JP3017756B2 - 非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池

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JP3017756B2 JP01215594A JP21559489A JP3017756B2 JP 3017756 B2 JP3017756 B2 JP 3017756B2 JP 01215594 A JP01215594 A JP 01215594A JP 21559489 A JP21559489 A JP 21559489A JP 3017756 B2 JP3017756 B2 JP 3017756B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、非水電解液二次電池に関し、特に非水電解
液を改良した非水電解液二次電池に係わるものである。
(従来の技術) 近年、負極活物質としてリチウム、ナトリウム、アル
ミニウム等の軽金属を用いた非水電解液電池は高エネル
ギー密度電池として注目されており、正極活物質に二酸
化マンガン(MnO2)、フッ化炭素[(CF)]、塩化チ
オニル(SOCl2)等を用いた一次電池は既に電卓、時計
の電源やメモリのバックアップ電池として多用されてい
る。更に、近年、VTR、通信機器等の各種の電子機器の
小形、軽量化に伴い、それらの電源として高エネルギー
密度の二次電池の要求が高まり、軽金属を負極活物質と
する非水電解液二次電池の研究が活発に行われている。
非水電解液二次電池は、負極にリチウム、ナトリウ
ム、アルミニウム等の軽金属を用い、電解液として炭酸
プロピレン(PC)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、γ
−ブチロラクトン(γ−BL)、テトラヒドロフラン(TH
F)などの非水溶媒中にLiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6
等の電解質を溶解したものから構成され、正極活性物と
しては主にTiO2、MoS2、V2O5、V6O13等のリチウムとの
間でトポケミカル反応する化合物が研究されている。
しかしながら、上述した二次電池は現在、未だ実用化
されていない。この主な理由は、充放電効率が低く、し
かも充放電回数(サイクル)寿命が短いためである。こ
の原因は、負極リチウムと電解液との反応によるリチウ
ムの劣化によるところが大きいと考えられている。即
ち、放電時にリチウムイオンとして電解液中に溶解した
リチウムは充電時に析出する際に溶媒と反応し、その表
面が一部不活性化される。このため、充放電を繰返して
いくと、デンドライト状(樹枝状)のリチウムが発生し
たり、小球状にに析出したりリチウムが集電体より脱離
するなどの現象が生じる。また、成長したデンドライト
状の金属リチウムが正極と負極を絶縁するセパレータを
貫通もしくはセパレータの周辺部より回り込んで正極に
達し、短絡するという問題が度々生じる。
このような問題点を解決する試みとして、電解液中に
デントライト状のリチウム発生を防止する添加剤を加え
たり、或いは負極材料としてリチウム−アルミニウム合
金を用いること等が検討されているが、いずれも一長一
短があり、満足する結果が得られていない。
(発明が解決しようとする課題) 上述したように軽金属又はその合金を活物質として含
有する負極を備えた従来の非水電解液二次電池では十分
な充放電サイクル寿命を有するものではない。
本発明の目的は、充放電サイクル寿命に優れ、しかも
貯蔵特性の優れた非水電解液二次電池を提供することに
ある。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 本発明は、軽金属又はその合金を活物質とする負極
と、この負極と対向して配置される正極と、前記正極と
負極の間に介在され、非水溶媒中に電解質を溶解した非
水電解液とを備えた非水電解液二次電池において、 前記非水電解液は、エチレンカーボネートおよびプロ
ピレンカーボネートから選ばれる少なくとも1つの非水
溶媒とテトラヒドロフランおよび2−メチルテトラヒド
ロフランから選ばれる少なくとも1つの非水溶媒とを混
合した混合非水溶媒にヘキサフルオロリン酸リチウム
(LiPF6)を溶解した組成を有し、かつ予め不溶性吸着
材に接触させる処理及び通電処理を施したものであるこ
とを特徴とする非水電解液二次電池である。
上記負極を構成する軽金属又はその合金としては、例
えばリチウム、アルミニウム、リチウム−アルミニウム
合金等を挙げることができる。
上記正極としては、例えば非晶質五酸化バナジウム、
二酸化マンガンやリチウムマンガン複合酸化物などのマ
ンガン酸化物、又は二硫化チタン、二硫化モリブデン、
セレン化モリブデン等を挙げることができる。
上記非水電解液を構成するエチレンカーボネートおよ
びプロピレンカーボネートから選ばれる少なくとも1つ
の非水溶媒とテトラヒドロフランおよび2−メチルテト
ラヒドロフランから選ばれる少なくとも1つの非水溶媒
とを混合した混合非水溶媒において、前者を20〜80体積
%、後者を80〜20体積%、より好ましくは前者を40〜60
体積%、後者を60〜40体積%の範囲とすることが望まし
い。このような非水溶媒において、エチレンカーボネー
トと2−メチルテトラヒドロフランの混合非水溶媒の場
合、特に顕著な効果が現われる。
上記非水電解液を不溶性吸着材に接触させる処理は、
例えば前記非水電解液中に活性アルミナや無機物のモレ
キュラーシーブ等の電解液と反応しない不溶性吸着材を
加えた攪拌した後、不溶性吸着材を濾過等により分離す
る方法、前記不溶性吸着材を充填したカラムに非水電解
液を流通させる方法を採用し得る。
上記非水電解液の通電処理は、例えば非水電解液中に
リチウムからなる電極を陽極として浸漬し、かつリチウ
ム又はリチウム以外の金属からなる電極を陰極として浸
漬した後、これら陽極及び陰極の間に定電流又は定電圧
で連続波もしくはパルスを印加して陰極上にリチウムを
析出又は析出と溶解を繰り返す方法を採用し得る。
上記不溶性吸着材に接触させる処理及び通電処理は、
それぞれ1回づつ行うだけでもよいが、通電処理の前後
に各1回の不溶性吸着材に接触させる処理を行うと更に
効果的である。また、通電処理を行う通電槽内に不溶性
吸着材を設置すれば、前記不溶性吸着材に非水電解液を
接触させながら通電処理を行うことが可能となるるた
め、処理時間の短縮を図ることができる。
(作用) 本発明によれば、LiPF6の電解質をエチレンカーボネ
ートおよびプロピレンカーボネートから選ばれる少なく
とも1つの非水溶媒とテトラヒドロフランおよび2−メ
チルテトラヒドロフランから選ばれる少なくとも1つの
非水溶媒とを混合した混合非水溶媒で溶解した特定の組
成の非水電解液を、予め不溶性吸着材に接触させる処理
及び通電処理の双方の処理を行なうことによって、電池
容器内における負極リチウムと非水電解液との反応によ
る劣化が抑えられ、充放電サイクル寿命に優れ、しかも
貯蔵特性の優れた非水電解液二次電池を得ることができ
る。ここで、貯蔵特性が優れているということは自己放
電率が少ない等の完成された電池の特性が不使用の状態
で時間経過と共に劣化し難いことを意味するものであ
る。
上述した効果は、非水電解液に対して不溶性吸着材に
接触させる処理及び通電処理の双方の処理を行なうこと
により、非水電解液中でこれまで除去し得なかった不純
物までも取り除かれることや、非水電解液が物性的な変
化を受けることによるものと考えられる。
(実施例) 以下、本発明を図面を参照して詳細に説明する。
実施例1 非水電解液二次電池1は、底部に絶縁体2が配置さ
れ、負極端子を兼ねる有底円筒状のステンレス容器3を
有する。この容器3内には、電極群4が収納されてい
る。この電極群4は、負極5、セパレータ6及び正極7
をこの順序で積層した帯状物を該負極6が外側に位置す
るように渦巻き状に巻回した構造になっている。前記負
極5は、帯状リチウム箔から形成されている。前記セパ
レータ6は、ポリプロピレン性多孔質フィルムから形成
されている。前記正極7は、非晶質五酸化バナジウム化
合物粉末80重量%をアセチレンブラック15重量%及びポ
リテトラフルオロエチレン粉末5重量%と共に混合し、
シート化し、エキスパンドメタル集電体に圧着した形状
になっている。
前記電極群4上方の容器3内には、中心を開口した絶
縁板8が配置されている。前記容器3の上部開口部に
は、絶縁封口板9が該容器3へのかしめ加工等に気密に
設けられている。この絶縁封口板8の中央開口部には、
正極端子10が嵌合されている。この正極端子10は、前記
電極群4の正極7に正極リード11を介して接続されてい
る。なお、前記電極群4の負極5は図示しない負極リー
ドを介して負極端子である前記容器3に接続されてい
る。
前記容器3内には、1.0モル濃度の六フッ化燐酸リチ
ウム(LiPF6)をプロピレンカーボネートと2−メチル
テトラヒドロフランの混合溶媒(混合体積比率50:50)
に溶解した組成の非水電解液が収容されている。この非
水電解液は、前記容器3内に収容する前に予め活性アル
ミナに接触させる処理及び通電処理を施した。即ち、活
性アルミナに接触させる処理として、前記非水電解液10
0ml中に活性アルミナ10gを入れ、この非水電解液を12時
間以上間欠的に攪拌した後、ロ過して活性アルミナを濾
別した。つづいて、面積約8cm2のリチウム板からなる陽
極と陰極とを前記非水電解液中に配置し、電流密度1mA/
cm2の電流を10時間以上流して通電処理を施した。更
に、前記活性アルミナの接触処理と通電処理とを再度行
った。
実施例2 第2図は、本実施例2において非水電解液を活性アル
ミナに接触させる処理及び通電処理を施すために使用し
た通電槽を示す概略断面図である。通電槽20は、パイレ
ックスガラス容器21を有する。このガラス容器21内に
は、多孔質ガラスマット22で区画された領域23に活性ア
ルミナ粒子24が充填されている。前記領域23の両側に位
置する前記ガラス容器21内には、通電処理するための陽
極25及び陰極26が配置されている。これら陽極25及び陰
極26は、それぞれ面積約8cm2のリチウム金属板及びニッ
ケル金属板からなり、ニッケル線からなるリード線27に
より図示しない電源と接続されている。
前記通電槽20内に1.0モル濃度の六フッ化燐酸リチウ
ム(LiPF6)をエチレンカーボネートと2−メチルテト
ラヒドロフランの混合溶媒(混合物体積比率50:50)に
溶解した組成の非水電解液28を注入し、電流密度1mA/cm
2で10時間以上の通電処理を行った。この後、非水電解
液を実施例1と同様、スレンレス容器に注入して非水電
解液二次電池を組み立てた。
比較例1 1.0モル濃度の六フッ化燐酸リチウム(LiPF6)をプロ
ピレンカーボネートと2−メチルテトラヒドロフランの
混合溶媒(混合体積比率50:50)に溶解した組成からな
り、活性アルミナに接触させる処理及び通電処理を施さ
ない非水電解液を用いた以外、実施例1と同様な非水電
解液二次電池を組み立てた。
比較例2 1.0モル濃度の六フッ化燐酸リチウム(LiPF6)をプロ
ピレンカーボネートと2−メチルテトラヒドロフランの
混合溶媒(混合体積比率50:50)に溶解した組成からな
り、活性アルミナに接触させる処理のみを施した非水電
解液を用いた以外、実施例1と同様な非水電解液二次電
池を組み立てた。
比較例3 1.0モル濃度の六フッ化燐酸リチウム(LiPF6)をプロ
ピレンカーボネートと2−メチルテトラヒドロフランの
混合溶媒(混合体積比率50:50)に溶解した組成からな
り、通電処理のみを施した非水電解液を用いた以外、実
施例1と同様な非水電解液二次電池を組み立てた。
しかして、本実施例1、2及び比較例1〜3の非水電
解液二次電池について充電電流100mA、放電電流100mAで
充放電を繰り返し行い、各電池の放電容量とサイクル寿
命を測定した。その結果を第3図に示す。
第3図から明らかなように本実施例1、2の非水電解
液二次電池では、比較例1〜3の電池に比べて初期の電
池容量がほぼ同様な値であるが、サイクル寿命が格段に
大きくなっていることがわかる。また、本実施例1、2
の非水電解液二次電池は比較例1〜3のいずれの電池に
比較して貯蔵特性が優れていた。
実施例3 帯状リチウム箔からなる負極と、ポリプロピレン性多
孔質フィルムからなるセパレータと、スピネル型マンガ
ン酸化物(LiMn2O4)粉末80重量%をアセチレンブラッ
ク15重量%及びポリテトラフルオロエチレン粉末5重量
%と共に混合し、シート化し、エキスパンドメタル集電
体に圧着した形状の正極とを用いて電極群を作製した。
また、1.0モル濃度のホウフッ化リチウム(LiBF4)を
エチレンカーボネートと2−メチルテトラヒドロフラン
の混合溶媒(混合体積比率50:50)に溶解した組成の非
水電解液100ml中に活性アルミナ10gを入れ、この非水電
解液を12時間以上間欠的に攪拌した後、ロ過した活性ア
ルミナを濾別する活性アルミナ接触処理を施した。つづ
いて、面積約8cm2のリチウム板からなる陽極と陰極とを
前記非水電解液中に配置し、電流密度1mA/cm2の電流を1
0時間以上流して通電処理を施した。更に、前記活性ア
ルミナの接触処理と通電処理とを再度行った。
前記電極群をステンレス容器内に収容し、かつ前記活
性アルミナに接触させる処理及び通電処理を施した非水
電解液を同容器内に注入した以外、実施例1と同様な非
水電解液二次電池を組み立てた。
実施例4 前述した第2図図示の通電槽20内に1.0モル濃度のホ
ウフッ化リチウム(LiBF4)をエチレンカーボネートと
2−メテルテトラヒドロフランの混合溶媒(混合体積比
率50:50)に溶解した組成の非水電解液を注入し、電流
密度1mA/cm2で10時間以上の通電処理を行った。この
後、前記実施例3と同様な電極群をステンレス容器内に
収納し、かつ前記活性アルミナに接触させる処理及び通
電処理を施した非水電解液を注入して非水電解液二次電
池を組み立てた。
比較例4 1.0モル濃度のホウフッ化リチウム(LiBF4)をエチレ
ンカーボネートと2−メチルテトラヒドロフランの混合
溶媒(混合体積比率50:50)に溶解した組成からなり、
完成アルミナに接触させる処理及び通電処理を施さない
非水電解液、及び実施例3と同様な構成の電極群を用い
た以外、実施例1と同様な非水電解液二次電池を組み立
てた。
比較例5 1.0モル濃度のホウフッ化リチウム(LiBF4)をエチレ
ンカーボネートと2−メチルテトラヒドロフランの混合
溶媒(混合体積比率50:50)に溶解した組成からなり、
活性アルミナに接触させる処理のみを施した非水電解
液、及び実施例3と同様な構成の電極群を用いた以外、
実施例1と同様な非水電解液二次電池を組み立てた。
比較例6 1.0モル濃度のホウフッ化リチウム(LiBF4)をエチレ
ンカーボネートと2−メチルテトラヒドロフランの混合
溶媒(混合体積比率50:50)に溶解した組成からなり、
通電処理のみを施した非水電解液、及び実施例3と同様
な構成の電極群を用いた以外、実施例1と同様な非水電
解液二次電池を組み立てた。
しかして、本実施例3、4及び比較例4〜6の非水電
解液二次電池について充電電流100mA、放電電流100mAで
充放電を繰り返し行い、各電池の改電容量とサイクル寿
命を測定した。その結果を第4図に示す。
第4図から明らかなように本実施例3、4の非水電解
液二次電池では、比較例4〜6の電池に比べて初期の電
池容量がほぼ同様な値であるが、サイクル寿命が格段に
大きくなっていることがわかる。また、本実施例3、4
の非水電解液二次電池は比較例4〜6のいずれの電池に
比較して貯蔵特性が優れていた。
[発明の効果] 以上詳述した如く、本発明によれば充放電サイクル寿
命に優れ、しかも貯蔵特性の優れた非水電解液二次電池
を提供できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例1における円筒型非水電解液二
次電池を示す断面図、第2図は非水電解液を処理するた
めに用いた通電槽を示す概略断面図、第3図は本実施例
1、2及び比較例1〜3の非水電解液二次電池の充放電
サイクル数と放電容量との関係を示す特性図、第4図は
本実施例3、4及び比較例4〜6の非水電解液二次電池
の充放電サイクル数と放電容量との関係を示す特性図で
ある。 1……非水電解液二次電池、2……ステンレス容器、4
……電極群、5……負極、6……セパレータ、7……正
極、9……封口板、20……通電槽、24……活性アルミナ
粒子、28……非水電解液。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 修司 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝総合研究所内 (56)参考文献 特開 昭59−81869(JP,A) 特開 昭61−264681(JP,A) 特開 昭59−87780(JP,A) 特開 昭63−292578(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 10/40

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軽金属又はその合金を活物質とする負極
    と、この負極と対向して配置される正極と、前記正極と
    負極の間に介在され、非水溶媒中に電解質を溶解した非
    水電解液とを備えた非水電解液二次電池において、 前記非水電解液は、エチレンカーボネートおよびプロピ
    レンカーボネートから選ばれる少なくとも1つの非水溶
    媒とテトラヒドロフランおよび2−メチルテトラヒドロ
    フランから選ばれる少なくとも1つの非水溶媒とを混合
    した混合非水溶媒にヘキサフルオロリン酸リチウム(Li
    PF6)を溶解した組成を有し、かつ予め不溶性吸着材に
    接触させる処理及び通電処理を施したものであることを
    特徴とする非水電解液二次電池。
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