JP3017419B2 - 食品素材の臭気緩和方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、食品素材の臭気を緩和
（中和）する技術に関し、本発明を適用するのに特に好
適な食品素材の例はプロポリス液である。

【０００２】

【従来の技術とその課題】健康志向の高まりとともに食
品も多様化しており各種の食品素材が出現している。そ
れらの中には、有用な成分を含みながら原料に由来する
好ましくない臭気を保有するものがあり、例えば健康食
品として最近注目されているプロポリスについてもこの
ことがあてはまる。

【０００３】プロポリスは、一般にハチヤニとも呼ば
れ、ミツバチが花や樹脂のヤニ状成分をかみ続けること
により、該成分とミツバチの唾液中の酵素とが混ぜ合わ
されて生じる物質である。このプロポリスは、フラボノ
イド類、ミネラル、ビタミンなどの微量栄養素を含有し
ているため、健康の増進に寄与したり治療的効果（殺
菌、抗炎症など）を有するものと期待されている。

【０００４】プロポリスは、一般に、原料プロポリスか
ら抽出したプロポリス液として供され、この食品素材に
適当な処理を施して、液状や固体状（ペースト状または
粉末状）の製品として食品添加や薬用等の目的で使用さ
れる。

【０００５】この原料プロポリス液の中には、臭気のた
め利用価値を低下させているものがある。特に中国産プ
ロポリス液は、有用成分や栄養成分が豊富であるにも拘
らず漢方薬的臭気がマイナス要因となっている。

【０００６】プロポリス液の性状を向上させるために、
酵素剤による処理や、シリカゲルや活性炭などを利用し
て吸着処理を施すことも従来より試みられているが、こ
れらの方法では、脂質やヤニ質などの不要成分を除去す
ることはできるが臭気をなくすことはできない。より強
力な処理を行うことも考えられるが、プロリポス液に含
有されている有用成分や栄養成分にダメージを与えてし
まうおそれがある。

【０００７】そこで本発明の目的は、中国産プロポリス
液に見られるような臭気（漢方薬的臭気）をその食品素
材中の有用成分や栄養成分を損なうことなく温和に低減
することのできる技術を確立することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明者は、この目的を
達成するために鋭意工夫を重ねた結果、特定の植物由来
の抽出物（エキス）を利用すると、臭気、特にプロポリ
ス液にみられるような漢方薬的臭気を緩和（中和、マス
キング）できることを見出した。

【０００９】かくして、本発明は、食品素材にユーカリ
エキス、かんきつ系エキスまたはハーブエキスを添加す
ることから成る食品素材の臭気緩和方法を提供するもの
である。

【００１０】本発明の方法は、特に、中国産プロポリス
液に適用されてその漢方薬的臭気をなくすのに有効であ
るが、必要に応じて他の食品素材の臭気を緩和するのに
使用することもできる。

【００１１】

【発明の実施の形態】本発明において用いられるユーカ
リエキスとは一般に、ユーカリ油と称されているもので
あり、ユーカリの葉を圧搾、分留、ろ過精製することに
よって得られる。このようなユーカリエキスは、たとえ
ば、片山化学工業株式会社（大阪市中央区道修町２−５
−１０）からユーカリ油として販売されているものが挙
げられる。

【００１２】また、本発明において用いられるかんきつ
系エキスとは、オレンジ油やレモン油などを指称し、一
般に、オレンジやレモンなどのかんきつ類の皮を圧搾、
分留、ろ過精製することによって得られるものである。
このようなかんきつ系エキスとしては ナカライデスク
株式会社（京都市中央区二条通りからす丸西入ル）から
オレンジ油として販売されているものや片山化学工業株
式会社（前述）からレモン油として販売されているもの
などが挙げられる。

【００１３】さらに、本発明において用いられるハーブ
エキスは、一般に、ハッカなどのハーブの葉を圧搾、分
留、ろ過精製することによって得られる。本発明におい
て適用可能なハーブエキスとしては、例えば、片山化学
工業株式会社（前述）からハッカ油として販売されてい
るものが挙げられる。

【００１４】本発明は、このような植物由来のエキスを
添加することによる食品素材の臭気緩和方法（中和方
法）を提供するものであるが、別の視点としてそれらの
植物エキスを構成成分とする臭気緩和剤（中和剤、マス
キング剤）に関する。

【００１５】ユーカリエキス、かんきつ系エキスまたは
ハーブエキスはいずれも各種の食品素材の臭気（特に漢
方薬的臭気）を緩和するのに有効であるが、特に好まし
いのはブラジル産プロポリスと同様の森林浴を感じさせ
るような香気を与えるという理由からユーカリエキス
（ユーカリ油）である。

【００１６】添加すべきユーカリエキス、かんきつ系エ
キスまたはハーブエキスの量は対象とする食品素材によ
って異なるが、いずれも少量で臭気を緩和することがで
き、一般に０．０１％〜１％（重量）の割合で添加され
る。プロポリス液の臭気緩和には、０．０５％〜０．１
％の割合で、ユーカリエキス、かんきつ系エキスまたは
ハーブエキスを添加する。

【００１７】プロポリス液の他に本発明を適用するのに
有用な食品素材の例としては、各種の植物発酵食品や飲
料などがあげられ、これらの臭気、特に漢方薬的臭気を
緩和することができる。

【００１８】本発明に従って臭気が緩和されたプロポリ
ス液は、食品素材としての付加価値が高められ、その用
途が多様化される。すなわち、漢方薬的臭気がないので
そのまま飲用しやすいプロポリス液となることは勿論、
他の食品へ添加してもプロポリスの有する風味を保持し
つつ、その食品のもち味をそこなうこともない。

【００１９】また、本発明にしたがって臭気緩和した中
国産などのプロポリス液をロータリーエバポレーター
（濃縮機）を使用してアルコール分（抽出剤）を蒸発、
濃縮することにより漢方薬的臭気のないプロポリスコン
ク（濃縮）エキスを得ることができる。そして、このよ
うにして得られたプロポリスコンクエキスに小麦胚芽
油、ミツロウなどを加えてエマルジョン化したものをソ
フトカプセルに充填すれば手軽にもちはこべる健康食品
となる。さらに、ユーカリエキスなどに乳糖や麦芽糖を
加えた臭気緩和剤で臭気緩和（マスキング）した中国産
プロポリス液からアルコール分を蒸発することによりき
わめて栄養価値の高いプロポリスパウダーを得るような
ことも可能である。

【００２０】以下、本発明の特徴をさらに明らかにする
ため実施例に沿って本発明を説明するが、本発明はこの
実施例によって制限されるものではない。

【００２１】

【実施例】きょう雑物を取り除き−２５゜Ｃにおいて予
備凍結後粉砕したパウダー化中国産プロポリスに、該プ
ロポリス１３ｋｇに対して食用エタノール４５リットル
の割合で加えて抽出し、この抽出液をペーパーフィルタ
ーを用いてろ過することによりプロポリス液を得た。

【００２２】このプロポリス液を分析するとともに５人
のパネラーによる臭気の官能テストを行ったところ、表
１に示すように安息香酸やケルセチンなどの栄養成分な
いしは有用成分を含有しているが、後の表２にまとめて
ているようにパネラーの大部分はその漢方薬的臭気に好
感をもっていないことが判った。

【００２３】

【表１】

【００２４】このプロポリス液に、０．０５％のユーカ
リエキス（片山化学工業よりユーカリ油として販売）を
添加し、１時間放置後、前記のパネラーにより臭気の官
能テストを行ったところ、漢方薬的臭気は実質的に感じ
られなくなっていた。

【００２５】同様に、オレンジ油（ナカライデスクから
入手）を０．０５％添加し、１時間放置し、同じパネラ
ーによる官能テストを実施したところ、漢方薬的臭気は
感じられなくなっていた。

【００２６】さらに、ハッカ油（片山化学工業から販
売）をプロポリス液に０．０５％を加えて１時間放置し
て官能テストを行ったが、漢方薬的臭気は感じられなく
なっていることが見出された。

【００２７】パネラーによる官能テストの結果を表２に
まとめる。

【００２８】

【表２】

【００２９】

【発明の効果】本発明を実施すれば、プロポリス液のよ
うな食品素材中の臭気、特にその漢方薬的臭気を該素材
の有用成分や栄養成分にダメージを与えることなく低減
することができる。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 プロポリス液にユーカリエキス、かんき
   つ系エキスまたはハーブエキスを添加することを特徴と
   するプロポリス液の臭気緩和方法。
2. 【請求項２】 ユーカリエキス、かんきつ系エキスまた
   はハーブエキスを含有することを特徴とするプロポリス
   液の臭気緩和剤。