JP3016742B2 - 合成繊維用紡績油剤 - Google Patents

合成繊維用紡績油剤

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JP3016742B2 JP34412196A JP34412196A JP3016742B2 JP 3016742 B2 JP3016742 B2 JP 3016742B2 JP 34412196 A JP34412196 A JP 34412196A JP 34412196 A JP34412196 A JP 34412196A JP 3016742 B2 JP3016742 B2 JP 3016742B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速紡績工程に適
した合成繊維用紡績油剤に関する。特に、本発明は、優
れた帯電防止性を有し、繊維束の集束性に優れ、かつ、
高温高湿下でのローラー巻付きのない合成繊維用紡績油
剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、競争がさらに激しくなってきてい
る紡績業界においては、紡績コスト低減のため、省力
化、高速化、および効能率化への対応が急がれており、
高速紡績に適した紡績油剤が望まれているけれども、充
分に満足できる紡績油剤は未だ出現していない。一般
に、合成繊維用紡績油剤は、アルキルリン酸エステルカ
リウム塩を主体とする平滑成分と、その他の成分として
の帯電防止成分および集束成分から成り立っている。帯
電防止成分の代表的なものとしては、アルキルアミンの
酸化エチレン付加物、第4級アンモニウム塩、アルキル
ベタイン型両性界面活性剤等が用いられる。また、集束
成分としては、ポリオキシエチレンエーテル型非イオン
界面活性剤またはポリオキシエチレンエステル型非イオ
ン界面活性剤が用いられる。そして、一般には、これら
の成分が組み合わされて紡績油剤として使用される。し
かし、アルキルリン酸エステルカリウム塩は、低湿度に
おける制電性が不充分なため静電気が発生し易く、また
繊維束の集束性が良くないためスライバーのケンス収容
量が少なく、さらに高湿度では粘着性が大きくなり、ロ
ーラー巻付きによる紡績トラブルが生じることが知られ
ている。
【0003】また、カチオン界面活性剤や両性界面活性
剤等の帯電防止成分は、低湿度でも良好な制電性を発揮
するという長所を有しているが、その反面、吸湿性が大
きいために温湿度変化による影響を受けやすく、特に高
湿下では粘着性の増大によるカード工程でのシリンダー
巻付きや練条工程でのローラー巻付きを生じ、またゴム
ローラーや金属ローラー上にスカムとして蓄積し、紡績
トラブルとなり易い。また、非イオン界面活性剤は、繊
維−繊維間の摩擦を大きくして集束性を高めるが、その
含有量が増加すると制電性を悪化させたり、あるいは高
湿下で粘着性が上がり、ローラー巻付きの原因になる等
の問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のアル
キルアミンの酸化エチレン付加物あるいは第4級アンモ
ニウム塩が持つ優れた帯電防止性を活かしながら、その
欠点である温湿度の変化によるシリンダー巻付き、ロー
ラー巻付き、スカムの発生等を抑制し、かつ、優れた集
束性を有する合成繊維用の紡績油剤を提供することを目
的としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明等は、上記課題を
解決するため鋭意検討を重ねた結果、アルキルアミン
たは脂肪酸アミドの酸化エチレン付加物の末端にある水
酸基の一部あるいは全部をアルキル基、アルケニル基ま
たはアシル基で封鎖した化合物、あるいはそのような化
合物のリン酸またはリン酸エステルによる中和物、ある
いはそのような化合物の4級化物を用いることにより、
上記課題を解決できることを見出し本発明を完成させた
ものである。
【0006】すなわち、本発明は、下記の(A)〜
(C)の群より選ばれる少なくとも1種の化合物と平滑
成分とを含有することを特徴とする合成繊維用紡績油剤
を提供する。 (A)下記一般式(1)で表される化合物。
【0007】
【化3】
【0008】(式中、R1 は炭素数8〜22のアルキル
基、アルケニル基またはアシル基を表し、R2 は炭素数
1〜4のアルキル基、アルケニル基またはアシル基を表
し、R 3 は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アル
ケニル基またはアシル基を表し、mおよびnは1以上の
整数でm+n=2〜20を表す。) (B)上記一般式(1)で表される化合物のリン酸また
はリン酸エステルによる中和物。
【0009】(C)下記一般式(2)で表される化合
物。
【0010】
【化4】
【0011】(式中、R4 は炭素数8〜22のアルキル
基またはアルケニル基を表し、R5 は炭素数1〜4のア
ルキル基、アルケニル基またはアシル基を表し、R6
水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基ま
たはアシル基を表し、R7 はメチル基またはエチル基を
表し、Xはメチルサルフェートイオン、エチルサルフェ
ートイオン、ジメチルホスフェートイオンまたはジエチ
ルホスフェートイオンを表し、yおよびzは1以上の整
数でy+z=2〜20を表す。)
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる平滑成分とし
ては、例えば、側鎖を有していてもよい炭素数8〜22
のアルキル基を有するアルキルリン酸エステルカリウム
塩、側鎖を有していてもよい炭素数8〜22のアルキル
基を有する高級脂肪酸カリウム塩等が挙げられる。例え
ば、アルキルリン酸エステルカリウム塩としては、リン
酸化度(アルコール1モルに結合するリン原子のモル
数)が0.6〜1.0で、中和度が60〜100%のn
−オクチルリン酸エステルカリウム、n−デシルリン酸
エステルカリウム、n−ドデシルリン酸エステルカリウ
ム、n−ミリスチルリン酸エステルカリウム、n−セチ
ルリン酸エステルカリウム、n−ステアリルリン酸エス
テルカリウム、n−ベヘニルリン酸エステルカリウム等
が挙げられ、n−ドデシルリン酸エステルカリウム、n
−ミリスチルリン酸エステルカリウム、n−セチルリン
酸エステルカリウムおよびn−ステアリルリン酸エステ
ルカリウムが好適に用いられる。高級脂肪酸カリウム塩
としては、例えば、カプリル酸カリウム、カプリン酸カ
リウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、
パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、イソス
テアリン酸カリウム、ベヘニン酸カリウム等が挙げら
れ、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パル
ミチン酸カリウムおよびステアリン酸カリウムが好適に
用いられる。
【0013】本発明に有用な一般式(1)で表される化
合物は、アミン化合物の酸化エチレン付加物が有する2
個の末端OH基の内、1個以上をアルキル化、アルケニ
ル化またはアシル化したものである。これに用いられる
アミン化合物としては、例えば、側鎖を有していてもよ
い炭素数8〜22のアルキル基またはアルケニル基を有
する1級アミンや脂肪酸アミドが挙げられ、具体的に
は、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、
ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ラウ
リルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ス
テアリルアミン、ドコシルアミン、オレイルアミン等の
1級アミン、n−オクチルアミド、2−エチルヘキシル
アミド、デシルアミド、ラウリルアミド、ミリスチルア
ミド、パルミチルアミド、ステアリルアミド、エイコシ
ルアミド、ドコシルアミド、オレイルアミド等の脂肪酸
アミド等が挙げられる。
【0014】アミン化合物と酸化エチレンとの反応は、
通常、無触媒でまたは水酸化ナトリウムや水酸化カリウ
ム等のアルカリ触媒を用いて容易に行うことができる。
次に、このようにして酸化エチレンを付加したアミン化
合物の末端に、アルキル基、アルケニル基またはアシル
基を導入する。例えば、まず酸化エチレンを付加したア
ミン化合物とナトリウムメチラートとを反応させて末端
OH基を−ONaとし、その後以下に記載するようなア
ルキル化剤、アルケニル化剤またはアシル化剤と反応さ
せるのであり、これにより目的とする前記一般式(1)
の化合物が得られる。
【0015】上記のアルキル化剤としては、例えば、ジ
メチル硫酸、ジエチル硫酸、ヨウ化メチル、プロピルブ
ロマイド、イソプロピルブロマイド等が挙げられ、アル
ケニル化剤としては、例えば、アリルクロライド、アリ
ルブロマイド等が挙げられ、アシル化剤としては、例え
ば酢酸クロライド、プロピオン酸クロライドまたは酪酸
クロライド等が挙げられる。また、アシル基を有する前
記一般式(1)の化合物は、酸化エチレンを付加したア
ミン化合物と無水酢酸との反応によっても得ることがで
きる。
【0016】ただし、上記一般式(1)の化合物を得る
方法は、前記した方法のみに限定されるものではない。
本発明には前記一般式(1)の化合物のリン酸またはリ
ン酸エステルによる中和物も有用であるが、かかる化合
物を中和するリン酸またはリン酸エステルとしては、例
えば、正リン酸、メチルリン酸エステル、エチルリン酸
エステル、プロピルリン酸エステル、オクチルリン酸エ
ステル、ドデシルリン酸エステル等が挙げられる。
【0017】本発明に有用な前記一般式(2)で表され
る化合物は、前記一般式(1)の化合物を、常法によ
り、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、リン酸トリメチルエ
ステル、リン酸トリエチルエステル等を4級化剤として
用いて4級化することにより、容易に得ることができ
る。(A)〜(C)の化合物と平滑成分との割合は、通
常、重量比で10/90〜50/50、特に20/80
〜40/60の範囲であるのが好ましい。
【0018】本発明の紡績油剤の合成繊維に対する付着
量は、通常、0.07〜0.30重量%、特に0.10
〜0.20重量%の範囲であるのが好ましい。本発明の
紡績油剤は、一般には水溶液または水乳化液の形にあ
り、合成繊維への付与は、この紡績油剤の水希釈液ある
いは水性エマルジョンを、紡糸工程または延伸工程でト
ウやカット原綿に対してスプレーまたは浸漬により付着
させることによって行うことができる。
【0019】また、本発明の紡績油剤には、本発明の効
果を損なわない限り、他の助剤として、従来より一般に
集束剤あるいは乳化剤として用いられている非イオン界
面活性剤、帯電防止剤として用いられているアニオン界
面活性剤やカチオン界面活性剤、酸化防止剤、消泡剤等
を添加することができる。本発明における合成繊維は、
典型的には、ポリエステル100%品のみならず、ポリ
エステルと綿、レーヨン、毛、麻等との複合繊維をも含
み、これらの複合繊維においても静電気の発生が少な
く、高温高湿下でもローラー巻付きが少なく良好な紡績
性を維持することができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、
本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるもので
はない。下記の化合物を用い、表1に示す組成により実
施例1〜および比較例1〜5の紡績油剤を作成した。
例示化合物1
【0021】
【化5】
【0022】例示化合物2
【0023】
【化6】
【0024】例示化合物3
【0025】
【化7】
【0026】例示化合物4
【0027】
【化8】
【0028】例示化合物5
【0029】
【化9】
【0030】例示化合物6
【0031】
【化10】
【0032】比較化合物1
【0033】
【化11】
【0034】比較化合物2
【0035】
【化12】
【0036】比較化合物3
【0037】
【化13】
【0038】比較化合物4
【0039】
【化14】
【0040】比較化合物5
【0041】
【化15】
【0042】
【表1】
【0043】ステアリルリン酸エステルカリウム塩:リ
ン酸化度=0.7、中和度=90% セチルリン酸エステルカリウム塩:リン酸化度=0.
7、中和度=90% PEG(400):ポリエチレングリコール(分子量4
00) EO:エチレンオキサイド 各紡績油剤の評価を以下のようにして行い、その結果を
表2に示した。カード帯電圧 実施例1〜および比較例1〜5の紡績油剤を水で希釈
し、ポリエステルステープル(1.5d,38mm)に対
して、その付着量が固形分で0.15重量%になるよう
にスプレー給油し、70℃で乾燥後、20℃,40%R
Hの条件下で一昼夜エージングして平衡水分量にした
後、カードウェブの帯電圧を測定した。集束性 カード上がりのウェブを20℃,65%RHの条件下で
練条機にかけ、そこで得た練条スライバーの引抜き強力
を引張り試験機で測定した。この場合、数値の大きい方
が良好な集束性を示す。コイリング性 カード上がりのウェブを20℃,65%RHの条件下で
練条機にかけ、そこで得た練条スライバーの形で判定し
た。評価は、良好なものを○、以下順に○〜△、△、△
〜×、不良なものを×とした。ローラー巻付き カード上がりのウェブ100gを30℃,80%RHの
条件下で5回繰り返し練条し、ゴムローラーへのトータ
ル巻付き回数を測定した。粘着力 実施例1〜および比較例1〜5の紡績油剤を水で希釈
し、シャーレ上で絶乾して厚さ約0.3mmの薄膜を作製
し、その後30℃,80%RHの条件下で平衡水分にし
た後、一定の大きさに切り取った精紡機のトップエプロ
ンを一定の荷重で押し当て、その粘着剥離力を測定し
た。
【0044】
【表2】
【0045】表2より、比較例のアルキルアミンの酸化
エチレン付加物や第4級アンモニウム塩と、本発明の実
施例の末端封鎖したアルキルアミンの酸化エチレン付加
物やそれらの化合物の第4級アンモニウム塩とを比較し
た場合、末端封鎖した物では紡績油剤の吸湿率が小さ
く、それに伴って紡績油剤の粘着力が非常に小さくな
り、また低湿度下でも良好な制電性を維持できることが
解る。さらに、酸化エチレン付加物から由来する高い繊
維間摩擦力を有するため、集束性が良好であることもわ
かる。従って、本発明品は、良好な制電性を維持しなが
ら優れた紡績性を有していると言える。
【0046】
【発明の効果】本発明の紡績油剤を用いることにより、
ポリエステル100%品のみならず、ポリエステルと
綿、レーヨン、毛、麻等との複合繊維においても静電気
の発生が少なく、高温高湿下でもローラー巻付きが少な
く、良好な紡績性を維持することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI D06M 13/46

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の(A)〜(C)の群より選ばれる
    少なくとも1種の化合物と平滑成分とを含有することを
    特徴とする合成繊維用紡績油剤。 (A)下記一般式(1)で表される化合物。 【化1】 (式中、R1 は炭素数8〜22のアルキル基、アルケニ
    ル基またはアシル基を表し、R2 は炭素数1〜4のアル
    キル基、アルケニル基またはアシル基を表し、R 3 は水
    素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基また
    はアシル基を表し、mおよびnは1以上の整数でm+n
    =2〜20を表す。) (B)上記一般式(1)で表される化合物のリン酸また
    はリン酸エステルによる中和物。 (C)下記一般式(2)で表される化合物。 【化2】 (式中、R4 は炭素数8〜22のアルキル基またはアル
    ケニル基を表し、R5 は炭素数1〜4のアルキル基、ア
    ルケニル基またはアシル基を表し、R6 は水素原子、炭
    素数1〜4のアルキル基、アルケニル基またはアシル基
    を表し、R7 はメチル基またはエチル基を表し、Xはメ
    チルサルフェートイオン、エチルサルフェートイオン、
    ジメチルホスフェートイオンまたはジエチルホスフェー
    トイオンを表し、yおよびzは1以上の整数でy+z=
    2〜20を表す。)
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JP6328836B1 (ja) * 2017-09-15 2018-05-23 竹本油脂株式会社 弾性繊維用処理剤及び弾性繊維

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