JP3015412B2 - 陰極線管 - Google Patents

陰極線管

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JP3015412B2 JP2162418A JP16241890A JP3015412B2 JP 3015412 B2 JP3015412 B2 JP 3015412B2 JP 2162418 A JP2162418 A JP 2162418A JP 16241890 A JP16241890 A JP 16241890A JP 3015412 B2 JP3015412 B2 JP 3015412B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) この発明は、カラー受像管などの陰極線管に係り、特
にターゲット上の電子ビームのスポット径を小さくする
ことにより画像品位を向上させる陰極線管に関する。
(従来の技術) 一般にカラー受像管は、パネルおよびこのパネルに一
体に接合されたファンネルからなる外囲器を有し、その
パネル内側に装着されたシャドウマスクに対向して、パ
ネル内面に青、緑、赤に発光する3色蛍光体層からなる
蛍光体スクリーン(ターゲット)が形成され、ファンネ
ルのネック内に配設された電子銃から放出される電子ビ
ームをファンネルの外側に装着された偏向ヨークの発生
する水平、垂直偏向磁界により偏向し、シャドウマスク
を介して上記蛍光体スクリーンを水平、垂直走査するこ
とにより、この蛍光体スクリーン上にカラー画像を表示
する構造に形成されている。
特にこのようなカラー受像管において、蛍光体スクリ
ーンの3色蛍光体層を垂直方向に長いストライプ状とす
るとともに、電子銃を同一水平面上を通るセンタービー
ムおよび一対のサイドビームからなる一列配置の3電子
ビームを放出するインライン型電子銃としたものがあ
る。
その電子銃の一例を第8図に示す。この電子銃(1)
は、同一水平面上に一列配置された3個のカソード(1
K)(図面には1個のみ図示)と、このカソード(1K)
上に順次隣接して配置された第1乃至第6グリッド(G
1)〜(G6)とを有し、そのカソード(1K)とこれに順
次隣接する第1および第2グリッド(G1),(G2)とに
より、カソード(1K)からの電子放射を制御しかつ放射
された電子を加速して電子ビーム(2)を形成する電子
ビーム形成部(GE)が形成され、この電子ビーム形成部
(GE)から放出される電子ビーム(2)(3電子ビー
ム)を第3乃至第6グリッド(G3)〜(G6)からなる主
電子レンズ部(ML)により加速しかつ最終的に蛍光体ス
クリーン(3)に集束、集中する構造に形成されてい
る。
このような電子銃(1)を有するカラー受像管におい
て、蛍光体スクリーン(3)上に描かれる画像品位を良
好にするためには、電子銃(1)から放出される電子ビ
ームの蛍光体スクリーン(3)上のビームスポット(S
P)径を小さくすることが必要である。
この蛍光体スクリーン上のビームスポット径を小さく
する一手段として、プリフォーカスレンズにより生ずる
物点、つまり仮想クロスオーバを小さくする方法があ
る。
すなわち、上記第8図の電子銃(1)では、カソード
(1K)から放射される電子は、第1および第2グリッド
(G1),(G2)によりカソード近傍に形成されるカソー
ドレンズ(KL)により、第2グリッド(G2)近傍におい
て、電子銃(1)の中心軸(Z軸)と交差してクロスオ
ーバ(CO)を形成する。その後発散しながら進み、第2
および第3グリッド(G2),(G3)により形成されるプ
リフォーカスレンズ(PL)により予備集束されて第3グ
リッド(G3)に入射する。このプリフォーカスレンズ
(PL)により予備集束される電子ビーム(2)は、カソ
ード(1K)方向に破線で延長して示すように中心軸と交
差し、クロスオーバ(CO)よりカソード(K)側に物点
としての仮想クロスオーバ(VCO)を形成する。さら
に、第3グリッド(G3)に入射した電子ビーム(2)
は、この第3グリッド(G3)から第6グリッド(G6)ま
での間に形成される主電子レンズ部(ML)を構成する主
電子レンズ(LEN)により最終的に蛍光体スクリーン
(3)上に集束される。
したがって、上記蛍光体スクリーン(3)上に得られ
るビームスポット(SP)は、物点としての仮想クロスオ
ーバ(VCO)像を主電子レンズ(LEN)により蛍光体スク
リーン(3)上に像点として結像させたものとみなすこ
とができる。このことから、プリフォーカスレンズ(P
L)により形成される物点が小さいものほど、蛍光体ス
クリーン(3)上のビームスポット(SP)径は小さくな
り、画像品位を向上させることができる。
しかしながら、蛍光体スクリーン(3)上のビームス
ポット(SP)径を劣化させる要因として、ブルーミング
現象がある。すなわち、ビーム電流値が小さい低電流域
で最適に集束される電子ビーム(2)は、ビーム電流値
が大きい高電流域では、最適集束からずれてビームスポ
ット(SP)が径大となる。
このブルーミング現象をカソードの動作領域の変化と
いう観点から説明すると、第9図(a)に示すように、
カットオフ状態は、接地されている第1グリッド(G1)
の電位Ec1に対して、カソード電位EKを適当な高電位に
設定することにより、カソード電位よりもわずかに高い
等電位線(6)が、第1グリッド(G1)の開孔(5)を
通ってカソード(1K)側に浸透し、第1グリッド(G1)
と対向する酸化バリウム(BaO)などからなるカソード
(1K)の電子放射層(7)に達する寸前の状態となり、
電子放射層(7)から電子が放射されても、その電子
は、第1グリッド(G1)の開孔(5)を通過することは
なく、したがって、電子ビームは発生しない。また、同
(b)に示すように、このときは、電子放射層(7)に
動作領域は形成されない。
この状態からカソード電位EKを下げていくと、第10
図(a)および(b)に示すように、等電位線(6)
は、第1グリッド(G1)の開孔(5)からさらにカソー
ド(1K)側に浸透して、電子放射層(7)の中央部に達
し、動作領域(8L)が形成される。この動作領域(8L)
から放射される電子は、カソードレンズにより集束され
て電子ビーム(2)となり、第2グリッド(G2)近傍に
(COL)として示すクロスオーバを形成する。その後、
この電子ビーム(2)は、第2グリッド(G2)の開孔
(9)を通過し、第2および第3グリッド(G2),(G
3)により形成されるプリフォーカスレンズにより発散
が抑制されて第3グリッド(G3)に入射するとともに、
クロスオーバ(COL)よりもカソード(1K)側に(VCO
L)として示す仮想クロスオーバを形成する。
この場合は、ビーム電流値の小さい低電流域をなし、
電子放射層(7)の動作領域(8L)は中央部のみである
ため、この動作領域(8L)からの電子ビーム(2)の軌
道は、動作領域(8L)の中央部と周辺部とで大きく相違
することはない。そのため、仮想クロスオーバ(VCOL)
を小さく抑えることができ、蛍光体スクリーン上のビー
ムスポットを径小にすることができる。
この状態からさらにカソード電位EKを下げていく
と、第11図(a)および(b)に示すように、等電位線
(6)は、第1グリッド(G1)の開孔(5)からさらに
大きくカソード(1K)側に浸透して、電子放射層(7)
の周辺部まで達し、上記動作領域(8L)よりも広い動作
領域(8H)が形成される。この動作領域(8H)から放射
される電子も、カソードレンズにより集束されて電子ビ
ーム(2)となり、第2グリッド(G2)近傍に(COH)
として示すクロスオーバを形成する。その後、電子ビー
ム(2)は、第2グリッド(G2)の開孔(9)を通過
し、第2および第3グリッド(G2),(G3)により形成
されるプリフォーカスレンズにより発散が抑制されて第
3グリッド(G3)に入射するとともに、クロスオーバ
(COH)よりもカソード(K)側に(VCOH)として示す
仮想クロスオーバを形成する。
この場合は、ビーム電流値の大きい高電流域をなし、
電子放射層(7)の動作領域(8H)の中央部から放射さ
れる電子ビーム(2)の軌道と、動作領域(8H)の周辺
部から放射される電子ビーム(2)の軌道とは大きく相
違し、周辺部から放射される電子ビーム(2)は、カソ
ードレンズにより強い収差を受ける。そのため、クロス
オーバ(COH)および仮想クロスオーバ(VCOH)が大き
くなり、かつ主電子レンズ部(ML)で収差を受けやすく
なる。そのため、蛍光体スクリーン上のビームスポット
は径大となり、ブルーミングをおこす。
このようなブルーミング現象を抑制する手段として、
特開昭57−30247号公報には、高電流域における外側電
子ビーム(動作領域の周辺部から放射される電子ビー
ム)のみを少し強く集束して、主電子レンズの手前で電
子ビーム軸と交差させることにより、主電子レンズ部で
の電子ビームの広がりを小さくして、収差を受けにくく
する手段が示されている。また、特開昭57−44944号公
報には、上記手段において、低電流域と高電流域とでフ
ォーカス電圧を変化させるいわゆるダイナミック補正手
段が示されている。
しかしながら、上記特開昭57−30247号公報のように
外側電子ビームのみを主電子レンズの手前で電子ビーム
軸と交差させることは、第1グリッドと主電子レンズと
の間に他の電子レンズが存在するため、高電流域で外側
電子ビームのみを集束することはできず、中央部からの
電子ビームも集束作用を受け、物点(仮想クロスオー
バ)はかえって大きくなる。また、低電流域でも同様に
物点は大きくなる。したがって、この手段により蛍光体
スクリーン上のビームスポットを径小にすることは困難
である。
また、特開昭57−44944号公報のようにダイナミック
補正手段を用いる場合は、高周波、高電圧を取扱うた
め、その調整回路が高価となり、経済性に劣る。さら
に、高電流域では、物点が大きくなっているため、ダイ
ナミック補正手段により調整しても、その効果はあまり
期待できない。
(発明が解決しようとする課題) 上記のように、陰極線管の画面品位を向上させるため
には、プリフォーカスレンズにより形成される物点を小
さくして、ビームスポット形を小さくすることが有効で
ある。しかし、従来の手段では、高電流域におけるブル
ーミング現象を十分に抑制することができず、ビームス
ポットが径大となって、高電流域における画像品位を向
上させるのが困難であった。
したがって、陰極線管の画面品位を向上させるために
は、電子ビーム形成部により形成される物点を低電流域
ばかりでなく、高電流域においても小さく抑えるととも
に、物点からの電子ビームの広がりを小さく抑えて、高
電流域におけるブルーミング現象を抑制することが必要
である。
この発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであ
り、低電流域ばかりでなく、高電流域においても物点を
小さく抑え、かつ物点からの電子ビームの広がりを小さ
く抑えて、高電流域におけるブルーミング現象を充分に
抑制しうる陰極線管を構成することを目的とする。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 電子ビーム形成部と主電子レンズ部とを有する電子銃
を備える陰極線管において、その電子ビーム形成部を構
成するカソードの第1グリッドと対向する面に、その第
1グリッドの電子ビーム通過孔と同軸にほぼ円形の凹部
を形成し、その凹部内面にのみ電子放射層を設けた。
(作用) 上記のように、カソードの第1グリッドと対向する面
に第1グリッドの電子ビーム通過孔と同軸にほぼ円形の
凹部を形成し、その凹部内面にのみ電子放射層を設ける
と、低電流域における電子は、凹部内の第1グリッドに
近い浅い部分に形成される動作領域から放射される。ま
た高電流域における電子は、その低電流域における動作
領域および凹部内のそれよりも深い部分に形成される動
作領域から放射される。しかし、この凹部内の深い部分
から放射される電子は、凹部開口によって規制されるた
め、低電流域における電子ビームの軌道と高電流域にお
ける電子ビームの軌道との差を小さくすることができ
る。したがって、低電流域において、微小の仮想クロス
オーバが形成されるように電子銃を設計すれば、高電流
域においても、仮想クロスオーバ径を小さくすることが
でき、また、低電流域におけるクロスオーバ形成後の電
子ビームの広がりと高電流域におけるクロスオーバ形成
後の電子ビームの広がりとの差が減少し、高電流域にお
ける主電子レンズによる収差の影響を軽減することがで
きる。その結果、高電流域におけるブルーミング現象を
抑制し、低電流域から高電流域にかけて、ターゲット上
のビームスポット径を小さくすることができる。
(実施例) 以下、図面を参照してこの発明を実施例に基づいて説
明する。
第1図にその一実施例であるカラー受像管を示す。こ
のカラー受像管は、パネル(10)およびこのパネル(1
0)に一体に接合されたファンネル(11)からなる外囲
器を有し、そのパネル(10)内面に、青、緑、赤に発光
する3色蛍光体層からなる蛍光体スクリーン(3)が形
成され、この蛍光体スクリーン(3)に対向して、その
内側に多数の電子ビーム通過孔の形成されたシャドウマ
スク(13)が装着されている。また、ファンネル(11)
のネック(14)内に、同一水平面上を通るセンタービー
ム(15G)および一対のサイドビーム(15B),(15R)
からなる一列配置の3電子ビーム(15B),(15G),
(15R)を放出する下記電子銃(16)が配設されてい
る。そして、この電子銃(16)から放出される3電子ビ
ーム(15B),(15G),(15R)をファンネル(11)の
ネック(14)とコーン部(17)との境界部外側に装着さ
れた偏向ヨーク(18)の発生する水平、垂直偏向磁界に
より偏向し、シャドウマスク(13)を介して上記蛍光体
スクリーン(3)を水平、垂直走査することにより、こ
の蛍光体スクリーン(3)上にカラー画像を表示する構
造に形成されている。
なお、第1図において、(20)はファンネル(11)の
コーン部(17)内面およびネック(14)のコーン部(1
7)との隣接部内面に塗布形成された内部導電膜、(2
1)はファンネル(11)のコーン部(17)外面に塗布形
成された外部導電膜、(22)はパネル(10)内側にシャ
ドウマスク(13)を支持するマスク支持手段、(23)は
シャドウマスク(13)およびマスク支持手段(22)を介
して蛍光体スクリーン(12)を内部導電膜(20)に導電
接続するP−Fコネクタである。
上記電子銃(16)は、第2図に示すように、水平方向
に一列配置された3個のカソード(25K)と、このカソ
ード(25K)上に順次隣接して配置された第1乃至第6
グリッド(G1)〜(G6)とを有する。特にこの電子銃
(16)のカソード(25K)は、第1グリッド(G1)と対
向する面に、第1グリッド(G1)側に開口をもつ円筒状
の凹部(26)が第1グリッド(G1)の開孔(5)に対応
して形成され、この凹部(26)内にのみ酸化バリウムな
どからなる電子放射層(27)が設けられ、この凹部(2
6)以外の第1グリッド(G1)と対向する面(28)は、
基体金属が露出している構造に形成されている。
このようなカソード(25K)は、つぎのような方法で
製造することができる。すなわち、たとえば0.10重量%
のマグネシウムと0.03重量%のケイ素を含むニッケル合
金の厚さ150μmの圧延板からプレスにより直径1.3mmの
円板を打抜き、この円板の中心部に直径0.4mm、深さ0.8
mmの凹部を設ける。また、厚さ1mmの圧延ニッケル合金
板から直径1.3mmの円板を打抜き、切削加工によりこの
円板の中心部に直径04mm、深さ0.8mmの凹部を設けても
よい。
つぎに上記円板を洗浄剤および温水で洗浄して上記加
工などによる汚れを除去する。その後、750〜950℃程度
の水素雰囲気中で約30分熱処理する。つぎにこの円板を
円筒状のカソードスリーブの一端部に溶接する。そして
このカソードスリーブに溶接された円板の外面上にバリ
ウム、ストロンチウム、カルシウムからなるアルカリ土
類金属の炭酸塩((Ba,Sr,Ca)CO3)を凹部の深奥部に
まで塗布できるように高圧スプレー法により20μmの厚
さに塗布する。このとき、凹部以外の第1グリッドとの
対向面に不要のアルカリ土類金属の炭酸塩が付着しない
ように、直径0.4mmの孔があけられたカバーを配置して
塗布する。
上記のようにアルカリ土類金属の炭酸塩が塗布された
カソードは、その後、既知のカラー受像管の製造方法と
同様に電子銃が組込み、さらにこの電子銃を管内に組込
んで、排気、アルカリ土類金属の炭酸塩を熱分解して酸
化物にするライティング、ゲツターフラッシュ、エージ
ングなどの処理を施す。
そして、このカソード(25K)および各グリッド(G
1)〜(G6)は、一対の絶縁支持体(図示せず)により
一体に固定され、その先端部側は、第6グリッド(G6)
に固定されて上記内部導電膜(20)に圧接する複数個の
バルブスペーサ(29)により、またカソード(25K)側
は、ネック(14)端部を封止しているステム(30)を気
密に貫通するステムピン(31)に取付けられ、これらバ
ルブスペーサ(29)およびステムピン(31)によりネッ
ク(14)内に保持されている。
この電子銃(16)においては、カソード(25K)とこ
のカソード(25K)に順次隣接する第1および第2グリ
ッド(G1),(G2)とにより、カソード(25K)からの
電子放射を制御し、かつ放射された電子を加速して電子
ビームを形成する電子ビーム形成部(GE)が形成され、
第3乃至第6グリッド(G3)〜(G6)により、その電子
ビーム形成部(GE)から放出される電子ビームを加速
し、かつ最終的に蛍光体スクリーン(3)に集束、集中
する主電子レンズ部(ML)が形成される。
ところで、上記のようにカソード(25K)を構成する
と、第3図に示すように、カットオフ状態では、接地さ
れている第1グリッド(G1)の電位Ec1に対して、カソ
ード電位EKを適当な高電位に設定することにより、カ
ソード電位EKよりもわずかに高い等電位線(6)は、
第1グリッド(G1)の開孔(5)を通ってカソード(25
K)側に浸透し、カソード(25K)の凹部(26)開口に達
する寸前の状態となるが、その凹部(26)内に設けられ
た電子放射層(27)には達しないため、この電子放射層
(27)には、動作領域は形成されない。したがって、第
1グリッド(G1)の開孔(5)を通過する電子はなく、
電子ビームは形成されない。
この状態からカソード電位EKを下げていくと、第4
図に示すように、等電位線(6)は、第1グリッド(G
1)の開孔(5)からさらにカソード(25K)側に浸透
し、カソード(25K)の凹部(26)内の第1グリッド(G
1)に近い浅い部分、すなわち凹部(26)の開孔近傍の
電子放射層(27)に達し、電子放射層(27)に動作領域
(29L)が形成される。この動作領域(29L)から放射さ
れる電子は、カソードレンズにより集束されて電子ビー
ム(15)となり、第2グリッド(G2)近傍にクロスオー
バ(COL)を形成する。その後、この電子ビーム(15)
は、第2グリッド(G2)の開孔(9)を通過し、第2グ
リッド(G2)と第3グリッド(G3)により形成されるプ
リフォーカスレンズにより発散が抑制されて第3グリッ
ド(G3)に入射するとともに、クロスオーバ(COL)よ
りもカソード(25K)側に仮想クロスオーバ(VCOL)を
形成する。
この場合は、ビーム電流値の小さい低電流域をなす。
しかし、上記動作領域(29L)から放射される電子は、
従来の電子銃のようにカソードの中央部から放射される
電子ではないため、クロスオーバ(COL)形成時には、
カソードレンズによる収差を受ける。しかし、この低電
流域における仮想クロスオーバ(VCOL)が最良になるよ
うに第1グリッド(G1)の開孔(5)まわりの板厚やカ
ソード(25K)と第1グリッド(G1)との間隔を設定す
ることにより、仮想クロスオーバ(VCOL)を従来と同等
以下にでき、電子ビーム(15)の広がりも従来同等にす
ることができる。
上記低電流域の状態からさらにカソード電位EKを下
げていくと、第5図に示すように、等電位線(6)は、
第1グリッド(G1)の開孔(5)からさらに大きくカソ
ード(25K)側に浸透して、凹部(26)内の深奥部の電
子放射層(27)まで達し、凹部(26)の開口からその深
奥部に及び、前記動作領域(29L)よりも広い動作領域
(29H)が形成される。この動作領域(29H)から放射さ
れる電子も、カソードレンズにより集束されて電子ビー
ム(15)となり、第2グリッド(G2)近傍に(COH)と
して示すクロスオーバーを形成する。その後、電子ビー
ム(15)は、第2グリッド(G2)の開孔(9)を通過
し、第2および第3グリッド(G2),(G3)により形成
されるプリフォーカスレンズにより発散が抑制されて第
3グリッド(G3)に入射するとともに、クロスオーバ
(COH)よりもカソード(25K)側に仮想クロスオーバ
(VCOH)を形成する。
この場合は、ビーム電流値の大きい高電流域をなし、
電子放射層(27)の動作領域(29H)の凹部(26)内の
深奥部から放射される電子ビームは、凹部(26)開口を
通過し、カソードレンズにより強い収差を受けるが、凹
部(26)内の第1グリッド(G1)に近い浅い部分、すな
わち凹部(26)の開口近傍から放射される電子ビームも
カソードレンズにより収差を受けるため、その深奥部か
ら放射される電子ビームの軌道は、開口近傍から放射さ
れる電子ビーム(15b)の軌道と大きく異なることはな
い。
したがって、高電流域においても、仮想クロスオーバ
(VCOH)、すなわち主レンズに対する物点を小さくする
ことができ、低電流域における物点を劣化させることな
く、高電流域における物点を大幅に改善することがで
き、従来高電流域において発生したブルーミング現象を
抑制して画像品位を向上させることができる。
つぎに、この効果をより一層明確にするため、ビーム
電流値とカソード(25K)の動作領域(29H)との関係に
ついて述べる。
基本的に電子銃から放出される電子ビームのビーム電
流値を大きくするためには、カソードの動作領域を大き
くすればよい。そこで、上記カソード(25K)の電子放
射層(27)を模式的に示す第6図において、円筒状凹部
(26)の直径をΦk、凹部(26)の深さをD、動作領域
(29H)の幅をhとすると、動作領域(29H)の面積Sk
は、 Sk=π・Φk・h ……(1) となる。
一般に酸化物陰極の電子放出能力Fhは、カソードの設
計、製造方法などにより異なるが、通常15〜100mA/mm程
度である。また、一般家庭テレビ用の陰極線管において
カソードから放出される電流量は、低電流時で0.1mA程
度、高電流時でその約40倍の4mA程度である。
そこで、説明を簡単にするため、ビーム電流がカソー
ドの動作領域(29H)の面積Skに比例し、上記(1)式
のhに比例して電流量が変化するものとする。たとえば Φk=0.4mm h =0.8mm Fh =15mA/mm とすると、 Sk =1.00mm となり、15mA程度の電流は、簡単に取出すことができ
る。
このような電子銃は、具体的には、つぎのように構成
される。
各グリッドの開孔径 G1=G2=0.58mm G3=G4=G5=G6=5.5mm 各グリッドの厚さ(または長さ) G1=0.10mm G2=0.18mm G3=5.0 mm G4=2.0 mm G5=12.0mm G6=6.6 mm 第6グリッド(G6)から蛍光体スクリーンまでの距離=
約350mm カソード径=1.6mm カソードの凹部径Φk=0.4mm カソードの凹部深さD=0.8mm 各グリッドの印加電位 EK =0〜150V Ec1=0V Ec2=Ec4=700V Ec3=Ec5=7000〜8000V Ec6=25000〜30000V なお、上記具体例に示したように、カソードの凹部径
Φkは、第1グリッド(G1)の開孔径より小さくするこ
とが好ましい。
また、このような電子銃を用いると、その波及効果と
して、スパーク放電によるカソードの劣化を防止する効
果が得られる。すなわち通常陰極線管は、25000〜30000
V程度の陽極高電圧を印加して動作させる。そのため、
グリッドに管内の微小のごみが付着したり、あるいはグ
リッドに微小突起などが存在すると、スパーク放電が発
生する。このスパーク放電の電流は、ときとしてカソー
ドに流込み、その電子放射層を破壊することがある。し
かし、この例のようにカソードを構成すると、第1グリ
ッドに近い電子放射に直接影響を与えない基体金属面と
の間で放電がおこり、電子放射層の破壊を防止すること
ができ、長寿命陰極線管とすることができる。
つぎに、他の実施例について述べる。
上記実施例では、カソードに円筒状の凹部を形成した
が、この凹部は、第7図に示すように、底部を径小とす
る円錘台形状の凹部(26)として、この凹部(26)内に
電子放射層(27)を設け、それ以外の第1グリッド(G
1)と対向する面(28)を基体金属の露出面としてもよ
い。
このように構成すると、第1グリッド(G1)の開孔
(5)を通ってカソード(25K)側に浸透する等電位線
(6)は、上記実施例の円筒状凹部と比較して曲率が若
干強くなり、カソードレンズでの収差を軽減することが
できる。
また、上記実施例の円錐台形状の凹部のかわりに円錐
形状の凹部としても、同様の効果が得られる。
なおまた、上記実施例は、カラー受像管について説明
したが、この発明は、カラー受像管以外の陰極線管にも
適用できる。
[発明の効果] 電子ビーム形成部と主電子レンズ部とを有する電子銃
を備える陰極線管において、その電子ビーム形成部を構
成するカソードの第1グリッドと対向する面に、その第
1グリッドの電子ビーム通過孔と同軸にほぼ円形の凹部
を形成し、その凹部内面にのみ電子放射層を設けると、
低電流域における電子は、凹部内の第1グリッドに近い
浅い部分に形成される動作領域から放射され、また高電
流域における電子は、その低電流域における動作領域お
よび凹部内のそれよりも深い部分に形成される動作領域
から放射される。しかし、その凹部内の深い部分から放
射される電子は、凹部開口によって規制されるので、低
電流域における電子ビームの軌道と高電流域における電
子ビームの軌道との差を少なくすることができる。した
がって、停電流域において、微小の仮想クロスオーバが
形成されるように電子銃を設計することにより、高電流
域においても仮想クロスオーバ径を小さくすることがで
き、また、低電流域におけるクロスオーバ形成後の電子
ビームの広がりと高電流域におけるクロスオーバ形成後
の電子ビームの広がりとの差を少なくし、高電流域にお
ける主電子レンズによる収差の影響を軽減することがで
きる。その結果、高電流域におけるブルーミング現象を
抑制し、停電流域から高電流域にかけてターゲット上の
ビームスポット径を小さくして、画像品位のすぐれた陰
極線管とすることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図乃至第7図はこの発明の実施例の説明図で、第1
図はその一実施例であるカラー受像管の構成を示す図、
第2図はその電子銃の構成を示す図、第3図はその電子
銃のカットオフ状態におけるカソード近傍の等電位線を
示す図、第4図は同じく低電流域におけるカソード近傍
の等電位線を示す図、第5図は同じく高電流域における
カソード近傍の等電位線を示す図、第6図はカソードの
動作面積を説明するための図、第7図は他の実施例にお
けるカソードの構成およびカソード近傍の等電位線を示
す図、第8図は従来のカラー受像管の電子銃の構成を示
す図、第9図(a)および(b)はそれぞれその電子銃
のカットオフ状態におけるカソード近傍の等電位線を示
す図および動作領域を説明するための図、第10図(a)
および(b)はそれぞれ低電流域におけるカソード近傍
の等電位線を示す図および動作領域を示す図、第11図
(a)および(b)はそれぞれ低電流域におけるカソー
ド近傍の等電位線を示す図および動作領域を示す図であ
る。 3……蛍光体スクリーン、 5……第1グリッドの電子ビーム通過孔、 9……第2グリッドの電子ビーム通過孔、 25K……カソード、26……凹部、 27……電子放射層、29L,29H……動作領域、 G1……第1グリッド、G2……第2グリッド、 G3……第3グリッド、G4……第4グリッド、 G5……第5グリッド、G6……第6グリッド、 GE……電子ビーム形成部、ML……主レンズ部、 COL,COH……クロスオーバ、 VCOL,VCOH……仮想クロスオーバ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木田 金治 埼玉県深谷市幡羅町1丁目9番2号 株 式会社東芝深谷ブラウン管工場内 (72)発明者 小路 仁 神奈川県川崎市幸区堀川町72番地 東芝 電子デバイスエンジニアリング株式会社 内 (56)参考文献 特開 昭63−138637(JP,A) 特開 平1−251544(JP,A) 特開 平1−194231(JP,A) 特公 昭44−11211(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 29/04 H01J 29/48 - 29/51

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カソードおよびこのカソード上に順次配置
    された第1、第2グリッドを有し、上記カソードからの
    電子放射を制御し放射された電子を加速して電子ビーム
    を形成する電子ビーム形成部と、この電子ビーム形成部
    から放出される電子ビームを最終的にターゲット上に集
    束させる複数個のグリッドからなる主電子レンズ部とを
    有する電子銃を備える陰極線管において、 上記カソードは上記第1グリッドと対向する面に上記第
    1グリッドの電子ビーム通過孔と同軸にほぼ円形の凹部
    が形成され、この凹部内面にのみ電子放射層が設けられ
    ていることを特徴とする陰極線管。
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