JP3016984U - 帽子用芯材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 帽子として成形加工されたときに腰があり、
しかもその形状を永久的に保持させる帽子用芯材を提供
することにある。 【構成】 合成樹脂製ネット３を、捲縮性を具備した合
成繊維よりなる不織布２の層内に配し一体化させた帽子
用芯材１で、ここで用いられる合成樹脂製ネットは、そ
れを形成する緯糸と経糸の交叉部で直接融着して固定化
されているものである。そして該ネットを２〜４枚重ね
て不織布層内に配しているものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、帽子として成形加工されたときに腰があり、しかもその形状を永久 的に保持させるのに供される帽子用芯材に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来より帽子のつばや頭回りに使われる芯材としては、腰や反発弾性及び保形 性を付与させるために、捲縮性を具備した合成繊維を用いたランダム又はクロス ウエブの不織布を合成樹脂溶液に含浸処理するか或いはニードルパンチング処理 した不織布が用いられていた。更に性質を向上させるために性能の異なる繊維を 組み合わせたり、混合合成樹脂溶液で処理したりすることも提案されている（特 開平２−１４００号公報、実開平２−７８５２７号公報参照）。 また、芯材としてモノフィラメント系の合成繊維糸又は該合成繊糸と他の繊維 糸からなる編地を帽子縁部とつば裏地間の芯材として用いると、帽子の形崩れの 防止が計られることは実開昭５９−１０３７２１号公報に開示されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上述の従来技術の単なる繊維からなる不織布を芯材として用いたときには、繊 維の種類、不織布の目付、合成樹脂溶液の種類やその付着量の組合せの選定で、 剛性、反発性や形状安定性を発揮させることも出来るが、帽子を折りたたんだり したとき、その動作が繰り返されると、復元性が弱くなり形崩れを生ずる欠点が あった。また、芯材として不織布を用いずに合成繊維等のフィラメントの編地を 用いたときには、雨水等で濡れたとき乾燥が速い効果があるが編地が単体である ために、帽子として、たとえば帽子のつばを手で触れ着用するとき腰がなく触感 性が劣り、編地のため組織的な面から伸縮性があり、編地組織の固定性がないこ とから形崩れ防止も完全でない欠点があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】 本考案は、帽子用芯材として従来の欠点を解消すべく研究の結果、本考案に達 した。即ち、本考案は、合成樹脂製ネットを、捲縮性を具備した合成繊維よりな る不織布の層内に配し一体化させた帽子用芯材で、ここで用いられる合成樹脂製 ネットは、それを形成する緯糸と経糸の交叉部で直接融着して固定化されている ものである。そして該ネットを２〜４枚重ねて不織布層内に配しているものであ る。

【０００５】

【作用】

本考案の帽子用芯材は、以下実施例で示した通り、捲縮性合成繊維の不織布の 上に合成樹脂製ネットを重ねてニードルパンチングすることにより、不織布を形 成している繊維が、合成樹脂製ネットを通ってその上部にも繊維層が形成され、 合成樹脂製ネットが不織布の層内に配される構造が形成される、更にこのように して得られた芯材原反を、架橋剤を含む合成樹脂水溶液中に含浸又はスプレー散 布し、熱処理することにより、繊維間の交絡点接着と繊維と合成樹脂製ネットと の接着がなされ一体化され腰のある芯材が得られ、合成樹脂製ネットの緯糸と経 糸の交叉部がしっかりと樹脂で熱融着されているので、該ネット組織の崩れを生 ずることなく、結果的に帽体として用い帽子に成形加工した後にしっかりと形崩 れしない効果を発揮する。

【０００６】 本考案で用いられる不織布の合成繊維としては、捲縮性を具備しているポリエ ステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系等いずれでもよく、また単独又は混 繊したものでよいが、特にポリエステル系繊維が好ましく、繊度と繊維長の異な るポリエステル系繊維を混繊してもよい。不織布としてはニードルパンチングを してあっても、していなくても製造工程に支障なく供給できればよい。

【０００７】 本考案で用いられる合成樹脂製ネットとしては、目合は４ｍｍ×４ｍｍ、目付 １２〜１５ｇ／ｍ² のものが好ましく、所望する帽子の性能に応じ２〜４枚を重 ねて用いられ、枚数をこれ以上とすると硬くなり、同じく目付けが大きいと緯糸 と緯糸が太くなり、又目合が小さくなると不織布とのニードルパンチングする工 程で支障を生ずるので好ましくない。又、芯地原反を処理する合成樹脂水溶液は 、アクリル系、ポリウレタン系等いずれのものでもよく、その付着量については 、上述の繊維間接着、合成樹脂製ネットと繊維との接着が確実となる範囲で自由 に選択でき、所望の帽子に適した腰をもたせる。帽子用芯材の目付や厚さは目的 に応じて自由に選択出来ることは勿論である。

【０００８】

【実施例】

以下、実施例で本考案に係る帽子用芯材の製造方法を説明するが、本考案はこ の範囲に限定されるものではない。

【０００９】 繊度３デニール、繊維長６４ｍｍ、捲縮数１５．５ケ／２５ｍｍの捲縮ポリエ ステル繊維１００％を用いて、梳綿工程を経て目付１００ｇ／ｍ² 、厚さ１．７ ｍｍの不織布を得た。次いで該不織布の上に合成樹脂製ネットである目付１４ｇ ／ｍ² 、目合４ｍｍ×４ｍｍのポリプロピレン製商品名日石コンウェドネットＯ Ｎ３６５０〔日石シートパレットシステム（株）製〕を２枚重ねて供給し、フィ バーロッカーで針深度上下夫々１８ｍｍでパンチング密度６０本／ｃｍ² のパン チングを行い、合成樹脂製ネットを不織布の中に配されるように構成された芯材 原反を得た。

【００１０】 該芯材原反に架橋剤を配合したアクリル系樹脂水溶液を含浸し、樹脂固形分と して３０ｇ／ｍ² を付着させ、次いで１１０℃の熱風乾燥機で処理した後、１１ ５℃の熱カレンダーで処理し目付１５５ｇ／ｍ² 、厚さ１．４ｍｍの帽子用芯材 を得た。

【００１１】

【考案の効果】

本考案の帽子用芯材は、上述の構成からなるものであるので、帽子の芯材とし て用いたときに、腰があり、組織的にも安定化しているので、帽子として成形加 工した後においても、安定した形態を維持し形崩れを生じない効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の帽子用芯材の断面概略図である。

【図２】本考案で用いられる合成樹脂製ネットの拡大平
面図である。

【符号の説明】

１ 芯材 ２ 不織布 ３ 合成樹脂製ネット ４ 合成樹脂製ネットの交叉部

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 合成樹脂製ネットを、捲縮性を具備した
   合成繊維よりなる不織布の層内に配し一体化したことを
   特徴とする帽子用芯材。
2. 【請求項２】 合成樹脂製ネットを２〜４枚不織布の層
   内に重ねて配したことを特徴とする請求項１に記載の帽
   子用芯材。
3. 【請求項３】 合成樹脂製ネットがそのネットを形成す
   る緯糸と経糸の交叉部で直接融着していることを特徴と
   する請求項１又は請求項２に記載の帽子用芯材。