JP3017739B2 - 自動変速機の油圧装置における油圧機器呼吸装置 - Google Patents

自動変速機の油圧装置における油圧機器呼吸装置

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Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本発明は、自動変速機の油圧装置におけるバルブボデ
ィ内に設置された、電磁石部を有する油圧機器の呼吸装
置、特にリニアソレノイドバルブに用いて好適な呼吸装
置に係り、詳しくはオイルパン内のオイルから分離され
たオイル内に油圧機器の電磁石部を浸すと共に該分離さ
れたオイルをオイルパン内の空間またはオイルを連通す
る呼吸装置に関する。
(ロ) 従来の技術 一般に、自動変速機におけるバルブボディは、その内
部に多数のバルブが配設されていると共に、オイルパン
内にオイルに浸された状態で配置されている。
そして、該バルブボディにリニアソレノイドバルブ等
のソレノイドを設置する場合は、該ソレノイドをオイル
内に漬ける必要があり、かつソレノイドバルブを漬ける
オイル室は、ソレノイドバルブの可動に伴う容積変化に
より密閉することができない。
従って、従来、ソレノイドバルブは、バルブボディに
外側にネジ等で取付けてオイルパンのオイルに直接浸し
ており、またバルブボディの内部に取付ける場合でも、
呼吸孔を設けてオイルパン内のオイルに直接浸してい
る。
(ハ) 発明が解決しようとする課題 しかし、オイルパン内のオイルは、ギヤ等の潤滑にて
生ずる鉄粉等の異物が混入しており、該異物がソレノイ
ドバルブに侵入して作動不良を発生することがある。
特に、微妙な動きをするリニアソレノイドバルブにあ
っては、オイル内の小さな異物が侵入しても作動不良を
発生し易く、清浄なオイル内に浸すことが要望されてい
る。
そこで、本発明は、自動変速機の駆動状態にあっては
オイルパンのオイルと分離する呼吸用油路を介して油圧
機器をオイル内に浸し、もって開放状態にある清浄なオ
イルに油圧機器の電磁石部を常に浸して、簡単な構造で
ありながら異物による作動不良の発生を防止した、自動
変速機の油圧装置における油圧機器の呼吸装置を提供す
ることを目的とするものである。
(ニ) 課題を解決するための手段 請求項1に係る本発明は、オイルパン(2)内に配置
されたバルブボディ(3)内に、電磁石部(16)を有す
る油圧機器(5)を設置してなる自動変速機(1)の油
圧装置において、 前記バルブボディ(3)に、前記磁石部(16)から上
方に向けて呼吸孔(7)を延設すると共に、該呼吸孔
(7)を、前記オイルパン(2)内におけるバルブボデ
ィ上方にて開口し、 該開口(7a)は、前記自動変速機駆動状態におけるオ
イルパン(2)内のオイルレベル(A)より上方に位置
し、該自動変速機の駆動状態にあっては、前記呼吸孔内
のオイルを前記オイルパン内のオイルから分離すること
を特徴とする、 自動変速機の油圧装置における油圧機器呼吸装置にあ
る。
請求項2に係る本発明は、前記呼吸孔の開口(7a)
は、前記自動変速機の停止状態におけるオイルパン内の
オイルレベル(B)より下方に位置し、該自動変速機の
停止状態にあっては、前記呼吸孔内のオイルとオイルパ
ン内のオイルとが連通する、 請求項1記載の自動変速機の油圧装置における油圧機
器呼吸装置にある。
請求項3に係る本発明は、前記呼吸孔(7)は、前記
自動変速機の停止状態において、前記開口(7a)から前
記油圧機器(5)への流入するオイルを溜めるオイル溜
り(11)を有する、 請求項2記載の自動変速機の油圧装置における油圧機
器呼吸装置にある。
請求項4に係る本発明は、前記呼吸孔(7)は、前記
オイル溜り(11)の底部に磁石(12)を有する、 請求項3記載の自動変速機の油圧装置における油圧機
器呼吸装置にある。
請求項5に係る本発明は、前記呼吸孔(7)は、前記
開口(7a)の直下に形成された第1の呼吸路(7b)と、
該第1の呼吸路と連通する第2の呼吸路(7c)と、該第
2の呼吸路と前記電磁石部(16)とを連通する第3の呼
吸路(7d)とを有する、 請求項2、3又は4記載の自動変速機の油圧装置にお
ける油圧機器呼吸装置にある。
請求項6に係る本発明は、前記呼吸孔(7)は、前記
第2の呼吸路(7c)と第3の呼吸路(7d)との連通部分
に堤防様突起(15)を有する、 請求項5記載の自動変速機の油圧装置における油圧機
器呼吸装置にある。
請求項7に係る本発明は、前記油圧機器は、前記電磁
石部(16)により制御される調圧弁部(13)を有するリ
ニアソレノイドバルブ(5)であり、前記調圧弁部(1
3)は、供給ポート(20)、出力ポート(21)、フィー
ドバックポート(22)及び前記電磁石部(16)に連通し
ている呼吸ポート(23)を有し、 前記呼吸孔(7)は、前記呼吸ポート(23)に連通し
てなる、 請求項1記載の自動変速機の油圧装置における油圧機
器呼吸装置にある。
(ホ) 作用 以上構成に基づき、自動変速機の駆動時は、オイルパ
ン(2)内のオイルは潤滑等に使用されて、オイルレベ
ルは下がり、オイルレベル(A)となる。そして、呼吸
装置(6)の呼吸孔(7)は該オイルレベル(A)の上
方に位置して、呼吸孔(7)はオイルパン(2)内のオ
イルと分離される。この状態で、電磁石部を有する油圧
機器、例えばリニアソレノイドバルブ(5)は、作動に
より電磁石部(16)が容積変化するが、該容積変化は、
呼吸孔(7)内のオイルレベルの上下変化により吸収さ
れる。また、自動変速機の停止時は、オイルパン(2)
内のオイルレベルは上がり、オイルレベル(B)とな
り、呼吸装置(6)の呼吸孔(7)と連通する。
(ヘ) 実施例 以下、図面に沿って、本発明を具体化した実施例につ
いて説明する。
自動変速機の油圧装置に設置されているリニアソレノ
イドバルブ5は、第4図に示すように、調圧弁部13と電
磁石部16とから構成されている。そして、調圧弁部13
は、供給ポート20、出力ポート21、フィードバックポー
ト22及び呼吸ポート23を有する弁スリーブ17とスプール
弁19とから構成されている。また、電磁石部16は、磁性
材料製の円筒状ケース24を有しており、該ケース24には
磁性材料製の肉厚の厚い円筒状コア25がケース24と同心
状に配置されており、ケース24と円筒状コア25とで形成
される円筒状空間内にはコイル組立体27が挟持・固定さ
れている。一方、コア25の中空部には非磁性材料製の押
し棒26が挿通配置されており、該押し棒26の他端側には
磁性材料製のプランジャ28が固設されている。更に、電
磁石部16には、前述調圧弁部13に形成された呼吸ポート
23からオイルが供給されており、電磁石部16は常にオイ
ルが満たされている。
そして、リニアソレノイドバルブ5は、第1図に示す
ように、トランスミッションケース29下部に取付けられ
たオイルパン2内に配置されたバルブボディ3に収納さ
れている。詳しくは、該バルブボディ3は、セパレータ
25、アッパバルブボディ3a及びロワーバルブボディ3bと
からなっており、更に前記リニアソレノイドバルブ5は
ロワーバルブボディ3b側部に形成された収納孔30に嵌挿
されている。また、該収納孔30従ってリニアソレノイド
バルブ5の呼吸ポート23はバルブボディ3に形成された
呼吸孔7に連通している。該呼吸孔7は、アッパーバル
ブボディ3aの上方に突出して形成された突出部8に開口
7aを有しており、更に該開口7a直下に形成された第1呼
吸路7b、該呼吸路7b直下に該呼吸路7bと連通する第2の
呼吸路7c、及びリニアソレノイドバルブ5の呼吸孔23と
連通しかつ第2の呼吸路7cと連通する第3の呼吸路7d,7
dとからなっている。そして、前記開口7aは自動変速機
駆動時のオイルレベルAより高く構成されている。
ついで、本実施例の作動について説明する。
弁スリーブ17の供給ポート20に所定油圧が供給される
と、出力ポート21に適宜調圧されて出力され、更に該出
力ポート21からの出力圧に基づき調圧された油圧が、適
宜バルブを介して自動変速機の各油圧サーボへと供給さ
れる。
この際、電磁石部16において発生された力により、押
し棒26はスプール弁19を押圧し、更に、プランジャ28も
所定量移動する。これにより、電磁石部16には容積変化
が発生し、該変化は、可動部内に満たされているオイル
を押しのけるか又は引き込む。そして、該押しのけられ
た又は引き込まれたオイルは呼吸ポート23から呼吸孔7
に導かれ、更に該呼吸孔7はオイルパン2内のバルブボ
ディ3上方に開口して、電磁石部16を密閉することな
く、容積変化は前記呼吸孔7内のオイルレベルの上下移
動により呼吸される。また、自動変速機駆動時は、オイ
ルパン2内のオイルが自動変速機各部分の潤滑油として
用いられると共に各油圧サーボに作動油をして用いられ
ており、オイルパン2内のオイルレベルAは、呼吸孔7
の開口7aより低くなっており、オイルパン2内のオイル
が開口7aから呼吸孔7内に流入することはない。従って
自動変速機が駆動中にオイル中に散在する鉄粉等が撹拌
されても鉄粉等の異物が開口7aから呼吸孔7に侵入する
ことはない、また、エンジン停止に伴い自動変速機の駆
動が停止すると、潤滑油及び作動油として用いられたオ
イルが、オイルパン2内に滴下して、オイルパン2内の
オイルレベルは上昇する(第1図B参照)。この際、オ
イルパン2内のオイルは撹拌されていないため、比重の
重い鉄粉等の異物は下方に沈下し、オイルレベル近傍の
オイルは清浄に保たれている。従って、呼吸孔7の開口
7aに自動変速機停止に伴い上昇したオイルレベルB近傍
のオイルが連通して、呼吸孔7に清浄なオイルが補給さ
れ、リニアソレノイド5は常に清浄なオイルに浸され
る。これにより、リニアソレノイドバルブ5への比重の
大きい鉄粉等異物の混入が防止されて、リニアソレノイ
ドバルブ5の作動不良が防止される。
次に、第2図に基づき、一部変更した第2の実施例に
ついて説明する。
本実施例による呼吸孔7は、ロワーバルブボディ3b内
に、第2の呼吸路7c直下で連通した位置に形成されたオ
イル溜り11を有しており、該オイル溜り11の底部には磁
石12が設置されている。
これにより、自動変速機停止時、呼吸孔7の開口7aが
オイルパン2内のオイルと連通し、例え鉄粉等の異物が
第1の呼吸路7bに侵入しても、前記オイル溜り11にて鉄
粉等の異物が溜められて、横方向に延びる第2の呼吸路
7cに侵入することはなく、更に該オイル溜り11内の鉄粉
等は磁石12に吸着される。従って、リニアソレノイドバ
ルブ5への鉄粉等異物の侵入が確実に阻止される。
更に、第3図に基づき、一部変更した第3の実施例に
ついて説明する。
本実施例による呼吸孔7は、第2の呼吸路7cから第3
の呼吸路7d,7dへの連通部分角部に所定高さの堤防様突
起15が形成されている。
これにより、自動変速機停止時、呼吸孔7の開口7aが
オイルパン2内のオイルと連通し、例えば鉄粉等異物が
呼吸孔7に侵入しても、該異物は堤防様突起15に捕捉さ
れて第3の呼吸路7dに侵入することはなく、第2の呼吸
路7cの底面7eに沈澱する。
(ト) 発明の効果 以上説明したように、本発明によると、電磁石部(1
6)より延設され呼吸孔(7)の開口(7a)を自動変速
機駆動状態におけるオイルパン(2)のオイルレベル
(A)より上方に位置して、自動変速機の駆動状態にあ
っては、呼吸孔(7)内のオイルを、オイルパン内のオ
イルから分離するので、自動変速機駆動状態にあって撹
拌されてオイル中に浮遊している異物が、電磁石部(1
6)の可動による容積変化によっても、呼吸孔内に引込
まれることを確実に阻止して、電磁石部への侵入を防止
し、例えばリニアソレノイドバルブ等の微妙な動きが要
求されて小さな異物でも作動不良を生じやすい電磁石部
を有する油圧機器の作動不良の発生を防止できる。
また、呼吸孔(7)の開口(7a)を自動変速機停止状
態におけるオイルレベル(B)より下方に位置すると、
自動変速機停止時、呼吸孔(7)とオイルパン(2)内
のオイルが連通することにより、油圧機器(5)へオイ
ルを補給することができ、この際比重の大きい鉄粉等の
異物は、自動変速機の停止状態に伴い沈下状態にあり、
呼吸孔(7)内に侵入する可能性は少ない。
また、前記呼吸孔(7)の途中にオイル溜り(11)を
設け、該オイル溜り(11)上部と前記油圧機器(5)と
を連通すると、鉄粉等異物が呼吸孔(7)に例え侵入し
ても、前記オイル溜り(11)に異物が沈澱し、該異物が
油圧機器(5)に侵入することを阻止できる。更に、前
記オイル溜り(11)の底面に磁石(12)を設置すると、
鉄粉等異物が前記磁石(12)に吸着され、該異物が油圧
機器(5)に侵入することを確実に阻止できる。
更に、前記呼吸孔(7)の途中に底面(13)から上方
所定高さにて突出する堤防様突起(15)を形成すると、
自動変速機停止時、呼吸孔(7)の開口とオイルパン
(2)のオイルが連通し、例え鉄粉当異物が呼吸孔
(7)に侵入しても、該異物は前記堤防様突起(15)に
より、前記異物が油圧機器(5)に侵入することを阻止
できる。
また、前記油圧機器(5)が、リニアソレノイドバル
ブであると、呼吸孔(7)は、簡単な構成からなるもの
でありながら、前記リニアソレノイドバルブ(5)への
異物の侵入を確実に阻止し、微少な動きをする該バルブ
(3)の作動を一層確実にできる。
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するための
ものであるが、本発明の構成を何等限定するものではな
い。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に明る油圧機器呼吸装置を示す断面図、
第2図は本発明の第1実施例を示す断面図、第3図は本
発明の第2実施例を示す断面図である。そして、第4図
は本発明が適用される油圧機器(リニアソレノイドバル
ブ)の全体側面図である。 1……自動変速機油圧装置、2……オイルパン、3……
バルブボディ、5……油圧機器(リニアソレノイドバル
ブ)、6……呼吸装置、7……呼吸孔、11……オイル溜
り、12……磁石、13……呼吸孔底面、15……堤防様突
起、16……電磁石部、A……自動変速機駆動状態でのオ
イルパンのオイルレベル、B……自動変速機停止状態で
のオイルパンのオイルレベル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩月 邦裕 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 大坪 秀顕 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−36560(JP,A) 実開 昭57−105464(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 57/00 - 57/04

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オイルパン内に配置されたバルブボディ内
    に、電磁石部を有する油圧機器を設置してなる自動変速
    機の油圧装置において、 前記バルブボディに、前記電磁石部から上方に向けて呼
    吸孔を延設すると共に、該呼吸孔を、前記オイルパン内
    におけるバルブボディ上方にて開口し、 該開口は、前記自動変速機駆動状態におけるオイルパン
    内のオイルレベルより上方に位置し、該自動変速機の駆
    動状態にあっては、前記呼吸孔内のオイルを前記オイル
    パン内のオイルから分離することを特徴とする、 自動変速機の油圧装置における油圧機器呼吸装置。
  2. 【請求項2】前記呼吸孔の開口は、前記自動変速機の停
    止状態におけるオイルパン内のオイルレベルより下方に
    位置し、該自動変速機の停止状態にあっては、前記呼吸
    孔内のオイルとオイルパン内のオイルとが連通する、 請求項1記載の自動変速機の油圧装置における油圧機器
    呼吸装置。
  3. 【請求項3】前記呼吸孔は、前記自動変速機の停止状態
    において、前記開口から前記油圧機器への流入するオイ
    ルを溜めるオイル溜りを有する、 請求項2記載の自動変速機の油圧装置における油圧機器
    呼吸装置。
  4. 【請求項4】前記呼吸孔は、前記オイル溜りの底部に磁
    石を有する、 請求項3記載の自動変速機の油圧装置における油圧機器
    呼吸装置。
  5. 【請求項5】前記呼吸孔は、前記開口の直下に形成され
    た第1の呼吸路と、該第1の呼吸路と連通する第2の呼
    吸路と、該第2の呼吸路と前記電磁石部とを連通する第
    3の呼吸路とを有する、 請求項2、3又は4記載の自動変速機の油圧装置におけ
    る油圧機器呼吸装置。
  6. 【請求項6】前記呼吸孔は、前記第2の呼吸路と第3の
    呼吸路と連通部分に堤防様突起を有する、 請求項5記載の自動変速機の油圧装置における油圧機器
    呼吸装置。
  7. 【請求項7】前記油圧機器は、前記電磁石部により制御
    される調圧弁部を有するリニアソレノイドバルブであ
    り、前記調圧弁部は、供給ポート、出力ポート、フィー
    ドバックポート及び前記電磁石部に連通している呼吸ポ
    ートを有し、 前記呼吸孔は、前記呼吸ポートに連通してなる、 請求項1記載の自動変速機の油圧装置における油圧機器
    呼吸装置。
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