子の構成
比率が2%を越えるチャージNo6,7,16,17、及びこの構
成比率が2%を越えると共に、平均粒径が3μm〜30μ
mの介在物数の単位体積当たりの個数も80個を越えるチ
ャージNo8〜10,18〜20ではいずれも寿命が劣化している
のが確認された。
(実施例2) 前記実施例1と同様の方法により、スラスト式寿命試
験及びラジアル式寿命試験を実行した。
本実施例では、単位体積(100mm3)当たりの平均粒径
15〜30μmの酸化物系介在物数と寿命との関係について
試験を行った。
単位体積当たりの介在物数及びその平均粒径は、電子
ビーム溶解抽出評価法により測定した。この電子ビーム
溶解抽出評価法は介在物を鋼中から取り出して立体的に
粒子を解析できるため、表面に存在する介在物を顕微鏡
によって測定する前記実施例1の方法と比較してより精
度の高い測定が可能となる。
この電子ビーム溶解抽出評価法では、メタルサンプル
を高真空下の水冷銅ルツボ内で電子ビームによりボタン
状に融解し、サンプル表面に浮上する介在物を集め、電
解研磨によりこの集合介在物(ラフト)を分離後,光学
式顕微鏡及び前記電子顕微鏡画像解析装置を用いて、又
は目視により解析を行うことにより、粒径と粒子数の解
析を行うことができる。
本実施例の結果を次の第3,4表に示し、その試験結果
を第10図にプロットする。
第3,4表及び第10図から分かるように、平均粒径が15
μm〜30μmの介在物数の単位体積当たりの個数が10個
以下であるチャージNo21〜25及び31〜35では、良好な寿
命となっている。
これに対し、この個数が10個を越えるこれら以外のチ
ャージNoではいずれも寿命が劣化しているのが確認され
た。
(実施例3) 前記実施例2と同様の方法によりに、単位体積当たり
の平均粒径10μm〜15μm,平均粒径15μm〜30μmの介
在物粒子数と寿命との関係について試験を行った。
この試験結果を次の第5,6表及び第11図に示す。
第5,6表及び第11図から分かるように、単位体積当た
りの平均粒径15μm〜30μmの介在物数が10個以下であ
り、かつ単位体積当たりの平均粒径10μm〜15μmの介
在物数が100個以下であるチャージNo41〜45,51〜55では
良好な寿命となっていることが分かる。
これに対し、平均粒径10μm〜15μmの介在物数が10
0個以上であるチャージNo46,47,56,57ではチャージNo41
等より寿命は低下するがL10/L10cal≧50の寿命は確保し
ている。長寿命と言えるためには、L10/L10cal≧50であ
ることが好ましい。
しかし、さらに平均粒子径15μm〜30μmの介在物数
が10個以上でもあるチャージNo48〜50,58〜60では寿命
が大きく低下していることが分かる。
(実施例4) 本実施例では前記実施例2と同様の方法により、単位
体積(100mm3)当たりの平均粒径が15μm〜30μm,10〜
15μmにある介在物粒子数及び鋼中炭素量と寿命との関
係について試験を行った。
この実施例では単位体積当たりの介在物粒子数を、酸
抽出法によって測定した。この酸抽出法は円盤状試験片
及び単列深溝球軸受の一部を採って強酸に入れ、溶けず
に溶解した酸化物系介在物を集めて、この介在物を画像
処理によって解析するものである。
また、鋼中の酸素量は円盤状試験片及び単列深溝球軸
受の一部をとってカーボンルツボに入れて溶融させ、発
生した酸素を二酸化炭素の形にして分析するものであ
る。この試験結果を次の第7,8表と第12図に示す。
第7,8表,及び第12図から分かるように、平均粒径15
〜30μmの介在物粒子の単位体積当たりの個数が10個以
下であり、かつ平均粒径10〜15μmの介在物粒子の単位
体積当たりの個数が100個以下であり、さらに鋼中の酸
素量が9ppm以下のチャージNo61〜63,71〜73では良好な
寿命となっていることが分かる。
これに対し、酸素量のみが9ppmを越えるチャージNo6
4,65,74,75では上記チャージNo61等と比較して寿命は低
下するが、実用上十分な寿命を発揮している。
また、平均粒径10〜15μmの介在物粒子の単位体積当
たりの個数が100個以上であるチャージNo67、及び酸素
量も9ppmを越えるチャージNo66,76もチャージNo61等に
比較して寿命は低下するがL10/L10cal≧50以上の寿命と
なっている。
これに対し、平均粒径15〜30μmの介在物粒子の単位
体積当たりの個数が10個を越え、かつ平均粒径10〜15μ
mの介在物粒子の単位体積当たりの個数が100個を越
え、さらに鋼中の酸素量が9ppmを越えるチャージNo70,7
7〜80では寿命が大きく低下していることが分かる。
そして、酸素量は9ppmを越えないが、平均粒は径15〜
30μmの介在物数が前記値を越え、且つ10〜15μmの介
在物数も前記値を越えるチャージNo69及び平均粒径10〜
15μmの介在物数は前記値を越えないが、平均粒径15〜
30μmの介在物数が前記値を越え、さらに、酸素量も9p
pm越えるチャージNo68は寿命が大きく低下していること
が分かる。
(実施例5) この実施例では、前記実施例4と同様の試験を行っ
た。但し、介在物粒子の分析は、前記実施例2で述べた
電子ビーム溶解抽出法によって行った。
試験結果を次の第9,10表に示す。
本実施例においても前記実施例4と同様な傾向の寿命
特性を得ることができる。そして、本実施例では、電子
ビーム溶解抽出評価法により寿命を評価しているため
に、評価精度が向上する。
(実施例6) 本実施例では、前記実施例1と同様にして、単位面積
当たりの平均粒径3〜30μmの粒子数、10〜30μmの粒
子の存在比を解析し、前記実施例2と同様にして単位体
積当たりの平均粒径10〜30μmの粒子数を解析し、これ
らの寿命の試験を行った。
その結果を次の第11,12表に示す。
以上第11,12表から分かるように単位面積当たりの粒
子数及び単位体積当たりの粒子数,粒子存在比が本発明
範囲のチャージNo101〜104,11〜113のものでは良好な寿
命となっているのが分かる。
これに対し単位体積当たりの粒子数及び単位面積当た
りの粒子数(存在比)が共に本発明範囲外となるチャー
ジNo108〜110,116〜120はいずれも寿命は大きく低下し
ている。
これに対し、単位体積当たりの粒子数は本発明の範囲
を越えるが、単位面積当たりの粒子数(存在比)が本発
明の範囲のチャージNo105〜107,114,115では、上記チャ
ージNo108等よりも寿命低下の度合い少ない。
以上の実施例において、平均粒子径が30μmを越える
介在物数については説明を行なわなかったが、本発明範
囲に介在物数を制限することにより、平均粒子径が30μ
mを越える介在物数を結果的に減少させることができ
る。よって、この点からも長寿命軸受鋼及び長寿命転が
り軸受を提供することができる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、請求項(1)記載の発明によれ
ば、長循寿命軸受用鋼を提供することができる。そし
て、平均粒子径3μm以上30μm以下の酸化物系介在物
が単位面積(160mm2)当たり80個以下であり、且つ、そ
の内平均粒子径10μm以上の前記酸化物系粒子の構成比
率が2%未満であることを分析するだけで、長寿命であ
ることが保証される。
請求項(2),(3)記載の発明によれば、長寿命軸
受用鋼を提供できると共に、立体的に酸化物系介在物の
総量を規制しているので、長寿命であることが(1)記
載の発明以上に保証される。また、単位体積当たりの介
在物数を分析するだけで、長寿命であることが簡単に保
証される。
請求項(4)記載の発明によれば、同様に長寿命軸受
用鋼を提供できると共に、酸化物系介在物の総量を断面
及び立体的に規制しているので、長寿命であることがよ
り保証される。
請求項(5)記載の発明によれば、長寿命軸受用鋼を
提供することができる。そして、酸化物系介在物の総数
を立体的に、且つ二段階で規制しているので、長寿命で
あることが(2),(3)記載の発明以上に保証され
る。
請求項(6)記載の発明によれば、長寿命軸受を提供
することができると共に、酸化物系介在物の総量を断面
及び立体的に規制しているので、長寿命であることがよ
り保証される。
請求項(7)記載の発明でも長寿命軸受用鋼を提供で
きる。さらに、酸化物系介在物の総量を断面及び立体的
に規制していると共に、請求項(1)〜(3)記載の全
ての基準により介在物数が規制されているために、長寿
命であることが最も保証され得る。
請求項(8)記載の発明によれば、電子ビーム溶解抽
出法によって単位体積当たりの介在物個数を分析してい
るため、長寿命であることが簡単かつ確実に保証され
る。
請求項(9)記載の発明でも長寿命軸受用鋼を提供で
きる。そして、酸素の総量を規制しているので長寿命で
あることがより保証され得る。
そして請求項(10)記載の発明によれば、長寿命軸受
用鋼を用いて軌道輪及び転動対の少なくとも一つが構成
されているため、長寿命転がり軸受を提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、鋼中酸素量と寿命試験との結果を示す特性
図、第2図は単位面積当たりの粒子数と寿命試験との結
果を示す特性図、第3,4図は、介在物の平均粒径と単位
面積又は体積当たりの介在物数との関係を示す特性図、
第5図は、単位面積当たりの平均粒径10〜30μmの介在
物粒子の構成比率と寿命との関係を示す特性図、第6,7
図は、単位体積当たりの介在物個数と寿命との関係を示
す特性図、第8図は、ラジアル試験機の構成図、第9図
ないし第12図は、単位面積又は単位体積当たりの介在物
個数と寿命との関係を示す特性図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−194047(JP,A) 特開 昭62−63651(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60 F16C 33/62,33/12

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均粒子径3μm以上30μm以下の酸化物
    系介在物が単位面積(160mm2)当たり80個以下であり、
    且つ、その内平均粒子径10μm以上の前記酸化物系粒子
    の構成比率が2%未満であることを特徴とする軸受用
    鋼。
  2. 【請求項2】平均粒子径15μm以上30μm以下の酸化物
    系介在物が単位体積(100mm3)当たり10個以下であるこ
    とを特徴とする軸受用鋼。
  3. 【請求項3】平均粒子径10μm以上15μm以下の酸化物
    系介在物が単位体積(100mm3)当たり100個以下である
    ことを特徴とする軸受用鋼。
  4. 【請求項4】平均粒子径3μm以上30μm以下の酸化物
    系介在物が単位面積(160mm2)当たり80個以下であり、
    且つ、その内平均粒子径10μm以上の前記酸化物系粒子
    の構成比率が2%未満であると共に、平均粒子径15μm
    以上30μm以下の酸化物系介在物が単位体積(100mm3
    当たり10個以下であることを特徴とする軸受用鋼。
  5. 【請求項5】平均粒子径15μm以上30μm以下の酸化物
    系介在物が単位体積(100mm3)当たり10個以下であり、
    且つ、平均粒子径10μm以上15μm以下の酸化物系介在
    物が単位体積(100mm3)当たり100個以下であることを
    特徴とする軸受用鋼。
  6. 【請求項6】平均粒子径3μm以上30μm以下の酸化物
    系介在物が単位面積(160mm2)当たり80個以下であり、
    且つ、その内平均粒子径10μm以上の前記酸化物系粒子
    の構成比率が2%未満であると共に、平均粒子径10μm
    以上15μm以下の酸化物系介在物が単位体積(100mm3
    当たり100個以下であることを特徴とする軸受用鋼。
  7. 【請求項7】平均粒子径3μm以上30μm以下の酸化物
    系介在物が単位面積(160mm2)当たり80個以下であり、
    且つ、その内平均粒子径10μm以上の前記酸化物系粒子
    の構成比率が2%未満であると共に、平均粒子径15μm
    以上30μm以下の酸化物系介在物が単位体積(100mm3
    当たり10個以下であり、且つ、平均粒子径10μm以上15
    μm以下の酸化物系介在物が単位体積(100mm3)当たり
    100個以下であることを特徴とする軸受用鋼。
  8. 【請求項8】単位体積当たりの酸化物系介在物の個数が
    前記範囲内にあることを電子ビーム溶解抽出評価法によ
    って保証したことを特徴とする請求項(2)ないし
    (7)のいずれか記載の軸受用鋼。
  9. 【請求項9】鋼中酸素含有量が9ppm以下であることを特
    徴とする請求項(1)ないし(8)のいずれか記載の軸
    受用鋼。
  10. 【請求項10】軌道輪及び転動体の少なくとも一つが前
    記請求項(1)ないし(9)のいずれか記載の軸受用鋼
    で構成されたことを特徴とする転がり軸受。
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