JP3016338B2 - 漏出検知装置付き内燃機関用燃料ポンプ - Google Patents
漏出検知装置付き内燃機関用燃料ポンプInfo
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に、高圧出力の燃料
ポンプとして用いて好適の、漏出検知装置付き内燃機関
用燃料ポンプに関する。 【0002】 【従来の技術】内燃機関において、燃料を供給するため
に燃料ポンプが設けられているが、このような燃料ポン
プには、ベーン等を回動させることで燃料を加圧し出力
するものがあり、ベーン等は回転軸(以下、ポンプ軸と
いう)に装備される。このようなポンプ軸には、軸端を
外部に突出させてこの軸端を通じて外部から回転駆動力
を受けるように構成されたものがある。 【0003】例えばかかるポンプ軸を機関のクランクシ
ャフトに連動するように構成したものがある。この場
合、ポンプ軸の一端を外部に突出させてここにスプロケ
ットを設けて、このポンプ軸側のスプロケットとクラン
クシャフト側のスプロケットとをチェーン等で連結して
駆動力を伝達するようにしている。ポンプ軸は、燃料を
加圧するポンプ室の内部から外部に突出するようにポン
プ室の壁部を貫通して設けられるので、ポンプ室の壁部
とポンプ軸との間にはシール部材(一般には、シールリ
ング)が設けられる。 【0004】ところで、高圧出力の燃料ポンプを要求す
る内燃機関があるが、このような高圧出力の燃料ポンプ
では、上述のポンプ室とポンプ軸との間のシール部分
に、大きな負荷が加わるので、シール部材の耐久性が問
題となる。なお、高圧出力の燃料ポンプを要求する内燃
機関としては、いわゆる筒内噴射式内燃機関或いは直接
噴射式内燃機関(直噴式内燃機関)などと称される、燃
料をシリンダ内で噴射する方式の内燃機関がある。この
ような内燃機関として、具体的にはディーゼルエンジン
が広く知られているが、近年、火花点火式エンジン(一
般には、ガソリンエンジンが対応するので、以下、ガソ
リンエンジンという)においても、筒内噴射式のものが
提案されている。 【0005】このような筒内噴射式内燃機関では、機関
の性能向上や排出ガスの低減のために、燃料噴射圧力を
上げて燃料噴霧を微粒化し、燃料噴射期間を短縮化する
傾向にある。また、過給機構をそなえた機関では、過給
時には、過給圧に応じた高い燃料噴射圧力が要求され
る。そこで、筒内噴射式内燃機関における燃料供給装置
は、このように十分に高い(例えば数十気圧程度)燃料
噴射圧力が得られるように構成されるのである。 【0006】このような内燃機関に装備された高圧出力
の燃料ポンプのポンプ室とポンプ軸との間のシール部材
の耐久性を向上させる手段としては、一般に、シールリ
ングを二つ直列に設けた2段シールが考えられる。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
な2段シールによれば、1段目が破損しても2段目でシ
ールすることができシール性を確保することができる
が、2段目のシール部材までも破損してしまうと、この
シール部材から燃料が漏出してしまう。この場合、シー
ル部材から漏出した燃料が機関の外部まで漏出してはい
けないので、シール部材から漏出した燃料が機関の内部
に戻るようにしたい。 【0008】また、この一方で、シール部材から燃料が
漏出していることを認識できなくては、機関の管理を適
切に行なえない。すなわち、シール部材から漏出した燃
料が機関の内部に戻るようにし、且つ、シール部材から
燃料の漏出を確実に検知できるようにしたい。本発明
は、このような課題に鑑み創案されたもので、シール漏
れした燃料が機関の外部までは漏出しないように燃料ポ
ンプを構成しながら、シール部材から燃料の漏出を確実
に検知できるようにした、漏出検知装置付き内燃機関用
燃料ポンプを提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の本発明の漏出検知装置付き内燃機関用燃料ポンプは、
ポンプ室と、該ポンプ室外の駆動手段に接続されて該ポ
ンプ室内に装備された燃料圧送部材を回転駆動させるポ
ンプ軸と、該ポンプ軸の該ポンプ室の貫通部分に装備さ
れ該ポンプ室内を密封するシール部材とを有するポンプ
本体をそなえ、内燃機関に燃料を供給する内燃機関用燃
料ポンプにおいて、該シール部材でのシール漏れを検知
する漏出検知装置をそなえ、該漏出検知装置が、該シー
ル部材でシール漏れした燃料を該内燃機関の吸気系に導
く漏出燃料導入手段と、該内燃機関の空燃比を検出する
空燃比検出手段と、該空燃比検出手段により検出された
検出空燃比が、該内燃機関の運転状態に応じた基準空燃
比よりもリッチ側であると、該シール部材でのシール漏
れが発生している可能性があると判定する漏出判定手段
とから構成されていることを特徴としている。 【0010】請求項2記載の本発明の漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプは、請求項1記載の構成におい
て、該シール部材が、該ポンプ室内を直接密封する第1
シール部材と、該第1シール部材の外部に該第1シール
部材と直列に設けられた第2シール部材とからなる直列
2段式に形成され、該漏出燃料導入手段が、該第1シー
ル部材と該第2シール部材との間から該内燃機関の吸気
系へ亘って設けられて、該第1シール部材でシール漏れ
した燃料を該内燃機関の吸気系に導く漏出燃料導入路を
そなえ、該漏出判定手段が、該検出空燃比が、該基準空
燃比よりもリッチ側であると、該第1シール部材でシー
ル漏れが発生している可能性があると判定することを特
徴としている。 【0011】好ましい実施態様としては、該漏出燃料導
入路が流量を所定レベル以下に規制されるように構成す
る。 好ましい実施態様としては、該ポンプ軸が、該内燃
機関のカムシャフトと一体回転するように該カムシャフ
トに直付けされるように構成する。 【0012】好ましい実施態様としては、該漏出燃料導
入手段が、シール漏れした燃料を該内燃機関のシリンダ
ヘッド内を介して該吸気系に導くように構成する。ま
た、該内燃機関がガソリン式内燃機関であることが好ま
しい。 【0013】請求項3記載の本発明の漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプは、請求項1又は2記載の構成に
おいて、該内燃機関が、燃料を燃焼室内へ直接噴射する
直噴式内燃機関であることを特徴としている。請求項4
記載の本発明の漏出検知装置付き内燃機関用燃料ポンプ
は、請求項1〜3のいずれかに記載の構成において、該
燃料ポンプが燃料タンクから燃焼室に至る燃料供給路に
設けられ、該燃料供給路における該燃料ポンプの上流側
に、該燃料ポンプへの供給燃料圧力を高める低圧電動式
燃料ポンプが設けられていることを特徴としている。 【0014】 【作用】上述の請求項1記載の本発明の漏出検知装置付
き内燃機関用燃料ポンプでは、ポンプ室外の駆動手段に
より駆動されてポンプ軸が回転すると、該ポンプ室内に
装備された燃料圧送部材が回転駆動されて燃料を圧送し
て内燃機関に燃料を供給する。 【0015】該ポンプ軸の該ポンプ室の貫通部分では、
シール部材が該ポンプ室内を密封するが、このシール部
材でシール漏れが生じると、漏出燃料導入手段がこのシ
ール漏れした燃料を該内燃機関の吸気系に導く。この結
果、シール部材でシール漏れした燃料分だけ該内燃機関
の燃焼室に供給される燃料が増加する。このように該内
燃機関の燃焼室に供給される燃料が増加すると、空燃比
検出手段により検出された該内燃機関の検出空燃比は、
該内燃機関の運転状態に応じた基準空燃比よりもリッチ
側となる。漏出検知装置では、漏出判定手段により、こ
のような空燃比検出手段による検出空燃比を基準空燃比
と比較することで、該シール部材でシール漏れが発生し
ている可能性があると判定する。これによりシール漏れ
が生じたらこれを検知することができる(以上、請求項
1)。 【0016】請求項2記載の本発明の漏出検出装置付き
内燃機関用燃料ポンプでは、第1シール部材がポンプ室
内を直接密封し、この第1シール部材からシール漏れが
生じると、該第1シール部材の外部に該第1シール部材
と直列に設けられた第2シール部材がポンプ室側を密封
する。このように第1シール部材からシール漏れが生じ
ると、該第1シール部材と該第2シール部材との間から
該内燃機関の吸気系へ亘って設けられた漏出燃料導入手
段が、該第1シール部材でシール漏れした燃料を該内燃
機関の吸気系に導く。この結果、シール部材でシール漏
れした燃料分だけ該内燃機関の燃焼室に供給される燃料
が増加する。 【0017】このように該内燃機関の燃焼室に供給され
る燃料が増加すると、空燃比検出手段により検出された
該内燃機関の検出空燃比は、該内燃機関の運転状態に応
じた基準空燃比よりもリッチ側となる。漏出検知装置で
は、漏出判定手段により、このような空燃比検出手段に
よる検出空燃比を基準空燃比と比較することで、該第1
シール部材でシール漏れが発生している可能性があると
判定する。これによりシール漏れが生じたらこれを検知
することができる(以上、請求項2)。 【0018】該漏出燃料導入路が流量を所定レベル以下
に規制されるように構成すると、該第1シール部材によ
りシール漏れが生じると、第2シール部材がシール作用
を発揮するようになり、この一方で、該漏出燃料導入路
から該内燃機関の吸気系へ燃料が導かれるが、該漏出燃
料導入路が流量を規制されているので、該漏出燃料導入
路を通じて吸気系へ異常に多量の燃料が供給されること
がなく、内燃機関が作動困難になるおそれを回避しう
る。 【0019】該ポンプ軸が、該内燃機関のカムシャフト
と一体回転するように該カムシャフトに直付けされる
と、該ポンプ軸が、内燃機関のカムシャフトと一体回転
して、ポンプ室内に装備された燃料圧送部材を回転駆動
して燃料を圧送し、内燃機関に燃料を供給する。該漏出
燃料導入手段が、シール漏れした燃料を該内燃機関のシ
リンダヘッド内を介して該吸気系に導くように構成する
と、該漏出燃料導入手段が、シール漏れした燃料を該内
燃機関のシリンダヘッド内を介して該吸気系に導くた
め、シール漏れした燃料をブローバイガスとともに吸気
系へ還流させることができる。 【0020】該内燃機関がガソリン式内燃機関である
と、燃料として潤滑性の悪いガソリンが用いられるの
で、シール部材の疲労が大きくなりやすい。そこで、シ
ール漏れの検知や、シール漏れした燃料の機関内への還
流が極めて有効となり、また、直列2段式のシール部材
によるシール漏れの防止も極めて有効となる。 【0021】請求項3記載の本発明の漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプでは、燃料が燃焼室内へ直接噴射
されるが、このような直噴式内燃機関では、一般に高い
燃料噴射圧力が要求されるので、燃料ポンプでは高圧で
燃料を圧送できるようにする必要がある。このため、シ
ール部材の疲労が大きくなりやすい。そこで、シール漏
れの検知や、シール漏れした燃料の機関内への還流が極
めて有効となり、また、直列2段式のシール部材による
シール漏れの防止も極めて有効となる。 【0022】請求項4記載の本発明の漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプでは、燃料タンク内の燃料は、燃
料供給路を通って燃焼室に至るが、この燃料供給路で
は、まず、上流部分の低圧電動式燃料ポンプにより、燃
料がある程度の圧力まで加圧され、この後に、燃料ポン
プへ流入して、該燃料ポンプにより、燃料がさらに高圧
に加圧される。 【0023】 【実施例】以下、図面により、本発明の実施例について
説明する。まず、図1〜図7を用いて、第1実施例を説
明する。本発明の第1実施例としての漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプは、図2に示すように、内燃機関
(以下、エンジンという)1のシリンダヘッド2上部に
直付けされたポンプ本体3を有している。 【0024】このポンプ本体3は、燃料吸入口4から燃
料を吸入して、図示しないポンプ室内で図示しないベー
ン等の燃料加圧回動体を回動させることで燃料を加圧し
燃料吐出口5から送出するように構成され、燃料加圧回
動体は、回転軸(以下、ポンプ軸という)6に結合され
ている。このポンプ軸6は、図3に示すように、シリン
ダヘッド2内に設けられたカムシャフト7にオルダムジ
ョイント8を介して直結されており、カムシャフトと一
体に回転駆動される。ポンプ軸6は、ポンプ本体3のケ
ース9にベアリング10を介して枢支されており、この
ベアリング10よりもポンプ室側には、ポンプ室側から
加圧された燃料が漏出しないようにポンプ室内を密封す
るオイルシール(シール部材)11が設けられている。 【0025】特に、この実施例では、オイルシール11
は、直列的に配置された第1オイルシール(第1シール
部材)11Aと第2オイルシール(第2シール部材)1
1Bとからなる直列2段式オイルシールになっている。
このうち、第1オイルシール11Aは、ポンプ室内側に
設けられポンプ室内を直接密封し、第2オイルシール1
1Bは、第1オイルシール11Aの外部に直列的に設け
られている。 【0026】また、ポンプ本体3はケース9をシリンダ
ヘッド2上部に形成された取付穴2Aに嵌着されボルト
等により固定されている。ケース9とシリンダヘッド2
との間には、この結合部分から燃料が外部に漏出しない
ように、Oリング12が介装されている。そして、本燃
料ポンプには、オイルシール11からの燃料の漏れを検
知する漏出検知装置13がそなえられている。 【0027】この漏出検知装置13は、図1に示すよう
に、オイルシール11からシール漏れした燃料をエンジ
ン1の吸気系に導く漏出燃料導入路(漏出燃料導入手
段)14と、エンジン1の燃焼室に供給された吸気の空
燃比を検出する空燃比センサ(空燃比検出手段)15
と、この空燃比センサ15により検出された検出空燃比
が、エンジン1の運転状態に応じた基準空燃比よりもリ
ッチ側であると、オイルシール11からシール漏れが発
生している可能性があると判定する漏出判定手段16と
から構成される。 【0028】ここで、漏出検知装置13について、図1
とともに図4を参照してさらに説明すると、エンジン1
のシリンダヘッド2内には、ブローバイガスを吸気通路
17へ導くブローバイガス通路18が設けられている。
そして、オイルシール11の第1オイルシール11Aと
第2オイルシール11Bとの間からシリンダヘッド2内
に亘ってバイパス通路19が設けられている。 【0029】したがって、第1オイルシール11Aにシ
ール漏れが生じると、漏出燃料は、第1オイルシール1
1Aと第2オイルシール11Bとの間からバイパス通路
19を通じてシリンダヘッド2内に流入して、このシリ
ンダヘッド2内からブローバイガス還元通路18を通じ
て吸気通路17へ導入され、さらに、燃焼室20へと導
かれる。漏出燃料導入路14は、このように漏出燃料を
導くバイパス通路19,シリンダヘッド2,ブローバイ
ガス通路18から構成されている。なお、この漏出燃料
導入路14は、第1オイルシール11Aがシール漏れし
た時に、エンジンの作動を困難にするようなほど過剰な
燃料がこの漏出燃料導入路14を通じて吸気系に供給さ
れないように、例えばバイパス通路19を小さな流路径
に形成されるなど流量を規制されている。 【0030】空燃比センサ15はエンジン1の排気通路
21に設けられ、排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素
濃度センサ(通称、リニアO2 センサ)であるが、ここ
では、理論空燃比付近の酸素濃度に関してのみ検出する
酸素濃度センサ(通称、O2センサ)を空燃比センサと
して用いている。この空燃比センサとしてのO2 センサ
15は、例えばエンジンの燃料噴射量を設定するために
設置されているものを利用しており、漏出判定手段16
では、このO2 センサ15での検出結果を直接用いない
で、燃料噴射量の設定の際に行なわれるO2 センサフィ
ードバック補正で用いられる補正係数KAFを基準値(基
準範囲)と比較して、漏出判定手段16によるシール漏
れの判定を行うように構成されている。 【0031】ここで、漏出判定手段16によるシール漏
れの判定の原理を説明する。第1オイルシール11Aに
シール漏れが生じると、漏出燃料は、漏出燃料導入路1
4を通じて吸気通路17へ導入されるので、空燃比がリ
ッチ側へ変化する。リニアO2 センサであればいずれの
空燃比レベルでも空燃比がリッチ側へ変化したことを検
知できるが、ここで用いているO2 センサでは理論空燃
比(ストイキオ)の付近においてのみ空燃比の変化を検
知できる。したがって、ここではストイキオ運転時にお
けるO2 センサ15の検出結果に基づいて空燃比がリッ
チ側へ変化したらシール漏れがあると判定することがで
きる。 【0032】補正係数KAFは空燃比に対応して決まり、
空燃比がリッチ側へ変化すると空燃比をストイキオ状態
へ修正するように補正係数KAFが変化する。もちろん、
エンジンの運転状態が正常であっても、ストイキオ運転
時に空燃比はストイキオ状態からリッチ側やリーン側へ
微小に変化し、その都度補正係数KAFも変化するが、シ
ール漏れが生じた際の空燃比の変化はこのような通常の
変化に比べて大幅に増大し、補正係数KAFの値が通常の
範囲を逸脱するようになる。したがって、空燃比或いは
補正係数KAFに基づいて、シール漏れを判定できるので
ある。 【0033】ただし、逆に、空燃比がこのようにリッチ
側へ変化するのは、他の原因も考えられる。即ち、空燃
比が増加するのは、シール漏れが発生した場合以外に、
例えば燃料噴射弁等の他の燃料噴射系に故障が発生した
場合も考えられる。したがって、空燃比が増加したら、
燃料漏れの可能性があると判断することができる。勿
論、上述のように、燃料漏れがあった場合には、これは
確実に検知される。 【0034】この漏出判定手段16によるシール漏れの
判定の結果は、チェックランプ60の点灯によって行な
うようになっている。つまり、シール漏れが検知されな
ければチェックランプ60は点灯させないが、シール漏
れが発生している可能性があるものと検知された時には
このチェックランプ60は点灯させる。本内燃機関用燃
料ポンプが自動車用のものであれば、このチェックラン
プ60は、他の各種計器類とともにインストルメントパ
ネル等の視認性のよい箇所に設置するのが望ましい。 【0035】ここで、本実施例の燃料ポンプを装備する
エンジンの特徴について説明する。このエンジンは、図
4に示すように、いわゆる筒内噴射式内燃機関或いは直
接噴射式内燃機関などと称される、燃料をシリンダ内で
噴射する方式のエンジンである。また、吸気通路17か
ら燃焼室20内へ進入した吸気が燃焼室20内で矢印2
7のように縦旋回流(タンブル流)を形成するように、
吸気通路17や燃焼室20がその形状及び配置を設定さ
れている。 【0036】燃料噴射弁31は、噴射口が燃焼室20内
に直接臨むように設置されている。当然ながら燃料噴射
弁31は各気筒毎に設けられ、ここに示すエンジンの例
は直列4気筒型であり、図5に示すように、4つの燃料
噴射弁31がそれぞれ燃焼室20内に直接臨むように設
置されている。なお、図4において、25は吸気弁,2
6は排気弁であり、上述のポンプ軸6を結合されるカム
シャフト7は、この例では吸気弁25を駆動するための
ものになっている。また、点火プラグは図示しないが燃
焼室20内に臨むように設置されている。 【0037】このような筒内噴射式内燃機関では、機関
の性能向上や排出ガスの低減のために、燃料噴射圧力を
上げて燃料噴霧を微粒化し、燃料噴射期間を短縮化する
傾向にあり、高い燃料噴射圧力が要求される。また、過
給機構をそなえた機関では、過給時には、過給圧に応じ
た十分に高い燃料噴射圧力が要求される。そこで、この
ような筒内噴射式内燃機関にそなえられた料供給装置
は、このように十分に高い(例えば数十気圧程度)燃料
噴射圧力が得られるように構成される。 【0038】また、このエンジンは、ストイキオ運転モ
ードとリーン運転モードとの2つの運転モードをそなえ
ており、エンジン負荷が小さくエンジン回転速度が低い
領域ではエンジンの出力要求度が低いのでリーン運転モ
ードを選択して燃料消費を節約し、エンジン負荷が大き
いかエンジン回転速度が高い領域ではエンジンの出力要
求度が高いのでストイキオ運転モードを選択して十分な
エンジン出力を得られるように構成している。 【0039】ここで、本エンジンの燃料供給系に関して
図5,6を参照して説明すると、図5,6において、3
1は燃料噴射弁、32は燃料タンク、33は燃料噴射弁
31と燃料タンク32との間に設けられた燃料通路であ
りこの燃料通路の各部分は33A,33B,33C,3
3Dで示しており、34は燃料通路33の燃料タンク3
2側の上流部に設けられた低圧燃料ポンプ(低圧電動式
燃料ポンプ)、35は低圧燃料ポンプと燃料噴射弁1と
の間に設けられた高圧燃料ポンプであり、本内燃機関用
燃料ポンプはこの高圧燃料ポンプとして用いられてい
る。また、36,37は燃料通路の入口部分に設けられ
た燃料フィルタ、38は逆止弁、39は低圧制御手段と
しての低圧制御弁、40は高圧制御手段としての高圧制
御弁、41はデリバリパイプである。そして、この漏出
検知装置付き内燃機関用燃料ポンプ(狭義にいえば燃料
ポンプ本体3)は高圧燃料ポンプ35として設けられて
いる。 【0040】このような構成の燃料供給系では、低圧燃
料ポンプ34である程度加圧された燃料を、高圧燃料ポ
ンプ35(3)でさらに加圧することで、燃料の圧力を
所定圧まで高めている。この際、低圧燃料ポンプ34か
らの吐出圧は低圧制御弁39により所定範囲に安定化さ
れ、さらに、高圧燃料ポンプ35(3)からの吐出圧は
高圧制御弁40により所定範囲に安定化される。 【0041】さらに、このような燃料供給系における燃
料噴射制御について図4を参照して説明する。すなわ
ち、燃料供給量は、燃料噴射制御はECU(電子制御ユ
ニット)内の一機能部分として設けられた噴射量設定手
段50において設定されるが、この噴射量設定手段50
には、噴射モード設定手段51がそなえられ、この噴射
モード設定手段51で、ストイキオ運転モードが選択さ
れるとこれに応じたストイキオ運転燃料噴射モードが選
択され、リーン運転モードが選択されるとこれに応じた
リーン運転燃料噴射モードが選択される。ストイキオ運
転燃料噴射モードが選択されると、噴射量設定手段50
では空燃比がストイキオ状態になるように燃料供給量を
設定し、リーン運転燃料噴射モードが選択されると、噴
射量設定手段50では、予めストイキオ状態よりも適当
に低い空燃比を設定して、この低い空燃比状態になるよ
うに燃料供給量を設定する。 【0042】いずれの場合も、噴射量設定手段50で
は、まず燃料噴射弁31のための基本駆動時間TB を決
定し、この基本駆動時間TB を決定し、この基本駆動時
間TBに補正手段52,53により各種の補正を施し
て、燃料噴射弁31のための最終的な駆動時間TINJ を
決定して、この駆動時間TINJ に対応した燃料噴射弁3
1の駆動信号を出力する。 【0043】この設定のために、噴射量設定手段50に
は、各種センサ54から各検出信号が送られるようにな
っている。基本駆動時間TB はエアフローセンサからの
吸入空気量Q情報とクランク角センサからのエンジン回
転数Ne情報とからエンジン1回転あたりの吸入空気量
Q/Ne情報を求め、この情報に基づき決定する。 【0044】また、エンジン回転数とエンジン負荷(上
記Q/Ne情報はエンジン負荷情報を有する)とに応じ
た空燃比アップ補正を行なう空燃比アップ補正およびO
2 センサフィードバック時に補正係数KAFを設定して補
正を行なうO2 センサフィードバック補正が行われるよ
うになっており、O2 センサフィードバック補正は図示
するようにO2 センサフィードバック補正手段52で行
われる。これらの空燃比アップ補正とO2 センサフィー
ドバック補正とは択一的に選択されるようになってい
る。 【0045】さらに、エンジン冷却水温に応じて補正係
数KWTを設定する冷却水温補正,吸気温に応じて補正係
数KATを設定する吸気温補正,大気圧に応じて補正係数
KAPを設定する大気圧補正,加速増量用の補正係数KAC
を設定する加速増量補正手段43,バッテリ電圧に応じ
て駆動時間を補正するためデッドタイム(無効時間)T
D を設定するデッドタイム補正が行われる。 【0046】基本駆動時間TB に次式のようにしてこれ
らの補正を施すことで、燃料噴射弁31のための駆動時
間TINJ を決定する。 TINJ =TB ×KWT×KAT×KAP×KAC×KAF+TD このように用いられる空燃比に対応した補正係数K
AFは、ストイキオ運転時には、空燃比がリッチ側へ変化
したら空燃比をストイキオ状態へ修正するように変化
し、シール漏れが生じた際には、空燃比及び補正係数K
AFの変化が極めて大きくなり、補正係数KAFの値が通常
の範囲を逸脱するようになるのである。 【0047】上述の構成により、本発明の第1実施例の
漏出検知装置付き内燃機関用燃料ポンプでは、低圧燃料
ポンプ34である程度加圧された燃料を、さらに加圧す
ることで、燃料の圧力を所定圧まで高めて、高圧燃料噴
射に適した燃料圧力を供給する。このような高圧燃料ポ
ンプである本ポンプでは、低圧ポンプに比べてオイルシ
ール11からの燃料漏れのおそれが大きいが、本ポンプ
では、オイルシール11の第1オイルシール11Aと第
2オイルシール11Bとからなる直列2段式に構成され
るので、例え第1オイルシール11Aでシール漏れが生
じても、第2オイルシール11Bでシールが行なわれる
ようになるので、この場合の燃料漏れを回避できる。 【0048】しかも、漏出検知装置13が、第1オイル
シール11Aからのシール漏れを検知して表示するの
で、シール漏れが生じたら運転者は速やかに対処でき
る。漏出検知装置13によるシール漏れの検知は、図7
に示すように行なわれる。つまり、エンジンの運転モー
ドがストイキオ運転モードか否かを判断し(ステップA
1)、ストイキオ運転モードならO2 センサ(空燃比セ
ンサ)15からの出力を読み込む(ステップA2)。 【0049】次に、このO2 センサ15の出力自体が適
正であるか否かを判断し(ステップA3)、適正なら、
O2 センサ15自体の出力に基づいてO2 センサフィー
ドバック時の補正係数KAFを空気濃度情報(空燃比情
報)に対応したものに変更する(ステップA4)。そし
て、この変更された補正係数KAFが所定の範囲内よりも
リッチ側にあるか否かを判断する(ステップA5)。 【0050】補正係数KAFが所定の範囲内よりもリッチ
側にあれば、チェックランプ60を点灯する(ステップ
A6)。一方、補正係数KAFが所定の範囲内にあれば、
勿論チェックランプ60は点灯しない。また、運転モー
ドがストイキオ運転モードでない場合や、O2 センサ1
5の出力が適正でない場合も、チェックランプ60は点
灯しないが、O2 センサ15の出力が適正でない場合に
は、この旨を通知するためのチェックランプ(漏出を表
示するランプ60とは異なるランプ)を点灯する等の処
理を行なう。 【0051】このようにして、漏出検知装置13を通じ
て、第1オイルシール11Aにシール漏れがあれば、運
転者はこれを確実に検知できるのである。勿論、シール
漏れではない他の原因により空燃比が増加した場合に
も、燃料漏れの可能性があると判断されて、チェックラ
ンプ60が点灯するので、運転者は、まずは、かかるシ
ール漏れをチェックして、これに異常がなければ、他の
原因をチェックすることになる。 【0052】また、本ポンプでは、ポンプのケース9が
シリンダヘッド2と液密に結合されているので、万一、
第1オイルシール11Aに加えて第2オイルシール11
Bにもシール漏れが生じたときにも、このシール漏れし
た燃料は、確実にシリンダヘッド2内に流れ込み、燃料
が外部に漏れてしまうような不具合が確実に回避される
利点もある。 【0053】また漏出燃料導入路14が流量を規制され
ているので、第1オイルシール11Aがシール漏れした
時にも、ポンプ室内の圧力(即ち、ポンプの吐出圧)が
所定レベルに保持され、漏出を検知する際に、異常に多
量の燃料が燃焼室に流入することはなく、漏出を検知し
てからもエンジンの作動を続行させることができる。し
たがって、自動車に搭載したエンジンにおいては、自動
車の走行に支障なく漏出を検知できる。 【0054】次に、図8,図9を用いて、第2実施例に
ついて説明する。第2実施例としての漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプは、ポンプ本体3の構成及びエン
ジンへの取付状態は第1実施例と同様であり、漏出検知
装置13の漏出燃料導入路(漏出燃料導入手段)14も
第1実施例と同様に構成されるので、説明は省略する。 【0055】この第2実施例では、図8に示すように、
漏出検知装置13を構成する空燃比センサ(空燃比検出
手段)15として、本来のリニアO2 センサが用いられ
ている。また、漏出判定手段16は、この空燃比センサ
15により検出された検出空燃比自体を、エンジン1の
運転状態に応じた基準空燃比と比較して、検出空燃比が
基準空燃比よりも一定以上リッチ側であると、オイルシ
ール11からシール漏れが発生している可能性があると
判定するようになっている。 【0056】このような構成では、燃料漏れの検出は、
例えば図9に示すように、行なうことができる。まず、
空燃比センサ15からの出力を読み取り(ステップB
1)、次いで、空燃比センサ15からの出力が適正であ
るか否かを判断し(ステップB2)、適正であれば、検
出空燃比が所定範囲(基準空燃比の範囲)内よりもリッ
チ側にあるか否かを判断する(ステップB3)。 【0057】検出空燃比が所定範囲内よりもリッチ側に
あれば、チェックランプ60を点灯する(ステップB
4)。一方、検出空燃比が所定範囲内にあれば、勿論チ
ェックランプ60は点灯しない。また、空燃比センサ1
5の出力が適正でない場合も、チェックランプ60は点
灯しないが、この場合には、この旨を通知するためのチ
ェックランプ(漏出を表示するランプ60とは異なるラ
ンプ)を点灯する等の処理を行なう。 【0058】次に、図10を用いて、第3実施例につい
て説明する。第3実施例としての漏出検知装置付き内燃
機関用燃料ポンプは、漏出燃料導入路(漏出燃料導入手
段)14の構成が第1,2実施例とは異なる。つまり、
ポンプ本体3の構成やエンジンへの取付状態は第1,2
実施例と同様であるが、漏出燃料導入路14を構成する
バイパス路19が異なっている。 【0059】つまり、図10に示すように、ここでは、
オイルシール11の第1オイルシール11Aと第2オイ
ルシール11Bとの間からケース9の直径方向へ孔19
Aを穿設し、シリンダヘッド2の壁部にも孔19Bを穿
設して、これらの孔19A,19Bをパイプ19Cで互
いに連通するように接続してバイパス路19を構成して
いる。勿論、孔19A,19Bとパイプ19Cとの接続
部分には、外部に燃料が漏れないようにOリング等のシ
ール部材(図示略)が装備されている。 【0060】このような構成では、上述の第1実施例と
又は第2実施例と同様に燃料の漏出を検知でき、また、
燃料の外部漏れも防止できる効果が得られるほかに、バ
イパス路19を形成するための加工を容易に行なうこと
ができる利点がある。次に、図11,図12を用いて、
第4実施例について説明する。第4実施例としての漏出
検知装置付き内燃機関用燃料ポンプでは、図11,図1
2に示すように、ポンプ軸6が、カムシャフト7に対し
てベルト61とプーリ62,63とを介して接続され、
ポンプケース9はシリンダヘッド2に取り付けられたブ
ラケット64に固定されているオイルシール11は、第
1〜第3実施例と同様に、第1オイルシール11Aと第
2オイルシール11Bとから構成されるが、第2オイル
シール11Bの外側は外部に露出している。 【0061】そして、第3実施例と同様に、第1オイル
シール11Aと第2オイルシール11Bとの間からケー
ス9の直径方向へ孔19Aを、シリンダヘッド2の壁部
にも孔19Bをそれぞれ穿設して、これらの孔19A,
19Bをパイプ19Cで互いに連通し且つ液漏れしない
ように接続してバイパス路19を構成している。このよ
うな構成でも、第1〜第3実施例と同様に、第1オイル
シール11Aからの燃料漏れを検出することができる。 【0062】なお、第1又は第2実施例において、バイ
パス19を省略する構成も考えられる。この場合、第1
オイルシール11Aのみからの燃料漏れは検知できない
が、第1オイルシール11Aと第2オイルシール11B
とか共に漏れを生じた場合には、燃料がエンジン1のシ
リンダヘッド2内へ進入するので、この場合の燃料漏れ
を漏出検知装置13により検知できる。また、このよう
にシール部分から燃料漏れが生じても、燃料が外部に漏
れることはない。 【0063】 【発明の効果】以上詳述したように、請求項1記載の本
発明の漏出検知装置付き内燃機関用燃料ポンプによれ
ば、ポンプ室と、該ポンプ室外の駆動手段に接続されて
該ポンプ室内に装備された燃料圧送部材を回転駆動させ
るポンプ軸と、該ポンプ軸の該ポンプ室の貫通部分に装
備され該ポンプ室内を密封するシール部材とを有するポ
ンプ本体をそなえ、内燃機関に燃料を供給する内燃機関
用燃料ポンプにおいて、該シール部材でのシール漏れを
検知する漏出検知装置をそなえ、該漏出検知装置が、該
シール部材でシール漏れした燃料を該内燃機関の吸気系
に導く漏出燃料導入手段と、該内燃機関の空燃比を検出
する空燃比検出手段と、該空燃比検出手段により検出さ
れた検出空燃比が、該内燃機関の運転状態に応じた基準
空燃比よりもリッチ側であると、該シール部材でのシー
ル漏れが発生している可能性があると判定する漏出判定
手段とから構成されていることにより、シール漏れを確
実に検知することができ、シール漏れに対して速やかに
対処することができる。また、シール部分から燃料漏れ
が生じても、燃料が外部に漏れる不安がない。 【0064】請求項2記載の本発明の漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプによれば、請求項1記載の構成に
おいて、該シール部材が、該ポンプ室内を直接密封する
第1シール部材と、該第1シール部材の外部に該第1シ
ール部材と直列に設けられた第2シール部材とからなる
直列2段式に形成され、該漏出燃料導入手段が、該第1
シール部材と該第2シール部材との間から該内燃機関の
吸気系へ亘って設けられて、該第1シール部材でシール
漏れした燃料を該内燃機関の吸気系に導く漏出燃料導入
路をそなえ、該漏出判定手段が、該検出空燃比が、該基
準空燃比よりもリッチ側であると、該第1シール部材で
シール漏れが発生している可能性があると判定するとい
う構成により、第1シール部材からシール漏れが生じる
と、漏れを確実に検知することができ、シール漏れに対
して速やかに対処することができる。また、第1シール
部材からシール漏れが生じても第2シール部材により、
シール漏れが防止される。 【0065】該漏出燃料導入路が流量を所定レベル以下
に規制されていると、該漏出燃料導入路を通じて吸気系
へ異常に多量の燃料が供給されることがなく、内燃機関
が作動困難になるおそれを回避でき、例えば内燃機関が
自動車に搭載される場合には、自動車の走行に支障なく
燃料の漏出を検知できる。 【0066】該ポンプ軸が、該内燃機関のカムシャフト
と一体回転するように該カムシャフトに直付けされてい
ると、該ポンプ軸の外部への突出部分を該カムシャフト
のケース内におさめることが容易になり、該ポンプ軸の
シール部分から外部への燃料の漏出を防止しやすくな
る。また、該ポンプ軸の駆動系を簡素にできる。 【0067】該漏出燃料導入手段が、シール漏れした燃
料を該内燃機関のシリンダヘッド内に導くと、漏出燃料
を例えばブローバイガスとともに吸気系に導くことがで
き、該漏出燃料導入手段の一部をブローバイガスのたた
めの流路と兼用できる。また、ポンプ軸が、内燃機関の
カムシャフトと一体回転するように該カムシャフトに直
付けした構成のものにおいて本構成を適用すると、該カ
ムシャフトが通常シリンダヘッド内に設けられているこ
とから、該漏出燃料導入手段の設置が容易となる利点も
ある。 【0068】該内燃機関がガソリン式内燃機関である
と、ガソリンは燃料として潤滑性の悪いためシール部材
の疲労が大きくなりやすくなるのに対して、シール漏れ
の検知やシール漏れした燃料の機関内への還流が極めて
有効となり、また、直列2段式のシール部材によるシー
ル漏れの防止も極めて有効となるなど、ガソリン式内燃
機関のための燃料ポンプの実用性が大きく向上する。 【0069】請求項3記載の本発明の漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプによれば、請求項1又は2記載の
構成において、該内燃機関が、燃料を燃焼室内へ直接噴
射する直噴式内燃機関であるという構成により、一般に
高い燃料噴射圧力が要求され燃料ポンプのシール負担の
大きい直噴式内燃機関において、シール漏れの検知やシ
ール漏れした燃料の機関内への還流が極めて有効とな
り、また、直列2段式のシール部材によるシール漏れの
防止も極めて有効となるなど、直噴式内燃機関のための
燃料ポンプの実用性が大きく向上する。 【0070】請求項4記載の本発明の漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプによれば、請求項1〜3のいずれ
かに記載の構成において、該燃料ポンプが燃料タンクか
ら燃焼室に至る燃料供給路に設けられ、該燃料供給路に
おける該燃料ポンプの上流側に、該燃料ポンプへの供給
燃料圧力を高める低圧電動式燃料ポンプが設けられると
いう構成により、本燃料ポンプを高圧燃料ポンプとして
使用できるようになり、高圧燃料ポンプにとって極めて
大きな負担となるシール部分における、シール漏れの検
知やシール漏れした燃料の機関内への還流が極めて有効
となり、また、直列2段式のシール部材によるシール漏
れの防止も極めて有効となるなど、高圧燃料ポンプとし
ての実用性が大きく向上する。
ポンプとして用いて好適の、漏出検知装置付き内燃機関
用燃料ポンプに関する。 【0002】 【従来の技術】内燃機関において、燃料を供給するため
に燃料ポンプが設けられているが、このような燃料ポン
プには、ベーン等を回動させることで燃料を加圧し出力
するものがあり、ベーン等は回転軸(以下、ポンプ軸と
いう)に装備される。このようなポンプ軸には、軸端を
外部に突出させてこの軸端を通じて外部から回転駆動力
を受けるように構成されたものがある。 【0003】例えばかかるポンプ軸を機関のクランクシ
ャフトに連動するように構成したものがある。この場
合、ポンプ軸の一端を外部に突出させてここにスプロケ
ットを設けて、このポンプ軸側のスプロケットとクラン
クシャフト側のスプロケットとをチェーン等で連結して
駆動力を伝達するようにしている。ポンプ軸は、燃料を
加圧するポンプ室の内部から外部に突出するようにポン
プ室の壁部を貫通して設けられるので、ポンプ室の壁部
とポンプ軸との間にはシール部材(一般には、シールリ
ング)が設けられる。 【0004】ところで、高圧出力の燃料ポンプを要求す
る内燃機関があるが、このような高圧出力の燃料ポンプ
では、上述のポンプ室とポンプ軸との間のシール部分
に、大きな負荷が加わるので、シール部材の耐久性が問
題となる。なお、高圧出力の燃料ポンプを要求する内燃
機関としては、いわゆる筒内噴射式内燃機関或いは直接
噴射式内燃機関(直噴式内燃機関)などと称される、燃
料をシリンダ内で噴射する方式の内燃機関がある。この
ような内燃機関として、具体的にはディーゼルエンジン
が広く知られているが、近年、火花点火式エンジン(一
般には、ガソリンエンジンが対応するので、以下、ガソ
リンエンジンという)においても、筒内噴射式のものが
提案されている。 【0005】このような筒内噴射式内燃機関では、機関
の性能向上や排出ガスの低減のために、燃料噴射圧力を
上げて燃料噴霧を微粒化し、燃料噴射期間を短縮化する
傾向にある。また、過給機構をそなえた機関では、過給
時には、過給圧に応じた高い燃料噴射圧力が要求され
る。そこで、筒内噴射式内燃機関における燃料供給装置
は、このように十分に高い(例えば数十気圧程度)燃料
噴射圧力が得られるように構成されるのである。 【0006】このような内燃機関に装備された高圧出力
の燃料ポンプのポンプ室とポンプ軸との間のシール部材
の耐久性を向上させる手段としては、一般に、シールリ
ングを二つ直列に設けた2段シールが考えられる。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
な2段シールによれば、1段目が破損しても2段目でシ
ールすることができシール性を確保することができる
が、2段目のシール部材までも破損してしまうと、この
シール部材から燃料が漏出してしまう。この場合、シー
ル部材から漏出した燃料が機関の外部まで漏出してはい
けないので、シール部材から漏出した燃料が機関の内部
に戻るようにしたい。 【0008】また、この一方で、シール部材から燃料が
漏出していることを認識できなくては、機関の管理を適
切に行なえない。すなわち、シール部材から漏出した燃
料が機関の内部に戻るようにし、且つ、シール部材から
燃料の漏出を確実に検知できるようにしたい。本発明
は、このような課題に鑑み創案されたもので、シール漏
れした燃料が機関の外部までは漏出しないように燃料ポ
ンプを構成しながら、シール部材から燃料の漏出を確実
に検知できるようにした、漏出検知装置付き内燃機関用
燃料ポンプを提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の本発明の漏出検知装置付き内燃機関用燃料ポンプは、
ポンプ室と、該ポンプ室外の駆動手段に接続されて該ポ
ンプ室内に装備された燃料圧送部材を回転駆動させるポ
ンプ軸と、該ポンプ軸の該ポンプ室の貫通部分に装備さ
れ該ポンプ室内を密封するシール部材とを有するポンプ
本体をそなえ、内燃機関に燃料を供給する内燃機関用燃
料ポンプにおいて、該シール部材でのシール漏れを検知
する漏出検知装置をそなえ、該漏出検知装置が、該シー
ル部材でシール漏れした燃料を該内燃機関の吸気系に導
く漏出燃料導入手段と、該内燃機関の空燃比を検出する
空燃比検出手段と、該空燃比検出手段により検出された
検出空燃比が、該内燃機関の運転状態に応じた基準空燃
比よりもリッチ側であると、該シール部材でのシール漏
れが発生している可能性があると判定する漏出判定手段
とから構成されていることを特徴としている。 【0010】請求項2記載の本発明の漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプは、請求項1記載の構成におい
て、該シール部材が、該ポンプ室内を直接密封する第1
シール部材と、該第1シール部材の外部に該第1シール
部材と直列に設けられた第2シール部材とからなる直列
2段式に形成され、該漏出燃料導入手段が、該第1シー
ル部材と該第2シール部材との間から該内燃機関の吸気
系へ亘って設けられて、該第1シール部材でシール漏れ
した燃料を該内燃機関の吸気系に導く漏出燃料導入路を
そなえ、該漏出判定手段が、該検出空燃比が、該基準空
燃比よりもリッチ側であると、該第1シール部材でシー
ル漏れが発生している可能性があると判定することを特
徴としている。 【0011】好ましい実施態様としては、該漏出燃料導
入路が流量を所定レベル以下に規制されるように構成す
る。 好ましい実施態様としては、該ポンプ軸が、該内燃
機関のカムシャフトと一体回転するように該カムシャフ
トに直付けされるように構成する。 【0012】好ましい実施態様としては、該漏出燃料導
入手段が、シール漏れした燃料を該内燃機関のシリンダ
ヘッド内を介して該吸気系に導くように構成する。ま
た、該内燃機関がガソリン式内燃機関であることが好ま
しい。 【0013】請求項3記載の本発明の漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプは、請求項1又は2記載の構成に
おいて、該内燃機関が、燃料を燃焼室内へ直接噴射する
直噴式内燃機関であることを特徴としている。請求項4
記載の本発明の漏出検知装置付き内燃機関用燃料ポンプ
は、請求項1〜3のいずれかに記載の構成において、該
燃料ポンプが燃料タンクから燃焼室に至る燃料供給路に
設けられ、該燃料供給路における該燃料ポンプの上流側
に、該燃料ポンプへの供給燃料圧力を高める低圧電動式
燃料ポンプが設けられていることを特徴としている。 【0014】 【作用】上述の請求項1記載の本発明の漏出検知装置付
き内燃機関用燃料ポンプでは、ポンプ室外の駆動手段に
より駆動されてポンプ軸が回転すると、該ポンプ室内に
装備された燃料圧送部材が回転駆動されて燃料を圧送し
て内燃機関に燃料を供給する。 【0015】該ポンプ軸の該ポンプ室の貫通部分では、
シール部材が該ポンプ室内を密封するが、このシール部
材でシール漏れが生じると、漏出燃料導入手段がこのシ
ール漏れした燃料を該内燃機関の吸気系に導く。この結
果、シール部材でシール漏れした燃料分だけ該内燃機関
の燃焼室に供給される燃料が増加する。このように該内
燃機関の燃焼室に供給される燃料が増加すると、空燃比
検出手段により検出された該内燃機関の検出空燃比は、
該内燃機関の運転状態に応じた基準空燃比よりもリッチ
側となる。漏出検知装置では、漏出判定手段により、こ
のような空燃比検出手段による検出空燃比を基準空燃比
と比較することで、該シール部材でシール漏れが発生し
ている可能性があると判定する。これによりシール漏れ
が生じたらこれを検知することができる(以上、請求項
1)。 【0016】請求項2記載の本発明の漏出検出装置付き
内燃機関用燃料ポンプでは、第1シール部材がポンプ室
内を直接密封し、この第1シール部材からシール漏れが
生じると、該第1シール部材の外部に該第1シール部材
と直列に設けられた第2シール部材がポンプ室側を密封
する。このように第1シール部材からシール漏れが生じ
ると、該第1シール部材と該第2シール部材との間から
該内燃機関の吸気系へ亘って設けられた漏出燃料導入手
段が、該第1シール部材でシール漏れした燃料を該内燃
機関の吸気系に導く。この結果、シール部材でシール漏
れした燃料分だけ該内燃機関の燃焼室に供給される燃料
が増加する。 【0017】このように該内燃機関の燃焼室に供給され
る燃料が増加すると、空燃比検出手段により検出された
該内燃機関の検出空燃比は、該内燃機関の運転状態に応
じた基準空燃比よりもリッチ側となる。漏出検知装置で
は、漏出判定手段により、このような空燃比検出手段に
よる検出空燃比を基準空燃比と比較することで、該第1
シール部材でシール漏れが発生している可能性があると
判定する。これによりシール漏れが生じたらこれを検知
することができる(以上、請求項2)。 【0018】該漏出燃料導入路が流量を所定レベル以下
に規制されるように構成すると、該第1シール部材によ
りシール漏れが生じると、第2シール部材がシール作用
を発揮するようになり、この一方で、該漏出燃料導入路
から該内燃機関の吸気系へ燃料が導かれるが、該漏出燃
料導入路が流量を規制されているので、該漏出燃料導入
路を通じて吸気系へ異常に多量の燃料が供給されること
がなく、内燃機関が作動困難になるおそれを回避しう
る。 【0019】該ポンプ軸が、該内燃機関のカムシャフト
と一体回転するように該カムシャフトに直付けされる
と、該ポンプ軸が、内燃機関のカムシャフトと一体回転
して、ポンプ室内に装備された燃料圧送部材を回転駆動
して燃料を圧送し、内燃機関に燃料を供給する。該漏出
燃料導入手段が、シール漏れした燃料を該内燃機関のシ
リンダヘッド内を介して該吸気系に導くように構成する
と、該漏出燃料導入手段が、シール漏れした燃料を該内
燃機関のシリンダヘッド内を介して該吸気系に導くた
め、シール漏れした燃料をブローバイガスとともに吸気
系へ還流させることができる。 【0020】該内燃機関がガソリン式内燃機関である
と、燃料として潤滑性の悪いガソリンが用いられるの
で、シール部材の疲労が大きくなりやすい。そこで、シ
ール漏れの検知や、シール漏れした燃料の機関内への還
流が極めて有効となり、また、直列2段式のシール部材
によるシール漏れの防止も極めて有効となる。 【0021】請求項3記載の本発明の漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプでは、燃料が燃焼室内へ直接噴射
されるが、このような直噴式内燃機関では、一般に高い
燃料噴射圧力が要求されるので、燃料ポンプでは高圧で
燃料を圧送できるようにする必要がある。このため、シ
ール部材の疲労が大きくなりやすい。そこで、シール漏
れの検知や、シール漏れした燃料の機関内への還流が極
めて有効となり、また、直列2段式のシール部材による
シール漏れの防止も極めて有効となる。 【0022】請求項4記載の本発明の漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプでは、燃料タンク内の燃料は、燃
料供給路を通って燃焼室に至るが、この燃料供給路で
は、まず、上流部分の低圧電動式燃料ポンプにより、燃
料がある程度の圧力まで加圧され、この後に、燃料ポン
プへ流入して、該燃料ポンプにより、燃料がさらに高圧
に加圧される。 【0023】 【実施例】以下、図面により、本発明の実施例について
説明する。まず、図1〜図7を用いて、第1実施例を説
明する。本発明の第1実施例としての漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプは、図2に示すように、内燃機関
(以下、エンジンという)1のシリンダヘッド2上部に
直付けされたポンプ本体3を有している。 【0024】このポンプ本体3は、燃料吸入口4から燃
料を吸入して、図示しないポンプ室内で図示しないベー
ン等の燃料加圧回動体を回動させることで燃料を加圧し
燃料吐出口5から送出するように構成され、燃料加圧回
動体は、回転軸(以下、ポンプ軸という)6に結合され
ている。このポンプ軸6は、図3に示すように、シリン
ダヘッド2内に設けられたカムシャフト7にオルダムジ
ョイント8を介して直結されており、カムシャフトと一
体に回転駆動される。ポンプ軸6は、ポンプ本体3のケ
ース9にベアリング10を介して枢支されており、この
ベアリング10よりもポンプ室側には、ポンプ室側から
加圧された燃料が漏出しないようにポンプ室内を密封す
るオイルシール(シール部材)11が設けられている。 【0025】特に、この実施例では、オイルシール11
は、直列的に配置された第1オイルシール(第1シール
部材)11Aと第2オイルシール(第2シール部材)1
1Bとからなる直列2段式オイルシールになっている。
このうち、第1オイルシール11Aは、ポンプ室内側に
設けられポンプ室内を直接密封し、第2オイルシール1
1Bは、第1オイルシール11Aの外部に直列的に設け
られている。 【0026】また、ポンプ本体3はケース9をシリンダ
ヘッド2上部に形成された取付穴2Aに嵌着されボルト
等により固定されている。ケース9とシリンダヘッド2
との間には、この結合部分から燃料が外部に漏出しない
ように、Oリング12が介装されている。そして、本燃
料ポンプには、オイルシール11からの燃料の漏れを検
知する漏出検知装置13がそなえられている。 【0027】この漏出検知装置13は、図1に示すよう
に、オイルシール11からシール漏れした燃料をエンジ
ン1の吸気系に導く漏出燃料導入路(漏出燃料導入手
段)14と、エンジン1の燃焼室に供給された吸気の空
燃比を検出する空燃比センサ(空燃比検出手段)15
と、この空燃比センサ15により検出された検出空燃比
が、エンジン1の運転状態に応じた基準空燃比よりもリ
ッチ側であると、オイルシール11からシール漏れが発
生している可能性があると判定する漏出判定手段16と
から構成される。 【0028】ここで、漏出検知装置13について、図1
とともに図4を参照してさらに説明すると、エンジン1
のシリンダヘッド2内には、ブローバイガスを吸気通路
17へ導くブローバイガス通路18が設けられている。
そして、オイルシール11の第1オイルシール11Aと
第2オイルシール11Bとの間からシリンダヘッド2内
に亘ってバイパス通路19が設けられている。 【0029】したがって、第1オイルシール11Aにシ
ール漏れが生じると、漏出燃料は、第1オイルシール1
1Aと第2オイルシール11Bとの間からバイパス通路
19を通じてシリンダヘッド2内に流入して、このシリ
ンダヘッド2内からブローバイガス還元通路18を通じ
て吸気通路17へ導入され、さらに、燃焼室20へと導
かれる。漏出燃料導入路14は、このように漏出燃料を
導くバイパス通路19,シリンダヘッド2,ブローバイ
ガス通路18から構成されている。なお、この漏出燃料
導入路14は、第1オイルシール11Aがシール漏れし
た時に、エンジンの作動を困難にするようなほど過剰な
燃料がこの漏出燃料導入路14を通じて吸気系に供給さ
れないように、例えばバイパス通路19を小さな流路径
に形成されるなど流量を規制されている。 【0030】空燃比センサ15はエンジン1の排気通路
21に設けられ、排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素
濃度センサ(通称、リニアO2 センサ)であるが、ここ
では、理論空燃比付近の酸素濃度に関してのみ検出する
酸素濃度センサ(通称、O2センサ)を空燃比センサと
して用いている。この空燃比センサとしてのO2 センサ
15は、例えばエンジンの燃料噴射量を設定するために
設置されているものを利用しており、漏出判定手段16
では、このO2 センサ15での検出結果を直接用いない
で、燃料噴射量の設定の際に行なわれるO2 センサフィ
ードバック補正で用いられる補正係数KAFを基準値(基
準範囲)と比較して、漏出判定手段16によるシール漏
れの判定を行うように構成されている。 【0031】ここで、漏出判定手段16によるシール漏
れの判定の原理を説明する。第1オイルシール11Aに
シール漏れが生じると、漏出燃料は、漏出燃料導入路1
4を通じて吸気通路17へ導入されるので、空燃比がリ
ッチ側へ変化する。リニアO2 センサであればいずれの
空燃比レベルでも空燃比がリッチ側へ変化したことを検
知できるが、ここで用いているO2 センサでは理論空燃
比(ストイキオ)の付近においてのみ空燃比の変化を検
知できる。したがって、ここではストイキオ運転時にお
けるO2 センサ15の検出結果に基づいて空燃比がリッ
チ側へ変化したらシール漏れがあると判定することがで
きる。 【0032】補正係数KAFは空燃比に対応して決まり、
空燃比がリッチ側へ変化すると空燃比をストイキオ状態
へ修正するように補正係数KAFが変化する。もちろん、
エンジンの運転状態が正常であっても、ストイキオ運転
時に空燃比はストイキオ状態からリッチ側やリーン側へ
微小に変化し、その都度補正係数KAFも変化するが、シ
ール漏れが生じた際の空燃比の変化はこのような通常の
変化に比べて大幅に増大し、補正係数KAFの値が通常の
範囲を逸脱するようになる。したがって、空燃比或いは
補正係数KAFに基づいて、シール漏れを判定できるので
ある。 【0033】ただし、逆に、空燃比がこのようにリッチ
側へ変化するのは、他の原因も考えられる。即ち、空燃
比が増加するのは、シール漏れが発生した場合以外に、
例えば燃料噴射弁等の他の燃料噴射系に故障が発生した
場合も考えられる。したがって、空燃比が増加したら、
燃料漏れの可能性があると判断することができる。勿
論、上述のように、燃料漏れがあった場合には、これは
確実に検知される。 【0034】この漏出判定手段16によるシール漏れの
判定の結果は、チェックランプ60の点灯によって行な
うようになっている。つまり、シール漏れが検知されな
ければチェックランプ60は点灯させないが、シール漏
れが発生している可能性があるものと検知された時には
このチェックランプ60は点灯させる。本内燃機関用燃
料ポンプが自動車用のものであれば、このチェックラン
プ60は、他の各種計器類とともにインストルメントパ
ネル等の視認性のよい箇所に設置するのが望ましい。 【0035】ここで、本実施例の燃料ポンプを装備する
エンジンの特徴について説明する。このエンジンは、図
4に示すように、いわゆる筒内噴射式内燃機関或いは直
接噴射式内燃機関などと称される、燃料をシリンダ内で
噴射する方式のエンジンである。また、吸気通路17か
ら燃焼室20内へ進入した吸気が燃焼室20内で矢印2
7のように縦旋回流(タンブル流)を形成するように、
吸気通路17や燃焼室20がその形状及び配置を設定さ
れている。 【0036】燃料噴射弁31は、噴射口が燃焼室20内
に直接臨むように設置されている。当然ながら燃料噴射
弁31は各気筒毎に設けられ、ここに示すエンジンの例
は直列4気筒型であり、図5に示すように、4つの燃料
噴射弁31がそれぞれ燃焼室20内に直接臨むように設
置されている。なお、図4において、25は吸気弁,2
6は排気弁であり、上述のポンプ軸6を結合されるカム
シャフト7は、この例では吸気弁25を駆動するための
ものになっている。また、点火プラグは図示しないが燃
焼室20内に臨むように設置されている。 【0037】このような筒内噴射式内燃機関では、機関
の性能向上や排出ガスの低減のために、燃料噴射圧力を
上げて燃料噴霧を微粒化し、燃料噴射期間を短縮化する
傾向にあり、高い燃料噴射圧力が要求される。また、過
給機構をそなえた機関では、過給時には、過給圧に応じ
た十分に高い燃料噴射圧力が要求される。そこで、この
ような筒内噴射式内燃機関にそなえられた料供給装置
は、このように十分に高い(例えば数十気圧程度)燃料
噴射圧力が得られるように構成される。 【0038】また、このエンジンは、ストイキオ運転モ
ードとリーン運転モードとの2つの運転モードをそなえ
ており、エンジン負荷が小さくエンジン回転速度が低い
領域ではエンジンの出力要求度が低いのでリーン運転モ
ードを選択して燃料消費を節約し、エンジン負荷が大き
いかエンジン回転速度が高い領域ではエンジンの出力要
求度が高いのでストイキオ運転モードを選択して十分な
エンジン出力を得られるように構成している。 【0039】ここで、本エンジンの燃料供給系に関して
図5,6を参照して説明すると、図5,6において、3
1は燃料噴射弁、32は燃料タンク、33は燃料噴射弁
31と燃料タンク32との間に設けられた燃料通路であ
りこの燃料通路の各部分は33A,33B,33C,3
3Dで示しており、34は燃料通路33の燃料タンク3
2側の上流部に設けられた低圧燃料ポンプ(低圧電動式
燃料ポンプ)、35は低圧燃料ポンプと燃料噴射弁1と
の間に設けられた高圧燃料ポンプであり、本内燃機関用
燃料ポンプはこの高圧燃料ポンプとして用いられてい
る。また、36,37は燃料通路の入口部分に設けられ
た燃料フィルタ、38は逆止弁、39は低圧制御手段と
しての低圧制御弁、40は高圧制御手段としての高圧制
御弁、41はデリバリパイプである。そして、この漏出
検知装置付き内燃機関用燃料ポンプ(狭義にいえば燃料
ポンプ本体3)は高圧燃料ポンプ35として設けられて
いる。 【0040】このような構成の燃料供給系では、低圧燃
料ポンプ34である程度加圧された燃料を、高圧燃料ポ
ンプ35(3)でさらに加圧することで、燃料の圧力を
所定圧まで高めている。この際、低圧燃料ポンプ34か
らの吐出圧は低圧制御弁39により所定範囲に安定化さ
れ、さらに、高圧燃料ポンプ35(3)からの吐出圧は
高圧制御弁40により所定範囲に安定化される。 【0041】さらに、このような燃料供給系における燃
料噴射制御について図4を参照して説明する。すなわ
ち、燃料供給量は、燃料噴射制御はECU(電子制御ユ
ニット)内の一機能部分として設けられた噴射量設定手
段50において設定されるが、この噴射量設定手段50
には、噴射モード設定手段51がそなえられ、この噴射
モード設定手段51で、ストイキオ運転モードが選択さ
れるとこれに応じたストイキオ運転燃料噴射モードが選
択され、リーン運転モードが選択されるとこれに応じた
リーン運転燃料噴射モードが選択される。ストイキオ運
転燃料噴射モードが選択されると、噴射量設定手段50
では空燃比がストイキオ状態になるように燃料供給量を
設定し、リーン運転燃料噴射モードが選択されると、噴
射量設定手段50では、予めストイキオ状態よりも適当
に低い空燃比を設定して、この低い空燃比状態になるよ
うに燃料供給量を設定する。 【0042】いずれの場合も、噴射量設定手段50で
は、まず燃料噴射弁31のための基本駆動時間TB を決
定し、この基本駆動時間TB を決定し、この基本駆動時
間TBに補正手段52,53により各種の補正を施し
て、燃料噴射弁31のための最終的な駆動時間TINJ を
決定して、この駆動時間TINJ に対応した燃料噴射弁3
1の駆動信号を出力する。 【0043】この設定のために、噴射量設定手段50に
は、各種センサ54から各検出信号が送られるようにな
っている。基本駆動時間TB はエアフローセンサからの
吸入空気量Q情報とクランク角センサからのエンジン回
転数Ne情報とからエンジン1回転あたりの吸入空気量
Q/Ne情報を求め、この情報に基づき決定する。 【0044】また、エンジン回転数とエンジン負荷(上
記Q/Ne情報はエンジン負荷情報を有する)とに応じ
た空燃比アップ補正を行なう空燃比アップ補正およびO
2 センサフィードバック時に補正係数KAFを設定して補
正を行なうO2 センサフィードバック補正が行われるよ
うになっており、O2 センサフィードバック補正は図示
するようにO2 センサフィードバック補正手段52で行
われる。これらの空燃比アップ補正とO2 センサフィー
ドバック補正とは択一的に選択されるようになってい
る。 【0045】さらに、エンジン冷却水温に応じて補正係
数KWTを設定する冷却水温補正,吸気温に応じて補正係
数KATを設定する吸気温補正,大気圧に応じて補正係数
KAPを設定する大気圧補正,加速増量用の補正係数KAC
を設定する加速増量補正手段43,バッテリ電圧に応じ
て駆動時間を補正するためデッドタイム(無効時間)T
D を設定するデッドタイム補正が行われる。 【0046】基本駆動時間TB に次式のようにしてこれ
らの補正を施すことで、燃料噴射弁31のための駆動時
間TINJ を決定する。 TINJ =TB ×KWT×KAT×KAP×KAC×KAF+TD このように用いられる空燃比に対応した補正係数K
AFは、ストイキオ運転時には、空燃比がリッチ側へ変化
したら空燃比をストイキオ状態へ修正するように変化
し、シール漏れが生じた際には、空燃比及び補正係数K
AFの変化が極めて大きくなり、補正係数KAFの値が通常
の範囲を逸脱するようになるのである。 【0047】上述の構成により、本発明の第1実施例の
漏出検知装置付き内燃機関用燃料ポンプでは、低圧燃料
ポンプ34である程度加圧された燃料を、さらに加圧す
ることで、燃料の圧力を所定圧まで高めて、高圧燃料噴
射に適した燃料圧力を供給する。このような高圧燃料ポ
ンプである本ポンプでは、低圧ポンプに比べてオイルシ
ール11からの燃料漏れのおそれが大きいが、本ポンプ
では、オイルシール11の第1オイルシール11Aと第
2オイルシール11Bとからなる直列2段式に構成され
るので、例え第1オイルシール11Aでシール漏れが生
じても、第2オイルシール11Bでシールが行なわれる
ようになるので、この場合の燃料漏れを回避できる。 【0048】しかも、漏出検知装置13が、第1オイル
シール11Aからのシール漏れを検知して表示するの
で、シール漏れが生じたら運転者は速やかに対処でき
る。漏出検知装置13によるシール漏れの検知は、図7
に示すように行なわれる。つまり、エンジンの運転モー
ドがストイキオ運転モードか否かを判断し(ステップA
1)、ストイキオ運転モードならO2 センサ(空燃比セ
ンサ)15からの出力を読み込む(ステップA2)。 【0049】次に、このO2 センサ15の出力自体が適
正であるか否かを判断し(ステップA3)、適正なら、
O2 センサ15自体の出力に基づいてO2 センサフィー
ドバック時の補正係数KAFを空気濃度情報(空燃比情
報)に対応したものに変更する(ステップA4)。そし
て、この変更された補正係数KAFが所定の範囲内よりも
リッチ側にあるか否かを判断する(ステップA5)。 【0050】補正係数KAFが所定の範囲内よりもリッチ
側にあれば、チェックランプ60を点灯する(ステップ
A6)。一方、補正係数KAFが所定の範囲内にあれば、
勿論チェックランプ60は点灯しない。また、運転モー
ドがストイキオ運転モードでない場合や、O2 センサ1
5の出力が適正でない場合も、チェックランプ60は点
灯しないが、O2 センサ15の出力が適正でない場合に
は、この旨を通知するためのチェックランプ(漏出を表
示するランプ60とは異なるランプ)を点灯する等の処
理を行なう。 【0051】このようにして、漏出検知装置13を通じ
て、第1オイルシール11Aにシール漏れがあれば、運
転者はこれを確実に検知できるのである。勿論、シール
漏れではない他の原因により空燃比が増加した場合に
も、燃料漏れの可能性があると判断されて、チェックラ
ンプ60が点灯するので、運転者は、まずは、かかるシ
ール漏れをチェックして、これに異常がなければ、他の
原因をチェックすることになる。 【0052】また、本ポンプでは、ポンプのケース9が
シリンダヘッド2と液密に結合されているので、万一、
第1オイルシール11Aに加えて第2オイルシール11
Bにもシール漏れが生じたときにも、このシール漏れし
た燃料は、確実にシリンダヘッド2内に流れ込み、燃料
が外部に漏れてしまうような不具合が確実に回避される
利点もある。 【0053】また漏出燃料導入路14が流量を規制され
ているので、第1オイルシール11Aがシール漏れした
時にも、ポンプ室内の圧力(即ち、ポンプの吐出圧)が
所定レベルに保持され、漏出を検知する際に、異常に多
量の燃料が燃焼室に流入することはなく、漏出を検知し
てからもエンジンの作動を続行させることができる。し
たがって、自動車に搭載したエンジンにおいては、自動
車の走行に支障なく漏出を検知できる。 【0054】次に、図8,図9を用いて、第2実施例に
ついて説明する。第2実施例としての漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプは、ポンプ本体3の構成及びエン
ジンへの取付状態は第1実施例と同様であり、漏出検知
装置13の漏出燃料導入路(漏出燃料導入手段)14も
第1実施例と同様に構成されるので、説明は省略する。 【0055】この第2実施例では、図8に示すように、
漏出検知装置13を構成する空燃比センサ(空燃比検出
手段)15として、本来のリニアO2 センサが用いられ
ている。また、漏出判定手段16は、この空燃比センサ
15により検出された検出空燃比自体を、エンジン1の
運転状態に応じた基準空燃比と比較して、検出空燃比が
基準空燃比よりも一定以上リッチ側であると、オイルシ
ール11からシール漏れが発生している可能性があると
判定するようになっている。 【0056】このような構成では、燃料漏れの検出は、
例えば図9に示すように、行なうことができる。まず、
空燃比センサ15からの出力を読み取り(ステップB
1)、次いで、空燃比センサ15からの出力が適正であ
るか否かを判断し(ステップB2)、適正であれば、検
出空燃比が所定範囲(基準空燃比の範囲)内よりもリッ
チ側にあるか否かを判断する(ステップB3)。 【0057】検出空燃比が所定範囲内よりもリッチ側に
あれば、チェックランプ60を点灯する(ステップB
4)。一方、検出空燃比が所定範囲内にあれば、勿論チ
ェックランプ60は点灯しない。また、空燃比センサ1
5の出力が適正でない場合も、チェックランプ60は点
灯しないが、この場合には、この旨を通知するためのチ
ェックランプ(漏出を表示するランプ60とは異なるラ
ンプ)を点灯する等の処理を行なう。 【0058】次に、図10を用いて、第3実施例につい
て説明する。第3実施例としての漏出検知装置付き内燃
機関用燃料ポンプは、漏出燃料導入路(漏出燃料導入手
段)14の構成が第1,2実施例とは異なる。つまり、
ポンプ本体3の構成やエンジンへの取付状態は第1,2
実施例と同様であるが、漏出燃料導入路14を構成する
バイパス路19が異なっている。 【0059】つまり、図10に示すように、ここでは、
オイルシール11の第1オイルシール11Aと第2オイ
ルシール11Bとの間からケース9の直径方向へ孔19
Aを穿設し、シリンダヘッド2の壁部にも孔19Bを穿
設して、これらの孔19A,19Bをパイプ19Cで互
いに連通するように接続してバイパス路19を構成して
いる。勿論、孔19A,19Bとパイプ19Cとの接続
部分には、外部に燃料が漏れないようにOリング等のシ
ール部材(図示略)が装備されている。 【0060】このような構成では、上述の第1実施例と
又は第2実施例と同様に燃料の漏出を検知でき、また、
燃料の外部漏れも防止できる効果が得られるほかに、バ
イパス路19を形成するための加工を容易に行なうこと
ができる利点がある。次に、図11,図12を用いて、
第4実施例について説明する。第4実施例としての漏出
検知装置付き内燃機関用燃料ポンプでは、図11,図1
2に示すように、ポンプ軸6が、カムシャフト7に対し
てベルト61とプーリ62,63とを介して接続され、
ポンプケース9はシリンダヘッド2に取り付けられたブ
ラケット64に固定されているオイルシール11は、第
1〜第3実施例と同様に、第1オイルシール11Aと第
2オイルシール11Bとから構成されるが、第2オイル
シール11Bの外側は外部に露出している。 【0061】そして、第3実施例と同様に、第1オイル
シール11Aと第2オイルシール11Bとの間からケー
ス9の直径方向へ孔19Aを、シリンダヘッド2の壁部
にも孔19Bをそれぞれ穿設して、これらの孔19A,
19Bをパイプ19Cで互いに連通し且つ液漏れしない
ように接続してバイパス路19を構成している。このよ
うな構成でも、第1〜第3実施例と同様に、第1オイル
シール11Aからの燃料漏れを検出することができる。 【0062】なお、第1又は第2実施例において、バイ
パス19を省略する構成も考えられる。この場合、第1
オイルシール11Aのみからの燃料漏れは検知できない
が、第1オイルシール11Aと第2オイルシール11B
とか共に漏れを生じた場合には、燃料がエンジン1のシ
リンダヘッド2内へ進入するので、この場合の燃料漏れ
を漏出検知装置13により検知できる。また、このよう
にシール部分から燃料漏れが生じても、燃料が外部に漏
れることはない。 【0063】 【発明の効果】以上詳述したように、請求項1記載の本
発明の漏出検知装置付き内燃機関用燃料ポンプによれ
ば、ポンプ室と、該ポンプ室外の駆動手段に接続されて
該ポンプ室内に装備された燃料圧送部材を回転駆動させ
るポンプ軸と、該ポンプ軸の該ポンプ室の貫通部分に装
備され該ポンプ室内を密封するシール部材とを有するポ
ンプ本体をそなえ、内燃機関に燃料を供給する内燃機関
用燃料ポンプにおいて、該シール部材でのシール漏れを
検知する漏出検知装置をそなえ、該漏出検知装置が、該
シール部材でシール漏れした燃料を該内燃機関の吸気系
に導く漏出燃料導入手段と、該内燃機関の空燃比を検出
する空燃比検出手段と、該空燃比検出手段により検出さ
れた検出空燃比が、該内燃機関の運転状態に応じた基準
空燃比よりもリッチ側であると、該シール部材でのシー
ル漏れが発生している可能性があると判定する漏出判定
手段とから構成されていることにより、シール漏れを確
実に検知することができ、シール漏れに対して速やかに
対処することができる。また、シール部分から燃料漏れ
が生じても、燃料が外部に漏れる不安がない。 【0064】請求項2記載の本発明の漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプによれば、請求項1記載の構成に
おいて、該シール部材が、該ポンプ室内を直接密封する
第1シール部材と、該第1シール部材の外部に該第1シ
ール部材と直列に設けられた第2シール部材とからなる
直列2段式に形成され、該漏出燃料導入手段が、該第1
シール部材と該第2シール部材との間から該内燃機関の
吸気系へ亘って設けられて、該第1シール部材でシール
漏れした燃料を該内燃機関の吸気系に導く漏出燃料導入
路をそなえ、該漏出判定手段が、該検出空燃比が、該基
準空燃比よりもリッチ側であると、該第1シール部材で
シール漏れが発生している可能性があると判定するとい
う構成により、第1シール部材からシール漏れが生じる
と、漏れを確実に検知することができ、シール漏れに対
して速やかに対処することができる。また、第1シール
部材からシール漏れが生じても第2シール部材により、
シール漏れが防止される。 【0065】該漏出燃料導入路が流量を所定レベル以下
に規制されていると、該漏出燃料導入路を通じて吸気系
へ異常に多量の燃料が供給されることがなく、内燃機関
が作動困難になるおそれを回避でき、例えば内燃機関が
自動車に搭載される場合には、自動車の走行に支障なく
燃料の漏出を検知できる。 【0066】該ポンプ軸が、該内燃機関のカムシャフト
と一体回転するように該カムシャフトに直付けされてい
ると、該ポンプ軸の外部への突出部分を該カムシャフト
のケース内におさめることが容易になり、該ポンプ軸の
シール部分から外部への燃料の漏出を防止しやすくな
る。また、該ポンプ軸の駆動系を簡素にできる。 【0067】該漏出燃料導入手段が、シール漏れした燃
料を該内燃機関のシリンダヘッド内に導くと、漏出燃料
を例えばブローバイガスとともに吸気系に導くことがで
き、該漏出燃料導入手段の一部をブローバイガスのたた
めの流路と兼用できる。また、ポンプ軸が、内燃機関の
カムシャフトと一体回転するように該カムシャフトに直
付けした構成のものにおいて本構成を適用すると、該カ
ムシャフトが通常シリンダヘッド内に設けられているこ
とから、該漏出燃料導入手段の設置が容易となる利点も
ある。 【0068】該内燃機関がガソリン式内燃機関である
と、ガソリンは燃料として潤滑性の悪いためシール部材
の疲労が大きくなりやすくなるのに対して、シール漏れ
の検知やシール漏れした燃料の機関内への還流が極めて
有効となり、また、直列2段式のシール部材によるシー
ル漏れの防止も極めて有効となるなど、ガソリン式内燃
機関のための燃料ポンプの実用性が大きく向上する。 【0069】請求項3記載の本発明の漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプによれば、請求項1又は2記載の
構成において、該内燃機関が、燃料を燃焼室内へ直接噴
射する直噴式内燃機関であるという構成により、一般に
高い燃料噴射圧力が要求され燃料ポンプのシール負担の
大きい直噴式内燃機関において、シール漏れの検知やシ
ール漏れした燃料の機関内への還流が極めて有効とな
り、また、直列2段式のシール部材によるシール漏れの
防止も極めて有効となるなど、直噴式内燃機関のための
燃料ポンプの実用性が大きく向上する。 【0070】請求項4記載の本発明の漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプによれば、請求項1〜3のいずれ
かに記載の構成において、該燃料ポンプが燃料タンクか
ら燃焼室に至る燃料供給路に設けられ、該燃料供給路に
おける該燃料ポンプの上流側に、該燃料ポンプへの供給
燃料圧力を高める低圧電動式燃料ポンプが設けられると
いう構成により、本燃料ポンプを高圧燃料ポンプとして
使用できるようになり、高圧燃料ポンプにとって極めて
大きな負担となるシール部分における、シール漏れの検
知やシール漏れした燃料の機関内への還流が極めて有効
となり、また、直列2段式のシール部材によるシール漏
れの防止も極めて有効となるなど、高圧燃料ポンプとし
ての実用性が大きく向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例としての漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプを示す模式的な構成図である。 【図2】本発明の第1実施例としての漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプのポンプ本体の取付状態を示す内
燃機関の上面図である。 【図3】本発明の第1実施例としての漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプのポンプ本体の取付状態を示す拡
大断面図であって、図2のA部に相当する部分を示す。 【図4】本発明の第1実施例としての漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプをそなえた内燃機関の要部構成を
機関の断面を用いて示す図である。 【図5】本発明の第1実施例としての漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプをそなえた内燃機関の燃料供給系
を内燃機関の要部側面(図4のB方向矢視面)を用いな
がら模式的に示す図である。 【図6】本発明の第1実施例としての漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプをそなえた内燃機関の燃料供給系
の模式的に示す構成図である。 【図7】本発明の第1実施例としての漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプの異常検出動作を示すフローチャ
ートである。 【図8】本発明の第2実施例としての漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプの要部を示す模式的な構成図であ
る。 【図9】本発明の第2実施例としての漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプの異常検出動作を示すフローチャ
ートである。 【図10】本発明の第3実施例としての漏出検知装置付
き内燃機関用燃料ポンプの要部を示す模式的な構成図で
ある。 【図11】本発明の第4実施例としての漏出検知装置付
き内燃機関用燃料ポンプのポンプ本体の取付状態を示す
内燃機関の上面図である。 【図12】本発明の第4実施例としての漏出検知装置付
き内燃機関用燃料ポンプの要部を示す模式的な構成図で
ある。 【符号の説明】 1 内燃機関(エンジン) 2 シリンダヘッド 2A 取付穴 3 ポンプ本体 4 燃料吸入口 5 燃料吐出口 6 回転軸(ポンプ軸) 7 カムシャフト 8 オルダムジョイント 9 ポンプ本体3のケース 10 ベアリング 11 オイルシール(シール部材) 11A 第1オイルシール(第1シール部材) 11B 第2オイルシール(第2シール部材) 12 Oリング 13 漏出検知装置 14 漏出燃料導入路(漏出燃料導入手段) 15 空燃比センサ(空燃比検出手段) 16 漏出判定手段 17 吸気通路 17A 吸気ポート部分 18 ブローバイガス通路 19 バイパス通路 19A,19B 孔 19C パイプ 20 燃焼室 21 排気通路 22 ピストン 23 彎曲部 24 案内面 25 吸気弁 26 排気弁 27 タンブル流 28 スキッシュフロー 31 燃料噴射弁 32 燃料タンク 33 燃料通路 34 低圧燃料ポンプ(低圧電動式燃料ポンプ) 35 高圧燃料ポンプ(漏出検知装置付き内燃機関用燃
料ポンプ) 36,37 燃料フィルタ 38 逆止弁 39 低圧制御手段としての低圧制御弁 40 高圧制御手段としての高圧制御弁 41 デリバリパイプ 50 噴射量設定手段 51 噴射モード設定手段 52 O2 センサフィードバック補正手段 53 その他の補正手段 54 各種センサ 60 チェックランプ 61 ベルト 62,63 プーリ 64 ブラケット
内燃機関用燃料ポンプを示す模式的な構成図である。 【図2】本発明の第1実施例としての漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプのポンプ本体の取付状態を示す内
燃機関の上面図である。 【図3】本発明の第1実施例としての漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプのポンプ本体の取付状態を示す拡
大断面図であって、図2のA部に相当する部分を示す。 【図4】本発明の第1実施例としての漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプをそなえた内燃機関の要部構成を
機関の断面を用いて示す図である。 【図5】本発明の第1実施例としての漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプをそなえた内燃機関の燃料供給系
を内燃機関の要部側面(図4のB方向矢視面)を用いな
がら模式的に示す図である。 【図6】本発明の第1実施例としての漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプをそなえた内燃機関の燃料供給系
の模式的に示す構成図である。 【図7】本発明の第1実施例としての漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプの異常検出動作を示すフローチャ
ートである。 【図8】本発明の第2実施例としての漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプの要部を示す模式的な構成図であ
る。 【図9】本発明の第2実施例としての漏出検知装置付き
内燃機関用燃料ポンプの異常検出動作を示すフローチャ
ートである。 【図10】本発明の第3実施例としての漏出検知装置付
き内燃機関用燃料ポンプの要部を示す模式的な構成図で
ある。 【図11】本発明の第4実施例としての漏出検知装置付
き内燃機関用燃料ポンプのポンプ本体の取付状態を示す
内燃機関の上面図である。 【図12】本発明の第4実施例としての漏出検知装置付
き内燃機関用燃料ポンプの要部を示す模式的な構成図で
ある。 【符号の説明】 1 内燃機関(エンジン) 2 シリンダヘッド 2A 取付穴 3 ポンプ本体 4 燃料吸入口 5 燃料吐出口 6 回転軸(ポンプ軸) 7 カムシャフト 8 オルダムジョイント 9 ポンプ本体3のケース 10 ベアリング 11 オイルシール(シール部材) 11A 第1オイルシール(第1シール部材) 11B 第2オイルシール(第2シール部材) 12 Oリング 13 漏出検知装置 14 漏出燃料導入路(漏出燃料導入手段) 15 空燃比センサ(空燃比検出手段) 16 漏出判定手段 17 吸気通路 17A 吸気ポート部分 18 ブローバイガス通路 19 バイパス通路 19A,19B 孔 19C パイプ 20 燃焼室 21 排気通路 22 ピストン 23 彎曲部 24 案内面 25 吸気弁 26 排気弁 27 タンブル流 28 スキッシュフロー 31 燃料噴射弁 32 燃料タンク 33 燃料通路 34 低圧燃料ポンプ(低圧電動式燃料ポンプ) 35 高圧燃料ポンプ(漏出検知装置付き内燃機関用燃
料ポンプ) 36,37 燃料フィルタ 38 逆止弁 39 低圧制御手段としての低圧制御弁 40 高圧制御手段としての高圧制御弁 41 デリバリパイプ 50 噴射量設定手段 51 噴射モード設定手段 52 O2 センサフィードバック補正手段 53 その他の補正手段 54 各種センサ 60 チェックランプ 61 ベルト 62,63 プーリ 64 ブラケット
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 吉田 正人
東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動
車工業株式会社内
(72)発明者 畑中 秀夫
京都市右京区太秦巽町1番地 三菱自動
車エンジニアリング株式会社 京都事業
所内
(72)発明者 村岡 朋之
京都市右京区太秦巽町1番地 三菱自動
車エンジニアリング株式会社 京都事業
所内
(56)参考文献 特開 昭47−35619(JP,A)
実開 昭63−42847(JP,U)
実開 昭63−50646(JP,U)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
F02M 59/44
F02D 41/14 310
F02M 69/46
F02M 65/00 305
F02M 63/00
F02M 37/00
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ポンプ室と、該ポンプ室外の駆動手段に
接続されて該ポンプ室内に装備された燃料圧送部材を回
転駆動させるポンプ軸と、該ポンプ軸の該ポンプ室の貫
通部分に装備され該ポンプ室内を密封するシール部材と
を有するポンプ本体をそなえ、内燃機関に燃料を供給す
る内燃機関用燃料ポンプにおいて、 該シール部材でのシール漏れを検知する漏出検知装置を
そなえ、 該漏出検知装置が、 該シール部材でシール漏れした燃料を該内燃機関の吸気
系に導く漏出燃料導入手段と、 該内燃機関の空燃比を検出する空燃比検出手段と、 該空燃比検出手段により検出された検出空燃比が、該内
燃機関の運転状態に応じた基準空燃比よりもリッチ側で
あると、該シール部材でのシール漏れが発生している可
能性があると判定する漏出判定手段とから構成されてい
ることを特徴とする、漏出検知装置付き内燃機関用燃料
ポンプ。 【請求項2】 該シール部材が、該ポンプ室内を直接密
封する第1シール部材と、該第1シール部材の外部に該
第1シール部材と直列に設けられた第2シール部材とか
らなる直列2段式に形成され、 該漏出燃料導入手段が、該第1シール部材と該第2シー
ル部材との間から該内燃機関の吸気系へ亘って設けられ
て、該第1シール部材でシール漏れした燃料を該内燃機
関の吸気系に導く漏出燃料導入路をそなえ、 該漏出判定手段が、該検出空燃比が、該基準空燃比より
もリッチ側であると、該第1シール部材でシール漏れが
発生している可能性があると判定することを特徴とす
る、請求項1記載の漏出検知装置付き内燃機関用燃料ポ
ンプ。 【 請求項3】 該内燃機関が、燃料を燃焼室内へ直接噴
射する直噴式内燃機関であることを特徴とする、請求項
1又は2記載の漏出検知装置付き内燃機関用燃料ポン
プ。 【請求項4】 該燃料ポンプが燃料タンクから燃焼室に
至る燃料供給路に設けられ、該燃料供給路における該燃
料ポンプの上流側に、該燃料ポンプへの供給燃料圧力を
高める低圧電動式燃料ポンプが設けられていることを特
徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の漏出検知装
置付き内燃機関用燃料ポンプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6180234A JP3016338B2 (ja) | 1994-08-01 | 1994-08-01 | 漏出検知装置付き内燃機関用燃料ポンプ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6180234A JP3016338B2 (ja) | 1994-08-01 | 1994-08-01 | 漏出検知装置付き内燃機関用燃料ポンプ |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28198399A Division JP3424621B2 (ja) | 1999-10-01 | 1999-10-01 | 筒内噴射型内燃機関用燃料噴射装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0842430A JPH0842430A (ja) | 1996-02-13 |
JP3016338B2 true JP3016338B2 (ja) | 2000-03-06 |
Family
ID=16079724
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6180234A Expired - Fee Related JP3016338B2 (ja) | 1994-08-01 | 1994-08-01 | 漏出検知装置付き内燃機関用燃料ポンプ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3016338B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE19627757A1 (de) * | 1996-07-10 | 1998-01-15 | Bosch Gmbh Robert | Kraftstoffpumpe |
-
1994
- 1994-08-01 JP JP6180234A patent/JP3016338B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0842430A (ja) | 1996-02-13 |
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