JP5076719B2 - 転がり軸受の残存寿命予測方法 - Google Patents
転がり軸受の残存寿命予測方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5076719B2 JP5076719B2 JP2007205641A JP2007205641A JP5076719B2 JP 5076719 B2 JP5076719 B2 JP 5076719B2 JP 2007205641 A JP2007205641 A JP 2007205641A JP 2007205641 A JP2007205641 A JP 2007205641A JP 5076719 B2 JP5076719 B2 JP 5076719B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- rolling bearing
- fatigue
- remaining life
- amount
- predicting
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Testing Of Devices, Machine Parts, Or Other Structures Thereof (AREA)
- Investigating Strength Of Materials By Application Of Mechanical Stress (AREA)
Description
そして、転がり軸受の軌道面に剥離現象が発生すると、転がり軸受の使用時に振動が発生する等の弊害が生じることとなる。
そこで、従来から、転がり軸受の残存寿命予測方法が提案されている。
そこで、従来、転がり軸受の残存寿命予測方法として、鋼中の介在物量を素材の段階で測定し、その測定結果から寿命を予測する方法が知られている(特許文献1参照)。
そのため、転がり軸受の残存寿命予測方法としては、転がり軸受が使用される中で変化するパラメータを抽出し、そのパラメータに基づいて疲労の進行度合いを検出する方法がより有効と考えられている。従来、このような方法として、例えば、転がり軸受に充填されている潤滑油中の磨耗粉量を測定し、その測定結果に基づいて転がり軸受の劣化度合いを検出する方法が知られている(特許文献2参照)。
従来、材料の特性を直接評価して転がり軸受の残存寿命を予測する方法として、例えば、X線解析による半価幅の減少量をパラメータとして転がり軸受の残存寿命を予測する方法が開示されている(特許文献1参照)。
したがって、特許文献1に係るX線解析による半価幅の減少量をパラメータとして転がり軸受の残存寿命を予測する方法では、残留オーステナイトを考慮していないため、転がり軸受の残存寿命を予測するには不十分である。
また、一般に、転がり軸受の内部疲労について評価する際には、疲労部を目視することができないため、最も疲労した疲労部の特定には経験的な技術が必要となる。
本発明は、上記従来技術の問題を解決するためのものであり、その目的は、転がり軸受の残存寿命の予測精度を向上することが可能な転がり軸受の寿命予測方法を提供することにある。
特定された前記疲労部についてX線回折を行い、マルテンサイトの半価幅の変化量及び残留オーステナイト量の変化量を測定する工程と、
測定された前記マルテンサイトの半価幅の変化量及び前記残留オーステナイト量の変化量から、前記残留オーステナイト量に依存した材料係数を用いた関係式により疲労度を求める工程と、
前記最も疲労している疲労部の疲労度の測定結果である、求められた前記疲労度から転がり軸受の残存寿命を予測する工程とを含むことを特徴とする。
求められた前記疲労度及び決定された前記剥離疲労度を用いて前記転がり軸受の残存寿命を予測する工程とを含むことを特徴とする。
転がり軸受の疲労現象は、軸受材料の内部組織であるマルテンサイトと残留オーステナイトの特性及び量の変化に基づいて追跡することができる。ここで、大半の転がり軸受の軸受材料の内部組織の構成割合は、マルテンサイトが80%以上を占めている。したがって、転がり軸受の疲労現象は、マルテンサイトの組織変化によりおおよそ捉えることができる。
この場合、腐食した部分の腐食の進行度合いを色によって定量的に評価することは困難である。しかしながら、腐食した部分は、疲労により組織が明らかに変化した部分であるため、金属顕微鏡による組織観察により正確に特定することが可能である。すなわち、転がり軸受の疲労部は、マルテンサイトが組織変化したことによる腐食部を観察することにより、正確に特定することが可能である。
一方、転がり軸受の内部疲労による剥離現象は、軸受材料中の非金属介在物を起点として発生する。これは、非金属介在物が応力集中源となり、上述した疲労に伴う組織変化が非金属介在物の周囲で加速されることに起因する。
したがって、転がり軸受に剥離現象が発生する際の軸受材料の疲労度(以下、剥離疲労度という)は、軸受材料の鋼中酸素量を測定することにより予測することが可能となっている。
すなわち、転がり軸受の軸受材料の鋼中酸素量を測定し、測定された鋼中酸素量から、予め求められた鋼中酸素量と剥離疲労度との関係に基づいて、転がり軸受の剥離疲労度を決定する。
以下、本発明の実施の形態をより詳細に説明する。
本実施の形態に係る転がり軸受の残存寿命予測方法では、まず、任意の時間の耐久試験を行った転がり軸受について、軌道面における転動体の走行跡(以下、軌道輪という)を目視により確認し、軌道輪が延びる方向に対して垂直方向に切断する。
そして、特定された疲労部についてX線回析を行い、マルテンサイトの半価幅の変化量及び残留オーステナイトの変化量を測定し、その測定結果から疲労度を求める。
ここで、予め、転がり軸受の軸受材料の鋼中酸素量と剥離疲労度との関係式及び耐久試験の試験時間と転がり軸受の疲労度との関係式を求めておく。
そして、測定された疲労度、決定された剥離疲労度及び耐久試験の試験時間と転がり軸受の疲労度との関係式から、転がり軸受の残存寿命を予測する。
以上、本発明に係る転がり軸受の残存寿命予測方法によれば、組織観察により軌道輪断面における最も疲労している疲労部を特定し、特定された疲労部について疲労度を測定する構成により、転がり軸受の残存寿命の予測精度を向上することが可能となる。
図1は、耐久試験の試験時間と転がり軸受の疲労度との関係を示す図である。図2は、転がり軸受の軸受材料の鋼中酸素量と剥離疲労度との関係を示す図である。
本実施例では、鋼中酸素量が異なる軸受材料から形成された3種類の転がり軸受について、本発明に係る転がり軸受の残存寿命予測方法による残存寿命の予測を行った。各転がり軸受の軸受材料としては、汎用の軸受鋼であるSUJ2鋼を用いた。
本実施例に使用した各転がり軸受の軸受材料の鋼中酸素量を表1に示す。
軸受形式:6206
荷重:P/C=0.71
潤滑:タービンオイル(♯68)
試験温度:70℃
回転速度:3900min−1
軌道輪断面の疲労部における疲労度FIの測定では、まず、X線回析により、疲労部の中央部におけるマルテンサイトの半価幅の減少量δa及び残留オーステナイトの減少量δbを測定した。そして、測定されたマルテンサイトの半価幅の減少量δa及び残留オーステナイトの減少量δbを用いて、疲労度FIを下記式(1)により算出した。
FI=δa+C×δb ・・・(1)
ここで、Cは、残留オーステナイト量に依存した材料係数である。そして、Cの値は、例えば、0.05〜0.10であるが、今回は、軸受材料として残留オーステナイト量が10体積%のSUJ2鋼を用いたため、Cの値は0.1とした。
耐久試験の試験時間Sと各転がり軸受の疲労度FIとの関係を表2に示す。
一方、各転がり軸受について、実際に剥離現象が発生するまで耐久試験を行い、ワイブル分布によりL50寿命を求め、その時の疲労度FIを剥離疲労度FI´として決定する。
各転がり軸受のL50寿命と鋼中酸素量と剥離疲労度FI´との関係を表3に示す。
以上より、各転がり軸受について、軸受材料の鋼中酸素量を測定すれば、図2から導出される関係式より、剥離疲労度FI´を求めることができる。また、各転がり軸受について、任意の試験時間Sにおける疲労度FIを測定すれば、測定された疲労度FI、求められた剥離疲労度FI´及び図1から導出される関係式より、剥離疲労度FI´に至るまでの残存寿命を求めることができる。
したがって、他の転がり軸受についても同様に、軸受材料の鋼中酸素量及び任意の試験時間Sにおける疲労度FIを測定することにより、残存寿命を予測することが可能となる。
比較例に係る転がり軸受の残存寿命予測方法としては、転がり軸受の疲労部を軌道輪から推定し、電解研磨による追い込みによって深さ方向の疲労度を検出し、最も疲労していた部分について疲労度を測定する方法を採用した。
なお、転がり軸受としては、鋼中酸素量が異なるSUJ2鋼から形成された表1に示す3種類の転がり軸受を用いた。
各転がり軸受の任意の試験時間Sにおける残存寿命について、本発明例に係る転がり軸受の残存寿命予測方法により予測した結果及び実測した結果を表4に示す。また、各転がり軸受の任意の試験時間Sにおける残存寿命について、比較例に係る転がり軸受の残存寿命予測方法により予測した結果及び実測した結果を表5に示す。
一方、表5に示すように、比較例に係る転がり軸受の残存寿命予測方法では、最も疲労している疲労部を必ずしも特定することができないため、測定された疲労度FIの値が小さくなり、その結果として予測残存寿命の値が大きくなる。したがって、比較例に係る転がり軸受の残存寿命予測方法では、実測残存寿命と予測残存寿命との乖離が大きくなることがわかる。
Claims (2)
- 耐久試験を行った転がり軸受の断面について組織観察を行い、最も疲労している疲労部を特定する工程と、
特定された前記疲労部についてX線回折を行い、マルテンサイトの半価幅の変化量及び残留オーステナイト量の変化量を測定する工程と、
測定された前記マルテンサイトの半価幅の変化量及び前記残留オーステナイト量の変化量から、前記残留オーステナイト量に依存した材料係数を用いた関係式により疲労度を求める工程と、
前記最も疲労している疲労部の疲労度の測定結果である、求められた前記疲労度から転がり軸受の残存寿命を予測する工程とを含むことを特徴とする転がり軸受の残存寿命予測方法。 - 転がり軸受の軸受材料の鋼中酸素量を測定し、測定された鋼中酸素量から、予め求められた鋼中酸素量と剥離疲労度との関係式により剥離疲労度を決定する工程と、
求められた前記疲労度及び決定された前記剥離疲労度を用いて前記転がり軸受の残存寿命を予測する工程とを含むことを特徴とする請求項1記載の転がり軸受の残存寿命予測方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007205641A JP5076719B2 (ja) | 2007-08-07 | 2007-08-07 | 転がり軸受の残存寿命予測方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007205641A JP5076719B2 (ja) | 2007-08-07 | 2007-08-07 | 転がり軸受の残存寿命予測方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009041993A JP2009041993A (ja) | 2009-02-26 |
JP5076719B2 true JP5076719B2 (ja) | 2012-11-21 |
Family
ID=40442893
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007205641A Active JP5076719B2 (ja) | 2007-08-07 | 2007-08-07 | 転がり軸受の残存寿命予測方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5076719B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5111472B2 (ja) * | 2009-09-18 | 2013-01-09 | 株式会社神戸製鋼所 | 転動疲労における応力解析方法 |
WO2011074654A1 (ja) * | 2009-12-17 | 2011-06-23 | 日本精工株式会社 | 軸受の残存寿命予測方法及び残存寿命診断装置並びに軸受診断システム |
JP5877964B2 (ja) * | 2011-07-01 | 2016-03-08 | Ntn株式会社 | 転がり接触金属材料の内部起点型はく離寿命の相対優劣の推定方法および推定装置 |
JP5958999B2 (ja) * | 2012-07-04 | 2016-08-02 | Ntn株式会社 | 軸受部品の検査方法および軸受部品の検査装置 |
JP7372155B2 (ja) * | 2019-02-22 | 2023-10-31 | Ntn株式会社 | 転動部品の疲労度推定方法、転動部品の疲労度推定装置、転動部品の疲労度推定プログラム |
CN114026415A (zh) | 2019-06-17 | 2022-02-08 | 日本精工株式会社 | 滚动机械要素的疲劳诊断方法和滚动机械要素的疲劳诊断系统 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS55126846A (en) * | 1979-03-26 | 1980-10-01 | Nippon Seiko Kk | Measuring method for fatigue degree of rolling fatigue |
JP2006097873A (ja) * | 2004-09-30 | 2006-04-13 | Nsk Ltd | 樹脂製プーリ用転がり軸受 |
-
2007
- 2007-08-07 JP JP2007205641A patent/JP5076719B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2009041993A (ja) | 2009-02-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5076719B2 (ja) | 転がり軸受の残存寿命予測方法 | |
Gould et al. | The effect of lubricant composition on white etching crack failures | |
Groche et al. | Influence of gliding speed and contact pressure on the wear of forming tools | |
Munoz et al. | Tribocorrosion | |
US9074970B2 (en) | Method for fatigue assessment of rolling bearing | |
Al-Tameemi et al. | Damage characterisation of white etching cracks in a black oxide coated wind turbine gearbox bearing | |
Styp-Rekowski et al. | Tribological problems in shaft hoist ropes wear process | |
Holmberg et al. | Grit blasting for removal of recast layer from EDM process on Inconel 718 shaft: an evaluation of surface integrity | |
Liang et al. | Hydrogen-assisted microcrack formation in bearing steels under rolling contact fatigue | |
Siddaiah et al. | Introduction to tribocorrosion | |
Anaee et al. | Tribocorrosion | |
EP3889569B1 (en) | Ambient-hydrogen-level assessment method and white-structure-damage-likelihood prediction method | |
JP5910124B2 (ja) | 軸受の残存寿命予測方法 | |
JP4584085B2 (ja) | 転がり軸受の劣化評価方法 | |
JP2014098409A (ja) | 転がり軸受の残存寿命予測方法 | |
JP2018159701A (ja) | 耐水素脆化特性評価方法 | |
Gabelli et al. | Rolling Bearing Material Quality Fatigue Testing-Material Quality Life Factors | |
Latypova et al. | Hydrogen-induced cracking of 500 HBW steels studied using a novel tuning-fork test with integrated loadcell system | |
Rückle et al. | Corrosion fatigue of CrNi13-4 martensitic stainless steel for Francis runners in dependency of water quality | |
JP4204146B2 (ja) | 転がり軸受用材料の寿命予測方法および転がり軸受用材料の寿命識別方法 | |
JP2003035656A (ja) | 軸受用鋼の寿命推定方法 | |
Wu et al. | Method for the estimation of wear resistance curves in sheet metal forming with uncoated tools | |
Tekkouk et al. | Enhance Wear resistance of A2024-T4 Aluminum alloy after Conventional Anodizing | |
CN110849753B (zh) | 一种基于微观划痕的金属材料疲劳强度预测方法 | |
WO2024195799A1 (ja) | 転がり軸受の寿命予測方法、及び転がり軸受の寿命のワイブル分布予測方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20100804 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120522 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120712 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120731 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120813 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150907 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S801 | Written request for registration of abandonment of right |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R311801 |
|
R371 | Transfer withdrawn |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371 |
|
S801 | Written request for registration of abandonment of right |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R311801 |
|
ABAN | Cancellation of abandonment | ||
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |