JP4204146B2 - 転がり軸受用材料の寿命予測方法および転がり軸受用材料の寿命識別方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、転がり軸受用材料の寿命予測方法と、寿命予測で長寿命を識別保証した転がり軸受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
転がり軸受の寿命は、軸受用材料の表面に生じる剥離現象で決まる場合が殆どである。この剥離現象は、軸受用材料の転動接触による一種の疲労破損であり、材料の化学成分や硬度に依存する強度因子と、材料に内在する非金属介在物に依存する内部欠陥因子とが関与する。前者の強度因子は主として剥離寿命のレベルに影響し、後者の内部欠陥因子は剥離寿命のばらつきを大きく左右する。
【0003】
前記内部欠陥因子は、不可避的に存在する非金属介在物の数とそのサイズの分布に影響されると考えられており、同一鋼種、すなわち強度因子が同じレベルであっても、転がり軸受の寿命は10倍以上の寿命比でばらつくのが一般的であった。このため、転がり軸受の製造に際しては、軸受寿命はばらつくものとの前提に立ち、各ロットに対して10個以上の試験片を準備して転動寿命試験を行っている。
【0004】
転動寿命試験は、試験片を数GPa程度の最大接触応力で相手試片と転動させ、試験片が剥離等で破損するまでの転動サイクル数を調査するものであり、長寿命のものは破損するまでの転動サイクル数が108 のオーダを越えるものもある。通常、試験片には円筒状や円板状のものが用いられ、相手試片には円筒状や球状のものが用いられる。この転動寿命試験では、全試験片の10%が破損する寿命(転動サイクル数)をL10として、このL10で各ロット毎の軸受寿命を評価している。
【0005】
一方、近年鋼材の製造工程における各種清浄化処理技術が発達し、鋼材中の非金属介在物は大幅に減少している。このため、転がり軸受用材料としても、非金属介在物の少ない鋼材が供給され、長寿命の転がり軸受が製造されるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の軸受寿命の評価方法では、各ロットに対して10個以上の試験片について、各試験片が破損するまで転動寿命試験を行う必要があり、多大な時間を要する問題がある。また、上述したように、転がり軸受用材料として、非金属介在物の少ない鋼材が使用されるようになっているので、各試験片が破損するまでの転動サイクル数が108 を越えるものも多く、転動寿命試験に要する時間はさらに長くなっている。
【0007】
この転動寿命試験の時間を短縮するためには、試験における負荷荷重(最大接触応力)を高めて加速試験とすることが考えられるが、負荷荷重を高めると、通常の軸受の使用における破損モードと異なる破損現象が現れ、実使用に即した軸受寿命を評価できない場合がある。
【0008】
そこで、この発明の課題は、短時間で転がり軸受用材料の寿命を精度よく予測する方法と、寿命予測で長寿命を識別保証した転がり軸受を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明の転がり軸受用材料の寿命予測方法は、各種類別の非金属介在物について、転がり軸受用材料の所定の被検面積における介在物サイズの度数分布を、材料の内部欠陥度合いのパラメータとする数式Yを作成し、この数式Yを包含する予測式により、転がり軸受用材料の寿命を予測する方法を採用したものである。
【0010】
すなわち、転がり軸受の寿命のばらつきを大きく左右する材料の内部欠陥度合いのパラメータとして、非金属介在物を種類別に分けた各介在物サイズの度数分布を採用し、この度数分布を数式で定量化したものを寿命予測式に組み込むことにより、転動寿命試験なしで転がり軸受用材料の寿命を精度よく予測できるようにした。
【0011】
前記数式Yとしては、次式で表現されるものを採用することができる。
【0012】
Y= exp{α1 ・(A系非金属介在物の影響指数)+α2 ・(B+C系非金属介在物の影響指数)+β} (1)
前記数式Yとしては、次式で表現されるものも採用することができる。
【0013】
Y= exp{α3 ・(B+C系非金属介在物の影響指数)+β2 } (2)
ここに、
非金属介在物の分類:JIS法によるもの
k:介在物サイズ(離散変数;μm)
f(k) :介在物サイズkの度数分布(離散化した分布)の近似式
α1 、α2 、α3 、β1 、β2 、γ:定数
m:任意の整数
前記各数式Yを指数関数としたのは、転がり軸受の寿命の内部欠陥因子によるばらつきの分布は、ワイブル分布に代表される指数分布に近いからである。前記影響指数において、度数分布の近似式f(k) に重み係数kr を乗じたのは、サイズkの大きい介在物ほど前記内部欠陥因子として大きく作用するからである。
【0014】
また、所定の転動試験後におけるX線回折での半価幅の低下量Xを材料の強度パラメータとし、この半価幅の低下量Xを前記予測式に包含させることにより、転がり軸受用材料の寿命予測に前記強度因子の影響を取り込み、寿命予測精度をさらに向上させることができる。なお、半価幅の低下量Xを調べるための転動試験は、試験片が破損するまで行う必要がないので、転動寿命試験よりは遙に短時間で終了することができる。
【0015】
本発明者らは、転がり軸受用材料の強度因子は、材料の転動に伴う組織変化や材質変化の生じ難さに依存すると考え、表1に示す3チャージの鋼種について、それぞれ熱処理条件を標準焼入れと浸炭窒化処理の2種類に変えた計6種類の鋼材に対して、転動寿命試験と一定時間転動毎にX線回折の半価幅を測定する転動試験を行った。転動寿命試験と転動試験の試験条件は表2に示す通りである。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
前記半価幅の測定は、材料表面近傍における複数の深さ位置で行い、転動時間に対して各深さ位置における実測半価幅をプロットしたものを累乗分布で近似し、1000分および2000分転動後の半価幅の低下量Xを求めた。
【0019】
図1に、半価幅の低下量Xと転動寿命試験から求めた寿命L10との関係をプロットしたグラフの例を示す。図1(a)は、材料表面における2000分転動後の半価幅の低下量Xと寿命L10との関係、図1(b)は、材料表面から0.1mm深さの位置における1000分転動後の半価幅の低下量Xと寿命L10との関係である。いずれの場合も両者は高い線形の相関関係を示し、半価幅の低下量Xが大きくなると寿命L10は直線的に低下する。この結果に基づいて、転がり軸受用材料の強度因子を表現する強度パラメータとして半価幅の低下量Xを用いるようにした。
【0020】
前記半価幅の低下量Xを前記予測式に包含させる形としては、低下量Xを線形表現で組み込んだ次式を採用することができる。
【0021】
予測寿命 = Y・(a・X+b) (4)
ここに、
a、b:定数
さらに、この発明の転がり軸受用材料の寿命予測方法は、JIS法分類によるB+C系非金属介在物について、転がり軸受用材料の部分被検面積における介在物サイズの分布に基づいて、転がり軸受用材料の所定寸法に相当する断面積または体積中での前記介在物の最大サイズを、極値統計法を用いて推定し、この推定された介在物の最大サイズにより、転がり軸受用材料の寿命を予測する方法も採用することができる。
【0022】
この寿命予測方法は、介在物サイズの分布をわずかの部分被検面積で測定し、極値統計法を用いて軸受部品相当の寸法における介在物の最大サイズを推定し、この介在物の推定最大サイズで転がり軸受用材料の寿命を予測する簡便法であり、上述した各寿命予測方法に比べると予測精度は若干低下する。被検面積での介在物の測定には画像解析法等を用いることができる。
【0023】
対象とする介在物としてB+C系非金属介在物を選定したのは、以下の理由による。
【0024】
本発明者らは、非金属介在物の形態や大きさが異なる約20の鋼材について、表2に示した試験条件での転動寿命試験と、画像解析装置を用いた非金属介在物の調査を行った。画像解析による非金属介在物の調査は、サンプルの被検面積を300mm2 として、2値化分別処理によりA系非金属介在物とB+C系非金属介在物を分類し、それぞれの種類のものについて各介在物の面積を測定した。この測定結果に基づいて、極値統計法により各サンプルの30000mm2 断面における最大介在物の面積Smax を推定し、各系の非金属介在物について、このSmax と転動寿命試験から求めた寿命L10との相関関係を調べた。
【0025】
図2(a)は、B+C系非金属介在物のSmax(B+C)の平方根と寿命L10との関係、図2(b)は、A系非金属介在物のSmax(A)の平方根と寿命L10との相関関係を示す。B+C系非金属介在物の√(Smax(B+C))と寿命L10は、次式に示す比例関係にあり、良い相関を示す。
【0026】
L10 ∝{√(Smax(A))}-2.16 (5)
一方、A系非金属介在物の√(Smax(A))は寿命L10とあまり相関が認められず、√(Smax(A))を説明変量に加えて重回帰分析を行っても、寿命L10との重相関係数は高くなるが、自由度二重調整寄与率は却って低くなる。この知見に基づいて、簡便な転がり軸受用材料の寿命予測方法として、B+C系非金属介在物の推定最大サイズを用いる方法を採用した。
【0027】
また、この発明の転がり軸受は、JIS法分類によるA系非金属介在物およびB+C系非金属介在物について、転がり軸受用材料の所定の被検面積における、各介在物の面積の平方根n(μm)の離散化した度数分布をそれぞれ指数関数f(n) で近似し、以下の数式Y0 で表現される予測寿命L10(10%が破損する寿命)が9×107 以上となるように識別した転がり軸受用材料を用いた構成を採用したものである。
【0028】
Y0 = exp{−9.52×10-6・(A系非金属介在物の影響指数)−6.94×10-5・(B+C系非金属介在物の影響指数)+18.63 } (6)
ここに、
f(n) =d1 ・ exp(−d2 ・n) (8)
d1 、d2 :回帰定数
図3は、被検面積300mm2 におけるB+C系非金属介在物の面積の平方根n(μm)の度数分布を画像解析装置により測定した例を示す。平方根nは1μmおきに離散化した変数であり、例えば、n=4μmの度数は、3.5μm≦n<4.5μmの範囲の介在物の度数を表す。この他にもいくつかの鋼材について度数分布を測定したが、いずれの度数分布も図3に示したような指数分布であったので、介在物の面積の平方根nの度数分布を指数関数f(n) で近似した。なお、n≧31の度数は十分に小さな値となるので、影響指数の算出に際しては無視した。また、従来の代表的な軸受用鋼SUJ2の寿命L10の平均値は6×107 程度であるので、前記予測寿命L10の識別値をその1.5倍長寿命の9×107 とした。
【0029】
この発明の転がり軸受は、JIS法分類によるB+C系非金属介在物について、転がり軸受用材料の所定の被検面積における、介在物の面積の平方根n(μm)の離散化した度数分布をそれぞれ指数関数f(n) で近似し、以下の数式Y0 で表現される予測寿命L10(10%が破損する寿命)が9×107 以上となるように識別した転がり軸受用材料を用いた構成も採用することができる。
【0030】
Y0 = exp{−8.94×10-5・(B+C系非金属介在物の影響指数)+18.13 }(9)
ここに、
f(n) =d1 ・ exp(−d2 ・n) (8)
d1 、d2 :回帰定数
この発明の転がり軸受は、JIS法分類によるA系非金属介在物およびB+C系非金属介在物について、転がり軸受用材料の所定の被検面積における、各介在物の面積の平方根n(μm)の離散化した度数分布をそれぞれ指数関数f(n) で近似するとともに、この材料の2000分間の転動試験後における材料表面のX線回折での半価幅の低下量をX(°)とし、以下の数式Y1 で表現される予測寿命L10(10%が破損する寿命)が9×107 以上となるように識別した転がり軸受用材料を用いた構成も採用することができる。
【0031】
Y1 =Y0 ・(−2.79X+4.01) (10)
ここに、
Y0 = exp{−9.52×10-6・(A系非金属介在物の影響指数)−6.94×10-5・(B+C系非金属介在物の影響指数)+18.63 } (11)
f(n) =d1 ・ exp(−d2 ・n) (13)
d1 、d2 :回帰定数
さらに、この発明の転がり軸受は、JIS法分類による各B+C系非金属介在物について、転がり軸受用材料の所定の部分被検面積における、介在物の面積Sの分布に基づいて、材料の所定寸法に相当する断面積または体積中での前記面積Sの最大値Smax を極値統計法により推定し、この推定した最大値Smax の平方根が12.2μm以下と識別された転がり軸受用材料を用いた構成も採用することができる。
【0032】
前記最大値Smax の平方根の識別値12.2μmは、図2(a)に示したB+C系非金属介在物のSmax(B+C)の平方根と寿命L10との相関関係に基づいて決定したものであり、L10=9×107 に相当する。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を実施例に基づいて説明する。
【0034】
【実施例】
(実施例1)
軸受用鋼SUJ2およびSUJ3についてそれぞれ3チャージと、表1に示したC鋼について1チャージの鋼材を溶製した。各チャージで溶製した鋼材を標準焼入れしたものと、SUJ2、SUJ3各1チャージ(表3中のA1、B1)およびC鋼の1チャージ(表3中のC)で溶製した鋼材については浸炭窒化処理したものも用意し、これらの各鋼材から転動寿命試験および転動試験用の試験片と、非金属介在物測定用のサンプルを作製した。
【0035】
【表3】
【0036】
表3に示す各鋼材について、2000分間の転動試験前後の試験片表面におけるX線回折の半価幅の測定と、画像解析装置による各サンプルの被検面積300mm2 における非金属介在物サイズの度数分布測定を行った。また、本発明の転がり軸受用材料の寿命予測方法の予測精度を検証するために、各鋼材毎に10個ずつの試験片について転動寿命試験を行い、寿命L10の実測値を求めた。なお、転動寿命試験と転動試験の試験条件は、表2に示したものと同じである。
【0037】
前記介在物サイズの度数分布は、A系非金属介在物とB+C系非金属介在物とに分け、介在物面積の平方根n(μm)を1μmおきに離散化して求めた。これらの各度数分布を(13)式を用いて指数関数に近似し、(11)式および(12)式により、材料の内部欠陥度合いのパラメータである数式Y0 の値を算出した。
【0038】
一方、転動試験前後の半価幅の測定値から、2000分転動後の半価幅の低下量X(°)を求め、(10)式により寿命L10の予測値を算出した。
【0039】
表3に各鋼材の寿命L10の予測値と実測値を対比して示す。予測値と実測値の比は0.73〜1.77の範囲に入っており、同一鋼種であっても10倍以上の寿命比でばらつく転がり軸受用材料の寿命L10を精度よく予測できることがわかる。
【0040】
この実施例では、表3中のA1、B1、Cの各チャージのものを浸炭窒化した材料と、B1チャージのものを標準焼入れした材料を、寿命L10が9×107 以上と識別して軸受用材料として用い、長寿命の転がり軸受を製造するようにした。
(実施例2)
約20チャージの軸受用鋼SUJ2を標準焼入れした鋼材について、非金属介在物測定用のサンプルを用意し、画像解析装置により各サンプルの被検面積300mm2 における非金属介在物サイズの度数分布を測定した。また、実施例1と同様に、表2に示した試験条件で転動寿命試験を行い、この寿命予測方法の予測精度を検証するために、実測の寿命L10を求めた。
【0041】
前記介在物サイズの度数分布は、実施例1と同様に、A系非金属介在物とB+C系非金属介在物とに分け、介在物面積の平方根n(μm)を1μmおきに離散化して求めた。測定した各度数分布を(8)式を用いて指数関数に近似し、(7)式で求めた各非金属介在物の影響指数を、(6)式と(9)式に代入し、寿命L10の予測値としてそれぞれの数式Y0 の値を算出した。
【0042】
図4は、各鋼材について求めた寿命L10の予測値と実測値の相関関係を示す。図4(a)は、A系非金属介在物とB+C系非金属介在物の両者の度数分布を採用した(6)式の予測値Y0 を採用したもの、図4(b)は、B+C系非金属介在物のみの度数分布を採用したものである。
【0043】
寿命L10の予測値Y0 は、図4(a)においては実測値の0.44〜2.41倍の範囲、図4(b)では、実測値の0.39〜2.62倍の範囲にあり、いずれも高い予測精度が得られている。なお、(6)式と(9)式で求めた各予測値Y0 について自由度二重調整寄与率を調べたところ、A系非金属介在物も含めた(6)式のY0 の方が寄与率が高く、統計的に有意であることが確かめられた。
(実施例3)
実施例2と同じ鋼材について、画像解析装置により各サンプルの被検面積300mm2 におけるB+C系非金属介在物サイズの度数分布を測定し、極値統計法により各サンプルの30000mm2 断面における最大介在物の面積Smax を推定した。図2(a)に示したグラフは、この最大介在物の面積Smax の平方根と、実施例2で求めた寿命L10の実測値との相関関係である。
【0044】
このグラフにおいて寿命L10=9×107 に相当する面積Smax の平方根12.2μmを識別値とし、推定最大介在物サイズが12.2μm以下のものを軸受用材料として用い、長寿命の転がり軸受を製造するようにした。
【0045】
この寿命予測方法の予測精度は、実施例1および2で示した方法よりは劣るが、簡便法として採用することができる。
【0046】
【発明の効果】
以上のように、この発明の転がり軸受用材料の寿命予測方法は、転がり軸受の寿命のばらつきを大きく左右する材料の内部欠陥度合いのパラメータとして、非金属介在物を種類別に分けた各介在物サイズの度数分布を採用し、この度数分布を数式で定量化したものを組み込んだ寿命予測式を用いるようにしたので、転動寿命試験を実施することなく、短時間で転がり軸受用材料の寿命を精度よく予測することができる。
【0047】
さらに、所定の転動試験後におけるX線回折での半価幅の低下量Xを材料の強度パラメータとし、この半価幅の低下量Xを前記寿命予測式に包含させることにより、転がり軸受用材料の寿命予測に前記強度因子の影響を取り込み、寿命予測精度をさらに向上させることができる。
【0048】
また、この発明の転がり軸受は、上述した各寿命予測式を用いて算出した寿命L10が9×107 以上の材料を識別し、この識別された材料を用いて製造するようにしたので、長寿命を高精度で保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】a、bは、それぞれX線回折での半価幅の低下量と寿命L10との相関関係を示すグラフ
【図2】a、bは、それぞれ非金属介在物の推定最大サイズと寿命L10との相関関係を示すグラフ
【図3】非金属介在物のサイズの度数分布の例を示すグラフ
【図4】a、bは、それぞれ実施例2の寿命予測方法で求めた寿命L10の予測値と実測値の相関関係を示すグラフ
Claims (3)
- 各種類別の非金属介在物について、転がり軸受用材料の所定の被検面積における介在物サイズの度数分布を、材料の内部欠陥度合いのパラメータとする下記の数式Yを作成し、所定の転動試験後におけるX線回折での半価幅の低下量Xを材料の強度パラメータとして、前記数式Yと前記半価幅の低下量Xを包含する下記の予測寿命を予測する予測式により、転がり軸受用材料の寿命を予測するようにした転がり軸受用材料の寿命予測方法。
Y= exp{α1 ・(A系非金属介在物の影響指数)+α2 ・(B+C系非金属介在物の影響指数)+β1 }
ここに、
非金属介在物の分類:JIS法によるもの
k:介在物サイズ(離散変数;μm)
f(k) :介在物サイズkの度数分布(離散化した分布)の近似式
α1 、α2 、β1 、γ:定数
m:任意の整数
予測寿命 = Y・(a・X+b)
ここに、
a、b:定数 - JIS法分類によるA系非金属介在物およびB+C系非金属介在物について、転がり軸受用材料の所定の被検面積における、各介在物の面積の平方根n(μm)の離散化した度数分布をそれぞれ指数関数f(n) で近似するとともに、この材料の2000分間の転動試験後における材料表面のX線回折での半価幅の低下量をX(°)とし、以下の数式Y1 で表現される予測寿命L10(10%が破損する寿命)が9×107 以上となるように識別するようにした転がり軸受用材料の寿命識別方法。
Y1 = exp{−9.52×10−6・(A系非金属介在物の影響指数)−6.94×10−5・(B+C系非金属介在物の影響指数)+18.63 }・(−2.79X+4.01)
ここに、
f(n) =d1 ・ exp(−d2 ・n)
d1 、d2 :回帰定数
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